第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 令和5年3月17日 令和五年三月十七日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      古庄 玄知君     堀井  巌君      金子 道仁君     青島 健太君      鈴木 宗男君     音喜多 駿君  三月十三日     辞任         補欠選任      青島 健太君     金子 道仁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 山口那津男君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    内閣官房副長官        内閣官房副長官  磯崎 仁彦君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       廣瀬 健司君        総務省大臣官房        審議官      山碕 良志君        外務省大臣官房        長        志水 史雄君        外務省大臣官房        儀典長      島田 丈裕君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        審議官      中村 和彦君        外務省大臣官房        審議官      日下部英紀君        外務省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        参事官      大槻耕太郎君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      林   誠君        外務省大臣官房        参事官      中村 仁威君        外務省大臣官房        参事官      西永 知史君        外務省北米局長  河邉 賢裕君        外務省経済局長  鯰  博行君        外務省国際法局        長        御巫 智洋君        資源エネルギー        庁長官官房資源        エネルギー政策        統括調整官    南   亮君        資源エネルギー        庁長官官房資源        エネルギー政策        統括調整官    山田  仁君        国土交通省航空        局次長      新垣 慶太君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○令和五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送  付)、令和五年度特別会計予算(内閣提出、衆  議院送付)、令和五年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (外務省所管、防衛省所管及び独立行政法人国  際協力機構有償資金協力部門)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、鈴木宗男君及び古庄玄知君が委員を辞任され、その補欠として音喜多駿君及び堀井巌君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に音喜多駿君を指名いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官廣瀬健司君外二十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 去る十三日、予算委員会から、三月十七日の一日間、令和五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管、防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  審査を委嘱されました予算について、順次政府から説明を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) 令和五年度外務省所管予算案について、その概要を説明いたします。  令和五年度一般会計予算案において、外務省予算は七千四百三十四億四千九百五十四万三千円を計上しております。また、そのうち、四千四百二十八億四千八十七万七千円が外務省所管のODA予算となります。なお、そのほか、外務省関連のシステム予算については、デジタル庁所管分として百二十五億千三百五十二万六千円が計上されています。  予算案作成に当たっては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重大な挑戦にさらされる中、引き続き、普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安定を守り抜く覚悟、そして地球規模の課題に向き合い国際社会を主張する覚悟、これら三つの覚悟を持って、対応力の高い、低重心の姿勢での日本外交を展開すべく、四本の柱を掲げ、めり張りを付けて、必要な予算を計上しました。また、対ウクライナ支援などの喫緊の課題には、令和四年度補正予算も活用し、早急に対処しているところです。  第一の柱は、国家間競争時代における普遍的価値に基づく国際秩序の維持発展です。G7広島サミットや日・ASEAN友好協力五十周年も念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を一層進めます。また、経済安全保障の推進、国際社会における法の支配の維持、徹底の取組なども進めていきます。  第二の柱は、情報戦を含む新しい戦いへの対応の強化です。偽情報等の拡散を含む情報戦への対応や、日本の政策や取組に対する理解促進のための戦略的対外発信に取り組みます。  第三の柱は、人間の安全保障の推進、地球規模課題への取組の強化です。感染症等の国際保健や気候変動を含む地球規模課題への対応や、SDGsの達成に向けた取組を主導していきます。  第四の柱は、外交・領事実施体制の抜本的強化です。邦人保護体制の強化、在外公館の機能強化、在外職員等の勤務環境及び生活基盤強化を含め、外交・領事体制の抜本的強化に取り組みます。さらに、在外公館等の新設及び外務省定員の百名純増に必要な経費を計上しています。  以上が、令和五年度外務省所管予算案の概要です。  阿達委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、委員長におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願いを申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 浜田防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) 令和五年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  令和五年度予算においては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、今後五年以内に緊急的に防衛力を抜本的に強化するために必要な取組を積み上げ、防衛力抜本的強化元年予算として、新たな防衛力整備計画の初年度にふさわしい内容及び予算規模を確保することとしております。  具体的には、将来の防衛力の中核となる分野について、スタンドオフ防衛能力、無人アセット防衛能力等について大幅に予算を増やすとともに、統合防空ミサイル防衛能力、宇宙、サイバーを含む領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、国民保護、持続性、強靱性、防衛生産・技術基盤等について必要な経費を確保しております。  中でも、現有装備品の最大限の活用のため、可動数向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、隊員の生活、勤務環境の改善もこれまで以上に推進すべく、所要額を確保しております。  防衛省所管の一般会計歳出予算額は六兆七千八百七十九億六千五百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、一兆四千百九十二億四千万円の増となっております。  継続費の総額は、護衛艦建造費で千百八十四億二千九百万円、潜水艦建造費で八百十四億一千八百万円となっております。  また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で七兆八千六百二十一億二千七百万円となっております。  次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。  第一に、我が国の防衛力の抜本的強化であります。  隊員の安全を可能な限り確保する観点から、相手の脅威圏外からできるだけ遠方において阻止する能力を高め、抑止力を強化するため、スタンドオフ防衛能力を強化します。また、多様化、複雑化する経空脅威に適切に対処するため、統合防空ミサイル防衛能力を強化します。  万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、スタンドオフ防衛能力と統合防空ミサイル防衛能力に加え、有人アセット、さらに無人アセットを駆使するとともに、水中、海上、空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保します。このため、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力及び指揮統制・情報関連機能を強化します。  さらに、迅速かつ粘り強く活動し続けて相手方に侵攻の意図を断念させる必要があります。このため、機動展開能力、国民保護や、弾薬、燃料の確保、可動数の向上、施設の強靱化等の持続性、強靱性を強化いたします。  第二に、同盟国、同志国等との協力であります。  我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要であります。このため、日米同盟による共同抑止、対処を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国等との連携を推進してまいります。  第三に、言わば我が国の防衛力そのものとして防衛生産・技術基盤です。  力強く持続可能な防衛産業を構築するため、予算関連法案として、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を提出するほか、新たな利益率の算定方式の導入など、防衛産業を取り巻く様々なリスクへの対処や防衛産業の販路の拡大等に向けた抜本的な強化策を推進します。また、将来の戦い方に直結し得る分野に集中的に投資するとともに、他国に先駆け先進的な能力を実現するため、民生先端技術を幅広く取り込むことなどにより、早期の技術獲得、装備化を実現します。  第四に、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化です。  自衛隊員について、事務官、技官等も含め、必要な人員を確保し、宿舎の建て替えを含め、全ての隊員が遺憾なく能力を発揮できる環境を整備します。また、衛生機能について、有事において隊員の生命、身体を救う組織へと変革をします。  以上、防衛省所管の予算のほかに、デジタル庁所管予算三百三十九億三千三百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。  これをもちまして、令和五年度の防衛省関連予算の概要の説明を終わります。  阿達委員長始め、理事、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、委員長におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で予算の説明の聴取は終わりました。  この際、お諮りいたします。  外務省及び防衛省関係予算の大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○堀井巌君 おはようございます。自由民主党の堀井巌です。  質問の機会をいただきまして、先輩、同僚諸氏に感謝申し上げます。時間ありませんので、早速質問に入らせていただきます。  まず初めに、ODA予算についてであります。  七千四百億円余の一般会計の外務省予算のうち四千四百億円余りということで、ODA予算は外務省予算の中核を成しています。グローバルサウスへの関与や、気候変動や感染症などへの対応、ウクライナ支援など、また戦略的な外交を推進する上でもODAは我が国の外交の中核的なツールであると思います。  国民理解をしっかりと得る努力を続けながら、質、量共に更に充実していくべきと考えますが、見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 今、堀井委員から御指摘がありましたように、ODAは我が国の外交の重要な政策ツールでございます。  現在、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重大な挑戦にさらされておるわけでございまして、こうした複雑化する国際情勢と地球規模課題の深刻化の中で、気候変動や感染症、ウクライナ支援等の大きな課題に対して国際社会が協力して対応するために、そしてさらに我々の擁護する国際秩序が世界の人々の信頼に足るものであるために、いわゆるグローバルサウスへの関与、これを強化いたしまして諸課題への対応を主導していく必要があるわけでございます。そのために、ODAの戦略的活用を一層進めるとともに、引き続き、様々な形でODAを拡充し、外交的取組の強化に努めていきたいと考えております。  同時に、民間企業やODA以外の公的資金を扱う国内機関との連携を強化し、同志国を含む開発協力の様々な主体と連携することを通じて、より効果的な開発協力を追求してまいりたいと思っております。 ○堀井巌君 ありがとうございます。  次に、情報戦略、情報発信について伺います。  沖ノ鳥島という文言を英語で調べますと、英文の論文が十六本ぐらい出てまいります。これは、そのうちの五本ぐらいは、沖ノ鳥島は岩であるという他国の研究者の論文が出ているわけです。私は、この情報戦略、情報発信が極めて重要だと思います。  そこで、外務省の方は日々、公開情報や様々な公電を用いた情報収集に努められていると思いますけれども、そういったものをAI等の先端技術を用いて分析をして、そして効果的に発信していく。こういった仕組みをつくっていくことが重要だと思いますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この情報戦への対応におきましては、情報の収集、分析から発信を含む対応までを一連のサイクルとして実施する必要があると考えております。  昨年十二月に決定されました国家安全保障戦略も踏まえて、外務省としても、情報、政策、広報の各部門それぞれが連携をいたしまして、関係省庁とも意思疎通をしながら対応してきております。  具体的には、AIそして在外公館の幅広いネットワーク、こうしたものを活用して多様かつ膨大な情報を収集、分析した上で適切かつ効果的な情報発信を実施すべく、令和五年度政府予算案においても関連予算を計上しているところでございます。  情報戦への対応の重要性、今後一層高まっていくところでございまして、外務省としては、令和六年度以降も、情報収集、分析、発信能力の戦略的強化、これを着実に図ってまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 これからは、ちょっと昨年の夏に同僚議員と中南米に行きましたので、その関係の話をさせていただきます。  まず、カリブ諸国、十四か国ございます。国連で一票を有する等、国際社会において大きな発言力を有しています。また、カリブ諸国十四のうち五か国は台湾の承認国です。一方で、この地域において我が国の大使館数というのは五つであります。中国はちなみに九つあります。まだまだ少ないと思います。  大使館の設置がなかなか直ちには難しければ、名誉総領事等、様々な努力、工夫もできるんではないかと思いますが、この点についての外務省の考えをお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) このカリブ共同体に属する十四か国は、我が国と基本的価値を共有する友好国でありまして、国際場裏でもまとまって行動して存在感を有しております。グローバルサウスとの協力の観点からも大変重視をしております。  我が国のカリブ地域の外交拠点についてでございますが、近年も、平成二十七年度に在バルバドス日本国大使館、また平成三十年度には在ベリーズ兼勤駐在官事務所を新設しております。さらに、令和二年度には在ハイチ兼勤駐在官事務所を大使館に格上げするなど、拠点の増加及び強化に努めてきております。在外公館及び今お話のあった名誉総領事の新設に当たりましては、その時々の国際情勢や各国、各地域の動きを注視しながら、二国間関係の重要性に鑑み総合的に判断してきております。  その上で、引き続き既存の公館の機能強化等も図りつつ、名誉総領事も積極的に活用して、カリブ地域との外交関係の強化、しっかりと進めてまいりたいと思っております。 ○堀井巌君 ありがとうございます。是非進めていただきたいと思います。期待しております。  昨年、私、ホンジュラスという国を訪問いたしました。ここは今回、ちょっと少し台湾承認国から中国承認国に変わるかもしれないと言われていることで今ニュースにも出ている国ですけれども、多くの韓国車が走っているのを見ました。話聞きましたら、FTAを韓国とホンジュラス結んだんで関税が低いんで、昔は日本車たくさん走っていたけれども今は韓国車がかなり伸びてきているということのようでした。  中南米諸国というのは、ほかにも中国の経済的な影響力というのが非常に伸びてきております。また、韓国やEUもFTA、どんどんそれぞれの国と結びつつございます。EUは、聞きましたら、今年前半にもメルコスールとのFTA締結に合意すべく今作業が進められているというふうに聞いております。  食料、鉱物資源が大変豊富な地域でございます。我が国としてしっかりとした関係強化をしていくべき地域だと思いますけれども、中米、太平洋同盟、メルコスールとのEPA交渉の開始、私はこれは我が国は早急に検討すべきと考えますが、考えをお伺いしたいと思います。  あわせて、林大臣も一月には中南米訪問をいただき関係強化に努められたこと、心から敬意を表したいと存じますが、首脳外交でいいますと、安倍総理、中南米の地域に最後に日本の総理が足を運んだのは、二〇一八年の安倍総理が最後だと伺っております。この地域は、世界最多の台湾承認国八か国が今存在しているという地域でもございます。多くの日系人の方々、ブラジルには二百万人超える方々いらっしゃいます。  是非、私はやっぱり首脳が行かれると非常に大きな効果があるというふうに思います。コロンビアに行ったんですけれども、コロンビアでは、向こうの国会議員の方々、政府の方々が、二〇一四年に安倍総理が訪れていただいたということを、物すごくそのことをおっしゃっておられました。やっぱり首脳外交というのは、昨日のこの日韓の首脳会談を見るまでもなく、本当に重要、外交上重要なものだというふうに思います。できれば、できるだけ速やかに岸田総理にもこの中南米訪問していただきたいというふうに思っておりますが、考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、この中南米地域、これは食料やエネルギー、鉱物資源の重要な供給源でありまして、また、我が国と長い信頼と友好の歴史を有し、基本的価値や原則を共有する重要なパートナーでもあるわけでございます。こうした中南米諸国との経済関係の強化、大変重要だと考えております。  今委員からは、中米、太平洋同盟、メルコスールとの経済連携協定について御指摘があったわけですが、メルコスールとの経済連携協定については、年始に私がブラジルやアルゼンチンを訪問した際にも政府や企業関係者から関心が示されたところであります。メルコスールを始め中南米諸国との経済関係強化の在り方について、国内の様々な意見も踏まえながら引き続き議論を継続してまいりたいと思っております。  また、私自身、この訪問を通じて、現下の国際情勢の中で世界からの注目が中南米諸国に集まっているということを実感をしたところでございます。我が国は様々な国際課題について中南米諸国と緊密に連携していきたいと考えておりまして、今お話のありましたハイレベル訪問の可能性、これも含めて、引き続き様々な関係強化の方策を検討してまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 力強い中南米外交を是非期待しております。  次に、防衛省の方にお伺いをしたいと思います。  私、一月に、同僚議員の皆さんと一緒にハワイにあります米軍のインド太平洋軍司令部を訪問いたしました。その際に、日本の自衛官の方が連絡官として現地で任務に精励されておられる、皆さんにお会いをいたしました。  それで、戻ってから、どういう処遇で現地に行っていられるのかというのをちょっと調べましたら、どうもこの連絡官というのは、大使館勤務等々の方とは異なって、長期出張だという一応扱いになっているというふうに伺いました。  そうなりますと、例えば家族を帯同して向こうで何年間か生活するということが事実上困難であったり様々な制約があって、実際にホノルルだったら総領事館員の方が日本から行っていられますけれども、この方々と全く処遇が違ってきてしまっているわけでございます。  この辺の連絡官の方々の処遇改善に私は取り組むべきだと思いますけれども、防衛省の考えをお聞かせください。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省においては、米国を始めとする各国軍隊や国防省等に、一年から三年の任期で連絡官を約九十名派遣しています。これら連絡官は、教育訓練等に関する連絡調整や研究開発等に関する情報共有に従事するなど、同盟国、同志国との連携を深める上で不可欠の役割を果たしています。  これら連絡官は、既存の法制度の下では、国外への赴任ではなく、国内の自衛隊のポストに補職した上での出張という形で派遣されていることから、家族帯同に係る費用は国費で支弁されておりません。  防衛省といたしましては、防衛力整備計画に基づき、この連絡官の処遇改善を図るべく必要な検討を行ってまいります。 ○堀井巌君 ありがとうございます。今、必要な検討を行ってまいりますとおっしゃっていただきました。ありがとうございます。  これは、本当にたまたまそういう立場で行ったがゆえに、ほかの在外公館で勤務する人と余りにも差があるということでありますので、是非、処遇改善努めていただきたいと思います。  もう一点、処遇に関して申し上げます。質問いたします。  地域手当についてでございます。  これは、一般職の国家公務員にも同じ地域手当が適用されていますけれども、例えば市ケ谷とか朝霞で勤務している方は二〇%付いておるわけです。今、例えば南西諸島に、大変重要な地域になっておりますので、南西諸島、例えば沖縄で勤務すると地域手当はゼロ%になると。広域移動手当ということで、若干の、何年間かは徐々に下がっていくという仕組みもあるようですけれども、しかし、ゼロ%です。これは私、自衛官の方々のモチベーションにも大きく影響しているんじゃないかと思います。  もう一つ例を挙げますと、茨城県の阿見町に土浦駐屯地がありますけれども、ここはゼロです。そして、土浦市にある霞ケ浦駐屯地は一〇%です。同じ宿舎から阿見町の方に勤務をしている自衛官の方はゼロ%、しかし、霞浦の駐屯地の方に勤務に出かける人は一〇%ということであります。  これもちょっと私は、多分隊員の方々からするとちょっと制度の隘路にはまってしまっているというふうに思われているんじゃないかと思います。  是非この辺は、法律を改正する必要があるのであれば別ですけれども、政令、省令で対応できるものは是非政府部内で迅速に見直しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  防衛省の職員の給与制度は、民間準拠を基本とする一般職の国家公務員の給与を参考としており、地域手当や広域移動手当についても、基本的には一般職の国家公務員の例により支給しております。  具体的には、地域手当につきましては各自治体における賃金構造基本統計調査を用いて算出した賃金指数等に基づき、また、広域移動手当については移動距離に応じてそれぞれ人事院が支給割合を定め、防衛省でもこの例によっております。  また、離島などの生活の著しく不便な官署に勤務する隊員の精神的負担に対処するために特地勤務手当を支給していますが、その中でも、公共交通手段がない離島や、島に中心的な地区がなく島内での生活が著しく不便な離島で一般職の国家公務員の官署が存在しない場合には、防衛省において独自に特地官署の指定を行い、適切、適正な処遇を確保しております。  いずれにしても、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、特に南西地域に勤務する隊員にあっては、その任務や勤務環境の特殊性を踏まえ、適切な処遇となるよう不断の検討を進めてまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 もちろん様々な制度上の制約はあるかもしれませんが、できることは是非しっかりと処遇を改善する方向で見直していただきたいと思います。  最後に、この自衛隊員の方の処遇改善に向けた防衛大臣の御決意をお聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 自衛隊員の人的基盤の強化を図る上で処遇の向上が重要と考えております。  私の下に設置した防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会においても、今後テーマの一つとして処遇の向上について御議論いただく予定と承知しておりますが、検討会の提言に加え、委員御指摘の点も参考にさせていただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 終わります。 ○福山哲郎君 おはようございます。立憲民主党の福山でございます。よろしくお願いいたします。  まず、磯崎官房副長官におかれましては、御出席いただいてありがとうございます、急なお願いだったにもかかわりませず。  それから、林外務大臣、昨日は日韓首脳会談、御苦労さまでございました。  日韓両国の首脳が五年ぶりに日本で首脳会談を開催して、諸懸案の解決に向けて動き出したことは前向きに捉えたいと思います。私たちが政権のときに交渉を始めたGSOMIAの正常化も昨日決めていただきましたし、首脳のシャトル外交の再開というのは、非常に僕、対話は大事だと思っておりますので、これもよかったと思いますし、経済安全保障でも連携を確認されたということで、大変いい日韓関係になるきっかけ、スタートをつくっていただいたことについては心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。何よりも、足下の安全保障環境、未来志向の日韓関係にとって重要だというふうに思いますので、率直に本当に敬意を表します。  そして、両国の外交関係者の皆さんが環境を整えるに当たって御尽力をいただいたことについても敬意を表したいというふうに思います。林大臣はオムライスを食べられたかどうか、僕よく分かりませんが、御苦労をいただいたと思います。  また一方で、海外では、アメリカで二つの銀行が破綻をしました。ヨーロッパでも、クレディ・スイスという伝統ある非常に預金規模のでかい銀行が株価が急落をし、金融不安が広がっています。実は今日、金融庁もお呼びをして最新の市場動向や今後の見通しについてお伺いしようと思ったのですが、時間がありませんので、そこは割愛をさせていただいて次回に譲りたいと思います。  今日はLGBTQに関する差別解消についてお伺いをしたいと思います。  総理の荒井秘書官の差別発言以降、海外の皆さんからのいろいろな発言が出ています。お手元にお配りした資料を見ていただきますと、国連の事務総長報道官がこの問題について発言をされていると。誰を愛し、誰と一緒にいたいかを理由に誰も差別されてはならない、どのような場合でも性的指向や性自認を理由にした差別は許されないと強調されています。それから、アメリカのLGBT特使、資料にある三番目の方ですが、インタビューに答えられまして、コミュニティーの一部が疎外され排除されるときはいつだって私たち全員が傷つくと、日本が現在の勢いを捉え、LGBTQの人たちの権利を成文化し保護するためのステップを進むことを切に願っていますというふうに述べられています。そして、エマニュエル駐日米国大使は、明確で曖昧さのない、性的マイノリティーを保護する法律を希望するというふうに発言をされています。  よく事情の分からない方は内政干渉だというような議論があるんですけれども、外務省は、そのことについて言えば、人権に関するものについて、普遍的な価値については、そういった内政干渉だという判断をしないということも外務省は言われています。  このエマニュエル駐日米国大使は、御自身が市長のときにLGBTQに対する制度を整えられた市長ですので、本当に自分が率先してやってこられた方なのでこういった発言があるというふうに思います。  そして、林大臣に御答弁お願いしたいんですけど、アメリカの政府高官の中には、運輸長官はゲイをカミングアウトされています。厚生次官補はトランスジェンダーをカミングアウトされています。大統領補佐官はレズビアンをカミングアウトされています。つまり、自国の閣僚や報道官が、LGBTQの仲間がいる中で、日本国の総理大臣の秘書官が見るのも嫌だとか隣に住んでいるのも嫌だという言葉は、LGBTQ当事者だけではなくて十分に政府を構成するメンバーみんなを傷つける。それが先ほど申し上げた発言に結び付いているというふうに思っておりまして、アメリカの特使やエマニュエル大使からすれば、仲間を排除されたと捉えてもまあ無理はないというふうに思います。  G7で日本の立場を説明すると岸田総理は言われましたけれども、まさか日本の国会で言われているように、社会が変わってしまうので様々な議論がありますなどと説明をするとは私は到底思えないんですけれども、林大臣はG7の中で総理に一番外交的にサジェスチョンをしていただける方だというふうに思いますので、この総理が言われている日本の立場を説明するということを、国会で言われているような話ではなく、こういった各国の大使やいろんな方々の御意見を受け止めて、国際社会から、特にG7から求められているんだということを理解をいただいた上でこのG7に臨んでいただきたいと強く望みたいと思います。  でき得れば、差別解消法を成立させてG7に臨んでいただくことが最も当事者や関係者の望むところだと思いますし、私も望みますが、それは時間的に間に合うかどうか分かりませんけれども、理解増進法ではなく差別解消法で何とかこのG7臨むということについて、こういった発言も含めて、林大臣の御答弁、捉え方、受け止め方をいただければと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないというふうに考えておりまして、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にして、生き生きとした人生を享受できる社会の実現、これに向けて、引き続き、様々な国民の声を受け止めてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。いろんな場でもそうした政府の立場はしっかりと説明をしてまいりたいと思います。  また、差別解消法案につきましては、昨年の通常国会で衆議院に提出されまして継続審議となっていると承知しておりますが、総理も答弁されておられるように、議員立法の法案として超党派の議連の議論の結果、理解増進法案が策定され、現在自民党において同法案の提出に向けた準備を進めていると承知をしておりますので、政府としては、こうした議員立法の動きを尊重しつつ見守っていきたいと考えております。 ○福山哲郎君 逆に言えば、政府提出法案ではない議員立法ですけれども、差別解消法の法案審議をしていただきたいと思います。法案審議に入らずに理解増進法だと言われても、なかなか理解増進法では差別がなくならないということと、差別発言がまだあちこちで出ています。加えて、差別を解消するというのは、理解ではなく制度としてある程度整えていきたいというふうに思いますし、G7各国は法律がありますので、日本だけがないという状況です。今、林大臣が言われた答弁で本当にG7で理解いただけるのかどうか、甚だ私は疑問に思います。  実は自民党の中でも、土浦市長、自民党の県議を二期やられた方ですが、この市長の女性のお子さんがトランスジェンダーで、御自身も、市長もそのことをカミングアウトされて、土浦市では非常に前向きなダイバーシティ推進室をつくられています。自民党の中でもこういう意見があります。  しかし一方で、荒井秘書官に加えて、昨日の報道で私びっくりしたんですけど、自民党のLGBT特命委員会の事務局長の城内議員が、同性婚はウクライナの問題と同じだと、ウクライナが正しいというのはむしろ少数派、世界の流れだというのは間違っているという発言を、まあオフレコの場でとはいいながら発言をされたということが昨日報道されています。  これ、実は二つびっくりしたんですけど、一つは、ウクライナが正しいというのはむしろ少数派という発言で、えっ、これ本当に言ったのかなと僕は思ったんですけど、このことを今日言い出すともう切りがないので、ウクライナが正しいのはむしろ少数派という発言を自民党の方がされたというのはちょっと驚きだったんですが、そこは別にしても、同性婚はウクライナの問題と同じで少数派だということを彼は言いたがっているんですね。  少数派ではありません。それは、一部では認めていない国はありますけれども、圧倒的に国際的な潮流は、LGBTQについてちゃんと人権を守る、そしてそれに合う法律を作るというところだと思います。  今日、官房副長官にわざわざおいでいただきました。このウクライナが正しいというのはむしろ少数派、どう思うんだと聞くと、なかなかお答えしにくいと思いますけれども、LGBTQについて、こういう少数派だと、世界の流れではないという発言を荒井秘書官の発言の後にされるというのはいかがなものかと、ましてやLGBT特命委員会の事務局長がこういう話をされるのはいかがなものかと思うんですが、官房副長官としては今どのようにこの発言を受け止めておられますでしょうか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 御指摘の発言についての報道があることは承知をしておりますけれども、大変恐縮でございますけれども、個別の議員の発言でございまして、政府の関係者でもございませんので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。  いずれにしましても、先ほど外務大臣言われましたとおり、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないことでございまして、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる、こういった社会の実現に向けて、引き続き、様々な国民の皆様の声を受け止めながら取り組んでまいりたいと思います。 ○福山哲郎君 そういう御発言があるだろうとは思っておりましたが、少し残念です。  外務大臣、城内議員は外務副大臣を経験をされています。その外務副大臣を経験されている方がこのような発言をされることについて、現職の外務大臣としてどのようにお思いでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 今副長官からお答えがあったとおりでございまして、御指摘の報道は承知をしております。  ただ、今御答弁があったように、個別の議員の発言でございますので、政府としてはお答えする立場にはないということでございます。  基本的な考え方については私が先ほど申し上げたとおりでございまして、この問題についてはしっかりと取り組んでまいらなければならないということでございます。 ○福山哲郎君 いや、私は、もう先ほどから申し上げているように、二つの意味でけしからぬと思いますよ。ウクライナが正しいというのはむしろ少数派、岸田総理がもしかするとウクライナへの訪問も含めて探求をされているかもしれない時期にこういう発言、二月とはいいながらこういう発言がある。それから、同性愛の問題も非常に、世界の流れじゃない、少数派だと言うことも非常に問題があると。二つの意味で私は非常に問題がある発言があると思いますし、こういう発言が出てくるから、逆に言うと、外務大臣や副長官の言われる差別があってはならないという言葉だけでは信用ができないので、しっかりと差別解消法で担保しましょうという当事者の強い願いがあるということは強く申し上げたいと思います。  それから、昨日の報道でございますが、G7各国のうち日本を除く六か国とEUの駐日大使が連名で、LGBTQの人権を守る法整備を促す書簡を岸田総理宛てに取りまとめたと、そして出したという報道が出ております。  このことの事実関係について、副長官、お答えいただけますか。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) G7の各国とは、このLGBTの問題を含めまして様々なやり取りをしているのは事実でございますけれども、その一つ一つについて明らかにすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  本年G7議長を務める日本政府としましては、こうしたことをしっかりと国の内外に対して丁寧に説明していく努力を続けてまいりたいというふうに思っております。 ○福山哲郎君 いや、一つ一つについて全部教えろだなんて言っていません。交渉中だというのは分かっております。  この問題は報道に出ているので、書簡を受け取っているかどうかの事実関係だけ教えてくださいと申し上げているんです。僕まだ内容も聞いていませんし、要は事実関係を隠す意味がないんです。一つ一つについて詳細を言わないというのは、それは交渉ですから僕も了解をします、一定理解をします。しかし、書簡を受け取ったかどうかというのは事実であって、交渉の中身を聞いているわけではありません。  それは、悪いですけど、誰が答弁考えたか分からないけど、ちょっと余りにも、ごめんなさい、説得力がない答弁なので、申し訳ありません、書簡を受け取ったのかどうかということを聞いています。どうぞお答えください。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 繰り返しになるわけでございますけれども、G7とはいろんなやり取りはしております。ただ、やはり外交上の問題でありますので、そのことについてはいろいろな信頼関係を損なう、そういった可能性もあるということで差し控えさせていただければというふうに思います。 ○福山哲郎君 済みません、やり取りを聞いていません。送ったという報道が出ているので、受け取ったかどうか。やり取りではありません、受け取ったかどうか、官邸にこの書簡は着いているのかどうか、受け取っているのかどうかだけお聞かせください。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) やり取りのやりという、やり取りということの一つだと思いますので、このことについては差し控えさせていただきたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 あのね、僕は、外交だからやり取り明らかにできぬの理解しているんです。でも、少なくとも、例えば首脳会談とかいろんなことで、我々としてはこうやった、ああいう反応あったというのは後で言うじゃないですか。  書簡受け取ったかどうか、だってこれ出ているわけだから。中身も出ているんですよ。差別を防ぐことは私たち原理原則であり責務だと。G7首脳は昨年六月、最終成果文書で、性自認や性的指向にかかわらず、全ての人が差別や暴力から守られるべきだとの考えで一致していると。G7議長国である日本は、LGBTQの人々を守る法整備を含めた国内課題を国際的な人権擁護の動きに合わせて解決できるまたとない機会に恵まれていると。世論が高まっているので、当事者だけではなく、家族、それぞれの経済成長、安全保障、家族の結束にも寄与すると。日本が性的指向や性自認にかかわらず差別から解放されることを確かなものにしてほしいと、G7でという中身まで出ているんですよ。  書簡は来ているんですね。じゃ、書簡は、だって、政府高官、実は取材に、もらってないって最初に言っているんですよ。もらってないって最初に言っているのに、昨日からいつの間にか答えられないという話になっているんですよ。もらってないんですか、じゃ。 ○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 繰り返しになるわけでございますけれども、やはり外交というのは相手方のあるところでございますので、日本政府としてやり取りについてつまびらかにすることについては控えさせていただきたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 いや、非常に残念ですね、事実関係すら明らかにできないというのは。  次の資料をお配りいただけますか。御覧いただけますでしょうか。  これが去年の、先ほど書簡の中で書かれているG7の首脳コミュニケの内容です。最終文書です。黄色のところの前の部分、我々は、女性と男性、トランスジェンダー及びノンバイナリーの人々の間の平等を実現することに持続的に焦点を当て、性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることを確保することへの我々の完全なコミットメントを再確認する、こういう取りまとめをされています。重要なのは保護するという文言です。保護するというのは法的に担保するということです。今の岸田総理の足下の、先ほどから言われている大臣や秘書官の抽象的な話とは少し異なります。  関連の皆さんにお伺いします。前回のこの委員会で私、経済関係の審議官がシェルパとしてこの取りまとめに当たっていると。今、このLGBTQの表現は、交渉、どのような形での表現になっていますか。お答えいただけますか。 ○政府参考人(鯰博行君) このG7の首脳のコミュニケにつきましては、事務的には経済担当の外務審議官が中心になって各国のシェルパと言われる人たちとの間で議論をしております。  今年のG7広島サミットについての御質問かと存じますけれども、これにつきましては、昨年のサミットが終わって以降、いろいろなやり取りをもう始めておりますけれども、具体的にどのような文言のどのようなものをつくるかについては、まだ議論をしているところですので、差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)申し訳ございません。まだ議論をしているところであるということでございます。 ○福山哲郎君 これも何も答えられないんですね。  それは交渉中だから私も理解はするんですが、しかし、この去年のLGBTQの文言より後退するようなことは、外務省、外務大臣、想定はしなくていいですね。 ○国務大臣(林芳正君) 今、事務方から答弁したように、ほかのG7メンバーと調整しながらG7広島サミットに向けて成果文書の準備を進めているところでありますが、外交上のやり取りでございます。それ以上の詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。  いずれにいたしましても、この昨年のG7エルマウ・サミットにおいて、G7首脳がLGBTIQプラスの人々の政治、経済、教育及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義ある参加の確保を追求することで一致をしておるわけでございます。  本年のG7議長国として、過去のG7サミットにおける成果を踏まえつつ、多様性が尊重され、全ての方々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて、様々な声を受け止めつつ、取り組んでまいりたいと考えております。 ○福山哲郎君 確実に去年のコミュニケで日本は、保護する、LGBTの皆さんを保護する体制をつくることにコミットしているんですね。三枚目の資料を見ていただければ、国際社会での日本は、国連のLGBTIコアグループ創設時からのメンバーです。二〇一一年、二〇一四年、国連人権理事会のSOGI決議に日本は賛成をしています。二〇一九年、人権理事会に日本が立候補した際の国際公約では、日本は性的指向と性自認による差別の、根絶ですよ、理解じゃないですよ、根絶に向けた努力の促進を続けていくというふうに日本政府が意見表明をしています。  つまり、去年のコミュニケでなぜ岸田総理も林外務大臣もこのコミュニケを了解したかというと、国際場裏で日本はこういったことを続けてきたからです。私はこのことは評価したいと思います。しかし、国内は、極めてこの国際場裏での意見表明とは全く追い付いていない状況になっている。差別解消は全く進まず、差別発言が総理の秘書官から出る。与党の自民党からも発言が出る。このギャップをちゃんと埋めないと、国際公約違反であるし、ダブルスタンダードだと言われても、私、仕方がないと思います。  G7の議長国である今年にそのギャップを埋めるべく、しっかりと差別解消法を作る、同性婚についても認める、このことは当事者の願いであり、関係者の願いです。そして、国際社会も今、日本にこのことを認めています。これは外務省が主導して、林外務大臣、岸田総理とも話し合っていただいて、これ、今どう見ても世の中は自民党の一部が反対をしているから前に進まないんだという、見えています、そのことは。  是非、林外務大臣、この国際場裏での日本のポジションと今の国内の状況のずれを、そして、このずれの中で当事者の皆さんが苦しんでいること、排除されていること、差別に本当に苦しんでいる、国内の制度が整わないので、このことを理解していただいて、林外務大臣、今日は総理がいらっしゃらないので、林外務大臣、是非リーダーシップを取って、外務省としてはこれだけ言ってきたんだと、だから何とかしてくれという話を政府内でもしていただく、自民党も説得していただく、そして総理も説得していただきたいと、そのように思うんですが、林大臣、いかがですか。 ○国務大臣(林芳正君) 今御紹介いただいたように、国際社会の中ではこうしたコアグループ等でしっかりと活動してきておるところでございますし、この動き、今後もこうした取組をしっかり進めていきたいと思っております。  私からも福山委員からの今お話のあったことは総理にしっかりと伝えたいというふうに思いますし、総理も恐らくはもうそのことは御存じであろうというふうに私も思っておるわけでございます。  差別解消法案については先ほど申し上げたとおりでございますが、我々としては我々としてやるべきことをしっかりとやってまいりたいと思っております。 ○福山哲郎君 前向きな答弁をいただいたというふうに受け止めますが、まさにサミットまで、ここから本当に日本政府の状況見られていると思います。書簡が出るなどというのは、ある意味でいうと少し異常な状況なのかもしれないと逆に私は感じています。  もう時間ですので、あと一言だけ申し上げて終わります。  この議論している中で、トランスジェンダーの方々に対するデマによる中傷が広がっています。銭湯でトランスジェンダー女性が女湯に入ってくるみたいなことが、無責任な中傷誹謗が出ています。それは、身体的な特徴で施設についての使用は分けてやるので、トランスジェンダーの男性が女だと言って入ってくるようなことは一般的にはあり得ません。性犯罪、性暴力、性的な迷惑行為はLGBT当事者であるかどうかの問題ではありません。性犯罪はそもそも誰であっても犯罪です。それを、さもトランスジェンダーの方々に特化したような形での中傷誹謗が今ネット上であふれていることに対して、私は非常に懸念をしています。  このことも含めて、差別解消法を作ることによって正しい理解をしていただく。理解だけじゃ駄目なんです。正しい理解と正しい制度として差別はいけないという状況を国内に是非、政府・自民党におかれましても、与党におかれましても御努力をいただきたいというふうにお願いし、G7に向けてそれぞれの皆さんの御努力をお願いして、私の質問終わります。  ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西でございます。  防衛省の問題の四十三兆円の予算の前に、その防衛省がそうした予算について広報活動をやっているということですので、まず官房長に伺いますが、官房長、よろしいですか。  配付資料の二ページなんですが、防衛省として、全国新聞社やあるいは民放のキー局、テレビ局などにどういう広報活動をしているか、簡潔にそれだけ答えてください。 ○政府参考人(芹澤清君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊の活動といいますのは、国民の皆様方の御理解と御支持があって初めて成り立つものと考えております。このため、防衛省におきましては、平素から政策それから部隊の活動につきまして幅広く広報活動を行っておるところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと済みません、それとテレビについて簡潔に。ちょっと聞こえなかった、申し訳ない。テレビについてどういう活動をしているかだけ言ってください。 ○政府参考人(芹澤清君) 失礼いたしました。  防衛省におきましては、全ての案件におきまして中央、地方の報道機関、外国プレスについて分け隔てなく公平に御説明を行っているところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと引き取ります。  要するに、事前の説明では、テレビの解説委員ですとか、あるいはそのキャスターというような人にも説明をしているということなんですが。  防衛省が広報活動をするというのは一般論としてあるかもしれないんですが、問題はそれが世論工作になってはいけないわけでございますので、今問題になっているこの放送の在り方について少し質問をさせていただきたいと思います。  今回、今問題になっている総務省の内部文書の件なんですが、その目的が、当時の安保法制を目的として行われたというようなことも資料の中にあるところでございます。安保政策を始めとして、民主制の基盤が言論、報道の自由の在り方でございますので、それの根幹である放送法の解釈が明確でないのに防衛省に広報活動等の予算を認めることはできませんので、少し総務省の参考人に放送法の解釈について質問をさせていただきたいと思います。  山碕参考人、前に座られたらいいと思うんですけど、ちょっと委員長、座らせていただけますか。 ○委員長(阿達雅志君) 山碕参考人。 ○小西洋之君 では、総務省の参考人に伺います。  政府はこの間、放送法四条の政治的公平の適合性の判断について、一つの番組だけではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するという従来の解釈は何ら変更はないと述べていますが、なぜ、たった一つの番組しか見ないのに放送番組全体のバランスを判断できるのか疑問であります。  この点、政府統一見解、三ページですね、番組全体を見るという表現はありますが、仮に、この平成二十八年の統一見解で例示している極端な場合なるものがあったときに、その一つの番組を放送番組全体のバランスとの関係でどのように考えているのか、これが明らかでないと思うのですが、説明をお願いいたします。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  政治的公平の解釈につきましては、今御指摘のありました平成二十八年政府統一見解がございますので、これに沿って御答弁させていただきます。  政府統一見解におきましては、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであるとされております。  その上で、一つの番組のみでも、例えばとして二つの事例を例示しつつ、極端な場合においては一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないとの考え方を示し、番組全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたものです。  政治的に公平であることの解釈は、従来から、政治的問題を取り扱う放送問題の編集に当たっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスの取れたものであることとしており、その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するとしてきたものでございます。この従来からの解釈については、何ら変更がないところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと明確じゃないと思うんですけど、総務省の見解としては、三月の八日に、極端な場合に、の判断、政治的公平の判断について、一つ一つの番組の集合体が全体でありますので、全体のバランスを見つつその判断を行うというふうに、これは大臣も局長も私の質問に対して答弁をしているんですが、それは総務省の考え方であるということでよろしいですね。問い一の肝の部分とセットで答えてください。 ○政府参考人(山碕良志君) 今御指摘のありました三月八日の松本大臣の答弁、この松本大臣の答弁のとおりでございます。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっと私の方で、統一見解の言葉を使いながら見解を確認します。  総務省として、政治的公平の判断の在り方は、番組全体でバランスが取れたものであることをその判断の考え方、基準にしていて、それは一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するということであるという考えでよろしいですか。バランスという言葉を使って明確に答えてください。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げました政府統一見解におきましては、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであるとされておりまして、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するということでございます。 ○小西洋之君 ちょっと今答弁していただいている、番組全体でバランスが取れたものであるという、あるかどうかというその判断の在り方なんですけど、より具体的に説明していただけますか。  端的に言うと、この極端な番組、場合がというのがケースにあるわけです。その極端な場合である一つの番組を含む、含めた番組全体でその全体のバランスを判断している、そういうことでよろしいでしょうか。明確に含むという言葉を使いながら答弁してください。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  今御指摘のありました極端な場合、そうした御指摘のような場合でも、政府統一見解においては、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断することとされているところでございます。 ○小西洋之君 二回目の質問ですけれども、その政府統一見解の趣旨は、当該その極端な場合である一つの番組、それを含めた番組全体、そのバランスを見ている。含む、含めたという言葉を使いながら答弁してください。二回目です。 ○政府参考人(山碕良志君) 繰り返しになって恐縮ですけれども、御指摘のような場合でも、政府統一見解においては、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断することとされているところでございます。 ○小西洋之君 委員会を止めることもできるんですが、含むか含まないかを明確に答弁してください。 ○政府参考人(山碕良志君) 御指摘のような場合でもというふうに申し上げておりますので、そこには含まれるというふうに、含まれると御理解いただければ結構です。 ○小西洋之君 確認ですけれども、はいだけで結構ですが、今答弁いただいているんですね。  この平成二十八年二月十二日の統一見解の趣旨というのは、政治的な公平の判断の在り方としては、極端な場合の番組があっても、その極端な場合、当該一つの番組を含む放送番組全体、そのバランスを見て判断をする、そうしたことを法理として述べているのがこの統一見解であると、そういうことでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) 先ほど御答弁したとおりでございます。 ○小西洋之君 今の私の理解でよろしいですねと、はいと答えていただきたいと思うんですけれども。 ○政府参考人(山碕良志君) 御指摘のような場合も含めて、政府統一見解におきましては、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断することとされているところでございます。 ○小西洋之君 明快に含めてと二回おっしゃっていただきました。  じゃ、ちょっと問いの四番、急いでやっていきますけれども。  しかし一方で、この統一見解、文章としては、一つの番組のみでもとあって、で、①、②の事例があって、極端な場合は政治的公平を確保していると認められないというふうにありますので、まるで一つの番組のみを政治的公平の判断要素にしているかのように読めるのですが、先ほど確認しましたけど、統一見解の趣旨としては、端的に言えば、一つの番組のみに着目して、それのみを判断の根拠にして政治的公平が判断されることはないし、総務省においても、放送法の解釈としてそのような判断はしてはならない、必ず当該一つの番組も含めた放送番組全体のバランスを見て政治的公平を判断する、これがこの統一見解の示している法理であると、解釈であるということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) 繰り返しになりますが、政府統一見解におきましては、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであるとされているところでして、御指摘のとおり、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスの取れたものであるかどうかを判断するということでございます。 ○小西洋之君 だから、確認ですが、この一つの番組のみでもというふうに言っていますけど、その当該極端な場合である一つの番組を含めた番組全体で判断しているということでよろしいですね。もう一度、含めたというのを、三度目、答弁してください。 ○政府参考人(山碕良志君) 先ほど申し上げたとおり、政府統一見解において、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するということでございますので、一つの番組というのは、まあ含まれるものと考えて、含まれるものと考えております。 ○小西洋之君 明確にありがとうございます。  じゃ、問いの五番ですけれども、この平成二十八年二月十二日の統一見解は、平成二十七年五月十二日の高市総務大臣答弁と、この一つの番組のみでもという言葉を使うのとともに、内容として、解釈と、内容として全く同じなんですが、当該高市答弁や、その後、その他、一つの番組でもという文言を用いている平成二十八年二月の八日、また平成二十八年三月十八日の高市大臣答弁、あるいは、一つの番組のみが政治的に公平であることに違反したということをもってという言い方をしている平成二十八年三月九日の高市大臣答弁、ほかにもあるかもしれませんけれども、いずれにしても、当該これらの大臣答弁も含めて、それ以降、まあ、それ以前もですけれども、政府答弁の趣旨も、法理としては、必ず極端な場合とされる当該一つの番組も含めた放送番組全体のバランスを見て政治的公平を判断すると、そういうことを法理として述べている答弁であるということで間違いないですね、これらの答弁の趣旨というのは。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  繰り返しになりますが、政府統一見解におきましては、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであるとされておりまして、御指摘のように様々な答弁がございますが、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するという解釈につきましては、何ら変更はございません。 ○小西洋之君 確認ですが、今私が読み上げた各大臣答弁なんですけれども、全て極端な場合のケースの、当然、答弁なので、これらの大臣答弁は全て、その極端な場合である一つの番組を含めた放送番組全体、そのバランスで判断をしなければならない、判断をするという、そういう法理を述べた答弁であると、全て。そういう理解でよろしいですね。簡潔に、もうそれだけ答えてください。 ○政府参考人(山碕良志君) 若干繰り返しになりますが、御指摘のように様々な答弁ございますが、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するという解釈については何ら変更はございません。変更はございません。 ○小西洋之君 だから、当該極端な場合である一つの番組も含めた放送番組全体、そういう趣旨の答弁ですね。もうそれだけ、含めたという言葉を使って答えてください。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  御指摘の様々な答弁も含まれるものでございます。 ○小西洋之君 答弁というのは、様々な答弁に、今、含まれるということですか。ちょっと簡潔に答えてください。 ○委員長(阿達雅志君) 小西洋之君。(発言する者あり)済みません、今、山碕審議官、もう一度。 ○政府参考人(山碕良志君) 失礼しました。  お答え申し上げます。  御指摘の様々な答弁が含まれるものでございます。 ○小西洋之君 答弁が含まれるじゃなくて、その私が指摘した答弁の趣旨として、当該極端な場合の一つの番組を含んだ番組全体という、そういう趣旨の答弁しているんですねと言っているんです。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  もう一回繰り返して申し訳ありませんが、御指摘の様々な答弁を含めて、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するという解釈には何ら変更がございません。 ○小西洋之君 いや、だから、私が、高市大臣答弁、あの平成二十七年五月十二日を含めた、指摘した大臣答弁は、一つの極端な場合なるものがあったとしても、その極端な場合である一つの番組を含めた番組全体で判断している、全体のバランスを。そういう放送法の解釈を法理として述べている答弁であると、そういう理解でよろしいですね。  極端な場合である番組が含まれているかどうか、全体の中に。それを示しながら答えてください。さっきから何回か答えているんですよ。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  今御指摘のとおりでございまして、極端な場合の番組が含まれるということでございます。 ○小西洋之君 審議官、落ち着いてやってもらえば大丈夫ですからね。  じゃ、六番、問いの六番ですが、政府はこの間、この高市答弁や統一見解について、補充的説明というようなことを言ったんですが、何を何に対して補充しているのか、分かりやすく、一度で終わるような答弁をしてください。 ○政府参考人(山碕良志君) 御質問の点、政府統一見解において、番組全体を見て判断するという従来の解釈に対して補充的に説明したということです。  その上で、一つの番組のみでも、例えばとして、二つの事例を例示しつつ、極端な場合においては、一般論として政治的公平を確保しているとは認められないとの考え方を示し、番組全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたものでございます。 ○小西洋之君 ちょっと私の言葉で言いますね。  要するに、政府は、放送法を作って以来、政治的公平の判断というのは、あらゆる、あらゆる番組ですよ、あらゆる番組を含めたその局の番組全体を見ることでしか判断できないというふうにしてきたわけですが、まあ何かよく分かりませんけど、この極端な場合があったときどうするんだ、まあ結論は同じだと分かり切っているんですが、考えてみたわけですね。  そうすると、極端な場合なるものがあった場合でも、その極端な場合なるものを含めた番組全体で判断するんだということを、当たり前のことを改めてこの統一見解には明確化して書いてある、そういう意味で補充的な説明であると、そういう趣旨で、理解でよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) 御指摘のとおりでございます。 ○小西洋之君 では、ありがとうございました。  じゃ、ちょっとあと補充の質問が幾つかありますので、よろしいですか。早口で行きますね。  昭和三十九年の答弁というものがありまして、配付資料の五ページ以下でございますけど、総務省の番号で四十六ページ以下ですが、昭和三十九年答弁の極端な場合を除いてという言葉についてなんですが、私の三月三日の予算委員会の質疑以降に初めてですね、言い方なんですが、あたかも一つの番組のみでも政治的公平を判断できるという法理をこの言葉が示しているかのように受け取れるような答弁が一部でなされているように私は感じるんですが、まあ事実関係分かりませんけれども、そういう意味ではないと、それらの答弁はということでよろしいですね。放送法の解釈権を持っている総務省の有権解釈として答弁してください。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  三月三日以降、御指摘の答弁は、御指摘のとおり、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するというものでございます。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっともう一度確認で聞きますけど、問いの八番ですが、要するに、この三十九年答弁の極端な場合を除いてに関する三月三日以降の全ての政府答弁などですけれども、それは、一つの番組のみを見て、つまり番組全体のバランスを見ずに政治的公平を判断できるという法理を示したものであるという、そういう趣旨で述べているものでは決してないということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  繰り返しになって恐縮ですが、三月三日以降の答弁は、御指摘のとおり、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するという考え方に基づくものでございます。 ○小西洋之君 じゃ、その三十九年答弁なるものですが、問いの九番ですが、三十九年答弁においては、ちょっと割愛しますけれども、宮川政府参考人という方が、資料の五ページ以降、総務省の番号で四十五ページ以降ですけれども、政治的公平であることなどについてですけれども、ある期間全体を貫く放送番組の編集の考え方の表れ、略しますね、こういう考え方を取っている。さらに、別の言葉で、ある一時点、ある一つだけの番組につきまして直ちに判断するということではなくということを述べながら、ちょっと略しますけれども、その流れとして、政治的に公平であるかないかという問題についてはやはり同じようなことが申されるのではないかと思いますというふうに答弁しているんですけれども。  これは質問通告していますけど、これら宮川政府参考人の三十九年答弁の中の二つのこの発言、言葉ですけれども、これらの答弁は、法理として、放送法四条の政治的公平の判断の在り方としては、放送事業者の番組全体を見て、すなわち番組全体のバランスを見て政治的公平を判断するという趣旨、つまり従来の政府の解釈と同じことを法理として言っているということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  先ほど来申し上げております政府統一見解の番組全体という解釈、これは従来から変更がございませんので、御指摘の答弁も同じ趣旨で答弁されたものと考えております。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっとその更問いですけど、要するに、じゃ、昭和三十九年答弁というのは、その中に極端な場合を除きましてという発言、言葉があるんですが、この三十九年答弁の趣旨としては、極端な場合には一つの番組のみでも政治的公平が判断できるという法理を述べたものでは決してないということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  御指摘のような場合でも、政府統一見解において、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れるものであるかどうかを判断することとされているところでございます。 ○小西洋之君 これ、もう時間あれなので外しますけど、これ別に、四条の政治的公平の法理、解釈に照らして極端な場合とか言っているわけでは全くなく、これ会議録を読めば誰でも分かるんですが、予算委員会で私が言っているんですが。  じゃ、問いの十番なんですけれども、私が公表し総務省が行政文書と認めた総務省の内部文書、この三月十日付けの、今配付資料ですね、四十三ページ、目次のこの四十三ページ、総務省の番号ですけれども、には、この三十九年答弁と平成十六年の麻生大臣答弁、また十九年の増田大臣答弁が添付されています。  麻生大臣答弁では、政治的に公平であるとの判断は、一つの番組ではなく、その当該放送事業者の番組全体を見て判断する必要がある。増田大臣答弁では、個々の番組について判断されるものではなく、当該放送事業者の番組、放送番組全体を見て判断するものであるというふうに述べているんですが、要するに、この今申し上げた麻生、増田両大臣の答弁というのは、昭和三十九年の答弁と趣旨としては全く同じということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  政府統一見解におきます、一つの番組ではなく、一つ一つの番組の集合体である番組全体を見て、バランスが取れたものであるかどうかを判断するという解釈は従来から何ら変更ございませんので、御指摘の答弁も同じ趣旨で答弁されたものと考えております。 ○小西洋之君 じゃ、更に確認です。  配付資料の十一ページなんですが、平成八年五月の二十二日に楠田政府参考人という答弁があるんですけれども、これ重要な政治的公平に関する答弁なんですが、ただ、これは一つの番組のみではなく全体を見て判断するということでございますという、この、いわゆる一つの番組のみという言葉ですね、これ先ほどの政府統一見解や平成二十七年の高市答弁でも出てくる、一つの番組のみというところは重なっているんですが、しかし、この楠田答弁は、ただ、これは一つの番組のみではなく全体を見て判断するということを述べているんですが。  この平成八年の楠田答弁と昭和三十九年の答弁、あと十六年の麻生大臣答弁、増田大臣答弁、これ全部法理として同じことを言っているということでよろしいですね。簡潔に。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  先ほど来御説明しております政府統一見解における解釈は従来から何ら変更ございませんので、御指摘の答弁も同じ趣旨で答弁されたものと考えております。 ○小西洋之君 じゃ、さらに、その問いの関連で確認ですが、今私が指摘した平成八年の楠田政府委員答弁というのは、この平成二十八年の統一見解、また平成二十七年の高市、五月十二日ですね、高市大臣答弁と共通する文言を使っているわけですけれども、趣旨として全く同じであると、この三つはということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) 先ほど来申し上げております政府統一見解の解釈、従来から変更ございませんので、同じ趣旨で答弁されたものと考えております。 ○小西洋之君 じゃ、問いの十二番ですけれども、昭和三十九年の答弁の以前及び以後の今日に至るまでに、放送事業者の放送番組全体のバランスを見て判断する、統一見解の言葉によれば、番組全体としてバランスの取れたものであるかというふうにして判断する、そういうやり方ではなく、一つの番組のみの判断によって政治的公平を判断できるという法理を明示した、あるいはそうした法理を述べている国会答弁も政府見解も一つもないということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  政府統一見解における先ほどから御説明しております解釈、考え方は、御指摘のとおり、今日に至るまで何ら変更していないということでございます。 ○小西洋之君 国会答弁も政府見解もそうしたものは一つもないということでよろしいですね、一つの番組だけで判断できるというのは。 ○政府参考人(山碕良志君) 御説明しております考え方は、御指摘のとおり、今日に至るまで何ら変更していないということでございます。変更していないということでございます。 ○小西洋之君 いや、あるかないか、ございませんと答えてください。 ○政府参考人(山碕良志君) ございません。 ○小西洋之君 じゃ、ちょっと大事な質問行きますね。  統一見解のような事例、極端な場合ですね、かつて、まさに一五年頃なんですが、一つの番組のみの政治的公平の判断で、いわゆる放送局の電波を止める、電波法、放送法の設備、業務の停止命令を出すことができるかのような答弁が平成二十七年の五月十二日の高市答弁以降あったかのようにちょっと私は感じています。  例えば、平成二十八年二月の八日及び二月の二十九日の奥野総一郎議員に対する高市大臣答弁、また三月九日の和田政宗議員に対する大臣答弁などですが、ほかにもあるかもしれませんけれども、いずれにしても、これらの答弁を含めて、一つの番組のみを見て政治的公平を判断してその違法性を認定し、それを根拠に電波法、放送法の設備、業務の停止命令ができるという政府の見解を法理として述べた国会答弁や政府見解は、戦後の放送法の歴史において一度もないということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  政治的公平であるということについて番組全体で見て判断するという従来の解釈に何ら変更はございません。  また、放送法第四条違反に基づく放送法第百七十四条、電波法七十六条の運用がなされたことはありません。  さらに、平成二十八年三月三十一日の参議院総務委員会において、業務停止命令の要件として公共の電波を使って繰り返されている場合と明確に述べていらっしゃいますので、一つの番組のみの判断で業務停止命令がなされることはないということでよろしいですよねという質問があり、高市総務大臣は、それは一〇〇%ございませんと答弁されているところでございます。あくまでも放送事業者が自律的にしっかりと放送法を守っていただくことが基本であると考えてございます。 ○小西洋之君 以上、るる答弁いただきましたけど、最後に、以上、今政府参考人が答弁していただいた答弁は、総務大臣の確認の下に、総務省の政府としての答弁であるということでよろしいですね。 ○政府参考人(山碕良志君) お答え申し上げます。  私が今申し上げました答弁は、総務省としての答弁でございます。 ○小西洋之君 じゃ、済みません、では、防衛大臣に委嘱審査のど真ん中の質問をさせていただきますが、GDP比。 ○委員長(阿達雅志君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。 ○小西洋之君 分かりました。じゃ、一言だけ。  このGDP比二%にするためには二兆円差があるんですけれども、そこの内訳とそのそれぞれの金額ですね、各項目と金額の資料提出を求めたんですが、実は出せないということが来ましたので、丼予算ではないかと思いますので、引き続きしっかりとやります。  ありがとうございました。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日、時間が限られておりますので、核、原子力をめぐる諸問題について少しお伺いをしていきたいと思っております。  昨年の十一月十五日に当委員会におきまして、ロシアによるザポリージャ原発への攻撃というところをテーマに少し質問をさせていただきました。IAEAの様々な取組、特に原子力安全と核セキュリティーに不可欠な七つの柱と、こういうのがあるんですけれども、ここに沿った取組、日本政府としてもこれ支持を表明をされ、かつウクライナに専門家を派遣し、また関連の機材も供与し、資金も提供しということで、様々お取り組みいただいているということも確認を当時させていただきました。  これで少しでも事態が良くなればという思いでお伺いをしてきたんですが、一方で、ロシアの攻撃というのが昨年に比べても大分強まってきているということでありまして、実際に原子力関連施設の周辺にミサイル攻撃始め大変な攻撃がいまだに行われているということであります。  IAEAは、今年に入りましてから、ウクライナにある全ての原子力施設にもう専門家の常駐体制というのを今取るようになりまして、監視もしているわけでありますけれども、ただ、現状は確実に悪化をしているということであります。これ、ロシア側が運営を担っているわけでありますけれども、こういう中で設備の劣化も進んでいるとか様々な御指摘がありまして、要はこのIAEAの七つの柱が今ちょっと揺らぐような状況にあるということであります。  これ、こうした状況を受けて、IAEAのグロッシ事務局長、原子力安全保護地帯の設置を始めとする措置、様々訴えられまして、実際に自身モスクワに飛びながらこういう措置をロシア側にも協力を求めて交渉しているということなんですが、残念ながら今進展がないわけであります。  改めてここでお伺いをしておきたいんですが、今、ロシアによる戦術核の使用等、こういったところに懸念が長らく持たれているわけでありますが、同時に、これ仮に例えば原子炉を冷却するための外部電源が完全に失われてしまうですとか、あるいは、流れ弾が原子炉建屋あるいは放射性物質の貯蔵施設を直撃をしたりしますと、結局のところ放射性物質というものが大量に外に出てしまうということでありまして、これ、低出力の核を使ったのとある意味同じような効果が実際に起きてしまうわけであります。大変これ今重要な岐路に差しかかっているというふうに思っております。  そこで、林外務大臣にお伺いしたいんですが、本年G7の議長国として、また福島第一原発事故を経験した国としても、このサミットですとか、あるいは近々に迫りました外務大臣会合等、様々な機会があるというふうに思っております。是非ともそういった機会を活用して、この戦地における原子力施設保護の在り方について、これ局地的な停戦ですとか、あるいは新たな枠組みの構築の議論、リードしていただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) ロシアによる原発の占拠を含めまして、ロシアの一連の行為、これは決して許されない暴挙であります。東京電力福島第一原子力発電所事故、これを経験した我が国として強く非難するとともに、ロシアに対し、このような蛮行、これ即座に停止するように国際社会が結束して対応していく、これが重要であると考えております。  ロシアによるウクライナ侵略に対して、G7はこれまでも、ウクライナの主権が完全に尊重される形でIAEAの取組を後押しするなど、結束して対応してきたところでございます。G7議長国として、これまで以上に国際社会の連携を確保すべくリーダーシップを発揮してまいりたいと思っております。  また、来るG7長野県軽井沢外相会合やG7広島サミットでは、力による一方的な現状変更の試みやロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用、これを断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く、こうしたG7の強い意思を力強く世界に示したいと考えております。 ○平木大作君 大臣の方からも、国際社会が結束をして対処、当たっていくと、そのリーダーシップを取っていくということで御答弁をいただきました。  この国際社会が結束して取り組む中の一つがいわゆる経済制裁なわけでありますが、このちょうどロシアによるウクライナ侵略が始まって一年というタイミングで、G7諸国を中心にして追加の経済制裁というものが発表されました。  この中で、この経済制裁については先日も質問させていただいたんですけれども、この中で、実は今回、これまで制裁対象となっていなかったロシアの国営の原子力企業ロスアトムに対して経済制裁というものが発表されています。これ、アメリカですとかイギリスについて発表がありまして、日本の制裁措置の中を私が探した限りにおいてはないんですけれども、ただ、これ、非常に大きな実は企業なんですね。  これ、要は原子力発電所の建設からある意味原子炉の燃料供給までフルサービスで提供している大きな企業でありまして、昨年末の時点で、例えば原子力発電設備、これ十二か国二十五基の建設プロジェクトを今同時に手掛けているということでありますし、ウランの濃縮の世界シェアに関しては四六%、大変大きなシェアを持っている。しかも、昨年、これだけの経済制裁の中で、昨年一年間の業績は、輸出が一五%伸びて売上規模が二千億ドル乗っているということでありますから、二十七兆とか二十八兆円規模の原子力関連企業ということなわけです。  ちなみに、先ほど質問したザポリージャ原発を今管理しているのもこのロスアトムですし、IAEAのグロッシさんがモスクワで安全保護地帯の創設を協議している相手もこれロスアトムのトップなんですね。  物すごいある意味存在感のある企業、逆に言うと、これまで何で制裁対象じゃなかったのかなということも気になるんですけれども、この機にこのロスアトムが制裁対象になってきたということ、これ政府としてどう認識をされているのか、お伺いしたいと思います。 ○政府参考人(中村仁威君) お答えいたします。  御指摘のとおり、今年の二月の二十四日、イギリスとアメリカが新たに発表いたしましたロシアに対する制裁の中で、イギリスはロスアトム社の幹部など十七名を新たに制裁の対象に追加をいたしました。それから、アメリカもロスアトム社の関連会社の三社を制裁対象に追加いたしたというふうに承知しております。  英国とアメリカがこのような措置をとって発表した具体的な経緯について我が国政府としてお答えをすることは差し控えたいと思いますけれども、これまで両国を含むG7の各国は、ロシアによるウクライナ侵略には高い代償が伴うということを示すべく、国営企業の幹部ですとかその関連団体を含む幅広いロシア側の関係者を制裁対象にしてきております。今般の措置もそうした一連の措置の一環として決定されたものだと考えております。 ○平木大作君 例えば、今戦時下でありますけれども、ロシアから海外に対する小麦の輸出ということ自体は基本的には確保するような措置がとられているわけです。ある意味同様の措置がこれまでとられてきたのかなというふうにも想像します。要は、ロシアから濃縮ウランの供給を止められてしまうと、そもそも発電ができなくなる国が世界中に実は今広がっているということでありまして、改めてこのことをきちんと直視をしなければいけないんだろうと。要は、胃袋のところだけではなくて、電力の供給ということについて、これはウクライナのみならず実は世界に今もうロシアが影響力を大きく及ぼし得る状況、まあ体制としてつくられているということであるわけであります。  例えば、今原発を実際に新しく造っているのは中国ですとかインドといった、いわゆる伸び行くアジアの国は本当に熱心にこれ原子力発電所の建設やっているわけでありますけれども、ここで使われている濃縮ウランというものも、そもそも構造的にこれ需給ギャップが大きいと言われてきたものなんですね。少し前ですと、いわゆる核兵器に使われていたものを解体をして、ある意味薄めるような形でこれ原子炉で使えるように供給するということが米ロの間で協定が結ばれて行われてきたわけですが、もうそれが終わってしまって大分たつという中で、原子炉がどんどん世界中に増えているわけでありますから、どんどんこの需給ギャップというものが実は今開きつつあるということもあるわけであります。  改めて、経済安全保障推進法を日本も作ったわけでありますけれども、ウランの濃縮技術については、これ特許非公開の例示としてよく議論の中にも上ったわけでありますが、実際に今、日本政府として、この濃縮したウランとかウランそのものを特定重要物資の指定は私もしていないというふうに認識をしておりますけれども、これからのこの日本の電力供給ということも、それから世界の電力供給ということも含めて考えたときに、やはりこれロシア一国に依存しない電力のサプライチェーンの構築ということについては、政府としても真剣に検討して進めていただくべきじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。 ○政府参考人(山田仁君) お答え申し上げます。  濃縮ウランなど、燃料供給のサプライチェーンを含めまして、ロシアへの原子力分野での依存度を低減していく重要性につきましては、昨年六月のG7首脳会合におきましても認識を共有しておるところでございます。  また、こうした認識を踏まえまして、主要国との間でロシア一国に依存しない、より強靱な燃料供給サプライチェーンの構築に向けて、様々な状況を想定しつつ議論を行っているところでございます。  経済産業省といたしましては、国内の原子力事業者とも緊密に連携しながら、将来的にも我が国の燃料供給を安定的に確保できるよう、引き続き主要国としっかりと議論を進めてまいりたいと、このように考えております。 ○平木大作君 これは本当に重要な問題だと思っておりますので、是非検討をよろしくお願いいたします。  最後に一問、ちょっと関連してなんですけれども、別の質問もお伺いしておきたいと思います。  先月、IAEAの査察団がイランの地下施設におきまして八四%の高濃縮ウランを発見したということが報告をされました。これ、どのくらいこの八四%が高いかというと、二〇一五年のあのイランの核合意のとき合意された水準というのが、これウランの濃縮三・六七%以下だったんですね。  その後、アメリカが離脱をしたことによってこの合意自体が崩れてしまったわけでありますが、一昨年、イランは、このウランの濃縮をあくまでも平和利用だと言いながら六〇%まで引き上げるということを表明して、粛々とこれを実は取り組んできたということでありまして、六〇%まで上げた平和利用って一体何なんだということも残るんですけれども、結果として、今八四%のものが実際にできてきてしまっていると。もうこれ、ほとんど核兵器が完成しているんじゃないかというレベルのある意味濃縮なんですけれども、もうここまで来てしまっているということであります。  改めて、今回、イラン政府は意図せざる濃縮だったみたいな弁解もしているわけでありますけれども、これ、中東情勢を今後占う上で極めて重要な今やはり岐路に立っているんだろうと思っております。イランの核保有がまさに目前になった中で、どうやってこの核抑止というものを、失礼しました、核不拡散というものをこれから堅持していけるのかどうか。それほど時もないんだろうというふうに思っております。  林大臣に改めてお伺いしたいんですが、この核合意への復帰をアメリカの政府も基本的には目指すということは言っているんですが、実際はなかなか手が回らないような状況にもあります。この核拡散の回避ということに向けてしっかり日本政府としても御尽力いただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 日本は、この国際的な不拡散体制の強化とそれから中東地域の安定化という観点から、イランの核合意というのを支持をしておるわけでございます。  そのため、イラン核問題が平和的に解決されるように、米国を含む関係国と緊密に連携しつつ、これまでもあらゆる機会を捉えましてイラン側に対しても早期の核合意復帰に向けて建設的に取り組むよう強く求めてきておるところでございます。  日本は、もちろんこの核合意の当事国ではないわけでございますが、米国との同盟関係や、またイランとの伝統的な友好関係、こういうものも生かしながら、対話の進展に向けて積極的に貢献していきたいと考えております。 ○平木大作君 実際に、もしイランが核保有みたいなものを表明してしまうと、次、イスラエルがどんなふうに動くのかとか、様々なことが懸念をされるわけであります。  ただ、改めて、先日、イランとサウジアラビアの外交の正常化みたいなこともありました。ポジティブな動き、まあポジティブに評価できる動きも一部にあるわけであります。そういったタイミングを捉まえて、今、林大臣からもありましたけれども、そもそも伝統的に日本と友好的な関係にあるこれイランでありますので、是非とも外交力を発揮していただいて、この核不拡散、日本がリーダーシップを取っていただきたいようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  本日は二点、一つは外交の抜本的な強化に向けた取組として外務大臣の外遊と国会審議に関しての関係、もう一つは拉致問題の取組について今日御質問したいと思っております。  林大臣は所信表明演説の中で、現在、日本は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しているという御認識を述べられ、そして、その総合的な国力の要素として、まず外交力があると。外交実施体制の抜本的な強化に取り組むとともに、防衛力の抜本的な強化に裏付けられた力強い外交を展開しますと言及がございました。この国家安全保障戦略、最終的な担保力となる防衛力の五年以内の抜本的な強化を進めると同時に、外交面でも抜本的な強化を進める、安全保障の両輪として国民の命と平和を守ることが大事であるとおっしゃっておられます。  本日、浜田大臣、冒頭で、予算の説明の中に防衛力抜本的強化元年という発言がございました。非常に力強い発言であるなと思うと同時に、それに比較して、本年が外交力抜本強化元年という発言がない、そちらの方のもう一つの輪の方に寂しさを感じているようなところでございます。  外交面の抜本的な強化の具体的な内容の一つとして、より積極的な外務大臣の外遊、そしてマルチやバイの会談を増加していくということが重要であると考えますが、まず最初に林大臣の見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性、これがより一層高まってきております。また、国境を越えて人類の存在そのものを脅かす地球規模課題に対応するためには、価値観の相違また利害の衝突等を乗り越えて協力するということがかつてないほど求められておるわけでございます。  その中で、積極的な外交が大変重要になってきておるわけでございます。外相就任以来、私は数多くの二国間、多国間外交を行ってきたわけですが、このようなときだからこそ、日本は日本らしいきめ細やかな外交、これを主導すべきだと考えております。  こうした外交を引き続き進めていくに当たって、今御指摘のありました外相級の訪問、会談を始め、多層的、多面的な外交、これを各国、各レベルとの間でしっかり展開していくこと、これが重要だと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  先般、参議院の外交防衛委員会調査室から本日の予算委嘱審査の参考資料が配付されました。その中の五ページに、領事体制の強化として、外務大臣のチャーター機の予算について八・五億円という記載がございました。一時間当たりの単価を二百四十万円として、飛行時間を三百六十時間と想定して来年度八・五億円という計上を出しておられます。  ちなみに、過去三年間、外務大臣はチャーター機何回使って何時間を使用されたのか、外務省、教えていただけますでしょうか。 ○政府参考人(島田丈裕君) お答えいたします。  外務大臣の外国訪問におけるチャーター機の使用回数及び使用時間につきましては、令和二年度は七回合計二百六時間十九分、令和三年度は九回合計二百五十六時間十四分、令和四年度は、三月十七日現在、本日現在でございますが、十一回で二百三十八時間五十三分となっております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。大体二百から二百五十時間の使用をしていると。  で、来年度三百六十ということは、思い切って外遊の時間を増やそうという、そのような意図が感じられますが、何回ぐらいの外遊を来年度考えておられるんでしょうか。 ○政府参考人(島田丈裕君) 令和五年度におきましてチャーター機を使う回数としては、九回の訪問を予定して予算要求をさせていただいております。 ○金子道仁君 これは通告ではないですが、十一回から九回に落ちるということ、時間は三百六十ですけれども、回数としては余り増えていないと。  外遊を増やすという、そういうあらかじめの想定、そういうことは特に考えておられないんでしょうか。 ○政府参考人(島田丈裕君) 実は、この背景といたしまして、チャーター機の調達経費につきましては、燃料費の高騰、円安、世界的なチャーター機需要の増加ですとか、さらには国際情勢の変化に伴う迂回経路の使用等による飛行時間の伸長によって従来に比して高額になっているという背景がございます。  このような状況の根本的な変化を前提といたしまして、同時に効率的な予算の執行という観点も踏まえまして、一度の外国の訪問で複数の国を訪問すること等を念頭に置きまして、特に遠方への外国訪問の際の積算時間が増加をしていると。要は、回数と積算時間とございますが、回数は必ずしも、減ってはいますが、かといって数が減っているというわけじゃなくて、積算時間としては増えているということでございます。  以上が背景でございます。 ○金子道仁君 詳細な説明、ありがとうございました。  おっしゃるとおり、回数が減っていても時間が長いということは、一度で複数国を回っていく、先ほど林大臣がおっしゃられたきめの細かい外相会談等を行っていくというのはそういうことで、とても趣旨はよく分かります。そのようにして、来年度、是非、計画的に外務大臣が海外に外遊しながら必要な外相会談をしっかりと組んでいっていただきたい、そのように考えております。  先般の、林外務大臣、G20サミット参加できなかったということ、様々な原因についての報道がされていると承知しております。どこに責任があるのか、それも検証は必要かもしれませんけれども、私としては、それ以上に、今回の教訓を生かして、今後どのようにして外務大臣が必要な外遊を実現していくのか、そのためのあらかじめの準備といいますでしょうか、計画を立てていく必要があるのではないか、そのような視点から、今回、資料を作成させていただきました。お手元に、G20参加諸国の国連総会決議への対応と今回のバイ会談の実施状況という資料を作らせていただいております。  今回、林大臣が、約半日でしょうか、行程を除いて、ワーキング時間としては三月三日の午前中のみでこれだけの外相会談を組んでおられるというのは、もう超人的だなと私自身も思っております。本当に、飛行機で飛んでいって、そして着いてすぐに会談して、それを終わってまた帰ってくるというのは、いささか大臣を使い過ぎなのではないかというふうに思いますけれども、でも、非常に重要な半日であったと思います。  その中で、クアッド等の会談の後、日米外相会談がその中で行われています。ウクライナ侵略に関してですけれども、二点、日米間で合意をされているという報告を受けました。一つはグローバルサウスへの関与、支援をしっかりやっていこうということ、もう一つは第三国からロシアへの軍事的な支援を防ぐということ、この二点が日米間で合意されたということを確認しております。  お手元の資料、済みません、これ私の事務所で作成しまして、外務省にも、協力したんですけれどもなかなか出しにくいということで、国会図書館とかそういうところ、報道等で作っておりますので、信憑性については、済みません、余り高くないところあることは御容赦ください。日本に関しては、この外相会談はこれで全てです。ただ、ほかの国々がこれで全てかどうかは分からない、最低限この数だというふうに私自身は認識しております。  そして、先ほど言いました二つのところ、一つはグローバルサウスへの関与、この網掛けのところ、グローバルサウスの諸国を入れましたけれども、と外相会談をどれだけしているか。また、対ロ制裁を行っていない国々、下の方はごめんなさい、ちょっと調べが付かなかったので書いていませんが、を並べていくときに、例えばアメリカですと、グローバルサウスであり、なおかつ対ロ制裁でバツが付いている特に中南米諸国等はこの機会にしっかりと外相会談を行っているということであったりとか、例えば一番左側の国連総会決議、二月にありましたウクライナ平和関連の決議になりますけれども、それで棄権をしているインド、南アフリカ、バングラデシュ、こういった国々に対しての外相会談ですが、アメリカは南アフリカとの外相会談、バイをやっているわけなんですね。  これについて、日本も、やはりこういうふうに日米でグローバルサウスに対して関わろう、そして対ロ制裁の漏れを防いでいくような、そのような外交努力をしていこうということであれば、もっとこの対ロ制裁をしてない国々とのバイ会談であったりとか、この網掛けの国々とのバイ会談というのを本来はすべきだったと私自身は考えております。林大臣の半日の中にもっと外相会談を入れようという趣旨ではございませんで、もっと長い期間、やはり外務大臣としてインドにいて、そしてきめ細やかに外相会談、バイ会談をしていく必要があるのではないか。  山田副大臣がモーリシャスとバイ会談をしておられます。バイ会談がこのように副大臣と外務大臣で組めたこと自体は喜ばしいことだと思いますが、副大臣が滞在した期間に組まれたバイ会談はこの一つだけ、林大臣の期間にはこれだけあったということは、やはり外交上、外務大臣が会談を申し込むか副大臣が申し込むかで実現可能性というか、そういったところにも差が出てしまう、そういったことの一つの表れではないかと思います。  今回のG20の外相不参加ということで、国益を損ねたという抽象的なお話はさんざん聞いてまいりましたけれども、具体的にこのようなことがあって、もうちょっと外務大臣がゆとりを持って、時間を持って現地に滞在できるようなことは重要なのではないか、そのように考えておりますが、長くなりました、大臣の見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 前回は短期間の出張になりましたが、決して使い過ぎということはないわけでございまして、もう使っても使っても減りませんので、大いに使っていただいたらというふうに個人的には思っておりますが、まさに今委員がおっしゃっていただいたように、これ非常に分かりやすい表を作っていただいたというふうに思っております。なるべく国会の御理解を得ながらこの日程を確保するということは大事でございますし、一方、国会に出席して外交についてきちっと説明する、これ両方大事なことだということは今まで申し上げてきたとおりでございます。  その上で、せっかく表を作っていただいたので、確かにこの中南米諸国、アルゼンチン、ブラジル、メキシコといったところ、これはこの対ロ制裁には加わっていないわけでございますが、このどことやるかということを考えるときに、最近やっているかどうかというのも当然御案内のように考慮に入るわけでございまして、御案内のように、一月に歴訪いたしまして、これらのアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、三か国とは先方の外務大臣を含めてじっくり話をしてきたと、そういうこともあって、一方で、例えばオマーン、コモロというのはこれまで余り外相会談やっていなかったということもあって、そういうことも含めて、また先方とのこのアベイラビリティーといいますか、そういうことも踏まえてこういうことになったのではないかというふうに思っておりますが、まさにおっしゃるようにいろんなこうした切り口でもって、いろんなアジェンダを考えながら相手を選んでいくと、これは大事なことであるというふうに思っております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  余り無理をし過ぎないで、フレッシュな頭で是非対応していただきたい。また、私自身も中南米に重荷のある者なので、中南米に行くのは大変ですけれども、こうしてどこかで集まるときには、短い時間でも人間関係を築いていくというのはこれから非常に重要になるんじゃないか、そのように考えております。  いかにして外務大臣の負担を減らしていくのか、逆に言うと、副大臣の分担を明確にしていくのかという点で、平成十一年に成立した国会審議活性化法、副大臣が創設された法律ですが、副大臣の役割として、同法八条四項に、大臣不在の際のその職務を代行することについて、大臣の定めるところによってこの業務範囲を決めるというふうに書かれております。  大臣の負担を減らすためには副大臣の役割を明確化していく、それが重要なんじゃないか、そのように考えますが、現在、国会審議活性化法八条五項に基づいて、両副大臣の業務範囲、内容をどのように文書化し定めておられるか、外務省、防衛省両省のお答えをお聞かせください。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  御指摘の国会審議活性化法第八条第五項は、副大臣が複数いる場合の当該副大臣の業務分担に関するものと理解、承知しておりまして、現在、外務省におきましては二名の副大臣がおります。山田賢司副大臣が、外務省の中では主に北米局、欧州局、中東局アフリカ部、総合外交政策局、経済局、国際法局、領事局を担当するとともに、武井俊輔副大臣におかれては、アジア大洋州局南部アジア部、中南米局、外務報道官・広報文化組織、軍縮不拡散・科学部、国際協力局地球規模課題審議官組織を主に見ていただくというような所掌分担としております。  その上で、大臣と副大臣との関係ということに関しましては、この大臣、副大臣間の分担も適切に図りながら、今後とも国会の御理解を得つつ積極的な外交を展開していきたいと考えているところでございます。 ○政府参考人(芹澤清君) お答え申し上げます。  今回、委員の方から、副大臣の役割を拡大させることで大臣の御負担を減らすということはどうかという御指摘をいただいたと思っております。  この点、防衛省では、様々な政策課題につきまして、副大臣や大臣政務官を長とする会議を設置したり、あるいは防衛大臣の権限の一部を装備庁長官などの専決者に委任することによって負担を減らすことを考えております。また、この取組によりまして、大臣にはその判断が真に必要とされるものに専念していただくということによって、防衛省における迅速な意思決定、効率的な行政事務の遂行を確保してまいりたい、このように思っております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  外務省にちょっとお伺いしたいんですが、両大臣の業務内容については明文化した書類を作成しておられるんでしょうか。この八条五項に基づく、その大臣が定める副大臣の業務というものについての記載文はあるんでしょうか。 ○政府参考人(志水史雄君) 副大臣の間の所掌分担ということに関しましては、これは両副大臣が就任されたときに、林外務大臣にもお諮りした上で、先ほど申し上げたような形で所掌分担、所掌事務というのを定めているところでございます。 ○金子道仁君 慣例的にそのような分掌になっているというのは分かるんですが、是非明文化したものを残していく、そのようなことをすることによって、そしてそれを事前に規定することによって大臣の業務を軽減化していく。特に、今の安全保障環境の中で外務大臣というこの重要なポジションがより効果的な活動ができるようにするためには、その明文化したものを、これは今の時代は副大臣に回すべきじゃないか、いや、これこそ大臣にしていただくべきじゃないかというふうに業務分担の明示、明確化を文書化する必要があるんではないかと考えております。  例えばの提案を二つさせていただきます。  一つは、例えばこの外務防衛委員会において、防衛省の提案される法案の際には外務大臣じゃなくて副大臣が対応されるとか、逆もそうですね、外務省の条約を出される際には防衛副大臣が出席して委員会を成立するというような分担を書かれたりとか、例えば、二つ目は、外務大臣が出られる委員会が七つありますけれども、衆参で、そのうちの一部の委員会に関しては副大臣対応にしていくとか、まあもちろん原則ですけれども、そのような副大臣の業務をこの同条、八条五項によって明確化していくことについて、外務省の見解をお聞かせください。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  憲法第六十三条により、国務大臣は、国会において答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならないとされている一方で、国会法第六十九条は、国務大臣を補佐するため、副大臣が議院の会議又は委員会に出席することができる旨規定しているほか、委員御指摘のように、国会審議活性化法第八条四項では、副大臣は、大臣の命を受けて、大臣不在の場合その職務を代行するものとされております。  外務省の任務というものは、これは外務省設置法第三条にございますけれども、良好な国際環境の整備を図り、国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを任務としておりまして、まさに戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれている中にあって、このような任務を遂行すべく、各種の外交活動を大臣を始めとして積極的に実施していく必要があると認識しております。同時に、そのような外交活動を実施していく上で、国民の理解と支持を得ることは重要であり、国会における説明も重要であると認識しております。  こうした認識に立ち、これまでも、大臣を始めとする当省政務と国会との関係について国会関係者と協議、調整を重ねてきたところであり、今後、外交活動の必要性及び政務と国会との関係について丁寧に国会関係者に説明し、理解を得ていくよう努めたいと考えているところでございます。  御指摘の大臣、副大臣の間の分担ということに関しましても、これも適切に図りながら、そして国会関係者と協議、調整を重ねながら、今後とも国会の御理解を得つつ、積極的な外交を展開できるようにしていきたいと考えているところでございます。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  不文律ではなくて、明確な文書化をすることによって、それを事前に作成することによって、今回のことを前向きな議論として検討していただいて、是非、林大臣が、何というんでしょうか、エネルギーにあふれてすばらしい外交展開をされることを期待して、次の質問に移らせていただきたいと思います。  拉致問題のことについて質問させていただきます。  本年三月一日、家族会が岸田総理と面会して、代表の横田拓也さんから、親世代の生きているうちに被害者の一括帰国が果たせるなら人道支援に反対しないという、苦渋の決断だとも言っておられましたが、そういう新たな活動方針について説明があり、それを踏まえて岸田総理からは、そのような切実な思いを政府としても重く改めて受け止めるという発言をされました。  そして、先般の所信表明演説でも、林大臣の方から、通常と同じように、拉致、核、ミサイルの包括的な解決ということと同時に、一刻の猶予もない状況の中で主体的な取組ということ、また全力で果断に取り組むという発言がございました。この主体的な取組、まあ言い換えれば私は新しいアプローチというふうにも読み取れるんではないかと思います。  家族会からの切実な声を踏まえて、新しいアプローチとして拉致問題と人道支援をほかの懸案事項とは先行して交渉を進めていく、そのような意図は外務省としてお持ちでしょうか。大臣の見解、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) この我が国の対応について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、御指摘の点を含めて、北朝鮮に関する対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて何が最も効果的かと、こういう観点から不断に検討を行ってきておりまして、今後もそういう考え方の下にしっかり検討してまいりたいと思っております。 ○金子道仁君 非常に難しい交渉ですので、この場所で予断を許さない、そのとおりだと思います。他方で、家族会としては苦渋の選択として人道支援を先行してもよいというような趣旨の発言があったということを踏まえて、政府としてもそれに何らか反応がある、応えていく、新しいアプローチに取り組んでいくような姿勢も見せる必要があるんではないか、そのように考えております。  他方で、人道支援と拉致問題をバーター取引のように、拉致問題を解決したら人道支援を政府としてするよというような、このような交渉というのはいきなり国レベルで行うのは非常に難しいと考える一方で、今、国連制裁決議の中で、細々ですけれども、民間のNGO、国際NGO等が制裁決議の例外規定、人道上の例外として、スキームを利用して申請を行って、小さく北朝鮮に対して人道支援を行っているわけです。  私としては、日本にあるこの国際NGOを通して小規模な人道支援を先行して実施していく、それが呼び水のような形になって、こちらとしても何とか早く解決をしたいんだ、そのために、政府ではないけれども、民間が小さく人道支援を先行していく、それを呼び水にして、本格的な人道支援は拉致被害者が帰ってきた後に政府として本格的に行う、そのような交渉のカードを切っていく、少しだけでも交渉に、解決に向けて前に進んでいく、そのようなことも重要じゃないかと考えております。  このような小規模な民間経由の人道支援を先行して実施していくことについて、大臣の見解、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) まさに今委員が前段でお触れになられましたように、この先般、拉致被害者家族会、救う会の合同会議で今後の運動方針が決定されまして、北朝鮮指導者への三回目のメッセージ、これが決定されました。まさに、拉致問題の解決に向けた御家族や救う方々の大変強い思いの表れであり、厳粛な思いで受け止めておるわけでございます。  いろんなところで申し上げておりますが、この拉致問題、時間的制約のある人道問題であります。全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて政府として全力で取り組んでまいります。  北朝鮮の対応については、今御指摘のあった点も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに引き続き果断に行動してまいりたいと思っております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  本当に時間的な制約のない課題、本当にこの一、二年で何か解決に向けた兆しというか、特に政府が積極的に前向きに新しいアプローチを取っている、そのようなことを是非表していただきたいと思っております。  以上で質問終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  まず冒頭、防衛省にお伺いしたいと思いますが、自衛官の超過勤務手当についてお伺いしたいと思います。  言うまでもなく、自衛官には残業代は支払われないということで、超過勤務手当相当分二十一・五時間があらかじめ支給をされているということでございます。ただ、二十一・五時間の超過勤務相当では一日平均一時間ぐらいの残業ということでございます。実は、この制度は昭和四十三年に始まって、いまだに二十一・五時間が継続されていると。昭和四十三年ですから、堀井先生や私が一歳のときでございまして、浜田防衛大臣が中学一年生と、それから変わっていないということでございます。  かつては、この二十一・五時間の残業代が自衛隊に入隊するインセンティブになった、二十一・五時間も最初から残業代が付くんだということで、インセンティブに当時なったときもあったようでございますが、今は大分時代が変わってまいりまして、本当に二十一・五時間で足りているのかという質問を実は昨年のこのときに私やらせていただいて、当時の人教局長から前向きに検討しますと。で、実態調査はどうなっていますかという話をさせていただきました。  改めて、実態調査がどうなっているかと、この二十一・五時間で本当に足りているのかということをお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。  年末に策定されました防衛力整備計画に基づきまして、自衛隊員の超過勤務の実態調査を行うため、現在準備を進めており、令和五年度当初に調査に着手する考えであります。  今後、この調査結果も踏まえながら、自衛隊員の任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与、手当について検討してまいりたいと、そのように考えております。 ○委員長(阿達雅志君) 町田人事教育局長。(発言する者あり)失礼しました、失礼しました。榛葉賀津也君。 ○榛葉賀津也君 まあ、いつかは町田人教局長のような立派な人間になりたいと思っていますが、日々努力をさせていただいておりますけれども、町田さん、ありがとうございました。  局長、具体的に令和五年度からという具体的な御答弁を頂戴して、大変ありがとうございます。是非、実態に即した調査で、この二十一・五時間で足りるのかということも含めて検討をしていただきたいと思います。  と申しますのも、かつてはシビルとユニホームが共に働くというのはそうそう頻繁にはなかったようでございますが、昨今は、国際情勢や安保状況も変わりまして、極めてユニホームとシビルが共に働くという場面が増えてまいりました。  とりわけ、現下の情勢で、装備庁を始めとして大変多忙を極めている部署もあると聞いております。その中で、ユニホームとシビリアンと違いはあるにせよ、同じ仕事をしているのに文官は残業代がフルで付いて自衛官は一切残業代が付かないという思い、不平不満を言う自衛官はいらっしゃらないと思いますけれども、しかし、されとて、やはり同一労働同一賃金などということは申し上げませんが、頑張っている自衛官が、同じ仕事をしている文官に膨大な残業代が付いて、他方、自衛官に一日一時間程度の残業代しか付かないということでは、これはモチベーションにも関わると思いますし、正しく仕事を評価するということ、そしてより良い人材が自衛官になっていただくという観点からもとても大事だと思います。  何らかの手当が必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○政府参考人(町田一仁君) お答えさせていただきます。  現在、防衛省本省や防衛装備庁の内部部局、陸海空幕僚監部といった繁忙部署は、関係府省との調整や国会対応、予算折衝といった困難性の高い業務などを行っているため、俸給とは別に本府省業務調整手当が支給されております。この手当は自衛官も支給対象となっており、例えば二佐、二等陸佐、二等海佐、二等空佐であれば月額三万九千二百円が支給されております。こうした繁忙部署で勤務する自衛官に対して、このように給与上一定の配慮がなされているところでございます。  しかしながら、自衛官の超過勤務は、今御指摘いただいたとおり、私どもこれを反映、不公平があるという実態がございますので、令和五年度当初に調査に着手する考えであります。  また、浜田防衛大臣の下に設置いたしました防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会においても、今後のテーマの一つとして、処遇の向上について御議論いただく予定と承知しております。  超過勤務の実態調査の結果に加え、検討会の提言も踏まえながら、自衛隊員の任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与、手当について検討してまいりたい、このように考えております。 ○榛葉賀津也君 町田局長、ありがとうございます。是非、令和五年度、しっかり調査をしていただいて、正しく自衛官の働きを評価できる給与体系を構築していただきたいと思います。  次に、先月十八日に行われましたミュンヘン安全保障会議についてお伺いしたいと思います。  アメリカ側は空前の代表団でございまして、ハリス副大統領、ブリンケン国務長官、バーンズCIA長官、マコネル共和党院内総務等々、上下院五十名の大デリゲーションを組みまして、アメリカの意気込みが伝わってまいりました。  他方、参加した人物にお伺いしますと、会場は相当な緊張感が漂っていたと。ある人によると、あたかも大戦前夜のような緊張感があったと。言うまでもなく、ロシアによるウクライナ侵攻がその原因でございます。  大臣もこのミュンヘンに参加されたと承知をしておりますけれども、このロシアのウクライナ侵攻に対する米国と欧米の共通したメッセージというのは何だったんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 二月十八日でございましたが、このミュンヘンの安全保障会議が開催されまして、ロシアによるウクライナ侵略を始めとする国際的な安全保障問題について胸襟を開いた議論が行われたところでございます。  特に、まあ当然のこととはいえ、このウクライナ情勢につきましては特に集中的な議論が行われました。ゼレンスキー・ウクライナ大統領のスピーチに続きまして、ドイツのシュルツ首相、フランスのマクロン大統領、そして今御紹介いただいた米国のハリス副大統領、さらにはフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長等がスピーチを行いまして、ロシアによるウクライナ侵略を非難するとともに、必要な限りウクライナを支援すること、対ロ制裁を継続していくこと等を表明をいたしました。  私からは、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす事態であり、日本は従来の対ロ政策を大転換をし、厳しい対ロ制裁を導入するとともに、ウクライナへの強力な人道支援、これも侵略開始から間もなく開始した旨、発言をしたところでございます。  会議後に結果概要というのが発出されておりますが、そこでも、ウクライナにおける自由と平和、これは欧州の平和のみならず、平和と自由を保障するルールに基づく国際秩序の前提条件である、こういう旨が記述をされたところでございます。  また、この機会に、私もG7外相会合ということで議長としてこの会合を主宰いたしまして、ロシアによるウクライナ侵略に対して、法の支配に基づく国際秩序を守り抜いていくこと、このことについてのG7の確固たる決意を示すとともに、G7が結束してロシアに対する制裁を維持強化すること、また、引き続きウクライナを支援していくこと、これを含む共同声明、発出したところでございます。 ○榛葉賀津也君 ミュンヘン会議に出席をしてきたあるジャーナリストから話を聞きますと、対ウクライナにおいての欧米の共通認識はおおむねこんなものだったということをお伺いしました。  まず一点目は、このロシアの行為が侵略だけではなくて人道に対する罪だということ、そして、ウクライナ勝利まで軍事的なコミットを続けるんだと、若しくはロシアの勝利を阻止することがボトムラインだということ、その上で二つのリスクをどう回避するのかと。その二つのリスクとは、ロシアの核使用、それと第三次世界大戦に突入するリスク、この二つをどう回避するかだという話がありました。  そして、今後の大きな課題は、難題は、ウクライナの勝利の定義をどうするかだという話がミュンヘンで語られたと。その定義を、クリミア奪還までを定義とするのか、若しくは東部、南部の解放なのか、それ以外のシナリオがあるのかという話でございます。アメリカ若しくは欧州は、どんな勝利の定義を今定めていらっしゃるんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このロシアによるウクライナ情勢の対応をめぐっては、先ほども申し上げましたが、G7を始め、米国、欧州の同志国との間で緊密にやり取りを行って連携をしてきているところでございます。  そして、例えばですが、G7の各国との間では、ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、何をもってこのウクライナの勝利とするか、これも含めまして、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきか、これについてはまさにウクライナの人々が決めるべき問題であると、こうした考えでG7としては一致をしているところでございます。 ○榛葉賀津也君 ということは、大臣、我が国も当然ながらそのG7の考え方に沿って、ウクライナの問題はウクライナが決めるという判断なんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) まさに我が国としても、ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、何をもってウクライナの勝利とするかも含めて、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきかはウクライナの人々が決めるべき問題であると、こういう考えでございます。 ○榛葉賀津也君 国内外の様々な評論家や政治家、官僚の中で、このウクライナの停戦若しくは終戦に様々な御意見があることは承知をしておりますし、中には、ウクライナが多少の主権や領土を失っても早く停戦するべきだと、多少の失うものがあっても、ロシアやプーチンはもう相当な信頼失墜や国としてのダメージを受けているのだから即時停戦すべきだという意見があることも承知をしています。  他方で、このミュンヘンでも幾つか議論があったようでございますが、そのような停戦の仕方というのは、ロシアの核の脅しが功を奏したという間違ったメッセージのようになるんではないか。西側含めてロシアの脅しに屈したという誤ったメッセージが、核を保有している例えば中国、北朝鮮に対してもミスリードするんではないかという意見があります。その先には、だったらもっと核を持ったらいいじゃないかという国が出るかもしれませんし、事実、韓国では半分以上の、半数以上の国民が核を保有すべきだという世論調査もあるという報道もありました。  大臣はどうお考えですか。 ○国務大臣(林芳正君) まさに冒頭も申し上げましたように、このウクライナにおける自由と平和、これは欧州の平和のみならず、平和と自由を保障するルールに基づく国際秩序の前提条件であると、こういうふうな結果概要も出ております。  我々も、このことは単に東ヨーロッパの一か国の事象にとどまることではなくて、この戦後ずっと培われて、第二次大戦後ずっと培われてきた国際的なルール、すなわち力による一方的な現状変更をしないと、この根幹に関わる問題であると、こういう認識を持っておりまして、今委員からお話のあった核についても全く同じことだというふうに考えております。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  実は、ミュンヘン会議でもう一つ議論があったことが、私意外だったんですけれども、モルドバの問題だったということでございます。ミュンヘンで、このモルドバについてどんな議論されたんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このモルドバでございますが、地政学的な力学が非常に複雑に働いている国でございます。また、御案内のように、エネルギー面での対ロ依存度が非常に高くて、特にロシアによるウクライナ侵略後、エネルギー価格の高騰に直面をしております。また、多くのウクライナ避難民が押し寄せて、周辺国と比較しても人口比で最大規模の避難民を受け入れていると、こういうことでございます。  このようなウクライナ周辺国の中でも特に大きな負担を負っている状況も踏まえて、実は、去年の四月のG7外相会合ですが、周辺国の中でも特にモルドバについて特別な配慮が必要であるということが確認されたところでございます。私も、二月二十二日にモルドバのポペスク外務大臣と電話会談を行いまして、モルドバが困難な状況の中で多くのウクライナ避難民を受け入れるなど、地域の安定とウクライナ人の生命を守るために多大な貢献をしているということに改めて敬意を表すと同時に、日本として、モルドバの取組、これ強く支持して、更に支援していく旨を伝えたところでございます。 ○榛葉賀津也君 大臣おっしゃったように、モルドバというのは小さな国ですけど、非常に重要な国でありまして、モルドバ東部のドニエストル川に沿って広がるトランスエストリア、ここはもうロシア系住民が分離独立を主張して、旧ソ連の崩壊以降、ソ連軍が平和維持と称して居座っている未承認国家があって、複雑を呈しているわけでございます。  調べたら、何か日本モルドバ友好議員連盟というのがありまして、会長は林大臣でした。このモルドバの話を今日したかったんですけれども、時間がなくなりましたので、次回、必ずまたモルドバの話をしたいと思います。  昨年十二月はサンドゥ大統領も御来日をされて、親ロシア派と親欧州派が拮抗しているモルドバでございますが、現サンドゥ大統領は親欧州派でございます。ここには、旧ソ連当時のいわゆる旧チェコスロバキアや東ドイツにあった膨大な量の武器や弾薬を全部ここに集約をして、いまだにあるんですね。非常に危険かつ重要なエリアでございますので、また後日この問題は質問したいと思います。  終わります。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  昨年十二月に閣議決定された安保三文書は、空港、港湾など公共インフラについて、有事を見据えた平素からの利活用を掲げています。国家防衛戦略は、特に南西地域における空港、港湾等を整備、強化するとしています。  資料①は、昨年四月の防衛省の資料です。南西諸島の二十の空港と十一の港湾について、自衛隊の輸送や国民保護に万全を期すためにインフラ整備が必要としてリストアップしています。  防衛省に伺います。  これらを全て軍事利用の対象と考えているのですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  委員御提示の資料は、令和四年四月に、防衛省が自衛隊の運用上の課題、これを部外に説明するために作成した資料でございます。この資料におきましては、南西地域における空港、港湾や通信等のインフラ整備が必要であるとしつつ、南西諸島の各空港、主要港湾の配置図を示しておりますけれども、これは防衛省・自衛隊として整備したいと考えている空港、港湾を具体的に示したものではございませんで、この南西諸島の各空港、主要港湾を機械的に示したものでございます。  その上で、防衛省といたしましては、一般論として、滑走路や岸壁長が長い空港、港湾は部隊運用上の有用性が高いと考えておりますけれども、いずれにせよ、どこの空港、港湾のインフラ整備が必要であるか、個別具体的な空港、港湾の名称をお答えすることは、現在検討をしている段階でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。 ○山添拓君 ここは違うと除外できるところはあるんですか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  これはあくまで、先ほども御答弁申し上げたとおり、南西諸島の各空港、港湾の配置図を機械的に示したものにすぎません。どこの空港、港湾のインフラ整備が必要であるか、個別具体的なことについては現在検討中でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。 ○山添拓君 一つも否定されませんでした。いずれも対象になり得るということだろうと思います。  これ、有事になれば攻撃対象となり、住民の避難どころではなくなります。ですから、そのような懸念が示されているのは当然だと思うんですね。  私は、先月、この資料に出てきます下地島空港を訪れ、管理者である沖縄県から話を伺いました。  まず、国交省に伺います。  一九七九年の供用開始から四十年以上たちますが、定期便が就航し、民間航空会社の訓練も日常的に行われています。老朽化が見られるといっても、例えば滑走路にひび割れがあったり、小石が転がっていたりというわけではないと伺いましたが、空港の現状をどう把握されていますか。 ○政府参考人(新垣慶太君) 下地島空港は、委員御指摘のとおり、宮古島市に位置して、沖縄県の地方管理空港として三千メートルの滑走路を有しております。  利用状況につきましては、令和三年度でございますが、コロナの影響により国際線はございませんが、首都圏等を結ぶ国内線として二社が就航しており、旅客数は二十二万人となっております。  その滑走路の整備状況なども、ここは県が管理をしており、今申し上げました空港の利用に影響があるような状況にはなっていないというふうな認識をしております。 ○山添拓君 管理者として点検ももちろんされているということですから、支障があるようなひびだとか小石があるとかいうことではないんですね。  一九七一年八月、当時の運輸省と琉球政府との間でいわゆる屋良覚書が交わされています。どのような経緯で確認されたものですか。 ○政府参考人(新垣慶太君) お答えいたします。  いわゆる屋良覚書は、昭和四十六年、一九七一年でございますが、その当時、下地島パイロット訓練飛行場の建設形態が固まってきたことを踏まえ、当該飛行場の設置管理者となる予定の琉球政府からその運用等について照会があり、運輸省としてお答えしたというものでございます。 ○山添拓君 その中身もできれば紹介いただきたいのですが、運輸省は、民間航空の訓練及びそれ以外の目的に使用させる意思はない、使用させることを管理者である琉球政府に命令する法令上の根拠も持たない、軍事利用を否定する覚書です。  一九六九年に建設計画が話題になった当初から、正体不明の飛行場、秘密裏に調査進めるなどと報じられました。政府は軍事目的ではないとしましたが、沖縄の米軍基地からはB52が連日のようにベトナム戦争に出撃し、前年には嘉手納基地で墜落事故も起きていました。六九年四月の宮古郡民大会では誘致反対が決議され、七一年三月には県議会の前身である琉球立法院が絶対に軍事目的に使用させないという決議も上げ、復帰後の西銘確認書でも確認されました。  地域が分断され殺人事件まで起きる中で、将来、どんな政権、知事になっても軍事利用させない、その担保が屋良覚書にほかなりません。これは変な覚書などではないわけですね。  今年一月、米海兵隊が、災害訓練目的で下地島空港の使用届を県に提出しました。県が自粛を求め、結果として今回は見送られました。  外務省に伺います。  資料③は日米地位協定五条です。米軍機の日本の飛行場への出入りと移動を定めたものです。これは、緊急時のような場合を除いて、米軍機が国内の空港を自由に利用できるという意味ではありませんね。 ○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。  米軍の航空機は、日米地位協定第五条に基づきまして我が国の飛行場に出入りすることが認められておりまして、米軍機が我が国の民間空港を使用する場合には、同条に基づいて行われることになると考えられます。ただし、実際の空港の使用に当たっては、米軍の民間機による空港使用への影響が最小限にとどめられるよう、空港管理者と所要の調整を行うこととなっております。  このように、米軍は全く自由に飛行を行ってよいわけではなく、公共の安全に妥当な考慮を払うことは言うまでもありません。米国に対して、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き強く求めていく考えです。 ○山添拓君 全く自由に使えるわけではないという御答弁でありました。ですから、だからこそ今回も米軍は管理者である県に対して使用届を出し、自粛を求められたので見送ったという経過になったのだと思います。  確認ですが、訓練や訓練のための離着陸のためといって民間空港を米軍が自由に使うことができると、全く自由に使うことができるというわけではありませんね。 ○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。  日米地位協定第五条が定める出入りとは、米軍による我が国の飛行場の使用の権利を定めたものと解釈されます。  出入りの中にどのような行為が含まれるかについては、空港使用の態様といった個別具体的な状況次第であり、一概に言えませんが、一般論として申し上げれば、一定の期間空港内で訓練を行うといった場合には、通常、日米地位協定第二条4(b)が定める共同使用の手続によることになると考えられます。 ○山添拓君 一定の手続が必要であり、空港管理者の了解を得ず自由に離着陸できるというものではないと思います。これは、広大な米軍基地を既に提供しているわけですから、基地以外の空港についても米軍が自由に離発着できるなどという解釈、運用は主権の放棄に等しいわけです。  自衛隊についてはどうかと。浜田大臣は今年一月、有事以外にも自衛隊が利用する多様な空港の例として下地島空港も含めると述べました。  防衛省に伺います。武力攻撃事態など何らかの事態認定がされないいわゆる平時において、下地島空港を自衛隊のために使用させる根拠法令はありますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  ちょっと、突然の御質問でございましたので、もう一度、大変申し訳ございませんけれども、もう一度確認させて、しっかりと答えたいと……(発言する者あり) ○山添拓君 いわゆる平時の時点で、下地島空港のような民間空港を自衛隊機の離発着のために使用させるその根拠法令はありますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  正確にお答えできるかどうかちょっと正直自信がないんですけれども、民間の空港を平素自衛隊が使う根拠法令、これは詳細、正確には承知しておりませんけれども、通常、やはりここは自衛隊が平素、例えば災害派遣や訓練等で使う場合には、それを管理している自治体やその団体等と調整を行いながら、行って、使わせていただくものだと承知しております。 ○山添拓君 空港管理者である沖縄県との間で、軍事目的には使えない、使わせないことを確認したのが屋良覚書です。防衛省もこれを尊重するのですね。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  下地島空港の自衛隊機による利用につきましては、地元住民の意向といった地域の個別事情を踏まえる必要があると考えております。 ○山添拓君 いや、地域の個別事情がこの屋良覚書に表れていると思うのですが、これ尊重するのですよね。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  下地島空港の自衛隊機による利用につきましては、委員御指摘の屋良覚書、これも十分念頭に置きながら、地元住民の意向といった地域の個別事情を踏まえる必要があると考えております。 ○山添拓君 念頭に置くという程度ではなく、やっぱりこの経過がある下での屋良覚書ですから、尊重いただく必要あると思うんです。  二〇一三年度の予算で、航空自衛隊の先島諸島での運用に関する調査研究が行われています。下地島空港も調査の対象に含まれていましたか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  今、手元にその調査の詳細な資料がちょっとないので、調べまして、後ほど御回答させていただきたいと思います。 ○山添拓君 調査研究ですので、その成果物があるかと思います。委員会への提出を求めたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 国家安全保障戦略は、有事を見据え、平素からの利活用に関するルール作りなどを行うと述べていますが、管理者である県と国との合意を一方的にほごにするなどというのは、これはルール作りという名のルール破りであり、許されないものです。  国交省に伺います。地方自治体が管理する空港を国管理へと移行した、そういう事例というのはあるんでしょうか。 ○政府参考人(新垣慶太君) お答えいたします。  現時点で、地方管理空港から国管理空港に移行した事例はございません。 ○山添拓君 そのような権限は政府にありますか。 ○政府参考人(新垣慶太君) 現状、設置管理者の主体的な意思なしに地方管理空港を国管理空港に移行させることは想定していないものと考えております。 ○山添拓君 空港の運営会社にもお話を伺ってきました。先ほど御紹介あったように、東京便や那覇便など観光客による利用は順調にあり、台湾との直行便の運航再開を目指したキャンペーンも行われているとのことでした。  勝手に国有化するような乱暴なことはもちろん許されませんが、利活用のためといって国が一方的にルールを定め、自衛隊や米軍による軍事利用を可能にすることがあってはならないと思います。これは大臣にもお約束いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、先ほどから申し上げているように、地元との協議というのがこれは最優先の課題だというふうに思っておりますので、我々とすれば、しっかりと御説明をしながらいろいろな可能性を探っていきたいというふうに考えております。 ○山添拓君 いや、これはいろいろな可能性という話ではないと思うんですね。  ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の皆さんと懇談しました。資料の四枚目に付けております。  下地島空港を含む宮古島市には、二〇一九年、陸上自衛隊のミサイル部隊が配備され、敵基地攻撃能力として使える長射程ミサイルの配備が心配されています。保良訓練場に既にある弾薬庫に加えて、新たな弾薬庫の整備も計画されています。ミサイルを積んだ車両が毎日のように島内を走り、航空自衛隊のレーダーやアンテナが林立しています。一帯が軍事要塞化するようで、住民に説明のないまま有事をつくろうとする姿勢への怒りが語られました。  宮古で過ごしていくその夢が持てない、子や孫に住み続けてよいと言い難いという声を、浜田大臣、どう認識しておられますか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 住民の皆様方の声は我々も十二分に承知をしておるところでございますので、我々とすれば、必要な説明をしっかりとしながら御理解を得る努力をしてまいりたいと思っております。 ○山添拓君 それは理解されないと思うんです。  宮古島は、戦時中、三つの飛行場がありましたが、真っ先に狙われました。爆撃と艦砲射撃で市街地も壊滅をしたといいます。四万人の島に本土から三万人もの兵隊が送り込まれていましたが、海上封鎖で食料も医療品も途絶えてしまいました。住民は軍隊に食料を奪われ、餓死者が相次ぎ、マラリアで亡くなった住民は二千人に上るといいます。軍隊は住民を守らないという痛切な経験があるわけです。  その沖縄で防衛省は、住民保護は自衛隊の任務ではなく自治体の仕事だと突き放しています。戦前は日本軍に、そして戦後は米軍、今度は自衛隊と、また沖縄を捨て石にするつもりかという怒りが渦巻いています。昨日ミサイル基地が開設された石垣島でも同様の声があると伺っています。  大臣は二言目には住民の理解とおっしゃるのですが、問われているのは沖縄の歴史とその住民の思いに対する政府の側の理解ではないかと思うんです。大臣、いかがですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、あくまでも国民を守る責務があるわけでございますので、我々のこの考え方というものを幅広く多くの方々に御説明をしながら、御理解をいただく努力を続けていきたいと思います。 ○山添拓君 その国民とおっしゃる中に、沖縄の、あるいは宮古島に暮らす人々は含まれているのかということだと思うんですよ。地下水で保たれている島です。攻撃対象になり、ミサイルで攻撃され、汚染されれば住むことができなくなると、大体、避難などどうやってするのかと、その声は切実なものですよ。そして、造らないと明言していた弾薬庫まで造られたわけです。理解を得ると言いながら、理解を得られなくするようなことを次々進めてこられたと思うんですね。平和のためだと言って戦争準備を進めることは許されないと思います。  二月二十五日、城辺保良鉱山に弾薬庫の設置を計画している件で住民説明会が開かれました。弾薬庫を置けば有事に攻撃される、住宅地に余りにも近くて危険など、懸念の声が相次いだといいます。このまま建設を進めるつもりではないかと思いますが、大臣、いかがですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、御理解をいただく中で準備を進めてまいらなければならないと考えておるわけでありますので、不断の努力をしていきたいというふうに思います。 ○山添拓君 私は、やはり、現地の皆さんのそのこれまでの経験と、今抱えている不安と懸念、その思いに寄り添うというのであれば、今進められようとしている大軍拡の道を歩むべきではないと考えます。  そのことを最後に重ねて強調し、質問を終わります。 ○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  昨年二月二十四日、ロシアがウクライナに軍事侵攻してから、一年が過ぎました。ウクライナの人々のことを考えると、一日も早く和平が訪れることを願わずにはいられません。  ロシアの軍事侵攻に対して、一週間後には参議院本会議で非難決議が行われましたが、私は棄権をしました。平和憲法を持つ日本は、ウクライナと共にではなく、欧米とは違う立場で、独自にロシア、ウクライナに平和的解決を求める積極的な外交を行うべきだと考えたからです。この平和的手段というのは、もう幾らでも、仲介でも調停でも和解でも、何でもあるわけです。  米軍基地が集中する沖縄は、米国を巻き込む戦争が行われるたびに危険にさらされてきました。五十年前に本土に復帰し、憲法を遅れて手にした沖縄県民は、とりわけ平和への願いが強く、強く持ち続けているわけです。  しかし、ロシアの軍事侵攻を機に、日本政府は防衛力強化にかじを切り、沖縄はますます危険にさらされることになりました。先ほど山添議員が言われたような感じがいっぱいあるわけです。  そこで、今日は、この外務、防衛の両大臣に、外交防衛についての基本姿勢について伺います。  新たな安保三文書では、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を有する国々に対し、普遍的価値を共有しない一部の国家、具体的には中国やロシアなどがあり、これらの国々が既存の国際秩序の修正や挑戦を行っているという評価をしています。この点については、民主主義対権威主義などと語られることがあります。その上で、我が国は、普遍的価値、既存の国際秩序を守る立場に立って行動しようとしていると理解しています。そして、バイデン政権もこのような構図で世界戦略を考えているのでありましょう。  この点に関し、二月十六日の衆議院予算委員会公聴会で、自民党推薦の公述人、拓殖大学の川上先生が次のようなことをおっしゃっています。  バイデン政権後のことも我々は考えなくちゃいけないわけですね。アメリカにいる私の友達から電話がありまして、友人たちから電話がありまして、本当に日本は大丈夫か、アメリカの戦略に乗って、いや、バイデン政権の戦略に乗って政策は展開しているが、もしトランプが現れた場合どうなるんだ、真逆になるんじゃないかと。ロシアともう一回手を結び、それから、トランプ大統領のやったことは、同盟ではなく、アメリカファーストをやり、しかも、ロシアとそういう具合にもう一回手を結び直し、中国とディールするんじゃないか。そうしたときに、我が国ははしごを外された段階でどうするんだというふうな声が実は民主党政権の研究員から上がっているわけでございますと述べられました。  次期アメリカ大統領選挙でトランプ大統領が復活する可能性はかなりあると思われます。ちなみに、トランプ前大統領は今年一月、もし私が大統領だったらロシアとウクライナの戦争は決して起きなかっただろう、もし今私が大統領であったら二十四時間以内に戦争を終わらせる、終わらせる交渉ができると述べています。  そこでお聞きします。米国で中国やロシアなどに融和的な政権が誕生し、両者間で大きな妥協があった場合に、日本ははしごを外され、特に中国とロシアとの関係で非常に困難な状況になるのではありませんか。そのようなリスクの備えは考えてあるのでしょうか。林外務大臣に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) この米国の内政に関わる事項の一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思いますが、我が国としても、米国の大統領選挙については関心を持って注視をしておるところでございます。  その上で申し上げますと、日米同盟、これ揺るぎがなく、その重要性について民主党、共和党を問わず共通の認識が存在しており、選挙の結果が日米関係の重要性、これに影響を及ぼすことはないというふうに考えております。 ○高良鉄美君 次の形でよく見る言葉があります。日本では、政府も与党も、一部野党も、多くの国民も、民主主義陣営の一員として権威主義国家と対峙するんだと、こういうふうに熱くなっているようにも見えるわけですけど、しかし、今米国について述べましたが、世界を少し見渡すだけで、そういうような単純化した物の見方で大丈夫かと、こう心配になる要素は多々見出せます。  今度は台湾について述べます。  配付した資料、御覧ください。緑の、二ページ以降ですね、私がこの下線を入れたものです。これは、筑波大学名誉教授の遠藤誉さんが一月二十日にインターネット上に発表された記事です。遠藤さんは、中国共産党軍の封鎖のために多くの民衆が餓死に追い込まれた長春包囲網の生き残りで、当時の経験もあって、中国共産党に対してはネガティブな姿勢を持たれている方です。  まず、資料の一ページの、台湾人の政党支持率の推移です。国民党の支持率の上昇は日本のメディアでも報じられることがあります。次のページの第五段落に、ペロシ訪台後の九月の調査以降から国民党の支持率が増え、民進党の支持率が落ちているとの記述が興味深いわけです。  資料の二ページの、この、アメリカは台湾を大陸を挑発する駒として利用するなという民意の内容について見てみます。今年一月十二日に対中問題を中心として台湾で行われた民意調査についてです。  資料には、八つ目の問いとして、抗中保台と和中保台のどちらが台湾に有利ですかとあります。抗中保台というのは、中国に対抗してこそ台湾を防衛することができるという考え方、和中保台は、中国と良好な関係を保っていてこそ台湾を防衛することができるとする考え方です。  四ページの調査結果、八の円グラフを御覧ください。抗中保台が台湾に有利と考える者は二五%に対して、和中保台が台湾に有利と考える者が五二・七%と、中国と良好な関係を保つ方が台湾に有利と考える意見が二倍以上います。  五ページの九、十、十一の円グラフは、アメリカとの関係についての民意調査です。  九のアメリカは台湾を利用して中国を牽制していると思いますかとの問いに対し、していると答えた者が五七・四%、していないと答えた者が二九・三%です。それから十一の、アメリカを完全に信用してはならない、アメリカと距離を置かなければならない、そうしてこそ台湾は米中対立による衝突に巻き込まれないようにすることができるとの問いに対して、賛成五三%、反対三七・六%です。  もちろん世論調査というのは実施主体とか実施方法あるいは実施時期などによって随分結果変わるので、今紹介しただけでこの台湾の民意が分かると言うつもりはありません。しかし、日米と組んで中国と対抗するという民意で台湾がまとまっているわけでは決してないと、これは言ってよいだろうと思います。  そこで林大臣に伺いますが、将来、台湾で国民党政権が発足し、中国との良好な維持、発展に重点を置いた施策を推進するようになった場合、日本ははしごを外され、困難な状況にならないでしょうか。このような事態への備えは考えているのか、伺いたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、台湾は日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、一貫して大切な友人であるわけでございます。  新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の困難に直面する中においても、日本から台湾への四百二十万回分のワクチン供与、台湾から日本へのマスクや酸素濃縮器の供与等、日台の関係は更に深まっているわけでございます。  台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくというのが日本政府の立場でございまして、この立場を踏まえて、両岸関係を注視しながら、日台間の協力と交流の更なる深化を図ってまいります。 ○高良鉄美君 今、台湾の言及ありましたけど、やっぱり中国と台湾の問題というのを、日本がどちらとも関係があったということを歴史的に踏まえて、そこの間に立ってしっかりと発信しないといけない、平和的に解決してくださいよということを、今何かいろいろあるとちょっと違うアプローチにしているのかなという気がします。  国際関係における脅威への対応には、よく見るこの抑止のアプローチのほかに安心供与というアプローチがあります。この安心供与は、なぜか余り日本で語られないんですけれども、相手国が戦争に訴えても守るべき死活的利益を脅かさない、こういう共通認識を当事者間で、当事国間でつくると、こういうことです。  安保三文書を読んで気になるのが、抑止の視点が強い一方、安心供与の視点がないように見えるということです。国家防衛戦略と防衛力整備計画が抑止の発想で書かれるのは分かりますが、国家安全保障戦略で安心供与の視点がないとすれば大きな問題です。  浜田防衛大臣に伺いますが、国家安全保障戦略において中国に対する安心供与の視点はどのように書かれているのか、御説明ください。 ○国務大臣(浜田靖一君) まず、外交努力の必要性は言うまでもなく、国家安全保障戦略においても、我が国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための力強い外交を展開するとして、戦略的なアプローチの第一に記載しております。  その上で、政府としては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙し、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため防衛力の抜本的強化を行う必要があると考えておりますが、これらの取組は憲法及び国際法の範囲内で専守防衛を堅持して進めていくものであり、こうした基本方針は今後も変わらない旨を記載しております。  また、諸外国に対して防衛政策の具体的な考え方を明確にするなど、自国の安全保障政策の透明性を確保することが重要であると考えており、防衛省として、引き続き、透明性の確保に積極的に取り組んでいく考えであります。 ○高良鉄美君 今説明ありましたけれども、この先、ちょっと質問の前提として浜田防衛大臣に伺います。  安保三文書の改定、防衛力の抜本的な強化、こういったものは、戦争を起こすためではなく、戦争を起こさないことを目指して行っているという理解でよろしいですか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛力の抜本的強化を始めとする戦略三文書に記載した取組については、先ほど申し上げましたが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるかという観点から、約一年間にわたり検討し具体化したものであります。  これらの取組は、あくまでも国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要となるものであり、まさに委員御指摘のとおり、我が国の抑止力、対処力を向上させることで我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させるためのものであると考えております。  委員の御指摘のとおり、私どもとしては、戦争ということは、これはもう国際法にも違反することにもなります。我々は、平和国家として八十年にわたって平和を希求する国民として今まで存在し続けてきているわけでありますので、戦争などということは我々考えておるわけがございません。 ○高良鉄美君 是非これを海外に向けて、こういうことは絶対自分たちは目指していませんということを、やっぱり発信だと思うんですよ。今のこの防衛力の増強、やっぱり中国から見ても、これかなり問題なわけですね。だから、そうではありませんよということを是非知らせる方法が必要だと思いますので。  次の質問は、中国は、台湾が独立すれば、戦争に訴えてでも阻止を図るでしょうと。反国家分裂法、中国のですね、これにその決意が表れています。であれば、戦争を起こさないために中国に対してすべき安心供与は、台湾独立を日米は支持しないと表明し実施することです。  遡れば一九七二年の日中共同宣言からひもとかなければなりませんが、過去の政府答弁でいえば、九七年十二月二日の衆議院本会議で当時の橋本総理が、台湾独立を支持する考えはございませんと、そして、二〇〇五年三月十七日には当時の町村外務大臣が、台湾独立を支持しないという原則と明言しています。  しかし、今回の国家安全保障戦略では、十四ページで台湾に関する基本的な立場に変更はないと述べながら、台湾独立を支持しないと明言するのを避けました。  ちなみに、昨年の米国の国家安全保障戦略二十四ページでは、「We oppose any unilateral changes to the status quo from either side, and do not support Taiwan independence.」と、つまり台湾独立を支持しない旨をアメリカも明言しているわけです。  三文書改定前ですが、昨年の衆議院予算委員会で立憲民主党の岡田議員と末松議員の質問に対し、岸田総理は、台湾独立を支持しないとの言葉を使いませんでした。しかし、先ほどの安心供与の視点、戦争を防ぐ、戦争につながる無用な緊張を避ける観点からは、今改めて台湾独立を支持しないという言葉を明言することはとても重要なことだと思います。内容が同じで表現が違うだけなら、台湾独立を支持しないと明言するデメリットもないはずです。  末松議員への答弁中、どういった言葉遣いをするか、どういった説明をするか、これは極めて大事という部分は、一般論として理解できます。こうした説明の仕方を維持していくことが重要であるとの部分では、なぜ重要と考えるかということの説明がありませんでした。  そこで、林大臣に伺います。  台湾の独立を支持しないという表現をするのではなく、一九七二年の日中共同声明から今日まで対応は一貫している、変わっていないという説明の仕方、これを継続していくことが重要であると政府が考えた理由を説明してください。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国は、台湾との関係、これは、一九七二年の日中共同声明を踏まえて、非政府間の実務関係として維持していくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題が台湾により平和的に解決されることを期待する旨、これまで一貫して表明してきております。  先般、岸田総理は、外交上の表現ぶり、また説明の在り方の重要性を指摘されるとともに、我が国の台湾に関する今申し上げた立場自体、一貫して何ら変わっていない旨述べられたと承知をしております。  まさに総理が述べられたとおり、その時々の情勢に応じて様々な表現が用いられてきておりますが、我が国の基本的立場自体は一貫して何ら変わっていないということを述べたものでございます。 ○高良鉄美君 先ほどもちょっとありましたけれども、同じ言葉を使わないということの意味ですね、それをちょっと私は聞いたわけですけれども、やはりこの言葉に何か、改めて言わない、変わらないと言いながら、台湾の独立を認めないというのは、支持しないというのはなぜ言わないのかという、こういう疑問があるからなんですね。  ちょっとこの点に関して、日中共同声明ということでお話を聞きたいんですけれども、一九七二年の日中共同声明には、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」とあります。  この日本側の意思表示は単純でない内容をかなり含みます。また、台湾に関する米国の立場も上海コミュニケにあるように単純ではありません。しかし、本日は、この中国と台湾の関係について、日米の見解ではなくて、日米以外の国際社会がどういうふうに中国と台湾の関係について捉えているのかちょっと考えてみたいと思います。  中国と国交を持ち、台湾と国交を持たない多くの国にとって、台湾の領土的な位置付けについて、日米がしたように複雑な配慮をする必要はなく、普通に台湾は中国の領土と見ているのではないでしょうか。仮に台湾海峡有事が発生した場合、中国は当然、これは中国の国内問題であるから他国が介入してはならないと主張するでしょう。また、日米に介入理由を与えないため、当初は日米への攻撃を控える可能性がかなりあります。その状況で仮に米国が台湾側に立って参戦し、日本がその後方支援を、あるいは自らも参戦した場合、中国の国内問題に介入したと日米に対する国際的批判が広がるリスクは当然事前に検討しておく必要があると思います。  林大臣に伺いますが、このようなリスクは政府内で検討しましたでしょうか。検討したならその結果を御説明ください。 ○国務大臣(林芳正君) 今委員がおっしゃったケースも含めて、仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいというふうに思いますが、我々の立場、先ほどお答え申し上げたように、この台湾との関係は、一九七二年の、今御説明もいただきましたけれども、日中共同声明を踏まえて、非政府間の実務関係として維持をしていくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するとこれまで一貫して表明をしてきているところでございます。 ○高良鉄美君 仮定のと言いますけれども、やっぱりいろんなケースを想定して国会では議論しないといけないんじゃないかと。それで、いろんな答弁の中にも最悪の場合を想定してというのがありますので、これ国会の中でいろいろ議論すべきことだと思うんですね。そして、実際にそういうことが起こったらというケースですので、このケースもやっぱり検討するということが必要だと思うので、これ、今私が聞いたのは中身ではなくてこういうのが検討されましたかということであります。それだけのことなんですけれどもね、どうでしょうか、これ大丈夫ですか。 ○国務大臣(林芳正君) 一般論として申し上げますと、あらゆる事態を想定していろんな検討をするということは政府として当然のことだろうというふうに考えております。 ○高良鉄美君 中国のことにちょっと触れますけれども、二〇二〇年十月に開催された国連総会第三委員会では、新疆ウイグルの人権状況と香港情勢に重大な懸念を表明する共同声明を三十九か国が発表しました。それに対し、四十五か国が新疆で中国政府が取っている反テロ、反過激化措置を支持する内容で共同声明を出しました。三十九対四十五です。翌二〇二一年十月には、それぞれこれが四十三か国と六十二か国でした。  新疆でのこの人権状況ですら、国際世論はこのような状況です。多くの国が中国と国交を持ち、台湾とは国交を持たない以上、台湾海峡有事で中国の主張が国際世論に広く受け入れられる可能性はあると。きちんとそのリスクの評価と対応を考えておくべきだと思います。  また、先ほど台湾の世論についてお話をしましたが、日本で台湾を守るんだと熱くなっている方々、随分雰囲気が違うようです、国際社会ですね。物事を単純化して捉えた上で、米国の言うような民主主義陣営の一員として権威主義国家と対峙するんだと、こういう熱くなるような気持ちもありますけれども、別の視点もきちんと踏まえておくべきだと思います。更に言いますと、政府が今回の三文書で示した戦略で進むとしても、少なくともそれがうまくいかなかった場合のプランBをきちんと用意しておくべきだと思います。  先ほどちょっと飛ばした質問といいますか、もう私言い切りで言いますけれども、ある評論家がこういうことを言っています。台湾海峡有事が起こり、アメリカが台湾側に立って参戦したら、ウクライナにおけるロシアに相当する立場になるということを言っています。  どういうことかといいますと、ウクライナ政府は、東部の二州の分離独立政府、勢力と戦争をしていました。そこに、ロシアが分離独立勢力を支援してウクライナと戦争を始めました。一方、台湾は、中国から見れば自らの一部。台湾が独立しようとすれば、中国からすれば分離独立勢力であり、武力をもってしてもそれを阻止しようとする。そのような状況の中で、仮にアメリカが台湾側に立って中国と戦争すれば、分離独立勢力へ外国が支援したということになって、ウクライナにおけるロシアに相当する立場になるということです。  こういった議論もあるんだということを考えますと、やはり今、台湾というのは東京からいうと相当離れていますけれども、沖縄からいったらすぐそばなんですよ。だから、こういう状況の中で、軍備で、先ほどありましたけれども、沖縄県民が非常に恐れているということを私訴えて、これを最後にしたいと思います。  ありがとうございます。 ○委員長(阿達雅志君) 以上をもちまして、令和五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管、防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会