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Daichi Mochihashi (持橋大地) daichi <at> ism.ac.jp by hns, version 2.10-pl1.

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2006年11月12日() [n年日記]

#1 京都賞記念ワークショップ

伊庭さんが ベイズ掲示板 で紹介されていた, 今年の京都賞を受賞された 赤池先生の記念ワークショップ を聴きに, 京都国際会館に行って石井先生の隣に座って(w 聞いてきました。
赤池先生, 甘利先生, 北川先生に樺島先生, 下平先生の超豪華メンバーでした。
定員150人のうち論理生命(石井研)の人が10人以上いたということで, 書くのが ちょっとはばかられるのですが, 日記ということで。

とりあえず, 赤池先生が本当にゴルフの話を始められたのにびっくりしたわけですが(w, 甘利先生を含めて, 全体的に強調されていたのは, AICのポイントはその (結果的に簡単な)式自体というより, 訓練データではなく, それから導かれる予測力 をもとに統計モデルの基準を考える点だった, という話だったと思います。 AIC自体は, それを金科玉条のように考える必要はなく, モデルに許される複雑さの 上限を与えるものとして, それよりコンパクトなモデルを選ぶのは自由だ, と いう話でした。ただしこの際にも, AICがあまり下がるようではまずいという意味で AICはやはり基準となりうる, ということ。
赤池先生ご自身を含めて, AICは「次元数の選択」を行うもの ではなく, 「モデルの選択」を行うものであり, 新しいモデルを考えることが 最も重要である, ということが強調されていたように思います。 (ベイジアンとしては, 結局それは事前分布の設定を含めたベイズモデルに繋がって いくのではないかという感想を持ったのですが..。)
RissanenのMDLとの比較が当然問題になりますが, MDLはモデルの最小記述長を問題にしたもので, 優れた理論ではあるものの, 予測を最初から狙っているものではないので, 使うべき場所が本来違うはずだ, という議論を甘利先生がおっしゃっておられました。

甘利先生の話, 北川先生の話を含めて他の講演も非常に興味深い内容でした。 個人的には, Particle Filterを勉強した者にとって北川先生は神なので, *1 若々しい声の時系列モデルのお話が聞けて, たいへん有意義でした。:-)

・ -

僕は知らなかったのですが, 赤池先生はもともと統計の純粋理論ではなく, プラント制御や多変量時系列解析といった実際的な仕事を手がけられていたのだ そうです (このへん)。 最初の受賞者紹介で, 海軍兵学校 (→一高→東大数学科)のご出身だという話が あったのですが, ちょうど個人的に, 少し前に海軍兵学校の数学・物理・気象学の 教科書をオークションで数万円で買ったばかりで(本物), 海軍兵学校がバリバリの理系で, かつ実際的な面を非常に大切にするということが よくわかったので(「翼ニコレコレノ力ヲ加ヘタ時, 機体ニ生ジル捩レハイカホドカ」 みたいな練習問題があちこちに出てくる), なるほどなあ, と思ったのでした。


*1: Particle Filterの理論を最初に提案されたのは統数研所長の北川先生。

2006年11月19日() [n年日記]

#1 大学への数学

月刊 「大学への数学」 が今年で50周年らしく, 今年の8月号に特集記事があってコメントや座談会などが 色々あるようなので, 京都駅のAvantiブックセンターで, ものすごく久しぶりに大数を買った。
大学の受験生の頃は, 「大学への数学」は2年間くらい毎月のように買って読んでいた。 (ただし, 学コンはほとんど出さなかった。) 夏休みには渋谷の今のGoogleに行く歩道橋を左に降りて, 大数ゼミにも通っていた のがきのうのように思い出されます。 1956年の創刊号の紙面も載っていたが, 僕が読んでいた頃も, 今も全く紙面が変わって いないのが素晴らしすぎる。
社長の黒木先生が"普通の高校で5番以内の生徒が読めるようなものを" と書かれていて, 最初から明確にそういうコンセプトだったのね, と納得。
東販に持ち込んだところ, 事前に相談がない雑誌は扱えないと言われたが, 「これは日本のためになる雑誌だからぜひ, とねばって承諾してもらった」という ところで泣いた。

別に僕は数学はそんなに得意ではなかったですが(国語の方が得意), 大数を読んで, 数学の素晴らしさがよくわかったような気がします。 大学に入ったら絶対にMacintoshとMathematicaを買うんだ!!と思ったのも大数の影響 でした。
自然言語処理のくせにNIPSやICMLの論文を読みまくっている(最近はこれは 普通になりつつありますが)のと, 文系のくせに毎月大数を買って バウムクーヘン分割や傘型分割 *1 がどうとか言っているのは, 結局変わっていないのでは, という気がしないでも ない。(^^;)

大数のバックナンバーは, 大きな書店には置いてあるようです。


*1: どちらも, 回転体の体積の特別な求積法。

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