第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第16号 令和5年5月25日 令和五年五月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      柴  愼一君     福山 哲郎君      横山 信一君     山口那津男君      梅村  聡君     音喜多 駿君  五月二十四日     辞任         補欠選任      山口那津男君     新妻 秀規君      音喜多 駿君     青島 健太君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 金子 道仁君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 新妻 秀規君                 青島 健太君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        法務省大臣官房        審議官      松井 信憲君        出入国在留管理        庁出入国管理部        長        丸山 秀治君        外務省大臣官房        審議官      石月 英雄君        外務省大臣官房        審議官      伊藤 茂樹君        外務省大臣官房        審議官      實生 泰介君        外務省大臣官房        審議官      中村 和彦君        外務省大臣官房        審議官      北川 克郎君        外務省大臣官房        審議官      原  圭一君        外務省大臣官房        政策立案参事官  岡野結城子君        外務省大臣官房        参事官      西永 知史君        外務省欧州局長  中込 正志君        財務省主計局次        長        寺岡 光博君        防衛省大臣官房        衛生監      鈴木 健彦君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省統合幕僚        監部総括官    大和 太郎君        防衛装備庁長官  土本 英樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○外交、防衛等に関する調査  (G7広島サミット等に関する件)  (ウクライナ情勢に関する件)  (クルド難民に関する件)  (防衛力の整備に関する件)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、横山信一君、柴愼一君及び梅村聡君が委員を辞任され、その補欠として福山哲郎君、新妻秀規君及び青島健太君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について、財政金融委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房審議官松井信憲君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。  まず、G7広島サミット等に関する件について政府から報告を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) 岸田総理は、五月十九日から二十一日まで、議長としてG7広島サミットを主催しました。その概要を報告いたします。  国際社会が歴史的な転換期にある中で開催された今般のG7広島サミットでは、G7の揺るぎない結束を改めて確認することができました。そして、G7として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとの決意を世界に向けて力強く示すことができました。  被爆地広島で開催した今回のサミットでは、世界のリーダーたちに被爆の実相に触れていただくとともに、G7の首脳が核兵器のない世界の実現に向けた決意を改めて共有し、G7として初めて核軍縮に焦点を当てた独立首脳文書である核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを発出することができました。  ロシアのウクライナ侵略に関しては、ゼレンスキー大統領にも議論に参加いただき、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに、G7として、厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続していくこと、ウクライナに平和をもたらすため、あらゆる努力を行うことを確認しました。  アジアで唯一のG7メンバーである日本で行われた今回のサミットでは、インド太平洋についてもしっかり議論しました。岸田総理からは、自由で開かれたインド太平洋のための新たなプランを説明し、引き続き、G7としてFOIPの実現のために協力していくことで一致しました。  また、今回、G7サミットでは初めて経済的強靱性・経済安全保障を独立したセッションで扱い、この分野に関する首脳声明も発出することができました。G7として、サプライチェーンや基幹インフラの強靱化、また経済的威圧に関するプラットフォームの立ち上げなどの取組を強化していきます。  食料、開発、保健、気候変動・エネルギーといった世界の諸課題の解決に向けた貢献は、常にG7の中核的な使命であり続けてきました。今回のサミットでは、G7として、様々な課題に直面する国際的なパートナーの声を聞き、彼らと連携しつつ、そうした課題にきめ細やかに対応していくことを確認するとともに、今後我々が取るべき具体的な行動を含め認識を共有することができました。  さらに、G7と招待国の首脳にゼレンスキー大統領を加えて世界の平和と安定に関する議論を行い、全ての国が主権、領土一体性の尊重といった国連憲章の原則を守るべきこと、そうした原則や国際法に基づく公正かつ永続的な平和を支持すること等の点で認識の一致を得ることができました。  また、G7広島サミットの機会に、岸田総理は、日米豪印首脳会合に出席し、四か国の連帯と自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンへの強固なコミットメントを改めて確認したほか、G7や招待国の首脳との首脳会談を行いました。  今回のサミットの成果も踏まえ、引き続きG7議長国として国際社会の諸課題への対応を主導していきます。私自身、外務大臣として、G7広島サミットの成果を着実にフォローアップしていきたいと考えています。  皆様の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○堀井巌君 おはようございます。自由民主党の堀井巌です。  G7広島サミット、大きな成果とともに無事終了いたしました。外務省、関係省庁の皆さん、そして、警備に当たられた警察、海上保安庁、全国の警察官の皆さん、会場関係者の皆さん、地域の皆さん、全ての皆様に心より敬意を表したいと存じます。  今回、この広島サミットを実質的に取り仕切った外務省のトップとして、林外務大臣、どのように所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今次のサミットに際しまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくという強いメッセージを示すこと、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々との関与を深めること、この二点を重視していたわけでございますが、これらについては当初の狙いどおりの成果を達成できたと考えております。  加えて、食料、エネルギー問題を含む世界経済はもちろん、さらには気候変動や開発、国際保健、AIなど、幅広いグローバルな課題についても議論を深め、今後の対応の方向性について確認をいたしました。  また、今次サミットを被爆地広島で開催することとした大きな目的、すなわち、各国首脳に被爆の実相に触れていただき、それを世界の隅々に向けて発信していただくことについても大きな成果が得られたところでございます。これは、各国首脳が今回、平和記念資料館の芳名録に記載をしてくれたメッセージの内容、これに端的に表れていると感じております。  それらも踏まえ、今回、核軍縮に関する初めての独立首脳文書となるG7首脳広島ビジョンの発出を得て、引き続き、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していくことで、核兵器のない世界に向けて現実的で実践的な取組、これを継続、強化してまいります。  さらに、ゼレンスキー大統領自身に対面で出席をいただいて、招待国等の面々とも引き合わせたセッション、これを開催するとともに、まさにその場において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持等について認識の一致を得ることができました。これは歴史的な大きな意義を持つものであったと確信をしております。  このほかにも、日米豪印や日米韓の連携強化など、今回得られた成果を基に、G7議長国として、そして日本の国益確保のために、全力で外交課題に取り組んでまいりたいと考えております。 ○堀井巌君 今御答弁いただいたように、本当に内容的には大きな成果があったと思います。  同時に、私、もう一点指摘したいのは、ロジが大変すばらしかったと思います。いわゆる運営、オペレーションですけれども、今回、日米豪印のクアッドの会合も突然日本で行われることになりました。また、ゼレンスキー大統領も急遽訪日されるということになったわけですけれども、私も、かつて在外公館に少し籍を置いたときに大型ロジの末端で少しそのロジというものを体験しましたが、本当にこれは地道な作業ですけれども、大変重要な業務でありますけれども、ここを円滑にされたというのは私は敬意を表したいと思いますけれども、外務大臣のこのロジについての所見、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 今回のサミットは、安心、安全かつ円滑な開催のみならず、様々な意味で歴史に残る重みのある機会になったと、そういうふうに考えております。  その準備、運営に当たりまして、外務省自身、五百名を超える総力を掛けて、また警察を始めとする関係省庁の皆様と一丸となって取り組みました。また、広島県民会議を始めとする地元自治体の皆様とも緊密に連携をいたしまして、企業や住民の皆様から多くの御理解、御協力をいただいたところでございます。さらに、全国各地の民間の方々のお力をお借りする場面も多くありました。  サミットの成功、これはこうした関係者の全ての努力がなければあり得ず、まさにオールジャパンで成し遂げた成功であったというふうに考えております。関係者の皆様に、この場を借りて、改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。 ○堀井巌君 まさに今のロジのお話は日本の底力を一つ示すものだというふうに、改めて敬意を表します。  内容について伺います。  先ほど外務大臣の方から、核軍縮に関するG7広島首脳ビジョン、初めてこれが首脳ビジョンとして示されたということであります。ウクライナ侵略を続ける中で、ロシアが核兵器の今使用の威嚇を行っているわけであります。また、中国も透明性を欠いた形で核軍拡を継続しているわけでありますけれども、今回、こういった観点からもどのような成果があったか、お聞かせいただきたいと思います。 ○政府参考人(伊藤茂樹君) お答えいたします。  今次サミットでは、核兵器のない世界に向けてG7首脳の間で胸襟を開いた議論が行われ、その後、発出されたG7首脳広島ビジョンでは、核兵器のない世界の実現に向け、責任ある行動や透明性向上に力点を置きつつ、中ロに対しても具体的措置をとることを呼びかけております。  具体的には、ロシアにつきましては、G7首脳の総意として、ロシアによる核兵器の使用の威嚇やベラルーシに核兵器を配備するとの意図表明は危険であり受け入れられない旨述べた上で、新STARTの完全な履行に戻ることを可能とするよう求めているほか、核実験モラトリアム遵守を求めたところであります。また、中国につきましては、同国の透明性や有意義な対話を欠いた加速している核戦力の増強は世界及び地域の安定にとっての懸念となっていると指摘したところであります。その上で、中ロに対しまして、核軍縮の誠実交渉義務に関する第六条の規定を含むNPTの下での義務に沿い、関連する多国間及び二国間のフォーラムにおいて実質的に関与することを求めております。  なお、このほか、中ロを含む全ての核兵器国に対して、未実施である場合には、米英仏に倣う形での核戦力の客観的データの公表、NPT運用検討会議に提出する国別履行報告についての非核兵器国や市民社会との双方向の議論、民生用プルトニウムの対IAEA報告、FM生産モラトリアム宣言の実施を呼びかけているところであります。  引き続き、同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、また、英仏とも連携し、同ビジョンを踏まえつつ、中ロも巻き込む形で核軍備管理そして軍縮に係る取組を進めてまいる所存であります。 ○堀井巌君 次に、今回のG7サミットでは初めて経済的強靱性及び経済安全保障について独立したセッションが設けられ、G7としての首脳声明が発出されたというふうに承知しておりますけれども、巷間、今我々も大変な重大な関心を持っているこの経済安全保障についてどのような成果があったのか、教えていただけますでしょうか。 ○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、国際情勢等の変化により安全保障の裾野が経済分野へ急速に拡大する中、経済安全保障上の新たな課題が顕在化しております。  こうした背景の下、本年の広島サミットでは、G7として初めてサミットの議題として経済安全保障を取り上げるとともに、経済的強靱性及び経済安全保障に関し包括的かつ具体的なメッセージを初めて独立の首脳声明として発出いたしました。  サミットでは、第一にサプライチェーンや基幹インフラの強靱化、第二に非市場的政策及び慣行や経済的威圧への対応の強化、第三に重要・新興技術の適切な管理等について議論し、G7の結束した対応を確認したところでございます。  また、これらの課題につきまして、日本議長年だけで終わらせずに毎年継続して成果を出すため、G7の枠組みを通じ、包括的な形で協力、連携していくことを確認したところでございます。 ○堀井巌君 次に、クリーン・エネルギー経済行動計画ということで、これも発表されたというふうに承知しております。サプライチェーンの多様化、強靱化等々についても、私も読ませていただきましたが、触れられていますけれども、この点について教えていただければと思います。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  お尋ねのクリーン・エネルギー経済行動計画におきまして、G7首脳は、重要鉱物資源あるいは再生可能エネルギー機器などのサプライチェーンの多様化、強靱化に向けて、これらのサプライチェーンを構築する上で重要な役割を果たす低所得国との新しいパートナーシップを確立することにコミットするとともに、そのための各種取組、各種支援を行い、活用するということが計画に盛り込まれております。  例えば、今申し上げたサプライチェーンにおいて、低中所得国が、鉱物資源の輸出にとどまらず、その精錬、加工等、より大きな役割を果たせるよう、G7財務大臣・中央銀行総裁会議で合意されました支援の枠組みである強靱で包摂的なサプライチェーンの強化、RISEに向けたパートナーシップ、これを年内に立ち上げるよう、首脳としても要請しております。このRISEに向けたパートナーシップは、G7がほかの融資国、世銀、その他関係国際機関と協働いたしまして、低中所得国に対し、資金、知見及びパートナーシップを組み合わせた互恵的な協力を行うものでございます。  また、同行動計画では、コミュニティー、地元社会に裨益し、公正なエネルギー移行を促す高い環境、社会、ガバナンス基準、ESG基準に沿ったサプライチェーンを重視するということを掲げておりまして、その地元のコミュニティーに寄与するという意味において、パートナー国に寄り添った取組を推進していくこととしております。  我が国としましては、これらの取組を含みますクリーン・エネルギー経済行動計画に基づき、G7、世界中のパートナー国あるいは国際エネルギー機関、IEAを始めとします関連国際機関と連携しながら、サプライチェーンの多様化、強靱化に取り組んでまいります。 ○堀井巌君 次に、今回の広島サミットでは、ロシアによるウクライナ侵略による影響などを受けて悪化する食料安全保障についても議論がなされ、そして強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明が発出されたと承知しています。招待国には大消費国あるいは大生産国含まれて、なかなか、こういう議論するのはなかなか難しいところもあったと思いますけれども、声明がうまく発表されたと、敬意を表したいと思います。  今回の意義について伺いたいと思います。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  御指摘のとおり、気候変動あるいは新型コロナウイルス、紛争などの複合的要因に加えまして、ロシアのウクライナ侵略があったことによりまして、世界の食料安全保障への関心はこれまでになく高まっております。こうした状況の下、広島サミットでは、招待国を交えて食料安全保障の問題について率直な議論を行ったところでございます。  G7では他国の発言は紹介しないことになってございますので、議論の詳細は差し控えさせていただきますが、我が国は議長国として各国の様々な立場を注意深く聞いた上で粘り強く調整を行い、その結果、G7と招待国と共同で、お尋ねのあった強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明、これを発出するに至ったということでございます。  同行動声明においては、短期的な課題である世界の食料危機への対応、それから、より中長期的な取組である強靱で持続可能かつ包摂的な農業、食料システムの構築、これら双方につきまして招待国とともに具体的方策を示した、こういう点で有意義な成果であったというふうに評価しておるところでございます。  我が国としましては、この行動声明を基に、グローバルサウスの大生産国、大消費国を含みます幅広い各国とともに、引き続き世界の食料安全保障の強化に取り組んでいく所存でございます。  まずは、官民の幅広い関係者を交えた輸出国、輸入国間の対話、産消対話を、ロンドンに本部がございます国際穀物理事会、IGCと共催で六月に開催いたしまして、食料危機の際に各国が取るべき行動について議論する予定でございます。 ○堀井巌君 最後に、グローバルサウスとの関係に関して二問続けてお伺いいたします。  一つは、保健分野についても議論が行われたと承知をいたしております。また、インフラ投資に関してサイドイベントが行われたというふうに承知しております。  このグローバルサウスとの関係、国々との関係見据えて、この保健分野あるいはインフラ投資についてどのような成果があったのか教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  G7広島サミットでは、新型コロナの経験を踏まえまして次なる危機に備えるための取組が必要との認識の下、公衆衛生危機対応のためのグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築、強化、より強靱、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成への貢献、さらには様々な健康課題に対応するためのヘルスイノベーションの促進、こういった三本柱を中心に、G7のメンバー、招待国・機関の間で率直な議論が行われました。  グローバルヘルス・アーキテクチャーにつきましては、公衆衛生危機対応に際して首脳級が関与、対応する仕組みに向けたコミットメントや、いわゆるパンデミック条約を含む国際規範形成への貢献などについて議論が行われました。  ユニバーサル・ヘルス・カバレッジにつきましては、新型コロナ対応により後退した従来からの保健課題への対応の推進を確認するとともに、G7として国際保健に貢献するため、官民合わせて四百八十億ドル以上の資金貢献を表明いたしました。  ヘルスイノベーションにつきましては、薬剤耐性への対応を含め、イノベーションを一層推進していくことを確認をいたしました。また、ワクチン等の感染症危機対応医薬品等について、研究開発に加えて、特に途上国での公平なアクセスを強化するための広島ビジョンを発表し、デリバリーに関するパートナーシップを立ち上げたところでございます。  インフラパートナーシップにつきましても御指摘ございました。二二年六月のエルマウ・サミットで立ち上げられた、G7が連携して質の高いインフラ投資を促進するためのイニシアティブでございます。  この広島サミットの機会に関連のサイドイベントを開催をいたしました。このイベントでは、G7に加えて、G7への招待国、それから民間セクター、世銀の参加を得ることで、G7が多様な主体と連携しながらパートナー国のインフラへの投資において民間資金の動員に取り組むことを対外的に示すことができたと考えております。  これまでのG7の取組、インフラ投資への取組のうち象徴的な案件をまとめた…… ○委員長(阿達雅志君) 時間ですので、答弁は簡潔に願います。 ○政府参考人(原圭一君) はい。  ファクトシートを発表いたしました。  引き続き、債務持続可能性ですとか開放性といった、G20で日本が主導した質の高いインフラ投資に関する原則に沿った形で質の高いインフラ投資を進めてまいります。  以上でございます。 ○堀井巌君 終わります。ありがとうございました。 ○福山哲郎君 おはようございます。立憲民主党の福山です。よろしくお願いします。  まずは、済みません、防衛大臣にお越しいただいたので、時間がなくなって防衛大臣に質問し損なうと失礼なので、最初に防衛大臣に質問させていただきます。  宮古島周辺での陸自のヘリの事故の状況について、フライトレコーダー等が出てきて、内容等についても若干報道はあるんですけれども、一部しか報道がないものですから、その後の状況、今の捜索の状況、まだ見付かっていない隊員もいらっしゃると思いますし、それから事故検証委員会がその後どう動いているのか、そのことだけまずお答えいただけますでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) UH60JAの事故について、回収したフライトレコーダーについては、現在、データの抽出、解析といった一連の作業を進めております。データ解析の結果を含め一連の事故調査の結果がまとまれば、私へも事故調査委員会から報告がなされます。  一方、現在はこの解析を含め事故調査を行っている最中であり、調査結果について私として報告を受ける段階には至っておりません。このため、国民の皆様に調査結果をお示しできる段階にもないことを御理解いただきたいと思います。  いずれにせよ、可能な限り早期に事故原因を究明することが重要であり、これに向け、事故調査を進めてまいりたいと考えております。  今御指摘のお話がありましたけれども、いまだ行方不明のままの四名の方の捜索について、これも民間力を活用した水中捜索及び陸自による地上捜索により引き続き捜索に取り組んでいるところであります。 ○政府参考人(大和太郎君) 事故調査委員会についてもお尋ねがあったと思いますので、私の方から補足をさせていただきます。  これまで、事故調査委員会につきましては、第一回を事故発生当日の四月六日に、それから第二回を四月二十一日に実施をしております。また、現在、事故調査委員会の委員が、フライト・データ・レコーダーの解析作業に加えまして、回収した機体の破損状況の確認などを順次行っているところであります。  今後、こうした調査の結果を踏まえつつ委員会を開催してまいりますが、次回は、現時点で、あした、五月二十六日の開催を予定しているところであります。 ○福山哲郎君 まだ途中なので御報告する段階ではないという大臣のお言葉はよく理解しますが、一部は逆に報道出てしまっていますので、そこは是非留意をいただきたいと思いますし、出せること出せないことあるかもしれませんが、なるべく、これは隊員の命に関わったものですから、調査の結果が出ればできるだけの情報開示をしていただきたいと思います。それは、再発防止、それから、御協力いただいている、捜索に御協力いただいている地元の皆さんやいろんな方が、ここは御家族も含めていろんな思いで今の状況を見ておられると思いますので、そこのところは、どうか大臣、よろしくお願いします。じゃ、もう大臣、よろしいです、結構です。ああ、どうぞ。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今委員から御指摘のあったとおりだと思います。  我々とすれば、今解析を行った後に出てくるものに関してはできるだけ提出をしていきたいというふうに思いますし、また今後とも、御指摘のように、民間の皆さん方に対しての思いをしっかりと受け止めてやっていきたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 大臣、よろしくお願いします。  大臣、もしあれならもう退席いただいても結構です、座っていなきゃいけないんだったらあれですけど。座っていなきゃいけないの。ああ、そうなんだ。じゃ、お願いします。済みません。  じゃ、サミットについて。  外務大臣、本当に御苦労さまでした。これはもう堀井委員と私は同じ思いでございまして、大変な御努力による成果があったのだというふうに思っております。外務省も大変だったと思いますし、各省庁もそれぞれのコミュニケの作成、さらには、先ほどお話がありましたロジ、警察、公共団体、民間も含めて大変だったと思いますので、本当に心から敬意を申し上げたいと思います。  私は、ムスコカ・サミットとドービル・サミットに官房副長官として同行しまして、日本国内のマルチの会議でいうと横浜のAPECがありましたものですから、その三回を副長官として対応したので、どれほどの外務省や官邸や警察が動いていただいていたかは、少なからず、何というか、自分の経験で理解をしているつもりなので、こういった状況のときに、野党だからといって一方的に批判するのが合理的なものだというふうに私は思っていませんので、ここは本当に御苦労を皆さんがされたというふうに思います。  特に、私の印象的に言えば、G7は、これまで、中国がいないと意味がないんじゃないかという議論はこの十年ぐらいずうっとあって、富裕国クラブだと言われ、影響力は落ちていると言われ、存在感がないと言われていました。当時、EUは、中国に対する根拠のない楽観論が結構ありまして、何で日本はそんなに中国のことを言うんだみたいなことをよく言われた記憶があります。  しかし、今回のG7は、幾つかのポイントがあったと思いますが、やはりゼレンスキー大統領が対面で来日をされた、これはやはりウクライナの戦争の真っ最中だったということもあって、国際社会が注目をしていただいた。加えて、ロシアの核の、戦術核の使用の、何というかな、におわすようなことが何度もあって、その核の脅威が世界にさらされている中で広島で行われたと。このサミットが岸田総理大臣の選挙区である広島で行われたということも、それは何かの歴史の私は因縁であり流れだというふうに思っておりまして、その二つの面においても非常に意義があったと思います。もちろん、コミュニケの中身で不満なところはあります。広島ビジョンに関しても不満なところはありますが、全体としては、私は非常に日本の貢献は大きかったというふうに思います。  また、これは私なりの思いですが、お答えいただければと思いますが、ゼレンスキー大統領が自ら日本に来たいということを要請をされたと報道で知りました。ということは、今回、招待国の中のインドやブラジル等は、このロシアに対してのポジションはG7と全部一緒かというと違います。その中で、ゼレンスキー大統領と席を同じくして語り合うというのは、本当にインドやブラジルや招待国もそれなりの意思決定を各国がしていただいた結果だと思いますが、そのことは、外務省が恐らく相当根回しをして、ゼレンスキー大統領が来るけど予定どおり日本に来てもらえるかという話も含めて実際にこのことが成立したんだというふうに思いますので、私のあくまでも想像ですけど、後ろでいかに本当に外務省のメンバーや日本政府のスタッフが頑張ってくれたかということは容易に想像が付きます。  また、バイデン大統領の訪日についても、私はずっと実は邪推をしていまして、正しいかどうか分かりませんが、債務の問題もアメリカ大変だと思いますが、やっぱり広島で各国の首脳がバイデン大統領と資料館に入るというのは、アメリカの国内はいろんな声があって私はしかるべきだと思います。そこでブレーキが掛かっているのかなという邪推も私はしていた中で、バイデン大統領が広島に来られて、各国首脳と資料館に入ってあの状況を見ていただいたということも、非常に僕は、核軍縮を目指すということでいえばメッセージ性はあったと思います。  ただ、具体的なことはなかなか前に出にくかったこともあるし、それから、核禁条約について何らかの言及ぐらいはしてほしかったなとは思いますが、それがなかったことは残念ですし、広島の被爆者の方々に若干失望が広がったことも僕は理解をしていますが、そこは本当に政治的なぎりぎりのところだったのではないかなというふうに私なりには想像しているところでございます。  これから、やっぱり見ていただいたというのはすごくでかくて、やっぱりあの資料館に行けばみんな言葉を失います。それを各国の首脳が見ていただいた上でやっぱりロシアに核兵器の使用をやめろという自制を働きかけるというのは、一定の僕は効果があったというふうに思っておりまして、そのことについても敬意を表したいと思います。  これもあながち、済みません、私がこんな昔話をするといけないんですが、安倍総理のときに、オバマ大統領が初めて広島に行っていただきました。あれもすごく歴史的だったんですが、実は、我々のときに、初めて駐日のアメリカ大使が広島に行っていただきました。ルース大使に、アメリカに、行っていただけるように実は交渉、私もさせていただきました。それがオバマ大統領につながり、そしてこのサミットにも、バイデン大統領が来日していただけるということも含めて、広島に行っていただいたと。  やっぱり、外交というのは一つの流れと。そしてやっぱり、ある意味でいうと、核や広島の皆さん、長崎の皆さんの声を届けるというやっぱり日本の役割を果たしていくということがあるので、ちょっと話してばかりで恐縮なんですが、本当に心から敬意を表したいと思います。  ゼレンスキー大統領が来る来ないの、ブラジルやインドの交渉も含めて、どんな状況があったのか、林大臣、言えないと思いますが、一応お伺いしておきます。 ○国務大臣(林芳正君) ありがとうございます。  私から詳細になかなか申し上げにくいところを、委員から委員の御意見としておっしゃっていただいたと。委員も副長官としていろんなこういうイベントに携わっておられたということから深い御理解をいただいているというふうに思っておりまして、感謝を申し上げるところでございます。  このゼレンスキー大統領については、まさに自国で戦争をやっているさなかでございます。ウクライナ東部を始めとして、激しい戦闘が今でも継続している中で来られたということでございます。  このG7広島サミットで、当然、ウクライナ情勢、主要議題の一つになりますので、三月に岸田総理がウクライナを訪問した際に、ゼレンスキー大統領にG7サミットへのオンラインの参加を要請して、快諾を得たということでございました。その後、ゼレンスキー大統領から今次サミットへの対面参加に係る強い希望が表明されまして、日本政府として、サミット全体の議題、日程、こういうものを慎重に検討した結果、ゼレンスキー大統領が訪日をされ、サミット最終日に対面で参加することになったわけでございます。G7諸国や招待国とは事前に調整行ったということでございます。 ○福山哲郎君 恐らくそういうことだというふうに思います。ただ、本当に招待国が一緒にゼレンスキー大統領と席を同じくしたということは、これはやっぱりロシア、中国に対しても一定の僕は影響力が出てくると思いますので、そこは本当によかったと思います。  また、中国に対しても首脳コミュニケの中で具体的に言及をされました。これも私よかったと思っていますし、もちろん法の支配はもちろんそうなんですが、やっぱり僕大事だと思ったのは、中国に対して、ちゃんと中国の核心的な利益についてG7はある程度理解をしていると、一つの中国については理解をしているというメッセージを明確にされたということだと思います。その上で、力による現状変更は許さないというメッセージを強く出されたと。  中国はすぐにこのことについて、コミュニケに抗議をされましたけれども、それは、それだけ僕は国際社会において効果があると思うから中国はすぐ反応したと思っておりまして、こういったことのやり取りの中で次への一歩が行くだろうなと思っております。  外務省に聞きたいんですが、この首脳コミュニケというのはどういった政治的なステータスになるのか、お答えいただけますか。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  G7首脳コミュニケと申しますのは、首脳レベルの政治的な意図表明文書でございまして、法的拘束力はございません。また、内容面見ますと、日本だけではなくて、G7各首脳の了承を得て採択、発出されたものでございますので、G7メンバーの共通の立場あるいは方針、意思、こういったものを示す文書と理解しております。 ○福山哲郎君 法的拘束力はないにしても、G7全体として世界がこういう状況を望むんだということについてのメッセージだと思っております。  だから、なかなか調整もそれぞれの各国の事情があるので大変なのは分かるんですが、今までは評価していたんですが、残念だった部分でいえば、例えばやっぱり人権の問題、LGBTQの問題は明確に差別をしないとここには書かれていますが、日本は国内問題としてまだ法律もできていません。  そして、このコミュニケの中ではいわゆる性自認という言葉が使われているんですが、自民党の理解増進法では性自認を性同一に変えてきています。つまり、政府が国際社会として約束というか、方向性として確認したことと、実は与党の自民党が理解増進で出てきた性同一というのは異なります。そして、英語は多分同じ言葉なので、それを外務省は、首相の方向性、岸田さんが、岸田総理が議長の中では性自認ということを言われているのに、自民党はそこを修正をしてこの国会に法案を出してきています。こういったずれは、国内政治とのずれについては、それぞれ各国持っているとはいいながら、人権のことについて非常に残念に思います。  また、難民の問題も、難民の救済についてこのコミュニケ、相当具体的に書かれているんですが、今の難民についても国内ではいろんな意見があり、ウィシュマさんの死亡事案も含めて、ここについても若干国内政治とのずれがあることについても非常に遺憾に思っています。  そんな中で、少し言いにくいんですけれども、そのLGBTに対して何回かコメントを出されているエマニュエル駐日米国大使に、自民党の議員が、何か日本に米国大使の立場を利用し作用させたいと思うのであれば我々は即刻帰国させるための行動を取るみたいなものをSNS上で発信をしたり、前回は林大臣と国会の中で議論をされています。それも内政干渉という言葉で議論をされています。  私は、エマニュエル大使は、人権というある意味でいうと普遍的な価値について議論をされているというふうに思っているので、そこのところを、一議員、それも与党の議員が即刻帰国させるための行動を取ると言うのは余りにもちょっと言い過ぎじゃないかなと。ましてや、このサミットでバイデン大統領は、先ほど私が申し上げましたけど、いろんなことを乗り越えた上で来ておられるわけで、まあ野党の議員が言うんなら分かるんですが、与党の議員がこういうことをSNSで発したり国会の中で議論をしたりするのはいかがかと思っておりまして、これは、林大臣、やっぱり自民党内も含めて注意喚起をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 五月二十二日の参議院決算委員会において、その今御指摘の御議論がございました。私からは、内政干渉という用語、これは必ずしも一義的ではなく、何が内政干渉に当たるか否かを一概に述べることは困難であるというふうに答えております。  いずれにしても、政府としては、多様性が尊重されて、全ての方々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて、引き続き様々な声を受け止めまして取り組んでまいりたいと思っております。  外務大臣としては、今申し上げたような我が国の立場、これを米国を含む国の内外に対してしっかり説明していきたいと考えております。 ○福山哲郎君 ですから、外務大臣の立場で言われていること若しくはコミュニケに合意をして発表したことと、国内の与党の議論が明確に違うということについてはいかがなものかなと私は思っていますし、自民党の議員は、明確にLGBTの方々に理解増進法の中では義務や権利を付与するものではないということも言われています。コミュニケは明確に差別をするなと、保護しろと言っているわけですから、そこもギャップがあるわけです。  そして、この性自認、性同一の問題についてもやはりすごくギャップがありまして、ここはやっぱり国際社会にこういう方向だと、日本政府が、岸田総理が議長でやられたにもかかわらず、与党がこういった形である意味でいうと議論をしていることについて私は非常に違和感があると言わざるを得ないので、ここで、自民党内ですから、党内のことだと大臣言われるかもしれませんが、そこは自民党として、また官邸として何らかの形のお力をいただければなというふうに思いますが、もし答弁あればお願いします。 ○国務大臣(林芳正君) 先ほども申し上げましたが、我が国の立場、申し上げたとおりでございますので、米国を含む国の内外に対してこれをしっかりと説明してまいりたいというふうに思っております。 ○福山哲郎君 先ほど申し上げましたように、難民の件も同様の問題意識がありますので、そこもお伝えをしておきたいと思います。  もう一点、今、いわゆる生成AIの問題について、チャットGPTの問題、いろんな議論が出ておりますが、今回のコミュニケにおいても、時代に先駆けて、G7のコミュニケで、首脳コミュニケでこのことについて議論をされたことは私は非常によかったと思っているんですが、具体的なことはまだ何もコミュニケの中には書かれていません。  広島AIプロセスかな、か何かを秋口に立ち上げてというような話が出ているわけですけど、具体的なイメージ、どういう仕掛けでやろうと思われているのか、もし今の中で腹案というか何らかの案があればお知らせいただければと思います。 ○国務大臣(林芳正君) このG7広島サミットにおいては、デジタル技術の急速な発展、これが経済、社会に大きな影響をもたらす中で、生成AIを含む新興技術に関してG7の価値に沿ったガバナンスの必要性、これについて一致を見たところでございます。特に、今委員からお話がありましたように、生成AIについては、広島AIプロセスということで、担当閣僚の下で速やかに議論をさせて本年中に結果報告させると、こういうところになったところでございます。  この広島AIプロセスにおける生成AIに関する議論がこのコミュニケにおいてはこう書かれていまして、ガバナンス、著作権を含む知的財産権の保護、透明性の促進、偽情報を含む外国からの情報操作への対応、これら技術の責任ある活用といったテーマを含み得るという旨明記をいたしました。この広島AIプロセスを通じて議論される具体的な内容については、首脳コミュニケで合意した内容を踏まえながら、AIを所管する関係省庁で協力して、G7各国との間で今後検討されることになります。  議長国として、生成AIに関する議論を主導すべく取り組んでまいりたいと思っております。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。こういったことはこれから具体的なものが出てくると思いますが、是非こういったものは早く具体化するようにとお願いしたいと思います。  もう時間が来たので終わりますが、首脳コミュニケの中には、具体性があるもの、それからまだまだ具体性がなくて言いっ放しのもの、濃淡いろいろあると思います。  しかし、具体的なプロセスに入れるものについては日本の主導でやっていただきたいと思いますし、申し上げなかったですけど、石炭火力などについて言えば、明らかに日本が後退した議論を主導したようなこともありますので、そういったことも含めて、これから、この首脳コミュニケとサミットの結果を踏まえ、我々も国内政策の議論に寄与していきたいと思いますので、本当に御苦労さまでした。ありがとうございます。 ○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  まず、先ほど福山先生からも質問ございましたが、四月六日に宮古島沖で起きた陸自ヘリ事故について、フライトレコーダーのデータ解析によって事故原因が、これ、先ほど福山先生はあえて触れなかったんだと思いますが、エンジントラブルである可能性が高まったという報道に接しました。今後、更にデータ解析され、機体の調査もされるとのことですので、しっかりと原因究明をしていただいて、再発防止策を講じていただきますよう、関係各位にお願いを申し上げます。  そして、いまだ不明となっている四名の隊員が一日も早く御家族の元に帰れますことを願うと同時に、亡くなられた隊員の御冥福を改めてお祈りを申し上げます。  それでは、質疑に入らせていただきます。  先ほども福山先生から、G7外相会合、そういう意味では、サミットも様々、官房副長官として御経験をされたというお話ありましたが、私の父も外務大臣を務めさせていただいたことがありましたが、私自身はまだ新米の国会議員ですので、新米の国会議員が父に向かって質問するような内容になるかと思いますが、是非とも聞いていただければと思います。  本当に林外務大臣におかれましては、軽井沢でのG7外相会合から広島サミットまで、外遊や国会対応ある中で本当にお疲れさまでございました。  G7広島サミットが閉幕した翌日の、先ほども五月二十二日の決算委員会についてありましたが、核軍縮に関して広島の三上えり議員からの質問に対して、今回のサミットは歴史的意義を有するものになったと考えているという趣旨の御答弁をされていました。岸田総理も、平和記念資料館を訪問した際に、歴史に残るG7サミットと記帳されています。  今回のG7サミットは、核軍縮の観点からどのような歴史的意義を有するのか、大臣に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 被爆地広島で開催をいたしました今回のサミットでは、G7首脳は、平和記念公園での献花、そして原爆死没者慰霊碑の広島市長による説明聴取、そして資料館訪問、被爆者との対話等を行ったところでございます。これによってG7首脳に被爆の実相に触れていただき、これを粛然と胸に刻む時を共有していただいたと考えております。このことは各々の首脳等が芳名録に記したメッセージにも表れているというふうに感じております。  その後の外交・安全保障のセッションで、平和記念公園訪問の印象が強く残る中でG7首脳の間で胸襟を開いた議論が行われまして、その成果として、核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書である核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン、これを発出をいたしました。  このように、被爆地を訪れて被爆者の声を聞き、被爆の実相、そして平和を願う人々の思いに直接触れたG7首脳が、G7広島首脳ビジョン、これを発出したこと、これが歴史的な意義を有するというふうに考えておるところでございます。  政府としては、このビジョン、これを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組、これを一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続、強化してまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 御丁寧な御答弁をありがとうございました。  広島という戦争被爆地でサミットが開催されたことは私も歴史的意義があると感じておりますが、核軍縮の取組、発信に関してやはり評価が分かれる部分もありましたので、今後、歴史がどういう判断をするか分かりませんが、評価は分かれるところがあるのかなという気がしております。  質問の流れから先に三番目の質問をさせていただきますが、先日の当委員会で、小西先生の質問に対して、NPT体制の維持強化が唯一の現実的な取組と林大臣が御答弁されています。  様々な取組がある中で、唯一と断定というか、限定をされた理由について御説明いただけたらと思います。 ○国務大臣(林芳正君) この核兵器不拡散条約、いわゆるNPTでございますが、これは、米国、ロシア、英国、フランス、中国の五か国を核兵器国とし、核兵器の保有を認めた上で、核兵器国の核軍縮に向けた交渉の義務、そしてそれ以外の非核兵器国については、核兵器を保有することとならないようにする不拡散の義務等定めておりまして、国際社会全体として核軍縮・不拡散を進めていく枠組みでございます。  そして、同条約には核兵器国と非核兵器国双方の百九十以上の国・地域が参加をする核軍縮・不拡散における国際社会の最も基本的な枠組みでありまして、国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石であると考えております。  今御指摘のあった私の発言は、こうしたNPTの意義や重要性を踏まえたものでございます。従来からの核軍縮をめぐる国際社会の分断に加えまして、ロシアの核兵器による威嚇、また北朝鮮の核・ミサイル開発等によって国際安全保障環境が一層厳しくなる中で、核兵器のない世界に向けた道のり、これ一層厳しさを増しております。  しかし、こうした中だからこそ、核兵器と、核兵器国と非核兵器国との双方が参加し、核兵器国による核軍縮交渉の義務を定めておりますNPTの維持強化、これがこれまで以上に重要になってくると考えます。今般の核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンにおきましても、核軍縮を追求するための基礎としてNPTは堅持されなければならないと、ここを記載をいたしました。  NPT維持、NPTの維持強化に向けて、G7首脳広島ビジョン、これを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組、これを一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続、強化してまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 おっしゃるとおり、NPT体制の強化、維持というのは重要なことだとは思う反面、唯一の戦争被爆国という特殊な立場を考えれば、核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加することも何ら矛盾しないのではないかと思いますが、この締約国会議第二回目が行われますが、それに参加するというような意向は、外務大臣、お持ちでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 核兵器禁止条約は核兵器のない世界への言わば出口と言える重要な条約でありますが、同条約には核兵器国が一か国も参加していないということでございます。我が国は、今お話がありましたように、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるということを努力していかなければならないと思っております。  核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン、これを強固なステップ台として、核兵器国の関与を得るべく努力を継続し、ヒロシマ・アクション・プランの実行を通じて、現実的で実践的な取組を継続、強化してまいりたいと考えております。 ○羽田次郎君 この件はいろいろ、様々、たくさんの議員から質問があっても多分お答えは変わらないということかもしれませんが、今後も、いずれにしましても核軍縮の取組というのを引き続き行っていただければと思います。  二つ目の質問事項に戻りますが、日米外相会談では、これまでTPPに関する議論が度々行われておりまして、外務省ウェブサイトでも簡潔に紹介されています。  今回のサミットに合わせて行われた五月十九日の日米外相会談では、林大臣がCPTPPについて我が国の考えと取組を伝えたと記載されています。過去には、米国のTPP復帰を促しているという趣旨の発表もされていますが、例えば昨年十一月四日の日米外相会談では、林大臣から、戦略的観点を踏まえ、米国の早期TPP復帰を促したとの記載があります。  TPP復帰に関する米国への働きかけについて、日本側の方針自体が変わったということがあるのでしょうか。その点について林大臣に伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 今御指摘のありました日米外相会談の内容に関しましては、外交上のやり取りでございまして、その詳細はお答えすることは差し控えますが、我が国としては、米国によるインド太平洋地域の国際秩序への関与という戦略的観点から米国のTPP復帰が望ましいと考えておりまして、その我が国の立場に変更はないわけでございます。  私からも、そのような立場を踏まえて、個々の会談での、伝え方は様々でありますけれども、ブリンケン長官に加えてレモンド商務長官、タイ通商代表、さらには米国の上下両院議員や有識者との面会の機会等を活用して累次働きかけを行ってきております。  引き続き、様々なレベルで、米国に対してTPP復帰、これ粘り強く働きかけていきたいと考えております。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  元々、多くの反対がある中でも米国に押し切られるような形で加盟した枠組みですので、大国に対してまたこうした枠組みをもって交渉することが日本にとっても有利な展開になると思いますので、米国は復帰して当然というような立場で是非ともしっかりとした働きかけを引き続きお願いいたします。  戦時下のウクライナ・ゼレンスキー大統領がG7に出席されたことは、私も大変驚きました。自国への更なる支援を取り付ける絶好の機会だと捉えられて訪日を決断されたのだと思いますが、まさにそのとおりになったという印象です。  そこで、新たに発表されたウクライナへの装備品等の提供について伺います。  今回提供することとなった自衛隊車両、非常用糧食については、これまでのウクライナへの装備品等の提供と同様に、自衛隊法第百十六条の三、開発途上地域の政府に対する不用装備品等の譲渡に係る財政法の特例に基づいて提供されたということなのかということの確認と、あと、今回提供することとされた自衛隊車両は防衛装備移転三原則上の防衛装備に該当するものなのか、御説明をお願いいたします。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  今般、防衛省が発表いたしました自衛隊車両及び非常用糧食のウクライナへの提供につきましては、これまで提供してきた装備品等と同様、自衛隊法第百十六条の三の規定に基づき実施するものでございます。  また、今回提供する自衛隊車両は、いずれも隊員が携行する小銃を立てかけるためのいわゆるライフルホルダー等が装備されている点で自衛隊専用の設計が施されていることから、防衛装備移転三原則上の防衛装備というものに該当するものでございます。  他方、今回提供する車両に装備されておりますライフルホルダー等につきましては、いわゆる火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等ではなく、自衛隊法上の武器に当たるものではございません。 ○羽田次郎君 この自衛隊法第百十六条の三の、この不用装備品等の譲渡というふうになっているんですけど、これ、不用なものをという意味なのでしょうか。そちらをお願いします。 ○政府参考人(土本英樹君) 委員御指摘の自衛隊法第百十六条の三の不用という観点でございますが、今般の車両に即して申し上げれば、今般ウクライナに提供する自衛隊車両は、陸上自衛隊での任務への供用が終了した車両というものを提供するものでございまして、現在運用している自衛隊車両を提供するものではございません。 ○羽田次郎君 ありがとうございます。  五月二十一日付けの防衛省発表によりますと、合計百台規模で、五百トン、五百トンじゃないな、二分の一トンのトラック、高機動車、資材運搬車といった自衛隊車両を提供するとされていますが、百台規模の車両を提供して自衛隊の運用に支障がないのでしょうか。それぞれのこの車の保有数量を示した上で御説明いただけたらと思います。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、今般ウクライナに提供する自衛隊車両は、先ほど御答弁申し上げましたように、現在運用している自衛隊車両を提供するものではないことから、我が国の防衛所要に影響を及ぼすものではございません。  委員御指摘の保有量の観点でございますが、自衛隊におきましては、令和五年三月末時点で、二分の一トントラックにつきましては約六千八百台、高機動車につきましては約二千五百台、資材運搬車につきましては約五百台をそれぞれ保有しているところでございます。 ○羽田次郎君 これまでウクライナに提供してきた防衛装備品については、自衛隊機、米軍機、民間機で輸送されてきたものと承知しておりますが、今回新たに提供することとされた自衛隊車両及び非常用糧食についてはどのような輸送手段を選択されるのか。また、この自衛隊機、米軍機、民間機による輸送に係る法令上の根拠についてもお示しください。 ○政府参考人(土本英樹君) まず、今回の提供に当たりましての輸送手段の点でございますが、民航機や民間船便を利用することを念頭に置いているところでございます。  続きまして、法的根拠の関係でございますが、まず、今般のウクライナ政府への自衛隊車両及び非常用糧食の提供につきましては、これまでと同様、防衛省設置法第四条第一項第三十二号、所掌事務に係る国際協力に関することに基づき提供を行いまして、また、自衛隊法第百十六条の三の規定によりまして無償で提供することとしております。  その上で、御指摘のこの車両や糧食の輸送につきましては、これまでと同様、防衛省設置法第四条第一項第十三号、所掌事務に係る装備品、船舶、航空機及び糧食その他の需品の調達、補給及び管理並びに役務の調達に関することとの規定に基づいて輸送を先ほどの手段により実施するものでございます。 ○羽田次郎君 御説明ありがとうございました。  三月のキーウ訪問の際に、岸田総理は、NATO信託基金を通じた非殺傷の装備品支援に三千万ドルを拠出されたと発表されました。  NATOの信託基金については拠出国が使途の指定を行うことができるとされていますが、日本政府として非殺傷の装備品に使途を限定しているその理由を御説明いただきたいのと、また、具体的にどのような装備品を供与することが想定されているのか、現在の調整状況について御説明をお願いします。 ○政府参考人(中込正志君) お答え申し上げます。  御指摘ありましたとおり、三月、岸田総理、ウクライナ訪問した際に、ゼレンスキー大統領に対し、NATOの信託基金を通じた殺傷性のない装備品支援、三千万ドルを拠出する旨を表明いたしました。  このNATOの信託基金でございますけれども、NATO側は、ウクライナのニーズを踏まえた殺傷性のない装備品の調達、搬送を実施するためのものであると説明しておりまして、そこに拠出するということでございますので、我が国からの拠出金も殺傷性のない装備品の供与のみに使用されるということになることでございます。  それから、対象となる装備品の具体的内容でございますけれども、今後、NATOと細部を調整した上で決定する考えでございます。  以上でございます。 ○羽田次郎君 今回の、そういう意味では、トラックですとか、そうした装備品の移転に関してはこの三千万ドルの中には含まれないということでしょうか。 ○政府参考人(中込正志君) そのとおりでございまして、先ほど防衛省さんの方から御説明ありましたとおり自衛隊法の規定によって提供されるものでございまして、NATOの信託基金によるものではございません。 ○羽田次郎君 与党内では、国連憲章違反の侵略を受けているウクライナのような国に対する殺傷兵器の提供も可能とするべきじゃないかという議論もあるんですが、政府として、自衛隊法の改正等は検討しているということはあるんでしょうか。 ○政府参考人(土本英樹君) 防衛装備移転三原則やその運用方針を始めとする制度の見直しに係る検討の具体的内容等につきましては、現在まさに検討中の段階にあることから、これはお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思いますが、防衛省といたしましては、引き続き、関係省庁とともにしっかり議論してまいる所存でございます。 ○羽田次郎君 検討はされているということで理解いたしました。  自衛隊の中央病院へウクライナ負傷兵二名の受入れということがあると思うんですが、この受入れ決定に至る経緯等を伺いたいのと、あと、今後も追加でウクライナ負傷兵を受け入れることがあるのかどうか、そうした政府の方針についても伺えたらと思います。 ○政府参考人(鈴木健彦君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊においては、ウクライナからの要請に基づき、本年六月中に、膝から下の足が切断されたいわゆる下腿切断の負傷兵を二名、自衛隊中央病院に受け入れ、リハビリを実施する予定としております。受入れ期間につきましては約一か月から二か月程度を想定しており、また費用については原則日本側の負担とすることとしております。  法令上の根拠といたしましては、自衛隊法第二十七条において、自衛隊病院は隊員その他政令で定める者の診療を行うとされており、当該規定を受けた自衛隊法施行令第四十六条等に基づき、自衛隊中央病院は自衛隊員以外の一般の方も受診を可能としており、今回のウクライナ負傷兵についても同じ枠組みで治療を行うものでございます。  決定に至る経緯の詳細につきましては、ウクライナ側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただきますが、今後の受入れに、防衛省・自衛隊といたしましては、今後もウクライナに対しまして支援をしていきたいと考えております。  なお、今後の予定につきましては、今回受け入れた事例を基に、改めて、引き続き受入れをするかどうかについて決定をさせていただきたいと考えております。 ○羽田次郎君 時間となりましたので、以上で終わります。  ありがとうございました。 ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  改めて、今回のG7広島サミット、私は、各国の首脳がこの広島に集っているというこの姿を見ただけで本当に胸に迫るものがありました。あのコミュニケの内容、いろいろこれから先も議論はしていくわけでありますけれども、改めて、このタイミングで重要な国々の首脳が広島という地に集ったということの意味、この重さというのは本当に歴史的なやはり出来事だったんだろうというふうに思っております。  特に、アメリカ、イギリス、フランスという核保有国、そして、NPTには加盟しておりませんけれども、インドも核を持っております。こういう核を持つ国の首脳が集った。また、インドネシアですとかブラジルですとか、今世紀をこれから牽引していくような新しい国々のリーダーも集った。そういう中で、広島に来ていただいたことというのは本当に大きいんだろうというふうに思っています。  こういう中で、ちょっと今日、是非、最初の一問ですね、お伺いしておきたいのが、今回のサミットに合わせて、実は海外のある意味方々に対しても政府として発信をされたというふうに思っております。  これ、日本で、ちょっと国内で話題になったのはタイム誌の方ですね。タイム誌の表紙に岸田総理の写真が使われて、そこの表紙の見出しが、平和主義だった日本が真の軍事力を志向するみたいな、そんな形のタイトルが載せられまして、中読んでみると、また何か、官邸に出る幽霊の話と掛けて一生懸命何かストーリーを作っていて、ちょっと何が言いたいのか分からない中身にはなっているんですけど、まあ表紙のことを言いたかったのかなということも含めて意図を感じるわけですが。  そちらではなくて、私、注目しましたのは、もう一つ、アメリカのフォーリン・アフェアーズ誌の方でありまして、こちらには、インタビューということではなくて岸田総理自らの御寄稿という形で記事が掲載をされたわけであります。ここでは、特にタイトルが目を引くものになっておりまして、「ザ・ニュー・ミーニング・オブ・ヒロシマ」、広島の新たな意味ということで題が付せられているわけであります。改めて、特に、今核の危機ということが実際に現実のものとなっているこの世界において広島に集う、それだけで大きな意味があるわけでありますが、またそのことも踏まえた当然サミットなわけでありますけれども、新たな意味を広島に付するということは、私は、一つ大きな総理の決意を示しているんだろうと思っております。  改めて、今回、このタイトルに込められた意味、そして、当然、内容も含めてなんですけれども、そこと併せて、現下のこの国際情勢の中で広島にG7のリーダーが集結したことの意義、このことについてまず外務省に確認をさせていただきたいと思います。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  まず、御指摘の寄稿のタイトルについてでございますが、このタイトルは、寄稿の内容を基にフォーリン・アフェアーズ誌の判断により決定されたものでございます。このため、恐縮ですが、政府としての立場からタイトルそのものについてコメントすることは差し控えさせていただきます。  その上で、広島サミットの意義についてのお尋ねでございますが、まず第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持、維持していくという強いメッセージを示すこと、それから第二に、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々との関与を深めること、この二点につきまして、当初の狙いどおりの成果を達成できたと考えておるところでございます。  また、これに加えまして、食料、エネルギー問題を含む世界経済、あるいは気候変動、開発、国際保健、AIなど、幅広いグローバルな課題についても議論を深め、今後の対話の方向性について確認できたことも意義深かったと考えております。  また、今次サミットを被爆地広島で開催することとした大きな目的、すなわち、各国首脳に被爆の実相に触れていただき、それを世界の隅々に向けて発信していただく、この点についても大きな成果が得られたと考えてございます。  それらも踏まえまして、また、今回、核軍縮に関する初めてのG7の首脳文書として、G7首脳広島ビジョン、これを発出いたしました。  これらを踏まえまして、引き続きヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していく、こういうことで、政府といたしまして、核兵器のない世界に向けて現実的で実践的な取組を継続、強化してまいりたいと考えておるところでございます。  以上に加えまして、ゼレンスキー大統領御自身に対面で出席をいただいて、招待国等の面々とも引き合わせたセッションを開催いたしました。まさにその場において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持などにつきまして認識の一致を得られたこと、これもまた大変大きな意義を持つものであったというふうに認識しておるところでございます。 ○平木大作君 タイトル自身はフォーリン・アフェアーズ誌の判断で付けられたものだということでありましたが、あの中の文章もですね、でも、やっぱり読んでみますと、これ、元の日本語がどういう言葉だったのかというのはあるんですけれども、この広島という開催地の選択が象徴するのは強力かつ意図的なものだという一文がありまして、やはりここに大きな意味を、私も編集者だったらやっぱりこういうタイトルを付けるのかなということも感じたわけであります。  今、政府の立場として、主にこのG7広島サミットの成果という角度からお答えをいただきましたが、この被爆地広島と、そして核の実相に世界の政治リーダーに触れていただくということの意味、まあそれは当然あるわけでありますけれども、そこをまた超えた新たな意味というのを恐らく総理は意図されたんだろうと思っております。  このテーマについては、総理自身が書かれたということもありますから、明日は予算委員会があるということもありますので、チャンスがあれば、是非これ、岸田総理とも直接確認をさせていただけたらなというふうに思っております。  次の質問なんですけれども、そうする中で、今回、一つ、やっぱり広島のサミットが決まったときに、そして大体こういうテーマですねというのが見えてきたときに、これはなかなか大変なサミットになるんだろうなというのは何となく思いました。要は、G7となると、基本的には、基本的な価値観を共有するグループでありますから、合意形成自体はテーマによってはそれほど難しくなくなるわけでありますけれども、一つは、今回対象が大分広がったということですね。そして、特にこのロシアがウクライナを侵略をしているというさなかにあって、ロシアですとかそういったところとのいわゆる向き合い方も違う国が当然参加をしてきているということがありました。  さらに、そこばかりではなくて、核兵器のない世界というテーマもあるわけでありますし、気候変動のような大きな問題もある。そして、最終盤になりまして、今度、ゼレンスキー大統領御自身が来日をされるということもあって、議論の中心がどっちに行っちゃうか分からない、そういう多分いろいろリスクも抱えた中で開かれた、そんなサミットだったんだろうと思っています。  注目すべきは、このサミットの一番最初のセッション、これ、最初のセッションは分断と対立ではなく協調の国際社会の実現ということを確認を実はしていただいていまして、この最初のワーキングランチでこのことをある意味でサミット全体を通じた大きなテーマとして提示をしていただいたということが、その後の議論がきちっと着地をしていく一つのフックになったんじゃないかなというふうに思っているわけであります。  改めて、この大きなテーマを掲げて議論をスタートした、このことについて林大臣にお伺いをしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) このG7広島サミットに向けては、まず第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守る、守り抜くこと、そして第二に、G7を超えた国際的なパートナーとの関与を強化する、この二つの視点を柱として、今日の国際社会が直面する諸課題への取組について検討を重ねてきたところでございます。  このサミットの開催に当たって、関係各国との議論や現下の国際情勢を踏まえて、今、G7として目指す社会像、これを国際社会に明確に打ち出すということ、そして首脳間での議論の方向性、それを定める観点から、まさに今委員からもおっしゃっていただきましたが、分断と対立ではなく協調の国際社会の実現、これを今回のサミット全体を通じての大きなテーマとして、会議の冒頭、まさに示すことにいたしたところでございます。その結果、サミットにおいては、G7とそれから招待国の間で、法の支配という原則の下に結束をして国際社会が直面する諸課題に共に取り組んでいくということを確認することができたわけでございます。  こうしたテーマを掲げたということがサミット全体として一貫性のある成果を得る上で有益であったというふうに考えておるところでございます。 ○平木大作君 そして、この協調の国際社会ということの一つの端的な例が、今回、中国との向き合い方というところにも、私、表れたんだろうというふうに思っております。  この委員会の中でも林大臣と、この特に難しい中国との関係について、かつて言っていたいわゆるカップリングなのかデカップリングなのかみたいなことが、ちょっと簡単に分けられるような時代じゃなくなったんじゃないかということを議論させていただいた記憶がありますが、今回も、このコミュニケの中には、デカップリングではなくてデリスキングだと、リスクの低減だということが方向性としてG7として示されたわけであります。  このことについて、例えば、サミットに先立って行われました五月十八日の日米首脳会談、それから翌十九日の日米外相会談、これ共に、地域情勢に関する意見交換の中では、中国と共通の課題については協力をしていくことの重要性を認識したと、こういうふうに発表を今されているわけであります。そして、G7の首脳コミュニケの中でも、中国に率直に関与し、我々の懸念を中国に直接表明することの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意があると、こう記載をされたわけであります。  改めて、これ、林大臣に、G7として今後中国とどう向き合っていくということを確認をしたのか、お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今、平木委員から御指摘のあったとおり、この先般の日米首脳会談及び外相会談では、岸田総理とバイデン大統領、そして私とブリンケン国務長官との間で、中国をめぐる諸課題への対応に当たって引き続き日米で緊密に連携していくということで一致をいたしまして、そして、今御指摘いただきましたように、中国と共通の課題については協力していくということの重要性、これを確認したところでございます。  また、G7広島サミットでは、中国について岸田総理から、我々共通の懸念、これを直接伝えて、国際社会の責任ある一員として行動を求めつつ、気候変動等のグローバルな課題や共通の関心分野については中国と協働し、対話を通じて建設的かつ安定的な関係を構築することが重要であるという旨を述べまして、G7として認識を共有をしたところでございます。  御指摘のあったように、G7首脳コミュニケでも、G7として中国と率直に関与し、また懸念を直接表明することの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意があるという旨確認したところでございます。  この成果を踏まえまして、引き続きG7各国間で緊密に連携してまいりたいと考えております。 ○平木大作君 ある意味何か事を荒立てないとかそういうことではなくて、昨日の予算委員会でもいろいろこういった議論されたようでありますけれども、率直に主張すべきことは主張しというところがあるわけであります。そして、なかなか、この中国が関わっていかなければ、例えば気候変動の問題も核の問題も一つ一つ前に進んでいかないわけでありますが、そこについて国際社会の一員としてきちっと責任を担わせる、このことをG7としても確認をしていただいたんだろうと思っております。  今日、議論に、各論には入っていきませんけれども、例えば、今回のG7サミットを通じて、この核なき世界、核兵器のない世界というテーマについても、当然、ロシアというのがまず最初には来るわけですね。使わせてはいけないということ、そして、今ある枠組みの中で、この新STARTの履行ということをしっかりG7として求めていくということを言ったわけでありますが。  対中国というところに関しましては、そもそも今、核兵器、いまだに中国はどちらかというと増やしながら、もしかすると本年中に世界の核弾頭の数が増加に転じてしまうという瀬戸際にあるわけでありますけれども、じゃ、この核軍縮の枠組み、中国は一体何に参画をしているのかというと基本的には入っていないわけでありまして、一からある意味この中国と核軍縮の枠組みどうつくっていくのか、このことをG7として今問われているんだと思っておりますし、何よりも、G7唯一、アジアで唯一の参加国の日本が、結局のところ、このG7として合意したことのフロントに立ってこれから中国に働きかけていかなければいけない、大変な重責だと思いますけれども、林大臣のリーダーシップを御期待したいと思います。  残りもうちょっとになってしまいましたが、一問、最後に追加しておきたいと思います。  先ほども少しありましたが、今回、生成AIということの急速な普及を受けて、広島AIプロセスを年内に創設をするということも決まったわけであります。ここについては、AIの活用、日本はどちらかというと積極的かなとかよく言われたり、欧米は消極的、規制側に早くも議論が回っているということも言われたりするわけでありますが、これ、G7サミット参加国の中でどのような共通の課題ということが認識をされた上で今後の検討ということが決まったのか、御説明をいただきたいと思います。 ○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、生成AIについては各国に様々な考え方がございますが、今回のサミットにおきましては、デジタル技術の急速な発展が経済や社会に大きな影響をもたらしております。こうした中、生成AIを含む新興技術に関してはG7の価値に沿ったガバナンスが必要だと、こういう認識でまず一致が見られたところでございます。特に、生成AIにつきましては、広島AIプロセスとして担当閣僚の下で速やかに議論させ、本年中に結果を報告させると、こういうこととなったところでございます。  この広島AIプロセスの議論で何を議論するかということでございますが、首脳コミュニケにおきましては、この議論が、今申し上げたガバナンス、それから著作権を含む知的財産権の保護、透明性の促進、偽情報を含む外国からの情報操作への対応、これらの技術の責任ある活用、こういったテーマを含み得るという趣旨が明記されておるところでございます。  したがいまして、今後、広島AIプロセスを通じて議論される具体的な内容については、今申し上げたコミュニケで合意された内容、これを踏まえつつ、AIを所管する関係省庁で協力して、G7各国と今後調整、検討してまいる所存でございます。議長国として議論を主導すべく取り組んでまいる所存でございます。 ○平木大作君 いろいろ議論したかったんですが、時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。 ○金子道仁君 おはようございます。日本維新の会、金子道仁です。  前回に引き続いて、G7サミットについてお伺いしたいと思います。  今回のサミット、様々なハイライトがあったと思います。各委員からもそのような様々なポイントからの指摘がありましたが、先ほど羽田委員からも御質問がありました。今回の、日本政府がウクライナに対して自衛隊車両を百台規模で供与することを表明した、これも一つのハイライトだったと思いますが、今回の供与に至る経緯についてお聞かせください。 ○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  ロシアによるウクライナへの侵略は国際秩序の根幹を脅かすものであり、断じて認められません。我が国としましても、平和秩序を守り抜くため、国際社会と結束し、断固たる決意で対応してきております。  防衛省・自衛隊は、これまで、自衛隊法に基づき、防衛装備移転三原則の下、昨年三月以降、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣を始めとする装備品等をウクライナ政府に提供してきています。その上で、今般、ウクライナ政府からの要請を踏まえ、二分の一トントラックを始めとする自衛隊車両を約百台規模で新たに提供することとし、また、非常用糧食につきまして約三万食分を追加で提供することといたしました。  防衛省・自衛隊といたしましては、ウクライナに寄り添い、引き続きできる限りの支援を行っていく考えでございます。 ○金子道仁君 この百台の自衛隊車両の提供について経緯をお伺いしたかったんですけれども、私が確認したところによりますと、今年の三月上旬にウクライナの防衛副大臣が来日した、その際に、副大臣が直接防衛省を訪問した際に車両の提供を申し入れたと。なぜそんなことを言ったかというと、我が党がその時期ちょうど、猪瀬直樹議員を中心にウクライナ大使館と調整をして、三月二十一日にピックアップトラックを二十台、コンテナに載せて送ったんですけれども、そのやり取りをしていたので、ウクライナ側が、あっ、トラックを日本から送ってくれるんだったら、自衛隊からもっと大規模なのを送ってくれないかという申入れがあって、それがきっかけになって進んでいった、そのように聞いております。  我が党の草の根の小さな取組、二十台必死になって集めて、秘書団が名古屋から全員車を走らせて何とか千葉に持っていったという、本当にべたなこの支援なんですけれども、そんな小さな取組が呼び水になって今回のような大きな協力関係に至ったんであれば、すごい、私たちにとっても喜びでございます。  このようにして市民社会が草の根でこつこつとやるこの支援がオファー型の支援につながっていく、こういう事例が私たちの周りでもできるわけですけれども、こういう働きを広げていくためにも、是非、対ウクライナ、若しくはウクライナに限らず、市民社会による草の根の支援を拡充していく、JPF経由の支援の増額を検討していただきたいと思います。大臣の見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) このNGOを通じた支援、これは、草の根レベルで現地のニーズにきめ細かく対応することができますほか、日本の顔が見えるという支援という観点からも大変重要であると考えております。  こうしたNGOを通じた支援のメリットを生かしたジャパン・プラットフォーム、JPF経由のウクライナ及び周辺国支援の実績、これは令和三年度及び令和四年度分で合計約四十一億円になります。令和五年度のJPF全体の当初計画総額三十億のうちウクライナ及び周辺国分は約七・二億円であり、これは今年度のJPFの当初計画の約二四%を占めておりまして、JPFの人道支援計画の中でも最大の割合となっております。  引き続き、JPFを始めとする日本のNGOと緊密に連携しながら、現地のニーズ、これを的確に把握しつつ、ウクライナに寄り添った支援、着実に実施していきたいと考えております。 ○金子道仁君 我々、今回は身を切る改革で集めた二億円のうち一・五億円を使ってトラックを入れたと。これが全国会議員だったら、きっともうあと桁が二つぐらい大きくなるからいいんじゃないかななんて考えておりますので、是非皆さんも御検討ください。  サミットのコミュニケについて配付資料を配らせていただきました。その五十三のところに北朝鮮に関しての言及部分がございます。昨日も御質問しましたが、下線部分のみ拝読しますと、我々は、北朝鮮に対し、人権を尊重し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決するよう求めると、このようなコミュニケが出されております。  昨日細かく質問できませんでしたが、この国際人道機関によるアクセスを容易にしの部分ですが、具体的にはどのような国際人道機関のアクセスを想定しておられるのか、またどのように改善していくのか、御見解をお聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 先日のG7広島サミットにおきましては、G7首脳との間で、核・ミサイル問題、拉致問題を含む北朝鮮への対応におきまして、引き続き緊密に連携するということを確認するとともに、今お触れになっていただきましたが、北朝鮮に対して、人権を尊重し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決するよう求めるG7広島首脳コミュニケが発出されたところでございます。  このコミュニケで言及されております国際人道機関とは特定の機関を想定したものではございませんが、一般論として申し上げますと、北朝鮮に関する国連安保理決議では、制裁委員会が必要であると決定する場合は、個別の案件に応じて、安保理決議上の措置から、人道支援を含め、いかなる活動も除外できると、こういう旨規定されておりまして、例えば、これまでに、国連児童基金、ユニセフ、それから国連世界食糧計画、WFP、世界保健機関、WHOといった機関が制裁委員会に対して適用除外を申請し、承認されたということでございます。  その上で、これらの機関を含めて、国際人道機関の職員は、現状、北朝鮮へアクセスできていないというふうに承知しておりますが、今般のG7首脳コミュニケにおいて、北朝鮮に対して国際人道機関によるアクセスを容易にするように求めたというところでございます。 ○金子道仁君 まさにおっしゃるとおり、北朝鮮とのアクセスを今持っているところが本当に少なくなっているというのが問題点だと思いますので、是非、我が国としても、これを積極的に、このパイプをつくる努力を進めていただければと思います。外務省、よろしくお願いいたします。  グローバルサウスに関する御質問させていただきます。  今回のサミット、G7からG20へとスコープが広がったサミットではないかと思います。先ほども大臣が答弁されましたG20のグローバルサウスへのパートナーシップの強化というところが一つのポイントであったと。まさに、G7ではしっかりと共有されている法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これをいかにしてG20の世界に広げていくかが今後の大きな課題であると考えます。  先ほど、ごめんなさい、先日、火曜日も質問しました、インドのモディ首相とゼレンスキー大統領との首脳会談の後、モディ首相が、今回のウクライナ問題は人類の問題であると、それに対して、昨日の、前回の答弁では、人類の問題とは人間性や人間の価値に関する問題だとされたという発言をいただきました。これは、私、この言葉を聞くと、インドが、ウクライナ侵攻については非人道的な行為、これが問題であるということで、国際人道法を重視するという、そのような姿勢を示したと理解しております。  九月にG20サミットが行われ、岸田総理ももう一度参加される予定、見込みと伺っておりますが、この際、国際人道法を含む法の支配に基づく国際秩序の維持のために、日本政府としてG20の今回の、今年の議長国であるインドとどのように連携していくのか、お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) インドは、法の支配を含む基本的価値や原則を共有する特別戦略的グローバルパートナーでございまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を含めて様々な分野で協力をしてきております。  G7広島サミットでは、インドを始めとする招待国との間でも、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持すること、また、力による一方的な現状変更は認めないということ等の点で認識の一致が得られました。  また、私も同席した日印首脳会談において、両首脳は、国際社会が直面する諸課題に、G7とそしてG20議長国同士で連携していくということを確認をしたところでございます。  このサミットにおけるこのような議論を踏まえて、九月に予定しているインドでのG20サミットも見据え、私とジャイシャンカル外相との間を含めて、G20議長国であるインドと引き続き緊密に連携していきたいと考えております。 ○金子道仁君 今回のサミットに限って言えば、インドとの間では比較的価値観の共有が進んだ、確認ができたかと思うんですが、来年のG20の議長国であるブラジルに関しては、少し疑問が、私自身疑問を持つような、そのような会見であったんじゃないかと思います。  火曜日の質問の中で、日伯首脳会談では、この法の支配に基づく国際秩序の堅持、強化に向けて協力していくことに一致が見られたという御答弁ありましたけれども、その後のルラ大統領の記者会見では、ロシアによる侵略行為が行われている、まだ行われている現時点での即時停戦を強調しているように見えるような発言があります。  これは、力による一方的な現状の変更を容認するような停戦につながるように理解できるんですが、これはブラジルとの間で本当にこの法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序についての一致が見られたのか、見られたと言えるその理由について明確にお聞かせいただきたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 今御指摘がありましたように、先日のブラジルとの外相会談と首脳会談におきまして、自由、民主主義といった基本的価値の重要性、これを再確認しつつ、力による支配ではなく法の支配こそが重要であり、法の支配に基づく国際秩序の維持及び強化に向け協力していくことが重要という認識で一致をいたしました。  また、今般のG7広島サミットでは、ルーラ大統領も参加したセッションにおきまして、主権、領土一体性の尊重といった国連憲章の原則を守るべきこと、それから対立は対話によって平和的に解決すること、力による一方的な現状変更の試みを許してはならないこと、そして法の支配に基づく国際秩序を守り抜くことといった点について参加国の間で一致を見たところでございます。  今御指摘のあった記者会見でございますが、ルーラ大統領は、現時点ではロシアもウクライナも対話を望んでいないとした上で、時間は掛かるかもしれないが平和実現のため努力したいとして、対話の必要性を改めて強調したというふうに承知をしております。  ブラジルは一貫してロシアによるウクライナの領土一体性の侵害、非難してきておりまして、ロシアのウクライナからの撤退等改めて求める趣旨の二月の国連総会決議に対しても賛成票を投じておるところでございます。  引き続き、今般の会談そしてG7広島サミットで一致した諸点、こうしたものを踏まえつつ、ブラジルと連携していきたいと考えております。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  G20とどのようにしてこの法の支配に基づく国際秩序の堅持、強化、この価値観を共有していくのか。やはり、彼らの考え方、そのようなものをしっかり理解した上で協力関係を広げていく必要が強いと思います。  中国、ロシアも同じようにして、今グローバルサウスへの働きかけを非常に強めていると理解しています。中国のアプローチというのは非常にユニークというか、西欧とは異なる価値観、政治システム、そんな中でも豊かさを実現できたというその経済発展モデルを提示することによってグローバルサウスの国々をまず引き付けると。  また、我々であれば戦後というスパンで見ますけれども、彼らは、十九世紀以降、例えばあへん戦争とか、その辺りから歴史を切り取るような形で、グローバルサウスと共通するような植民地支配、そういう搾取という共通の歴史認識、土台を基にして、西欧諸国の発言というのは価値観の押し付けだとか、他国への内政干渉だとか、世界情勢の操作、そういう言い方をして共感をしていく、仲間づくりをしていくような印象を持っています。  このような中国の対グローバルサウス外交に対して、我が国はどのような対グローバルサウス外交の方針を取ることが有効とお考えでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この法の支配、これは、特定の国、特定の地域の独占物ではなくて、脆弱な国にとってこそ法の支配が重要であると考えております。  国際社会における法の支配を促進するための基本原則を導き出す基盤となっておりますのは、一九七〇年の国際連合憲章に従った国家間の友好関係及び協力に関する国際法の諸原則宣言でございまして、これは途上国も含めた全ての国連加盟国による粘り強い対話により採択されたものでございます。  ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす中で、この法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化するには、グローバルサウスとも呼ばれる国々を始めとする国際パートナーを含む国際社会の幅広い支持と関与が改めて必要でございます。  こうした考えに基づいて、G7広島サミットでも、二十一日に、グローバルサウスを中心とする招待国首脳、そしてウクライナのゼレンスキー大統領の参加を得て開催をいたしましたセッションにおきまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くということなどについて見解の一致を見たところでございます。  引き続きこうした取組をしっかりと行っていくということ、そして、こうした広島サミットの成果を、この今回のサミットの招待国も多く参加する九月のG20ニューデリー・サミット、そして十二月の日・ASEAN特別サミット、こういうところにしっかりとつなげていきたいと思っております。 ○金子道仁君 是非、G20サミット、またASEANサミットへとつないでいただきたい、そのように思っております。  コミュニケが出た翌日五月二十一日、このコミュニケに対して中国外交部は抗議を行って、それに対して在中国の日本大使が対応されたと承知しておりますが、やり取りをお聞かせください。 ○政府参考人(實生泰介君) お答えいたします。  五月二十一日に中国側から、G7広島サミットについて中国側の主張に基づく申入れがございました。これに対し、G7議長国及び日本側の立場に基づきしかるべき、しかるべく反論及び説明を行ったところでございます。 ○金子道仁君 中国の外務省のホームページを拝見しますと、こういう主張を中国はしていると。G7は対立と冷戦思考に固執している。やっていることは、一般的な歴史の流れ、客観的事実、国際道徳に反していると。そして、日本は関係国とともに中国を中傷、攻撃し、中国の内政に暴力的に干渉しており、国際法の基本原則と中日の四つの政治文書の精神に違反し、中国の主権、安全、発展の利益を損なっている。そのことを強く不満に思い、断固として反対するという冒頭発言から、台湾について、香港、新疆、チベットについて、東シナ、南シナ海について言及が続いていく、そのような抗議文がホームページに掲載されております。  このような内容を見るときに、ちょっと順番が違いますけれども、今回のG7サミットの首脳コミュニケ、五十一と五十二ですが、昨年のエルマウ・サミットのコミュニケから新規追加の部分は、配付資料で下線をしたところで間違いないでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 細かいところのというのはございますけれども、大きなところで申し上げますと、今回のG7首脳コミュニケでは、まさに中国と率直に関与し、また懸念を直接表明することの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意がある旨を確認をした。これは、本年四月のG7外相コミュニケに続くものであって、G7首脳レベルの文書としては初めてでございます。  それから、中国との持続可能な経済関係にも言及しつつ、デカップリングや内向き志向ではなく、デリスキング及び多様化が経済的強靱性には必要であることなどに言及しました。  さらに、中国に対し、ウクライナとの直接対話などを通じて、国連憲章の原則及び目的に基づく包括的、公正かつ永続的な平和を支持することを促したということもございます。  こうした新たな点を含めまして、今回のG7首脳コミュニケの内容を踏まえて、引き続き、G7メンバーとの間で緊密に連携していくというのが今の我が国の立場でございます。 ○金子道仁君 済みません、細かいところは確かにちょっと違うかもしれませんが、この下線部分が今回追加されたということを見ると、例えば台湾であったら、一つの中国政策をちゃんと理解していますよとわざわざ今回追記している、中国に配慮しているような内容が書かれているわけですし、新疆、チベット、ウイグル、そういったところはもう従来からある。南シナ海、五十二もほぼほぼ前回からある。ということであれば、中国に対してオフェンシブな内容というのは前回からもあるわけですけれども、ちなみに、前回のエルマウ・サミットの首脳コミュニケに対して中国は抗議を行っているのでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 昨年のG7エルマウ・サミットの際には、中国側から中国側の主張に基づく申入れがございました。これに対して、我が国、G7メンバー国としての日本側の立場に基づき反論、説明を行ったところでございます。 ○金子道仁君 じゃ、昨年もあったということで、今回とその相違、レベルの違いとか内容の違いとかがあるんでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 内容につきましては、外交上のやり取りについてでありますので、詳細申し上げるということは差し控えたいと思いますけれども、今回、我が方で、大使が向こうの副部長との間でやり取りをやったということで、前回の例について申し上げますと、在京の中国大使館の参事官から我が方の局の審議官に、そして北京の方では、中国の外交部のアジア司、これは日本でいうと局に当たると思っていただいていいと思いますけれども、のその副司長から我が方大使館の公使に対してそうした申入れがあったということでございます。 ○金子道仁君 繰り返しになりますけれども、この今回の追加された内容というのは、比較的中国に対して配慮している内容のところが多いのではないか。例えば、最初の一ポツのところもそうですし、先ほど言及しました六ポツの一つの中国政策について言及しているところであったりとか、三ポツで、中国を害することを目的としておらず、経済発展も妨げようとしていない、こういったところがわざわざ追記されているにもかかわらず今回抗議がなされたということについて、中国の意図をどのように理解したらよいか、外務大臣として見解お聞かせください。 ○国務大臣(林芳正君) 中国側の主張、そしてその意図について説明する立場にはないわけでございますが、中国側の主張についてはしかるべく反論及び説明を行ってきております。  いずれにいたしましても、中国との間では、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含めて対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力する、この建設的かつ安定的な関係、この構築を双方の努力で進めていくということが我が国の一貫した方針でございます。 ○金子道仁君 時間が参りましたのでここまでにしたいと思いますが、是非、今対話を深めるということでおっしゃっていただきましたので、総理が韓国に訪問した際の日韓中のプロセス、これが今コロナで止まってしまっているかと思いますので、是非、中国、韓国も含めて、パイプの、チャンネルの拡大に向けて努力していただきたいと思います。  以上で質問終わります。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  今日はサミットについて大臣にお伺いしたいと思うんですが、前回、実りあるサミットだと評価いたしましたが、あえて今日は辛口の質問を少しさせていただきたいと思います。  一九四五年八月六日八時十五分に忌まわしい原爆が広島に投下をされ、今回その広島の地でサミットが行われた。大変意義のある、またメッセージ性の強いサミットとなったと思います。  総理のお膝元、御地元だから広島を選んだのではなくて、様々な政治的メッセージを含んでこの地を選んだと思うんですけれども、一つ私が残念なのは、せっかく広島を強調するのであるならば、同時に、その三日後の八月九日十一時〇二分に、ウラン型ではない、プルトニウム型の原爆を投下された長崎についても、私はセットで、その平和の尊さと忌まわしい原爆であったというアピールをするべきだったと思うんですけれども、広島、広島、広島、それは結構です、大事です。他方、加えて、広島と長崎は切っても切り離せないものだと思うんです。  なぜ、この長崎をもっとセットでアピールするということをなされなかったのか、外務大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) G7首脳は、平和記念公園での献花や、原爆死没者慰霊碑の広島市長による説明聴取、資料館訪問、被爆者との対話等を行いました。これによって、G7首脳には、被爆の実相に触れて、これを粛然と胸に刻む時を共有していただいたわけでございます。このことは、各々の首脳等が芳名録に記したメッセージにも表れていると感じております。  ちなみに、トルドー・カナダ首相でございますが、この芳名録には、多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します、こう書かれておられます。また、スナク英首相ですが、シェークスピアは悲しみを言葉に出せと説いております、この辺りはさすがイギリス人だなと思いますが、しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない、広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができないということをおっしゃっておられるところでございます。  そして、その後の外交・安全保障のセッションで、平和記念公園訪問の印象が強く残る中でG7首脳の間で胸襟を開いた議論が行われて、その成果として、核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書である核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを発出いたしました。  このビジョンですが、ここに、原爆投下の結果として広島及び長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難を長崎とともに想起させる広島と記載をいたしまして、核兵器使用の実相への理解を高め、持続をさせるために、他の指導者等に広島及び長崎を訪問するということを促しているところでございます。 ○榛葉賀津也君 大臣おっしゃるように、カナダを始め、幾つかの首脳が長崎に言及していただいた。大変有り難いことですし、当然、コミュニケの中にも長崎という文言が入る。私は、その形式ではなくて、政治的、心のメッセージとして、総理が広島と長崎をやっぱり同列に取り扱って、大きく言えば、この忌まわしい核兵器を全ての我々はこの地球上から廃絶したいと。その方法論や手段、現実はあるでしょう。そして、その小さくは、この局面でロシアに絶対に核を使わせないと。広島、長崎を見ろと、その意味がこのサミットにはあったはずでございます。  私は、総理から、もっと、広島御出身の総理だからこそ、長崎の県民の皆さんや長崎の原爆で拭い切れない苦しい歴史や体の痛みを感じた国民に寄り添ったメッセージを是非発していただきたかったなと思ったので、あえて質問させていただきました。  引き続き、我々は、広島と長崎に寄り添って、核の廃絶に努力をしなければならないと思います。  そして、もう一点、私が少し残念だったのが、拉致問題でございます。  G7広島サミットにおいて、拉致問題についてどんな踏み込んだ議論がなされたんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) この拉致問題の解決のためには、我が国自身の主体的な取組に加えまして、G7を始めとする国際社会と緊密に連携することも重要であります。  このG7広島サミットにおいては、G7首脳との間で、核・ミサイル問題、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き緊密に連携していくことを確認するとともに、拉致問題を即時に解決するよう求めるG7広島首脳コミュニケが発出をされました。  政府としては、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組み、果敢に行動してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 今日は金子委員が配付資料を出していただいて、ちょっとそれも参考にさせていただくと、この金子委員の配付資料の五十三パラですね、コミュニケの。拉致については一・半行だけです。一・五行しかこのコミュニケの中で拉致問題は出てまいりません。  本当にこの拉致問題が議論されたのならば様々なメディアでニュースになるはずですが、このサミット関係のニュースで拉致問題は、ニュースはたった一つです。それも、家族の会代表の横田拓也さんが御発言された、その一つの記事しか発見することができませんでした。  つまりは、それはペーパーには必ず書くでしょうよ。しかし、本当に踏み込んだ議論がされたというと、私は少し残念な気がします。  参議院拉致問題特別委員会で、公明党の竹内真二委員の質問に対し、大臣はこのように御答弁されています。G7外相会合でのこうした議論の成果を踏まえ、G7広島サミットにおいてもしっかりと拉致問題について議論してまいりたいと考えていますとあるんですけれども、どうも、岸田首相始め、各国の首脳とこの拉致問題を踏み込んだ議論をした形跡は、私は発見することができませんでした。  岸田内閣の最重要課題なんでしょう、拉致問題は。最重要課題という冠が付いたのは、そうそうないですよ。必ず総理は言います、官房長官も、岸田内閣の最重要課題が拉致問題だと。いや、この日本にとって最重要課題が拉致問題だと言い換えてもいいと思います。  ですから、我々は野党ですけれども、ブルーリボンを外さずにこの問題に取り組んでいるわけでございますけれども、自民党の拉致対策本部の山谷えり子本部長が、五月十六日、拉致問題をサミットの主要課題に取り上げて即時解決に向けたメッセージを発信してほしいと官房長官に求めています。これ受け取っているはずですから、これ、主要課題としてサミットで取り扱っていただいたんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) まさにこの拉致問題の解決のためには、我が国自身の主体的な取組に加えて、G7を始めとする国際社会と緊密に連携することが重要でございます。  まさに先ほど申し上げましたように、首脳との間で、この核・ミサイル問題、拉致問題含む北朝鮮への対応において、引き続き緊密に連携していくことを確認するとともに、まさに今お触れいただきましたが、この拉致問題を即時解決するように求めるG7広島首脳コミュニケ、先ほど御紹介いただきましたが、まさにここにも、拉致問題を即時解決するように求めるという文言が入ったわけでございます。  これに加えて、二国間会談でも、G7各国とのそれぞれの二国間首脳会談において、岸田総理は、拉致問題を含む北朝鮮への対応において引き続き緊密に連携していくことを確認をいたしたところでございます。  また、私自身、ブリンケン米国務長官、朴振韓国外交部長官との会談において、拉致問題の即時解決に向けた支持、これ改めて確認をしたところでございます。 ○榛葉賀津也君 今回のコミュニケ、もう一度読みます。我々は、北朝鮮に対し、人権を尊重し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決するように求める。  二〇一六年の伊勢志摩サミットのときのコミュニケはこういう文章です。我々は、北朝鮮の人権侵害に対して遺憾の意を表明するとともに、北朝鮮に対し、拉致問題を含む国際社会の懸念に直ちに対処するように強く求める。  このときよりも相当後退しているんですよ、文言が。私は、二段階後退していると言ってもいいと思う。何でこのような文言で、その伊勢志摩サミットよりも後退した文言になったんでしょうか。 ○政府参考人(實生泰介君) 議論の過程、文書作成の過程、それ自体についてつまびらかに申し上げるということは差し控えたいと思いますけれども、事前に、北朝鮮問題に取り組むことの重要性、それは人権問題、拉致問題含め、事務レベルでも調整をいたしましたし、そして、実際のサミットにおける議論も踏まえて、そうした調整の結果、このような、今回のサミットのコミュニケにおける該当する部分はそうした文言になったということでございます。 ○榛葉賀津也君 いや、伊勢志摩サミットより文言後退しちゃ駄目でしょう、メッセージ性が。皆さんプロだからもうよく分かっていると思うよ、素人の私が言わなくたって。  中国にはこう言っているんですね、今回のコミュニケで。チベットや新疆ウイグルにおけるものも含め、中国の人権状況について懸念を表明し続けると。むしろこっちの方が強いですよ。  時間がないんですね、家族の皆さんも当事者も。  そして、この問題は日本だけの問題ではないんです。北朝鮮が拉致したのは日本人だけではなくて、韓国、タイ、レバノン、ルーマニア、中国、オランダ、ヨルダン、マレーシア、シンガポール、そしてフランス、イタリアも拉致被害者がいるのではないかと、計十二か国の罪のない人間が北に拉致をされている。G7のメンバーでさえ被害に遭っているんですから、なぜここでしっかりと拉致問題を捉えなかったのか。横田めぐみさんや拉致の皆さんの写真置いたり、いろんなところで国内外に、拉致問題を忘れない、北朝鮮許さないというメッセージを発出する私は大きなチャンスだったと思います。  核軍縮に関する広島ビジョンが出ましたが、私は、拉致問題に対してこそこういう広島ビジョンのような拉致に関する広島ビジョンを発信をして、核軍縮も大事、しかし、それと同様に拉致問題許さないというメッセージを発出するべきだったと思いますが、拉致問題について、こういう広島ビジョン的なものを発出する計画というのは、アイデアというのはなかったんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) このG7広島サミットにおいては、G7首脳との間で、核・ミサイル問題、拉致問題を含む北朝鮮への対応、これにおいて、引き続き緊密に連携していくこと、これ確認するとともに、拉致問題を即時に解決するよう求めるG7広島首脳コミュニケ、先ほど来申し上げているように発出をされました。  拉致問題の解決のためには、まさに今委員がおっしゃったように、我が国自身の主体的な取組に加えて、国際社会による幅広い理解と協力が重要であり、G7広島サミットを通じて、拉致問題の即時解決に向けたメッセージ、これをしっかりと発出できたと考えております。  政府としては、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組み、果断に行動してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 林外務大臣が誰よりも真剣にこの拉致問題に取り組んでくださっていることは重々承知しております。拉致担当の官房長官共々、この問題、一日も早い、即時全員の帰国の解決のために御尽力賜りますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  G7サミットの首脳コミュニケには、難民の自由や人権についての記述があります。  外務大臣に伺います。  首脳間でどのような合意に至ったのでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) G7広島サミット首脳コミュニケにおきましては、難民保護、避難を強いられた人々や受入れ国及びコミュニティーの支援、難民及び避難民の人権や基本的自由の完全な尊重確保等へのコミットメント、これを再確認しております。また、二〇二三年十二月の第二回グローバル難民フォーラムに向けまして国際社会との協力を継続する旨言及するとともに、人権及び基本的自由への完全な尊重を確保し、国際協力の精神に基づき、難民に関するグローバルコンパクト並びに国内の政策、法制度及び状況に沿った形で難民の包摂を支援するというコミットメントを再確認しているところでございます。 ○山添拓君 人権に関わって、議長国としても当然重視すべき事柄であろうと思います。  外務省のホームページにも難民問題のページがあります。難民条約のほか、クルド難民についても記されております。  大臣は、クルド難民についてはどのような御認識でしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) クルド人は統一国家を持たない民族でありまして、トルコ、シリア、イラン、イラク等、複数の国にまたがる地域に居住しているほか、欧米を始め中東域外にも居住していると承知をしております。  こうしたクルド人の中には、かつて居住していた国等における紛争等の様々な理由から国外に逃れている方々がいらっしゃるというふうに承知をしております。 ○山添拓君 トルコ政府から政治的迫害を受け、国連の推計では、二〇一一年からの十年に世界で約五万人が難民として認定されました。日本では、埼玉県の川口市や蕨市など、二千人が住むとされております。  こうして、クルドを始め難民を認定する行政、難民認定は、難民に当たるか否かという事実認定であり、法務大臣が自由な裁量的な判断で決めるものではありません。迫害を受けるおそれを中心とする条約上の要件が備わっていれば難民認定しなければならないというものです。しかし、日本の難民認定行政は本当にそのような運用になってきたのか。日本が難民条約に加入したのは一九八一年です。  今日は、資料の二枚目以降、御用意しておりますが、一九八三年版の法務総合研究所研修教材、出入国管理及び難民認定法Ⅲの抜粋を配付しております。  法務省に伺います。  この研修教材は、誰を対象に作られ、どのように使われてきたものですか。 ○政府参考人(丸山秀治君) 御指摘の教材につきましては、入国管理局の職員向けの研修で教材として利用しておりました。 ○山添拓君 法務総合研究所は法務省の機関です。職員の研修を行う研修部の教官が作成したものとされます。  その資料②の四ページ、教材でいうと二十八ページを御覧ください。その六行目です。  法務大臣の難民認定は裁量行為ではなく、法務大臣は、申請者が難民の要件に該当する事実を具備すると認めたときは難民の認定をしなければならないのであると確かに記してあるんですね。  一方、すぐ後に、一応このように理解するとしてとし、続けてこうあります。ヨーロッパにおける難民問題には、その基本的な性格の一つとして、いわゆる東西対立の中での西側による東側向けの政治的な姿勢の表し方にこれが使われているという面があり、難民問題のこうした政治的性格というものは、我が国の場合でも例外ではなく、純粋に人道的な立場からのみこの問題に対応するのは難しい。  さらに、同じような客観的条件を具備する外国人A及びBがあり、双方から難民認定の申請があった場合に、Aは我が国にとって友好的な国の国民であり、Bは非友好国の国民であるとすれば、我が国としては、Bの難民認定は比較的自由に行えるとしても、Aの難民認定にはやや慎重にならざるを得ないということがあり得よう。こうした場合の現実的な対応としては、Aについては難民の要件に該当する事実を具備するとは認められないとして認定は拒否、Bについてはそうした事実があると認めて難民認定を行うといった処理の仕方になって表れる可能性が否定できない。したがって、若干微妙な要素を伴った問題なのだとここでは記しています。  入管庁は現在もこの考え方を維持しているのですか。 ○政府参考人(丸山秀治君) 御指摘の手続が記載されました研修教材は昭和五十八年に作成されたものであり、当時の研修職員と、職員研修において使用されていたものと考えております。  なお、研修教材は逐次内容を見直して改訂しており、現在の職員研修においては、当時とは内容が異なる最新の研修教材をしているところでございます。 ○山添拓君 その記述はいつ変わったんですか、今指摘した部分ですね。 ○政府参考人(丸山秀治君) その点につきましては、ちょっと私ども資料を今確認中でございまして定かなことは申し上げられないんですが、少なくとも申し上げられますのは、平成十四年の十一月の二十日、衆、参議院の法務委員会にこの件について御質疑をいただいておりまして、その時点におきまして、既にこの今御指摘ありました記載については訂正をしていると答弁しているところでございます。 ○山添拓君 今、訂正とおっしゃいました。つまり、当時のこの記述は誤りだったということですか。 ○政府参考人(丸山秀治君) 最初いただいた研修教材の記載ぶりはやはりちょっと誤解を、誤解を招くおそれがあるというふうに、認識で訂正されたというふうに理解しております。 ○山添拓君 記述が訂正される前のこの同じ文言の教材で研修を受けた入管職員、何人いらっしゃるでしょうか。 ○政府参考人(丸山秀治君) 先ほど申し上げましたとおり、いつ改訂されたかを、ちょっと確たる時点申し上げられませんですし、今そういう数字を持ち合わせておりません。 ○山添拓君 丸山部長が入省された当時も、この記述のある教材で研修されたんじゃありませんか。 ○政府参考人(丸山秀治君) 私が入省した頃、この教材は存在しておりましたけれども、ちょっと研修の内容でここをきちんと読んだかどうかって、済みません、古い話で申し上げられず、申し訳ございません。 ○山添拓君 だって、今部長をされているんですから、当時も恐らくきちんと研修を受けられたと思うんですよ。そのような認識の下に入管行政に当たってこられたわけでしょう。 ○政府参考人(丸山秀治君) 少なくとも、難民認定の業務に従事している間、先ほど御指摘ありました研修教材の認識で従事してきたことはございません。 ○山添拓君 では、何のための研修なんですか。誤解を招くような記載をしていたと先ほど答弁されました。誤解を招くような記述で職員を研修してきた、だけど研修を受けた職員たちはそうではない対応をしてきたんだと、こうおっしゃるのでしょうか。  記述を変更されたわけですから、いつかはまだ確認中だということですが、そうであれば、この変更前の教材で研修を受けた職員に対しては、これは誤りだったと、誤解を招くような記載だったと正しく研修し直す必要があると思うんですけれども、そういう研修をされた事実はありますか。 ○政府参考人(丸山秀治君) ちょっと突然のお尋ねでございまして、ちょっとその点は、確認、今、私自身はちょっと確たることを申し上げられません。申し訳ございません。 ○山添拓君 私は、丸山部長を始めとして、これまでこうした記述の下で研修を受けてきた入管庁の職員、現在の入管庁の職員の皆さんは、要するに、この難民認定というのは政治的な配慮によって難民認定の是非を判断し得るものだという認識でこられたんじゃないかと思うんですよ。しかし、人は認定によって難民になるのではありません。難民であるからこそ認定されるわけです。その事実が研修教材の中ではねじ曲げられてきたんじゃないかと思うんですね。  念のため外務省に伺いますが、日本にとって友好国かどうかでこの難民認定のさじ加減を変えるように法務省に求めるようなことをしているんですか。 ○政府参考人(石月英雄君) 難民認定は、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき難民と認定すべき者を個別に判断するとされていると承知しております。 ○山添拓君 つまり、外務省から、日本にとっての友好国かどうかによって認定の、そのするかしないかについて考慮せよと、そういう要求は当然してないですよね。 ○政府参考人(石月英雄君) 先ほど申し上げたとおり、難民認定につきましては、申請者ごとの申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき難民と認定すべき者を個別に判断されているというふうに承知しておりまして、委員御指摘のようなことはしていないと承知しております。 ○山添拓君 してないはずなのですよ。ところが、先ほど大臣が答弁いただいたクルド人などトルコ国籍者の難民認定率、これは世界では約四六%、二〇一八年の数字のようですが、ありましたが、日本では千人以上が申請されても過去認められたのは一人だけなんですね。これはクルド人をテロリストだとするトルコ政府への配慮なのかという疑念が在日クルド人や支援者から上げられております。  今申し上げた過去一件だけ認められたそのケースは、裁判で難民に不認定が違法と確定したのを受けてのものです。二〇一四年、トルコ当局による迫害の危険を逃れて来日し、二度にわたり難民申請を行ったものの認められず、一九年に提訴され、地裁では認められず、昨年五月の札幌高裁判決でようやく、帰国すれば迫害を受けるおそれがある客観的事情が存在するとして難民該当性が認められたものです。国は上告せず、判決が確定し、その後の七月、入管庁は難民認定いたしました。クルド人が勝訴した判決は三件目なのですが、過去二件は判決後に再び不認定とされたため、入管庁がクルド人を難民認定したのは初めてといいます。  法務省に伺いますが、クルド人を一切難民認定してこなかったのは適切ではありませんでしたね。 ○政府参考人(丸山秀治君) 難民認定業務を行うに当たりましては、関係法令及び通知、通達等に基づき業務を行っているところでございまして、難民認定申請がなされた場合は、申請者ごとに申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき難民と認定すべき者を適切に認定しており、難民認定に当たって特定の国に対して外交的配慮を行うことはございません。 ○山添拓君 札幌高裁の判決を受けて対応されたことはあるんですか。 ○政府参考人(丸山秀治君) 一般論で申し上げますけれども、個々の行政訴訟の結果を踏まえまして、難民該当性の判断に当たって留意すべき点がある事案については、当該判決の要旨を伝達などしていると、地方局に対して伝達などしているところでございます。 ○山添拓君 入管庁は保護すべきは適切に保護してきたとおっしゃっているわけですが、そうではないから裁判で違法とされるケースが相次いでいるわけです。ところが、今審議中の入管法改悪案にこの難民認定の在り方についての改善点はありません。  クルドだけではありません。日本の著しく低い難民認定率、つとに問題とされてきましたが、その背景に、難民認定は法務大臣が政治判断を含めて裁量的に行う、こういう発想があったんではないかと疑わざるを得ないと思うんです。  法務省にもう一点伺います。  入管という外国人の出入国管理と難民認定という外国人の保護とは時に対立するものです。だからこそ、野党の対案は、難民認定を切り離して、独立した第三者機関に担わせることとしております。  今日お配りしている資料の二枚目、この研修教材によれば、そうした独立の認定機関を新たに設置することは行財政事情から困難だとして、既存の入管庁に担当させるのが適当だと述べています。  今も同じ認識ですか。 ○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。  難民認定手続につきましては、その他の出入国在留管理行政上の様々な手続と密接に関連していることから、出入国在留管理庁において行うことが適当であると考えております。 ○山添拓君 最新の研修教材を見せていただいたんですけれども、ここの記載は同じなんですよ、行財政事情だと。つまり、政府の懐具合を理由にして、保護すべき難民を保護しない、国際人権水準を確保できないなどという事態がある。その言い訳はもう通用しないと思います。  最後に外務大臣に伺いますが、安保三文書の一つ、国家安全保障戦略は、「我が国を含む先進民主主義国は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を擁護し、共存共栄の国際社会の形成を主導してきた。」などと記しています。  ところが、その我が国の実態は、難民認定率でいえばG7で群を抜いて低いです。先進民主主義国と言えるんでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) G7の広島サミットでの首脳コミュニケについては先ほど申し上げたとおりでございます。  そして、そこにも書かれておりますように、この十二月に第二回グローバル難民フォーラムというのが開かれるわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、国際協力の精神に基づいて、難民に関するグローバルコンパクト並びに国内の政策、法制度及び状況に沿った形で難民の包摂を支援するというコミットメント再確認しておりますが、このコミットメントに沿ってしっかりと対応してまいりたいと思っております。 ○山添拓君 もう時間ですから終わりますが、自国の人権水準のことを聞いているわけです。我が国の人権水準です。これをつぶさに検証し、謙虚に受け止めようともせずに、普遍的価値の体現者であるかのように振る舞うのはやめるべきです。  入管法改悪案については反対、廃案にすべきだということも指摘し、質問を終わります。 ○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  林大臣、G7広島サミット、お疲れさまでした。多くの方々そういう形でねぎらって、まさに議長国として御苦労がいろいろあったかと思います。  先ほども山添委員の方からありましたけれども、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とG7サミットを開催するとおっしゃっていたわけですけれども、果たして普遍的な価値、共通の価値というのを持っているかということは、非常に同じように疑問を感じました。  私もずっと、法務委員会、あるいは、そして外務大臣にも防衛大臣にも総務大臣にも、法の支配というのはどういうものか聞いてまいりました。その中で、聞くと、法の支配が、どうなんだろうと、きちんと理解されているかというのは非常に疑問を感じました。  例えば、今ありました、山添議員からも、そして福山議員からもありましたけれども、法務委員会で審議されている入管法の改正案というのは、法の支配の内容とされる人権保障、憲法の最高法規性、司法権の重視、適正手続の保障のいずれにもかなっていません。G7の国々と普遍的価値を共有しているのは、我々野党が発議者であって、私もその一人ですけれども、この野党案と言わざるを得ません。  先ほどの山添委員の資料の一番最後に、G7の中で群を抜いて難民認定率が低いと、こういうのが際立っているわけです。それだけではなくて、報道の自由度も最下位、G7の中で。そして、ジェンダーギャップも最下位。同性婚を認めていないのは日本だけ。法律婚で同一姓を強制しているのも日本だけです。それで共通の価値を持っているというものは、ちょっと十分に言えることではないと思います。  さて、今度は、選択的夫婦別姓とジェンダー平等について、今の関連でお伺いしたいと思います。  四月十八日の参議院法務委員会で、選択的夫婦別姓を求められた齋藤法務大臣は、国民の理解が今すぐこう行くんだという形で十分に得られているとはちょっと感じられない状況などと、法改正に否定的な答弁をされました。法制審が議論を開始した経緯や五年を掛けて審議し答申したことを軽視するだけでなく、答申を受け、それを引き継ぐ立場にあることを踏まえない発言だと指摘しておきます。  そして、法務省は、この法制審が議論を開始した経緯、審議経過、国連機関からの要請がある、要請であることを大臣を始め広く理解してもらうためにこれまで以上に努力をすべきだと考えますが、これまでの経緯と今後の取組について伺いたいと思います。 ○政府参考人(松井信憲君) お答えを申し上げます。  まず、検討開始の経緯についてですが、平成八年に選択的夫婦別氏制度の導入に関する答申をした法制審議会の審議は、平成三年一月に開始されたものでございます。当時、政府において、昭和五十九年に国連において採択されたいわゆる女子差別撤廃条約を批准したことや、総理府の婦人問題企画推進本部に設置された婦人問題企画推進有識者会議において、男女平等の見地から婚姻及び離婚法制の見直しについて提言がされることが見込まれていたこと等を踏まえ、法務省における検討が開始されたものです。  法制審議会の審議の過程では、それまでの審議によって明らかとなった問題点とこれに対する意見を取りまとめて公表し、関係各界に対して意見照会を行っており、そこでは多数の幅広い意見が寄せられております。これらの意見も踏まえ、法制審議会は平成八年二月に民法の一部を改正する法律案要綱を決定し、法務大臣に答申いたしました。  その後、法務省は、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備しましたが、この問題については国民の間に様々な意見があったほか、当時の政権内においても様々な意見があったことから、改正法案の提出にまでは至らなかったものと承知しております。  このように、法制審議会からは既に答申を受けている上、令和二年十二月二十五日に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画では、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しては、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めるとされております。  法務省としては、平成八年二月の法制審議会の答申を前提に、国民各層の意見や国会における議論を踏まえて、その対応を検討していく必要があるものと考えております。そのため、国民の間はもちろん、国民の代表者である国会議員の間でもしっかりと御議論いただき、コンセンサスを得ていただくため、法務省としては引き続き法制審議会の答申の内容等について積極的に情報提供してまいる所存でございます。 ○高良鉄美君 法制審の議論はやはりかなり慎重にいろいろやってきたということを考えると、今、法の支配という話をしました。この夫婦別氏の問題も、女性の側の問題、いろいろありますね、同じ人間としての権利のもので、どうして日本の中でそうなのかと。だから、大臣がころころ替わってそれで答えが変わってくるような形では、これはもう、法の支配から抜けて、人の支配なんですよ。だから、法の支配というのをきちんと理解をして、人間、人権の保障なんだと、そして憲法の最高法規性なんだと、適正な手続なんだと、そういうような部分をしっかり把握していないと、あるいはそれを認識していないと一向に進まないということを指摘しておきたいと思います。是非とも、法務省には引き続きこの問題頑張っていただきたいと思います。  次に、国連女子差別撤廃委員会は、二〇〇三年以降、繰り返し、民法改正を行うよう勧告を行っています、先ほどありましたけれども。二〇〇九年の第六回審査と二〇一六年の第七回、第八回審査では民法改正がフォローアップの対象とされましたが、実現に至っていません。フォローアップ審査の勧告文書が非公開になっていたことも問題となりました。条約実施のための審査制度やフォローアップ制度を形骸化されて、させているとの批判もあります。  政治の問題であることは承知していますが、外務省も、条約機関からの要請については、理解されるよう説明する責任があると思います。CEDAWの第九回審査に向けた進捗と今後の取組を林大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(林芳正君) 女子差別撤廃委員会による第九回審査でございますが、二〇二一年九月に我が国が同委員会に提出した報告に基づき行われる予定でございます。  一般に、審査の時期については、同委員会が各締約国からの報告の提出状況及びその審査の進捗状況等を勘案しつつ決定することとなっております。我が国の第九回審査の時期についても、現在、同委員会側の決定を待っている状況でございます。  選択的夫婦別氏制度の導入に関しましては、政府の立場は、夫婦の氏の在り方について現在でも国民の間に様々な意見があることから、今後とも国民各層の意見や国会における議論を踏まえてその対応を検討していく必要があるというものと承知をしております。  委員御指摘のとおり、女子差別撤廃委員会からは一定の懸念が示されているわけですが、次回となる第九回審査におきましては、二〇二一年九月に提出した報告の内容に基づきまして、夫婦の氏に関する議論を深めるための取組や、我が国が女子差別撤廃条約の実施のためにとっている措置等についてしっかりと説明してまいりたいと考えております。 ○高良鉄美君 憲法九十八条に国際条約の尊重義務があります。ということは、やっぱり国際条約をいろいろ実現していくために必要な措置をとるということですので、そこも、是非とも今後、またG7の中で断トツに変わっている状況にならないようにこの問題にも取り組んでいただきたいと思います。  これで外務省の方は大丈夫ですかね、法務省の方もね、退席なさって結構だと思います。  それでは、昨日、参議院本会議で…… ○委員長(阿達雅志君) 法務省、御退席ください。 ○高良鉄美君 あっ、大丈夫ですか。ごめんなさい。 ○委員長(阿達雅志君) それから、外務省も。 ○高良鉄美君 大丈夫ですか。それでは、継続しましょう。  昨日、参議院本会議で趣旨説明が行われた基盤強化関連法について質問いたします。  資料、今日かなり幾つかつづっておりますけれども、一を御覧ください。グラフがあります。五月二十日付けエコノミスト、まだ日本語版が出ていないもので、国会図書館からいただいた英語版記事から図表を抜粋したものです。  四月二十日の本委員会で、購買力平価GDPにおいてBRICSがG7を抜いたという話をしましたが、これがまさにその分かりやすいグラフですので、将来どうなるのかというと、もうこの差が開く一方で、G7が世界を主導する時代が終わる可能性が高いと思っています。  岸田政権は、G7広島サミットやNATO事務所の日本開設の動きなどで西側諸国との連携を深めています。これは世界の動きを踏まえた上でのこととは余り思えません。同様に、日本の主流メディアも、世界で起こっている出来事をきちんと伝えておらず、世界から隔絶された異様な言論空間になっているように思います。  これから質疑が行われる基盤強化法案も、現実に起こっている様々な出来事を踏まえずに作られているように見えるという点で同じような問題があるように思います。そういった視点から質問をいたします。  今日は、今回のこの基盤強化法案の目標とする装備品製造等事業者の基盤の強化のために国が施策を講じることあるいは海外の装備移転には、そもそも私は反対の立場です。これから、しかし、この今回の法案というのは、こういった視点とかいうことの立場から議論する必要性は乏しいと思っています。なぜなら、今回の法案については、私は、そもそも防衛産業の現状も衰退の原因も正しく見ていない、その結果、法案で取られた施策もあさっての方向を向いて、目指すところの実現可能性はほぼないと思っているからです。  与党の皆さんは、国産の防衛装備品は優れており、武器輸出の制限を撤廃すれば海外にすぐにでも売れると思い込んでいる方もおられるかもしれません。しかし、国産の装備品の多くは低性能、高価格で、自衛隊でしか通用しないガラパゴス状態というのが実態のようです。  つづりの資料二の方の六枚目ですね、この資料二は、財政制度等審議会に財務省から毎年出されている資料の中から必要なものを選んでつづったものです。  このC2、国産のC2輸送機というのがありますけれども、表の下から二番目、二のつづりの六枚目ですね、この輸送機ですけれども、一機当たりの機体の単価は米国製のC17輸送機とほぼ同じ額です。それにもかかわらず、表の上から二番目の括弧内ですね、最大貨物の重量はこのC17の半分以下です。そして、その下の、下から三番目の一機当たりのライフサイクルコスト、どれだけもつかというと、このC17の二・五倍以上ということですね、お金、コストがですね。ということで、こういうような形になっているんだという、これ海外に売れますかと。量産すれば埋められる価格の差じゃないです。  なぜこういうことになっているのか。防衛産業側の問題もあると思いますけれども、防衛省・自衛隊側の問題をまず考えてみたいと思います。  資料二の一ページと二ページを御覧ください。昨年四月、財務省提出の資料です。  防衛省の要望を忠実に踏まえた開発を行った結果、世界市場で売れる装備品はほとんどない。防衛関連企業は、装備品の開発、生産において、防衛省からの度重なる仕様変更、少量生産を含め、顧客の要望に応えることを求められ、自社の強みを追求しにくい状況、自衛隊向け仕様は世界的にニッチで、マーケットは国内のみとあります。  資料二の五ページは、昨年十一月提出の資料ですけれども、上の方の三つ目の丸では、現在、防衛省では、防衛産業の基盤維持に向け、サプライチェーンリスクの回避のための企業支援などの対症療法を進めているが、本質的な課題解決アプローチが求められるのではないかと指摘されています。財務省は、今回の法案の主たる内容を対症療法と評価しているわけです。  このページの、今言ったページの下の青い部分ですけれども、ここでは、原因を深掘りし、自衛隊独自の特殊な要求性能、海外ニーズがない機能・仕様を追求、同種品でも頻繁なシリーズ変更、中期的な調達計画がずさんを列挙しています。  財務省にお尋ねします。  お配りした資料二を御覧ください。二〇二一年十一月の財政制度等審議会の資料では、主要航空機を部品単位でコスト分解したところ、量産取得開始等から比較して、間接調達部品の平均単価上昇率は約五〇%から約一四五%、自衛隊の独自仕様の追求等の問題が指摘されています。こういった問題の原因がどこにあるとお考えでしょうか。財務省、よろしくお願いします。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  御指摘の二〇二一年十一月の財政制度等審議会におきましては、主要航空機を例として、防衛装備品の実際の調達時の価格が当初の見積りと乖離している例が散見されるということについて議論がなされたと承知してございます。  こうした課題の原因として、コスト管理が必ずしも十分ではなく、受注企業のその後の調達コストが必ずしも把握されていない、また、ライフサイクルコストを考慮した部品選定がなされていない、防衛省の独自仕様を過度に追求することによりコストを押し上げている面があるなどの指摘がなされたものと承知しております。  こうした議論も踏まえ、今回の防衛力整備計画におきましては、装備品を効率的、効果的に取得するための取組として、長期契約の適用拡大による装備品の計画的、安定的な取得、企業の予見可能性を向上させ効率的な生産を促すこと、他国を含む装備品の需給状況を考慮した調達、防衛、自衛隊独自仕様の絞り込み等により、装備品のライフサイクルコストを通じたプロジェクト管理の実効性を高めることとされておりまして、この方針に沿って取組が進められていくものと承知してございます。 ○高良鉄美君 今、高いものを買うという、これ国民の税金です、ここ。今回もこのような議論をしているわけですよね、じゃ、倍になるかとも。そういうことじゃなくて、今までの状況をまず見たらどうなんだということでございますね。  自衛隊の独自の要求性能と、特殊な要求性能というのがありますけれども、こういった中身を、実は議論見てみますと、海外の優れた兵器を買わなくて済むように、つまり、私なりに考えますと、国内産業に仕事を回すためわざわざ不自然な要求性能を設定しているという考え方、議論があります。それからもう一つの議論としては、防衛省・自衛隊に要求性能をきちんと定める能力がなく、当事者意識もないという議論があるようです。  そして、その点を見てみますと、先ほどのC2輸送機に戻りますが、この軍用輸送機ですね、不整地着陸能力、つまり、きちんと舗装されたところじゃなくても、滑走路以外でも着陸できる能力が必要だとされていますけれども、このC2には設計段階でこういった能力が要求されていない。その後、アラブ首長国連邦への輸出が検討された際には、この不整地着陸能力がないことが問題になったということですね。  そして、陸上自衛隊の車両には冷房がないものが多々あると聞きます。この中には、一六式機動戦闘車ですね、これが、二〇一九年度以前に調達されたものにはクーラーがないと。ですから、もうそれ以前のものもそうだということになりますので、ほかの種類もなかったということが指摘されております。これは、指摘されている方が、資料五で、後で取り上げますけれども、清谷信一さんという方がそういう指摘をしているわけです。  そして、これ、クーラーがないということは、自衛官の健康や福祉の面からも問題になるわけですね。沖縄はもちろん、日本のどこでも戦争があってはならないわけですけれども、こういったクーラーがないという車両は使えない兵器ということになります。ですから、この要求性能をきちんと定める能力に疑問が湧くということで、世界市場で売れる装備品はほとんどないという財務省の指摘には、これ理由がありそうです。  防衛大臣に伺いますけれども、一六式機動戦闘車に、調達当初ですね、開始当初、クーラーを設置しなかった理由を教えてください。また、一〇式戦車で要求仕様には乗員用のクーラーがなかったというのは本当でしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 一六式機動戦闘車は、多様な事態への対処において、被空輸性、路上機動性等に優れた機動力を持って迅速に展開できる戦闘車といったコンセプトの下、平成二十九年度より配備をされております。当初、C2輸送機による被空輸性の観点から、重量増となる空調装置は搭載をしておりませんでしたが、その後、展開が予想される南西地域における隊員のヒートストレスに関わる問題に着目し、令和二年度より、被空輸性に問題のない形で空調装置を搭載した一六式機動戦闘車を配備しているところであります。  なお、平成二十九年度から令和元年度までに配備された空調装置を搭載していない一六式機動戦闘車についても、令和五年度より、空調装置を搭載していく予定であります。  また、一〇式戦車においては、平成二十三年度より配備していますが、当初よりコンピューターを冷却するために必要な冷却装置が付いており、乗員が作戦行動を行うのに適した温度まで車内は十二分に冷却されることから、乗員のための冷却装置を搭載する必要はありません。  以上です。 ○高良鉄美君 このクーラーの問題だけじゃなくて、PAC3の問題もあります。このPAC3を調達すれば、〇三式の地対空ミサイルですね、それに比べると全然違うということで、調達単価が同じとして、この〇三式の開発費用、余計、改善するための費用ですね、これの費用をやるだけでたくさんPAC3が買えるわけですよ。  どうしてそういうふうになったのかなということで、二つですね、どうしてPAC3だけじゃなくて〇三式改良型というのが必要か、ちょっとここも防衛大臣に聞きたいと思います。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  一般に、装備品の研究開発や量産取得を検討する際には、当該装備品が適切な運用構想及びそれに見合った要求性能を有すること、各自衛隊での役割分担等を踏まえ、装備体系を最適化するための検討を経たものであること、国内外の既存製品とのコスト比較を含む代替案分析を経たものであること等の要件を満たすか否か検討した上で選定を行うこととなります。  したがいまして、今般、防衛力整備計画に基づきまして、弾道ミサイル等への対処能力を有する陸上自衛隊の中SAM改能力向上型、これを開発することといたしましたけれども、その際、コストの観点も考慮の上で開発を決定したところでございます。  陸上自衛隊に中SAM改能力向上型を配備することによりまして陸上自衛隊の部隊防護能力に弾道ミサイル等の対処能力を付与すること、また、これまでの弾道ミサイル防衛においては、イージス艦のSM3による上層での対処、そしてPAC3による下層での対処、この二層防護の態勢を取ってきておりますけれども、PAC3ではカバーし得ない範囲を本ミサイルによりカバーしたり、PAC3の防護範囲と重なる場合にはより下層の対処を、失礼いたしました、下層の対処をより重層的にしたりというように、より弾道ミサイル防衛の手段を増やすこと、これが可能となります。  弾道ミサイル等の経空脅威が高度化、多様化する中、中SAM改の能力向上型の開発、取得について着実に進めてまいりたいと考えてございます。 ○委員長(阿達雅志君) 時間ですので簡潔に願います。 ○高良鉄美君 はい。  もう時間ですので、今日は会計検査院の方も来ていただいたんですけれども、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時四十三分散会