11/4(木),5(金),6(土)の
IBIS 2010
まで, いよいよ後2週間を切りました。
すでに多数の参加申し込みをいただいていますが, サイトでの事前登録は
事前準備の関係で今月29日(金)までですので, ぜひご登録をよろしくお願いします。
それを過ぎても, 懇親会を含め, 当日会場での受付が可能です。
企画セッション
(詳細)
,
ポスター発表
(詳細)
ともすべて掲載され, 本番を待つばかりとなりました。
準備を始めたのはちょうど一年ぐらい前で, 僕の方では色々な方に話を伺って企画を
練りました。(
2009/11/4の日記
にその一部がちらっと書いてあります。)
幸いなことに企画セッションのオーガナイザーの方には全員快諾していただけ,
各オーガナイザーの方がそれぞれの分野で最強と言ってよい講演者の方を集めて
いただきました。
- 最近, IBISでは情報理論の話が少なかったので, 言語モデルの研究者として
情報理論に関わりのある私としてはぜひ入れたいと思い, 多端子情報理論を中心と
したセッション「多端子情報理論の最新事情」を木村さんに,
またここ数年話には上がっていながら, まだ実現していなかった量子情報理論の
セッション「量子情報理論の最先端」を林先生にお願いすることができました。
自然言語処理の分野では twitter の分析が流行っていますし,
他でもセンサーデータの解析など,
機械学習の中で, 同じ情報源からの相関を持つ複数の観測値を扱う問題は増えている
と思いますが, 情報理論でまさにその問題を扱う理論がすでに構築されているにも
関わらず,
多端子情報理論は普通の情報理論のコースではあまりカバーされないため,
僕も含めて他分野の方にはその存在や内容が知られていないように思います。ので,
情報理論での知識を無視して各分野で後付けで勝手に考えるのではなく, その知識を
共有すべきではないか, と思って企画しました。
量子情報理論はそれ自体で興味深いだけではなく, 最近の一部の研究にも
みられるように, 量子的なアルゴリズムを考えることが機械学習の立場からも役立つ
場合があります。そのため, 量子情報理論の基礎と先端をじっくりと第一人者の
林先生に, という希望が実現できてたいへん嬉しく思っています。
- 因果推論のセッション「データ生成過程の学習: 因果推論・特徴選択への
アプローチ」は知識処理を扱う, きわめてIBIS的なセッションで, 基本的に
清水さんの
UAI 2010のチュートリアル
の話を日本語で, さらに関連する話題を含めて紹介していただける豪華なセッション
になりそうです。
- ICMLなどの論文を読むと, 機械学習がどんどん Statistics に近づいていると
日々思っているため, 副委員長でもある統数研の小林さんに,「理論統計学の風景から」
というタイトルで
*1
stat のセッションを組んでいただきました。
このセッションの中身に何を入れるかは可能性が沢山あり, 難しかったのですが,
概要を見るとわかる通り, 確かに統計のこうした問題をそれ自体数理の問題として
考えることが重要だ, と思える内容になっているかと思います。
- 生産研の小林(徹)さんには, 理論生物学という新しい内容についてのセッション
「理論生物学と学習・統計との新たな接点」を企画していただきました。
数学の応用という面の強い数理生物学とは異なり, より生物に寄りそった形で,
しかもempiricalな実験のみを行う生物学とは異なって統計モデルや力学モデルを
持つ, 非常に興味深い内容だと思います。こういう話はIBISではこれまでなかった
はずで, 生物系の方も来ていただけるといいなと思っているのですが..。
個人的には,
広域科学科
で
嶋田先生
の話などには触れてきていますが, もっとミクロに近い話でも統計的な話ができる
というのは全く興味深く思っています。
- そして, 計量経済学セッション「計量経済と機械学習」。
計量経済(というかEconometrics)は僕の
過去の日記
にもある通り, 機械学習/統計学とも本質的には非常に関係が深いはずで, また
開催趣旨
にもある通り, 社会基盤が情報化される中で今後ますます重要になっていくと
考えられますが, 今まで機械学習のコミュニティとの接点はほとんどなかったように
思います。もの凄く具体的には, ベイズをやっている東大経済の
大森先生
の話や,
経済学部統計学コース
の話は, そのレベルの高さにも関わらず, ほぼ機械学習と接点なしに来ていました。
個人的にはずっとその辺を観察していたので, 両方のわかる広大の加藤さんに
オーガナイザーをお願いすることができ, 香港でお会いした奥井さんを含め,
日本最強と言えるような超豪華メンバーに講演をお願いすることができました(!)。
本当は加藤さんご自身にも話していただきたいのですが, 時間枠の関係でそれが
できないのが残念です。
加藤さんがおっしゃっていたように, Econometricaレベルの方ばかりで, IBIS的には
かなり新鮮な(でも, 統計の意味では共通項のある)セッションかと思います。
これは僕が今年やらないと, 普通に理系から来ているPC委員長だとやらないかな..
と思ったので, 今年, 道を通すことができて大変嬉しく思っています。
準備の段階で大森先生にもご相談させていただきましたし,
今後も共通項ができると良いのではないかと思っているのですが..。
- 後もちろん, 言うまでもないですが, 今回の大きな見所は海外招待講演だと思います。
*2
最初PCの中では Francis Bach 氏を考えていたのですが, Bach氏はちょうどその時期
家族の都合で来日できず, ダメ元で冨岡さん発案の Manfred Opper 氏にコンタクト
したところ, 何とOKを貰えて(5月ぐらい), 統数研の予算枠もあって
今回の招待講演が実現することになりました。
*1: このタイトルは僕が小林さんに案を出したのですが, 確かに「世界の車窓から」
風です。:-)
*2: IBISではこれまで, RissanenやMacKayなどの招待講演がありました。
つくば&東京出張から帰ってきました。
貞光君と共同研究の打ち合わせをしたり(頑張りましょう>貞光君),
駒場で言語情報の
中澤先生
に
ルベソン
でお昼をごちそうになって3時間以上お喋りしたり,
と色々。
PRML 日本語本
の担当部分(10章: 変分ベイズ法,EP)を出発直前にほぼ上げたので,
これで8/11の
SVM 2007
→統数研ワークショップ発表→数セミ原稿締め切り→PRML翻訳締め切り
と4連コンボの締切りの連続からやっと解放されました。;
考えてみると, 去年のこの時期もNC研招待講演→CS研所長面接で大変だったので,
そういう時期なのかもしれません。
TX(つくばエクスプレス)に乗るのは初めてだったのですが, 秋葉原の地下深く
から45分でつくばに着き, 駅内部の雰囲気も東京と同じなので, あまり遠くまで来た気が
しないのに驚きました。
体感的にはかなりの速度で(というか, 車内の音がうるさいというか),
最高速度は130km/hだそうですが,
所要時間は「たまたま」45分だったのではなく,
45分で行けるようにせよ, という至上命題があって, それに合わせて
速度や路線等を調節したのではないか, と想像。
実際, 都心からの所要時間が45分から60分程度になるにつれて, その土地の価値が
ロジスティック曲線のように急速に減少するはずで,
*1
このリミットを守るのは非常に大事だったのではないかと思う。
それより気になったのは, TXのイメージカラーが赤だということ。
赤は車体だけでなく, 駅名のプレートの背景など各種表示に使われているのですが,
イメージに合わないし, 気分的に疲れる色です。
北関東の原野を走る電車なのだから, 緑を全体のイメージカラーにして,
駅名などの背景は薄いグリーンにした方が絶対に合っているし,
上品で沿線のイメージも上がると思うのですが,
どうして赤色にしたのか理解に苦しみます。
常磐線の緑と重なってもいいと思いますし, つくばエクスプレスの
概要のページ
を見ても「環境共生鉄道」と謳っているのだから, それと最も遠い色である
赤を選ぶというセンスはどうか, と。沿線の住民にとっては非常によく目にし,
人々の生活意識に大きく影響を与えることになる色だけに,
充分な考慮や説明もないまま選ばれているように見えるのは
残念な感じがします。
ちなみに貞光君が教えてくれたTX音頭
(youtube)
っていったい..(笑)。
*1: 「ロジスティック」という言葉の二つの意味を考えると, ちょっと言い得て妙かも。
"The Spatial Economy"にあるようなチューネン圏の概念からこれが導かれると
面白いと思うのですが..。(見た感じ, 地価の微分が一定であるようにモデル化
されているように見えますが, 気のせいかもしれない。)