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Daichi Mochihashi (持橋大地) daichi <at> ism.ac.jp by hns, version 2.10-pl1.

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2005年10月12日(水) [n年日記]

#1 Geography reduces to Economics

勉強ばかりしていて頭が飽和してしまったので (inputばかりしていてはもちろん いけないのですが, 必要なことなので), 研究と関係ない話。

少し前のことになるが, MIT Press の "The Spatial Economy" [amazon] を買った。
高校生の時は地理が好き&得意で, 地理学者になりたいと思っていたことがあるし, 東大の二次試験も地理&世界史で受けた。ちなみに, 広域科学科の院試(もちろん 受かりましたが, NAISTに来た)ももと文科出身者は地理を選択できるので, 夏休みに 朝倉書店の人文地理学講座を通学の電車の中でずっと読んでいたという記憶 があります。
この "The Spatial Economy" ですが, 素晴らしい。 都市の周辺で距離と地価に従って産業が分布するというチューネン圏の概念は, 高校では単に直観的な曲線が出てくるだけですが,

Let p^A ≡ p^A(0) be the price of the agricultural good at the city. ..
Agricultural transport costs mean that farmers receive a lower price
the farther they are from the city:
p^A(r) = p^A exp(-τ^A|r|).
Let R(r) and w^A(r) be the land rent and wage rate for agricultural workers at location r. Rent is the value of output from each unit of land minus the wage bill for the c^A workers needed to farm that land:
R(r) = p^A(r) - c^Aw^A(r) = p^A exp(-τ^A|r|) - c^Aw^A(r).
Land rents are 0 at the edge of cultivation, distance f from the city, so
w^A(f) = p^A exp(-τ^A f)/c^A. ..

うおおおおお, イカース!!!
他にも, いかにして都市が形成されるか, その間の交通はどうなっているか, 貿易についてはどうかなど, 興味深い話題でいっぱいです。 実際に発展途上国の開発計画において, どこに貿易や文化の拠点を置くべきか, ここに立地するとどういう効果をもたらすか, などに理論的な洞察を与えてくれる ものだと思います。

自分の研究があるのでじっくり読んでいる時間はないのが残念ですが, 自然言語処理以外にも, やってもよかった分野に出会って幸せを感じた瞬間でした。
こんな面白い分野があるとは, 地理の授業や講義では全く教えてくれませんでした。 実際に, 「地理学」という学問はなく, "地理" というものを理論的にやろうとすると 自然地理, つまり地球科学に近付くか, 人間の行動に注目すると結局計量経済に 近付くようです。
もっと前の時期に大学でこういう分野に出会っていれば, もしかするとそちらに 行ったのかも知れないなぁ, と思います。 ただ, どちらにしても統計的なモデル化が必要になるので, 結局同じことになっていた のではないかという気もします (例えば, 2次元の Dirichlet Process やその同類)。
この本は統計ではなく, 経済のパターンで均衡解がどうなるか, という漸近的な性質 に焦点を絞っていますが, 本当は漸近解に行くまでの挙動や, 空間が均質ではなく, 地形に従ったり交通が生まれたりして curvature がある場合に どうなるか, という議論が必要になるのだと思う。専門は経済ではありませんが, それでも面白い。

最近でも, 交易センターがどのように出現するかという話とか [LINK] を本郷の方がやられていたりするようです。これは2001年の話ですが, 今度 Princeton から [こんな本] が出たりとかするらしい。
ちなみに [これ] はLSEの都市関係の研究一覧ですが, いやー, 面白いーー。はー。

・ Mathematical Biology

もう1つ, 最近非常に興味を持ったのは, 数理生物学 でした。(学部の実験でも少しやったんですが。)
少し前に調べたので忘れかけていますが, 巌佐先生の よいモデルとは何だろうか? は夕食を食べながら読んで, モデリングを行う誰にとっても, とてもよいドキュメントだと思ったので お薦めです。


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