第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 令和5年3月30日 令和五年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      山口那津男君     高橋 光男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 高橋 光男君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    大臣政務官        防衛大臣政務官  小野田紀美君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       室田 幸靖君        内閣法制局第一        部長       木村 陽一君        外務省大臣官房        長        志水 史雄君        外務省大臣官房        審議官      實生 泰介君        外務省大臣官房        審議官      松林健一郎君        外務省大臣官房        審議官      北川 克郎君        外務省大臣官房        審議官      原  圭一君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      池上 正喜君        外務省大臣官房        参事官      大河内昭博君        外務省大臣官房        参事官      片平  聡君        外務省大臣官房        参事官      松尾 裕敬君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   海部  篤君        外務省国際法局        長        御巫 智洋君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として高橋光男君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官室田幸靖君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○松川るい君 ありがとうございます。自民党の松川でございます。  まず、この法案について関連する在外公館の修繕費の問題を本日取り上げたいと思っておりますが、それにまず先立ちまして、喫緊の問題について申し上げたいと思います。  まず、アステラス社の邦人拘束事案であります。  これ、もう言語道断でありまして、早期、即時解放と再発防止を求めたいと思いますし、また、これについては既に林大臣自身も強い御発言をしていただいていることも承知をしています。中国外交部がこれ反スパイ法による逮捕だというふうに発表しておりまして、二〇一四年にこの反スパイ法できてから十七人もの邦人が拘束されています。  今度、林大臣も、もう即時解放を求めるだけではなくて、近々訪中の御予定もあるやに聞いて、聞いてというか報道されておりますので、是非、秦剛外交部長官に直接会って、また習近平国家主席に会う機会があるのかどうか分かりませんが、この邦人の即刻の解放を求めていただきたいと思います。これについては、日本人の国民が怒っているということを是非直接ぶつけて、日中関係というのはこれ解決なくして改善に向かうことはないという強い態度で臨んでいただきたいと存じますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この一連の邦人拘束事案につきましては、中国側に対し、これまで様々なレベルや機会を通じて、拘束された邦人の早期帰国の実現、また司法プロセスにおける透明性の確保、こうしたことを申し入れてきておりまして、最近では、昨年十一月の日中首脳会談において岸田総理から、また本年二月の日中外相電話会談において私から、我が国の立場に基づいて申入れを行っております。  こうした中、今回の同様の事案が再び発生したということを深刻に受け止めておりまして、そのような申入れを継続をするとともに、この本事案についても、様々なレベルまた機会を通じて、引き続き早期解放、これを強く求めてまいりたいと考えております。 ○松川るい君 様々な機会ということで、訪中の際にも本件強く求めていただくということをお答えいただいたものと理解いたします。  永遠に地理は変わらないので、私は、日中関係は建設的で安定的であるべきだと考えておりますけど、こういうことが続いて建設的で安定的な関係つくるというのは無理でありますので、是非よろしくお願いしたいと存じます。  さて、本題の方に入りたいと思います。今、先生方、委員の先生方にもこの資料をお配りしていると思いますが、今日私が取り上げたいのは、日本の在外公館の修繕費の問題であります。  まず、外務省の方にお伺いしますが、在外公館は、外交機能強化という中で、この二十年、何公館増えたのか。一方で、この在外公館の新築、修繕費について、この二十年で私は減少していると理解しているんですけど、それはどのくらい減少していて、理由は何なのでしょうか。また、修繕できないことによってどのような不備が生じているか、教えてください。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  在外公館の実館の数は、平成十五年度の百八十九公館から令和四年度は二百三十一公館まで増加し、国有施設及び借り上げの施設を合わせた施設数は、事務所それから公邸を合わせて四百十施設から四百七十九施設に増えております。  委員御指摘のとおり、厳しい財政事情の下で、借り上げ施設の増加に伴い、借料予算は平成十五年度と令和四年度との比較でいいますと百九億円から百四十二億円まで増加する中で、同じ期間における新築、修繕に充てる予算は九十億円から六十六億円に減少しているところでございます。  その上で、国有施設の約六割でございますけれども、一般的に大規模修繕が必要とされる築三十一年以上ということでありまして、予算、人員的な問題から大規模修繕などの着手が遅れ、今後、これら施設での外交活動にも影響を与えかねない可能性がございます。  また、建物の安全性や警備に影響を与える箇所への対応を最優先に取り組んでおりますので、このような緊急修繕を除いた施設の維持管理が後回しになる場合もありまして、高度化する脅威への対応や施設の長寿命化に向けた予防保全又は日本の顔たる在外公館の美観を損ねるといった点で課題があると考えております。 ○松川るい君 ありがとうございます。  要するに、ざっくり言うと、七十公館もこの二十年で増えているのに、修繕するため、新築したり、外観を直したり、内装を直したり、いろんなことをするためのこの予算は減っているんですね。三割減っているわけです。その理由というのが、要するに、公館を増やすというこの大事なことでありますけれども、賃料が非常に高いと。その賃料を要するにしわ寄せを食う形で今国有財産になっている方の公館の六割が築三十一年を超えているにもかかわらず修繕がなかなかできない状態が続いていて、お配りした資料のように、この壁が剥げていたり、こういう美観を損ねたり、恐らく機能の上でも問題がある状態が生じているということであります。  なぜ予算要求ができないんですか。予算要求をすればいいのではないですか。 ○政府参考人(志水史雄君) 私どもとして、厳しい財政事情の下ではございますけれども、必要な予算と考えられるものについて要求しているところでございますけれども、結果として、令和四年度に関しましては借料予算百四十二億円、修繕予算六十六億円、それから令和五年度の予算、今般国会でお認めいただいたところでございますけれども、ここにおきましても借料予算が百八十二億円、修繕予算は七十二・五億円ということになっております。 ○松川るい君 私、大使館というのは、外交を展開する上の拠点でありますし、また日本の顔でもあると思いますし、また現地邦人、現地にいる日本の邦人を守るためのとりででもあると。  なので、自衛隊に引き付けていえば、例えばその基地に当たるようなものでありまして、この前、我々、防衛力を強化するに当たったときに、自衛隊の官舎とかが非常にぼろぼろな状態なままなのを見て非常に衝撃を受けたと思うんですね。それは防衛における継戦能力に関わるという話であったと思うんですが、結局、この大使館がぼろぼろの状態に置かれているというのは、実は外交、継戦能力が実は損なわれているという状態と思っていただいたらいいんだと思うんですね。まあ余り在外公館も自衛隊の惨状と変わらないということであります。  今、志水さんからあったように、予算要求すればいいという話ではあるんですけど、要求しても通らないわけですね。それはなぜかというと、費目は違うにもかかわらず、営繕予算というざっくりした一まとめの中で事実上財務省からシーリングを掛けられているわけです。でも、それはもう、ここはもう与野党関係なく、日本の外交、外交と防衛は車の両輪だというのであれば、外交、継戦能力の一翼、非常に重要な一翼を担っている在外公館の機能はしかるべく改善されなければなりませんし、今は改善というよりもマイナスの状況でありますので、これはしっかりと予算要求を外務大臣にも鈴木大臣にしていただいて、この状況は抜本的に変えていただきたいと存じます。  大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 在外公館施設、これはまさに、今松川委員からお話がありましたように、その国における日本の顔でありまして、そして非常時には邦人保護の最後のとりでとなるため、やはりこの施設を適切に維持管理するということが必要であります。  その上で、緊急時の対応、邦人保護、情報保全等の新たな脅威への備えなど、近年、大使館に必要とされる機能が拡大をしておりまして、そうした意味でも施設の強靱化を図ることは極めて重要だと考えます。  今の御指摘も踏まえ、また後押しをいただきながら、実施体制の整備強化も行いつつ、必要な予算の確保、しっかりやってまいりたいと思っております。 ○松川るい君 力強いお言葉、ありがとうございます。今年度の予算に向けてしっかりと取り組んでいただけますように、そして我々も応援していきたいということを申し上げたいと思います。  もう一つ、大使館とか大使公邸について、私はもう長らくずっと思っていることがございます。大使館とか大使公邸というのは日本の顔なんですよね。外国において日本というのを考えたときに、行ったときに、例えば日本大使館に行ったら、何だろうな、和のテーストのこんなものがあったよとか、若しくはその中に入ったときに日本の新しい姿を感じるとか、いろんなそういう意味での発信機能、ソフトパワーを体現するための機能もあるんですよ。  例えば、我々も、例えば英国大使館、日本で行くときに、あの旧宮家の建物を今在日の英国大使館が利用していて、すてきじゃないですか。そういう利用の仕方もあるし、例えばジュネーブの大使公邸とかは、そういう形で元々あったお屋敷を借り上げて、買い取って、非常にいい発信ができるようなすばらしい施設になっていたりするんですけれども、問題は日本が最近新しく自分で建てた建物です。ほとんどが豆腐みたいな真四角の無味乾燥な建物なんですね。まあ名前は言いたくありませんけど、マレーシア大使館とか、ほかにもいっぱいあります。なぜか。安いからです。真四角の豆腐みたいな建物が一番容量が、たくさん人員や部屋を詰め込めて、建築費が安くて、真っ白に塗っておけば取りあえずいいだろうみたいな、ということになっているわけですね。  私は、これはもうゆゆしき事態だと思っております。そうじゃないですか。(発言する者あり)センスがないというかね、一円でも安ければいいという、そういうまあせこいといいますか、けちくさい根性で建てるべきものではないんですね。  せっかく築三十一年を超えた公館がもう六割超えているわけでありますので、この大規模修繕をする際には、財務省に任せておくとまた必ず一番安い方法で改築せよというふうに言うに決まっていますけど、これは違うんだと、そこに行ったときに、来た人々が日本を感じる、日本ってすごいな、すばらしいなということを感じるような外観であったり内装であったりにするべきだと私は思います。  で、それは、例えば日本の若い建築家の方たちであればですよ、例えばどこかの大使館を、私が最初に手掛けた大型建築で、この大使館を私やりましたというのは、建築家の方にとってもすごくいいことだと思うんですよね。いろんな形で、別に私は単に古い日本の伝統的な建物にせよとかそういうことだけ言っているわけじゃなくて、別に新しい日本の姿でも全然いいと思うんですね。若しくは、その現地の文化も融合させてもいいのかもしれない。  とにかく、その無味乾燥な真四角の豆腐みたいな建物をこれ以上造るのはやめていただきたいということを強く申し上げたいと思いますし、大使館というのは日本の顔である、それを活用するために予算を使うことは必要なことであると考えますが、大臣、教養のある大臣におかれては私に大いに賛同していただけると思いますが、この点について取り組むことについての御見解いただきたいと存じます。 ○国務大臣(林芳正君) この豆腐自体は大変日本の伝統的な食文化であると、議連の会長として少し申し上げておきたいと思いますが、まさに委員御指摘のとおり、この在外公館施設、これは我が国の存在と文化を表現する顔であると。外国のお客さんが来て、ああ、なるほど、すばらしいなと、いろんなところですばらしいなとやはり思ってもらうということが大変大事であろうというふうに思っておりまして、そういった意味で、やはり新たな建設、改修の場合に、もちろん周辺施設との調和、それから機能的な面で警備対策とか維持管理、これ大事だと思いますが、やはり親しみやすさと品格、これを備えた優れたデザインとして現地にも、現地の皆様にも歓迎されるような施設とする、これ大事なことだと、こういうふうに思っております。  今の御指摘も踏まえて、在外公館施設、これが日本を代表する施設としてふさわしいものになるように、しっかり施設整備やっていきたいと思っております。 ○松川るい君 ありがとうございます。そのような重要なところにもちゃんと予算を要求していくことでお話をいただきまして、ありがとうございます。  最後に、代表質問でもお伺いしたんですけど、要人警護ができるように自衛隊法を改正すべきだという点についてお伺いしたいと思います。  もう、何でしょうね、丸腰で、もちろん領域国が警備の主たる任務を負うというのは当然のその前提ではありますけど、それに加えて、総理は自衛隊最高指揮官でありますし、まあそうじゃないにしても、林大臣だろうと何だろうと、日本の要人が行くときに、自分の国の要人を自衛隊が警護できてもしかるべきだと私は思います。  今お配りした資料にもありますように、今、在外において自衛隊が展開しているときに、一定の場合は邦人を保護することができるという八十四の四という規定が、いや、三だ、ごめんなさい、あるわけですよね。そこに八十四の五を作ればいいじゃないかと私は思うわけであります。  この点について、防衛省の御見解をお伺いします。 ○大臣政務官(小野田紀美君) 自衛隊は自衛隊法の法令に基づいて海外に派遣されるところ、自衛隊は我が国の要人警護のみを目的に海外に派遣する明示的な規定はございません。  その上で、一般論として申し上げれば、要人を含め領域内に所在する外国人の保護や安全の確保は、松川先生おっしゃいましたとおり、一義的には領域国の警察当局等の機関が行うものと考えております。  こうした考え方や憲法などを踏まえながら、防衛大臣政務官として様々な御意見をよく伺ってまいりたいと思います。 ○松川るい君 心の中では、小野田政務官、私と同じ考えではないかというふうに思っておりますが、是非、今後しっかり前向きに御検討いただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西でございます。  まず、議案の法案について伺います。  今回の法案は、為替変動などの中、在勤基本手当の大幅な増加を図るものでございますけれども、昨年はどういう対応を行い、またこの昨年の対応が今回の法改正にどう関わっているのか、政府参考人に答弁お願いいたします。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  昨年、令和四年度につきましては、在外公館名称位置給与法の改正法案の提出は行わず、政令の改正で対応を行いました。  これは、在勤基本手当の支給額につきましては、政令によりまして基準額の上下二五%内の範囲内で調整が可能ということですが、昨年、令和四年におきまして、これを超える為替の変動が当時見込まれなかったところでございます。他方において、昨年、急速な円安がございましたので、複数回にわたり手当の増額改定を行うことで適正な額を支給することといたしました。  今回改定する基準額につきましては、民間調査会社による生計費調査を改めて実施し、その結果を基に為替及び物価の変動を反映して適切に設定したところでございます。 ○小西洋之君 我が会派は本法案賛成でございますので、以下、関連の質問をさせていただきたいと思います。  外務大臣、問いの六番からお願いをさせていただきますが、通常国会で林外務大臣に非常に貴重な答弁をしていただいております。  今、ロシアの侵略まだ止められておりませんけれども、林外務大臣は、仮に、中国が国連憲章に違反する違法な武力行使を行っているロシア軍に対し、まあロシアに対して軍事物資、武器などを提供して支援することがあればという私の質問に対して、ロシアを支援、援助する国は、その支援、援助について国際法上責任を負うことになるという明確な答弁を通常国会いただきました。  この国際法上責任を負うことになる、この具体的な内容について御説明お願いいたします。外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) この中国によるロシアへの軍事支援について、仮定の質問にお答えすることは差し控えますが、一般論として申し上げますと、国連憲章に違反するロシアによる武力の行使について、その事情を知りながらロシアを支援、援助する国については、支援、援助すること自体をもって直ちに国連憲章に違反すると評価されるわけではないわけですが、その支援、援助について国際法上責任を負うことになるわけであります。  国際法違反の行為による被害を受けた国家は、その違法行為に責任を負う国に対して国家責任を追及し得ることになります。このような国家責任の追及の態様としては、原状回復、損害賠償、陳謝、再発の防止等の請求がございますが、そのうちどの対応を選択するか、どのように組み合わせるか、これは具体的状況に従って決められることになると考えます。  そして、国家責任に関して国連が作成しているコメンタリーによりますと、支援又は援助を行う国、これは当該行為が国際違法行為を引き起こした程度においてのみ責任を負うと、こういうことでございます。 ○小西洋之君 外務大臣、ありがとうございました。  私、一九七二年生まれで、日中友好回復の年の生まれで、日中友好を旨としている議員でございまして、コロナ前は毎年中国にも私は行っていたんでございますけれども、外務大臣、今後、来週以降中国に訪問されるということでございますけれども、中国は責任ある大国として、世界平和のためにむしろ積極的に頑張るのが中国の常任理事国としての法的な責務でございますので、この答弁、中国も認識をしているということになると思いますので、そうした外交を引き続きよろしくお願いさせていただきたいと思います。  では、次、問いの四番に質問させていただきます。  防衛省の政府参考人でございますが、前回きちんと答弁いただけなかったんですが、反撃能力を含めた敵基地攻撃能力ですね、この安保三文書、岸田総理は極めて現実的なシミュレーションをやったというふうに言っているんですが、極めて現実なシミュレーションには当然中国なども含まれていることになるんだと思うんですが、それについて説明をお願いいたします。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  我が国の安全保障政策や防衛力整備は、特定の国・地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではございません。  その上で、防衛省は、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証してございます。  今般策定されました国家安全保障戦略等に記されている中国、北朝鮮、ロシアといった我が国周辺の軍事動向や将来の技術的水準の動向等を踏まえつつ、想定される各種事態への対応について能力評価等の様々なシミュレーションを通じた分析を行ったところであり、例えば、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻といった状況を想定し、自衛隊がどのように対応するか検証することを通じた、我が国への侵攻に対処するために不十分な自衛隊の機能、能力の評価に加えまして、宇宙、サイバー、電磁波の領域や、無人アセットを用いた非対称な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相等を踏まえた将来の防衛力の検討などの様々なシミュレーションを行ったところでございます。 ○小西洋之君 今回初めて、中国、北朝鮮、ロシアといった我が国周辺の軍事動向やその将来の技術的水準の動向等を踏まえつつというふうに、事実上、そうした安保三文書の情勢分析に書いてある三か国についてシミュレーションを行っていると事実上答弁していただいていると私は理解をいたしますが。  その前に、初めおっしゃっていただいた、この、特定の国・地域を脅威とみなす、そうした発想に立っているものではないということについて質問させていただきたいんですが、この脅威について、政府は、我が国に対する武力攻撃の意思と能力、我が国に対する武力攻撃の意思と能力を持つものに対して脅威というふうに考えているというふうに私は説明を受けているんですが、とすると、現時点において、防衛省、日本政府において、よろしいですか、中国、ロシア、北朝鮮は日本に対する武力攻撃の意思を有していないと認識しているのか、あるいは有していてもそれを明示していないと認識しているのか、それらの国々の日本に対する武力攻撃の意思の保有についてどういう認識にあるか、政府参考人、答弁お願いいたします。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  一般に脅威とは、侵略し得る能力と侵略しようとする意図が結び付いて顕在化するものであると考えているところでございますが、委員御指摘の中国、北朝鮮、ロシアにつきまして、現時点において我が国に対する侵略を行う意図を明示しているとは承知しておりません。  したがって、我が国として、御指摘の中国、北朝鮮、ロシアそのものを脅威と認識しているものではございません。 ○小西洋之君 侵略の意図を明示していないというふうに理解しているというふうに答弁でしたが、じゃ、侵略の意図を有しているかどうか、それらの三か国、それについては日本政府はどういう認識にありますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたその脅威とは、侵略し得る能力と侵略しようとする意図が結び付いて顕在化するというふうに御説明申し上げましたが、ここで言う意図といいますのは他国を侵攻するか否かについての国家としての意思を意味いたしますけれども、それはつまるところ人間の意思でございまして、状況いかんによって容易に変化するものであって本質的に不安定さを内包しておりまして、外部からこれを察知することは困難といった性質があると考えております。  そのようなことを踏まえまして、我々として、先ほど御説明させていただきましたけれども、中国、北朝鮮、ロシアにつきましては、現時点において我が国に対する侵略を行う意図を明示しているとは承知しておりません。  一国のその意図というのは、なかなか外部からこれを察知することは困難だというふうに考えておりまして、したがって、我が国として、御指摘の中国、北朝鮮、ロシアそのものを脅威と認識しているものではございません。 ○小西洋之君 重ねて伺いますが、この委員会でも何度か質問したのが、二〇一七年、一八年の当時に、北朝鮮が核を使って日本を武力攻撃すると、そういう国家意思をいろんな形で表明したと、安倍総理、小野寺防衛大臣も国会で答弁をしているんですが、当時、私は、トランプ大統領がこの北朝鮮に空母などを差し向け武力の威嚇をし、そこに自衛隊が三十回以上共同訓練を繰り広げて、で、北朝鮮はそれをやめろやめろと、やめないんだったら武力攻撃の対象にするぞという声明を出し続けていたという問題を私は取り上げたことがあるんですが。  そうしたことも踏まえながら聞くんですけれども、じゃ、今の政府の認識として、中国、ロシア、北朝鮮は日本に武力攻撃のこの意図を持っていると、それについて察知はしていないということでよろしいですか。察知、何か察知されているのか、察知していないのでそういうことをおっしゃっているのか、どこら辺までのことをどういうふうに認識しているのか、答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) 先ほど委員、北朝鮮の例を挙げられましたけれども、確かに二〇一七年、そしてまた昨年もかなり北朝鮮はミサイルの発射を繰り返しております。これは、その二〇一七年それから現在におきましても、我々は、北朝鮮の軍事動向、これは、核、ミサイルの開発がどんどん進展しておりますので、我が国の安全保障にとって従来よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっていると。これは軍事動向がということで言っておりまして、北朝鮮そのものを脅威と考えて国家安全保障戦略等に記載しているものではございません。  その上で、先ほども申し上げましたように、意図といいますのは、これはやはりその国家指導者の、またその指導者を中心とします国家指導部の意思によるものでございまして、これはなかなか外部から察知することは困難だろうと、こういうふうに思っておるところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと、もう簡潔に答えてください。今その意図を、我が国に対する武力侵攻の意図を察知していますかと、政府がその三か国について、それを聞いているんで、簡潔にそれだけ答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) その意図を、外部からこれを察知することは困難というふうに考えております。 ○小西洋之君 じゃ、答えになっていませんが、関連で、この三文書について、安保三文書、政府はこの間、特定の国や地域を想定したものではないという、およそ日本語として理解できないようなことを答弁されていたんですが、その趣旨は、さっきお答えいただいたこの三文書やらあるいはこの防衛力の整備というのは、脅威とみなすようなそういう発想に立っているものではないと、これと同じ趣旨のことを言っているんですか。一体どういう趣旨で言っているんですか。まあ、外交的な修辞としてそういう言い方をしているというふうに政府の方から説明を受けたこともあるんですが、その趣旨について説明してください。 ○政府参考人(増田和夫君) この特定の国・地域を脅威とみなすかどうかということに関しましては、これは、我が国の安全保障政策や防衛力整備全体の考え方を導く上で、特定の国・地域を脅威とみなして、これに軍事的に対抗していくという発想に立っていないということを申し上げているところでございます。 ○小西洋之君 この委員長の下の外交防衛委員会で、今まで特定の国や地域を対象としていないというようなことで予算委員会の論議を逃げていたんですけど、それをこういうふうにしっかりと詰めさせていただいて、今後その内容について質問させていただきたいんですが、ちょっと防衛省、防衛政策局長、前回伺った質問の関係なので、よろしいですか。  今、配付資料にもあって、今日理事会に出していただいた資料ですけれども、結局、このいろんなシミュレーションをやって、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻、そうしたシミュレーションを行って、その中で不十分な自衛隊の機能、能力の評価をした。この不十分な自衛隊の機能、能力の評価というのは、前回答弁いただいていますけれども、日本に対する武力侵攻があった場合には、日米安保条約に基づいて必ず世界最強の戦力を有するアメリカが日本防衛の集団的自衛権を発動するというのが政府の認識であるわけですから、そのアメリカ、世界最強のアメリカの戦力の日本防衛の武力行使が行われてもなお不十分な自衛隊の機能や能力の評価という、そういう意味でよろしいですね、ここで書いていることは。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) おっしゃるとおりでございます。 ○小西洋之君 そういう明確な答弁を常にお願いしたいと思います。  では、防衛のこの膨大なる四十三兆円の関係、予算についての二番ですね、質問をさせていただきたいと思います。これも前回質問して、あのとき準備ができなくて、向こう三週間ぐらい、防衛省、政府が準備に時間掛かったんですが、要はGDP比二%にするということなんですけれども、それによると五年後約十一兆円に年間なるんですが、ところが、今示されている防衛力に関するものは八・九兆円、それ以外の補完的な取組で残りの二兆円をやると言っているんですが、その中身が分かっておりません。  その補完的な取組の内容、そしてまずその金額について、内閣官房、答弁をお願いいたします。 ○政府参考人(室田幸靖君) お答えを申し上げます。  政府としては、三文書の検討の中で、いわゆる防衛費に加えまして、国家安全保障戦略において総合的な防衛体制を強化するための取組と位置付けました四つの分野、すなわち研究開発、公共インフラ、サイバー安全保障、我が国及び同志国の抑止力の向上等のための国際協力、この四つの分野につきまして防衛力を抜本的に強化することを補完する取組の中核を成すものとして新たに位置付けることといたしました。  その上で、お尋ねの二〇二七年度における防衛力の抜本的強化を補完する取組の経費についてでございますけれども、五年後のことではございまして現時点で確たることを申し上げることは困難でございますが、現時点の考えは以下のとおりでございます。  まず、歴代の政権でこれまでのNATO定義を参考にしつつ、安全保障に関する経費として仮に試算をしてきた際の項目がございます。その項目をベースに試算をいたしますと、SACO、米軍再編関係費のうち、地元負担軽減分に関する経費は〇・二兆円程度、また海上保安庁予算やPKO関連経費などは〇・九兆円程度となることを見込んでおります。また、先ほど申し上げました総合的な防衛体制の強化に関する四つの分野に関する経費につきましては、現時点では一兆円程度となることを見込んでおります。  なお、補完する取組に関し具体的にどのような経費が我が国の防衛に資するかについて様々な御意見があることは承知しておりますけれども、総合的な国力を最大限活用することができるよう、防衛省のニーズとのマッチング等に関する関係省庁の枠組みを具体化するなど、更に検討、調整を進めていきたいと考えております。 ○小西洋之君 最後答弁いただいたこの四つの研究開発、公共インフラ、サイバー安全保障、我が国や同志国の抑止力の向上等の国際協力、これが約一兆円と言うんですけど、それぞれについて、その内訳、幾らずつ、何千億円ずつになるのか答弁ください。 ○政府参考人(室田幸靖君) お答え申し上げます。  国家安全保障戦略が年末に策定をされまして、今後具体的な検討を進めていくこととしておりますけれども、現時点では、検討を進めているところでございますけれども、現時点で幾らという形での予断を持ってお答えするという段階に至っておりません。 ○小西洋之君 いや、国民の血税を一兆円計上するのに、それを閣議決定しておいてですよ、それで今、中身がないから予断を持って答えられないって、そんなめちゃくちゃな、やるんだったら、これもう法治国家でも財政民主主義でも何でもないわけですから。  両大臣お越しいただいております。特に防衛大臣、やはり防衛予算あるいは国の安全保障の予算というものはもう積み上げ、政策の精査に基づく積み上げ以外許されないのが、昨年質問していますけれども、我が国の財政法の定めですので、それを無視した違法な私は閣議決定だと思いますけれども、数字ありきの丼勘定のGDP比二%だと思いますけれども、そういう安全保障政策の在り方というのは、私は国を誤る、将来国を誤ることになるということの指摘をさせていただき、この中身については引き続き厳しく精査をさせていただきたいというふうに思います。  では、次で、今回、反撃能力、敵基地攻撃能力のための装備として衛星システムを持つことになるわけでございますけれども、防衛省に聞きますが、いわゆる早期警戒衛星ですね、発射した瞬間、それを地球の丸みの向こう側を捉える赤外線センサーなどのこの早期警戒衛星を導入することは三文書の中で想定しているのか。また、その予算、また衛星システム全体のこの予算の関係についても答弁をお願いいたします。問いの一番と二番、まとめて聞いております。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  我が国は、従来から弾道ミサイル対処のため早期警戒情報を米軍から受領しておりまして、三文書においても、日本として独自に早期警戒衛星を導入する計画はございません。  その上で、衛星関連の予算でございますけれども、この三文書の中でも、特にスタンドオフ防衛能力の実効性を確保する観点から、情報収集能力を抜本的に強化する必要がございます。このため、防衛力整備計画におきましては、民間衛星の利用等を始めとする各種取組によって補完しながら、目標の探知・追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを構築する旨記述したところでございます。  こうした方針の下、五年度の予算におきましては、周辺地域における情報収集を実施するため、各種民間衛星からの画像解析用データの取得のための経費として二百二十六億円を計上しております。  そしてまた、独自の、防衛省独自の衛星コンステレーションの構築につきまして申し上げますと、あくまでもこの計画策定時での試算の値とはなりますけれども、おおむね二千五百億円程度を最大規模として、同盟国、同志国との連携強化や民間衛星の活用等の取組によって補完しながら最適なシステムを検討していきたいと考えております。  いずれにしましても、今後、各年度の予算編成過程で詳細を検討してまいりたいと思っております。 ○小西洋之君 早期警戒衛星の導入というのは初めての答弁なんです。  防衛省政府参考人に聞きますが、早期警戒衛星がなければ他国のミサイル発射兆候を探知するすべがなく、独自のこの戦闘の指揮権を日本が国家として行使できず、またアメリカ軍のこの行動が先制攻撃かどうかの判断もできないということになると思うんですけれども、また、日本が行うミサイル攻撃も、ミサイルの発動も、武力の発動も先制攻撃かどうかの判断もなかなかできないんじゃないかと思うんですが、そこら辺どういうふうに考えているのか、答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  一般に、早期警戒衛星は弾道ミサイルが発射された際の熱源を探知するものでありまして、ミサイル発射の事前の兆候、察知とか、そういうものを含めたその兆候を探知するためのものではございません。  その上で、早期警戒衛星により弾道ミサイルの発射の際の熱源を探知することによりまして相手の武力攻撃の着手を判断すべきとのお尋ねであるとすれば、政府は、従来から、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかにつきましては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、我が国として、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、その持ち得る全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとしており、この考え方に従って判断を行ってまいります。  いずれにいたしましても、日本独自の自前の早期警戒衛星がなければ我が国が運用に係る主体的判断を行えないということではなく、我が国自身で収集した情報も含めまして、様々な情報を総合した上で主体的な判断を行ってまいりたいと考えております。 ○小西洋之君 私のこの兆候の把握というのは事後評価も含めてのことなんですが、まあそれはさておき、じゃ防衛大臣、最後、ハラスメントについて質問させていただきますが、今回の予算ですね、ハラスメント対策、あれだけの事件があったのにたった二千万円しかなくて、これ昨年と同じなんですが、自衛隊におけるあらゆるハラスメントを撲滅する、そのために防衛大臣が陣頭指揮を執って戦略的な取組を行っていく、その決意について答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(浜田靖一君) ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす決してあってはならないものと考えます。  防衛省・自衛隊としては、国家安全保障戦略を始めとする三文書に基づき、現在進められているハラスメント防止対策に関する有識者会議の検討の結果を踏まえた新たな対策を確立し、全ての自衛隊員に徹底させるとともに、さらに、時代に即した対策を行うよう不断の見直しを行い、ハラスメントを一切強要しない組織環境を構築してまいりたいと考えているところであります。 ○小西洋之君 浜田防衛大臣、しっかりお願いいたします。  終わります。ありがとうございました。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  まず、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の改正案について伺います。  在外公館の位置の地名の変更について、キーウは二〇二二年三月三十一日、キシナウは同年五月十三日に呼称の変更が発表されました。外務省のホームページによれば、この呼称変更は、ロシアによる侵略を受け、日本政府としてウクライナやモルドバとの連帯を示すための行動であったとのことですが、そうであれば、法律での呼称も早々に昨年の臨時国会時点で改正すべきだったのではないでしょうか。  昨年の呼称変更から今回の改正までおおよそ一年もの期間が空いたことになりますが、これほどの時を要した理由について外務省に伺います。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、このウクライナの首都キーウ、それからモルドバの首都キシナウの呼称について、それぞれ令和四年、昨年三月及び五月に外務省として地名を呼称する場合のこの呼称の変更は行ったところでございます。  その上で、今回の在外公館名称位置給与法においてこれらの地名の変更を法改正として審議をお願いしているところでございますけれども、この名称位置給与法といいますのは、国名及び地名そのものを直接定めることを目的とした法律ではございません。一般的には、毎年一回、予算との関係で、在外公館に勤務する職員の給与が改定されるタイミングに合わせて基本的には常会で御審議いただいているというものでございます。  こうした事情がございますので、今回の改正におきまして地名の変更を改正の内容と含めることで御審議いただいているところでございますけれども、その当省が用いている地名の変更そのものにつきましては委員御指摘のとおりでありまして、昨年三月及び五月に変更したということで御理解いただければと存じます。 ○羽田次郎君 丁寧な説明をありがとうございました。理解いたしました。  次に、在勤基本手当の基準額改定について小西筆頭から質問ございましたので、そこは飛ばしまして、子女教育手当について、授業料の上昇により、子女教育手当が支給されている在外公館の職員の半数程度について、加算額の上限である四万三千円を加算しても経費を賄うことができないと伺っております。  今回の引上げにより上限額が五万一千円となりますが、授業料も物価、為替変動の影響を受け上昇が続くことも予測されますが、今後の子女教育手当の加算額の上限をどのように設定されていかれるのか、外務省の方針を伺います。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  幼稚園就学子女に係る子女教育手当に関しましては、これは、まず一人当たり定額八千円ということになっていまして、それに加えて加算をするということになっていますが、この加算の上限額に関しましては、在外職員子女の幼稚園就学経費の平均額から日本国内の公務員の教育支出に相当する自己負担額、現在では二万二千円となっております、これを差し引いて設定しているところでございまして、このように算定したこれまでの加算限度額は四万三千円ということだったのでございますけれども、今回調査を行ったところ、この経費の平均額が約七万三千円ということでしたので、自己負担額二万二千円を差し引いて、今回五万一千円を加算の上限額としたところでございます。  今後につきましても、子女教育手当の在り方、不断に検討していくところでございますけれども、現在までのやり方を踏襲するとすれば、平均、在外における職員子女の幼稚園就学経費が上がっていけば、それに基づいて加算限度額の上限を上げるよう財政当局とも交渉していくということになるかと存じます。 ○羽田次郎君 海外で働いている皆さんが家庭の金銭的な事情で不安を感じるようなことがあっては、なかなか仕事にも打ち込めないと思いますし、国民の理解得られる範囲でしっかりとした改定をしていただきたいと思います。  外交実施体制の強化について、昨年の外交防衛委員会の外務省答弁によれば、中国が大使館を設置している一方で日本が大使館を設置していない国は北朝鮮を除いて二十七か国あり、その内訳は、アフリカが十八か国、中南米が六か国、欧州が二か国、そして大洋州が一か国とされています。ただ、大洋州のキリバスについては今年一月に大使館が開設されたため、現在は二十八か国になっているという認識です。  特にアフリカの国々に在外公館が設置されていない傾向がある印象を受けますが、グローバルサウスの重要性が指摘される今、アフリカに在外公館を新設する意義は非常に大きいと考えますが、アフリカにおける在外公館新設をどのように進められていくのか、林外務大臣に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 大使館や総領事館などの在外公館、これは海外で国を代表してプレゼンスを示し、外交関係の処理に携わるとともに、外交の最前線での情報収集、また戦略的な対外発信、さらには邦人保護等の分野で重要な役割を果たしているわけでございます。  二〇五〇年に世界の人口の四分の一を占めると、こういうふうに言われているアフリカ、ここはやはり、若く、希望にあふれて、ダイナミックな成長が期待できる大陸であると考えております。国際社会における意思決定や、また世論の形成においてアフリカが果たす役割、一層重要になってきております。こうした観点からも、アフリカにおいて、これまで在外公館数の増加など体制の強化に努めてきております。  二〇一七年一月に在モーリシャス大使館、二〇一八年一月にAU代表部を新設しております。また、三月二十八日、令和五年度予算が成立をいたしまして、在セーシェル兼勤駐在官事務所の大使館への格上げもお認めいただいたところでございまして、引き続き、アフリカ地域も含めて在外公館の整備、努めてまいりたいと思っております。 ○羽田次郎君 本当に、TICAD等も通じてアフリカに対しては様々支援等も行っていると思いますが、やはり中国のプレゼンスというのもかなりアフリカで感じられると思いますので、しっかりとした今後も対応をお願いしたいと思います。  我が国が力強い外交を展開する裏付けとして、一定の防衛力を整備する必要性というのは理解いたしますが、国家安全保障戦略にもあるとおり、北朝鮮はかつてない頻度で、変則軌道で飛翔するミサイルを含む新たな態様でのミサイル発射を繰り返しています。こうした日本周辺のミサイルを始めとする経空脅威に対して、政府は、防衛面では反撃能力の保有で対処するとの方針を示しておりますが、外交面ではどのような方針で挑まれるのか、臨まれるのか、また、安保理非常任理事国としてこれまでと違ったアプローチというのも考えられているのか、林外務大臣に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国は周辺に強大な軍事力が集中をしておりまして、また、北朝鮮の核・ミサイル開発、そして中国の透明性を欠いた軍事力の急速な強化など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると考えております。  こうした中、まず優先されるべきは積極的な外交の展開でございます。同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要であります。新たな国家安全保障戦略で、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのかとの観点から、防衛力の抜本的強化を具体化したところでございます。  その上で、安保理の理事国として、私自身、二月にニューヨークに出張した際にも、同じく安保理の理事国を務めるガーナ、それからマルタ、こういったところを含めて各国との個別会談を行いまして、北朝鮮への対応を含む地域・国際情勢、また国際社会の共通の課題について率直な意見交換を行って連携を確認をしたところでございます。  引き続き、米国を始めとする他の理事国とやはり緊密に意思疎通を行いながら、安保理がこの国際の平和及び安全の維持という、この本来の責任、これを果たせるように尽力をしてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  先ほど松川委員からもお話少しありましたが、今週末、訪中が予定されているとの報道に私も接しておりますが、外務大臣の訪中が三年余りなされなかった理由はなぜなのか。  また、林大臣、中国の秦剛外交部長と初の外相電話会談というのを二月二日に行っていると思うんですが、日中の重要な共通認識である建設的かつ安定的な関係の構築実現に向け連携していくことへの意欲を示されておりました。  二月十八日のミュンヘン安全保障会議でも、王毅政治局員と会談した際も同じように建設的かつ安定的な関係の構築ということを確認されておりますが、日中平和友好条約締結四十五周年でもある今年、条約第一条に明記されている、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させ、全ての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認することがかつてないほど重要になっていると考えます。  尖閣諸島をめぐる問題ですとか、東シナ海、南シナ海情勢、そして新疆ウイグル自治区における人権問題、そして今現在も数多くの邦人が拘束されている事案等様々な懸案を踏まえた上で、建設的かつ安定的な関係をどのように構築していくのか、訪中の抱負も含めて大臣の御見解を伺います。 ○国務大臣(林芳正君) この日本と中国の間には、様々な可能性とともに、今、羽田委員からもございましたように、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海、南シナ海における一方的なこの現状変更の試みを始め、数多くの課題や懸案が存在しておるわけでございます。また、新疆ウイグル自治区の人権状況、香港情勢についても深刻に懸念をしております。  こうした課題や懸案について、主張すべきは主張していくとともに、課題や懸案があるからこそやはり率直な対話、これを重ねていくということが重要であると考えます。  日中間で昨年十一月に日中首脳会談行われまして、首脳レベルを含めてあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行っていくということで一致をしております。今御紹介いただいたように、二月二日には私も秦剛外交部長との電話会談、二月十八日に王毅外事工作委員会弁公室主任との会談、それぞれ行って、まさに多くの課題や懸案があるからこそ対話が必要であるという旨を改めて述べまして、それぞれ各分野の対話、これを着実に進めていくということで一致をしたところでございます。  今後とも、日中首脳会談で得られた前向きなモーメンタムを維持しながら、建設的かつ安定的な関係、これを日中双方の努力で構築してまいりたいと考えております。  新型コロナの影響などもあって、外務大臣の訪中、二〇一九年十二月以来ということでございますが、私の訪中について秦剛部長、王毅主任から改めて招待があったところでございまして、引き続き様々な状況を踏まえつつ具体的な時期を調整していきたいと考えております。 ○羽田次郎君 本当、先ほどの邦人拘束問題も含めて、しっかりとした議論と、そして前向きな議論もしていただければと思います。  林大臣、三月三日にインドのニューデリーでクアッド外相会合に出席されました。日本はインド太平洋という地域で多くの国際的な枠組みに関与しています。APECとかASEANプラス3とか様々ありますが、それぞれが役割を持って、これらが重層的に存在することで地域の平和と安定を保っているのだとは思います。  ただ、クアッドの取組というのは注目されていますが、四か国の異なる立場も見え隠れしていると思います。今回のクアッドの外相会合で発出された共同声明では、肝腎のロシアへの言及はありませんでした。核兵器に関しても、インドはそもそも核兵器不拡散条約の枠外ですし、オーストラリアは我が国と同様、米国の核の傘の下にありますが、我が国と異なって核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバーとして参加しております。経済に関して言えば、アメリカはTPPから離脱して、インドはRCEPから離脱するなど、ここでも一致した行動を取ることができていないと。  そういう中で、基本的価値の共有、法の支配の考え方からも、クアッドは日本の取り組むべき課題を見えにくくしているんじゃないかという見方もありますが、林大臣のお考えをお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、この法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化する、この重要性がより一層高まっておるわけでございます。  こうした状況下において、各国の有する歴史、背景となる事情、これはそれぞれ異なっておりまして、必ずしも今委員がおっしゃったように、あらゆる課題について、この日米豪印の四か国の立場が一致しているというわけではないわけでありますが、そうした立場の違いを乗り越えて、この自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンの下で、四か国の間で様々な協力をしっかり進めていくということ、そこに大きな意義があると考えております。  この三月三日にニューデリーで日米豪印外相会合開催されましたが、四か国の外相間で率直な意見交換を行うことができました。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が脅かされている中で、日米豪印として一方的な現状変更への反対といった重要な原則、またルールに基づく国際秩序、これは主権、領土一体性、透明性、紛争の平和的解決、これを尊重すべきこと、そして自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた力強いコミットメント、こういうことを確認することができ、大変有益であったと考えております。  今後とも、この自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日米豪印として幅広い分野で実践的な協力を進めてまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 今大臣からも言及があったこの自由で開かれたインド太平洋に関して、先日、岸田総理がインド世界問題評議会で、自由で開かれたインド太平洋のための日本の新たなプランというものを発表されました。内容について評価できるとは思うんですが、ただ、国際社会を分断と対立でなく協調に導くという目的、目標ですとか、力と威圧とは無縁、誰も排除しない、陣営づくりをしない、価値観を押し付けないというような内容なんですが、実際の外交や防衛の方針等を聞いておりますと、新たなプランの中ですら矛盾とも思える記述があるというふうに私には読み取れるんですが、私の理解が足りないのかもしれませんが、矛盾がないということであれば是非御説明をいただければと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今般総理が発表いたしました自由で開かれたインド太平洋のための新たなプランでございますが、国際社会を分断と対立ではなく協調に導くとの目標に向けて、歴史的転換期におけるこのFOIPの考え方、取組について具体的に示したものでございます。その中で、自由と法の支配の擁護、多様性、包摂性、開放性の尊重といった、こうしたこのFOIPの中核的な理念を維持をいたしまして、変わらない点、これを明確にしたところでございます。  日本は、従来からFOIPの考え方に賛同してもらえるのであれば、いかなる国・地域とも協力していくという姿勢で取り組んできておりまして、その点について何ら変わりはないわけでございます。  引き続き、米国、豪州、インド、ASEAN諸国、太平洋島嶼国、韓国、カナダ、欧州など、多くの国々との連携を強化しながらFOIPの実現に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えております。 ○羽田次郎君 どうしても陣営づくりをしないとか価値観を押し付けないという部分とは矛盾するんじゃないかなという気はしてしまうんですが、次の最後の質問に移りたいと思います。  四月十六日から十八日の日程で行われる予定のG7長野県軽井沢外相会合について、最終日の十八日に軽井沢の町議選が告示されるんですが、交通規制等で選挙活動に支障がないかという懸念が地元の町議選の候補予定者からも寄せられました。警察庁からの御説明で、交通規制がしかれる区域でも選挙活動は妨げられないというお話いただきましたので、各陣営にもしっかりと説明がなされていると思います。  ただ、閑静な避暑地として名高い軽井沢町が、遊説や街頭演説で騒がしいと各国外相に悪い印象を与えてしまわないかという心配もあります。なので、各国に対して、G7会合最終日に地元自治体で選挙が始まるため多少騒がしくなるけど、あくまでも選挙期間だけであるという説明を外務省からしていただけるのかどうか、伺います。 ○政府参考人(北川克郎君) お答え申し上げます。  外務省といたしましては、G7長野県軽井沢外相会合を安全かつ円滑に開催するための万全な実施体制を確保すべく、警察等の関係機関及び長野県、軽井沢町といった開催地の自治体と連携して準備に取り組んでおります。  参加するG7各国との間では平素から会合に関する連絡、情報共有に努めておりますが、外相会合最終日が軽井沢町町議会議員一般選挙の告示日に当たり、関連する選挙活動が開始する点についてもG7各国にしかるべく周知してまいりたいと思っております。 ○羽田次郎君 時間となりますので、大臣の抱負はまた別の機会に伺いたいと思いますが、建設的かつ未来志向の、また多様性に富んだ前向きな議論をしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  今回の法改正に関連をいたしまして、まずは在外公館の機能強化という観点から一問お伺いをしておきたいと思います。  昨年末に閣議決定をされました国家安全保障戦略の中に、在外公館についての記述があります。これはどういうものかといいますと、例えば、地域紛争ですとかあるいは感染症、テロ、自然災害、こういった在外邦人の皆様が直面し得る様々な危機ですね、こういったものから、そういった脅威から在外邦人の皆様を守るための体制と施策を強化するという、こういう方針が書かれているんですけれども、その方針とともに、その際に在外公館が最も重要な拠点となるということが明記をされたわけであります。  在外公館って、個人的な経験を言わせていただくと、もう大分昔ですけれども、海外に住んでいた頃は、ちょっと距離があるというか、領事館って何か行くの面倒くさいなという場所でありましたし、来いと言われたときに、平日の昼間しか開いていなくてどうやって行くんだと思いながらいろいろ何とか時間をこじ開けて行ったりとかという思い出があるんですけれども。  ただ、改めて今、こういう感染症、コロナとの闘いも含めてですね、様々あったときに、やっぱり最初のよりどころになるのはこの在外公館なんだなということも改めて感じるわけであります。特に初期の頃ですと、日本にワクチンの接種受けに来ていただくときのまずある意味窓口になって交通整理をしていただいたのも在外公館でありましたし、そういう意味でいくと、これからますますその役割というものが重要になってくるんだろうと思っております。  改めて、今回、国家安全保障戦略の中にも明記をされたこの在外公館について、領事業務に関するこの体制と能力の強化、どう取り組まれるのか、林大臣にお伺いをしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 領事業務、これは、海外に渡航し又は滞在する邦人の安全を確保するとともに、その活動環境を整えることで国民の海外への一層の展開を支える外務省の重要な業務でございまして、在外公館、これは、この業務を最前線で遂行するための大変重要な拠点であるわけでございます。  外務省としては、国家安全保障戦略を踏まえまして、この領事体制、更に強化するために、邦人保護に係る各種訓練を充実させまして、退避用チャーター機予算等、これも拡充をするとともに、海外安全情報、これをきめ細やかに発信しております。  また、三月二十七日から、パスポート、ビザ、各種証明のオンライン申請サービス、これを開始しておりまして、これらの手数料、クレジットカードによってオンラインで決済できるサービス、これも一部先行して開始をいたしました。  外務省としては、業務の合理化を図り、人による対応が不可欠な邦人保護業務、これに領事担当官が集中できるようにするためにも、領事業務のデジタル化、これも更に進めてまいりたいと考えております。 ○平木大作君 大臣から、オンラインサービス等も含めて、今御紹介をいただきました。  先ほど私も平日しか窓口が開いていないみたいなことも申し上げましたが、やっぱり時代が変わりまして、SNSとかアプリを通じて、様々の今連携が取れるんだろうと思っております。やはり、いざというときに頼りになる在外公館なわけですけれども、これ、平素からきちっとやっぱりつながっておくということ、あるいは情報発信をし続けるということが大事だと思っておりますので、御対応よろしくお願いいたしたいと思います。  国家安全保障戦略に関連してもう一問お伺いしておきたいと思います。  今般の改正で、この食料関連国連三機関、いわゆるFAO、WFP、IFADですね、この本部が所在をしておりますローマに今回日本政府の代表部が新設をされるということであります。  これも、この国家安全保障戦略の中にまさに、国際社会における食料の需給ですとかあるいは貿易、こういったものをめぐる状況というのがなかなか不安定で不透明になってきているということが書いてありまして、ある意味、従来以上にこの食料安全保障ということが重要性を増しているんだろうと思っております。  改めて、今回政府代表部をこのローマに新設をするということで国際機関との連携を強化する中で、我が国の食料供給構造の転換ですとか、あるいは国際社会の食料供給の安定にどう貢献をしていくのか、これ、FAOの議連の会長も務めていらっしゃいます林大臣に改めて再びお伺いをしておきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今、平木委員から御指摘がありましたように、世界的な食料需要増大、これ続いております。そこにさらにロシアによるウクライナ侵略が発生してしまったわけでございまして、これまでになく食料安全保障の重要性が高まっているわけでございます。  この国連食糧農業機関、FAO、そして国連世界食糧計画、WFP、そして国際農業開発基金、IFAD、これが所在するローマへの今回の代表部新設、これは、これらの三機関との連携一層強化をしまして、国際的な食料市場の安定化、これを図るものであります。  具体的に少し申し上げますと、ウクライナへの農業復興支援や、ロシアのウクライナ侵略によって影響を受けた特に中東、アフリカ等の国々に対する食料援助、そして農業生産支援の実施、こうしたことも含めて、国際的な食料のサプライチェーンの強靱化、これを目指すものであります。そして、こうした国際的な取組によって全ての人々が安定的に食料にアクセスできるグローバルな食料システム、これを確立すること、これは、食料の多くを輸入に頼る我が国の食料安全保障、これを確保する上でも極めて重要であると考えております。  我が国は、この在ローマの三国際機関と各国代表部との間で密接なネットワークを活用いたしまして、本年のG7議長国としての立場も生かしながら、国内及び国際的な食料安全保障の確保、これに向けまして引き続き貢献してまいりたいと考えております。 ○平木大作君 この食料安全保障の分野に御知見のある大臣でありますので、是非ともリーダーシップの発揮をよろしくお願いしたいと思います。  続いて、研修員手当の引上げについてお伺いをしておきたいと思います。  今回、別表第三が改正になるということでありまして、この研修員手当のテーブルなんですけれども、私も改めて、これ自分で読み方が全く分からなくて、一から教えていただいて、ああ、そういうことかと分かったんですが、改正の内容が、これまで号が、区分が三十あったんですけど、百十四に一気に増える、そして上限額もかなり大幅な増額ということになっていまして、改めて、この別表改定の意義ということと、そもそもこの研修員手当制度の概要ということ、これ併せて御説明いただけたらと思います。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  研修員手当は、在外研修員に支給され、授業料や住居費など、外国において研修するために必要な経費に充当されるものでございまして、法律上、在外研修員にはその他の在勤手当は支給されないということになっております。  研修員手当は、法律で各号の金額、委員御指摘の別表第三において各号で金額を定めておりまして、在外の研修員に具体的にそれらの中のどの号の手当を支給するかについては省令で在外公館の所在地ごとに定めているところでございます。その上で、学費が著しく高額である場合には、適用する号を研修員ごとに調整できる旨、省令上で定められているところでございます。  他方で、例えばアメリカにおきましては大学授業料の過去二十年の平均上昇率は約四・六%でございますが、特に近年、アメリカの大学を始めとして学費が高騰したことによりまして、研修員手当の支給上限額に収まらず、一部の在外研修員が学費の一部を自己負担している状況が生じたところでございます。  このため、学費が今申し上げたような水準で上昇し続けた場合であっても当面の間学費の自己負担が生じることがないよう、支給限度額を現在の七十六万七百円から百三十六万五千七百円に引き上げることとしたところでございます。  また同時に、号の区分が、これも委員御指摘のとおり、現在三十の区分に分けておりますけれども、これを百十四に分けます。これまでこの三十の区分は二万二千円ごとに号を区切っていたということですけれども、細やかな号の調整を可能とするために一万一千円ごとに区切るということにいたしまして、支給限度額を上げた、それから号の区切り方をより細かくしたということで、三十の区分から百十四の区分になり、支給限度額を七十六万七百円から百三十六万五千七百円に引き上げるということにしたところでございます。 ○平木大作君 今御説明いただいたように、上限額が七十六万円から百三十六万と、倍ぐらい違っちゃうということは、逆に言うと、これまでどれだけある意味自己負担を強いられる方がいらしたのかということを反映しているんだろうというふうに思っております。  今回、非常に重要な改定でありますが、一方で、例えば学費の場合は基本的に年払いでかつ事前に払うことがほとんどだというふうに聞いておりますけれども、実際にこれ支給は十二分割して後で払われるということでありますから、なかなか、そういう意味でいくと事前に学費を工面しなきゃいけないということ、それから先ほどのテーブルの読み方なんですけれども、結局その定まった金額から一番近いところのいわゆる低い金額を参照するということでありますので、ある意味持ち出しをするという構造自体は改まっていないというの、私、問題なんじゃないかなというふうに思っております。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  ここで、改めて林大臣にお伺いしておきたいんですけれども、これ、研修員の方もある意味在外基本手当みたいなものを基本に支給しながら、学費の部分は例えば実費負担にするとか、ちょっと制度自体を大きく見直すということも検討されたらいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この今般の名称位置給与法改正案において、この現行の上限額より高い支給額の号、今説明しましたように設けておりまして、最終的に自己負担する状況は基本的には生じないということでありますが、その上で、今委員からもお話がございましたように、この在外研修員が、学費の自己負担なく、外務公務員として必要な基礎的知識、能力及び教養、これを増進することができるように適切な水準の額を支給すると、このことが重要でございまして、今後もこの、今お話のあったような点も含めて、支給の在り方、これは不断に検討してまいりたいと考えております。 ○平木大作君 是非よろしくお願いいたします。  ちょっと時間もありますので、最後の一問お伺いしておきたいと思います。  今回、新たに創設をされます子女教育手当の例外規定なんですけれども、このことによって、任地の事情による急な転勤の場合、帯同する子女の納付済学費を支給することができるようになるということであります。要は、任地において何か地域紛争が発生をしたり、あるいは任地の政府から退去を命じられたり、様々な事情、任地の主な事情によって動かざるを得ないときにはこの学費というものが戻って、ある意味戻ってくるわけでありますけれども、そう考えますと、これ、外務省の事情によって、日本国の外務省が学期の途中なんだけれども転勤を命じたときには逆に言うとこれは使えないのか、適用できないのかというふうに読めるわけであります。  この、なぜ外務省事情の場合には適用されないのかということについて、最後にお伺いしておきたいと思います。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  今回の改正は、委員が御指摘されたように、任国政府による離任要請、戦争や災害などの影響による帰朝、転勤のような真にやむを得ない場合に、納付済みの学費に関して子女教育手当を一括支給することができるよう例外規定を設けたものでございます。  委員御指摘の通常の人事異動に関しましては、まずは人事政策上、運用で問題が発生を回避できる余地を検討する必要があるということで今回の例外規定の対象とはなっておりませんけれども、子女教育手当の支給の在り方につきまして、委員御指摘の点も踏まえて不断に検討を行っていきたいと考えております。 ○平木大作君 検討の方、是非よろしくお願いいたします。  以上で終わらせていただきます。 ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。本日は、在外公館名称位置給与法の改正について、会派代表して賛成の立場で、内容の確認、また提案をさせていただきたいと思っております。  資料の一、こちら外務省の方から、我々委員、恐らく全員配付された資料かと思いますけれども、これの在勤基本手当に関して、昨今の急激な為替相場の変動に対応するため在勤基本手当の基準額を改定すると。  我々、これ、党内でこれを見て議論した際に、じゃ、円高で基準額を改定、増額するんであれば、円安のときには基準額を減額する、そのような改定を行っているんですかというような質問させていただいた際には、先般の衆議院の外交委員会でも同じような質問がなされましたが、その場合は、基準額の増減の、基準額の増減二五%の範囲内で政令によって定めるというふうな対応をしているという御回答をいただきました。  昨今の急激な為替相場の変動に対応するということで、同じロジックでいえば、今回、基準額の改定ではなくて、この基準額の増減の幅二五%を広げることによって為替変動に対応するというのが論理的な帰結ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  在勤基本手当につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、法律上、基準額が別表で定められているものの中でその上下二五%の範囲内で政令で支給額を改定しているところ、これができるということになっておりますけれども、今般におきましては、この二五%の範囲を超える変動がございましたので、法律変更、別表を変えていただくということの御審議をお願いしているところであります。  それでは、この二五%と範囲を法律で定められておりますけれども、これをさらに拡大することができるかどうかということでございますけれども、これは国家公務員法第六十三条第一項というのがございまして、これは給与法定主義というものが取られております。  手当額の改正について国会において御審議をしていただく必要があるわけでございますけれども、一般職の職員の給与に関する法律の中には給与調整の幅を二五%としている条項がある点にも鑑みて、現在、名称位置給与法において政令への委任の範囲は上下二五%としているというふうに理解しております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  以前の、これまでの改定の場合には、その為替相場の変動だけではなくて物価の上昇というもう一つの理由がしっかり書かれていたというふうに確認させていただいております。  今回の基準額の改定、全般的に上がっているということは、やはり為替相場の変動に対応するだけではなくて、もう一つの大きな理由は、全世界的な物価の上昇であるという理解でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  在勤基本手当は、在外においても本邦勤務時と同等の購買力を補償するとの考えの下で、民間調査会社による生計費調査の結果を基に、為替相場及び委員御指摘の物価の変動の影響も反映させ、客観性のある適正な基準額を定めた上で基準額を定め、今回御審議いただいているというところでございますけれども、今回の基準額の改定の要因ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、為替相場及び物価の変動の影響双方ございますけれども、特に影響が大きかったのは為替相場の変動の影響でございます。令和五年度の在勤基本手当の予算は令和四年度と比較して約二十八億円の増額となっておりますけれども、為替変動による影響が二十・六億円であり、物価変動による影響は約五・四億円ということになっております。 ○金子道仁君 以上まとめると、今後仮に急激な円高、それが起こってほしいなと個人的には思いますが、急激な円高が進んだ場合、まず基準額の二五%減の範囲内で政令で対応し、さらにそれでも対応できないほどの円高の場合は基準額の減額で対応するということで、為替の変動にも公正な適正化を図るという理解でよろしいでしょうか。 ○政府参考人(志水史雄君) 端的に申し上げると委員御指摘のとおりでございまして、とりわけ年度内におきまして為替が変動した場合には、それが基準額の二五%以内ということであれば、これは政令で改定するという対応が可能でございますけれども、二五%を超える変動に対し対応するということが必要となる場合には法律を改正して基準額の改定を行うことが必要となるという理解でございます。 ○金子道仁君 確認できました。ありがとうございました。  続いて、子女教育手当の例外規定の整備に関して御質問します。  今回、このアの任国政府による離任要請、ペルソナ・ノン・グラータによる離任、また戦争、災害等を受けた帰朝、転勤ということが設けられました。その後に例外規定を追加すると書いてあるんですが、これまで例外規定というのは設けられていたんでしょうか。 ○政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  現行制度の下におきましては、子女教育手当は月額支給、月払ということになっておりまして、職員が在勤地を離任した日以降は手当の支給が停止されることとなっておりますので、子女がおられる職員が在勤地を離任した場合に、支払済みの学費分につきましては、子女教育手当を一括支給することができないことになっておりまして、これに関する例外規定は存在しなかったところでございます。 ○金子道仁君 ちょっとそこに当事者がおられるので、少しはばかられるところはありますが。  これが例外規定がないということは、その中で、ペルソナ・ノン・グラータによってロシアから離任された外交官に関しては今回は救済措置がとられなかったというちょっとゆゆしき事態が生じた、だからこれが規定の中に入ってきた、そのように理解をしております。  今回、法改正では、このアとイに関する規定は法文の中に入っていない、これは省令によって定めるものであって、法案の中には、当該在外職員が外務省令で定めるやむを得ない事情により帰国又は新在勤地への転勤を命じられたときということで、割と包括的な内容が書かれていて、省令でア、イを定めるという理解でございます。  であれば、今後の不測の事態に備えるために、例えば公務上のけがであったり公務上の病気であったり、そういう職員の責めに帰せない、そのような離任、帰朝の場合に関してもやはり同じような救済措置を設ける、つまり包括的な規定を設ける、省令の中で設けていく必要があるんではないかと思いますけれども、是非、これなぜ設けられていないのか、財務省との協議の中でなかなかそこまで認められなかったというような事情もあるやに伺っておりますけれども、是非、外務大臣として、こちらの職員の今後の勤務環境の改善のため、安心して在外で勤務できるためにこの包括規定を是非省令に設けていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この今審議お願いしております例外規定につきましては、昨今、実際に生じた事例踏まえまして、不可抗力と言えるやむを得ない事情として、任国政府による離任要請、また戦争や災害による影響により帰朝又は転勤をする場合を措置するということにしたところでございます。  今お話のあったこの点、子女教育手当の支給の在り方につきましては、御指摘の点も含めて引き続き不断に検討を行ってまいりたいと思っております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  是非、包括規定を設けていただいて、安心して職員が在外勤務できるように、家族をそろって行けるように御配慮いただければと思います。よろしくお願いいたします。  続いて、総理のウクライナ訪問に関して御質問させていただきたいと思います。  先週の総理のインド、ウクライナ、ポーランド訪問に関する報告というものを先週本会議で聞かせていただきました。そして、その総理の報告の中で、現地訪問によって、私自身、この目で現地の情勢を見た、ゼレンスキー大統領との間でじっくり議論を行った、現地の状況をより実感を持って把握することができましたというふうにおっしゃっておられます。  まさに百聞は一見にしかずということで、現地の状況を把握し、それを政府の中で共有する中で、この総理の現地認識の強化や変化というものが今後の対ウクライナ外交、支援方針等にどのような影響、変化をもたらすとお考えでしょうか、大臣、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 三月の二十一日でございましたが、岸田総理がウクライナを訪問されまして、ロシアによるウクライナ侵略による被害などの状況、これ直接御自分の目で見られたと。そのほか、今お話がありましたように、ゼレンスキー大統領との首脳会談行いまして、現地の情勢、そして張り詰めた空気と、こういったものをまさに御自身の目、肌で直接感じられたというふうに理解しております。  その上で、国会でも、訪問を踏まえた決意ということで、惨劇をこれ以上繰り返さないため、ロシアによる侵略を一刻も早く止めなければなりません、G7議長国である我が国はこのためにリーダーシップを発揮していく必要がある、今回のウクライナ訪問を踏まえてこうした決意を新たにしたと、こういう旨答弁をされておられるところでございます。  我が国は、G7議長国として、国際社会と緊密に連携しながら、ロシアによる侵略を一刻も早く止めるべく、対ロ制裁とそしてウクライナ支援、これを強力に推進してきております。総理の御決意も踏まえて、私といたしましても、今後も、ウクライナ国民のニーズを踏まえながら、JICAであるとか日本のNGO、こうしたところを通じて、日本の持つ経験、知見を活用しながら、切れ目なく日本らしいきめの細かい支援、これを行ってまいりたいと思っております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  是非、今大臣もおっしゃっていただいたように、官民連携した人道支援、これは後で質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、総理もブチャを訪問したと、犠牲者の方々の家族から直接話を聞いたというふうに報告を受け取りました。  このブチャの虐殺の理解について、これが今後の和平交渉にどのような影響をもたらすとお考えか、大臣の見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) このウクライナの将来を決める交渉、これにいかに臨むべきか、これはやはりウクライナの人々が決める問題であるというふうに考えております。  このブチャにおける虐殺が明らかになった後、和平交渉に実態として動きが見られなくなっている、これ事実であるわけでございますが、これが今後の和平交渉にもたらす影響について予断するということは差し控えたいと思います。  その上で申し上げますと、このロシア、これはウクライナに対する攻撃を現在も続けておりまして、プーチン大統領は併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではないと述べるなど、和平に向けて歩み寄ろうという兆しが一切見られないわけでございます。こうした状況におきまして、日本がまず行うべきことは、ロシアが一刻も早く侵略をやめるようにロシアに対して強い制裁措置を講じ、またウクライナを支援していくということであろうと考えております。  いずれにしても、今後とも、情勢を注視しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  もう大臣からおっしゃっていただいたように、配付資料の二ページ目にあるように、戦争が開始してから五回の停戦交渉が行われた、それは昨年の三月まで連続して、それ以降行われていないと。そのきっかけになったのが四月の四日のキーウ撤退、そして四日にゼレンスキー大統領がブチャを訪れた、それを見た際に、このウクライナでした残虐行為を見るとロシアとの和平交渉は非常に厳しいと発言している、まさにこれだと思うんですね。  私も、実は先週、オデッサに在住している宣教師が一時帰国して、人道支援のためずっと残っているんですが、彼からいろんな現地の情報を細かく聞かせていただきました。このブチャの虐殺というのが非常に世論に強くインパクトを与えてしまったと。それまでは和平交渉やむなしというところだったんですが、二月二十四日以降に占領された地域でウクライナ人、同胞が虐殺されているかもしれない、その可能性があるのに、その占領された地域を停戦ラインにしてしまうということは同胞を見殺しにする、見捨てるという判断が加わる、だから、これは領土保全の問題だけではなくて人道上の問題として国民は二重の意味で譲れないんだということを理解して、まさにそのとおりだと思います。  我々も、これから日本国として和平に向けて積極的な貢献をしていく際に、是非この観点を踏まえて提案、良い提案をしていく、そして国際世論を是非停戦の方に導く、そのためにもこの国際人道法の遵守というのが非常に重要ではないかと思います。  両当事者とも、領土保全、主権の独立という国際法の遵守という点では主張し合っているわけです。でも、先ほど大臣も言われたように、領土の併合をしてしまった、この併合の是非は別として、国際法上、まして国内法上、法理論上はいずれの国も領土保全を図るということで議論が平行線に行ってしまう危険性があると思うんです。  ただ、人道法、国際人道法に関しては両当事者とも同じ価値観を共有している。じゃ、何を共有していないかというと、事実認識を共有していないと思うんです。例えば、ブチャで虐殺が起こったと。その当初ロシアは何を言ったかというと、ウクライナがやった自作自演だと、あれはロシアがやったんじゃないという事実認定の否定をかぶせてきた。そして、それが今もフェイクニュースとしてどんどん流れるわけです。例えばロシアの国内にドローンが落ちたと、これはウクライナによる人道問題だというようなことをやってくるわけですよね。つまり、国際人道法という価値観は共有しているけれども、事実認定について対立をしているのであれば、是非そこをICCの管轄によって客観的に国際社会が介入するようなことを、こういう危機的な状況だからこそ進めていっていただきたい。  このロシアやウクライナという当事国だけではなくて、例えば中国も人道危機の解決をしなさいとウクライナに提案しているわけです。であれば、それを言っている中国に対しても、それを言うんだったらICCに加盟しましょうよとか、しばらくの間でも管轄権受諾したらどうですかと。ダブルスタンダードじゃなくて国際人道法を我々国際社会が守っていくべきじゃないかというふうな、そのような主張を是非外務大臣として国際社会に、また当事者に訴えていただきたいんですが、どうでしょうか。大臣の見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) このロシアによるウクライナ侵略につきましては、これまでもG7の声明において国際人道法を遵守するように求めてきておりまして、ウクライナで起こっている戦争犯罪及びその他の残虐行為に関する不処罰、これを認めてはならないと、こういうふうに思っております。また、日本とウクライナは、戦争犯罪及びその他の残虐行為に関する不処罰、これは認められてはならないことで一致をしております。  ウクライナはICCの管轄権を受諾しておりまして、我が国としても、ウクライナの事態をICCに付託をしたところでございます。現在、まさに御案内のようにICCによる捜査が続けられているという状況です。  このICCのローマ規程ですが、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪を行った者が処罰を免れるということを終わらせて、もって、そのような犯罪の防止に貢献するということを目的としておるわけでございます。  我が国としては、ICC非締約国に対して、国連総会等の機会に、ロシア、それから中国、さらには米国も出席する場でICCローマ規程の締結を呼びかけてきておりまして、引き続きこうした取組は進めてまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  是非、このICCの管轄権、若しくは加盟の拡大による国際人道法の周知というんですか、それが戦争犯罪を抑止し、そして今回の戦争も止めていくような方向の一つの力になっていくんではないかと思います。是非よろしくお願いしたいと思います。  最後に、今回の総理のウクライナ訪問、追加支援として五億ドルの支援が表明されました。ただ、内訳は、JICAが四億ドル、国際機関経由が一億ドルということで、残念ながら、JPF、ジャパン・プラットフォームを経由したNGOによる支援は今回含まれていません。もちろん、今回の訪問自体が秘密裏に行う、事前に関係者と協議をしてパッケージをつくっていくものではないので民間を含めることはできなかったというのは分かるんですけれども、是非、今後、まだまだウクライナ支援続いていくと思いますので、官による支援と並行して民、NGOのきめ細かい草の根の支援、重要だと考えます。  JPF経由の対ウクライナ支援の増額について是非外務大臣にお願いしたいんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このNGOを通じた支援、これは、今お話があったように、現地のニーズにきめ細かく対応すると、これができるほか、やはりこの日本の顔が見える支援という観点からも大変重要だと考えております。  こうしたNGOを通じた支援のメリットを生かすべく、ウクライナ及び周辺国における避難民支援にJPFを通じた日本のNGOによる支援分としてこれまで約四十一億円の供与を行ってきております。今後もこうした支援、これが続けられる見込みであります。また、日本NGO連携無償資金協力に基づくウクライナ及びポーランドにおける支援を目的として十・八億円、これを令和四年度の補正予算で計上の上、現在関連事業を開始したところでございます。  引き続き、このJPFを始めとする日本のNGOとも緊密に連携しながら、ウクライナ支援に努めていきたいと考えております。 ○金子道仁君 是非よろしくお願いします。  今回のウクライナ支援だけでなく、例えば先般のトルコ地震の支援でも、私もJPFの関係の方からお伺いしたんですけれども、まずNGOの医療チームが行きました。小規模で草の根なので、すっと入っていって一番緊急のところを対応できる。その後に、官はどうしても大規模です、いろんなものを入れるのに許可が必要とか、そういうのでまあ十日ぐらい掛かると。でも、現地の人はその十日間を何とか助けてくれないか、そこを民がやっていって、十日後には大規模に官が入っていって支援をしたという非常にいい連携が取れたということを報告で伺っています。  やはり、今後、官民連携、しかもその民の方の支援体制も大分広がってきていると思いますので、是非、今後のODA大綱、開発協力大綱の改定の際に、CSO経由の支援、DAC平均の一五%まで引き上げる、このような目標設定を大臣がしていただくことで、現場の全ての人たちが、そうだよね、いつも支援をするときにはNGOも含めて考えていこう、どうやって連携していくかという意識付けが非常に高まると思いますので、是非一五%という目標設定を御検討いただきたいんですが、最後に、大臣、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) このNGOを通じた支援、このきめ細かい対応、そして今のようにタイミングという意味でもいろんなメリットがあるというふうに考えております。  大綱、まさにいろんな方の意見を聞きながら今取りまとめに向けてこの努力を続けているところでございますので、今、金子委員からの御指摘も踏まえてしっかり対応していきたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  以上で質問終わります。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  国民民主党は本法案に賛成でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  在外公館名称位置給与法で、在ウクライナ、在モルドバ及び在カザフスタンの各日本大使館の位置の地名の改正が行われ、キエフがキーウに、キシニョフがキシナウに、スルスルタンがアスタナにそれぞれ変わるということで、このキシナウに変わるモルドバについて少しお伺いをしたいと思います。  モルドバは、御承知のように、ルーマニアとウクライナに挟まれた人口二百六十万人弱の伝統的な農業国家でございまして、モルドバは親欧州派と親ロシア派が非常に拮抗して、現サンドゥ政権は親欧派と、親欧州派ということでございます。昨年十二月はサンドゥ大統領が御来日されて、議連の会長であります林大臣とも会談をされたと承知をしております。  モルドバのエネルギー源のほぼ一〇〇%はロシアに依存をしておりまして、したがって、国内はガス火力が主流なんですけれども、ガスの供給が極めて制限をされて、供給が来ず、電力不足に陥っていると。このガスの価格も一年間でおおむね六倍以上に跳ね上がっているということで、とりわけロシアのウクライナ侵攻以降、前年度比三〇%を超えるインフレに直面をしているというふうに承知をしております。  また、ロシアのウクライナ侵攻でウクライナから避難民が流入していまして、モルドバは人口二百六十万人弱なんですけれども、このモルドバに一時期七十万人の避難民が流入され、現在でも十万人以上が滞在をしているという状況でございます。  何か日本が支援が必要だと思うんですけれども、この避難民のほとんどが実は女性と子供と高齢者でございます。男性はウクライナを出国することができませんので、避難民の多くが女性、子供、高齢者ということでございますけれども、日本の支援についてお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、ロシアによるウクライナ侵略直後からモルドバには多くのウクライナ避難民が押し寄せ、同国は人口比で最大規模の避難民を受け入れるなど、ウクライナ周辺国の中では特に大きな負担を負っているところというふうに認識しております。  こうした状況を踏まえまして、日本はモルドバに対して、国際機関を通じた保健分野を中心とする緊急人道支援や、JICAによる保健医療分野等の協力ニーズ調査団の派遣をいち早く行いまして、保健医療分野での協力を進めてまいりました。現在、調査団による調査結果に基づきまして十億円を供与限度額とする無償資金協力を実施し、首都キシナウ市内の五つの公的医療機関に対しまして、画像診断関連機器、人工透析装置等の医療機材を供与しているところでございます。  また、昨年十二月には、UNHCRを始めとする国際機関等を通じまして、避難民の保護、保健、食料、エネルギー、さらにはジェンダー等の分野で約二千七百万ドルの人道支援を表明をし、現在実施しているところでございます。加えまして、二月二十四日には、岸田総理からモルドバに対し、書簡をもって一億ドル相当の円借款を供与する方針を伝達したところでございます。  現地のニーズを踏まえながら、引き続きモルドバを支援していく方針でございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  私も現地の関係者に聞いたら、やはり医療関係が、避難民の医療のみならず、大量の避難民が来ることによってモルドバの国の方々の医療体制も逼迫していると聞いておりますので、今、医療関係の支援が厚いということは的を射ていると思います。  他方で、この十万ドル相当の、無償ですけれども、円借款ですけれども、これタイミングはいつ頃になるんでしょうか。 ○政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  一億ドル相当の円借款でございますけれども、先般の岸田総理からの書簡による表明を踏まえまして、現在、支援の具体化に向けて、実施機関となりますJICAとモルドバ側との間で詳細を調整中でございます。その各種調整手続が整い次第、できるだけ早期に供与したいと考えております。 ○榛葉賀津也君 モルドバにとって日本は最大の支援国でございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  もう一つのモルドバの課題は、先ほど言ったエネルギーのロシア依存をどう低めていくかというか、回避していくかという問題だと思います。このエネルギー関連の施策の支援も必要かと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今、榛葉委員がお話をしていただいたように、このエネルギー面での対ロ依存度、これがモルドバは非常に高いわけでございまして、まさにこのウクライナ情勢を受けてエネルギー価格の高騰、これ直撃をしているわけでございます。  こうした状況を踏まえまして、我が国は、ロシアによるウクライナ侵略以降、ウクライナの周辺国支援が重要だという考えに基づきまして、草の根無償、また国際機関経由の支援によりまして、この人道支援のみならず、バイオマス燃料とか太陽光発電導入といったエネルギー面での対モルドバ支援も行っております。  ウクライナ侵略以降これまで三回行われましたモルドバ支援国会合、我が国も参加してきておりまして、そこでもこのエネルギー分野の支援の必要性、これについて議論をしてきておりまして、我が国としても、今後とも国際社会と連携しつつ、モルドバのニーズに合った支援を続けていきたいと考えております。  私も、先月、ポペスク外務大臣と電話会談いたしまして、モルドバが困難な状況の中で多くのウクライナ避難民を受け入れるなど、地域の安定とウクライナ人の命を守るために多大な貢献をしているということに敬意を表したと同時に、日本としてモルドバの取組、これ強く支持しておりまして、引き続き支援していくという旨を伝えたところでございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。モルドバには、日本企業二社、車の部品製造であるとか、工場も開設しておりますので、電力の安定供給というのは大変重要だと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  モルドバの懸案事項の一つに、モルドバ東部にあるドニエストル川に沿って広がるいわゆるトランスニストリアという地域なんですね。ここは凍結された紛争地域と言われていて大変複雑な地域なんですけれども、この背景について少し御説明願いたいと思います。 ○政府参考人(池上正喜君) お答え申し上げます。  一九九〇年六月に遡りますけれども、当時、ソビエト連邦を構成する共和国としてモルダビア・ソビエト社会主義共和国政府という国がございました。これはソ連を構成する一つの共和国だったわけですけれども、この共和国がソ連からの主権の回復を宣言いたしました。これに対しまして、今御指摘ありましたトランスニストリア地域、ここに多く住んでいるロシア系の住民が強く反発をいたしまして、この年の九月、トランスニストリア地方をいわゆる沿ドニエストル・ソビエト社会主義共和国と名のって、分離独立するということを宣言いたしました。  ここから話が複雑化していくわけでございますが、その後、モルダビア・ソビエト社会主義共和国政府、ソ連の構成国だったこの国が、一九九一年八月にモルドバ共和国としてソ連からの独立を宣言いたします。これを受けて、一九九一年十一月末には、以前からこの地域、トランスニストリアに駐留していたソ連軍がトランスニストリア側を支援いたしまして、トランスニストリアとモルドバ政府との間で武力衝突が発生するという、こういう事態に至りました。  その後、一九九一年の末にソ連邦が完全に崩壊するわけでございますけれども、その後、九二年の五月になりまして、このトランスニストリアとモルドバ政府との間で本格的な戦闘に発展いたしました。双方合わせて千五百人とも言われる戦死者を出した上で、この年の七月、モルドバ政府、もう完全に独立したモルドバでございますけれども、モルドバ政府とロシア政府との間で停戦協定に合意したというのが当時の経緯でございます。  それ以降現在に至るまで、このトランスニストリアという地域にはロシア軍が駐留しておりまして、モルドバ政府の支配は実態として及ばない状況が継続しているというのが経緯でございます。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  実際、もう千五百人以上のロシア軍がこの地域にいわゆるクオーツ、平和維持のために陣取っていると。  更に厄介なのは、このトランスニストリアの東部のコロバスナという地域には膨大な弾薬庫がいまだにございまして、いわゆる冷戦終結後に、当時の旧ソ連が旧東ドイツであるとか旧チェコスロバキアなどにある様々な回収した大量の武器や弾薬をここに全部集めて保管をしていると。  三十年以上たった今もまだそのままだということで、極めて危険な状況なんですけれども、この旧ソ連の集めた武器、弾薬、どれぐらいの量で、誰の責任で保管されているんでしょうか。 ○政府参考人(池上正喜君) お答え申し上げます。  今御指摘ございましたトランスニストリア地域のコバスナ村、ここに弾薬庫ございます。ここには旧ソ連時代の弾薬が大量に残されているということが言われております。この正確な情報は明らかになっていない部分も多うございますけれども、報道等によりますと、二〇〇〇年代初頭に、この残されていた弾薬のうち約二万トン、これが既に処理されたというふうに出ておりますけれども、現在でもほぼそれと同量、つまり約二万トンの弾薬がここに残されているという、こういう情報がございます。  ただ、今現在、この弾薬庫自体はロシア軍が管理しておりまして、モルドバ政府あるいは国際機関の管理が及んでいないと、こういうふうに承知しております。  昨年の九月でございますけれども、サンドゥ・モルドバ大統領、国連総会一般討論演説におきまして、この地域に大量の弾薬がまだ残存していると、これは安全保障上及び自然環境上の脅威であるのでその処理が必要であるという、こういうことを要求する演説を行っております。  我が国としても、引き続き、この問題を含めモルドバ情勢につきしっかりと注視してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  更に問題なのは、ここでしばしば爆発事件が起きていまして、昨年も何件かの爆発事故が発生して、ウクライナとロシア若しくはトランスニストリア双方が責任を押し合う情報戦を繰り広げています。先ほど金子委員がフェイクニュース、フェイク情報で攪乱されているという話もございましたが、同じことが起こっていまして、トランスニストリアのアラスノセリスキー大統領、まあかぎ括弧、大統領は、攻撃はウクライナによるものである可能性があると発言し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、一連の爆発についてはロシアによるステップの一つだと発言されているわけでございます。  ここを何とかしませんと、ここの爆発事案の責任を追及することを理由にしてロシアがモルドバに侵攻してくるのではないかという懸念が、実は先日議論したミュンヘン安全保障会議でもこのモルドバの問題が相当議論になったと聞いています。このモルドバを第二のクリミア若しくは第二のウクライナにしては絶対ならないと思います。  我が国はしっかりこの点も注視をして是非いってほしいと思いますが、最後に大臣に、このミュンヘン安全保障会議において、大臣も御出席されたと聞いていますが、このモルドバについて欧米各国並びに我が国を含めた三か国でどのような議論がなされたんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このミュンヘン安全保障会議、これに先立つ二月十三日に、まず、サンドゥ・モルドバ大統領が、記者会見の場ですが、ロシアがモルドバを不安定化させようと計画しているという旨発言されておられます。また、モルドバ情報・安全保障庁も、二月九日に、モルドバの弱体化を目的とした不安定化と公共秩序侵害をもたらす破壊活動、これが確認されたという発表をしております。  こうしたモルドバ情勢が緊迫する中でミュンヘン安全保障会議が行われ、サンドゥ大統領が出席をされました。この会議において、サンドゥ大統領が、ロシアによるウクライナ侵略はモルドバに軍事的な喫緊の脅威はもたらしていないもののマイナスの影響をもたらしているということ、そして、ロシアによるプロパガンダ工作、今委員からもお話のありました偽情報、これに対処するための能力向上が必要であると、こういう旨発言があったところであります。これに対して、EUからモルドバを支援する必要性について発言があったほか、ベアボック・ドイツ外相からモルドバへのEU加盟候補国ステータス付与、これを歓迎する趣旨の発言があったところでございます。  このミュンヘン会議であった、モルドバにおいて予断を許さない状況が続いておりまして、我が国としても、国際社会における議論の推移を含めて、モルドバをめぐる情勢、これ注視してまいりたいと思っております。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございます。  EU非加盟国で永世中立国であるモルドバですから、しっかりとウオッチをしていきたいと思いますし、もうすぐ日本・モルドバ友好議員連盟の総会がありますので、奮って御参加をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  以上です。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  法案については、必要な改正であり、賛成です。  ロシアのプーチン大統領が二十五日、隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると決定し、七月一日までにベラルーシ国内に保管施設を完成させると述べました。実施されれば、ソ連崩壊後初めてのこととなります。ウクライナの侵略自体、明白な国連憲章違反であり、即時完全無条件に撤退すべきであります。また、この間行ってきた核兵器による威嚇も断じて許されません。  しかも、今回の決定は、プーチン氏が二十一日に署名した中ロの共同声明で、全ての核保有国は核兵器を国外に配備すべきではなく、国外に配備した核兵器は撤去すべきだとしたこととも相入れないものです。配備撤回を強く求めます。  大臣の認識と日本政府の対応について伺います。 ○国務大臣(林芳正君) この唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用、これ断じて受け入れることはできないと考えております。  今回報じられておりますプーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備の決定に関する発言については、ロシアがウクライナ侵略を続ける中で情勢を更に緊迫化させるものであり、非難をいたします。  日本として、ロシア及びベラルーシに対して、こうした緊張を高めるような行為を止めるよう求めるとともに、今後とも強い関心を持って事態の推移を注視してまいりたいと考えております。 ○山添拓君 戦術核は戦場での局面転換などを狙って使うことが想定され、ベラルーシへの配備は核使用の危険を高め得るものです。ですから、断じて許されないのは当然だと思います。  その上で伺うんですが、大臣、この今回のロシアの決定はいかなる国際規範に違反するものだと考えているでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 核兵器不拡散条約でございますが、この第一条で、締約国である核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者に対しても直接又は間接に移譲しないことと規定をしておりまして、第二条で、締約国である非核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理、これをいかなる者からも直接又は間接に受領しないということ等を規定しております。  ここに言う移譲でございますが、所有権又は管理権の移転を指すものと考えられまして、また受領というのは、この移譲を受けることを指すと、こういうふうに考えられます。ここに言う管理ですが、これは核兵器の使用を一方的に決定する権能、つまり自らの決定により核兵器を発射する権能を意味すると考えられます。  こうした前提で申し上げますと、今回の発言に言う配備の状況が明らかでないということもあり、NPTとの関係において、この今申し上げました一条や二条との関係で断定的にまだ申し上げられる状況でないものの、このまさにプーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備の決定に関する発言、これはまさにロシアがウクライナ侵略を続ける中で情勢を更に緊迫化させるものであり、日本政府として非難すると申し上げたとおりでございます。 ○山添拓君 今御説明いただきましたNPTとの関係ですが、大臣から説明があったように、移譲あるいは受領と言えるのか、それがNPTの一条、二条に違反するものとなるかを分けることになるわけですが、ロシアは、今回の決定は核兵器の譲渡ではなく配備なのだと、ロシア軍が管理するからNPT一条に反しない、こう主張しています。ベラルーシも、管理権などを与えられていないことを理由に、NPTに何ら反しないと反論しています。  このとおりであるとすれば、これはロシアがベラルーシに戦術核を配備したとしてもNPT違反にはならないと、そのロシアやベラルーシの主張どおりであるとすればですね。日本政府としてもそういう認識なんですか。 ○政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  NPTの規定につきましては、先ほど大臣から御答弁差し上げたとおりでございます。その上で申し上げれば、これも大臣から先ほど御答弁申し上げたとおり、今回の発言に言う、その結果としての配備の状況、これがどういうものになるのかというところが明らかではないため、NPTとの関係においてお尋ねのあった一条、二条といったような具体的な条文との関係を含めて、断定的に申し上げることはできないということを申し上げた上で、今回のこの決定に関する発言というものは情勢を更に緊迫化させるというものであって、日本政府として非難するということを申し上げているということでございます。 ○山添拓君 これは、断定できないというのは情けない話だと思うんですよ。明らかにこうして核兵器を拡散させているわけですから。その一条、二条違反だということを断定されない。  では、別の条文との関係ではどうでしょうか。NPTの六条は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置、並びに全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について誠実に交渉を行うことを約束するとするものです。全ての締約国が負う核軍縮と撤廃に向けた誠実交渉義務ですね。  外務省に伺いますが、今回の決定は、ロシアについてもベラルーシについても、核軍縮を目指すべき締約国の義務には、これには反して核兵器を拡大していくという行為です。NPT六条には違反するものですね。 ○政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  御指摘のございましたNPT第六条でございますけれども、締約国、これ、全ての締約国はという意味でございますが、「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。」と規定しております。まさにこうした措置などにつきまして締約国が誠実に交渉を行うということを求めております。  翻って、今回のプーチン大統領によるベラルーシへの配備の決定に関する発言について、NPTとの関係について、配備の状況が明らかでないためお尋ねの第六条との関係を含めて断定的に申し上げられないものの、例えばNPTについてプーチン大統領は、昨年八月に行われましたNPTの運用検討会議に際しまして、NPTは安全保障及び戦略的安定性の国際システムの重要な要素の一つであると、あるいは、NPTの締約国そしてその寄託国の一つとしてロシアは条約の文言及び精神を一貫して遵守しているというメッセージを発するなどしております。こういう中で今回の発言が行われたということは、これはもう非難されるべきことであるというふうに考えてございます。  また、アメリカ、ロシア両国が核軍縮において重要な進展を示した条約である別の新START条約というものございますけれども、その履行停止についてもロシアがそれを行っているということで、これは強く懸念されるべきであるというふうに日本政府として考えているところでございます。 ○山添拓君 いや、非難は当然ですよ。非難は当然ですが、その非難の根拠として、国際法のいかなる、いかなる国際規範に反すると考えているのかということを問うています。  このNPTの六条との関係でも明言されないわけですね。核軍縮に向けた交渉義務があるにもかかわらず核を拡散させているわけですから、これ明らかに反する行動と言うべきだと思うんですが、明言されない。なぜ明言されないんでしょうか。  これ大臣に伺いますけれども、岸田総理は昨年八月、今の話にも出たNPT再検討会議の演説で、NPTは軍縮・不拡散体制の礎石と言い、我が国はNPTの守護者などとも述べました。そのNPTは、ロシアがベラルーシに戦術核を配備することすら禁止していない、違法だと断定できない、そういうものだと大臣おっしゃるんですか。 ○国務大臣(林芳正君) このNPTの一条、二条、また今説明いたしました六条についての解釈は今申し上げたとおりでございまして、まさにこの今回の発言に言う配備の状況が明らかでないということから、この一条と二条との関係等を含めて断定的には申し上げられないというふうにこのNPTとの関係では申し上げましたが、冒頭申し上げましたように、まさに更に緊迫化させるということで、このこと自体は日本政府として非難をするということでございます。 ○山添拓君 その上で、国際規範として何に反するのかと問うているわけです。  プーチン氏は、米国は長い間ヨーロッパの同盟国に核兵器を配備してきた、我々も同じことをすると述べています。  外務省、念のために伺いますが、米国がいかなる国にどれだけの戦術核弾頭を配備しているか承知していますか。 ○政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  今、済みません、手元に確たる資料ございませんので、断定的に、明確に、限定的に申し上げることはちょっと困難でございますけれども、例えばドイツあるいはイタリアというようなところに米軍の核兵器が、核共有、ニュークリアシェアリング、いわゆるニュークリアシェアリングという名の下で置かれているということがございます。 ○山添拓君 NATO軍用としてヨーロッパ五か国、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコの六か所の空軍基地に配備されているとされています。ですから、アメリカの戦術核配備は事実なわけですね。  政府の説明では、アメリカが配備してきたからロシアも同じことをするというプーチン氏の言い分に法的根拠に基づいて反論はできないということになるんでしょうか。NATO軍用の核兵器の配備も、NPT一条、二条あるいは六条に反するものだと言うべきではないのですか。 ○政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  NATOで行われておりますニュークリアシェアリングでございますけれども、アメリカの管理下にある核兵器を非核兵器国である一部のNATO加盟国の領土内に配備をいたしまして、同盟の核抑止ミッションとそれに関連する政治的責任及び意思決定を共有する仕組みであるというふうに理解しておりまして、核兵器そのものの共有ではないとされていると理解をしております。  一般的にNPT上の整理を申し上げますと、核兵器が、同盟関係にある非核兵器国の領域内に核兵器を配備しても、当該非核兵器国が核兵器国の同意なしに核兵器を発射する権能を譲り渡されたのでなければ核兵器の所有権又はその管理権が移譲されたことにはならないので、このような状況はNPTの下では禁止をされていないというような一般的な整理になると、このような整理は従来から国会等の場で御説明をさせていただいてきているところでございます。  以上です。 ○山添拓君 それでは、つまり、NPTに基づく限りはベラルーシへの戦術核配備はNPTに違反しないなどという言い分を許してしまいかねないと、それでよいのかということが問われていると私は思います。  事態は緊迫しています。先ほどもお話ありましたが、ロシアは今年二月、新戦略兵器削減条約、新STARTの履行停止を表明し、戦略核の情報を米側に提供するのをやめてしまいました。米国家安全保障会議、NSCは二十八日、これに対抗して、ロシアへの戦略核兵器の情報提供を停止したと明らかにしました。これ、重大な事態だと思います。新START、米ロ間に残る唯一の核軍縮合意です。これに基づいて様々情報をデータ交換してきたわけですね。情報提供の中止は核兵器についての相互不信を格段に高めることになるでしょう。  大臣に伺います。  ロシアに対してもアメリカに対しても、核軍縮合意をほごにするような対応をやめるようにこれは求めるべきではありませんか。 ○国務大臣(林芳正君) 今月の二十八日、これ現地時間でございますが、米国政府は、ロシアが新戦略兵器削減条約の履行を停止し、同条約上の義務である情報提供を行わないこととしたことを受け、ロシアに条約遵守への復帰、これを促すために同様の措置をとることとしたと述べたと承知しております。同時に、米国政府は、新STARTが軍備管理及び戦略的安定性の維持に関する重要な条約であるとも述べたと承知をしておりまして、我が国として、この新START、これは米ロ間の戦略的安定性に資すると同時に、両国の核軍縮における重要な進展を示すものであると考えておりまして、引き続き動向を注視してまいりたいと考えております。 ○山添拓君 先ほどの御説明では、NPTに違反しないのではないかと、ベラルーシへの戦術核配備がですね、そういう話でした。断定できないという答弁でした。  一昨年発効した核兵器禁止条約一条(g)項は、どこであれ、また誰の管理であれ核兵器を置くこと自体を禁止しています。ですから、ベラルーシの戦術核配備は核禁条約という国際規範には明らかに違反するものです。国際NGOのICAN、核兵器廃絶国際キャンペーンは、ロシアの行動は核禁条約に違反しているとして、核兵器の削減に真剣に取り組む国は条約に署名し、核が使用される可能性を低めなければならないと指摘しています。  やはり、核兵器禁止条約こそ必要であり、有効です。日本はこれに参加し、広げるべきです。今、ロシアのように、実際に侵略戦争を進めて核兵器による威嚇をためらわない核保有国が現れています。核抑止論は破綻しています。ですから、この抑止論神話というのはいいかげんにやめるべきだと、ましてや、この危機に乗じて日本が米国との核共有を進めるなど論外だということを指摘して、質問を終わります。  ありがとうございました。 ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  在外公館名称位置給与法については特に異論ありません。  前回に続いて、反撃能力など安保三文書について伺います。  前回、防衛大臣から、存立危機事態認定後の反撃能力の運用については個別具体的に判断するという答弁をいただきました。  内閣法制局に伺います。  我が国に対する武力攻撃がなくても、存立危機事態で反撃能力を使用することは可能なのですか。 ○政府参考人(木村陽一君) お尋ねの反撃能力に関しましては、昭和三十一年に示されました政府の統一見解におきまして、我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として我が国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものとされているところでございます。  このように、従来、政府としては、いわゆる誘導弾等の基地をたたく以外に攻撃を防ぐ方法がないといった場合もあり得ることから、仮に他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないとしてきたところでございます。  その上で、そのような考え方は、二〇一五年の平和安全法制によって規定されました存立危機事態に対処する場合も含めまして、武力の行使の三要件の下で行われる自衛の措置としての武力の行使にもそのまま当てはまるものと考えられます。その旨説明してきているところでございます。 ○伊波洋一君 今日まで、政府は政策として、敵基地攻撃をしないという政策の下でその手段を持ってこなかったと。しかし、今回、安保三文書改定によってそのことが実現し得る、そういう装備体系にしていくということになったわけであります。  前回の浜田防衛大臣の答弁は、存立危機事態が認定された後は、日本が武力攻撃されていない段階であっても敵の策源地にスタンドオフミサイルを撃つことが可能だということですね。 ○国務大臣(浜田靖一君) 存立危機事態は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって無条件で認定されるものではなく、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に認定され、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使にとどまる場合において自衛の措置として武力行使を、武力を行使することが許容されます。  したがって、存立危機事態における対応は、他国の防衛ではなく、あくまでも我が国の防衛のために行うものであり、個別具体的な状況に照らして我が国の国民の命と平和な暮らしを守り抜くための措置を判断し、対応していくものであります。  その上で、事態認定後の反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置としていかなる措置をとるかという観点から、個別具体的に判断をします。 ○伊波洋一君 今の防衛省の反撃能力の考えでは、台湾有事において存立危機事態が認定されれば、日本が武力攻撃されていなくても、米国の求めに応じて自衛隊が中国艦船や中国本土の基地にミサイル攻撃ができます。相手国にしてみれば先制攻撃がされるということになるのではないでしょうか。  これまで日本政府は、南西諸島に自衛隊ミサイル部隊を配備し、要塞化して、十年以上米軍との共同訓練を米国や日本各地で繰り返し、安保法制や土地規制法、日米ガイドラインや2プラス2合意などを積み上げて、結果として、今回の安保三文書では、米国の戦略に応じて五年で四十三兆円、後年度負担を含めると六十兆円も掛けて長距離ミサイルを整備することになっています。  資料一のように、反撃能力の定義は、閣議決定を経た国家防衛戦略の十ページの九行目から十三行目まで、「この反撃能力とは、」から「自衛隊の能力をいう。」というパラグラフに書かれています。  前回の質疑では、「我が国に対する武力攻撃」が発生した場合にという文言の「我が国」は、密接他国を含まず日本に限られると答弁されました。国家防衛戦略の明文上は、反撃能力の行使は、我が国、すなわち日本に対する武力攻撃が発生した場合に限定されています。逆に言えば、たとえ存立危機事態が認定されても、日本が攻撃されないうちは反撃能力の行使はできないはずですが、安倍政権以降の白を黒で言いくるめるような言い回しで、閣議決定した文書を勝手に解釈変更しています。反撃能力の行使が三要件に基づかなければならないからといって、三要件のときに反撃能力を行使できるとはならないのは論理的にも明らかです。  委員長、前回もお願いしましたが、改めて、反撃能力の定義は何か、この国家防衛戦略十ページ九行目から十三行目までのパラグラフが反撃能力の定義か否か、反撃能力の行使は日本に対する武力攻撃が発生した場合に限られるのか否か、存立危機事態において反撃能力を行使するのか否かについて、政府の統一的な見解を委員会に示すよう、お取り計らいください。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○伊波洋一君 台湾有事で、日本が攻撃されないうちに中国に自衛隊がミサイルを撃つことは、まさに日中全面戦争となって、日本がウクライナのような悲惨な戦場になる、そのような戦場を日本が率先して招き入れることです。これで本当によいのでしょうか。パールハーバーの再現であり、政府も議員各位も国民の皆さんもよく考えるべきです。  岸田政権は、自ら閣議決定した国家防衛戦略の文言に反する解釈を変更してまでも、反撃能力は存立危機事態で行使し得る状態にしておきたいようです。  前回も触れましたが、現状、中国のミサイルに対抗する米国のミサイルがないというミサイルギャップのために、米軍の空母打撃群は中国のミサイルの射程圏内に入れません。配付資料二、三、四にもあるとおり、米国は在日米軍への地上発射型中距離ミサイル配備を検討していましたが、日本が反撃能力の導入で長距離射程ミサイルを保有することになったため不要と判断したと一月二十三日に報道されています。  つまり、反撃能力、すなわち自衛隊のスタンドオフミサイルは、米国のミサイルギャップを埋めるものとして米国の戦略に組み込まれているということです。  では、日本の反撃能力、スタンドオフミサイルについて、現時点で自衛隊に運用する能力があるのでしょうか。  資料五のように、国家防衛戦略十八ページ九行目から十一行目には、「スタンド・オフ防衛能力に不可欠な、艦艇や上陸部隊等に関する精確な目標情報を継続的に収集し、リアルタイムに伝達し得る指揮統制に係る能力を保有する。」と掲げられています。このほかにも、配付資料五に整理しましたが、安保三文書ではスタンドオフミサイルの運用能力は今後整備していくことが複数の箇所に明記されています。また、防衛力整備計画の十六ページ二行目から七行目にかけて、日米の相互運用性を高めるため、我が国による反撃能力の行使に係る協力、情報、警戒監視、偵察、ターゲティング、ISRTにおける連携を推進することも書かれています。  つまり、現時点で自衛隊は、反撃能力の行使に不可欠な目標情報を収集し、リアルタイムに伝達する能力を保有していないのではありませんか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、国家防衛戦略等におきましては、スタンドオフ防衛能力の運用に必要となる目標情報等を一層効果的に収集するといった観点から、衛星コンステレーションを活用した画像情報等の取得や無人機、目標観測弾の整備などを行うなど、情報収集、分析機能及び指揮統制機能を強化することとしております。  その上で、現時点でどの程度の情報収集能力等を有しているかにつきましては、事柄の性質上、お答えは困難であることを御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、防衛力整備計画等に基づきまして、我が国自身の取組を進めつつ、日米で協力して対処してまいります。 ○伊波洋一君 また、自衛隊は、スタンドオフミサイル発射の際には米軍とのコンサルテーション、話合いが求められます。米軍とのコンサルテーションがなければ自衛隊はスタンドオフミサイルを撃てないのではありませんか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  まず、我が国のスタンドオフ防衛能力につきましては、米国による情報協力などがなければ運用できないということはなく、防衛力整備計画などに基づきまして構築しましたシステム、装備などに基づきまして我が国自身で収集した情報を始め、様々な情報を総合した上で主体的に運用していくものでございます。  その上で、国家防衛戦略に記しましたとおり、反撃能力につきましては、情報収集を含め、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築することとしておりまして、その詳細は今後日米間で議論してまいります。 ○伊波洋一君 米軍の目標情報に基づき、さらにはコンサルテーションという実質的な米軍の判断を経由しなければ自衛隊がスタンドオフミサイルを発射できないとすれば、日本の国益に基づく日本独自の判断で反撃能力を行使できるとは言えないのではないでしょうか。使う能力も権限もない武器を買わされて、日本の将来を危うくしていることに気付くべきです。  バイデン政権は、昨年十月に策定した米国の国家安全保障戦略で統合抑止という戦略を採用しています。これはどのような考え方でしょうか。我が国の戦略との関係はどうなっていますか。 ○政府参考人(増田和夫君) 米国政府は、国家安全保障戦略、これは昨年の十月に公表されたものでございますけれども、そこにおきまして、作戦領域間の統合、陸海空、宇宙、サイバーといった領域間の統合のことでございますが、そのことや、米国政府全体及び同盟国との統合等を通じまして侵略行為を抑止するという統合抑止の考え方によりまして抑止力を強化していく方針を打ち出しております。  一方、我が国の国家防衛戦略におきましても、防衛力だけではなく我が国の国力を総合いたしまして、また同盟国、同志国等とも協力、連携いたしまして、力による一方的な現状変更及びその試みを抑止し、我が国を守り抜いていくという方針を採用しております。  このように、あらゆるアプローチと手段を統合させて、力による一方的な現状変更を起こさせないことを最優先とする点で日米両国が軌を一にしてございます。こうした日米両国が様々な分野における協力を拡大、深化させることによりまして、日米同盟としての抑止力が更に強化されると考えております。  ただし、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動し、かつ自衛隊は憲法、国際法、国内法に従って行動することは言うまでもございません。 ○伊波洋一君 ただいまの答弁にもありますように、国家防衛戦略十四ページには、「我が国の防衛戦略と米国の国防戦略は、あらゆるアプローチと手段を統合させて、力による一方的な現状変更を起こさせないことを最優先とする点で軌を一にしている。」とまで書かれています。  安保三文書は、米国バイデン政権の戦略に岸田政権の日本が組み込まれ、米国の国益に基づく米国の戦略に応えて、日本を戦場にし、日本の国益と国民の命を危険にさらすものです。  二月十六日に衆議院予算委員会に出席した川上高司公述人は、ウクライナ戦争はバイデン政権が統合抑止戦略を用いてプーチン政権の弱体化を図ろうとしたもの、「台湾有事が起きた場合、米国は中国と直接衝突することを避け、「ウクライナ型戦争」を遂行する、」、「日本は台湾に送る武器を集積する後方支援基地になり、状況次第で中国と戦うことになる。その結果、米軍の指揮によって自衛隊だけが中国軍と戦って血を流すことになりかねない。」と、強い懸念を表明されました。配付資料六から十に詳しく書かれています。  川上氏は、「日本の独立は中国の軍事的圧力と米国の軍事的支配によって脅かされている。」と指摘し、「米国の軍事的支配から脱却する。」ことを提起しています。  今年一月十一日の日米2プラス2協議の共同発表には、日米施設の共同使用の拡大、空港及び港湾の柔軟な使用が書かれています。軍事目的で柔軟に使用される民間施設は、敵から見れば当然軍事目標とされます。  また、2プラス2では、横浜ノースドックへの小型揚陸艇部隊の配備が合意されています。これはどういった部隊でしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御指摘の小型揚陸艇部隊は、今春、横浜ノースドックにおいて新編される予定の部隊でございまして、小型揚陸艇十三隻及び約二百八十名の要員から構成されるものと承知しております。  本部隊の新編によりまして、南西諸島を含む所要の場所に迅速に部隊や物資を展開することが可能となりまして、自然災害を含む様々な緊急事態において日米が連携して対応する能力が向上することとなります。 ○伊波洋一君 ただいまの答弁のように、小型揚陸艇部隊は、資料十一に示してございますが、台湾有事に備える物資輸送や、あるいは米国籍民間人を避難させるなど、極めて実戦的な任務を担う部隊です。  三月二十三日、齋藤法務大臣は、林、浜田両大臣も出席する中、台湾有事は沖縄有事だと発言したと報道されています。こういう発言は、沖縄を本土防衛の捨て石にすれば東京など本土は守れるとも受け取られ、沖縄の戦場化を想定するもので、沖縄県民を無視するものです。  しかし、実際は、横浜の市街地に隣接する横浜ノースドックへの実戦部隊の配備、資料十二のように、米国から購入するトマホークミサイルの横須賀、舞鶴、佐世保のイージス艦への配備や、各地の陸自や空自部隊へのミサイル配備など、米軍や自衛隊ミサイルが分散し、日米共同使用や民間空港や港湾の軍事利用が進むことで、米軍や自衛隊の基地だけではなく、日本全国の民間施設が台湾有事における軍事目標となります。台湾有事が南西諸島での制限戦争で収まって、沖縄有事で終わるわけではありません。CSISのシミュレーションでも、日本全国で港湾や空港が空爆されるというふうに表現しております。  台湾有事に日本が軍事介入をすれば、日本が戦場になり全土に敵の攻撃がなされ、被害が生じるのではありませんか。防衛大臣、お答えください。 ○国務大臣(浜田靖一君) いわゆる台湾有事という仮定の質問にお答えすることは控えなければなりませんが、いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要と考えており、台湾をめぐる問題について、対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場であります。  その上で、今般の防衛力の抜本的強化については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要となるものであり、我が国の抑止力、対処力を向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させていく考えであります。 ○伊波洋一君 安保三文書の今回の改定は、むしろ、これまで持っていなかった敵基地能力を持ち、そしてアメリカがそう判断をすれば、あるいは日本がそれに応えれば、自ら先制攻撃をする手段を持つということになるわけでありまして、まさに日本の意図がそこにあるならば、相手国からは真っ先に攻撃される、そういうことになりかねないものです。  安保三文書は、戦争を避けるための外交的手段を模索しようとしないで、ただ軍事拡張を推し進めています。しかし、そのスタンドオフミサイルの引き金は米軍が握っている状態です。引き金が引かれれば、台湾有事は日本と中国との代理戦争になり、CSISのシミュレーションどおり、米国は中国領土、領海を攻撃せず、米国は情報支援、米国の武器の供与など後方支援だけのウクライナ型の代理戦争が可能になります。  岸田総理は、さきの防衛大学校の卒業式で、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれないと発言をしました。戦争になれば、多くの国民、自衛隊が死傷する悲惨な事態が生じるからこそ、台湾有事は外交によって起こさせないようにするべきです。  台湾が独立を宣言するなどの現状変更を求める動きは、中国の台湾侵攻、台湾有事を招きかねない極めて危険なものです。前回、我が会派の高良委員が、米国バイデン政権は、二〇二二年十月の国家安全保障戦略で、台湾独立を支持しないと明記していることを指摘しました。二〇〇五年三月二十五日には、当時の町村外務大臣が、台湾の問題については、平和的な話合いでこの問題は解決すべきである、武力行使には反対である、同時に、台湾独立も支持しないという原則に基づいていると答弁しました。  日本政府は、現在もこの原則に基づいていますか。外務大臣、お答えください。 ○国務大臣(林芳正君) 台湾は、日本にとって基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であります。  その上で、我が国は、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する旨、これまで一貫して表明をしてきております。  このかかる基本的立場を述べるに際し、その時々の情勢において、情勢に応じて様々な表現が用いられてきておりますが、先述したような我が国の基本的立場、これ一貫して何ら変わっていないということでございます。 ○伊波洋一君 そうすると、今の林大臣の答弁は、町村大臣当時の台湾独立を支持しないという原則とは一貫して変化していないと理解していいのですね。 ○国務大臣(林芳正君) 繰り返しになるかもしれませんが、我が国は台湾との関係、これは一九七二年の日中共同声明を踏まえまして、非政府間の実務関係として維持していくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する旨、これまで一貫して表明してきているところでございます。このような我が国の基本的立場は一貫して何ら変わっていないと申し上げたとおりでございます。 ○伊波洋一君 日本政府は、外交によって台湾有事を起こさせないよう、中国を始め米国や台湾への働きかけを強化すべきではありませんか。大臣、お答えください。 ○国務大臣(林芳正君) この台湾海峡の平和と安定、これは我が国の安全保障はもとより国際社会全体の安定にとっても重要でございます。我が国の従来からの一貫した立場は、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというものであります。この点、これまでも、一月の日米首脳会談を始め、米国やG7との間で台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしております。  先般、ミュンヘンで行われた会談においても、私から王毅外事工作委員会弁公室主任に対し、台湾海峡の平和と安定の重要性、これを改めて強調いたしました。台湾海峡の平和と安定を確保するため、我が国としてこうした立場を中国側に首脳レベルを含め直接しっかり伝えるとともに、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら各国共通の立場として明確に発信していくことが重要であり、今後ともこうした外交努力を続けてまいりたいと考えております。 ○伊波洋一君 今回、防衛費が四十三兆円も増大されるのに、今日、外務省の取組としての予算の増大は見られません。来年度の防衛省予算は六兆八千二百十九億ですが、外務省予算は七千五百六十億円です。ざっと九倍ぐらいの開きがあります。政府は国家安全保障戦略は外交を重視していると繰り返していますが、実際の予算配分を見ても軍事力、抑止力に偏っているのは明らかです。  安保三文書の路線は、米国の国益に基づいて自衛隊を米国の戦略に組み込み、台湾有事において米国のウクライナ型関与を可能にします。台湾を防衛し中国の勢いをそぐという米国の国益のために日本は戦場になり、自衛隊が戦争を引き受けるという極めて危険なものです。安保三文書の撤回を求め、日本はあくまでも外交努力によって台湾有事を抑止することに力を注ぐべきことを訴えて、質問を終わります。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会