第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 令和5年3月9日 令和五年三月九日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月八日     辞任         補欠選任      金子 道仁君     室井 邦彦君  三月九日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     古庄 玄知君      音喜多 駿君     鈴木 宗男君      室井 邦彦君     金子 道仁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 金子 道仁君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 古庄 玄知君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 山口那津男君                 鈴木 宗男君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    内閣官房副長官        内閣官房副長官  磯崎 仁彦君    副大臣        経済産業副大臣  中谷 真一君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       下田 隆文君        内閣官房内閣審        議官       吉川 徹志君        消防庁国民保護        ・防災部長    田辺 康彦君        外務省大臣官房        長        志水 史雄君        外務省大臣官房        外務報道官    小野 日子君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        参事官      大槻耕太郎君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      北村 俊博君        外務省大臣官房        参事官      片平  聡君        外務省北米局長  河邉 賢裕君        外務省欧州局長  中込 正志君        外務省中東アフ        リカ局長     長岡 寛介君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        部長       齋田 伸一君        外務省経済局長  鯰  博行君        外務省国際協力        局長       遠藤 和也君        厚生労働省大臣        官房審議官    山本  史君        厚生労働省大臣        官房審議官    本多 則惠君        経済産業省貿易        経済協力局長   木村  聡君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     猪狩 克朗君        海上保安庁警備        救難部長     渡邉 保範君        環境省大臣官房        審議官      針田  哲君        環境省大臣官房        環境保健部長   神ノ田昌博君        防衛省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      上田 幸司君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省地方協力        局長       深澤 雅貴君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○外交、防衛等に関する調査  (外交の基本方針に関する件)  (国の防衛の基本方針に関する件)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、音喜多駿君が委員を辞任され、その補欠として鈴木宗男君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に金子道仁君を指名いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官下田隆文君外二十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。  外交の基本方針及び国の防衛の基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  まず、日韓関係について伺います。  旧朝鮮半島出身労働者に関しまして、尹政権が努力をして前政権の負の遺産を薄めようとしている努力は認めますけれども、まだ、日本国民の中にはまだまだその実効性を含め疑問を持っている方も多いと思います。そこで、何点か外務大臣に確認したいと思います。  日本側は、韓国政府の案を関係改善の観点から評価するとしております。そもそも日本企業が被告となり賠償を求められること自体が完全かつ最終的に解決したとする日韓請求権協定違反であり、韓国側の原告が訴える相手は、日本企業ではなく、韓国政府でなければなりません。よって、韓国の既存の団体が日本企業の肩代わりをする案自体が、協定上、本来おかしいものであるのに、それを前向きに評価するとなると論理矛盾を起こすのではないかという疑問も湧きますけれども、それについて外務大臣の所見を伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、一九六五年の日韓請求権協定、これを締約国である韓国が遵守するというのが当然であります。その上で、二〇一八年に韓国大法院が同協定に明らかに反する判決を出したわけですが、これについて当時の文在寅政権が不作為を続けてきたわけでございます。これに対して、尹錫悦政権は、懸案を解決し未来志向で日韓関係を発展させていくとの考えの下で、韓国国内で対応について検討を行ってきたと理解をしております。  こうした経緯で今般の韓国政府の発表に至り、その中で朴振長官が、韓国政府は、一九六五年の韓日国交正常化以降構築されてきた両国間の緊密な友好協力関係を土台として、今後、韓日関係を未来志向で更に高いレベルに発展させていこうとの意思を有しているというふうに述べているところでございます。 ○佐藤正久君 つまり、日本政府としては、日本企業が被告となること自体はこれは協定違反というふうに認めていますけれども、今回の尹政権の努力、関係改善の観点から評価をしているということにすぎないと。ただ、今回の韓国側の発表案が慰安婦合意の二の舞にならないかと、また世論に押されてゴールポストを動かしてしまうんではないかと危惧を持っている日本人も多いと思います。  今回の尹政権の案が不可逆的なものであるという説明を受けているのか、少なくとも尹政権時代に不可逆的にならないよう、何らかの担保を日本政府は取っているんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この韓国政府は、今後、国内のプロセスを行いつつ、原告の理解を得るべく最大限努力するとしております。  今後、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大をしていくことを期待しておりまして、韓国側とそうした観点から引き続きよく意思疎通をしてまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 大臣、私が聞いているのは、今回の案が不可逆的にならないための何らかの担保を尹政権に対して取っているのかという観点です。 ○国務大臣(林芳正君) 韓国政府は、原告の理解を得るべく最大限努力するとして、まさに働きかけを行っているところであり、そうした状況を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 それでは伺いますけれども、今の尹政権は、六五年の日韓請求権協定、これをどのように評価をし、どのような立場を取っているかをお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど御答弁したことの繰り返しになる部分がございますが、我々として、一九六五年の日韓請求権協定、これを締約国である韓国が遵守するのは当然であると考えております。これに、二〇一八年に韓国の大法院が同協定に明らかに反する判決を出したわけですが、これについて当時の文在寅政権が不作為を続けてきたわけでございます。これに対して、尹錫悦政権が、懸案を解決し未来志向で日韓関係を発展させていくとの考えの下で、韓国国内で対応について検討を行ってきたと理解しております。  このような経緯で今回の発表に至りまして、その中で朴振長官が、韓国政府は、一九六五年の韓日国交正常化以降構築されてきた両国間の緊密な友好協力関係を土台として、今後韓日関係を未来志向で更に高いレベルに発展させていこうという意思を有している、こう述べておるところでございます。 ○佐藤正久君 ちょっと曖昧でよく分からないんですけれども、ということは、尹政権は、六五年の日韓請求権協定でこの労働者の問題については完全かつ最終的に解決したという立場ということでよろしいですか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 先ほど林大臣からも御説明ありましたけれども、ちょっと繰り返しになりますが、一九六五年の日韓請求権協定、これを締約国である韓国が遵守するのは当然でありますので、これについては韓国側も……(発言する者あり)ええ、韓国政府もですね、当然そういう立場を維持しているという具合に考えております。 ○佐藤正久君 ここが実はこの問題の肝で、これが不可逆的にならないためには、日本と同じように、この問題は完全かつ最終的に確認したと、解決したと尹政権が立場を取っているかどうかが肝なんです。  であれば、今回、日本側は歴代内閣の歴史認識を全体として引き継ぐというふうに今回明言しています。であれば、韓国側に対しても同じように、六五年のこの請求権協定、これを遵守する、引き継ぐというふうな文言をやっぱり取るべきだと思いますけれども、なぜこれを取らないのか。これがないから、慰安婦合意のようにまたひっくり返されてしまうのではないかというおそれがあると思うんです。  この尹政権が六五年協定を守るというのであれば、日本側は歴史認識を受け継ぐと言ったように、今回の韓国発表の方に六五年協定を遵守するという文言があれば少なくとも尹政権のときは不可逆にはならないとなりますけれども、これをまだ入れてないということであれば、これから入れるよう、何らかの形で発表するよう、これは求めるのは日本政府として筋ではないですか。 ○政府参考人(岩本桂一君) これも先ほど来ちょっと繰り返しになって恐縮ではございますけれども、韓国政府は、今後、国内のプロセスを行いつつ、原告の理解を得るべく最大限努力するとしております。  そういった観点から、我が国としましても韓国側と引き続きよく意思疎通をしていきたい、こういう立場でございます。 ○佐藤正久君 だから、やっぱり日本国民は不安になるんですよ。今までGSOMIAあるいはこの慰安婦合意もやっぱりちゃぶ台返しされたわけですよ。政権が替わったらその可能性はあるにしても、少なくとも尹政権でそれはないためには、しっかり、そこまで言うのであれば、韓国側の発表文の方にこれは書いてないんですよ、そこはやっぱりしっかり明記をするということが、大臣、これは大臣レベルで担保を取るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 隣国であるがゆえに様々な懸案や課題があるこの日韓間でございますが、まさに今お話のあったように、一九六五年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づいて、更に韓国側と緊密に協力していきつつ、今お話のあったようなこと、懸案、様々な懸案もまだあるわけでございますが、我が国の立場に基づき適切に対応してまいりたいと思っております。 ○佐藤正久君 これ微妙にごまかしているんです。その基盤に基づきというのと、これ守るということは全然違いますから。だから、前回の慰安婦合意もあのような形でひっくり返されてしまったと。また、政権が替わると、やっぱりいろんなことが起きます。大統領が捕まったこともあれば、今回はまさに国家安保室長と情報院長とそして前の国防大臣も捕まっちゃっているんです。  なので、少なくともこの世論でこうひっくり返されないような担保、これは、やるのは外務省の責任だと思います。そこがないと、なかなか国民からすると、非常に曖昧なままでまた進むと、また同じ歴史の繰り返しとなってしまうと思います。  それでは、輸出管理、これについて経産副大臣の方にお伺いします。  経産省はこれまで、国会答弁などで、韓国が開始したWTOプロセスを取り下げ、信頼回復のために努めていただくことが必要というふうに繰り返し述べています。でも今回は、取下げではなく、中断という形で政策対話を始めるというふうになっていますけれども、中断と取下げでは全く外交的に意味合いが違います。  なぜ今回、今までの答弁のように、取下げということで初めて政策対話が始まることを、それをやめて、中断で政策対話を始めるというふうに変節したんでしょうか。 ○副大臣(中谷真一君) 先生御指摘の部分でございますけど、我が国といたしましては、これまでも、政策対話の再開のためにはWTO紛争解決手続の取下げ又は中断が必要と考えてきております。  今回、韓国側の発表により、政策対話を再開する環境が整ったというふうに考えております。なお、二〇一九年十二月には、韓国がWTOプロセスを中断する旨を決定したことを受けて、政策対話を再開したこともございます。  今回、韓国は、関連の協議の行われている間、WTOの紛争解決手続を中断する旨を表明したところであります。これは、WTOの紛争処理手続を進めないという韓国の意思を対外的に表明したものと理解をしているところであります。  今後再開される政策対話では、韓国側の輸出管理の実効性を確認していくとともに、韓国側の今後の姿勢をしっかりと見極めてまいりたいというふうに考えております。 ○佐藤正久君 これちょっと議事録確認してほしいんですけれども、国会答弁では、今までは中断ではなく取下げと言ってきているんですよ。今、急に中断というふうになったというのは理解し難いんですけれども。  資料四を御覧ください。  資料四に、経産省が三月六日に発表した内容と、翌日、西村大臣の記者会見資料があります。  そこで、六日の発表の方では、発表内容で、日韓双方が、二〇一九年七月以降の状態に戻すべく、関連の二国間の協議を速やかに行っていくこととしたと。これはまさに韓国側がずっと求めていたことをそのまま書いているというふうにやっぱり見えてしまいますし、しかも、その二国間の協議ということと政策対話は全く違いますから、なぜここで協議という言葉を使っているのかと。日本も韓国側も、輸出管理についてはそれぞれの主権に基づいて対話を行うと、政策対話と言っているのに、なぜここで協議という言葉を使うのかと、協議と対話では全く違いますから。まさに安全保障の観点から、我が国の視点に基づいて対話を行うと。  実際、西村経産大臣も、輸出管理見直しは他国と協議を行うという対象ではないと。つまり、ホワイト国の見直し、見直しであれ、半導体の三品目であれ、これは協議を行う対象ではないと、しっかり政策対話を行うと言っているにかかわらず、この発表文の方ではなぜこういう協議という言葉を使っているのか、説明願います。 ○副大臣(中谷真一君) 輸出管理に関する日韓間の懸案事項には、WTO紛争解決手続の取下げという論点も含まれているところであります。  この私どもが協議と申し上げていますのは、WTO解決に関わる協議を指しているのでありまして、輸出管理の見直しは、これあくまでも対話で行っていくというふうに考えております。協議をするという趣旨ではないというものであります。  いずれにせよ、政策対話を経て、我が国としては輸出管理の制度運用の在り方をどうするか、現時点において予断を持っているものではありません。  政策対話を通じて、韓国側の審査体制、また輸出管理の実効性をしっかり確認するとともに、韓国側の今後の姿勢を見極めた上で、我が国として適切に判断していくというものであります。 ○佐藤正久君 副大臣、これやっぱり、これ発表内容をもう少し分かりやすくした方がいいです、そう言うんであれば。誰も今の説明どおり取りませんから。これ、分けるなら分けるで輸出管理とWTOと分けていないと、協議となると譲っているように見えてしまう。このペーパーの作り方が極めてお粗末と言わざるを得ません。  しかも、WTOの紛争手続というものを中断をしなければ政策対話をしないと言っているんであれば、一番最初に、このWTOの紛争解決手続中断ということを一番最初に持ってきた上で日本側の対応を書かないといけないのに、一番最後になお書きで書いていると。このペーパーの作りが非常に悪い。何か非常にこそくな感じするので、これ上書きした方がいいですよ、しっかりと。WTOの中断と書いて、その上で政策対話の部分とあるいはそのWTOの協議の部分と分けないと、譲っているように見えてしまう。  副大臣、これはしっかり、経産大臣がわざわざ記者会見で上書きしているんであれば、しっかりここの説明を、発表もしっかりやるということが、これは政務レベルしかできませんから、しかもそれを韓国が言わないと勘違いしますから。協議と、対話と協議は外交上全く違いますから。いかがですか。 ○副大臣(中谷真一君) 先生の御指摘も踏まえまして、しっかりとその発信の仕方については省内で見直したいというふうに思います。 ○佐藤正久君 それでは、次の質問に移ります。  資料一を御覧ください。  弾道ミサイルであれば、公海上でも自衛隊法八十二条の三、破壊措置命令で迎撃できますけれども、巡航ミサイルは航空機扱いなので弾道ミサイル等の破壊措置命令の対象外になります。巡航ミサイルは、日本の領空に入ってから、自衛隊法八十四条の領空侵犯措置で平時であれば迎撃することになります。すなわち、弾道ミサイルなら公海上でも迎撃できますけれども、巡航ミサイルだと領空に入らないと迎撃できないと。  今は極超音速の巡航ミサイルというものが中国もロシアももう開発済みであって、例えばロシアが今年一月にまた発射しましたツィルコン、これは極超音速でマッハ九というふうに言われています。マッハ九であれば、この領海から領土に入る二十二キロ、これは七秒で通過します。七秒の間に本当にパイロットで領空侵犯措置対応できるかと、これはかなり難しいと思います。  この領空侵犯措置は、昭和二十九年にできた法律で、当時は有人機を想定したものです。今、相当技術の進歩によってこれはマッチングしない場合がある。さらに、自衛隊も導入するこの電子戦機、これジャミング。これは相手の領空に入らない遠間からジャミングをして、例えば日本のいろいろな電波関係、通信関係をずたずたにするというものです。  であれば、これ公海上であれば日本の通信が途絶えたとしても何ら対応できないと。これでは公共の秩序の維持というものは図れません。でも、これは警察では対応できないので、自衛隊でしか対応できない等々を含めて、やっぱり時代と守るべき対象、相手の、向こうの手段も変わっていますので、もうこの辺りについては、やっぱり防衛省の方で、防衛力の抜本的強化という観点からも見直し、検討というものをすべきだと思いますけれども、大臣の所見を伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、我が国に対して極超音速ミサイルが飛来するような場合には、防衛出動で対応することが基本となります。  その上で、委員の御指摘は、極超音速ミサイルが突然我が国に対して発射され、防衛出動を命令する時間的余裕がないときにどのように対応するかという趣旨であると認識しております。この点、弾道ミサイルが飛来する場合であれば、あらかじめ弾道ミサイル等に対する破壊措置命令を出しておくことが可能であります。  御指摘の点を含め、国民の命や暮らしを守り抜くためにどのようにミサイルに対処していくかについては、今後も不断に検討を行ってまいりたいと考えております。 ○佐藤正久君 今、弾道ミサイルもこれ実験で撃ってきているんですよ。巡航ミサイルも実験で撃つことは当然考えられますので、巡航ミサイルイコール防衛出動というのは、やはり危機管理対処としては備えの幅が、スコープが小さいと言わざるを得ませんので、是非検討していただきたいと思います。  また、ドローンの方も同じで、公海上からドローンがいろんな悪さをするということも当然できますし、あるいは、二〇一七年に起きたように、中国の海警船が領海に入ってそこから小型のドローンを飛ばすということ、こういう対応も今の対応措置ではかなり現実的に難しい部分があろうかと思います。実際、二〇一七年のときは、海上保安庁から航空自衛隊に連絡を受けて、那覇から数十分掛けてこの現場に行ったときはもう見付からなかったと。そもそも、小型のドローンのスピードと戦闘機のスピードは全然違いますから。これは実際対応することはほぼ不可能です。であれば、やはり現場に一番近い海上保安庁とかあるいは海上自衛隊等が連携をして対応を取ると。  また、今、水中ドローンという部分ももうできております。こうなると、やはり自衛隊が全部やるのはこれはかなり難しいと思いますので、海上保安庁等にこういう対領空侵犯措置あるいは水中ドローンという部分も踏まえた対応というのを、物理的にも対応できる手段というものも権限とともに与えるべきだと思いますけれども、海上保安庁の取組について伺います。 ○政府参考人(渡邉保範君) お答えいたします。  海上保安庁は、尖閣諸島周辺海域の領海警備等、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務としております。  我が国周辺海域において、船舶から小型無人機、いわゆるドローンが飛行するような場合、海上保安庁においては、対領空侵犯措置に関する省庁間協力として警告が可能です。さらに、犯罪の発生が切迫した場合であって危害発生のおそれと緊急性がある場合等には、ドローン対策資機材を活用して電波妨害等の強制的な措置をとることも可能です。  また、無人潜水機、いわゆる水中ドローンへの対処については、海上保安庁の任務を遂行する上で新たに必要となる装備、対応について、関係省庁と連携し、検討を進めてまいりたいと考えております。  いずれにしましても、海上保安庁としましては、日々刻々と進歩する科学技術に合わせて、関係機関とも連携しながら装備の充実強化に取り組んでまいります。 ○佐藤正久君 今日は官房副長官もおられるので、今の答弁、テークノートしていただきたいんですけれども、やはり省庁横断でやらないともう間に合わないと。特に、自衛隊の方も、防衛大臣がこれから答弁すると思いますけれども、航空自衛隊だけではなくて海上自衛隊、場合によっては陸上自衛隊も対応すると。領空侵犯措置は航空自衛隊と書いておりませんから、自衛隊はと書いていますので、その部分含めて対応をお願いしたいと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の点については、我々としてもしっかりと認識を持って対応してまいりたいというふうに考えます。 ○佐藤正久君 是非よろしくお願いします。  資料二を御覧ください。  これは、ポーランド。宮島ポーランド大使も今帰国中でございますけれども、ポーランド、相当今回ウクライナの対応についていろんな役割をしています。まさに、邦人を含めた外国人の避難を受け入れ、さらに第三国への出国を支援。あるいは、第三国からのウクライナへの武器弾薬等の中継、あるいはウクライナ軍の訓練。いろんな面で、人道支援物資含めたいろんなハブ的な機能を担っています。  日本の場合も、台湾有事を想定して、ウクライナを台湾、ポーランドを日本として見ると、日本の果たすべき役割も相当見えてくると思います。台湾有事の際、何百万人もの台湾の方や外国の方が日本を経由して避難をするということが相当考えられますし、台湾への武器弾薬を含む補給物資も人道支援物資も日本経由と。日本が台湾支援の兵たん基盤になり、また在日米軍や自衛隊の基地が多国籍部隊の調整所になるということも想定されます。地政学的にフィリピンや韓国は不可能でありますので、やっぱりポーランドのようなこういうハブ的な機能というものを果たすことは日本しかありません。日本は南西諸島防衛と同時に台湾支援のハブ的な機能も求められると思います。  外務大臣も常々、ロシアのウクライナ侵略は対岸の火事としてはいけないと、欧州とやっぱりアジアの安全保障は不可分だというように言われています。こういうことを見ると、今日、官房副長官もおられますけれども、やっぱり政府全体として、今回、ポーランドの役割というものを教訓として、次なる備えということもやるべきだと思いますけれども、外務大臣の御所見をお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) 台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとよりですが、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来から一貫した立場でございます。  そして、あくまで一般論として申し上げますが、有事における我が国の個々の対応や計画、各国との連携の在り方について個別具体的にお答えすることは差し控えますけれども、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、外務省としていかなる事態にも対応できるように万全を期していくということは当然でございます。 ○佐藤正久君 外務大臣、今、日本国民は相当テレビ等で、情報が相当入っています。よって、台湾有事のときに、やっぱりポーランドがどういう役割を果たしているか相当な方がもう知っています。じゃ、日本は、場合、どうなんだと。  やっぱり、在日米軍司令部があるのはやっぱり日本だけですし、しかも在韓米軍には海軍や海兵隊はいません。もう本当に連絡調整機能だけで、トータルを考えた場合、やっぱり日本というのがいろんな面でハブにならざるを得ないというふうに思います。しかも、ポーランドとウクライナと違って陸続きじゃありませんので、やっぱり航空アセット、海上アセットを使ってこのいろんな人、物の移動が行えますので、よりポーランドよりも複雑なことが求められるということがありますので、今回のやっぱり教訓というのは相当我々にとっても大きなものだと思います。実際、南西諸島も離島ですから似たようなことが考えられるかもしれません。台湾と南西諸島を含めていろんなことを考えることが必要だと思っております。  そういう観点で、今回のこのウクライナに対する支援、あるいはポーランドに対する支援という部分、これは相当これからも、簡単に侵略終わらなければ長期化すると思われますので、これについてはいろんな教訓事項、これを集めるということが、実は今後の、防衛の三文書作りましたけれども、これに魂を入れる、具体化するというときには相当なこの知見が使えると、今回の教訓が生かされるというふうに思っておりますので、これは是非、官房副長官おられますけど、省庁横断的にこの教訓というものを集めて、そして安全保障の三文書に魂を入れるということが大事だと思います。  通告しておりませんのであえて答弁は求めませんけれども、しっかり対応していただきたいと思います。  次に、資料三を御覧ください。  これは、国民保護計画。これは非常に私も危惧している部分なんですけれども、今、先島にはこのように約十一万の方が、日本人がおられます。多良間諸島、多良間村、実は約千人の方がいるんですけれども、警察官一人しかいないんですよ。だから、ピストル一丁で守っているんです、実際。この多良間村も島がありますので、その多良間村の空港に集めるだけでも結構大変です。小さな村ですから。  そういうときに、国民保護計画によると、国は、要避難地域、避難先の指示をすると、費用の負担をするというふうになっていますけれども、まだ現時点において国と沖縄県と市町村の連携という部分が、先島諸島における武力侵攻事態時における国民を避難をさせるこの計画がまだできておりません。  三月十七日に初めて沖縄県主催のこういうシミュレーションをやるというふうに聞いていますけれども、例えば、先島諸島の方が、じゃ、九州本土の熊本に行くのか福岡に行くのか、これまだ決まっていないし、ましてや、この沖縄県が輸送手段の確保すると、これは到底無理です、十一万人いますから。飛行機が何機要るんだと、船が何隻要るんだと。しかも、それぞれごとに場所が、島が離れていますから、一か所で集めて運ぶというわけにもいきません。これは相当なシミュレーションをやらないといけないし、ましてや、民間機の場合、ノータムが出たらもう飛行機は飛びませんから。だから、管理職の人間たちでクルーをつくって行くということはあるかもしれませんけれども、それは到底無理です。だから早め早めに避難をしなければいけないんですけれども、まだ計画が全くないんですよ。  官房長官、やっぱり、これは本当に、自衛隊の展開というもの、今自衛隊の配備がどんどん進んでいますけれども、沖縄の方々の意見は、自衛隊の配備と同時に国民保護計画、この避難のパターンを作ってくれないと非常に不安で仕方がないという声はよく聞きます。当たり前だと思います。これは部隊配置と同時に、やっぱり国民のもう避難のパターンも国が主導でセットして説明をすると、これが一体でなければ、なかなかその配備の自衛隊の方々も非常にいろんな意見を直接聞かされてしまうと。宮古島では非常に不幸な事件があったように、そういうことが起きてしまうということもありますから。  官房長官、ここは、八月四日に与那国島の目と鼻の先で中国のミサイルが着弾したように、与那国町長もこれは現実的な脅威だと言っていますので、この計画、これは国がやっぱり前面に立ってこれやらないと、都道府県とか消防庁に任せるというのは到底無理で、やっぱり内閣官房を中心に前面に出るということが、極めてこの南西諸島防衛、台湾、この緊張感を抑えるという意味でも大事だと思いますけれども、副長官のお考えをお聞かせください。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) お答えさせていただきます。  南西地域の住民避難につきましては、先ほど委員の方からお示しされましたように、今月、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力をして武力攻撃予測事態を想定をした図上訓練、これを実施することとしております。国民保護法上は、資料にございますとおり、住民の輸送手段の確保は県が、住民の避難誘導は市町村が行う、主として担うものとされておりますが、国民保護の基本指針、これにおきましては、沖縄県の住民避難に関しましては、国が特段の配慮をするというふうにされております。  このことを踏まえまして、今回のこの訓練の実施、準備、検討に当たりましては、国としても運送事業者に対して輸送手段の確保を働きかけるなど積極的に参画をして支援を行っているところでございます。  今後とも、こうした訓練あるいはその検討等を通じまして、練度の向上あるいは課題の改善を図るなど、引き続き沖縄県及び関係市町村の取組を積極的に支援しながら住民避難の実効性向上に努めてまいりたい、そのように考えております。 ○佐藤正久君 思いは分かりました。いつまでに作るつもりですか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 今回、図上訓練を実施をしますので、恐らく訓練の中で、先ほど委員言われたように、いろんな課題が見えてくるところではないかなというふうに思っております。  そうしますと、そういった課題も踏まえて検討するということになるだろうというふうに考えております。 ○佐藤正久君 ここにおられる委員全員が恐らくこの国民保護計画は早めに作らないといけないと多分思っていると思います。今、時期の明示がないというのは、これはやっぱり責任放棄としか言わざるを得ませんし、実は石垣の方の自衛隊は今月もう編成完結しますから、さらに、これからまた新たな部隊が与那国に配備するとかいろいろあります。やっぱり時期を早めに、目標値を示さないと、これはいつまでもその課題の洗い出しで終わってしまう。副長官、できるだけ早くとか、何か一言いただけませんか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 委員の御指摘を踏まえて対応してまいりたいと思います。 ○佐藤正久君 あと、実は国だけじゃこれはかなりできなくて、県が実は極めて大きな役割を果たすんです。当然、市町村は自分のことなので必死にやると思いますが、県がいかに動いてもらうか、動かすか、これはまさに総務省がここは表に出ないといけないという部分だと思いますけれども、沖縄県との調整状況、今後の課題等について、総務省、どういうお考えか、お聞かせください。 ○政府参考人(田辺康彦君) 総務省消防庁といたしましては、研修会等を通じて避難実施要領のパターンの作成を支援しているところです。特に、先生御指摘の沖縄県につきましては、現地に赴いての研修会を今年度三回実施するほか、事務的な連絡調整を強化して、きめ細かな支援に努めているところでございます。  先ほど官房副長官もございましたけれども、今月には武力攻撃予測事態を想定した避難に関する図上訓練を実施することとしておりますので、今後とも関係省庁と連携し、こうした訓練等を通じて避難の手順を確認、具体化するということにより、南西地域における国民保護の実効性向上に努めてまいります。 ○佐藤正久君 消防庁がやっていること自体がちょっと違和感、私はあるんですけれども、最後に、防衛省、大臣に質問はしませんけれども、実は、自衛隊の展開と国民の避難という、これは国民避難をできるだけ先にやってもらわないと自衛隊の展開はなかなか難しいという側面も実はあります。  国民等保護派遣というのが自衛隊にありますけれども、ただ、実態上、南西諸島の状況を考えると、自衛隊が国民保護にアセット、船舶や輸送機を出すというのは到底多分不可能だと思います。そういうことも踏まえて、しっかり国全体としてこの国民保護計画、できるだけ早く作成することを要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○福山哲郎君 お疲れさまでございます。立憲民主の福山でございます。  今日は余り長い時間ではないので、いろんなことをお話しさせていただければと思いますが、佐藤委員の御指摘は本当にそのとおりで、ちょっと国民保護計画は、ちょっと遅いのと消防庁がやっているというのは、本当に僕はいかがなものかなと思っておりますし、先ほどの御指摘はまさにそのとおりだというふうに思います。こういった問題は与野党余り関係ありませんので、我々も強くそこは政府に求めていきたいと思います。  また、これも佐藤委員が御指摘いただいたことですが、日韓の徴用工の問題、これは日韓請求権協定の遵守を野党としても我々も常に韓国政府側には伝えてきたということでございますし、文在寅政権のときに本当になかなか前に進まない状況を懸念をしておりました。  佐藤委員の御指摘された御懸念は理解はしますが、これだけ安全保障環境が変わる中で、日米韓の協力というのは、防衛だけではなくて、経済も含めて、また在韓邦人の避難等も考えれば、やはり政府間のコミュニケーション、対話のレベルは上げておかなければいけないということだと思いますので、今回、尹政権があちらの政権なりには随分頑張っていただいたんだと私も思うので、そこは林大臣や岸田総理がすぐさま評価をしていただいたことについては私は敬意を表したいと思います。  また、加えて申し上げれば、恐らく、あの状況に至るまで、日韓両外務省の担当者がかなりそれぞれ膝を突き詰めながら議論をした経緯があるとこれは推察をいたしますので、そういったことに御尽力をいただいたそれぞれの政府の担当者の方にも敬意と感謝を申し上げたいと思います。  もし、林大臣、このことについて何かあれば一言いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この首脳会談で両政府また外交当局が緊密に連携をするようにという御指示をいただいたわけでございますが、その指示の下に緊密に連携をしてきて六日の発表に至ったということで、そこに尽きるというふうに思っております。 ○福山哲郎君 いろんなこと日韓の場合には起こり得るし、相手側の国内世論もまあ沸騰しているようですので、そこも含めて、ここまでまず至っていただいたことについて改めて敬意を表したいと思います。  続いて、これもちょっと確認なんですが、G20に林大臣が欠席をされました。これ、私も実はすごく残念に思っておりまして、なぜ行かれなかったのかなということをずっと考えておりましたら、自民党の麻生副総裁から御指摘があったり、メディアも含めて国益を侵したというお話があったりありました。  我々、政権を三年余りですが担わせていただいて、下野してからは我々の方から原則として外遊を国会日程で足止めするということはやらないようになったというふうに思っております。それは、やっぱり我々も政府・与党を経験して、海外の日程というのがいかに大事なものかということをやっぱり肌で感じているからでございます。  ところが、時間が止まっているのかもしれませんが、メディアはすぐに野党が止めたと言いたがります。今回も、読売新聞の社説は、政府は林大臣の外遊の了承を求めたが、自民党も立憲民主党も国会のルールが優先だと応じなかったと社説に書かれまして、少しこれは遺憾でございます。  与野党が止めたと言えば、メディア的にはどっちとも悪いと書くんだから全く責任持たないで済むわけで、ただ、私は、野党側が余り国会日程で足止めするようなことはしなくなったということについては、ちゃんとこれはメディアにも伝えておかなければいけないなと思いますし、今回、林大臣欠席された経緯、簡単に御説明をいただきたいのと、大臣外遊のときにはどのようなプロセスで国会に要請させるのかについても改めて確認させてください。 ○国務大臣(林芳正君) まず、欠席した経緯について私から申し上げさせていただきたいと思います。  今月一日から二日にニューデリーで開催されましたG20外相会合につきましては、外務大臣が出席する可能性、追求したわけですが、同会合や国会を含む国内での公務の日程、内容等を総合的に勘案しまして、最終的に政府、外務省として山田賢司外務副大臣が出席することが適切であると判断をいたしました。G7議長国としての立場を含め、我が国の主張は山田外務副大臣が出席してしっかりと発信をいたしました。  その上で、私も、国会のお許しをいただきまして、二日夜からニューデリーに出張しまして、三日に開催されました日米豪印外相会合、参加をさせていただきまして、アメリカ、カナダ、インド等のバイ会談を行ったところでございます。  残余は政府委員が。 ○政府参考人(志水史雄君) 福山委員からの御質問の中で、大臣外国出張に関しての国会との関係、プロセスということで御質問ございましたけれども、一般的に申し上げまして、国会開会中に外務大臣が外国出張する場合には議院運営委員会での御了承をいただくことが一般的でございます。その関係で、国会の関係者の方々と協議させていただくということが一般でございますし、今回もそのようにいたしました。 ○福山哲郎君 ということは、先ほど林大臣の御答弁からいうと、自ら出席の意思を伝えたというよりかは、もう政府の中で、今回はG20の出席は林大臣は断念をして、そして山田副大臣ということを政府として決めて、ですから逆に言うと国会には諮らなかった、それぞれの例えば国対や議運には諮らなかったということでよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  今回のG20外相会合は、三月二日にインド・ニューデリーで開催されたものでございますけれども、当初、外務大臣が出席する可能性を追求したところでございますけれども、先ほどのプロセスということで関係方面との協議を重ねたところでございます。  その中で、G20外相会合そのもの、それから国会を含む国内での公務の日程、内容などを総合的に勘案し、最終的に政府、外務省として山田賢司外務副大臣を派遣する判断をし、通常の手続にのっとり、国会関係者への説明を行ったところでございます。 ○福山哲郎君 誰の責任かということを今言いたいんじゃないんですね。今みたいな説明するから、やれ国会が止めたみたいな話になるわけですよ。だって、当初追求したんでしょう。追求して国会の事情どうのこうのがあるからやめましたと。だって、国会なんかやっているの分かっているんじゃないですか、最初から。そういう説明するから、野党が止めたんじゃないかとか、自民党が止めたんじゃないかとか、参議院の自民党が、参議院の国対がみたいな話になるわけですよ。  うちの国対委員長は、衆議院側も参議院側も一切政府から要請はなかったと言っています。ところが、今こうやって見ると、国会の状況もと言われると、国会が誰か止めたように映るじゃないですか。  当初、追求しているんでしょう。何が、追求したのに止まったんですか。予算委員会がセットをされているなんというのは事前から分かっているはずでしょう、外務省は。そういう説明の仕方をして責任を曖昧にするから、こうやって何か国会側が止めたみたいな話になるわけです。  もう一回、官房長、言ってください。 ○政府参考人(志水史雄君) 先ほども申し上げたとおりでございますけれども、関係者との協議を重ねたところでございますが、最終的に政府、外務省として山田賢司外務副大臣を派遣する判断をしたということでございます。 ○福山哲郎君 そうすると、林大臣は最初は行かれる意思があったわけですね。 ○政府参考人(志水史雄君) これも先ほど申し上げたとおりでございますけれども、外務大臣が出席する可能性を当初追求していたところでございます。 ○福山哲郎君 本当に分からないんですよ。追求する意思があった、追求した。ということは、外務大臣は行かれる意思があった。それは行ったらよかったじゃないですか、行かれりゃよかったじゃないですか。  もう一個一個、どこに追求したんだ、誰に言ったんだということは僕ここでは言いませんが、本当に今回のG20の欠席については、ちょっとやっぱり外務省は反省しなきゃいけないんじゃないですか。だって、それで国対に頭下げて、予算の総括的質疑の三日目は一日ずらすとか二日ずらすとかだってあり得るわけじゃないですか。  これ、どうですか、官房長。大臣、どうですか。行かれる意思はあったんでしょう。 ○国務大臣(林芳正君) ちょっと言葉足らずのところがあったかもしれませんが、私も参議院の予算委員会の理事は三度ほどやっております。基本的質疑、大変大事だということも自分の経験からよく分かっているつもりでございます。  今回は、そもそも衆議院から参議院にいつ予算が送ってくるのかということが、これぐらいの範囲では分からないわけではなかったんでございましょうけれども、先ほど官房長から答弁したように、G20、一日、前の日の夜も含めて、そういう日程でございますので、ぎりぎりまでそこがどれぐらいバッティングをするのかということもなかなか難しい中で、先ほどちょっと言葉足らずだったかもしれませんが、協議、どうなりましょうかねということも含めてずっとやってきたところではあったわけでございますが、最終的に衆議院から参議院に予算が送付されて日程が固まったということをもって、これはなかなか容易ならざるものであるということも含めて、先ほど申し上げましたように、この外相会合、これ当然重要なものでございますから、そういう国会のお許しがあれば当然行くべきものだという認識は持っておりますけれども、それと両方のもう一つの話として、国会を含む国内での公務の日程、内容等を総合的に判断をしたと、それが我々として、政府、外務省として判断をしたと、こういうことでございます。 ○福山哲郎君 私も官房副長官のときに外遊日程で頭を、議運も行き、国対も行き、頭を下げました。だけど、今の林大臣の御説明、僕、理解はしますが、じゃ、参議院の日程がこう固まった場合には予算の総括が一日入ってしまいますと、それを先回りして、じゃ、どうしたらいいでしょうかと、それでも行きたいんだというのが僕は政府の意思だと思いますよ、林大臣の御意思だと思いますよ。  私はG20行っていただきたかったと本当に思っているので非常に残念だということと、国会の日程がタイトだったということも理解をしますが、そこは外務省なり自民党なり国対なりがしっかりコミュニケーションしていただいてですね、しようがないじゃないですか、そのときに野党に頭を下げるのは。それがある意味国対の仕事でしょう。そういうふうに我々は教えてもらってきましたので、そこは是非よろしくお願いしたいと思います。  次、行きます。  もうすぐ広島サミット、G7がございます。昨年のドイツのサミットのコミュニケ、首脳のコミュニケは非常に大部にわたっていまして、あらゆるテーマについてかなりいろんな議論がなされています。G7の首脳のコミュニケの策定プロセスは、どのようなものになっていますでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) お答え申し上げます。  G7サミットで発出される首脳コミュニケは、例年、G7の議長国が中心となりまして、G7メンバーの間で交渉を経て作成されております。具体的には、サミットの開催に先立ちまして首脳の個人代表であるシェルパの間で交渉を行った上で、首脳の了解を得て発出してきております。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。  シェルパが事前からもうかなり調整をして、お互いが各国案文を、恐らくもう議長国の日本は出されているのかこれから出すのかよく分かりませんが、後で教えていただければと思いますが、シェルパがそれぞれ担当でやるというのも僕もよく理解をしています。  もう実際にはコミュニケの内容については議論がシェルパ同士始まっているのかどうか、それから、今回シェルパとして首脳の横で交渉入られるのは、外務省はどなたがやられるのか、名前じゃなくても結構です、要は役職でも結構ですので、教えていただければと思います。 ○政府参考人(鯰博行君) G7のシェルパの間のやり取りは事務的なやり取りですので、いつ誰がということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、外務省、日本の場合には外務審議官、経済担当の外務審議官がシェルパとしてこれに当たっております。 ○福山哲郎君 経済の担当の外務審議官がシェルパとして担当するということで、そうだというふうに思います。  もう始まっているんでしょうか。それは言えないんだったら言えないで結構ですが、あれだけ、まあドイツもそうでしたけど、その前もすごく非常に長い文章だったものですから、もう始まっていると考えた方がいいのかまだなのか、そこを教えていただけるんだったらお願いします。 ○政府参考人(鯰博行君) シェルパ同士のやり取りはもうすぐ昨年のサミットが終わった後からずっとやっておりますけれども、コミュニケそのものについては、大変恐縮でございますけれども差し控えさせていただきたいと思います。 ○福山哲郎君 当然これは、決めるときは外務大臣、さらには総理に上がって決裁は取るということでいいですね、先ほども言われましたけど。 ○政府参考人(鯰博行君) 先ほど答弁しましたときには首脳のと、総理のと申し上げましたけれども、当然その前に外務大臣の決裁をいただくということになろうかと思います。 ○福山哲郎君 ということは、前回のあのドイツの首脳のコミュニケも、当然外務大臣、総理は決裁をしているというふうに思っていいわけですね。 ○政府参考人(鯰博行君) そのようにお考えいただいて結構でございます。 ○福山哲郎君 ちょっと変わりますけれども、サミットに並行してエンゲージメントグループがいろんなテーマで議題を持ってやられますが、広島サミットにおいてエンゲージメントグループに政府はどのように関わっているのか、それからエンゲージメントグループのそれぞれの開催日程や進捗状況はどのようになっているのか、概略で結構ですので教えていただけますか。 ○政府参考人(鯰博行君) いわゆるG7のエンゲージメントグループでございますけれども、これは経済団体であるとか市民社会あるいは労働団体、その他もろもろ、G7の各国の団体等の代表から構成されまして、関連の行事をされておられるほか、G7で議論される各関心、御関心の分野につきまして政府から独立した立場から政策提言を行うといった民間の団体であるというふうに承知しております。  本年、日本はG7の議長国でありますので、政府としてエンゲージメントグループとも非公式な意見交換等を行ってきております。各グループからの政策提言等を政府として参考にしつつ、首脳コミュニケその他の準備含めましてG7サミットへの準備を進めているところでございます。  なお、各エンゲージメントグループの関連の会合の開催の日程でございますとか、その準備の状況であるとか、そういったことにつきましてはそれぞれのグループが決定するものでございまして、政府から独立した団体の活動でございますので政府としてはお答えをする立場にはないということでございます。 ○福山哲郎君 今回、かなりいろんなテーマを持って各団体が、エンゲージメントグループが動くというふうに聞いておりますが、先ほどちらっと言われましたけど、この各エンゲージメントグループでの議論や提言等が政府に提出をされたり要請をされたりすることが出てくるというふうに思いますが、それを最大限に尊重しながらコミュニケにも反映させるという位置付けでよろしいですか。 ○政府参考人(鯰博行君) 様々なグループの方がいらっしゃいますのですけれども、政府といたしましては、それぞれの団体、グループの御提言をお聞きして、それを参考にしながらサミットの準備、これはコミュニケも含めてでございますけれども、サミットの準備をしていくということになります。 ○福山哲郎君 そうすると、このエンゲージメントグループの議論はもう既にそれぞれのグループで始まって、政府なりへの提言、要請なりの準備に入っているというふうな時期合いが今頃から始まるというふうに位置付けでよろしいでしょうか。 ○政府参考人(鯰博行君) 幾つかのエンゲージメントグループは活動を既に始めておられます。政府への提言という形で発表していただいているものもございます。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。  いや、何でこんなことを言うかというと、やっぱりヨーロッパの国々はエンゲージメントグループとの対話がそれなりにやっぱり厚くて、それでやっぱり市民がこのG7を盛り上げている、周辺で盛り上げているということが幾つも見られます。  ですから、日本の場合にはそこが余り、従前もそうなんですけど、G7というともう首脳のサミットというイメージが非常に強いんですけれども、実は、自分たちの提言等がやっぱりその首脳のコミュニケにどう反映されるかみたいなことも含めて、市民の大きな活動の一つの、何というかな、うねりみたいなものがEUの諸国等ではあるので、日本も今エンゲージメントグループの方々が本当に頑張って要請等を作られていますので、実は、日本はどちらかというと政府とその関係が余り厚くないのではないかとか、そこは政府は意外と冷たいのではないかという声もなくはないので、是非、今回のG7に関して言えば、特に広島、まあ総理のお膝元でもありますし、加えて日本が原爆の被災地でもあるわけですから、各それぞれの分野のエンゲージメントグループの問題提起、要請等については是非外務省も真摯に受け止めて対話を厚くお願いしたいというふうに思っていますので、これは私からの要請ですので、大臣、もし一言いただければ有り難いと思いますし、防衛大臣、済みません、時間がなくなりましたので難しい話は今日はしませんので。防衛大臣、お許しください、お時間いただいたのに。ごめんなさい。  じゃ、林大臣、よろしくお願いします。 ○国務大臣(林芳正君) エンゲージメントグループ、先ほど説明があったように、いろんな団体の代表から構成をされておるわけでございます。政府から独立した立場でいろんな政策提言を行っていただくわけですから、我々もしっかりとそれに耳を傾けて、積極的にこの意見交換等を行って参考にしていきたいと考えております。 ○福山哲郎君 終わります。ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西でございます。  まず、政府参考人にお尋ねします。  敵基地攻撃能力、いわゆる反撃能力の導入に当たって、岸田総理は、極めて現実的なシミュレーションを行ったと言っていますが、この現実的なシミュレーション、この対象には当然中国も入っているということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 我が国の防衛力整備は、特定の国・地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立ってございません。  その上で、防衛省は、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証してございます。  今般の国家安全保障戦略等の策定に際しても、想定される各種事態への対応について能力評価等を通じた分析を行ったところであり、その際、日米……(発言する者あり) ○委員長(阿達雅志君) 発言は委員長の指名を受けてからお願いいたします。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 日米安全保障条約第五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻には我が国が主たる責任を持って対処し、米軍はこれを支援するとの日米の基本的役割分担を踏まえて検討を行いました。  以上でございます。 ○小西洋之君 シミュレーションなんだから特定の国対象にしているに決まっているじゃないですか。立憲の部会で、中国対象にしているって、もう答弁してもらっていますよ。  だから、国会で答弁してください。当然、中国対象にして入っているんですね。聞いたことだけ答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  私たちは今の立憲民主党の部会に出た課長の発言をちょっと承知しておりませんので、確認させていただきたいと思います。 ○小西洋之君 じゃ、現実的なシミュレーションしながら特定の国を対象しないことの合理的な整合性というものを説明して。まあ、でも、説明もばかばかしいから。  じゃ、この委員会に資料提供をお願いしたいんですけれども、極めて現実的なシミュレーション、これは中国あるいは北朝鮮、そうしたものが入っているのかどうか、それについて資料の提出を要求をいたします。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○小西洋之君 今からの問いは防衛省の計画課長から明示に説明を受けております。よろしいですか。  この極めて現実的なシミュレーション、この状況というのは、アメリカが安保条約に基づいて、日米安保条約に基づいて日本防衛の集団的自衛権を発動している、アメリカが戦闘行動を行って戦っている、そういう事態であるということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  日米安全保障条約第五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻には我が国が主たる責任を持って対処し、米軍はこれを支援すると、こういう日米の基本的役割分担を踏まえてシミュレーション、検討を行ってございます。 ○小西洋之君 いや、だから、その基本的な役割分担で、これは昨年もやっていますけれども、防衛大臣からも、外務大臣からも答弁いただいていますけれども、当然アメリカは、日本に対して武力攻撃が発生したときは、当然にアメリカは集団的自衛権を発動する、なので日本を攻撃する国は世界最強の戦力を有するアメリカ軍と戦うとした決意や覚悟を当然持っている国になるということを言っているわけですから。  もう一回だけ聞きます、簡潔に答えてください。政府が行った極めて現実的なシミュレーションは、アメリカが日本防衛のための集団的自衛権を発動している、そういう状況を想定したシミュレーションということでよろしいですね。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) さようでございます。 ○小西洋之君 大事なので、今、川嶋局長、今のことを日本語で語ってください。 ○委員長(阿達雅志君) 小西洋之君。 ○小西洋之君 そうでございますと言って答弁していただいているんですが、政府参考人の言葉で、アメリカが日本防衛の集団的自衛権を発動しているそういう状況を現実的なシミュレーションとして、シミュレーションしたと、検討したということを語ってください、簡潔に。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 日米安全保障条約第五条を前提とした上で、アメリカ側がまさにアメリカの責任を果たしているという状況の下で、我が国が主たる責任を持って我が国に対する侵攻に対処し、米軍がこれを支援するという状況の下での日米の基本的役割分担を前提としてシミュレーションを行ってございます。 ○小西洋之君 だったら集団的自衛権という言葉使うべきなんです。まあ、もういいです。先ほど答弁していただいておるんですが。  じゃ、ここから、ちょっと先に大臣に、防衛大臣に、二番ですけれども、通告させていただいていますが、ちょっと政府参考人ですね、政府参考人に先に聞きます。なので簡潔に、もう私が聞いていることだけに簡潔に答えてください。その確認の答弁を後で防衛大臣にいただきますので。  先ほど申し上げましたけれども、日本に武力攻撃を行う国が現れたときに、それは日米同盟に基づいて、アメリカにとっても世界最重要の同盟関係ですから、アメリカは当然日本を守る、集団的自衛権の発動、武力行使をすると。で、アメリカは世界最強の戦力を持っているわけです。これほどの抑止力は地上にないはずです。にもかかわらず、そのアメリカが持っている抑止力ですね、当然アメリカはミサイル戦力も持っています、そういうアメリカが持っているミサイル戦力も含む抑止力があるにもかかわらず、なぜ日本が反撃能力を保有する必要があるのか。アメリカのミサイル戦力も含む世界最強の抑止力があるにもかかわらず、なぜ反撃能力を持つことが、敵基地攻撃能力を今般持つことが他に手段のない万やむを得ないことになるのか、政府参考人、具体的に説明してください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、アメリカは世界で一番強い軍事力を持っていると。しかしながら、委員も御案内のとおり、ミサイル技術の進歩、それからその運用能力の向上というのは、この過去十年、二十年見ましても、この五年見ましても格段の進歩を遂げてきていると。現に日本周辺で多数のミサイルが運用等をされていると。我々はそういうミサイルの脅威にさらされているということだと思います。そうしたときに、我が国は我が国自身を守る、その力を日本自身としても持つ、そのことが必要になってきたんだと。  日本が持つことによりまして、日米同盟の、先生おっしゃるその抑止力、対処力を更に増すということで、武力紛争を起こさせないということが我々の目的でございます。 ○小西洋之君 だから、私も、日本が主体的に我が国防衛のための力を整備することは私も基本的にはそれは必要だと思っています。ただ、だったら日米同盟要らないんですよね。日本だけでやるんだったら。どこの国も、今の世の中、自国は自国で守らなきゃいけないとかいうことをおっしゃる与党の先生がたまにはいるんです。私の理解は、アメリカですら自分で自分のことを守れなくて、アメリカほど軍事同盟を結んでいる国は世界にもないと思いますけれども、日本は在日米軍基地という多大な負担を課して、また後でやりますけれども、在日米軍基地を持っている以上は、いざアメリカが戦争をすると日本は巻き込まれるリスクがあるんですが、それを背負った上でアメリカの防衛力を持っているわけです。  そうしたアメリカの世界最強の戦力、ミサイル戦力も含む戦力があるのに、なぜ日本が反撃能力、ミサイル攻撃力を持つ必要があるのか、もう一度きちんと答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、ミサイルの脅威というのが現実のものとなりまして、日本が日本の国を守るために必要な能力は何なのかということをあらゆる選択肢を排除せずに検討してまいりました。その際、やはり日本は日本の防衛を主体的に実施すると、そしてアメリカはその自衛隊を支援し補完すると、こういう大きな考え方の下に日米同盟は成り立っております。その中で、このミサイル攻撃を防ぐ能力というものをどうするのかというふうに考えたときに、日本は自らその能力を持ち、そしてアメリカとの同盟関係によって紛争を起こさないということが必要なんだと思います。  そして、またアメリカは、安保条約五条に書かれておりますように、日本の施政下にある領域における武力攻撃、これについて共通の危険に対処するんだと、そして行動するんだという決意があるとともに、この地域の平和と安定についても責任があるということでございまして、アメリカの軍事力は世界最強ではございますけれども、日本自身の能力を増すことによりまして、日米同盟の抑止力、対処力、これを一層強くし、この地域の平和と安定、そして日本の防衛に万全を期すということでございます。 ○小西洋之君 防衛政策局長にお聞きしたいんですが、戦後、第二次世界大戦後、アメリカに対して、アメリカ軍に対して、正面戦争ですね、テロなどではなくて、アメリカに対して正面戦争を仕掛けた国、あるんであれば局長なりの見解をいただけますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  その正面からということの意味合いがちょっときちんと定義しなければいけないと思いますので、そこの点を含めてちょっと考えさせていただきたいと思います。 ○小西洋之君 防衛政策局長なんで、そういうことは、防衛省の予算、ちゃんと考えた上で政策をやっていただきたいんですが。  そこなんですね。だから、結局その矛の役割として敵基地攻撃能力をアメリカに委ねるというふうにしていたわけです。にもかかわらず、アメリカは依然として世界最強の戦力を持っているわけですが、その矛の力で、私はそれは否定していないんですね。日米同盟でミサイル攻撃力、アメリカの矛の力でやっていくというのは、私はそこは否定しないですが、なぜ日本が他国領域への打撃力、すなわち矛を持つ必要があるのか、そこの具体的な説明はこの政府にはない。すなわち、他に手段のない万やむを得ない、なぜそういう判断ができるのかはないわけです、すなわち憲法問題が生じているわけですけれども。  ちょっと次の問いも、先に政府参考人に伺わせていただきます。三番ですけれども、昨年のこの外交防衛委員会で、日中は言わば最大の貿易関係国であるわけですけれども、よって、そこを合理的に見れば、これは林大臣にいただいた答弁ですが、これだけの経済関係を有しているわけですから、そこを合理的に見れば、今日現在何かが起こる、これは武力紛争です、日中間の戦争です、今日現在、日中間の戦争、何かが起こるということはないんであろうということは多くの方がそういうふうに思われるというふうに思いますというふうにされております。  外務省政府参考人に聞きますけれども、外務省は、日中関係ですね、将来、今言った関係、まあ新しい国家安保戦略は十年間ですけれども、今後十年ですけれども、日中間で武力紛争が起きるということは、ここで林外務大臣が言っていただいたように、合理的に見れば多くの方がそういうふうに思われるものではないと、そういうふうに外務省、政府としても考えているでしょうか。これはこの当時の見解ですけれども、この安保戦略の十年です。はい、どうぞ。 ○政府参考人(片平聡君) お答え申し上げます。  まず、反撃能力を含め、我が国の防衛政策は特定の国や地域を念頭に置いたものではなく、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、国民の命や暮らしを守り抜くため、反撃能力の保有を決定したと承知しております。  その上で申し上げれば、日中両国間には数多くの課題や懸案が存在していると同時に、両国は地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しておると考えております。  中国とは、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係を日中双方の努力で構築していくことが重要であると考えております。 ○小西洋之君 ちょっと何も。林外務大臣に伺いますが、昨年非常に価値のあるすばらしい答弁をいただいたわけでございますけれども、私も、中国、今政府参考人が言ったように、難しい国で、日中間でお互い建設的な議論して解決していかなきゃいけない課題はあるんですが、ただ一方で、大臣も答弁いただいたように、コロナ禍にあっても日本の中国の投資は増えていって、今後、より両国間で経済関係を始めとして深めていくこの相互の関係というのが、まあ依存という言い方もしてもいい、大丈夫だと思いますが、関係があるわけですけれども、日本と中国が、これだけの圧倒的な経済関係にある日本と中国が、武力紛争を将来、具体的にはこの新しい国家安保戦略の十年間を念頭に置いていただいて結構なんですが、日中が武力紛争が生じるというのは、昨年大臣が答弁いただいたように、多くの方がそういうふうに思われるということ、合理的に見れば何かが、そうしたことが、将来何かが起こるということはないんであろうということは多くの方がそういうふうに思われるであろうと、それと同じ見解ということで、大臣、よろしいでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) ちょっと最後のところを聞き漏らしたかもしれませんが、ここで申し上げております前後のコンテキストを余り正確に記憶しておりませんが、今日現在ですね、何かが起こるということはないんであろうということを多くの方がそういうふうに思われると、こういうふうに申し上げております。  これはその前後の関係がいろいろあったと思いますが、したがって、何といいますか、この反撃能力を含め、今の御議論でいけば、まずは、政府委員から答弁したように、特定の国や地域を念頭に置いたものではないということが一つございますし、それから、今委員がこの期間というふうにおっしゃいまして、この今日現在ということでですね、じゃ、今日現在そうだからずうっとそうかということはやはり別の問題であると考えていかなければなりませんので、まさに特定の国や地域を念頭に置いたものでない。  しかし、我々は、最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると書いてございますが、この中国についても、この戦略的な、最大の戦略的な挑戦という位置付けをこの安全保障戦略ではしておるわけでございますので、そういうことの認識を全て総合して、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している、こういうふうになっておるわけでございます。 ○小西洋之君 恐らく、大臣のお手元の答弁に昨年の私の会議録が添付されていると思うんですが、大臣、こういうふうにお答えいただいているんですね。これだけの経済関係を有しているわけですから、日中間がですね、これだけの経済関係を有しているわけですから、日中間が、そこを合理的に考えれば、今日現在何かが起こるということはないんだろう、この何かというのは武力紛争ですけれども。もう一度いきますね。これだけの経済関係を有しているわけですから、そこを合理的に考えれば、今日現在何かが起こるということはないんであろう、日中関係、この何かは武力紛争です。  このお考えは、国家安保戦略で作った少なくとも近い将来、見通しが利く限り、そこは見方としては変わらないということでよろしいですね。 ○国務大臣(林芳正君) 繰り返しになりますが、小西委員からそういうお尋ねがあったので、今日現在というふうに申し上げ、しかも、その私の認識というよりかは、多くの方がそういうふうに思われるだろうと、こういうふうに申し上げております。  その後、せっかく御紹介いただいたので、その後に、一方で、先ほど申し上げたように、いろんな懸案、課題、そして我が国としては抗議を申し上げざるを得ないと、こういうことも一方であるわけでございますと、こういうふうに言っておりまして、これが我々よく言っております、建設的で安定的な関係を双方の努力で維持していくと、こうなっていくわけでございますので、もちろん外交の努力をするということは大事であることは論をまたないわけでございますが、一方で、先ほど申し上げたような厳しい安保環境にあるということもこれまた事実であろうと思っております。 ○小西洋之君 ちょっと時間がないので、またその今の質問深めさせていただきますが、結局、合理的に考えて、日中、これは中国にとっても、日本と中国って戦争する関係ではないわけですね。これは、もちろん日中平和友好条約結んでいるので戦争はしてはいけない関係なんですが、お互いの、何というか、必要性ということに照らしても、戦争するというのはお互いばかな自滅行為をやるだけになるわけですよね。  にもかかわらず、強大なあの戦力を持つ中国を対象としたミサイルの力を、打撃力を今回日本が持とうとしているのは、合理的に考えると、政府がやろうとしているのは、台湾海峡有事、すなわち中国とアメリカが軍事衝突に陥ったときに、日本もそれに、一緒に中国と戦う、あるいは何をしようとしているのか、そこはまだ明らかにされていないんですけれども、そういうことを想定していることになるんじゃないかなと思うわけでございます。また、この委員会、予算委員会で追及していきますが。  ちょっとその関連で、四番ですけれども、非常にこれ重要な問題。これ、過去、伊波先生が質問されて、答弁拒否を外務省がして、理事会協議事項で、私が、もうこれ本会議でも質問していますから言いますが、北米局長とさしでやって、この委員会への理事会協議事項の文書をまとめたんですが、残念ながらそこでは結論は答えていないんですね。  林外務大臣、通告しているのではっきり答えていただきたいんですけれども、アメリカ軍が在日米軍基地にミサイル兵器を持ち込んで他国領域に向かってそれを撃つ場合は、当然、この岸・ハーター交換公文における、日米安保条約五条ですね、それの戦闘作戦行動に該当し、当然、日米政府間の事前協議の対象になる、アメリカ軍が在日米軍基地にミサイル兵器を持ち込み他国領域に撃つ場合は、当然、日本はアメリカと事前協議を行う、そういうちゃんと権限を持っていると、そういうことでよろしいですね。 ○国務大臣(林芳正君) 今お尋ねのありましたこの岸・ハーター交換公文によりまして、日米安全保障条約第五条の規定に基づいて行われるものを除き、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は事前協議の対象であるとされております。  ここで言う戦闘作戦行動につきましてですが、昭和四十七年の政府統一見解がありまして、その典型的なものに言及した上で、その典型的なもの以外の行動については個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断するよりほかないとされております。  今お話のありましたような米軍の行動、これが戦闘作戦行動に該当するか否か、これはこの政府統一見解の基本的な考え方に基づいて、実際の個々の行動の任務、態様の具体的な内容を考慮して判断することとなるわけでございます。 ○小西洋之君 済みません、ちょっと今、私のあれを委員部がちょっと混乱していたんで聞き取れなかったんですが。大臣、ちょっと済みません、本当に申し訳ありません。これは、申し訳ありません、これは質疑時間の指示を間違ったんですね、委員部が。  なので、事前協議の対象となるというふうに明確におっしゃっていただいたのか、それだけ答えてください。 ○国務大臣(林芳正君) 最後の部分をもう一度、じゃ、繰り返しますけれども、今御指摘のあったような米軍の行動が戦闘作戦行動に該当するか否かは、この政府統一見解の基本的な考え方に基づき、実際の個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断することとなると、こういうふうに御答弁いたしました。 ○小西洋之君 それは本会議答弁と同じで、私が申し上げた見解なんですけれども。  最後、防衛省の政府参考人、よろしいですか。防衛省政府参考人、増田さん。  政府が行った現実的なシミュレーションというのは、先ほどの質問ですけれども、日中間が、お互いのこの最大貿易国などのこの経済関係、戦争することは不合理の極みだと、そういうようなことも前提に入れて、つまり日中間が戦争すればお互いの経済が破綻していくんですけれども、そうすると戦争する国力というのは多大なる影響を受けるんですけれども、そういうことを考慮してシミュレーションをやっているんですか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 防衛省におきますシミュレーションは、いわゆる防衛上の能力を防衛省がきちんと保有しているのかどうか、不足があるかどうか、不足があるならどれぐらい不足しているのかと、そういうものを導き出すためにやってございまして、そのような経済的な内容はシミュレーションをしてございません。 ○小西洋之君 今、じゃ、政府が行ったシミュレーションは、かつて日本が太平洋戦争に踏み切るときに、海上輸送力ですね、日本がその南方の地域に対して石油資源などを求めて戦争をやったわけですけれども、じゃ、そうした資源を日本に運べるのか、そういう、海上輸送力だとかそういうことを合理的な計算もしなかった、よって、国民を破滅に、もちろんやってはいけない戦争だったわけですけれども、そういういわゆる軍事的なシミュレーションしかしていないということが確認できましたので、また厳しく今後も追及をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  二月六日にトルコ南東部で発生した大規模地震から一か月がたちました。まず、トルコ、シリアで確認されたおおよそ五万二千人の犠牲者に対して哀悼の意を表します。  トルコの被災状況についてはかなり詳しく報道もされ、国際社会からの支援が続いています。日本政府は、発災当日に国際緊急援助隊の救助チームをトルコに派遣し、既に数次にわたり医療チームも派遣しています。先日も、建築・免震・耐震技術等専門家チームが派遣されました。親日国トルコに対し、命懸けで迅速に対応に当たってくださった派遣員の皆様にも心からの敬意を表します。  トルコの大規模地震に対する技術的な支援は、外務省のウェブサイトで確認できるだけでも一九九九年にトルコ北西部で発生した地震でも行われており、その後も繰り返し実施されています。そのかいあってか、トルコでは耐震基準が強化されています。  しかし、今回の地震で新しい建物が倒壊した例も多く、基準が徹底していなかった疑いが持たれており、これまでに二百名を超える建築業者や自治体当局者が逮捕されたと報道されております。技術支援を行っても、不正が横行することで救える命が救えなくなってしまうということは言うまでもありません。支援をする上でこうした不正に対する対策を講じているのか、外務省に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) トルコは一九九九年にも北西部を震源とする地震で大きな被害を受けておりまして、その際にも日本は、国際緊急援助隊を派遣する中で、人命救助に加えて耐震調査また建築物危険度の調査を行うとともに、緊急物資、無償援助等を実施しました。  今次のトルコの南東部を震源とする地震において再度大きな被害が出たことは残念であり、亡くなられた多くの震災被害者に哀悼の意を表したいと思います。  現在、この建築・免震・耐震技術等の専門家チームを派遣いたしまして、被災地の現場調査とともにトルコ政府の復旧復興に向けた技術的な助言等を行っているところでございまして、この度の震災の評価については、今後、同チームの調査結果の精査が必要だと考えております。  もとより、東日本大震災を含め大きな自然災害を経験してきた日本といたしまして、今次震災で被害に遭われた方々に対して最大限の支援を行うべく、発生直後から、国際緊急援助隊の派遣、緊急援助物資の供与、そして国際緊急援助隊の医療チームに必要な資機材を迅速かつ確実に届けるための自衛隊機での輸送など、政府として全力で取り組んできております。  これまでの日本の災害対応、そして耐震等の分野での経験を生かしながら、そして今申し上げました今回の専門家チームの調査結果を踏まえながら、引き続き必要な支援を進めていく考えでございます。 ○羽田次郎君 先ほど、質問の内容としては、やはり、復旧復興の技術支援等も過去に行っていたにもかかわらず、それが生かされてない部分も多々あったのではないかと思いますので、今後、その復旧復興の支援をしていく上でも、そうした不正が起こらないようなその対策ですとか、そうしたことが講じられたのかどうか、若しくは講じることができるのかどうかということをお伺いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほどちょっとさらっと申し上げましたけれども、まさにこの震災の評価ですね、これについては、今同チーム、建築・免震・耐震技術等の専門家チームを派遣して現場調査しておりますので、このチームの調査結果の精査が必要だと考えております。 ○羽田次郎君 いずれにしましても、復旧復興支援の後のフォローというのも大変重要だと思いますので、そちらもよろしくお願い申し上げます。  一方で、内戦に苦しむシリアの被災状況に関しては情報が限られています。首都ダマスカスに送られた各国からの支援物資が、被害が甚大な北西部には反政府勢力の支配下にあるという事情で十分届いていないとの指摘もあります。EUは、北西部への物資の輸送を加速させるためにシリアへの制裁を一時的に緩和すると表明されました。  シリア被災地域への我が国からの支援状況についてまず御説明をお願いします。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答え申し上げます。  シリアにおきましては、正確な数字の把握は困難でございますけれども、報道等によりますと五千九百名以上の方が亡くなられるなど、今般の地震により非常に大きな被害が出ていると承知をしております。日本政府としては、被災地の方々に最大限の支援を行っていくという考えから、シリアに対して緊急援助物資の供与、それから国際機関、日本のNGOを通じました約一千八百五十万ドルの緊急人道支援を実施してきているところでございます。  今、先生から御指摘ございました甚大な被害を受けたシリア北西部への支援につきましては、トルコからの国境を越えたクロスボーダー支援を含むあらゆる支援が重要と考えておりまして、日本政府としてもシリア政府に対して、地域のいかんを問わず必要とする人々に支援が行き届くよう、繰り返し要請をしているところでございます。  また、このような立場は、安保理の非常任理事国としてロシアを含むほかの安保理理事国にも働きかけをしてきておりまして、今後とも状況を注視しながら適切に働きかけを行っていく考えでございます。 ○羽田次郎君 先ほどEUの制裁措置緩和についてもお話をしましたが、日本として、そういう意味では、シリアに対する制裁措置の状況というのはどうなっているのか教えてください。 ○政府参考人(長岡寛介君) お答えいたします。  我が国としましては、シリアをめぐる国際情勢に鑑みまして、問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に寄与するという観点から、二〇一一年以降、シリア政府関係者等、これまで合計で五十九の個人、それから三十五の団体に対しまして資産凍結や査証審査の厳格化等の制裁措置を講じてきているところでございます。 ○羽田次郎君 そうした制裁措置が果たして北西部に対する輸送への足掛かり、何ですか、バリアになっているということはないのかもしれませんが、もしEUのように制裁措置を緩和することで多少でも被災地に物資が送られるようになるのであれば、緩和ということも、一時的なその制裁の緩和ということも考えてもいいのじゃないかとも思うんですが、その辺は、外務大臣、いかがでしょう。 ○国務大臣(林芳正君) この危機の発生から十二年目を迎えてなおシリアをめぐる国際情勢に変化がない中で、制裁措置を緩和するということは考えておらないところでございます。  その上で、我が国として、今般のトルコ南東部を震源とする地震を受けて、被災者が必要とする人道支援、また被災地域の一日も早い復旧に向けた支援を実施していく考えでございます。  我が国が講じている制裁措置ですが、シリア政府関係者等の資産凍結等でございますので、これらの措置が今般の地震被害を受けた我が国の支援の妨げになっている、こういう認識はしていないところでございます。 ○羽田次郎君 先ほど参考人からもお話ありましたが、そういう意味では安保理非常任理事国として人道的支援をしっかりと続けていただきたいと思います。  昨年十二月に策定をされた国家安全保障戦略等三文書について、今国会において反撃能力や継戦能力に関する議論が盛んに行われている一方で、国家安全保障戦略には、我が国周辺の厳しい安全保障環境の下で、防衛力を行使することなく国際社会が共存共栄するための外交力の重要性が書かれており、林大臣も先日所信で表明されたとおりです。  同戦略では、ロシアによるウクライナ侵略について、国際社会の大原則が、国際社会の平和及び安全の維持に関する主要な責任を有する国際連合安全保障理事会の常任理事国により、あからさまな形で破られたとの記載があります。  日本は、今年から二年間、非常任理事国の任期中、どのような考えの下で安保理に参画し、どう国連改革に取り組むのか、林大臣の御見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、安保理がこのロシアのウクライナ侵略、さらには北朝鮮の核・ミサイル活動に対して有効に対応できていないという現状にあり、試練のときにあると言っていいんだと思います。  他方、安保理が各地の紛争の解決などに一定の役割を果たしている、こうした面もありまして、多くの国が安保理になお期待を寄せているということもこれまた事実でございます。  我が国は、安保理非常任理事国として、各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じまして、安保理が本来の役割を果たすように協力をしてまいります。その中で、多国間主義と法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これを目指してまいります。  安保理改革についてですが、先般、私が主催をいたしました法の支配に関する安保理閣僚級公開討論におきましても、複数の国からも改革が必要であるとの声が上がったところであります。改革実現のためには、議論のための議論ではなくて、具体的行動としまして文言ベースの交渉、これを開始すべきであるというのが我々の考えでございまして、私も、昨年の国連総会の際のG4、日独印、ブラジルの外相会合において、そのための連携を再確認をしたところでございます。  引き続き、このG4や米英仏、そしてアフリカを含む多くの国々と連携しながら、安保理改革に粘り強く取り組んでまいります。  そして、この安保理改革のみならず、国連の総会ですとか事務総長の役割の強化も含めて、国連全体の機能強化、これにも取り組んでまいります。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  今のお話にもちらっと上がったアフリカに関しても、二月の中旬にロシアの兵器を積んだフリゲート艦が南アフリカ東海岸の港に入港したと報じられております。  ロシア艦はインド洋で南ア及び中国の軍艦と合同海上演習を行ったとされますが、民主主義国家として南部アフリカを主導する南アが専制主義的な国々と軍事的関係を密にしていることについて、政府はどのように分析しているでしょうか。 ○政府参考人(齋田伸一君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のとおり、南アフリカとロシアとの間には軍事的な関係がございまして、昨年八月にも南アフリカの国防大臣がロシアを訪問しております。また、今おっしゃられたとおり、二月十七日から二十七日にかけまして、南アフリカ、ロシア及び中国のそれぞれの軍が合同海上軍事演習を実施したというふうに承知をしております。  我が国といたしましては、両国の軍事的関係、それから当該演習の目的や性質、国際情勢に与える影響等につきまして、情報収集にしっかり努めるとともに、注意深く影響を見極めているというところでございます。 ○羽田次郎君 注意深く見極めているということでしたが、他のアフリカの国々でも民主主義対専制主義の争いに同調しない国も多く見られます。今後、G7議長国として普遍的価値や法に基づく国際秩序を維持、擁護するため、グローバルサウスと呼ばれる第三勢力に対してどのような姿勢で挑もうとしておられるのか、林外務大臣のお考えをお示しください。 ○国務大臣(林芳正君) この国際秩序の根幹を揺るがすロシアの暴挙に対処する上で、国際社会の幅広い支持と関与が不可欠でございます。そうした観点から、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる、経済的発展を遂げて国際社会における影響力が増している途上国、新興国との関係を強化するということが重要であります。  こうした考えから、二〇二一年の十一月の外務大臣就任以来、個別の会談、また訪問に加えて、昨年八月のTICAD8、そして九月の国連総会、十一月のAPECやG20といった多国間会合の機会も捉えまして、グローバルサウスへの関与に取り組んでまいりました。  こうした各国との対話を通じて再確認いたしましたのは、このようなときだからこそ、我が国は日本らしいきめ細やかな外交、これを主導すべきだということでございます。G7議長国として、多様性と包摂性、これを重視するきめ細やかな外交を通じて、法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これが国際社会全体にとって極めて重要であると、この点を強く訴えていくと同時に、気候変動、エネルギー、食料、保健、開発等のグローバルな諸課題の解決に積極的に貢献してまいりたいと思っております。 ○羽田次郎君 御答弁ありがとうございました。  このまま進めますと、また福山先生同様、浜田大臣の質問をできなくなりそうな感じもありますので、ちょっと質問を飛ばさせていただきます。  浜田防衛大臣は先日の所信表明で、危機管理の要諦は最悪を想定することとおっしゃっていましたが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する今、想定されている最悪とはどのような状況をお考えなのか伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 所信の中で申し上げた最悪を想定するとは、我が国に対する武力攻撃や侵攻といった事態を念頭に申し上げたものであります。  欧州においては、国連安保理の常任理事国が公然とウクライナを侵略するという事態が起きております。こうした力による一方的な現状変更が起これば、極めて甚大な人的、物的被害が発生することも明らかであります。所信においても、欧州で起きていることは決して他人事ではないとも申し上げました。  戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙する中で、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいてこのような事態が発生しないよう、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境を創出するとともに、我が国に対する武力攻撃や侵攻といった事態が生起しないよう、我が国としても同盟国、同志国等と協力、連携して抑止をすること、こうした取組が特に重要であると考えます。  こうした観点を踏まえて、防衛力の抜本的強化を推進し、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化し、我が国に対する武力攻撃が発生する可能性を低下させていきたいと考えております。 ○羽田次郎君 今、最悪の想定について、余り具体的な国を想定しているということは多分おっしゃれないというのはあるのかもしれませんが、ただ、最悪の想定、今般、その防衛力整備計画の装備内容でその最悪の想定に対応できるのかどうかということについて私は甚だ疑問を持っておりまして、コマーシャルフライト並みのスピードで飛ぶトマホークミサイルで、核兵器とか、あと極超音速ミサイルとか、そういった武力を保持する国の抑止力になるというのはなかなか考えにくいと思うんですが、浜田大臣の御見解を伺わせてください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 繰り返しになりますけれども、我が国の防衛政策は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているわけではなく、御指摘の点についても特定の事象を念頭に置いたものではございません。  その上で、先ほど申し上げたように、安全保障環境に対峙をし、そしていざというときにこの国民の命を守り抜くには、防衛力の抜本的強化は一刻の猶予もない待ったなしの課題であり、国家防衛戦略等において、原油、装備品を最大限活用するため、可動率の向上、弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、スタンドオフ防衛能力といった将来の中核となる能力を強化をすることを今後五年間の最優先課題として取り組むこととしております。  これらの取組を通じ、仮に我が国への侵攻が生起するような事態が生じた場合には、防衛力整備計画に基づいて抜本的に強化された防衛力により、これを阻止、排除し得るものと考えております。 ○羽田次郎君 御答弁ありがとうございました。  装備品の内容については、更に精査をして、しっかり対応できる、ただ必要最小限のものであるということをしっかり考えていただきたいと思いますが、その細かい部分についてはまた改めて質問させていただきます。  最後に、特定秘密漏えい事案について伺います。  昨年十二月に特定秘密保護法違反と自衛隊法違反の疑いで書類送検された元一等海佐について、検察当局が不起訴処分とする方針であると報道されました。警務隊は起訴を求める厳重処分の意見を付けて書類送検したとのことですが、この事案についての防衛大臣の御見解を、御所見を伺いたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 本件事案の検察当局による捜査状況について、また防衛省としてコメントする立場にないことを御理解いただきたいと思いますが、その上で、現職の幹部自衛官による秘密漏えいは、こうした情報を適切に保全管理すべき防衛省・自衛隊の国民の信頼を損ねかねないものであり、極めて遺憾であります。また、衆参両院の情報監視審査会による勧告は、特定秘密保護法施行以降初めてのものであり、防衛省としても深刻に受け止めております。  大切なことは、このような事案が再び発生することのないよう再発防止を徹底することであり、私の指示に基づき速やかに各種取組を進めております。さらに、副大臣を長とする再発防止検討委員会において、より実効性のある施策について防衛省全体として検討を進めておるところであります。  我が国の防衛を全うするために、情報保全の徹底が必要不可欠であり、今後、再発防止策にしっかりと取り組み、信頼回復に全力を尽くしてまいる所存であります。 ○羽田次郎君 時間となりましたので、これで終わります。ありがとうございました。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  ロシアによるウクライナの侵略が始まりまして一年が経過をいたしました。このタイミングで開催をされました国連総会の緊急特別会合、ロシアによる無条件かつ完全な撤退というものを求める決議が百四十一か国の賛成を得て可決をされたわけであります。この総会の結果を受けて、国内のメディアでも、例えばロシアが再び孤立といったような見出しも躍っていたわけでありますけれども、私なかなか簡単には喜べないなというのも一方で思うわけであります。  およそ五十か国が反対若しくは棄権をしているという状況がある中におきまして、やはりまず、この決議、林大臣は今回、ニューヨーク、現地に飛ばれまして、実際にこの賛成を呼びかけられ、さらには安保理の閣僚級討論にも臨まれましたので、現地でのこの可決を受けての受け止めということをまずお聞きできたらなということと、先ほどもありましたけれども、この五十か国ぐらいの中には、やはり棄権した国の中には、先ほども少しありましたけれども、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々が多数含まれているわけであります。今後、そういった国々と一体どういう形で連携をしていかれるのか、改めてお伺いをできたらと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 二月二十三日の国連総会緊急特別総会会合におきまして、今お話がありましたように、ウクライナの平和を求める決議、これが全加盟国の七割以上を占める百四十一か国の賛成によって採択をされました。我が国としてこれを歓迎しまして、国連加盟国の圧倒的多数がロシアによる侵略の即時停止を求めるとともに、ウクライナへの力強い支持を表明したものと評価をしておるところでございます。私自身、東南アジア諸国、また太平洋島嶼国などの国々に対して働きかけを行ったところでございます。  大多数の国々が決議を支持した背景として、我々の様々な働きかけもあり、やはり、この国際社会の平和と安全に最も重い責任を有する安保常任理事国が国連憲章への重大な違反を行っていると、そして、世界中のどこであっても力による一方的な現状変更は許されないんだと、こういう認識がやはり広く共有されたことがあるんだろうと考えております。  委員がおっしゃったように、今回は反対は七でありましたが、棄権が三十二で、不投票というのも十三あったわけでございますが、こうして棄権等をした国を含めて、今お話があったように、グローバルサウスと呼ばれる国の多く、これ、地域紛争とかテロ、さらには食料、エネルギー危機、感染症、気候変動など、様々な問題に直面しているわけでございます。先進国がこうした諸課題の解決にしっかりと貢献と協力をしていくと、このことがより一層重要になっているというのを肌で感じたところでございます。  日本はこれまでも様々な機会を利用して各国のアプローチを続けてきておりますので、今申し上げたような認識の上に立って、引き続き国際的な議論を積極的に主導していきたいと考えております。 ○平木大作君 林大臣がこのグローバルサウスという国々に対して今積極的に働きかけをしていただいている、とても重要なことだろうというふうに思っております。短い目で見れば、このロシアによるウクライナの侵略を一刻も早く止めさせるというところが当然目的としてあるわけでありますが、もっと長い目で見たときに、まさに今大臣がおっしゃったような、法の支配ですとかあるいは民主主義といったいわゆる普遍的な価値の重要性というものをやはり国際社会の中で認識をしっかり高めていくという観点からも、これ極めて重要な取組なんだろうというふうに思っております。  やはり、ちょっと私、ただ懸念していますのは、今年例えば一月には、グローバルサウスの声サミットというものがいわゆるオンラインで行われました。この中で、私も幾つか発言を拾って読んだんですけれども、やはり、そこにある雰囲気というんでしょうか、例えばインドのモディ首相は、今回、例えば新型コロナウイルス、気候変動、ロシアによるウクライナ侵略、こういったものは、国際社会の、こういった国際社会の課題の大半は我々が生み出したものではないんだと、我々は被害者なんだというようなアピールを非常にされております。要するに、背景として、欧米あるいは先進国に対する不信感のようなものがやはり流れているのかなというふうにも思うわけであります。  改めてここに、日本というのは、先進国ではありますけれども、また欧米とは違う立ち位置の中で、どうやって世界の中にまさに橋を架けていくのかという、そういう役割を課せられているんじゃないかと思っておりますので、引き続きの御努力をよろしくお願いしたいと思います。  そして、この後ちょっとグローバルサウスという観点から幾つか質問していきたいと思っていますが、そこに至るまで、今のこの経済制裁の効果というものについても、ちょっと改めて外務省に確認をしたいと思います。  現在、様々な制裁が今ロシアに科されているわけであります。主なものは、いわゆるSWIFTと言われるいわゆる決済網からまず締め出すということ、それからハイテク製品等の輸出、半導体等の輸出禁止ということ、さらにはロシア産の原油の輸入禁止ですとかあるいはその上限価格の設定といった、こういったもので構成をされているわけでありますが、なかなか、一年たってきた中、これ効果がどれぐらいあるのかということがちょっと言われるようになってきたわけであります。  政府として、この効果、今どう見ているのか、あるいは今後の方向性等についても確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(中込正志君) お答えを申し上げます。  我が国、先生御指摘ありましたとおり、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、ロシアの個人、団体等に対する制裁、資産凍結等の金融分野での制裁、輸出禁止措置などの厳しい制裁、迅速に実施してきております。  効果ということでございますけれども、ロシアが発表しましたロシアの経済成長率、速報値でマイナス二・一%、財政収支につきましても三か月連続で赤字となっていると承知しております。それから、輸入依存度が高い自動車産業等では生産が急減している、あるいは半導体不足等によって武器の製造に影響が及んでいる等、各国の制裁措置、一定の効果が出ているというふうに考えております。  今後ということで考えますと、非常に重要になってくると我々考えておりますのは、制裁が一層効果的なものになるようにするために迂回対策でございまして、先般のG7首脳会合でも制裁の迂回・回避対策の更なる取組を進めるということで一致をしておりまして、我が国としまして、エネルギー、食料面等で様々な影響を受けているグローバルサウスへの関与を強化すべく議論を主導していきたいと考えております。  追加的な制裁措置について今何か申し上げることできませんけれども、制裁の迂回・回避対策、グローバルサウスへの関与の強化も含めて、G7を始めとする関係国と緊密に連携しながら、引き続き制裁の実効性確保をすべく適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 ○平木大作君 今月一日のウォール・ストリート・ジャーナルで、例えば制裁について参加をしていない中国ですとかインド、トルコ、こういった国が結局輸入を増やしてしまっていると、ロシアからの。ということで、なかなかこれ、その効果が弱いんじゃないかということと併せて、決済が実は人民元で行われているというような指摘がありました。  その後、国内のメディアでも続報ありましたけれども、なかなかこの迂回対策といっても、物理的な物のやり取りの中で瀬取りみたいなこともありますし、決済というところでも、そういう意味でいくと迂回ということが実際にちょっと起きつつあるのかなという懸念を持っております。  実際に、これアメリカの方ではもう何年か前から言われておりますけれども、ロシアがある意味、これまで、クリミア半島を侵攻した後、二〇一五年ぐらいから、いわゆる石油などの資源、エネルギー関係の取引の決済を米ドルからほかの人民元ですとかロシア・ルーブルに切り替えるといういわゆる取組を、挑戦をしてきているということが大分前から言われています。いわゆる資源取引、この米ドル建てで決済をするということをペトロダラーシステムと言ったりするわけですけれども、そこにそもそも挑戦をしてきていると。  だから、今回のことを、意図的にではないにせよ、もう数年掛けて準備してきているものの中で、なかなかこの決済網から締め出すということが中核にある制裁ってやっぱり効きにくくなってきているんだろうというふうに思っております。  そして、今御答弁もいただきましたけれども、まさに、じゃ、その中で具体的にその効果を持たせていくという意味で、インドですとかブラジルですとかトルコ、いわゆるグローバルサウスの国々が、安く買えるんだからそっちの方がいいんじゃないかという実を取りに行っている面があるわけでありますけれども、こういう国々とどうやって連携をしていくのかということがやはり問われるんだろうというふうに思っております。是非とも、そういう観点からまた複合的なお取組を進めていただきたいというふうに思っております。  この後、ちょっとグローバルサウスの国々の中で、ちょっと個々の国々についてもお伺いしていきたいと思います。  先ほども少し出ましたが、グローバルサウスのリーダー国の一角を占めますトルコについてですね。ちょうどトルコ、シリアの大地震が起きてから一か月が経過をしたわけであります。先ほど御紹介もいただきましたけれども、日本からも直後から国際緊急援助隊については救助チームが入り、医療チームが入り、そして最近では専門家チームも、建築、土木、都市計画、そういった専門家のチームも入っていただいているということでございます。  しかしながら、やはり時間がたてばたつほどこの震災の規模というものもちょっと明らかになってきたところがありまして、最近のUNDPの推計でいきますと、トルコだけでこれ被害額が十三兆円というふうに言われております。そうすると、なかなかやはりこれだけ大きなものに対して、国際社会から温かい手が差し伸べられてはおりますけれども、資金規模の面からも、現地の支援という面からも、まだまだ足りないという声が聞こえてくるわけであります。  加えて、日本というのはやっぱり地震国ということもありますし、東日本大震災等からの復旧復興というところでもビルド・バック・ベターのまさに経験値が高い国だということで、日本に寄せる期待も大きいというふうにお伺いをしております。  改めて、復興のステージということも見据えて、日本政府としてしっかり長期的な観点で支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  トルコ南東部を震源とする今回の地震につきましては、先ほどおっしゃられたとおりでございますですけれども、発生直後から国際緊急援助隊の派遣、緊急援助物資の供与などを行うとともに、医療チームに必要な資機材を迅速かつ確実に届けるために自衛隊機での輸送を行うといったような形で、政府としても支援に全力で取り組んできているというところでございます。  先ほどこれもおっしゃられたとおりですけれども、現在も医療チーム、活動を続けているところでございますですし、二月中旬以降で申し上げれば、十六日に、国連世界食糧計画や国際赤十字・赤新月社連盟などの国際機関、日本のNGO等を通じまして、トルコ、シリア両国合計で約二千七百万ドルの緊急援助を実施するということを発表いたしました。十八日にはトルコに対する緊急援助物資の追加供与を決定し、その後、直近では三月六日から専門家チームを派遣いたしまして、被災した建物、インフラ状況の確認、復旧復興に向けた技術的な助言といったようなことを行っているというところでございます。  今後、被災地の復興に向けてというところでございますけれども、日本は多くの自然災害を乗り越えてきた経験、知見踏まえまして、政府といたしましても、引き続き、関係国、国際機関とも緊密に連携しながら、また被災されたトルコ、シリアの方々に寄り添いながら、現地のニーズを踏まえて必要な支援を迅速に行っていきたいというふうに考えているという次第でございます。 ○平木大作君 もう一つ、グローバルサウスのまさにリーダー国として最近存在感がより高まってきているインドについてもお伺いしたいと思います。  先ほども少し質問ありましたが、林外務大臣が今回、G20外相会議欠席をされたことについては残念なわけでありますけれども、ただ、私ちょっと別の観点からお伺いしておきたいのが、今回この欠席をされたことというのが大分インドメディアの中で広く記事になっているわけですね。  中でも、例えばインドを代表する経済紙であるエコノミック・タイムズでは、ニューデリーと東京との関係に何らかの影を落とすかもしれないとまで書かれてしまいました。一回の会議の欠席でここまでのことは当然ないだろうとは思っておりますけれども、ただ、やはり、この反応を放置しておいてはいけないんだろうというようにも同時に思うわけであります。  改めて、これ、外務省として日韓関係に与えた影響というものについてしっかり総括をしていただきたいということと、結局、この予算委員会への出席とか国会対応ということは、国内であれば我々は感覚として分かるところがあるんですけれども、海外にはなかなか、そのまま伝えても伝わらないところもあるという意味でいきますと、今回、例えば他のインドメディアも、これはインド軽視だと書かれてしまったものもありますし、強めの主張をした中国に日本は何か配慮したんじゃないかという記事もありましたし、あるいはロシアと対面をすることを嫌ったんじゃないかとか、もう勝手に思惑でここまで書くかというぐらい書かれています。  そういう意味でいくと、やはり今後、外交上誤解を何か招く可能性がある場合、しっかりとこれは相手国の国内の世論というものを見据えて、その影響も考慮しながら、現地メディアに対する丁寧な説明というものを今まで以上に丁寧にやっていただきたい、しっかりやっていただきたいと思うんですが、この点いかがでしょうか。 ○政府参考人(小野日子君) お答え申し上げます。  御指摘の報道ぶりについては、私どもとしても承知をしてきております。  インドは、我が国と基本的価値や原則を共有する特別戦略的グローバルパートナーでございます。今般の林大臣のインド訪問に際する日印外相会談におきましても、本年G7議長国を務める日本とG20議長国を務めるインドが緊密に連携をしていくこと、そして、引き続き二国間関係を強化していくことを確認をいたしました。外務省といたしましては、林大臣のG20外相会合欠席が日印関係に悪影響を与えたとは認識をしておりません。  また、メディア等の関係でございますけれども、外務省といたしましては、平素から、本省においては日本駐在の海外メディア、また在外公館におきましては海外メディアとのコミュニケーションの維持と強化に努めております。  今般の林大臣の訪印に際しましては、日本駐在の海外メディアに対して同訪問に関するブリーフを事前に実施をいたしました。また、林大臣は主要インド通信社との書面インタビューを受け、日印関係の重要性や将来性について日本の考えを発信をしたところであります。このインタビュー記事は、同訪問中にインド国内で各紙に転載もされております。さらに、一連の行事が終了した段階で、外務副報道官より現地メディアに対してブリーフを実施をしておりまして、訪問の意義等を説明をしたところでございます。  外務省といたしましては、今後とも、日本の立場の正確な報道につながるよう、在外公館と現地メディアとの関係の構築も含めまして海外メディアへの丁寧な情報発信に努めてまいります。 ○平木大作君 ちょっと角度を変えまして、防衛省にもお伺いをしておきたいと思います。  このロシアによるウクライナ侵略が日本に与える影響ということで、一つは戦争、戦闘の長期化ということによりまして、米国が今武器提供をずっと続けているわけでありますが、このことが東アジアの軍事バランスを崩しかねない、こんな指摘もあるわけであります。  その根拠の一つが、今この提供されている武器の多くの部分が、今イスラエルですとか韓国に配備されているものがどうも行っているんじゃないかという話、もう一つは、実際に武器の在庫自体が、このりゅう弾砲の弾ですとかあるいはジャベリンみたいなものについては、元の状況に戻すのに少なくとも今始めても五、六年掛かるみたいな話もある。そういう中で、例えば日本が購入をしようとしているような米国製の装備品等についても、今後調達に影響があるんじゃないかという話もあるわけであります。  改めて、今回このウクライナ情勢が我が国を取り巻く安全保障環境にどう影響してくるのかについて、防衛省の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  米国が保有します装備品や弾薬、これをウクライナに支援を続けていくことによりまして、米軍が保有する弾薬等が減少するとともに、米国の弾薬、装備品の供給能力が制約されまして、インド太平洋地域などにおける安全保障が損なわれるのではないかとの指摘があることは承知しております。  この点、米国、米軍は、ウクライナへの軍事支援は五十か国以上が参加するウクライナ防衛コンタクトグループなどの枠組みを通じまして、同盟国等と協力しつつ、米国の安全保障上のコミットメントを確保する形で実施している旨説明していると承知しております。  また、御指摘がありました米国製装備品の自衛隊への納入スケジュールにつきましては、現時点で影響があると確認できているものはございません。  その上で、防衛省としましても、委員御指摘のとおり、ウクライナ侵略の動向はインド太平洋地域の安全保障と密接に関係していると認識しておりまして、引き続き関連動向の情報収集、分析に努めるとともに、自衛隊の装備品納入スケジュールに影響がないか注視しつつ、我が国防衛の対応に万全を期してまいりたいと思っております。 ○平木大作君 今のこのウクライナの情勢も含めて、なかなかこの厳しさを増してきている日本を取り巻く安全保障環境であります。  こうしたものを受けて、昨年、政府としても防衛三文書の改定をされて、そして防衛力の強化に取り組むということを方針として示されたわけでありますが、しかしながら、現状この予算委員会等でもかなり活発に議論が行われていると承知しておりますが、例えばその防衛費の増額ということ一点取ってみても、これ世論調査でなかなか賛否が割れるという状況があるわけであります。国民の理解が十分に進んでいるということは、やっぱりなかなかまだ言える状況にない。  ちょっと参考になりますのが、ちょっと二人、有識者の方の言葉紹介したいんですが、一人は最近よくロシアの解説をされます小泉悠さん、東京大学先端科学技術研究センターの専任講師の方でありますが、小泉さんが今回の三文書の改定について、内容については、これまでまさに安全保障コミュニティーの人たちがこういうことこそしっかり紙に書いて決めなきゃいけないんだということを言ってきた内容だと、内容は評価するんだけれどもということでおっしゃっていたのが、政府の文書に書く前に国民に一言あってしかるべきだったという、こういう言い方をされています。  これ、ある意味とても大事なポイントだというふうに思っていますし、もう一つ、これは先般の参議院の調査会に元海将の香田洋二さんがいらっしゃいまして、これも内容、総論としては画期的で高く評価するとしながら、各論の中で主要事項の国民への深刻な説明不足ということを指摘をされて帰りました。もっと言うと、これ議事録に残っているんで一応御紹介しますと、政府の覚悟が足りないと、浜田大臣の答弁を書いている官僚の勉強不足だということまでおっしゃって帰られましたけれども、これ要は国民の理解不足じゃないんですよね。お二人とも言われているのは、政府の説明不足だと、もっと何で分かっていただけるような工夫をしないんだということを厳しく指摘をされているわけであります。  改めて、これ浜田大臣に是非お伺いしたいんですが、国会の答弁の中で、しっかりとこれ、もっとこうしたら分かりやすいんじゃないかみたいなことがあれば、どんどん答弁というのはブラッシュアップして是非いただきたいと思いますし、その他いろいろな今手段があります。動画ですとかSNSですとか、様々活用しながら、この国民の皆さんの理解を得る努力、お取り組みいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 大変厳しい御意見を私ども賜っているのは事実でございますので、大いに我々として、また国民の皆様方に説明をしていくことは重要だというふうに思っておりますので、今後ともそれを進めてまいりたいというふうに思います。  今、防衛省・自衛隊の取組については、これまでも国会での質疑を通じて説明をさせていただくことはもとより、ホームページやSNSを通じて情報発信をしてきたところであります。これまでいろいろと御説明をしてきたわけではありますけれども、これよりも更にその説明の回数が増やせる方法を探してしっかりと対応していきたいというふうに思いますし、これからの、今、平木委員からも御指摘をいただいた部分について、もっとこの場で説明する、できる範囲が広げることができれば、しっかりとやっていきたいと思いますし、また、いろいろな御指摘いただきながら、我々も努力をしていきたいというふうに考えているところであります。 ○平木大作君 よろしくお願いいたします。  時間がちょっと迫ってきましたので、韓国についてもちょっと一問だけお伺いをしておきたいと思います。  今月六日に、韓国政府が元徴用工問題解決策を発表いたしました。厳しい韓国国内の世論もある中で、尹錫悦政権、問題の解決に向けて強い決意を示した、そして大きな一歩を踏み出したことは歓迎したいというように思っております。  昨年末、我が党の山口代表が訪韓をされた折にも、この尹大統領、また朴振外交部長官ともこうした関係改善の流れを確認をし、また強化に取り組んできたわけでありますが、そして、近日中に岸田総理との首脳会談も予定ということでありますので、しっかりこれ問題の完全決着、そして日韓関係の更なる深化に向けて政府にお取組をいただきたいというふうに思っております。  今日、ちょっと確認をしておきたいのは、今回、報道によりますと、日韓両国政府が他の懸案も併せた包括的な解決を目指すということで、二〇一九年に厳しくした対韓輸出管理措置を見直すということが言われているわけであります。  先ほども少し問いありましたが、具体的に言うと、半導体の材料でありますUV用のフォトレジスト、フッ化ポリイミド、そしてフッ化水素、この三品目ですね。ホワイト国指定から個別に規制を切り替えるというものでありましたけれども、これ出た当初から、私の元にも相当、作っている企業から、これで自分たちのビジネスが壊れるんじゃないかということで、大分心配だという声たくさんいただきました。当時、経済産業省は、これはいわゆる政治的な報復措置ではなくて、韓国側のこの不適切な事案になかなか改善が見られないためだということを言ってきたわけであります。  改めて、これ現在、状況に改善が見られているのかどうか、報復措置って、結局、だったんじゃないかと言われてもおかしくない状況なわけですけれども、このことについて御説明を求めたいと思います。 ○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  御指摘ございました二〇一九年に行いました輸出管理の運用の見直しは、軍事転用の可能性があります貨物の輸出でありますとか、あるいは技術の移転を適切に管理するための措置でございまして、労働者問題とは別の問題でございます。去る三月六日に行いました私どもの発表は、韓国からWTOの紛争解決手続を中断するという意思が示されましたので、輸出管理に関する政策対話を再開する環境が整ったものと判断したことによるものでございます。  今後、この政策対話におきまして、韓国側の審査体制など輸出管理の実効性をしっかりと確認をし、韓国側の今後の姿勢を見極めてまいりたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。 ○平木大作君 時間が参りましたので、終わりたいと思いますが、経済安全保障、重要性は私もよく理解しておりますけれども、いわゆるエコノミック・ステートクラフトと、いわゆる外交的な意趣返しで経済的なものを道具に使うというのは下の下の施策だというように思っておりますので、そういったことがないように、しっかり取組いただきたい、お願いして終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、堀井巌君が委員を辞任され、その補欠として古庄玄知君が選任されました。     ───────────── ○鈴木宗男君 阿達委員長、御苦労さまです。国際通の阿達先生にはうってつけの委員長だと思いますので、しっかり頑張ってください。佐藤信二先生に薫陶を受けた者として、阿達さんがその席に座っていると、私はうれしく思っているし、頑張っていただきたいなと、こう思っております。  林大臣、浜田大臣、二人座っていますと、お父さん方を思い出します。二人ともお父さんは昭和四十四年の当選でありますから、当時から私、中川一郎先生の秘書をやっておりまして、指導を受けました。五十八年、今から四十年前ですが、私が衆議院になったときもお二人の先生には大変お世話になったものですから、今何となく、お二人を見ていると神々しく感じながら、敬意を持って質問しなければいけないなと、まあこんな思いであります。  そこで、林大臣にお尋ねしますが、大臣所信で、ロシアとの関係については、日本の国益を守る形で対応していきます、こう述べられております。具体的にはどういうことを指しているんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) まさに、日本の国益、いろんなものが含まれると思いますけれども、このロシアとの間での外交をいろいろ考える上では日本の国益をしっかりと考えながら対応していくと、こういうような一般的な決意を述べたところでございます。 ○鈴木宗男君 私は、ロシアとの国益の中で一番大事なのは、北方領土問題の解決が日本の国益にとって大事だと、こういう思いでおりますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 私も所信で申し上げましたけれども、この日ロ関係、今ロシアによるウクライナ侵略によって厳しい状況にあり、平和条約の交渉の展望を語れる状況にはありませんが、しかし、日本として、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持しますと、こういうふうに申し上げております。ここは変わっておりません。 ○鈴木宗男君 そこで、大臣、所信でも今大臣が述べられたことは書かれているんですね。私は、やはり具体的に行動しなければいけないと、こう思っているんです。そのためにはですよ、今年は日本がG7の議長国でありますから、議長国の立場を生かしながら、私はやはり停戦の枠組みをつくるために日本は尽力すべきだと、リーダーシップを発揮すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このロシアのウクライナ侵略、これは、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす、脅かす暴挙でございます。この侵略は、主権、領土の一体性の侵害であり、国連憲章を始めとする国際法の諸原則の違反であるとともに、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦でございます。  侵略が長期化する中で、一刻も早くロシアの侵略を止めるため、G7議長国として、国際社会と緊密に連携しながら、引き続き、対ロ制裁とウクライナ支援、これを強力に推進していきたいと考えております。 ○鈴木宗男君 林大臣、国際社会と協力しては当然ですね。あわせて、よく岸田総理はG7との連携と言ってもおりますね。これもまた一つの考えだと思うんですよ。  ただ、今、世界を見るときに、G7の経済力、GDPは四〇%ちょっと、まあ四二、三%でしょう。G20は今や八五%に近くなってきております、主要二十か国は。その主要二十か国にはG7の国も入っているわけですよ。それを考えたならば、私は、このG7のよりもG20の役割が重いと思うんです。たまたま日本がG7の議長国だ。G20の議長国はインドであります。モディさんは、アメリカとも向き合いながら、ロシアともしっかり付き合っていますね。国連の様々な非難決議にもインドは棄権しておりますよ。これは賢いやり方、一つの外交の私は手本になると思っていますよ、収めるためには。  そういった意味では、国際社会との連携というこの大ざっぱな話じゃなくて具体的に、G7の今年は議長国日本だ、しかも、国連において非常任理事国の議長国だという立場もあるんですね。それと、やはりG20のインドとのタッグによって、これ停戦に向けての私は大きな一歩を記していく、これが今、岸田総理に求められているんでないかと思うんですけれども、林大臣はいかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) まさに委員がおっしゃったように、我々G7の議長でございますが、G20議長がインドでございます。  まさに、この間クアッドの会合に行かせていただきましたときも、インドとの間で外相会談をやらせていただいたところでございますし、クアッド自体にアメリカとインド、そして豪州と日本という四か国が参加をして、四か国での外相会談というものもクアッドの外相会合という形でやらせていただいたわけでございまして、やはりG20とG7の連携というのが非常に、委員おっしゃるように、大事になってくるということであろうというふうに思います。  そして、先ほど来ありましたように、いわゆるグローバルサウスという国々を含めた国際社会という目で見ますと、G7には、このグローバルサウスの中でも非常にリーダー的な位置にいる、そういう国々が入っておりますので、まさにこの連携、強めていければと思っております。 ○鈴木宗男君 先ほど来、羽田委員からも平木委員からもグローバルサウスの話、出ましたね。  これ、じゃ、林大臣、グローバルサウスの加盟国は、圧倒的にロシアとの向き合い方を知っていますよ。分かりますね。これ、インドがまとめ役やっていますから。  そういった意味で、もっと日本は、したたかというか柔軟性のある、入口の議論じゃなくて、侵攻けしからぬ、非難してもそれ解決しないんですから。今、国会での議論を非難だとかけしからぬという話、国際法違反だといっても、入口の議論で、出口を見ていませんよ。出口を見た外交をするのが大事ではないかと私は言っているんですよ。そのためには、ただ連携じゃないんです。日本が先に物を言って引っ張っていく、機関車の役割をやる、これが必要でないかと私は考えているんです。  林大臣御案内のとおり、私は、去年、二月二十四日、特別軍事侵攻が始まったときから、予算委員会でももう三回、岸田総理に、一にも二にも停戦だと言ってきているのは、鈴木宗男ただ一人ですよ。二月二十八日の予算委員会での質問に始まって、三月、四月と。外防委員会でも二回、林大臣にも私は一にも二にも停戦だと言ってきている男ですよ。みんな非難はするけれども、入口の議論で止まっていて出口見ていないんですね。  だから、ここはもう、紛争たって、一年たった。それぞれの国でも様々な世論が出てきているんです。アメリカだって、もうこれ以上中に入らぬ方がいいという声も出てくれば、ヨーロッパでも、ドイツを筆頭にして、戦車を送る、今度は戦闘機送る、これはとんでもないことになるぞという心配で、ドイツなんかでも世論の六割は反対の方ですよ。今、いろんな動き出ている。  ならば、インドのモディさんも停戦提案したんです、ならば、私はちょうどタイミング的にいいんでないか、ここは岸田総理の出番でないかということを言いたいんですけれども、林大臣の受け止め、どうでしょう。 ○国務大臣(林芳正君) ちょうど去年の二月にこの侵略が始まって、一月、二月の頃ぐらいだったと思いますけれども、このウクライナとそれからロシアが同じテーブルに着いて、実は停戦に向けた話合いというのが行われていた時期があったわけでございます。  あのときは、ロシア軍が撤退した後の、キーウより少し北の方だったと思いますが、ブチャというところ辺りで一般市民の惨殺された姿があらわになったと、こういうこともあって、その後、停戦に向けた動きというのがなくなってきておるわけでございます。  まさに侵略が長期化していると、おっしゃるとおりでございます。先ほど申し上げたように、対ロ制裁とウクライナ支援、これを強力に推進していくということが大事なことであると申し上げましたけれども、また、グローバルサウスというお話がありました。こうした国々を含めた国際社会が一致して声を上げていくということが大事であろうというふうに思っております。  やはり、この法の支配に基づく国際秩序の堅持の重要性を訴えつつ、丁寧に働きかけを行って理解を得ていく必要があると思います。  こうした地道な努力を重ねていくことによって、何とかこの停戦というものに向けた機運というものをやっぱり高めていくということは大変重要なことだと思っております。 ○鈴木宗男君 林大臣、機運を高めるのでなくて、一日も早くやることなんですよ。武器を供与したり資金供与していれば、戦争、長引くんです。尊い命が失われるんです。紛争、戦争で一番犠牲になるのは子供、女性、お年寄りなんです。それぞれ世界でたった一つの命なんですよ。一人でも亡くされちゃいけないんです。ならば、しっかりと日本が停戦、和平に向けての機関車役をやる、これが大事ではないでしょうか。  いま一度、大臣、大臣の認識をお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) まさに委員がおっしゃるように、今までにも幾つかの国が仲介努力というのを行ってきているわけでございますが、プーチン大統領は、併合したウクライナの一部地域が交渉の対象でないと述べるなど、なかなか実質的な歩み寄りを示す兆しというのが一切見られない状況でございます。このウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきかは、まさにウクライナの人々が決めるべき問題であると、こういうふうに考えております。  今お話があったように、ロシアに対して適切な対応で外交的な働きかけを行う意義、これを否定するものでは決してございませんが、この現下の状況においてやはり日本が行うべきこと、これは、ロシアが一刻も早く侵略を止めるようにロシアに対して強い制裁措置を講じて、またウクライナを支援するということであろうと考えております。  いずれにしても、今後とも、情勢を注視しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。 ○鈴木宗男君 林大臣、さきの大戦でも日本は戦争しました。しかし、やはり、日本には日本の言い分があったんですね。これはやはり今のウクライナ、ロシアでも両方に言い分はあるんです。侵略はいけないというのが国連憲章一条の二ですよ。同時に、二条の四では自決権の権利があるわけですね。それをロシアはまた主張するんです。だから、お互い言い分があるというのが一つなんです。  ここは時間がないので私は議論しませんけれども、それよりも、今あの現状を見たらやめさせるのが一番だから、停戦に大きなかじを切っていただきたいと、それが日本のためにもなれば世界のためにもなるんじゃないかという話なんです。ここは是非とも、大臣、岸田総理と近しいわけでありますから、しっかりと日本が中心的な役割を果たす、和平に向けての、これを是非とも進言をいただきたいなと、こう思っています。  あと、林大臣も去年の十二月一日、元島民の皆さんにお会いしたと思うんです。あるいは、二月の七日も要請に行ったと思います。岸田総理も会っております。元島民の皆さん、もう八十七・二歳です。一万八千人近い人が引き揚げてきて、今生きている人はもう五千三百二十二人まで減ってしまいました。三分の二亡くなっています。八十七・二歳ですから、もう人生限られているんですよ。その皆さん方が言っているのが墓参なんです。いま一度先祖の墓をお参りしたい、いま一度ふるさとに行きたい、これだけなんです。何とか今年、大臣、墓参に向けて是非ともなる人道的な尽力をいただきたいと、こう考えますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 私もこの間大会に出席をさせていただきまして、若い皆様が中心になって、語り継ぐ北方領土問題というタイトルだったと思いますが、経緯を詳しく、また非常に分かりやすい形で御説明をして、大変に思いというものが伝わってきたところでございます。  今先生からお話がありましたように、北方墓参そして四島交流を含む四島交流等事業の今後の具体的な展望、これ、なかなか申し上げられる状況にないと残念ながら言わざるを得ない状況でございますが、まさに今御指摘があったように、御高齢となられた元島民の方々の思いに何とか応えたいと、この考えに変わりはなく、北方墓参また四島交流を含む事業の再開、これは今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つでございます。  日本政府として、一日も早くこうした事業が再開できるような状況となることを強く期待しておりまして、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。 ○鈴木宗男君 あと、大臣、今、日ロの漁業協定あるいは交渉が一切なくなっているんです。これ北海道にとっては死活問題なんです。同時に、これ日本全体の水産にも影響してくるんですね。  まず、サケ・マス交渉、本来ですと今頃から交渉始まるんです。あるいは貝殻島の昆布というのがあります。これも四月に交渉して、大体五月末から六月に漁に出るんですよ。さらには、北方四島の安全操業問題があります。これも今止まっちゃっているんです。そして、地先沖合協定、これはいつも十二月にやるんですけれども、今年はまだできていないんです。あの初漁、いわゆる初漁と言われる今年の十二月のものの見通しが付いていないということですね、今、サケの交渉がないですから。  だから、こういったこと、もう連鎖反応でこの負につながっているんですよ。これも是非とも大臣、これは日本経済にも影響する話でありますから、しかも資源の管理だとか資源保護の上からも極めて大事な事業でもありますから、この水産について大臣もしっかり頭に入れて、これまた先ほど言われた墓参等のいわゆるビザなし交流と併せて考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 冒頭、国益というふうに申し上げましたが、まさにこの漁業の問題についてもそれが当てはまるものと、こういうふうに思っております。  今御説明をいただきましたように、我が国とロシアとの間では、漁業分野におきまして三つの政府間協定と一つの民間取決めがございまして、昨年二月のロシアによるウクライナ侵略以降も関連の協定等に基づく操業ができるように協議を行ってきております。  今お話のありました日本水域のサケ・マス漁業交渉は昨年四月、民間協議である貝殻島昆布交渉は昨年五月から六月に協議が行われて実際に操業が行われておるわけでございますが、本年の操業に向けての協議、これはロシアとの間で日程調整が行われているところでございます。また、日ロ地先沖合漁業協定に基づく交渉については、一昨年末に妥協した操業条件に基づきまして、昨年実際に操業が行われております。今年の操業条件等についても昨年十二月に協議を行って妥結をしたところでございます。  今お話がありましたように、他方、北方四島の周辺の水域操業枠組み協定に基づく交渉については、一月十九日にロシア外務省から在ロシア日本大使館に対して、現時点で枠組み協定に基づく政府間協議の実施時期を調整することはできないという通知がありました。ロシア側がかかる対応を取ったことは受け入れられず、枠組み協定の下での操業を実施できるよう、現在、ロシア側との間で様々な調整を行っているところであり、引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。 ○鈴木宗男君 大臣、今大臣、安全操業の枠組みも一月十九日にロシア側から断ってきたと言われましたけれども、なぜ断ってきたのか。本当は、一月九日にロシアから内々通報を受けて、十二日から交渉できる段取りにはなっていたんですよ。それは、岸田総理が九日からのヨーロッパ訪問でどこの国行ってもロシアの批判ばっかりするものですから、ロシアが体をかわしたというか、引いたのが実態なんです。  それで、今大臣、役人の書いた紙を読んでいますけど、それは事実じゃないんですよ。ここでも、もうちょっと私は情報の面でもしっかりしてもらわぬと困ると思っています。  そこで、大臣、私がなぜ停戦を言うかというと、日本にはその資格があるんです。それは殺傷兵器を送っていないからなんです。これ、皆さんよく考えてください。アメリカもドイツもフランスもイギリスも駄目なんです。トルコも駄目なんです、もう。イスラエルも中に入っちゃうけど、これ駄目なんです。みんな兵器を送っているから、商売しているから。今、世界のこのG20の中で物を言えるのは、日本は殺傷兵器を送っていないから言えるんですよ。G7では日本だけなんです。G20ではやっぱりインドが武器送っていないんです。中国が送っていない。ブラジルが送っていません。ブラジルの大統領も停戦強く言っていますよ。習近平さんも十二項目の和平提案出しましたよ。だから、ここはチャンスなんです。日本が武器を送っていない、いいんです。  そして、最後に大臣に、是非とも総理に言っていただきたい。ウクライナに行ってもいいことありませんから。ウクライナに行ったら、なおロシアは態度を硬化します。日ロ関係駄目になると思います。あるいは、和平の中にも入れません。ウクライナに行くよりも、日本にいてプーチン大統領に、あるいはゼレンスキーさんに、バイデンさんにばんばん電話して、ここは和平だと。もちろん、モディさんにも、ブラジルの大統領にも連絡取って立ち向かうのが私は今、日本がやるべきことだと思っているんです。  どうか決意のほどを大臣伺って、質問を終えたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) 時間ですので、答弁は簡潔に願います。 ○国務大臣(林芳正君) 亡くなった父親もお世話になりました大先輩の鈴木先生のおっしゃることでございます。まずはしっかりと総理とも共有させていただき、私も拳々服膺して対応してまいりたいと思っております。 ○鈴木宗男君 ありがとうございました。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  鈴木先生に引き続いて質問するのはなかなかやりづらさはありますけれども、頑張っていきたいと思います。  一昨日のあの浜田大臣の所信表明演説の中の文言の中に、危機管理の要諦、先ほど羽田委員も言及されていましたが、最悪を想定すると、今後とも、国民の生命、財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、冷静かつ毅然と対応してまいりますとおっしゃっておられました。この最悪の事態を想定する、これ非常に重要なポイントだと思いますけれども、本日はその最悪の事態も想定しつつ、国民保護という観点に関して一点のみ御質問をさせていただきたい、そのように思っております。  お手元に資料を配付させていただきました。国民保護に関するポイントで防衛三文書のところを抜粋したものでございます。  まず、一ページ目中ほど、国家防衛戦略の中に、ローマ数字のⅥ、一ポツ、国民の生命、身体、財産の保護に向けた取組、下の方、最後ですが、我が国への侵攻が予測される場合には、住民の避難誘導を含む国民保護のための取組を円滑に実施できるようにするという記載があります。そして、上の段、ローマ数字Ⅳ、防衛力の抜本的強化、六、機動展開能力、国民保護のところですけれども、最後のところですね、自衛隊は島嶼部における侵害排除のみならず、強化された機動展開能力を住民避難に活用するなど、国民保護の任務を実施していく、このように記載がございます。  他方で、この資料の二ページ目には一九四九年のジュネーブ諸条約の追加議定書を記載させていただきましたが、この六十七条にこのような記載があります。文民保護組織に配属される軍隊の構成及び部隊に関してですが、一ポツ、文民保護組織に配属される軍隊の構成員及び部隊は、次のことを条件として、尊重され、保護されると。(a)、要員及び部隊が第六十一条に規定する任務、これは文民保護任務に当たりますが、このいずれかの遂行に常時充てられ、かつ、専らその遂行に従事すること。その場合に、(b)、この(a)に規定する任務の遂行に充てられる要員が紛争の間ほかのいかなる軍事上の任務も遂行しないことというふうな記載がございます。  つまり、文民保護、住民避難に自衛隊のアセット、艦船等を使うことということは、それがその後、自衛隊が防衛出動した際に自衛活動に当たらない、当たることが難しくなる、そのような解釈にも見えるんですけれども、このジュネーブ条約の追加議定書六十七条の解釈について、まず外務省の方から御意見をお聞かせください。 ○政府参考人(今福孝男君) ただいま御指摘いただきましたジュネーブ諸条約第一追加議定書六十七条に規定されております文民保護の組織に関するお尋ねについてお答え申し上げます。  ジュネーブ諸条約第一追加議定書の六十一条(a)において、文民保護とは、文民たる住民を敵対行為又は災害の危険から保護し、文民たる住民が敵対行為又は災害の直接的な影響から回復することを援助し、及び文民たる住民の生存のために必要な条件を整えるため人道的任務の一部又は全部を遂行することをいうと定義されております。  お尋ねございました文民保護組織に配属されている軍隊の構成員及び部隊につきましては、同追加議定書六十七条に規定されているとおり、紛争の間、紛争の間ほかのいかなる軍事上の任務も遂行しないことなどの一定の要件が満たされている場合に限り文民保護組織の要員として尊重され、かつ保護されると考えられております。  お尋ねがございました自衛隊が住民の避難誘導等に当たるとしても、これが軍事行動から生ずる危険から住民を保護することを目的としたものであることを踏まえますと、このような活動がジュネーブ諸条約第一追加議定書を含めた国際人道法との関係で直ちに問題を生ずるものではないと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  直ちに問題が生じるものではない。ただ、問題が生じる可能性もあるような御理解かと思いますが、同じ御質問を防衛省の方にも確認したいと思います。  防衛のための機動展開に使用されるはずの自衛隊の輸送力、これを国民保護に使用すると、後日、この紛争が起こっている場合に自衛隊の機動展開に使えなくなる、そういう可能性がないんでしょうか。御見解をお聞かせください。 ○政府参考人(増田和夫君) 御指摘がありましたジュネーブ諸条約第一追加議定書第六十七条一につきましては、文民保護組織に配属される軍隊の構成員及び部隊について、紛争の間、他のいかなる軍事上の任務も遂行しないこと等を条件として、尊重され、かつ保護されることと規定しています。  他方、これは、ジュネーブ諸条約上の文民保護組織としての保護を受けない自衛隊の部隊が住民の避難誘導等に当たることを否定するものではなく、軍事行動から生ずる危険から住民を保護するために住民誘導等を行うものであることを踏まえますと、直ちに国際人道法に反しているとは言えないと考えております。  いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、警察、消防といった様々な関係省庁とも連携しつつ、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援などの措置を実施する考えでございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  ちょっとそこら辺がすごく微妙な解釈に当たるのかなと思っております。  ジュネーブ条約の六十七条に当たる場合、このオレンジ地に青い三角形のこの国際保護、ごめんなさい、これ配付資料に入れていないです、国際保護特殊証票、これを付けて、これを付けることによってこれは文民保護のために活動しているんだということを明確にして、それで文民と戦闘員とを分けて安全に国民保護を行っていくということだと思うんですけれども、今の解釈の説明ですと、つまり、自衛隊が国民保護を行う際にはこの国民保護特殊証票、これを付けずにやりますという、そういう趣旨でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  後ほどちょっと、詳細はちょっと確認をさせていただきたいと思いますけれども、このジュネーブ諸条約第一追加議定書の第六十七条の一に書かれております次のことを条件の一つに、の中に、先生が御指摘の文民保護の国際的な特殊証票、これを明確に表示することと書かれておりますので、この特殊標章を文民保護、まさにその住民の避難、当たる要員は付けるということになるのではないかと思いますが、いずれにしてもちょっと確認をさせていただきたいと思います。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  国民保護を行う際にはこの国民保護特殊標章を付ける、これがジュネーブの六十七に従って活動しているということの意図になるかと思いますので、六十七に従わないけれども、つまり、これを付けないけれども国民保護はやるということになりますと、自衛隊が攻撃の対象になる危険性があると。命懸けで国民保護をしてくださる、非常にそれは有り難いことなんですけれども、文民と戦闘員を分けていくことがその国民保護の大前提であることを考えると、やはりこういった証票を付ける方々が国民保護、住民避難を誘導していく、そのような方向の方がより安全性が高まるんではないか、そのように考えております。  資料の一ページ目の一番上、国家安全保障戦略のところには、武力攻撃より十分に先立って、南西諸島の住民の迅速な避難を実現していくということが書かれています。これは、事態対処法上の事態認定の中で武力攻撃予測事態が発動された場合に国民保護計画に基づいて避難が取られると、その際であれば、自衛隊の機動展開能力を住民避難に活用することが想定できるのではないか、そのような理解なんではないかと思っております。  この武力攻撃予測事態というのは、ジュネーブ条約の六十七条の紛争の間には該当しないという理解でよろしいでしょうか。外務省からお聞かせください。 ○政府参考人(今福孝男君) お答えを申し上げます。  一般論として申し上げますと、ジュネーブ諸条約は、基本的には武力紛争の当事国の間における関係を規律するものでございます。武力攻撃予測事態が認定された状況において、我が国がジュネーブ諸条約第一追加議定書第六十七条上に言う紛争の当事国に当たるか否かは、個別具体的に判断されるものでございます。一概にお答えすることは困難でございます。 ○金子道仁君 そうですね。ただ、今のお答えですと、該当しないとも該当するとも答えができないという趣旨だと思いますけれども、該当する場合にはこの証票を付けることができないということになりますので、該当しないという理解でこの証票を付けて自衛隊の艦船で南西諸島から人々が避難する、これを計画で準備しておかれるのかなと思います。  何でこんなことをしているかというと、来週の金曜日に沖縄県で沖縄県国民保護訓練が開催される、卓上でこういったことをシミュレーションされるというふうに伺っております。是非、その内容を私も承知しながら、早くこういう計画をしっかりと作っていく必要があるのではないかと、そのように考えております。  私、手元の資料だと、避難実施要領の計画、全国の市町村、千七百市町村の中で約半数が計画を立てているのに、沖縄は四十一市町村の中、四つしか計画が立ててないと。やはり、この沖縄戦の影響もあり、こういう避難計画を立てるということに対しての感情的なすごいわだかまりがあるとは思うんですけれども、やはり最悪の事態を想定して、沖縄こそこういった計画を真剣に考えていく必要がある。  ただ、この計画を考えるに当たって、やはりこの自衛隊のアセットというものをどれだけ国民の住民避難に使えるかというと、非常に心もとない、そのようなことなんじゃないかと思うんです。自衛隊のアセットを、機動能力をその例えば武力攻撃予測事態の時点で使いながら住民避難をしつつ、その最中に例えば武力攻撃が起こった場合には、もう住民避難を取りあえずおいておいて自衛活動の方に自衛隊のアセットを振り向けていく、そのような事態も想定されるんでしょうか。防衛大臣の御意見、お聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 一般論として、武力攻撃事態に至った場合には、防衛省・自衛隊は、主たる任務である武力攻撃の排除を行いつつ、警察、消防といった関係省庁と連携しながら、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援等の国民保護に係る措置を実施することになると考えております。  その上で、御指摘のような我が国に対する武力攻撃がなされた場合に自衛隊の部隊がどのような対応をするかについては、その時点における状況下で判断する必要があるものであり、一概にお答えできないものだと認識をしております。  いずれにせよ、武力攻撃により十分に先立って住民の迅速な避難を実施することが何よりも重要であると考えます。 ○金子道仁君 時間が参りましたので、最後、御意見だけさせていただきたいと思いますが、おっしゃるとおり、是非こういった訓練というか計画を速やかに進めていただいて、安全な国民の避難の計画を立てていただきたい。その際に、自衛隊の艦船が使えない可能性も非常に高いという中で、民間の海上輸送力の活用であったり指定公共機関の活用であったり、そういったこともしっかり考えながら、最悪の事態も想定しながら、速やかな国民避難の計画の立案に向けて御努力いただければと思います。  以上です。ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党の榛葉賀津也でございます。  通告した質問の前に、通告してないんですけれども、外務大臣、一つお伺いしたいと思います。  実は、共同の配信によりますと、WHOは八日、職員らへの人種差別的な発言などがあったとして内部告発されていた葛西健西太平洋地域事務局長を解任したという報道がありました。AP通信によりますと、この葛西氏は、特定の国に対して差別的な表現を使ったり権威的な態度を取ったことで主要スタッフが次々に辞任していったと、辞職していったと。このため、コロナ禍で各国の状況を把握することが困難になり、結果として各地で感染拡大につながってしまった。そして、そのほか、中国に対する調査に腰が引けていたとか、COVAXよりも日本にワクチンの供給を優先するようにWHOに圧力を掛けていて、また日本政府にワクチンに関する機密情報を提供したなどという報道があったんですね。これ、事実かどうか分かりません。しかし、解任されたのは事実であります。  これ、もし本当ならゆゆしき問題だと思うんですけど、大臣、御見解ございますでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) WHOの執行理事会は三月六日にジュネーブで特別会合を開催し、葛西WHO西太平洋地域事務局長の解任を決定したと承知をしております。  日本政府は、人種差別やハラスメントを容認しない、WHOを始め国連関連機関におけるゼロトレランス政策を支持するとの立場でございます。  本件に関して、地域委員会で選挙により選ばれた地域事務局長に対して処分を行うものであることから、調査、事実認定は公正公平に行われて、地域委員会加盟国がコミットした上で行われる必要があるという一貫した主張をしてまいったところでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  これ、WHOの内部の問題だけではなくて、我が国の外交上極めて重要な問題でございますので、是非大臣、事実関係が分かりましたら、多分、葛西氏も言い分があるんだろうと思います、是非、当委員会に事実関係の説明をしかるべきタイミングでできたらお願いをしたいというふうにお願いしたいと思います。  委員長、是非取り計らっていただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この葛西地域事務局長の行為の詳細につきましては、人事に関わる事柄の性質上、本会合が非公開で行われておりまして、関連する情報も非公開で加盟国に限定的に共有をされたものであることから、WHOから発表のあった以上のものについてお答えするということは差し控えさせていただきたいと思います。 ○榛葉賀津也君 これ、我が国の信頼にも関わる問題だと思いますので、今の大臣の発言で了というわけに私はいかないと思っています。我が国としてしっかりと対応もしていきたいと思います。  続きまして、旧朝鮮半島出身労働者問題、いわゆる元徴用工の解決策問題についてお伺いしたいと思います。  外務省には、まさに水面下で難しい交渉に当たられた船越アジア大洋州局長を始め、また現地でサポートをしていただいた相星大使を始めとする在韓国日本大使館の皆さんにも感謝申し上げたいと思います。  私も、この問題に関しては、先ほど佐藤理事がおっしゃったように、これ韓国国内の問題であって、日本が原則を変える必要は全くないですし、ましてや譲歩やそんたくなどということはあり得ないというふうに思います。それは論をまたないことでありますが、他方で、現在の東アジア、とりわけ日本を取り巻く安全保障環境を考えると、両国間の信頼関係が改善をして、日韓若しくは日米韓の安全保障協力強化がこれ極めて重要だというふうに思っています。その前提に立ちまして、幾つか確認をしたいと思います。  日韓は、歴史的にも感情的にも様々複雑な問題が絡み合って今日までやってまいりました。言うまでもなく、靖国問題、教科書問題、慰安婦問題、徴用工問題などなど、外交的に様々な問題があり、主に韓国からこの問題惹起をされて、日本が真摯に対応して、落ち着いたらまたちゃぶ台返しをするという繰り返しでございました。  ただ、私、防衛副大臣として防衛省の皆さんに御指導いただいて、一つ、目からうろこだったのが、外交的にも若しくは政治的にも、若しくは世論もメディアも、いろんなところで韓国が日本に対して感情的になり日韓関係が極めて厳しい中にあっても、実は、韓国軍と防衛省・自衛隊は、極めてローキーであっても信頼関係をずっとつくっていた。これは、自衛隊・防衛省のシビル、ユニホーム、両方の努力と知恵と、両国間の私は底辺にあった信頼関係、ミリ・ミリの信頼関係だと思います。  他方で、この唯一の常にあったミリタリー・ミリタリーの信頼関係が崩れてしまったのが、いわゆる二〇一八年十二月二十日のレーダー照射事件だと思っています。これ、関係者に相当衝撃が走りました。何があっても、ミリタリー・ミリタリーはローキーでも信頼関係あったじゃないかと、それがレーダー照射するというのは、これは尋常じゃない出来事でした。私も大変ショックでした。  今回、この外交上、事務レベルの様々な交渉があったんでしょうけれども、この日韓の交渉でこのレーダー照射事案というのは議題に上ったんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 御指摘の火器管制レーダー照射事案、これは旧朝鮮半島出身労働者問題とは別の問題であるわけでございます。  その上で申し上げれば、火器管制レーダー照射事案については、防衛省・自衛隊として、再発防止を含めた懸案の解決のため、韓国側と緊密に意思疎通を図っていく考えと承知をしております。  今般の韓国政府による措置の発表を契機として、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくこと、これを期待するところでございます。 ○榛葉賀津也君 今回、様々な問題がパッケージで議論されたわけで、私は今回の外交交渉は一定の評価をしますけれども、この問題の根本的な解決なくして日韓問題、特に今回は日韓、日米韓の安全保障体制をしっかりしようというのが言わば原点ですから、この照射問題を我が国の報告書だけで曖昧にして終わらせるわけに、私は、今後のですよ、より良い日韓のミリタリー・ミリタリーの関係含めてもいかないんだろうと思いますが、防衛大臣、今日までの経緯を少し御説明願えればと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 平成三十年の十二月の火器管制レーダー照射事案に関する韓国側との協議の詳細につきましては、相手国との関係からお答えを差し控えさせていただきますが、当該事案に関する防衛省の立場は、平成三十一年の一月に公表した最終見解のとおりであります。 ○榛葉賀津也君 その最終見解というのは、恐らく、私も承知していますけれども、非常に曖昧というか、うやむやに終わっていると言っても過言ではないと思います。我々の強い抗議と再発防止を求めたけれども、韓国からは余り、いわゆる塩対応の答えでしかなかったと。  GSOMIAも前に行こうとしています。観艦式にも韓国来てくれました。少しずつ私は信頼醸成もう一回つくらなければならないと思いますし、幸いにして、かの国は政権替わっていますから。  私は、両国間でもう一度真摯に、犯人捜しではなくて、やはり未来志向で協力強化するために、この事実関係と再発防止策を真摯に協議するということが大事だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 当然、今委員御指摘のとおりでありまして、我々とすれば、今後、一つの流れが来ていることは事実でありますが、しかし、その中にあっても、我々とすれば主張すべきところはしっかりと主張して話合いによって理解が整えばいい、我々とすればいいなと思っておるわけでありますけれども、まだ、その端緒がまだ開けていないということでありますので、今後とも努力をしていきたいというふうに思います。 ○榛葉賀津也君 バイデン大統領は、対北の問題含めてこの日韓の信頼関係、きずなもう一度と、そして日米韓、これをしっかりやらなければと、これ全くそのとおりです。  しかし、だからこそ、この問題というのは多くの関係者にまだ傷が残っていると思うんですね、癒えていません。これ、お互いが協力して、韓国を責める外交ではなくて、ミリタリー・ミリタリーの専門家同士の真摯たる対応を是非お願いしたい。それがひいては長期的にこの地域の安全に私は資するんだろうと思いますし、それによって初めて防衛三文書もより生きてくるというふうに思いますので、是非大臣の御指導をお願いしたいと思います。  次に、ティックトックについてお伺いしたいと思います。  ティックトックについては、プライバシーとセキュリティーに関して容認できないレベルの危険をもたらす可能性が指摘されていることから、アメリカ、欧州、カナダを始め世界各国で使用の禁止や制限が広がっています。EU議会では、業務用端末のみならず、私用の端末からもアプリを削除するように指示されていますし、インドに至っては、情報が中国に流出する危険が大だとして、ティックトックのみならず、全ての中国系アプリの国内使用を全面的に禁止をしています。  我が党は小さい党ですけれども、昨日の両院議員総会で、国会議員、秘書、党職員が使用する全ての端末についてティックトックの利用を禁止するという組織決定をいたしました。  政府は、これに対してどのような対応をされているでしょうか。 ○政府参考人(吉川徹志君) お答え申し上げます。  我が国においては、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準において、要機密情報を取り扱う場合には、ティックトックを始めとするSNSなどの外部サービスを利用することはできません。また、広報など要機密情報を取り扱わない場合であっても、様々なリスクを十分に踏まえ、必要な措置の助言を内閣官房に求めた上で利用の可否を判断しており、各省において必要と認められたもののみが許可されているところでございます。  こうした仕組みは、特定の国、企業の製品やサービスを排除するものではございませんが、政府としては、これらを適切に運用することにより、セキュリティーの確保に万全を期してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 もっともらしい答弁なんですけど、今皆さんのお手元に資料配付しました。この調達行為を伴わないSNS等の云々かんぬんというのが、いわゆるティックトック等のアプリを使用するとき気を付けてくださいねという文書らしいんですけれども、皆さん読んでください。私がばかなのかどうか分かりませんが、何回読んでもさっぱり分からないんですよ。で、玉木雄一郎に読んでもらって、やっと説明されて分かりました。余り大したこと書いていないですね、これ。  この通達で本当に我が国の情報守れると考えていますか。 ○政府参考人(吉川徹志君) お答え申し上げます。  我が国においては、基準により、要機密情報を取り扱う場合には、ティックトックを始めとするSNSなどの外部サービスを利用することはできません。また、要機密情報は取り扱わない場合であっても、様々なリスクを十分に踏まえた上で、必要な助言を求めた上で利用の可否を判断しておりまして、各省庁において必要と認められたもののみが許可をされているところでございます。  こうした対応は、特定の国、企業の製品やサービスを排除するものではございませんが、リスクが高いと判断されたSNSアプリが利用されることがないことを担保するものであり、欧米と比較して対応が不十分であるとは考えておりません。  政府としては、こうした仕組みを適切に運用することにより、セキュリティーの確保に万全を期してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 端的にお答えください。  これ、要機密情報を取り扱う場合はティックトック使用できないというんですが、私用の端末ならいいんですか。若しくは使わなければアプリを入れていても、使わなければいいんでしょうか。 ○政府参考人(吉川徹志君) ここに書いてありますように、使用しない端末に、使用できないサービスについては端末をダウンロードすることもできません。 ○榛葉賀津也君 じゃ、要機密情報でなければ注意すれば使っていいということですね。 ○政府参考人(吉川徹志君) 先ほど申しましたように、要機密情報を取り扱わない場合であっても、様々なリスクを十分に踏まえ、必要な措置の助言を内閣官房に求めた上で利用の可否を判断をしており、各省において必要と認めたもののみが許可をされているところでございます。  リスクが高いと判断されたSNSが利用されることがないことを担保するものでありまして、このような措置を十分に適用してまいりたいというふうに思っております。 ○榛葉賀津也君 もう少し分かりやすい通達出した方がいいと思います、みんなに分かる通達。そもそも何が要機密か皆さん分からないので、やっぱり使っちゃ駄目だと思うんですよね。もうアプリ入れるなと。業務用も私用もないんですよ。今全て、位置情報含めてありとあらゆる情報取っていますから、ここ、私、インドまでとはいかなくても、せめてEU議会くらい厳しくやらないと駄目なんだろうと思います。  それで、ここに書いてある、通達行為を伴わないSNS等って私よく分からなかったんですけども、先ほど調査室の方に聞いたら、つまりはこれ、ツイッターとかスカイプとか、無料でできるものは駄目よということですね。じゃ、有料だったらいいんですか。 ○政府参考人(吉川徹志君) 有料の場合は調達行為を伴いますので、調達行為を伴う規定についてはまた別途ございまして、それについては、同じように使う場合には内閣官房に助言を求めた上で判断をするというような規定がございます。 ○榛葉賀津也君 だから、そういうのも分かりやすく通達出してほしいと思います。  そして、今、防衛三文書の議論も華々しいんですが、やっぱり日米間で最も格差があるのがこのやっぱりサイバーセキュリティーや信頼の問題なんですね。ここをきっちり日本がやらないと、私は、ファイブアイズどころかナインアイズにもフォーティーンアイズにもこれ入れませんから、しっかりと私、やることが大事なんだと思うんですけども、これ、地方公共団体に対しては通達出しているんでしょうか。 ○政府参考人(吉川徹志君) 本通達は国の政府機関及び独法に関するものでございますので、その範囲となります。 ○榛葉賀津也君 地方公共団体はどうしたらいいんでしょう。ティックトックとか中国系アプリを使っても今問題ないということですね。 ○政府参考人(吉川徹志君) それぞれの機関に応じて、使う業務の内容及び使うソフトなどについてリスクを踏まえて判断することになるというふうに考えております。 ○榛葉賀津也君 それも駄目だと思うんですね、これ。  防衛装備品もそうです。メーカーさんは相当プロテクトしているんですけども、実は町の、中小の町工場から入ってくるんですね、これ。ですから、この問題は相当、いや、今の考えだとちょっと心もとなくなるんですけども、じゃ、次の質問しようと思ったけど、もう答え分かったので、例えばその防衛装備品のサプライヤーであるとか主要インフラ会社、例えば電気、水道、ガス、航空会社、鉄道会社、こういったところもまた国として徹底した指示をするべきだと思うんですけれども、大体想像できますので、ここも是非私はしっかりやるべきなんだろうと思います。  問題は、中国のやっぱり国家情報法、これがくせ者でございまして、国内外どこにいようとも、中国人と中国系企業は中国政府の要請があれば所有しているデータを全部提供しなければいけないと。今、ティックトックのユーザーは二千万人超えているんですね。なので、私の党はたった二十名の党ですけども、隗より始めよでやめようじゃないかとやめたんですけども、実はティックトックだけではないんです。有料ゲームアプリとか、実は、あえて名前言いませんけども、皆さんが知っているCMでやっているような何とか少女とか、有名な芸能人とか女優さん使って宣伝している、これ八百万人くらいダウンロードしているんですけど、これ全部中国製アプリなんですね。子供たちがやっているようなのも中国製のアプリいっぱい入っているんです。  日本語でやっているので日本製だと思いきや、実は全部中国製で、相当情報が取られている可能性があると思うんですけれども、こういったティックトックのみならず、こういった問題に対する問題意識というのは政府としてどのように今後考えていかれるんでしょうか。 ○政府参考人(吉川徹志君) 政府の使う情報システム、これは機密情報を取り扱うという観点から極めて重要だと思っておりますので、先ほど申し上げたような対応をしているところでございます。  民間につきましても、広く国民向けの施策といたしまして、政府では現在でもインターネットの安全、安心の利用のための啓発活動を行っているところでございます。例えば、周知強化月間の設定、あるいはハンドブックの策定、配布などをすることによって、特にSNSの利用時の留意点なども努めております。  こういうものを含めまして、引き続き国民における国家、インターネットの安全、安心に努めてまいりたいというふうに思っております。 ○榛葉賀津也君 政府の皆さんが御努力されているのは多としますが、この問題しっかりやらないと、安全保障上、アメリカからも、いや韓国からですら私は信用されないと思いますので、野党含めて私もしっかりとこの問題考えていきたいと思いますが、防衛省、外務省は、とりわけ情報保全、大事な分野でございますし、多くの職員、自衛官や外務省職員が国内外にいらっしゃいます。今の通達より独自で厳しい私は通達、ルールを決めるべきだと思うんですけれども、両大臣にこの認識をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 委員御指摘の点について、我々も問題意識をしっかりと持ってこれに対応すべく今後体制をつくっていきたいというふうに思います。 ○国務大臣(林芳正君) 当省では、御指摘のティックトックを業務では利用しておりません。また、職員個々人が私的に利用するソーシャルメディアについて、当省として把握することはしておらないわけでございますが、私物機器でのソーシャルメディア等の私的な利用については、特に規制ということではございませんけれども、こうしたサービスに様々なリスクがある旨、これを周知しておるところでございます。 ○榛葉賀津也君 特に若い自衛官とか、ゲームアプリとか、いろんな形で余暇を過ごして心をリセットしたいという気持ちもよく分かりますが、是非そういった問題について、そういう危険性もはらんでいるということを是非周知徹底をして、私は、できれば中国製のアプリは入れない、使わないということを徹底したいと思います。  実は、今日のメインは外務大臣からミュンヘン安全保障会議についてお伺いしようとして昨日徹夜で勉強したんですけれども、何と何とお時間がいっぱいいっぱいでございまして、この問題は後日改めてしっかりやりたいと思いますし、G20でいろいろ、大臣、各方面から御指導を頂戴しているようですけれども、このミュンヘン安全保障会議も極めて重要で、本当にいいパフォーマンスをしてくださいましたし、この欧米のウクライナに対する問題や様々な問題、相当な果実があったと思いますので、この問題については後日改めて質問したいと思います。改めておわびを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  以上です。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  両大臣の所信に関し質問します。  安保三文書について、岸田総理は一日の予算委員会で、今後は米国の打撃力に完全に依存するということではなくなると明言されました。日米安保の役割分担が大きく変わります。  これまで、日本政府は、米国の打撃力に完全に依存していて肩身が狭いとの誤った負い目を感じてきたのか、極めて不平等な日米地位協定を甘んじて受け入れ、基地周辺住民に過重な基地負担を強要してきました。沖縄では、米軍機の住宅地上空の超低空飛行と落下物事故が常態化し、基地周辺のPFAS汚染や米兵による事件、事故も頻発し、県民の暮らしを脅かしています。  安保三文書で、総理の答弁を前提にしても、日米安保の役割が変化し日本の防衛力がより自立的になるのですから、基地周辺住民の生命、財産を危険にさらす在日米軍の駐留は当然見直すべきです。少なくとも、日本政府が基地周辺住民に押し付けてきた過重な基地負担の元凶である日米地位協定も、より平等な内容に改正すべきです。  全国知事会は、二〇一八年八月と二〇二〇年十一月に日米地位協定の抜本的見直しを求める提言を政府に提出しています。提言は、航空法や環境法令など国内法の適用や、事件、事故時の基地への立入りなどを地位協定に明記すること、米軍訓練ルート、時期に関する情報を事前提供すること、基地の使用状況などを点検し、縮小、返還を促すことなど、ドイツ、イタリア、韓国など諸外国が米国と締結している地位協定で認められている当然の権利を求めています。  外務大臣、このような日米地位協定の抜本的見直しを実施すべきではありませんか。 ○国務大臣(林芳正君) 日米地位協定について様々な声があるということは承知をしておりますが、政府としては、これまでも米側と様々なやり取りを行いながら、事案に応じまして効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきておるところでございます。これまで、累次の日米合同委員会合意を通じまして日米地位協定の運用の改善を図ってきたことに加えまして、二〇一五年には環境補足協定、二〇一七年には軍属補足協定を締結したところでございます。  政府としては、このような取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿、これを不断に追求していく考えでございます。 ○伊波洋一君 この際、新たな基地負担を県民に押し付ける辺野古新基地建設も断念すべきです。  二月十六日に衆議院予算委員会に出席した北岡伸一公述人も、「沖縄の基地の移転問題であります。」と指摘をしながら、「あれは、想定、十年以上先にできるんですよね。一体お金は幾らかかるか。今、事態は緊迫しているんじゃないですか。十年以上先に完成するものにお金をつぎ込む余裕はあるんでしょうか。」と提案されています。「内閣の責任もあるけれども国会の責任もあると思うんです。」と厳しく指摘しました。移設計画の策定を担った故岡本行夫氏も、「あの頃はベストの案だったんだけれども」と言っていたそうです。  辺野古は、大浦湾の軟弱地盤の埋立工事ができるかどうかすら定かではありません。何年たってもできない施設が安全保障上必要とは言えません。できたとしても、これまでの二十六年と設計変更不承認を変更できてからの再着手から完成までの十二年を合わせると三十八年です。政府試算で総工費九千億円、沖縄県の試算では二兆五千五百億円掛かると言われています。厳しい財政状況の中で、大変な無駄遣いです。  在日米軍基地のグアム移転では、日本が総事業費八十六億ドルのうち二十八億ドルを負担して、キャンプ・ブラズやアンダーセン・ノースランプなど、海兵隊基地を整備しています。既に二十七・四億ドルが米側に提供され、これらが完成しているのですから、なぜグアムに海兵隊の訓練や部隊を移転させないのですか。もう既に米国は沖縄を中国のミサイル圏内にあると認識しているわけで、軍事的合理性もない、米軍が新基地を使うかどうかも分からないじゃないですか。  辺野古新基地建設計画を見直すべきではありませんか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 普天間飛行場の代替施設については、本年一月の2プラス2など、閣僚間を含め様々なレベルにおいて、日米間で累次にわたり、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針について確認をしてきております。その方針に基づき着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  その上で、地盤改良工事については、一般的で施工実績が豊富な工法によって行うことが可能であることを有識者に御確認をいただいております。また、工期については十分に合理的な工程となっているものと考えており、また、経費については、引き続き抑制に努めつつ、必要な経費を計上してまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 現在、美謝川の切替え工事も強行されていますが、大浦湾の埋立てが完成すれば河口が閉じてしまうからという、まさに仮定の上での工事です。それに伴い、基地内の森林を伐採し、自然破壊がどんどん進行しています。強く抗議いたします。  来年度予算には、与那国駐屯地への電子戦部隊の配備とともに、新たに地対空ミサイル部隊を配備する十八万平方メートルの土地取得予算が計上されました。これまで防衛省は、与那国には沿岸監視部隊など防御的な部隊しか置きませんから、と説明をしてきました。従来の説明と異なるのではありませんか。少なくとも、ミサイルを配備するなどの説明はなかったのではありませんか。なぜミサイル部隊を配備するのでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 御答弁申し上げます。  地対空誘導弾部隊は、我が国に飛来する敵の航空機や巡航ミサイルなどを迎撃する防御的な部隊でございます。防衛省といたしましては、平素から安全保障環境に即した部隊配備を行うため、これまで地対空誘導弾部隊等を奄美大島、宮古島に配備してきており、今月中には石垣島にも配備を予定してございます。  他方、現時点で与那国には地対空誘導弾部隊が配備されていないところ、平素より多様な経空脅威に対処し与那国を守れるよう、与那国駐屯地への地対空誘導弾部隊の配備を計画しておるところでございます。  防衛省としては、引き続き丁寧な説明に努めていく所存でございます。 ○伊波洋一君 自衛隊与那国駐屯地について、米軍は、昨年の日米共同演習、キーンソードで共同使用しました。  ミサイル部隊が配備される宮古島や石垣島でも、過去の住民説明会では、米軍による共同使用のために行っているものではありません、と言いながら、今度は米軍の共同使用が懸念されています。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  多くの地元自治体や住民から、日本政府による住民説明会を開催してほしいという強い要望が出されています。三月二十二日にも防衛省が石垣市で住民説明会を開催すると報道されました。国家防衛戦略でも、「国民の理解が深まるよう政府として努力していく。」と表明しています。  与那国や宮古島、そしてまた勝連でも、ミサイル配備について新たな住民説明会を開催すべきではありませんか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 日米共同訓練において米軍が自衛隊の施設を共同使用する場合に、あらかじめ関係自治体に説明を行ってきているところであります。その上で、御指摘の与那国駐屯地、宮古島駐屯地、勝連分屯地において、現時点で米軍との共同訓練を行う具体的な計画はありませんが、引き続き関係自治体に対し様々な形で情報提供させていただく考えであります。  また、与那国駐屯地においては、現在、新たに地対空誘導弾部隊の配備を計画しているとともに、勝連分屯地においては、令和五年度中に地対艦誘導弾部隊を配備する計画であります。これらの部隊配備に当たっても、引き続き関係自治体に対し、様々な形で情報提供させていただきたいと考えております。 ○伊波洋一君 是非、住民説明会を開催していただきたい。そのことこそが責任であると思います。  さて、沖縄戦に至る一九四三年夏頃から、沖縄島、伊江島、大東島、宮古島、石垣島などに日本軍の飛行場が建設され、民家や耕作地が強制的に収用されることもありました。一九四四年三月には、南西諸島防衛のために陸軍第三十二軍が創設され、七月から九月にかけて中国大陸や日本本土から沖縄に実戦部隊が送り込まれて、最終的に県民の四人に一人が犠牲になった沖縄戦の悲劇が起きました。  安保三文書や台湾有事を想定して南西諸島を要塞化する動きが急激に進められていることに、県内では、再び戦場になる、再び本土防衛の捨て石にされると、沖縄戦の再現を懸念する声が高まっています。  この間、日米のシンクタンクで実施された複数のシミュレーションでも、多くの民間人戦争犠牲者が生じることが想定されています。もし抑止が破れれば、万単位の自衛隊員が戦死、戦傷の犠牲になるということがシミュレーションもされています。  このような戦闘で命を落とした自衛隊員に対する補償はどうなっていますか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  自衛隊員が公務上の災害を受けた場合には、防衛省職員給与法の規定に基づき、負傷時には治療費の全額を国が負担するほか、障害の状態となった場合にはその程度に応じた障害補償が支給されます。また、死亡時には、御遺族に対して遺族補償や葬祭補償が支給されます。  これに加え、自衛官が防衛出動の職務に従事する場合など、生命又は身体に対する高度の危険が予測される状況下で障害の状態となった場合又は死亡した場合には、特別公務災害として通常の障害補償又は遺族補償等の額に最大五割を加算した額が支給されます。さらに、賞じゅつ金に関する訓令に基づき、別途防衛大臣が定める賞じゅつ金が授与されることとなります。 ○伊波洋一君 では、民間人の戦争被害の補償はどうなりますか。 ○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。  厚生労働省におきましては、旧陸海軍における軍人軍属など、国と雇用関係あるいは雇用類似関係にあった方々が公務上の傷病で障害を負ったあるいは亡くなられた場合に、使用者としての国の立場から、所管しております戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づいて補償を行っているところでございます。  御指摘の場合における補償につきましては、所管を超えるものでございますので、お答えを差し控えさせていただきます。 ○伊波洋一君 民間人は補償はないんですよね。いわゆる公務に関わった場合においてのみ、このさきの大戦でもそのことが行われているわけでありまして、これから起こるであろう南西諸島の戦闘、その中で犠牲になっていく民間人はまさに無駄死にと言わざるを得ないと、このように思います。  両大臣には、安保三文書を現実に実施していくことは、日本が自衛隊の戦死やあるいは民間人の戦争被害を生じるような世界に入っていくということを重く受け止めていただきたいと思います。今日まで自衛隊は一人の戦死者も出していないわけです。しかし、今こういう戦争計画がどんどん着実に動いていって、幾万というその戦傷病者が出る可能性が目の前にあるということをしっかり受け止めていただきたいと思います。  内閣府が七日付けで発表した世論調査でも、日本が戦争に巻き込まれる危険について八六・二%が懸念しているという結果になりました。自衛隊の規模についても、今の程度でよいという答えが五三%に上っています。  安保三文書によって、全国で戦争に巻き込まれる不安の声が高まっています。安保三文書は、長射程、いわゆるスタンドオフミサイルの装備を訴えています。防衛省は既存の部隊に配備すると言いますが、トマホーク、地上発射型、艦艇発射型、航空機発射型など、具体的にどこに配備されるのでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  スタンドオフ防衛能力につきましては、島嶼部を含みます我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に対して脅威圏外から対処するため、抜本的に強化していくこととしております。おりますが、それらの各種スタンドオフミサイルの具体的な配備計画については、現時点で何ら決定しておりません。現時点で確たることをお答えする段階にはないのでございます。  以上でございます。 ○伊波洋一君 いや、既存の部隊に配備すると言っているわけだから、トマホークなら例えばイージス艦に、地上発射型だったらミサイル部隊に、あるいは航空機発射部隊だったら既存の航空基地に配備されるということが当たり前ではないでしょうか。そうではないんですか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 艦艇発射のミサイルであればそれは艦艇に積み込み、航空機発射の航空機であれば航空機に積み込む、それは先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、それらを積み込んだ部隊としての、例えば航空機の部隊、これをどこの基地に置くのかということについては定まっていないということなのでございます。 ○伊波洋一君 いや、こういう整備は平時にやるわけですから、有事じゃないので、その平時に部隊がどこにいるかというのは、今全国に自衛隊がどこにいるかというような値があるわけで、当然そこを大きく変更するものではないわけでしょう。  つまり、既存の部隊に置くということは、一応まあいろいろ説明を受けているわけですけれども、そういうことじゃないんですか。基本的に、これらの長射程のミサイルにしても既存の部隊が運用をするということは受けているわけですから、そういうことになるんじゃないんですか。既存の部隊が運用するということは確かですよね。どうぞ。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先生御指摘のとおり、航空基地の数も無限にあるわけではなくて限られておりますし、船に載せるタイプのスタンドオフミサイルを想起した場合には、船に載せるわけでございますから、その船の大きな基地というものは限られた数しかないと。  その意味におきましては、それらの基地ということを想起し得るわけでございますけれども、具体的にどこの航空基地に、そういうスタンドオフミサイルを発射し得る航空機をどこに置くかというようなことはまだ定まっていないと、そういうことを申し上げたわけでございます。 ○伊波洋一君 まだ定まっていないけれども、そのような配備になるであろうと。  台湾有事をシミュレーションしたCSISシミュレーションでも、全国の港湾や飛行場が攻撃の対象になると想定してシミュレーションは行われたと、このように書かれておりますし、そういう意味では、そういう意味で全国的な被害があるということは明らかじゃないでしょうか。  さて、二月二十八日に厚労省が公表した人口動態統計の速報値で、二〇二二年の年間出生者数が八十万人を割り込んだことが報道され、大きな衝撃を与えました。  また、昨年十二月六日にゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部が、今、配付資料二のとおり、二〇三五年頃には中国のGDPが米国を上回り、二〇七五年にはインドのGDPが米国を上回るとする「グローバル・ペーパー 二〇七五年への道」を公表しました。二〇七五年には、インドネシアとナイジェリアが五大経済大国に浮上し、日本は現在の三位から十二位に、イギリスは六位から十位に、ドイツは四位から九位に転落すると予想されています。こうしたアジア、アフリカ新興国への急激なパワーシフトを直視すべきです。  この資料によりますと、二〇七五年に、現在G7の国は十五位までの中に五つしかありません。残りは新興国ですね。そういう意味で、やはり日米安保は、この日本を戦場にし、国民を犠牲にして、米国の覇権、米国の国益を守るものになっているだけです。日本の外交・安全保障政策について、いつまでも対米追従、日米同盟一本でやっていくという考え方にすがり続けるべきではないのではないでしょうか。  日本として、これからの世界の動向を踏まえて、日米同盟やG7諸国だけでなく、これから急激に成長する諸国を含めたアジア、アフリカ、ラテンアメリカを視野に入れた外交・安全保障政策を検討すべきではありませんか。 ○国務大臣(林芳正君) ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化するには、国際社会の幅広い支持と関与が不可欠であります。そうした観点から、経済的な発展を遂げ、国際社会における影響力が増している途上国、新興国、こうした国々との関係を強化することは重要だと考えております。  こうした考えに立ちまして、二〇二一年の十一月の大臣就任以来、個別の会談や訪問に加えまして、昨年八月にはTICAD8、また九月には国連総会、そして十一月にはAPECやG20と、こういった多国間会合の機会も捉えて各国への関与に取り組んできたところでございます。  こうした各国との対話を通じて再確認をいたしましたのは、こうした時期だからこそ、日本は日本らしいきめ細やかな外交、これを主導すべきだということでございます。G7議長国として、多様性、また包摂性、こうしたものを重視するきめ細やかな外交を通じまして、法の支配に基づく国際秩序の維持強化が国際社会全体にとって極めて重要だと、こうした点を強く訴えていくと同時に、気候変動、エネルギー、食料、保健、開発等のグローバルな諸課題の解決に積極的に貢献してまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 今、日本にとって最優先の政治課題は、この安保三文書、米軍が来援することを前提に、五年で四十三兆円、後年度負担を含むと六十兆円もの税金をミサイルを爆買いする軍拡に充てるべきではなく、これを、その充てる軍拡だということは国民の誰も考えていないんじゃないでしょうか。そうではなくて、昭和から続いてきて金属疲労を起こしている社会の様々な制度を改革して、深刻な少子化に対処したり、経済の成長と賃金の上昇につなげたり、米国などG7諸国だけでなく、広く新興国を視野に入れた外交で日本の安全保障を確立していく、そのための予算が必要なら外務省予算を増やすことも考えていいのではありませんか。  六十兆円もの大軍拡が本当に今必要でしょうか。外務省の予算、むしろ増やした方がいいんじゃないですか。外務大臣、いかがですか。 ○国務大臣(林芳正君) もちろん、外務省の予算は増やしていただきたいという気持ちは常に持っておりますが、一方で、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化すると、このことの重要性がより一層高まっております。  こうした中、まず優先されるべきは積極的な外交の展開でございます。同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要であります。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのかとの観点から防衛力の抜本的強化を具体化したところでございます。  その上で、外交力、防衛力を含む総合的な国力、これを最大限活用していく必要があり、そうした中で、現実的な外交を積極的かつ力強く展開していくとともに、防衛力の抜本的強化のための施策、これに早急に取り組んでまいります。  外務省として、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋実現に向けた取組の更なる推進を含む同志国等との連携、中国や北朝鮮を含む周辺国・地域との外交などの戦略的アプローチを着実に実施することによりまして、我が国を取り巻く安全保障環境の改善、これに取り組んでまいります。 ○伊波洋一君 日中間には日中共同声明や日中平和友好条約があります。いわゆる戦争しない関係をつくっているんですね、条約として。まさにそれを強固なものにすることこそが、安全保障の仕組みとしての武器を作ることよりははるかにもっと健全であり、それが将来的にも発展につながっていくんではないかと、このように思います。  三月五日から始まった中国の全人代で、国防費が昨年比七・二%増、日本円で三十兆円にも上ることが報道されました。五年で四十三兆円という日本の大幅な軍拡が中国の軍拡を刺激していくという軍拡競争の悪循環を呼び起こすのではないかとの懸念が現実化しています。  この十年でGDPの規模が約四倍の差が付いた中国と日本が軍拡競争をしても、それこそアメリカとの軍拡競争によって旧ソ連が崩壊したように、日本社会が崩壊してしまうのではないでしょうか。防衛大臣、そのような懸念はないですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我が国の防衛政策や防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものでありません。  その上で、防衛費の規模については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーション等を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、導き出したものであります。これらは、憲法及び国際法の範囲内で、また専守防衛の考え方を堅持した上で、あくまで国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要となるものであり、御指摘のような中国との軍拡競争を行うものでありません。  また、あえて中国について申し上げれば、我が国が防衛力の抜本的強化を政府の方針とするはるか以前から、過去二十年以上にわたり高い伸び率で国防費を増加させてきたところであります。 ○伊波洋一君 それは中国が成長しているからですよね。  国家防衛戦略では、「相手の「能力」に着目した防衛力が必要」と強調しています。「相手の「能力」」とは、具体的に中国の軍事力のことを想定しているのでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  我が国の防衛政策や防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではございません。 ○伊波洋一君 いや、「相手の「能力」に着目した防衛力」と言いながら相手が特定できないのでは、現実的に日本がどの程度の能力あるいは防衛力を持てば防衛力の構築として妥当な水準なのか議論ができないのではありませんか。特定の相手国を想定しているが、事柄の性質上、答えられないということですか。 ○政府参考人(増田和夫君) 御指摘の記載は、我が国を取り巻く戦略環境について説明したものでございますけれども、中国を念頭に防衛力整備を進めると記載しているわけではございません。  現に地域に存在する軍事力の全体像や今後の見通しを踏まえてはおりますが、そのことは、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っていることを意味しているわけではございません。 ○伊波洋一君 日本列島は長くて、ロシアから北朝鮮から中国まで、要するに三大の核大国を我々は横にしているわけです。その全部に相手にしていたら、とんでもないけど日本がもつはずありません。でも、議論はいつも南西諸島じゃないですか、島嶼防衛とかといってですね。そもそも、今の安全保障は余りにもいびつです。やはり、いかなる国と比較しても軍事的な優位を保たなくてはならないという、そんなゼロリスク論の軍拡では、究極の兵器、現時点では核武装にまで行き着かざるを得ないと、こういうことになるのではないでしょうか。実際、米政府が日韓両政府に対し核抑止力をめぐる新たな協議体の創設を打診し、日本政府はこれを受諾すると報道されています。  国家防衛戦略に踏み込んでいくと疑問が幾つも湧いてくるのですが、特に問題なのはいわゆる反撃能力の定義の記述です。  皆さんの手元に出している国家防衛戦略の十ページには、その資料四ですけど、「この反撃能力とは、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力をいう。」というふうに書かれています。  確認ですが、この「我が国に対する武力攻撃」というとき、「我が国」は日本のことですか、ですよね。密接な関係にある他国は含みませんね。答えてください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の記載箇所における我が国とは、日本を指しているところであります。  その上で、緊密な、密接な関係にある他国についてお尋ねがありましたが、この点については、国家防衛戦略において、反撃能力については、一九五六年二月二十九日に政府見解として、憲法上、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能としたものの、これまで政策判断として保有することとしてこなかった能力に当たるもの。この政府見解は、二〇一五年の平和安全法制に際して示された武力の行使の三要件の下で行われる自衛の措置にもそのまま当てはまるものであり、今般保有することとする能力は、この考え方の下で、今申し上げた三要件を満たす場合に行使し得るものと、旨を記載しているところであります。 ○伊波洋一君 いや、その武力行使の三要件というものには、実はその存立危機事態でも反撃能力は行使するというふうに岸田総理は、そういう答弁をしているように思えるんですね。  私は、懸念するのは、日本は一度も攻撃されないのに、そういういわゆる安倍政権でつくったその武力行使の三要件、存立危機事態なり、集団的自衛権の中で、我が国が攻撃はされてないけど反撃ミサイルを行使すると、そういうことになってしまうのではないかという懸念を持っているわけですよ。  そのことは、まさに私たちが中国を相手に大きな戦争を仕掛けていくことになって、だから存立危機事態で反撃能力を行使できるとする見解は撤回すべきではありませんかと。先ほど答えたのと似ているかもしれませんが、そういうことをしっかり聞いていきたいと思います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 存立危機事態は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって無条件で認定されるものではなく、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に認定され、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使にとどまる場合において自衛の措置として武力を行使することができる、ことが許容されます。  したがって、存立危機事態における対応は、他国の防衛ではなく、あくまで我が国の防衛のために行うものであり、個別具体的な状況に照らして我が国の国民の命と平和な暮らしを守り抜くための措置を判断し、対応していくものであります。  その上で、事態認定後の反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して武力行使の、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置としていかなる措置をとるかという観点から、個別具体的に判断をいたします。 ○伊波洋一君 ただいまの答弁ですね、やはり反撃能力、すなわち敵基地攻撃能力を行使できる見解については、やはり内閣法制局の責任ある検討も踏まえて、政府として統一的な見解を委員会に示していただくようお取り計らいをお願いしたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 政府はどうしても存立危機事態でも敵基地攻撃能力を行使できる余地を残したいようですが、それは、この自衛隊の長射程ミサイルが米中のミサイルギャップを埋めるものとして米国の戦略に組み込まれているからでしょう。しかし、行使すれば日中戦争となり、配付資料五の赤色に日本が入っているように、中国の何千ものミサイルの射程に日本はあるんですね。我が国全土が戦場にされます。  さらに、配付資料六は米軍が説明している図ですが、反撃力の名目で長射程ミサイルが急がれている理由を示しています。同心円の中心は米軍の空母打撃群で、イージス艦のレーダーは約一千百キロをカバーし、空母から発進したF35がレーダーのカバーできるぎりぎりの地点から射程三百七十キロの空対艦ミサイルを発射すると、空母から千四百七十キロまでは米軍の勢力圏です。しかし、それでは台湾や中国には届かない。本土には届かない。空母は、西に進めば、通称空母キラー、中国のDF21Dミサイルの千五百キロの射程に入ってしまいます。さらに、現在もう既に、中国は既にグアムを超える射程四千キロのDF26も開発、試射済みで、配備される見込みです。  配付資料七にあるように、米国は在日米軍への地上発射中距離ミサイルの配備を検討していましたが、日本が反撃能力の導入で長射程のミサイルを保有することになったため不要と判断しましたと報道されています。  日本の反撃能力、長射程ミサイルは、自衛隊が現時点で目標情報を収集し、リアルタイムに伝達し得る指揮統制に係る能力を保有していないため、米軍の目標情報に頼らざるを得ません。また、発射の際には米国とのコンサルテーションも求められています。米国があえて直接軍事介入しなくても、台湾海峡や中国本土への攻撃は米軍がコントロールできます。  時間になりましたので終わりますけれども、是非こういう問題、大きな問題を抱えている、そのことをやっていくことの危険性を指摘をして、また次へつないでいきたいと思います。  ありがとうございました。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  東京多摩地域の井戸水や水道水から人体に有害な有機フッ素化合物、PFASが検出されています。多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会が一月三十日に会見し、血中濃度調査の中間結果を発表しました。この調査は昨年十一月から六百人を対象に行われ、今回報告されたのは国分寺市や小平市など七市の八十七人分です。PFASのうち主要な四種類、PFOS、PFOA、PFHxS、PFNAで、米国の指標値を超えた人が全体の八五%、七十四人に上ったとされます。  まず、厚労省に伺います。  血中濃度については、米国やドイツは指標値を定めていますが、日本には暫定的な基準もありません。残留性が高く、生体内に蓄積されやすい性質が指摘されています。健康への影響を考慮した基準が必要ではないでしょうか。 ○政府参考人(山本史君) お答え申し上げます。  委員御指摘のPFASにつきましては、免疫系や肝臓等への有害な影響の原因となり得ることが指摘されておりますが、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかにつきましては、現時点では必ずしも明らかではなく、我が国において血中濃度の基準は設定されていないと承知しております。 ○山添拓君 いや、ですから作るべきなんじゃないかということなんですね。水については暫定値を設けられました。今、さらに基準にするべく検討もされているかと思うんです。そのような検討はされるんでしょうか。 ○政府参考人(神ノ田昌博君) ただいまの厚生労働省の答弁のとおりでございまして、現時点では、国際的に見ても、PFASについては血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的な知見は十分ではないというふうに承知をしております。  環境省としては、一月に総合戦略に関する専門家会議を立ち上げたところでありまして、様々な科学的知見を収集、評価した上で、国民の安全、安心のための取組を進めてまいりたいと存じます。  あと、ドイツの指標については、これは健康影響の関係を判定するというようなものではなくて、どういう性格のものかといいますと、暴露の状況を評価するということで、ドイツも、この数値を超過した場合に必ずしも個人の健康障害を引き起こすものではないというふうにされております。 ○山添拓君 そう環境省はおっしゃるんですけれども、環境省自身は、二〇一〇年度から十万組の母子を対象に、PFASを含む化学物質の発育への影響を調べる血中濃度調査を行われていますよね。調査されているんですよ。  しかし、これは成人一般は対象にされていませんので、これは厚労省に伺いますが、やはり疫学的に調査をしていく、そういうことを検討されるべきではありませんか。 ○政府参考人(山本史君) 血中濃度につきましては、先ほど厚生労働省から、また環境省からもお答え申し上げたところでございますが、今後、科学的知見の収集なども含め、関係省庁と連携しながら検討してまいりたいと思います。 ○山添拓君 知見がないということをおっしゃるんですけれども、知見を収集しようとしてこなかった、その不作為の結果が現状でもあると思います。ですから、これは放置すべきではありません。  検査で高い値だった住民の方と懇談もしました。国分寺の水はおいしいと聞いて飲んできたし、子供たちにも飲ませてきた、結果を知って苦しい、なぜこんなことになったのかと口々にお話しでした。  環境省にこれは伺います。  二〇二〇年六月に策定された手引には、排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討することが考えられるとあります。原因究明のための調査を推奨しています。これは誰に向けたものですか。 ○政府参考人(針田哲君) お答えいたします。  委員御指摘のPFOS、PFOAに関する対応の手引は、PFOS及びPFOAが目標値を超えて検出された場合等の対応の参考になるように都道府県などに対して発出したものでございます。  環境省といたしましては、当該手引に基づく対応が都道府県など各自治体で実施されることを想定しております。  以上です。 ○山添拓君 原因究明のための調査の必要性が指摘されています。  防衛大臣に伺います。  多摩地域で高濃度のPFASが確認された井戸水の範囲は七市三十四本です。全て米軍横田基地の東側なんですね。多摩地域の地下水というのは西の山地から東の平野部に向かって流れており、汚染源は西側の可能性が高いとされます。汚染源として横田基地を初めて推定したのが、京都大学小泉昭夫教授らの二〇〇五年の論文でした。その後、横田基地で大量のPFASを含む泡消火剤の漏出があったことが英国人ジャーナリスト、ジョン・ミッチェル氏の調査で裏付けられています。  防衛大臣は、横田基地内での土壌や地下水の調査が行われたかどうか把握しておりますか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 横田飛行場に関し、土壌や地下水に関する調査については承知しておりませんが、基地内の井戸水を利用した飲料水に関する水質検査を米側が実施をしており、二〇二〇年の検査におけるPFASの濃度は、最大値で二十八・八ナノグラム・パー・リットルであったと承知をしております。 ○山添拓君 それは横田基地内のどの場所で採取されたものか御存じですか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  今大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、これ以上の詳細につきましては、米側に今確認をしているところでございますので、現時点でお答えすることはできません。 ○山添拓君 二〇二〇年、東京都の調査では、横田基地近くの立川市の井戸で千三百四十ナノグラム・パー・リットル、これは国内暫定基準値の二十七倍もの高濃度の汚染です。ところが、米側は、都の調査は横田基地の担当者がいない状況で行われたため結果を検証できないなどと言って、その結果自体認めていないんですね。  環境省は、排出源の特定のための調査を推奨しています。ですから、日本政府としても、これは米軍に立ち会わせた上で、防衛省として横田基地への立入調査を行うべきじゃありませんか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  PFOS等のその問題への対応について、自治体とのその連携が重要であるというふうには考えてございます。  横田飛行場につきましては、周辺自治体からは、基地内において徹底した安全対策を講じる必要があるとの観点から、米側が保有するPFOS等を含む泡消火剤の早期交換でありますとか、適切な処分などの内容を含む要請をいただいているところでございます。  防衛省といたしましては、いただいている要請も踏まえて、米側に対し、施設の安全管理の徹底や泡消火薬剤の速やかな交換を求めております。  今後、周辺自治体から、その立入りに係る具体的な要請等がなされた場合には、関係省庁と連携をいたしまして、米側に働きかけてまいります。 ○山添拓君 米軍基地を原因とするPFAS汚染は相次いで発覚しています。米海軍横須賀基地では、昨年五月、排水処理施設で業者が特異な泡を発見し、六月末のサンプリング結果で国内暫定基準値の二倍、その後も検査のたびに濃度が高くなり、九月には最大二百五十八倍の排水が海に流されていました。  防衛省に伺います。原因は分かったんでしょうか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  米海軍横須賀基地のその排水にPFAS等が含まれていた事案の関係でございますけれども、この原因につきましては、現在米側の方で原因を究明中であるというふうに承知をいたしております。 ○山添拓君 活性炭フィルターが設置され、排水後の値は下がったんですが、このフィルター通過前は依然として高濃度が検出されているといいます。原因の特定は、この排水処理施設内の汚泥や排水がたまる二十二か所のリフトステーションのサンプリング結果が鍵とされています。昨年、米側からは、このサンプリング結果について日米間で調整すると伝えられていたはずですが、結果が公表されていません。なぜでしょうか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  横須賀海軍施設の排水処理施設からPFOS等を含む排水が流出した事案に関しまして、米側は、排水処理施設内にたまっていた汚泥でありますとかリフトステーションと呼ばれる基地内の排水を集約する場所においてサンプリングを行ったと承知をいたしてございます。  このサンプリングの結果につきましては、横須賀市からも提供を求められておりましたけれども、米側からは、汚泥及びリフトステーションのサンプリング結果は米海軍内の運用に関するものであり公表することはできないと、施設・区域内における環境管理については引き続き米側で実施する旨の説明を受けております。  その上で、米側はこの事案が発生した原因の究明を引き続き行っているというふうに承知をいたしているところでございます。  防衛省といたしましては、米側に対し、施設の安全管理と再発防止の徹底を引き続き求めるとともに、米側からその原因に関する情報が得られた際には、その内容も踏まえて、御指摘のそのサンプリングの結果も含め、更なる詳細な情報提供を求める等の対応を行ってまいります。 ○山添拓君 今、内部運用とおっしゃったんですね。汚泥の内部運用があるんですか。あるいは排水の内部運用、それはどういう意味ですか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  リフトステーションや汚泥のサンプリング結果から基地内の配管の構造でありますとか地形情報が推察されることによりまして、基地の安全管理に支障を及ぼす恐れがあるのではないかというふうに推察されますけれども、米側からは、米海軍内の運用に関するものであり公表することはできない旨説明を受けておりまして、それ以上の詳細についてはお答えすることは困難ということを御理解いただきたいと思います。 ○山添拓君 いや、検査の結果ですから数値ですね、その数値について内部運用、これはやっぱり到底理解に及ばないところです。  昨年十二月、防衛省や環境省、横須賀市が立入調査を行いました。その際、横須賀市は、排水処理施設の二つの排水ラインのそれぞれ入口と出口で調査し、フィルター処理後の排水のサンプリングも希望していましたが、実施できなかったということでした。結局、立入調査はどこで行われたんでしょうか、なぜ市の希望した調査ができなかったんでしょうか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  昨年十二月十五日、環境補足協定に基づきまして、国及び横須賀市による同施設への立入りを実施をいたしました。この立入りにおきましては、横須賀市からの要請も踏まえまして排水処理施設に設置された粒状活性炭フィルターの稼働状況等を確認するとともに、これまでに米側が実施したサンプリング等についても説明を受けたところであります。  また、粒状活性炭フィルターを通過した排水が最終的に放出される提供水域内において、日米共同でサンプリングを実施をいたしました。このサンプリングの結果につきましては、環境省の定める水環境中の暫定指針値を下回るものでありました。  引き続き、米側に対しまして、施設の安全管理、再発防止の徹底、原因の究明を求めてまいります。 ○山添拓君 提供水域内ということは、排水が放出された後の海水ということですね。なぜそうなったんですか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  横須賀市からは、粒状活性炭フィルターにより処理後の排水のサンプリングというところについても要望を受けておりました。この点については、米側からは排水に関するPFOS等の濃度について日本国内の排水基準が定められていないことなどの説明があり、このサンプリングの実施については調整が整いませんでした。その排水が最終的に放出される提供水域内で日米共同でサンプリングを実施することとなったところであります。  一方で、この粒状活性炭フィルターにより処理後の排水につきましては米側においてそのサンプリングを定期的に実施をしておりまして、その結果については日本側に適切に提供すると、PFOS等についてはJEGSに基づいて適切に管理を行っていると米側から説明を受けているところでございます。  その上で、米側からは、粒状活性炭フィルターを通過した後の排水につきましては、十一月十八日のサンプリング調査についてはPFOS等は不検出であったと、また、十二月九日のサンプリング調査においてもPFOS等は不検出だったといったその説明を受けているところでございます。 ○山添拓君 立入調査で得られた結果は公表されていますか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げたその米側において定期的に実施しておりますサンプリングの結果につきましては……(発言する者あり) ○委員長(阿達雅志君) 発言は委員長の指名を受けてからお願いいたします。 ○山添拓君 立入調査で、補足協定に基づいた立入調査で得られた結果です。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  環境補足協定に基づいて国及び横須賀市による立入りにおけるサンプリングにつきましては、粒状活性炭フィルターを通過した排水が最終的に放出される提供水域内において日米共同で実施をしてございます。  得られたサンプリングにつきましては、現在公表に向けた調整を行っているところでございまして、調整が整い次第公表する予定であります。 ○山添拓君 二か月半以上たっていますが、米側が応じた調査ですら結果が明らかではありません。  昨年十月と十二月、厚木海軍飛行場でも立入りが行われましたが、やはり結果はまだです。二〇二〇年、普天間のケースでは立入りから公表まで五か月、二一年、沖縄の陸軍貯油施設は半年掛かりました。結果の公表までこれほど時間が掛かるのは、大臣、なぜですか。 ○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。  まず、横須賀のその事案について申し上げますと、現在、その公表に向けた調整を米側と行っているところでありますけれども、米側とはその公表の段取りでありますとか形式等について現在調整を行っているところであります。 ○山添拓君 不十分な調査なんです。しかし、その結果でさえ米側の都合で、あるいは防衛省側の都合なんでしょうか、結果の公表が先延ばしにされています。横須賀市と米軍が直接交渉した、協議をした際には、九月末の調査結果が十月六日には伝えられているんですよ。だから、伝えようと思えば伝えられるはずです。しかも、今回は日本が入って自ら調査した結果ですよね。なぜストップが掛かっているんでしょうか。  この調査は、環境補足協定に基づいて行われています。これは、二〇一五年九月、当時の岸田外務大臣が署名し、法的拘束力を有する国際約束により規定を設けた、従来の運用改善とは異なる歴史的な意義を有すると自画自賛されていたわけです。  ところが、その補足協定の内容は、米軍基地への適切な立入りを行うことができるよう合同委員会が手続を定める、あるいは、協定の実施に関する事項は合同委員会で協議を開始する、実施に関連して紛争が生じた場合は合同委員会で解決する、全て日米合同委員会の協議次第です。  大臣に伺います、外務大臣に伺います。  法的拘束力とは一体何でしょうか。この協定上、日本側の権限や米国側の義務というのは定められていますか。 ○国務大臣(林芳正君) 在日米軍は、これまでもPFOS等の漏出が起こった際には日米間の合意に従って日本側に通報を行ってきておりまして、地元からの要望がある場合には、先ほど、失礼いたしました、地元からの要望がある場合には、環境補足協定に基づき、地元自治体とともに米軍施設・区域内への立入り等を実施してきております。  米側から通報がない場合であっても、日本側として、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えていると信ずる合理的理由のある場合には、別途、日米合同委員会合意、これは環境に関する協力についての日米合同委員会合意、一九七三年のものですが、これに従って米側に調査要請や立入り許可申請等を行うことが可能でございます。  今年一月に行われた日米2プラス2におきましても、私から、環境に係る協力強化、これを要請し、日米間で環境に係る協力を強化することを確認したところでございまして、我々としても、地元の方々の関心に応えられるように、米軍施設・区域内外の環境対策、これが実効的なものとなるように、環境省を始めとする関係省庁と連携して引き続き取り組んでまいります。 ○山添拓君 大臣、協力の強化を2プラス2でも求められたと、それが書き込まれたということをおっしゃったんですけれども、今聞いていただいて、例えば横須賀の問題、補足協定に基づいて立入りを行ったけれども、しかし、それに当たって市が求めた当然の調査ですら行えない、しかも結果もなかなか公表されない。これは協力強化されているんですか。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この日米間の合意に従って在日米軍から通報を行う、また、地元からの要望がある場合には、この地元自治体とともに米軍施設・区域内への立入り等を実際に実施をしてきておるというところでございます。こうした協力について更に強化をするということを2プラス2で確認をしたところでございます。 ○山添拓君 先ほどの私の質問にお答えがなかったんですが、補足協定上は米側の義務というのは書かれてないんですね。 ○政府参考人(河邉賢裕君) 環境補足協定につきましては、委員御指摘のとおり、これは法的拘束力を有すると、そういう協定でございます。 ○山添拓君 しかし、具体的にどんな義務があるのかということを先ほどからお答えにならない。  大臣、例えばドイツでは、二〇一二年以降、PFAS汚染の可能性がある連邦軍や駐留米軍の施設・区域調査して、二十五か所で汚染を確認し、そのうち五か所は米軍基地だったそうです。  日本では、調査もそのための立入りもままならない状況があります。この違いはなぜ生じているんでしょうか。 ○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。  他国との比較につきましては、それぞれの国の事情等がございますので、一概には比較できないと思ってございます。  いずれにしましても、環境補足協定が実効的にきちんと運用されるように引き続き努力していきたいと思っております。 ○山添拓君 沖縄県の調査で、在欧米軍司令部が置かれているドイツのラムシュタイン・ミーゼンバッハの市長は、市長や市の職員には年間パスが支給されており、適切な理由があれば基地内への立入りは可能である、一度に入れる人数や時間帯について制限はあるが、これまで市の立入りが認められなかったことはないと答えているそうです。  ベルギーのシエーヴル米空軍基地の広報官は、周辺自治体の首長が基地内への立入りを希望した場合には当然基地内に入ることを許可する、首長は電話で依頼するだけで基地に入る許可が得られる、首長だけでなく市役所の職員でも基地内には当然入ることができる、基地はベルギーの領土内にあるのだからと述べています。  この違いは何でしょうか。大臣、これはお答えいただきたいんですよ。この違いは何ですか。 ○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、米国とほかの国との環境に関する取決めとか協定等、我が国と米国との間の環境補足協定の内容とか、そこら辺につきましては一概に比較できるものではないと思っております。  繰り返しになりますが、環境補足協定の実効性がきちんと運用されるように引き続き努力してまいりたいと思っております。 ○山添拓君 これ、比較するまでもなくもう明らかだと思うんです。違いの理由は政治の姿勢ですよ。対米従属の日本政府のありようがここに表れていると思います。国民の命を守ると言いながら、命の水が米軍によって危険にさらされていても調査すらできないというのは異常だと思います。  運用の改善は当然必要ですが、補足協定を実効性あるものに改定するとともに、より根本的には日米地位協定の抜本的な改定を行うよう求めて、質問を終わります。 ○委員長(阿達雅志君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会