第211回国会 参議院 外交防衛委員会 第19号 令和5年6月6日 令和五年六月六日(火曜日)    午後一時五十九分開会     ─────────────    委員の異動  六月二日     辞任         補欠選任      井上 義行君     松川 るい君      山本佐知子君     中曽根弘文君      青島 健太君     金子 道仁君  六月六日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     三宅 伸吾君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿達 雅志君     理 事                 岩本 剛人君                 佐藤 正久君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 音喜多 駿君     委 員                 猪口 邦子君                 小野田紀美君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 三宅 伸吾君                 吉川ゆうみ君                 羽田 次郎君                 福山 哲郎君                 宮崎  勝君                 金子 道仁君                 榛葉賀津也君                 山添  拓君                 伊波 洋一君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     林  芳正君        防衛大臣     浜田 靖一君    大臣政務官        財務大臣政務官  金子 俊平君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       室田 幸靖君        内閣官房行政改        革推進本部事務        局次長      湯下 敦史君        外務省大臣官房        審議官      岩本 桂一君        外務省大臣官房        参事官      今福 孝男君        外務省大臣官房        参事官      宮本 新吾君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   海部  篤君        財務省主計局次        長        寺岡 光博君        防衛省大臣官房        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      上田 幸司君        防衛省大臣官房        審議官      茂木  陽君        防衛省防衛政策        局長       増田 和夫君        防衛省整備計画        局長       川嶋 貴樹君        防衛省人事教育        局長       町田 一仁君        防衛省地方協力        局長       深澤 雅貴君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のた  めの基盤の強化に関する法律案(内閣提出、衆  議院送付) ○政府参考人の出席要求に関する件 ○外交、防衛等に関する調査  (日韓関係に関する件)  (防衛力の整備に関する件)  (女子差別撤廃条約選択議定書に関する件)  (在沖縄米軍基地問題に関する件) ○調停による国際的な和解合意に関する国際連合  条約の締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○二千二十二年の国際コーヒー協定の締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付) ○世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正  する議定書の締結について承認を求めるの件(  内閣提出、衆議院送付)     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る二日、青島健太君、井上義行君及び山本佐知子君が委員を辞任され、その補欠として金子道仁君、松川るい君及び中曽根弘文君が選任されました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 ○山添拓君 日本共産党を代表し、防衛装備品基盤強化法案に反対の討論を行います。  政府が安保三文書改定に向けて設置した有識者会議では、武器輸出の拡大により軍需産業を成長産業にすべきとの主張が相次ぎました。既に政府は、イギリス、イタリアと共同開発する次世代戦闘機について、たくさん売れば売るほど単価が下がるなどと言い、海外への輸出をもくろんでいます。安倍政権が憲法九条に反して武器輸出の解禁に転じた上に、与党協議で殺傷能力のある兵器まで全面的な輸出解禁を狙っています。  戦争を企業のもうけに利用し経済成長を図ろうとするのは、杉原参考人が指摘した死の商人国家への堕落との批判を免れず、断じて許されません。  軍需品製造ラインの強化や事業承継など、企業が策定する計画を防衛大臣が認定し、その費用を国が負担することとされますが、支援対象は民需品と共用の製造ラインでもよく、また、黒字の大企業も対象とされ、複数の支援メニューを受けることも可能です。それでもなお手段がないときは国有化のスキームを用意され、軍需産業にとってまさに至れり尽くせりです。国有化後、民間に譲渡する期限の定めはなく、国有民営が続けば、事実上、戦前、戦中の工廠の復活に道を開くことになります。  佐藤参考人は、官が認定し官の裁量を増やす点で潜在的に不祥事のリスクがあると指摘しました。武器輸出を支援する指定法人も基盤強化の計画認定も、軍需産業側とも防衛省側とも構造的な癒着が懸念されます。しかし、審議を通じて明らかになったように、法文中にこれを排除する規定はなく、繰り返されてきた汚職や腐敗の危険は一層高まります。  秘密保全の措置は、防衛省と契約する企業に対し、特約条項にとどまらず、従業員を刑事罰の対象として義務を課すものです。しかし、従来、情報漏えいに対する違約金の対象となった事業者の例をただの一件も挙げることはできませんでした。そもそも立法事実を欠きます。  従業者情報を防衛大臣に報告させる対象は防衛大臣の定める事項とされ、限定がなく、プライバシー侵害の危険が軽視できません。軍需産業を特別扱いで支え、産業と経済を軍事に従属させることは、社会全体にゆがみをもたらします。官民一体での武器輸出の促進は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出どころか、東アジアの緊張関係を高めることにつながります。  日米の軍事一体化を中心に軍事的対抗を強めるのではなく、地域の全ての国々を包摂する平和の枠組みを発展させることにこそ力を尽くすべきです。  以上、反対討論とします。 ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  会派を代表して、装備品基盤強化法案に反対の討論を行います。  本法案は、装備品生産の基盤強化のための措置等について定めるものです。基盤強化の措置では、防衛省と直接契約関係にない下請企業にも経費支援を実施できます。どのような物品のどの範囲の事業者が支援対象となるのか、恣意的な判断がなされるおそれもあります。  本措置は、防衛装備品という特定の公共調達に限り、製造業に広く存在する重層的下請構造における下請企業に対し必要経費を補助し利益を保障するという、ある種の公契約規制を導入するものです。仮にこのような措置が可能なのであれば、他の公共調達にも公契約法を導入すべきではないでしょうか。日本の物づくり、製造業が全般的に競争力を失いつつある中、軍需産業だけ例外的に手厚く保護することは、他産業とのバランスを欠き、極めて不平等です。  装備移転の円滑化措置は、武器輸出のため、指定支援法人という天下り機関を経由して事業者を助成するものです。事業者の企業努力を求めず、必要経費を支援してまで武器の海外輸出を支援することは、武器輸出三原則に沿った戦後日本の平和外交の成果を損ねかねないものです。  製造施設等の国による保有は、経営に行き詰まった企業の国有化を可能にするものです。このような措置は、戦前の国営兵器廠の例を出すまでもなく、自由主義経済の対極にある統制経済や戦時経済であって、許されるものではありません。我が国はいつから戦時体制になったのでしょうか。  秘密保全措置では、事業者は、従来の省秘に当たる装備品等秘密を漏えいした場合、「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」という刑事罰が科されます。現在、防衛省と契約し省秘を扱う事業者は約百四十社、その従業員数は一万五千人に上ります。さらに、その漏えいを「企て、教唆し、又は幇助をした者」にも同様の刑罰が科されます。これは、軍需産業と本法案の措置に対する市民やメディアの監視を刑事罰により威嚇し、民主主義社会の根幹である国民の知る権利やメディアの取材、報道の自由を侵害するものです。  法案は、防衛産業は防衛力そのものというスローガンを根拠に、営利企業という事業者の本質を否定し、防衛省による軍需産業の過度な優遇を促すもの、許すものです。国内での装備品生産基盤の強化は、安保三文書に基づく「持続性・強靱性」の確保、すなわち抑止が破れた場合の継戦能力の維持が目的です。しかし、抑止が破れた場合に自衛隊が粘り強く戦って米軍の来援を待つという現在の防衛省・自衛隊の戦略自体が、米軍が来援するとは言えないことから、フィクションにすぎません。  ウクライナ戦争を例に、軍需産業が国内に立地する意義を強調する議論がありますが、日本の一・六倍の国土面積を持ち、広大な後背地を抱えるウクライナを、島国で縦深性のない日本が参考にすることはできません。むしろ、有事には、この法案で支援された軍需産業、町場の工場などがジュネーブ条約上の軍事目標とされ、ミサイルやサイバー攻撃などのターゲットにされかねません。本法案による国内軍需産業の振興は、日本社会の変質を招くのみならず、日本列島に多くの標的をつくり、日本を戦場にする台湾有事において、中国のミサイルを分散させることで米中ミサイルギャップを埋めるという、米国の軍事戦略にストレートに応えるものにほかなりません。  このような法案の問題点を指摘し、委員各位においては対応の再考を求めまして、反対の討論といたします。  ありがとうございました。 ○委員長(阿達雅志君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 ○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官室田幸靖君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○榛葉賀津也君 国民民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  今日はかりゆしデーということで、外務、防衛両大臣、かりゆしをお召しになって、大変似合っております。  去る日曜日、三年半ぶりにシャングリラ会合が開かれて、リアルで各国の国防大臣が参集をして様々な議論をしたと、大変いいことだと思いますが、まず、防衛大臣、日韓関係についてもバイで会談が行われたと聞いておりますが、どんな会談の中身だったんでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 今回の防衛相会談は、令和元年十一月以来、約三年半ぶりの実施となったところであります。  先日の日韓首脳会談でも、日韓関係を一層発展していくこととしたことを踏まえ、防衛当局間においても、大臣を始めとしてまずは一層緊密に意思疎通をしていくことを確認したところであります。その上で、火器レーダー照射事案を含む日韓防衛当局間の懸案について、こうした緊密な意思疎通を通じて両国の防衛当局間で再発防止を含めた協議を加速することが重要であり、その旨、大臣間で認識が一致をいたしました。  私としては、会談ではお互いにしっかりと率直に議論しようという姿勢があったと考えており、今回の会談の結果も踏まえ、引き続き、韓国側と緊密に意思疎通を図り、懸案の解決に向けて協議を加速化、精力的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 少し冷え込んでいた日韓関係が、ミリミリ含めて信頼醸成が確実になされているということは評価をしたいと思いますが、他方で、今大臣がおっしゃったように、やっぱり一番の鍵はこのレーダー照射問題でございます。  レーダー照射問題が先送りされたという報道がありましたが、もう少し詳しくこの先送りの背景について説明願えませんでしょうか。 ○国務大臣(浜田靖一君) 平成三十年の十二月二十日の火器管制レーダー照射事案に関する防衛省の立場は、平成三十一年一月に公表した最終見解のとおりであり、今回の会談においても最終見解を踏まえて議論したところであります。その上で、日韓防衛当局間の協力を進展させるため、火器管制レーダー照射事案を含む日韓防衛当局間の懸案について、再発防止策を含めた協議を加速することで一致をいたしました。  今回の会談の結果も踏まえ、引き続き、韓国側と緊密に意思疎通を図り、懸案の解決に向けて協議を加速し、精力的に取り組んでまいります。 ○榛葉賀津也君 毎日新聞の三面に仲畑流万能川柳というコーナーがあって、あれ楽しみで毎日読むんですけれども、昨日の川柳にこんなのがありまして、「白黒をあえてつけない老夫婦」という川柳がありましたが、まあ老夫婦ならこれでいいのかもしれませんが、やはり日韓関係は白黒付けなければどうしてもならない問題もあると思います。  これ、厄介なのは、やっぱり韓国が照射の事実を認めていないというところに一番のネックがあると思っていまして、幾ら大人の対応をしろと言われても、現場の自衛官はですよ、特に現場の自衛官は、これ、レーダー照射というのは、銃でいったら銃口を見せられてトリガーに指を掛けている状況ですから、これがなかったと言われると、なかなか現場はやっぱり耐えられないんではないかなというふうに思います。  大臣が懸命に両国の外相会談やつかさつかさで努力をされているのは重々承知していますし、何とかこのレーダー照射問題、それぞれの知恵を絞って、前政権のことでございますので、やはり未来に向けた建設的な議論をして、我々は、やっぱり筋を通すところは通していただいて、より良い日韓関係の、ミリタリー・ミリタリーの関係含めて築いていただけますようにまずはお願いをしたいと思いますが、大臣の決意を一言お願いします。 ○国務大臣(浜田靖一君) 我々も問題の認識は一致をしておると思います。今後とも、お互いが腹を割って話をできる状況をつくって、更に緊密にこの交渉をしていきたいというふうに思っております。 ○榛葉賀津也君 日韓防衛大臣会合の前の先月の三十一日、菅前総理大臣が、新しい会長になった、超党派の日韓議員連盟の会長として韓国を訪問して、尹大統領と面会されたという報道がございました。ちょうどこの日に北から弾道ミサイルと思われるものが発射をされたというタイミングの会談になってしまったものですから、改めて日韓関係の大切さ若しくは日米韓の大切さを皆さんが感じたと思います。  この打ち上げられた軍事探査衛星というものなんですけれども、北にとったらこの探査衛星の取得というのは悲願だと思うんです。今のこの技術レベルというのはどれぐらいなんでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  北朝鮮は、五月三十一日、弾道ミサイル技術を使用した発射を強行いたしましたが、宇宙空間へ何らかの物体の投入はされていないものと推定しておりまして、当該発射は、北朝鮮が衛星打ち上げを試み、それに失敗したものであったと認識しております。  他方、北朝鮮はこれまでに六回衛星の打ち上げとして発射を行ってきており、特に二〇一二年十二月と二〇一六年二月の発射時には地球周回軌道に何らかの物体を投入したと推定されることなどから、衛星打ち上げに関して一定の技術を有しているものと考えられます。  加えまして、北朝鮮は、二〇一七年以降、我が国上空を通過させる形での弾道ミサイル発射やICBM級弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、長射程弾道ミサイルの技術的信頼性を向上させてきており、先月、五月三十一日の発射においてはこうした技術的成果を適用していた可能性が考えられます。  また、北朝鮮は、できるだけ早い期間内に二回目の軍事偵察衛星の打ち上げを行う旨表明しており、引き続き関連技術の開発に注力していることは明らかだと考えております。  防衛省・自衛隊といたしまして、引き続き、あらゆる事態に対応できるように情報収集、警戒監視に全力を挙げるとともに、今後の対応に万全を期してまいりたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 金正恩という人間は、例えば内政問題で、決まった期日までにビルが建たなかった、農業政策で失敗をした、医療や衛生分野で失敗した、ことごとく粛清をしたり処罰を繰り返して、内政においても恐怖政治を繰り広げているんですが、この核とミサイルに関しては極めて寛大な対応を取っていまして、失敗をしても担当者罰しないんですね。失敗を恐れずにどんどんやれと。  この二十年間で北のミサイルや核の進歩というか開発速度というのは、私も防衛研究所の専門家から聞いたことあるんですけど、ちょっと想像を絶する速さだと、物すごいスピードだというふうに言っていました。ほんの数年でどんどん進化して、核も持ちました、大陸弾、弾道ミサイルも持ちました。  あと持ちたいのはやっぱりアメリカや韓国をウオッチする目だと思うんです。つまり探査衛星。逆に言うと、これ持たれると大変厄介だと思うんです。アメリカや韓国の報道で北の軍事衛星は性能は低いと少し見下して言っているんですけれども、私、侮れないと思いますよ。物すごいスピードでやつらは、かの国は開発を繰り返しますので、これは是非我々も緊張感持って対応する必要があると思いますので、是非防衛省としてもお願いをしたいと思います。  外務大臣にお伺いします。  この菅さんと尹大統領の間で様々な会談がされているんですが、外務省のある方が、これ議連の話なので外務省関係ないですというようなことをおっしゃった方がいますが、もうこれ、前総理ですから、単なる議連の問題ではなくて、これ二国間の真剣勝負の話合いだと思います。  拉致問題についてどんな議論がされたでしょうか。 ○政府参考人(岩本桂一君) 今委員御質問の点でございますが、菅会長御自身が明らかにされておられるところによりますと、この拉致問題については、菅会長から尹大統領に対して、尹大統領始め韓国側の様々なレベルで理解と協力をいただいていることに謝意を伝えられた上で、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求められた、それで、尹大統領からは改めて支持を得た、そのように承知をしております。 ○榛葉賀津也君 やっぱり韓国の持っている情報というのは拉致問題の解決にとってなくてはならない問題です。麻生元総理が訪韓をし、総理もバイの会談をし、外相会談もやり、で、前総理が新しい日韓議連の会長として交流を始める。是非、このモメンタムを逃すことなく信頼醸成をして、一刻も早い拉致問題の解決、これに万全を期してほしいと思います。  そして、もう一点。福島第一原発の処理水の海洋放出の問題も話題になったと聞いていますが、これにはどんな議論があったんでしょうか。 ○政府参考人(海部篤君) お答え申し上げます。  今回の菅議連会長による訪韓でございます。先ほど委員御指摘ございましたとおり、議員としての訪韓ということで、表敬時のやり取りについて政府としてお答えすることはちょっと控えなきゃいけないかなというふうに考えてございますが、いずれにしても、政府、いろいろなチャネルで、いろいろなレベルで韓国側に対して高い透明性を持って科学的根拠に基づく丁寧な説明を行うことによってALPS処理水の海洋放出の安全性について韓国国内における理解が深まるように努めてきておりますし、今後ともそのような基本的な姿勢で取り組みたいというふうに考えてございます。  以上です。 ○榛葉賀津也君 福島の真の復興には、この農産物含めた外国の理解というものがなくてはなりませんので、是非お願いをしたいと思います。  最後に、大臣、菅前総理が議連の会長になり、一議連とはいえ、今の状況を考えると非常に大事な議連であり、日韓の関係が今重要な時期に差しかかっていると思います。この菅会長率いる日韓議連に対してどんな期待をお寄せになりますでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 日韓議員連盟の活動、これはまさにこの二国間関係を支える重要な屋台骨であると考えております。広島でも行われましたG7サミットを契機としたこの日韓首脳会談においても、両首脳が議員交流を始めとする二国間の人的交流が一層拡大しつつあるということを歓迎をしたところでございます。  まさにこうした人的交流が一層活発化することで相互理解が深まって、二国間関係に幅と厚みを与えるということになると考えております。菅会長を始めとする日韓議員連盟所属の皆様に日韓関係の更なる発展を後押しをしていただきたく思っておりまして、政府としてもその活動を御支援していきたいと考えております。 ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  終わります。 ○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。  まず、安保三文書の反撃能力から質問させていただきます。  前回の質疑で、極めて現実的なシミュレーションについてなんですけれども、集団的自衛権を日本が発動してその反撃を受けているような事態ですとか、あるいは、同盟国のアメリカがどこかと戦争していて、それを原因として日本が攻撃受けるような場合と、様々なことを、三つのことを聞きまして、その答弁を見ていて、ああ、そういうことかなと思ったんですが、防衛省、政府参考人で結構なんですが、結局、今回のこの極めて現実的なシミュレーションというのは、日本が外国から武力攻撃を受けている事態、武力攻撃事態のみがいきなり始まると、そういう前提、そういうシミュレーションしかやっていないということでよろしいですか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  防衛省の行いましたシミュレーションというのは、防衛力整備というのを目的として、我が国の防衛力が足りているか足りてないかですから、先生御指摘のように、いきなり武力攻撃事態が始まるということもありますし、関連する他の事態から波及して武力攻撃事態に至るということもありましょう。いずれにしても、武力攻撃事態という烈度の高い状況が起こったときに、最も烈度が高い展開をした場合に備えまして、どういう防衛力整備が必要なのかというのを明らかにするためのシミュレーションでございます。  以上でございます。 ○小西洋之君 ちょっと、昨日、防衛省の方と議論させていただいたのと若干違うような気もするんですが、前回、局長、私のその一、二、三の三つの経緯ですね、それについてはもう答えてはいると思うんですが。  ちょっと質問なんですけれども、よろしいですか。  安保法制で集団的自衛権を日本が発動できることになって、まあ当然の憲法違反なんですが、我々からすればですね、まあ事実と科学がある限り絶対の憲法違反だと思いますけれども、いずれにしても、じゃ、日本がアメリカに対する、まあどこかでいいですよ、密接な関係国でいいんですが、に対する武力攻撃を排除する限定的な集団的自衛権をやっていて、同時に、日本に対する武力攻撃も発生しているので、それを排除するための個別的自衛権。この日本が個別的自衛権と集団的自衛権を両方発動している場合は、今般のシミュレーションは日本に対する武力攻撃を排除するものしか計算してないということなので、皆さんが言うところのその安保法制の下の自衛隊の行動を全て計算できてないということ、それに必要な武力、それに必要な装備や組織を計算できてないということに論理的になってしまうんじゃないでしょうか。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答えいたします。  戦闘の様相につきましては、どのような場所でどのような期間、あるいはどのような内容の戦闘が継続するか、結果的にどのような状況なのか、具体的な戦況につきましては、相手方からのその様相等によって異なるため、あらかじめ予見することは非常に困難であろうというふうに考えております。  先ほど先生が御指摘になりました存立危機事態から武力攻撃事態に推移する状況においても同じでございまして、我が国と密接な関係にある他国の対応により我が国が取るべき対応も異なってくるということで、必ずしも、武力攻撃事態単体で見るよりも烈度が高いとか低いとか、そういうことを言える状況にはないんだろうと考えております。  したがって、防衛省としては、最も烈度が高いと思われる武力攻撃事態におきまして、烈度が高い状況が出現したときの対応について、主に防衛力整備の観点からシミュレーションを実施したと、こういうわけでございます。 ○小西洋之君 何か、聞いたことに対してまともに、論理的に答えないようにしているんだと思うんですが。  ちょっと、端的にイエスかノーかで、局長、答えていただきたいんですが、今回のシミュレーションというのは、日本が安保法制の下で個別的自衛権と限定的な集団的自衛権、その両方を発動している、そうしたケースというのはシミュレーションに含まれているのかどうか、イエスかノーかで答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 済みません、個別的自衛権と集団的自衛権と……(発言する者あり)限定的、はい、分かりました。  それは、もちろん、先立って……(発言する者あり)はい。 ○委員長(阿達雅志君) 発言は手を挙げてお願いします。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先立って起こるか、突然武力攻撃事態が起こるかという、先立つもののありなしいかんにかかわらず、同時並行的にそういうことが起こるということは十分可能性があると考えておりますが、そういう場合であったとしても、最も烈度が高い武力攻撃事態に対する対応として、最も烈度が高い状況を想定した防衛力整備をやっておけば様々な状況に対応することが可能であろうと考えておるわけでございます。 ○小西洋之君 事実関係だけをイエスかノーかで答えてください。  だから、今回のシミュレーションには、安保法制の下の個別的自衛権の発動と限定的な集団的自衛権の発動、その二つの武力行使を両方発動している局面というのはシミュレーションに含まれているのかどうか、イエスかノーかで答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 武力攻撃事態に対してシミュレーションを行いました。  したがいまして、存立危機事態における対応を目的としたシミュレーションは行ってございません。 ○小西洋之君 そういうのをちゃんと堂々と答えないと駄目じゃないですか。今のでも、まだ答え、まあ中身としては答えているので了といたしますけれども。  なので、結局、集団的自衛権は絶対に違憲なので、ちょっと浜田大臣にもこれ、あと、林大臣も、両防衛大臣、外務大臣が新しく着任されたら、必ず、昭和四十七年政府見解の文言を曲解して、論理を捏造したという近代立憲史上にない絶対の憲法違反なんですけれども、それを御質問しなきゃいけないんですが。  それはさておき、結局、今の局長の答弁から明らかになることは、これ、皆さんの安保法制からしても、皆さんのこの憲法違反の集団的自衛権を含む安保法制からしても、シミュレーションになっていないわけですよね、まともなシミュレーション。だから、結局、私も質疑を重ねさせていただいて分かったんですが、結局、四十三兆円という数字ありきで、それに向けていろんな予算をかき集めて、今委員長の下で連合審査を我々もさせていただいて、そこでこの財確法の前提となる四十三兆円も、もうどんぶり、どんぶりということが明らかになったと思うんですけれども、そういう数字ありきの政策であったんだなというところを思うわけでございます。  なので、この間、九条との関係についての質問をさせていただいたんですが、だから、そういう積み上げの、武力の意味でも論理的な積み上げをやっていないので、九条との関係でも、これ違憲になるんだというふうに思いますが。  ちょっと次の質問に行かせていただきますが、外交は外務大臣、最後まとめてお伺いさせていただきますので、次、問いの四番なんですけれども、反撃能力ですが、この反撃能力によって我が国が保有するこの実力ですけれども、スタンドオフなどの実力なんですが、この実力をもって、日本に武力攻撃を行ってくる国のミサイル攻撃に関係しないその他の武力ですね、相手国の。その武力に関する装備だとか基地だとか、そういうものをたたくことはできるんでしょうか、法理として、あるいは防衛政策上やむを得ない場合ですね。ミサイル攻撃、相手からの、相手国の、ミサイル攻撃に関係しない相手の武力に関するものを反撃能力で保有する実力によってやむを得ないときはたたくことができる、多分できるというふうに考えているんだと思うんですが、それについて、まだ国会で明確に答えていないので、もうこれは明確に答えてください、時間がなくなっちゃいますので。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  政府は従来から、何が対象となるか、なり得るかについては、一九五六年の政府見解以降、対象の例示として誘導弾等の基地等を挙げてきたところでございます。これ以外に何が対象となり得るかについては、攻撃を厳格に軍事目標に対するものに限定するといった国際法の遵守を当然の前提とした上で、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の措置か否かという観点から個別具体的に判断されるべきものと政府としては考えております。 ○小西洋之君 だから、今の答弁の最後のその弾道ミサイル、要するにミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ないと言ったんですけど、私の質問は、その相手からのミサイル攻撃に関係しない相手からの武力、そうしたものをたたくということもこの反撃能力の実力で真に必要なときはできるのかどうか、できると考えているのかどうか、それを明確に答えてください。個別の攻撃対象じゃなくて、これ一般論で聞いているわけですから。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先ほど私、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐためにと申し上げましたけれども、反撃能力につきましては、ミサイル攻撃への対応が現実的課題と整理しているところでございます。  一方、将来の技術革新の可能性などによりましては、攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として反撃能力を行使しなければならない状況が弾道ミサイルによる攻撃以外にもあり得ることは否定できません。したがって、国家安保戦略等において弾道ミサイル等と記載しているところでございますが、その対象を網羅的にお示しすることは困難でございます。  その上で申し上げますと、例えば弾道ミサイル以外には、極超音速兵器や変則的な軌道で飛翔するミサイル、巡航ミサイルといったものが想定されます。こうした趣旨で弾道ミサイル等と記載しているところでございます。 ○小西洋之君 ちょっとそういうのやめてほしいんですけど。  ミサイル攻撃と言っているわけだから、弾道ミサイル以外のやつも当然包含して言っているに決まっているわけじゃないですか。だから、今局長がおっしゃったそのミサイル装備、ミサイル攻撃以外のものもたたけるかどうか、明確に答えてください。三回目です。 ○政府参考人(増田和夫君) 大変恐縮でございますけれども、何が対象となり得るかにつきましては、例示として誘導弾等の基地を挙げておりますけれども、これ以外に、先生がおっしゃっているようなミサイル発射基地など、ミサイル攻撃のための装備以外のミサイル攻撃の実力と異なるものをその標的と、対象とできるのかどうかということにつきましては、これはまさに事態認定がなされた後の武力の行使という個別の作戦に関わるものでございまして、いかなるケースでいかなる対応を取るかと、どれが対象になってどれが対象にならないかということを明らかにすることは、対抗的な措置をとられることなどにより国の安全を害するおそれがありますことから、安全保障上控えるべきだと我々は考えておりまして、先生の今御質問でございますけれども、お答えすることは困難であることを御理解いただければと思います。 ○小西洋之君 それを、初めからそれ答えればいいんですよ。じゃ、追加で、今謝ったら駄目ですよ。  じゃ、今おっしゃったそのミサイル攻撃以外のものをたたけるというのは、それは法理としてたたけるんですね、法理としては排除されていない。排除されているかどうかだけ答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  国家安保戦略等でも明記しておりますが、弾道ミサイル等と書かれておりますように、将来の技術革新の可能性などによっては弾道ミサイルによる攻撃以外にもあり得ることは否定しません。 ○小西洋之君 だから、武力に関する議論なんですから、堂々と答えないと駄目なんですけれども。  次の質問を行かせていただきますけれども、今般のこの反撃能力の政府の整備方針ですね。反撃能力という実力を使うためにミサイルを幾つか選んでどういうふうに配備していくかというような、そういうやり方なのか、あるいは、防衛省の説明ではそうじゃなくて、日本に対する侵略を排除するためのスタンドオフ等のミサイル装備をまず構えると、ただ、それはほとんど同時に反撃能力にも使えるものなので、いざというときの反撃能力等に使えますと。だから、その反撃能力の実力の整備方針を簡潔に答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生今二種類の説明を挙げられましたけれども、まさに後者の方だと我々は説明してございます。反撃能力はあくまでスタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用するものでございまして、反撃能力のための独自の整備方針を定めているものではございません。したがって、まあそういうことでございます。 ○小西洋之君 さはさりながら、いざですね、これ一般論として、そのミサイルの撃ち合いになったときに、熱い戦い、熱戦という言葉もありますが、ミサイルの撃ち合い、ミサイルの熱戦を反撃能力の実力で、装備した反撃能力の実力で行うということもシミュレーションの中には含まれているんでしょうか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生が今おっしゃったようなミサイルの撃ち合いを行うため、これを前提としてシミュレーションということは行っているわけではございません。 ○小西洋之君 ちょっとシミュレーション担当の川嶋局長に聞きますが、極めて現実的なシミュレーションはミサイルの言わば撃ち合いですね、ミサイルの熱戦、要するに撃ち合いです。そうした事態、局面というものも極めて現実的なシミュレーションには含まれているのかどうか、それを答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  反撃能力を行使するといった場合も含めてシミュレーションは構成されております。 ○小西洋之君 その反撃能力は、烈度として、相手とミサイルを撃ち合うようなものは含まれているのかどうか、答えてください。 ○政府参考人(川嶋貴樹君) 先ほど申し上げましたように、まさに反撃能力もシミュレーションの対象といたしておりますけれども、じゃ、どのような数、どのような形でというものはすぐれて作戦に属すると申しますか、それを公にすることにははばかりがあるというところでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと。 ○小西洋之君 じゃ、次、問いの四の方に行きますけれども、岸田総理大臣は、この反撃能力を保持することを盾の部分を高めるための能力というふうに言っているんですけれども、先生方も御案内のとおり、かつては敵基地攻撃能力はアメリカ軍が矛の役割としてやって、日本はこの迎撃、盾をやると言っているんですけれども、かつて矛と言っていたものがなぜいきなり盾になってしまうのか、なぜ反撃能力が盾の部分を高める能力と言えるのか、それを説明してください。盾のための能力というふうに言っていますけれども。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  いわゆる盾と矛の役割については、政府として確立した定義があるわけではございません。  他方、先生も御案内のとおり、周辺諸国のミサイル関連技術と運用能力というのは非常に向上しておりまして、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなると。そういう中で、今後、日本の防衛を考えるときにどうしたらいいのかということをこの戦略三文書の中で明記させていただきました。  確かに、これまで盾と矛という議論が国会等の場で行われたことは承知しておりますけれども、我々は、この反撃能力を国家防衛戦略などにおきましては統合防空ミサイル防衛能力の一環と位置付けております。まずミサイル防衛システムを用いて、一番近くの日本の領域の上空で、若しくは公海の上空で、我が国に向けて飛来するミサイルを迎撃します。その上で、弾道ミサイル等の攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において有効な反撃能力としてスタンドオフ防衛能力を活用するというふうに書かさせていただいているところでございます。  このように、ミサイル防衛も反撃能力も、いずれもミサイル攻撃から国民の命や暮らしを守り抜くためのものと考え、国家安保戦略等におきましては統合防空ミサイル防衛能力の一環として位置付けたところでございます。 ○小西洋之君 ちょっと防衛大臣、よろしいですか。今の局長の説明で統合防衛能力という傘をかぶせたので、かつて矛ですね、相手国の領域に打撃を行う、かつては矛と言っていた打撃力が盾のためだというふうに言っているんですが、矛盾という言葉があるんですけれども、矛盾ですね、これ新しい故事成語を日本政府がつくっちゃうことに私なると思うんですよね。かつての矛盾というのは盾と矛、どっちが強いんだという話でしたけれども、これもっとひどくて、かつて矛と言っていたものをこれからは盾というふうに言うと。  もう、黒と言っても黒ではなくて白だというような話であって、これ当然、到底、日本国民の皆さんに説明が付かない、岸田総理が言っている反撃能力、他国領域への打撃の能力を盾のため、盾の能力だというのは到底日本国民に説明の付かない新たなる矛盾話ではないでしょうか、防衛大臣。 ○国務大臣(浜田靖一君) いわゆる盾と矛の役割については、政府として確立した定義があるわけではありませんが、その上で、国家防衛戦略においては反撃能力を統合防空ミサイル防衛能力の一環と位置付けております。まずミサイル防衛システムを用いて公海及び我が国領域の上空で我が国に向けて飛来するミサイルを迎撃し、その上で、弾道ミサイル等を攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において有効な反撃を加える能力としてスタンドオフ防衛能力を活用するとしております。  このように、ミサイル防衛も反撃能力も、いずれもミサイル攻撃から国民の命や暮らしを守り抜くためのものと考えております。 ○小西洋之君 だから、その局長の答弁をそのまま答えていただくんだったら、大臣に聞いた意味がないんでありますけれども。  では、次に、問いの六なんですが、もう結論だけ答えて、質問通告はちゃんとやっているんで答えていただきたいんですけれども、この存立危機事態と反撃能力との関係なんですけれども、政府は、この反撃能力で保持した実力を使って、存立危機事態で限定的な集団的自衛権はできるというふうに言っているんですが、それが許される局面なんですけれども、この安保三文書のこの字面を眺めていると、密接な関係のある他国に対する武力攻撃、それはミサイル攻撃に限られているのか、これが一つです。かつ、日本に及ぶ明白な危険、国民の生命等が根底から覆るこの明白な危険というのは、他国からのミサイル攻撃が後に飛んでくると、そういう事態に限っているのか。防衛省の説明では、両方ともミサイル攻撃に限られないというふうなことだと思うんですが、結論だけ答えてくれますか。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  御指摘の存立危機事態を認定した後の反撃能力の運用につきましては、実際に発生した状況に即して、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐためにほかに手段がなく、やむを得ない必要最小限の措置としていかなる措置をとるかという観点から、個別具体的に判断することになります。  存立危機武力攻撃、これは、武力攻撃事態も書かれておりますけれども、この存立危機武力攻撃を排除することによって回避しようとする我が国への影響には、一般論として、御指摘のような我が国に対するミサイル攻撃の被害も含むものと考えますが、これに限られるわけではないと考えております。 ○小西洋之君 ちょっと、全部答えていただいたのか後で会議録精査しますが、川嶋局長さん、次、ちょっと質問なんですが、昨日、国連室の通告をさせていただいたんですけれども、財確法で七千億円の決算剰余金というものを当てにしているんですが、これ、令和十年度以降もこの決算剰余金、二分の一はこの防衛関係費の予算に回すと、そういう政府方針になっているのか、政府の方針を簡潔に答えてください。 ○政府参考人(茂木陽君) お答えいたします。  抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかねばなりません。この防衛力を支えるためには、令和十年度以降も毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要でございます。  この財源確保に当たりましては、政府として、国民の御負担をできるだけ抑えるという方針の下、あらゆる工夫を検討した結果、歳出改革、決算剰余金の活用、防衛力強化資金の創設、この三つの取組によりまして必要な財源の四分の三を確保することとして、それでも足りない約四分の一については税制措置での御協力をお願いする考えでございます。  こうしたことでございますので、令和十年度以降も毎年度、必要な約四兆円のうち七千億円程度につきましては決算剰余金を活用することになると承知しております。 ○小西洋之君 結論だけでよかったです。  政府の方針ですね、じゃ、内閣官房でしょうか、ちょっとこれ、今国会この委員会でも質問しているんですけれども、四十三兆円のうちの四つの分野の一兆円の部分なんですけれども、あの内訳と金額が、これ三回目の質問だと思うんですけど、決まったのかどうか。決まっていないんだったら、いつまでに、何が理由でいつまでに決めるのか、外務大臣に御質問しなきゃいけないので、簡潔に答えてください。 ○政府参考人(室田幸靖君) お答え申し上げます。  まず、総合的な防衛体制の強化に関する経費は、防衛力強化のための経費の外の経費でございます。したがって、令和九年度で申し上げれば、八・九兆円の防衛費の外の経費でございます。その上で、現在、実はこの四つにつきましては、三文書を決し、新しくできた経費でございますので、OSA、政府安全保障能力強化支援以外の経費は令和五年度においてはまだゼロでございます。現時点で、令和六年に向けての予算の積み上げのための作業を行っているということは御理解いただいているところでございます。その上で、概略的に申し上げますと、一兆円のうち研究開発、公共インフラが大宗を占めることになるというふうに考えております。  公共インフラにつきましては、例えば、令和四年度補正後予算額、政府全体の予算額で約八兆円、研究開発については同じく約九兆円となっておりますので、額としてはこの二つが大宗を占めるということになりますけれども、具体的な金額については、まさに来年度、令和六年の予算編成に向けての作業を踏まえつつ、令和九年に向けての作業の積み上げを考えていくということでございます。  現時点で細かい積み上げについて、数字を申し上げることについては、まだできないというところでございます。 ○小西洋之君 どんぶりの中身が若干だけ分かりましたが、まあどんぶりはどんぶりであるということだというふうに思います。  では、外務大臣に質問させていただきますが、問いの三番なんですが、前回質問させていただいたものを、重ねてなんですけれども、この極めて現実的なシミュレーションというのは日本に対する武力攻撃が発生しているときですが、そのときに、まさに日本外交がどういう戦略、今からどういう戦略を立てて、何をやって一刻も早く日本に対する侵略を日本の外交の力あるいは国際外交の力で止めていくかということで、前回の答弁は、個別の事態のときに個別のことを個別具体に検討してやりますというような答弁だったんです。  それだと外交の存在意義がないと思いますので、この間、政府が何度も何度もいろんなところでおっしゃっている、常任理事国ロシアによるウクライナの侵略ということがあり、その侵略を止めなきゃいけないという我が国外交の努力があり、世界外交の、国際外交の努力もあるところでございますので、現代社会においては戦争というものは許されないし、また、そういう戦争というものは、社会経済的にもその国においてそれはもう不合理極まりないものであるという認識の下に、我が国はどういう戦略的な外交をそういうときにはやっていくのかということについて、具体的な答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国といたしましては、この国家安全保障戦略にも書かれておりますように、平素から日米同盟の強化、そして自由で開かれたインド太平洋実現に向けた取組の更なる推進、これを含む同志国等との連携、さらには周辺国・地域との外交など、こうした戦略的なアプローチ、これを着実に実施していく、そのことによって我が国を取り巻く安全保障環境の改善に取り組んで我が国への武力攻撃の発生を未然に防ぐ、この努力をしておるところでございます。  その上で、我が国への武力攻撃が発生する場合の外交の在り方については、ちょっと先ほど委員もおっしゃっていただきました、個別具体的な状況に応じて対応することとなるため予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、一般論として、他国への武力攻撃は、武力の行使を禁ずる国連憲章を含む国際法の違反であり、認められないということでございます。  そして、この事前の外交努力にもかかわらず我が国に対する武力攻撃が発生したという段階においても、これも個別具体的な状況に応じてということですが、やはりこの国際社会と連携して、武力攻撃の終了、それから事態の改善等に向けた外交努力、これは当然に行っていくことになります。 ○小西洋之君 もう少し踏み込んだ答弁をしていただきたいというふうに思うんですが、例えば、日本はアメリカの同盟国で、アメリカは世界のパワーですので、アメリカと、軍事はもちろん貿易、交易関係、あるいは経済的なルール等々でも実際戦うという国は余りいないと思うんですけれども。  だから、日本に侵略があったときは、例えば国際的な経済制裁を、大臣がおっしゃったように国連憲章違反なんですから、国際的な枠組みでこういうふうにつくっていくんだとか、まあこういうふうにつくるというところまでは言えなくても、この戦争を止める、侵略を止めさせるためにどんな有効的な取組というものが、一般論としてですね、日本の外務大臣がそのことを国会や国民に対してお話しいただけないはずはないし、むしろこれだけ厳しい安全保障環境だということで四十三兆円もの莫大な血税を注ぎ込んで軍備をやる以上は、一番大切な外交は何をなさるのかということをやっぱり答えていただかなきゃいけないと思いますので、事前のことは先ほどの答弁、もう少しそれに答えていただきたいと思いましたけれども、侵略が起きているときにそれを止めるためにどういうことを具体的にやるというようなことがあり得るのか、考えられるのかというようなことについて、もう少し具体的に答弁いただけないでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) まさに今、先ほどちょっと委員が触れられたように、現在、ロシアによるウクライナ侵略ということが起こっているわけでございます。  したがって、このロシアという常任理事国の一角が国連憲章違反をやっているということから、国連が、仮定のことを申し上げるのはなかなか難しいところもございますが、ロシアでなくて、常任理事国でなかった場合、過去にもケースがあったと思いますけれども、そのことと今回が違っているということは大前提として置いておかなければなりませんが、そういう前提の中でもG7や同志国を中心にいろんなことをやっているということでございます。  こうした今回の事例や過去のいろんな事例がございますけれども、そのときそのときの国際環境に応じて、例えば冷戦下であったときはどうであったか、その後、米国一強と言われた時代はどうであったか、また、その後、まさに日本が令和になったときに、こうした常任理事国が国連憲章違反を犯しているとはどうであったかと。これ、いずれもいろんなケースがございますので、そうしたケースよりも全く違った革新的なものが急に出てくるということではなくて、やはりこうした地道な積み重ねの中で、いろんなことをやってきた中で、その起こったことに対して何が一番適切なのかというのはまさにそのときの判断ということになろうかと思いますが、そういう中でしっかりと判断をしていくというのが我々に課された使命であろうというふうに思っております。 ○小西洋之君 もう少し具体的にお願いしたいところなんですけど、大事な質問なんですが。  じゃ、次の二のパラの、問いの九番ですね、外務大臣への御質問。これも前回お伺いした質問をちょっと重ねてさせていただきたいんですが、中国ですけれども、この安保三文書の閣議決定前は、外務大臣、この委員会で本当すばらしい答弁をしてくださって、日中はお互いにして最大あるいは二番目の貿易相手国なので、常識的に考えて、この両国が戦争をすれば、お互いの経済、金融、もう破綻、いろんなものが破綻するわけですけれども、そうすると、常識で考えて、この国が戦争をし合う、武力を交じえ合うということは普通に考えてあり得ないことであるといったような趣旨の答弁をしていただいたんですが、ただ、現実として、この閣議決定の安保の三文書というのは中国を想定にしているものだろうというふうに思うわけなんですけれども。  それはさておき、その安保三文書の閣議決定の後の質問では、林大臣は、閣議決定前の、中国と戦争するということは、日本が武力紛争状態になるということは普通では考えられないことだというようなことを明確におっしゃらなくなっているというふうに思うんですけれども。大臣の今の御見解、今の御見解として、その質問、二回目の質問は三月だったと思うんですけれども、今の御見解として、十二月あるいは三月も変わらぬ見解だったんだったら、日中は、普通に考えて、そのお互いの経済関係、あるいは社会関係も、経済関係などを見ると、武力を交じえ合うような国ではないと、普通に考えて、そういう御見解でいらっしゃいますでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) まず、昨年十二月の小西委員とのやり取りでございますが、私から、小西委員からそういう趣旨の御意見の御開陳があって、それに対して私から、緊密な経済関係を有する日中両国間で、今日現在、武力紛争が起こることはないと多くの方が思うだろうと、こういうような趣旨のことを述べておりますが、まさにこのような認識については現時点でも何ら変更はございません。  その上で、三月の委員会の御指摘がございましたが、そのときも、実は十二月の答弁を述べた、十二月に述べた認識を示した上で、その後、特定の国や地域を念頭に置かないということを明確にしつつ、一般論として、今日現在の状況が今後とも一切変わらないということは、変わらないとは限らないということを一般論として述べたということでございます。 ○小西洋之君 ありがとうございました。  最後の、一般論として、そういう認識は一切変わらないということは言えないということなんですが、とすると、この安保戦略の十年間あるいは防衛装備計画のこの五年間の間に、日中が、それは、日中が武力紛争を交えるというのは、もう本当に常識で考えられない不合理だということなはずなわけでございますけれども、この安保戦略の十年間あるいはその装備計画の五年間の間に武力紛争の発生の可能性というのはあると、排除しないというわけですが、じゃ、なぜあるとお考えになるのか、あるいは、そういうふうに考えたそのタイミング、今回、閣議決定、大臣もされているわけですから、それについて御説明いただけますでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) 反撃能力を含めて、我が国の防衛政策、これ何度も御答弁をしておりますが、特定の国や地域を念頭に置いたものではなくて、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、国民の命や暮らしを守り抜くために反撃能力の保有を決定したというふうに承知をしております。 ○小西洋之君 日本外交の役割というのは、大臣がさっきおっしゃっていた、今日現在、今日現在の時点で日中が武力紛争を交えるということは常識であってはならないしあり得ないことだというふうなことを、我々両国、あるいは両国の責任者、あるいは両国の国民、あるいは世界が、そういうことを、今日現在というものをずうっと向こう五年、十年も保ち続けるのが大臣の日本外交の最大使命だと思いますので、それを是非しっかりとやっていただきたいと思います。  もう一つこの外交についてなんですが、これ政府参考人でも結構なんですけれども、国家安保戦略には、自分の国は自分で守り抜ける防衛力を持つことは、そのような外交の地歩を固めるものになるという言葉があります。一方で、岸田総理の国会答弁で、外交には裏付けとなる防衛力が必要でありますということを言っているんですが、この二つの文言、趣旨が同じ趣旨であるのかどうか、まずそれだけ簡潔に答えてください。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれている中で、まず優先させるべきは積極的な外交の展開、それと同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要であると。御指摘の国家安全保障戦略の記述や総理の答弁はこうした点を説明したものであり、基本的に同義であると承知しております。 ○小西洋之君 じゃ、外務省政府参考人で結構なんですが、その外交のためには裏付けとなる防衛力が必要と、これ具体的にはどういう意味なんでしょうか。具体的に、それ分かりやすく答弁してください。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  今御答弁申し上げたとおり、まず優先されるべきは積極的な外交の展開でございます。我が国は、その中で、長年にわたって国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や国際協力を行ってきております。その伝統と経験に基づいて、今後も多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や他国との共存共栄のための国際協力を展開してまいります。  先ほど申し上げましたとおり、外交には裏付けとなる防衛力が必要でございまして、こうした考えから、国家安全保障戦略では、我が国の安全保障には総合的な国力が必要なこと、また、その主な要素の第一の柱は外交力であり、防衛力はその裏付けとなるものであるということでさせていただいております。 ○小西洋之君 ちゃんと通告しているんで答えてください。  その安保戦略で書いている言葉、総理の答弁と同じになった、外交には裏付けとなる防衛力が必要。私も実はそう思います、これ否定しないですよ。ただ、具体的にどういう意味というふうに政府は考えているのかを分かりやすく説明してください。 ○政府参考人(今福孝男君) 具体的にと申しましても、これも、これまでもるる御答弁申し上げていますとおり、外交の裏付けとなるというのは、外交力を展開していく上で説得力を持たせることという意味でも防衛力というのは裏付けになるものと考えております。 ○小西洋之君 先ほど私もこれ否定しないというようなことを言ったんですが、ちょっと今外務省が言ったように、外交には裏付けとなる防衛力が必要という、その説得力というと、それどういうことですか。外交でうまくいかなかったら武力が待っているぞとか、そういう話ではないですよね。  だから、そこをちゃんと国民の皆さんに分かりやすく説明をしてください。ちょっと時間がなくなってきていますので。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、我が国の防衛力はあくまでも国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのものでございます。これまでも御答弁申し上げておりますとおり、我が国が国民を守れるしっかりとした体制を持っていることが外交力の裏付けとなると考えております。 ○小西洋之君 説明になっていないから、ちょっと今多分答弁言われたけど、考えておいてください。ちゃんと聞きますから。  ただ、私が申し上げたいのは、日本が今求められている必要な外交というのは、そういう外交ではやっぱり足りなくて、日本自らその中国なりいろいろな関係国との利害関係をしっかりつくり込んでいって、国際社会の中で、この日本に対する武力というようなことを絶対に誰も考えないというような環境をつくっていくのが、そういう創造力のあるものの外交が今求められているんだというふうに思います。  答弁用意しているんだったら聞きますけど、具体的な答弁用意していますか。しているんだったら早く答えてください。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  国家安全保障戦略にもございますように、この抜本的に強化される防衛力は、我が国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための外交の地歩を固めるものとなるということでございます。 ○小西洋之君 再度聞くので答弁整理しておいてください。  じゃ、最後、川嶋局長、よろしいですか。前回の議論の続きなんですが、新しい防衛装備の移転ですね、先ほど法案自体は、基盤法は可決しましたけれども、憲法前文の平和主義にのっとってやっていくということ、政府の明確な答弁があるんですけれども、ちゃんと答えてほしいんですが、憲法の前文に全世界の国民が戦争によって殺されない平和的生存権を持っているというふうに書いてあるんですね、憲法前文に。  とすると、殺傷兵器を一般的に海外に日本が輸出する場合は、それは直接使われるというのは防ぐようなことは難しいと思うけど、それが転売されたり転用されたりして誰かを殺すことになるので、いわゆる殺傷兵器、分かりやすい意味での殺傷兵器を輸出するということは憲法前文の平和主義の下では非常に難しいと、平和主義に抵触するというのが一般的に考えられるという理解でよろしいですね。答えてください。 ○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。  先生、とても大切な点、御質問されたと思いますが、ちょっと事前に通告を受けておりません。きちんとこの点整理してお答えした方がよろしいと思いますので、この場で私から中途半端な御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。 ○小西洋之君 済みません、川嶋さんというのは、昨日防衛省の方から聞いたのを失礼をいたしました。  じゃ、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として三宅伸吾君が選任されました。     ───────────── ○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  本日は、両大臣がかりゆしを着ておられて、私もなぜ着ておられるのかよく理解できなかったんですが、閣議でそのようなかりゆしデーというものがあるということを聞きまして、大変お似合いで、また羨ましく思います。是非、閣議と言わず、議会全体でもそのようなかりゆしデーみたいなことをして、皆でそのような時を持つことができたらもっといいんではないかな、私も喜んで着てきたかったなと思って見ておりました。  今日は、午前中に財金との合同部会がありまして、財源確保法について質疑というか、参考人の質疑がありました。これは木曜日にも続けてあるということですので、今日はまず一回目ということで、私の方もこちらの方を取り上げさせていただいて、質疑をさせていただきたい、そのように思っております。  配付資料の一を御覧いただければと思います。これはもう皆さんよく見ておられるものだと思いますし、私も何度も説明を受けたものなんですが、いまだにちょっとまだ把握し切れない、頭が悪いのかもしれませんが、把握が難しいと私自身も理解しております。  この左上の五年間の防衛力整備の水準四十三兆円に対して予算額が四十・五兆円であると、そこの差額が二・五兆円であると。四十・五兆円については、この下の五角形の赤い四角というんでしょうか、五角形のところにここが含まれてくるというふうに理解しておりますけれども、この二・五兆円の差額、これは何を表しているのかということを質問したところ、自衛隊の施設の改修等の施設整備費約四兆円の一部がここに含まれるという説明を受けております。  この二・五兆円、どうしても必要な防衛力の整備に、防衛力整備の内容であれば、なぜこの四・三兆円をこの赤い部分に含まなかったのか、予算総額の中に含まなかったのかということをまず御質問させていただきたいと思います。 ○大臣政務官(金子俊平君) ありがとうございます。  鈴木財務大臣筆頭に、答弁繰り返しになると思いますけれども、今般の財源確保法におきまして、防衛力を抜本的に強化し、将来にわたって維持強化していくための必要な財源は将来世代に先送りせずに確保するという岸田総理の考え方の下、防衛力整備計画に基づきまして、令和九年度までに五年間、予算編成に、四十・五兆円の部分でございますけれども、については、令和四年度当初予算五・二兆円程度を五年間総額に換算しまして二十五・九兆円程度から増額部分の十四・六兆円部分に関しまして、このグラフでお示ししたとおり、歳出改革、それから決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛強化資金、税制措置による財源確保をすることとしております。  その上で、金子委員御指摘の予算編成に伴う四十三兆円の部分とそれから四十・五兆円の差額の二・五兆円程度に関しましては、自衛隊施設等の整備に更なる加速を進捗状況を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことに伴う一・六兆円の部分、それから、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用させていただく〇・九兆円程度とし、この決算剰余金が増加しない場合には、防衛力装備の一層の効率化、合理化の徹底等を通じて実質的な財源確保を図ることを前提としております。  具体的な財源の在り方につきましては、その時々の予算編成過程において検討させていただいて、国会の審議を経て決定するものと承知しております。 ○金子道仁君 その説明なんですけれども、まず財源のところに関しては、この二・五兆円をカバーする際に決算剰余金の上振れ分を想定すると、それがない場合には言わば防衛省の自衛隊の歳出改革をしていくということを見ると、まさにこの赤い部分の下の部分がこの二・五兆円の部分にも当てはまってくる、同じ要素を二・五兆円についても考えているように私には見えるんですね。  そういうことであれば、もう下にまとめてしまって、四十三兆円についてこれの財出を、何とか捻出していくというふうにした方が分かりやすかったのではないでしょうか。それをわざわざ分ける理由については、やはり説明を伺っても余りよく、分かりにくいと思っております。  そして、次の質問に行きますが、自衛隊の施設整備費に関して、この二・五兆円の中に含まれるということでしたが、今年度に関しては自衛隊の施設整備費や艦艇建造費四千三百四十三億円、これは建設国債によって対応したと、発行対象経費として整理されているわけです。約四千三百億円、これを掛ける五をしますと約二・二兆円となりますので、大体この二・五兆円の部分と整合してくるように見えるんですけれども、この二・五兆円というものは、将来的に建設国債発行によって財源確保を念頭に置いているわけではないんでしょうか。 ○大臣政務官(金子俊平君) ありがとうございます。  金子委員御指摘のとおり、令和五年度予算におきましては、防衛省・自衛隊の施設整備費並びに先ほど申していただきました艦船建造費に関しましては、〇・四兆円を建設公債の発行対象経費として整理をさせていただいております。その上で、令和五年度予算における防衛関係費の増額に対応する財源は歳出改革並びに税外収入で確保したところでございまして、建設公債の発行による財源確保を行ったわけではございません。  その上で、繰り返しになりますけれども、防衛力整備の水準四十三兆円程度と先ほどの四十・五兆円程度の差額である二・五兆円に関しましては、繰り返しになるかもしれませんけれども、自衛隊施設の整備の更なる加速化を、また事業の進捗状況を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことに伴う一・六兆円、また、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用させていただきます〇・九兆円程度とし、この具体的な財源の在り方については、その時々の予算編成の過程において検討をし、国会でも審議をいただくことと考えております。  ですので、今委員がおっしゃっていただきました発行対象経費の全額を単純に五倍して建設公費の発行額を見込んでいるわけではございません。 ○金子道仁君 財務省の説明によると、その今回の建設国債による四千三百四十三、これは下のグレーのBのところの財源がこれに当たるというふうに説明を受けております。ますますこれも分かりにくくて、グレーの部分を建設国債を増やすことによって上に伸ばしていけば、必然的にこの赤い台形というか五角形のところにお金が回っていくというふうにも見えますし、財源も非常に不透明ですし、その辺り、説明を何度かまた繰り返して確認させていただきたい、そのように思っております。  次に、決算剰余金の活用の項目について御質問します。  決算剰余金、五年後には約七千億円程度出てくるんではないかと。これは、毎年平均して約一兆四千億円ぐらいの決算剰余金が出ているので、その半額がここには想定できるのではないかというような説明を受けておりますけれども、毎年一兆四千億円の決算剰余金を発生させるような予算を組むというのは、まさに水増しした予算を組んでいきますというような、そういう意思表明にも見えなくもないわけですね。  決算剰余金の半額は赤字国債の発行額減額によって抑制する仕組みがありますけれども、なぜこの五年後に七千億もの決算剰余金が発生するという算定をしたのでしょうか。御説明ください。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  決算剰余金が発生する理由でございますが、まず、毎年度の予算は、予算時点の見積りに基づき、当然歳入と歳出が見合う形で作成はいたしますが、決算剰余金はしたがいまして当初から見込まれるものではございませんが、予算を執行していく中で生じます歳出の不用や、税収や特例公債等の歳入の増減が生じますことにより、結果として発生し、その金額が発生するものでございます。  すなわち、予算が執行される過程で歳出の不用や税収等の増減が見込まれてまいりますが、特例公債につきましては、特例公債法の規定に基づいて、出納整理期間において言わばその歳出不用や税収等の状況を見ながらその発行額の抑制に最大限に努めるということをしてございます。  しかしながら、最終的な税収の正確な見込みを立てることは難しゅうございますし、歳入欠陥にならないように留意しながら発行額の抑制、そうした限界の中で発行額の抑制を行うものですから、結果として一定程度の金額の決算剰余金が生じているとしたわけでございます。  このような決算剰余金につきましては、お示しのとおり、直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえ、今回、その二分の一の〇・七兆円程度を防衛力強化のための活用見込額と見込んでいるところでございます。  防衛力強化のための決算剰余金の活用はこのように過去の実績を踏まえた見込みを立てているところでございまして、委員御指摘のように、予算をあらかじめ何らか膨らますといったようなことを前提としているというわけではございません。 ○金子道仁君 御説明ありがとうございます。  今の御説明を伺いますと、一つは、歳出改革によって無駄は省かれたと、言わば、これでいうと青い部分がもっと上に行くというところ。もう一つは税収の上振れ、つまり、景気が良くなって収入が、税収が増えることによってこの決算剰余金ができるという説明だと思うんです。  であれば、この決算剰余金の活用ではなくて、この歳出改革をより増やして、かつ、その景気回復による増収を見込むというふうに書くべきではないんでしょうか。 ○政府参考人(寺岡光博君) お答え申し上げます。  委員御指摘のように、歳出につきましては、まず、このお示しの図の歳出改革というものは、当初予算において前年度に対して幾らぐらい減らせる、非社会保障関係費の中であらかじめ歳出改革を行おうというものでございます。同じ歳出ではございますが、歳出不用は、あらかじめ国会の議決をいただきまして、政府として歳出権をいただいた中で執行する過程におきまして、例えばその後の事情の変更ですとかそういったことによりまして歳出が行われなかったもの、その部分が不用でございます。その違いはあるのかなというふうに思います。 ○金子道仁君 この点については、また引き続き次回御質問させていただきたいと思います。  四つ目の問いに行かせていただきますが、歳出削減に関して、どのようにして五年後に約一兆円の歳出削減をしていくのか。今年度の歳出削減が大体二千億円と報告受けておりますが、これは、私の理解では、その歳出削減というよりも歳出の自然減というような、恩給が減ったりとか、そういうものを積み重ねたものという印象があります。  じゃ、どうやって五年後に一兆円もの歳出削減をするのかという質問をすると、政府からの答弁は必ず、行政事業レビューを行っていますと、これによって歳出削減をしていきますというふうに伺っています。ただ、この行政事業レビューに関しては、内容を確認すると、どうしても各省庁ごとのそれぞれの事業について無駄がないか、この一つ一つの事業をぎゅぎゅっと雑巾を絞るようにして無駄を省いていく、まさに今、官僚の皆さん、それをしっかりやっておられると思うんですが、省庁をまたいだ重複するような、そのような類似業務を洗い出して、重複するものは合理化していく、そのような視点の抜本的な行政改革はこれでは行えないんではないかというふうに危惧しております。  現在行っている行政事業レビューについては、省庁横断的な、そのようなレビューは行っているんでしょうか、お答えください。 ○政府参考人(湯下敦史君) お答えいたします。  行政事業レビューは、各府省庁が自ら全ての予算事業について、必要性、有効性、効率性の観点から点検を行い、その結果を予算の概算要求や執行等に反映する取組であり、つまり、御指摘のように各府省庁の取組ということではございます。  ただ、他方、統一の様式である行政事業レビューシートを用いることで、他省庁の事業も含め、類似事業の比較検討を行うことも可能となっております。  さらに、本年四月からは、EBPMの手法を取り入れ、レビューシートを抜本的に見直すことにより、事業の効果についても比較検討が更に容易になるように改善をしているところでございます。  また、概算要求提出後、各府省庁の点検が十分なものとなっているか等について行政改革推進会議が検証を行うこととしており、その一環として行う秋のレビューでは、都度、重要な課題について、同会議の決定を経て議論をしているところでございます。  例えば、令和三年度では、感染再拡大に備えたコロナ対策の検証とデジタル社会の実現、この二つを大きな柱としまして議論を行っております。令和四年度につきましては、EBPMの手法を各府省に幅広く普及させていくための今後の行政事業レビューの在り方という新しい切り口で議論を実施するなどしており、近年は御指摘のような省庁横断的な課題についても取り上げることとしております。  いずれにしましても、行革事務局といたしましては、行政事業レビューの取組の過程や成果を幅広く公表することにより、行政の透明性を確保しつつ、引き続き無駄の削減と政府の質の向上の両立を図ってまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 省庁横断的な事業についてのレビューはしているということを伺って、それについては評価しておりますし、行政改革本部がどれだけ有意義な結果を出すかというのが、これから私たちの国の財政にとっては非常に重要なことだと思いますので、是非頑張っていただきたいというか、前に進んでいただきたいと思うんですが。  質問、繰り返しになります。行政事業レビューをしている行政改革本部さんは、この事業とこの事業は省庁をまたいでいるけど同じじゃないかというようなものを把握される可能性が高いと思うんですが、そのような省庁をまたいだ類似した事業について、これは一つにまとめるべきである、統合すべきである、そのような提案というのはされるんでしょうか。 ○政府参考人(湯下敦史君) 統合が必要かどうか、まさに個々の事業につきまして議論をしていかないといけないと思いますが、私どもが考えていますのは、類似事業でそれぞれ効果が高いもの、低いものというものがあれば、比較検証していただき、それぞれの事業で改善を行っていただきたいと、そういった取組を私ども推進してまいりたいと考えております。 ○金子道仁君 今日はまだ準備がここまでしかできていないので。  ただ、例えばですけれども、幼児教育の受皿をしている幼稚園、保育園、こども園、そして認可外保育、無認可保育、いっぱいあるわけです。厚生労働省も文科省も内閣府も持っている。それぞれが例えば監査をするときに、同じような監査をそれぞれの省庁が実施しておられる。それぞれの省庁の事業に関しては効率化が図られているかもしれないけど、それ一本化すれば三省庁にまたがなくてもいいんじゃないか、そのようなことがほかにもこの国全体ではあるんじゃないかと思うんですね。  是非、行政事業レビューがその省庁をまたいだ無駄を省く、一つ一つの事業の無駄を省くじゃなくて、省庁をまたいだ事業の無駄を省くような、そのような行政改革に進んでいただきたいということを希望して、この質問は終わりたいと思います。  もう残り僅かになってしまって申し訳ございません。サイバー防衛について少しだけ御質問させていただきたいと思います。  資料の二番目を御覧ください。五年後の二〇二七年にサイバー専門部隊が四千人まで増員するというふうに承知しておりますが、この四千人への増員、これは専門知識を持っている外部人材の登用と内部からの人材の育成と、どのようなバランスを想定しておられるか、大臣に、お聞かせください。 ○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省・自衛隊としては、陸海空自衛隊の学校における課程教育や部外の教育機関の活用といった、部隊での、部内での育成を主としつつ、外部人材の活用などを共に推し進めることにより、サイバー防衛能力の抜本的強化を行うこととしております。  部内での育成に関し、防衛省・自衛隊は、隊員のレベルと役割に応じ、基礎的なものから高度なものまで様々な教育を行うことのできる基盤を有していることが強みです。今後は、専門教育等の養成者数や内容を更に拡充することとしております。また、専門的知見を持つ外部人材の活用を推進すべく、促進すべく、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備を検討しております。  いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、様々な事例を参考にしながら、既存の手法にとらわれず、取り得る手段を全て取ることにより、サイバー防衛力を抜本的に強化してまいります。  そして、バランスということになりますと、防衛省・自衛隊は、隊員のレベルと役割に応じ、基礎的なものから高度なものまで様々な教育を行うことのできる基盤を有していくことが強みであり、必要な人材を多く部内で育成することになると考えています。  いずれにせよ、既存の手法にとらわれることなく、取り得る手段を全て取ることにより、サイバー防衛力の抜本的な強化をしてまいります。 ○金子道仁君 ありがとうございます。  これからまたサイバー防衛について細かく質問していきたいと思いますが、本日はちょっと時間が限られておりますので、是非、実質的な内容の強化というところで議論をさせていただければと思っております。  先週、私、イスラエルに行ってまいりまして、サイバー防衛について、軍と、あとサイバー総局という行政と、あと民間のサイバー事業所さんと、三か所ぐるぐる回りながら、実際にどのように育成しているのかということで教えていただきました。そういったことも踏まえて、また次回、続けて御質問させていただければと思います。  ありがとうございました。 ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  五月二十日発表のG7首脳コミュニケは、我々の社会の実質的な変革のためのジェンダー主流化を深化させることにより、ジェンダー平等問題の断片化と疎外化を克服する必要性を強調するとしています。  外務大臣に伺います。  外交政策におけるジェンダー主流化を我が国としてどう進めるおつもりでしょうか。 ○国務大臣(林芳正君) ジェンダー主流化とは、ジェンダー平等の観点をあらゆる政策や制度に反映しようとする考え方であると認識しております。  G7広島首脳コミュニケにおいてもジェンダーをめぐる様々な課題が挙げられておりますが、国際社会においては、こうした諸課題の解決、さらには、より良い社会の構築のためには、あらゆる分野において女性が男性とともに意思決定の場に参画し、ジェンダーに配慮した取組を行うことが重要であるとの認識が高まっていると承知をしております。  日本政府としても、こうした国際的潮流を受けて、例えば昨年十月に開催をいたしました国際女性会議、WAW!において、新しい資本主義に向けたジェンダー主流化をメインテーマに、男女間の賃金格差から、女性や女児の尊厳、女性の防災分野への参画拡大など、様々な分野におけるジェンダーへの配慮の重要性について議論したところでございます。  また、本年のG7では、首脳会合とこれまでの全ての大臣会合の議論におきましてもジェンダーの視点が反映されております。  岸田総理も述べられておられますように、これを一過性のものとせず、国内外におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ○山添拓君 二十四日から予定されるG7男女共同参画担当大臣会合では、W7、ウーマン・セブン・ジャパンとの対話も予定されていますが、このウーマン・セブンが掲げるフェミニスト外交政策は、女性差別撤廃条約とその選択議定書を始めとする国連人権条約の完全で効果的な実施を求めています。  外務省に伺いますが、女性差別撤廃条約と選択議定書の締約国は幾つですか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  国連のホームページによりますと、女子差別撤廃条約選択議定書の締約国数は、二〇二三年六月現在、百十五か国と承知しております。 ○山添拓君 選択議定書の肝は、国内の裁判では救済されなかった権利侵害について、個人が委員会に通報できるという個人通報制度です。  発効以来の個人通報の件数、審査の結果、侵害ありとされた件数、また、その代表的な事例を御紹介ください。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  国連人権高等弁務官事務所によりますと、これちょっと若干古いデータになりますが、二〇二〇年一月時点で、女子差別撤廃委員会に通報された件数は百五十五件、そのうち、委員会による検討の結果、条約に定める権利の侵害とされた件数は三十二件となっております。  案件につきましては、例えばドメスティックバイオレンス、あとセクシュアルハラスメント、強姦など、女性に対する暴力に関するものなどが取り扱われていると承知しております。 ○山添拓君 昨年十月時点では百八十七件が登録されているということであります。デンマークやオランダなど、北欧やカナダといった人権政策が進んだ国ほど市民の人権意識も高いので、申立てが増える傾向にあるとされます。  条約違反があると認められる場合、委員会の見解、勧告が出されます。この勧告は法的拘束力はありませんが、金銭賠償や原状回復を求めるほか、一般的な勧告がなされる場合があります。  これ、一般的な勧告とはどういう種類のものがあるんでしょうか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  女子差別撤廃条約選択議定書は、第七条の四で、締約国は、委員会の見解及び勧告がある場合には、その勧告に十分な考慮を払い、かつ六か月以内に委員会に対して当該見解及び勧告に照らしてとった措置に関する情報等を書面で回答することを規定しております。  今お尋ねございました一般的な勧告につきましては、これは種々のケースがございますと承知しておりますが、それら出てきたものに対して、私どもとしては真摯に検討を行い、書面で回答することとしております。 ○山添拓君 いやいや、この条約に入った場合の、そして侵害があったと認められた場合の一般的な勧告として、例えば、法律の施行についての勧告や、あるいは法律家、法執行官に対する訓練など、そういった種類の勧告がされる場合、様々種類がありますかね。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘ございましたようなものとか、あと、そのほかにも金銭賠償や措置等を勧告することもあり得るというふうに承知しております。 ○山添拓君 例えば、ブルガリアでは、性暴力の被害者は加害者に民事の損害賠償を請求できるのですが、物理的な損害だけで、慰謝料、精神的な損害は請求できないという法律でした。そのような法律は変えるべきだという勧告が行われています。あるいは、法律家、警察官や入管職員、刑務官など法執行官も含めて、こうした人に対する研修を行うべきだと、これは多くの勧告に入っているようです。  そして、その勧告内容をどう実施するかは、勧告の後も委員会がフォローアップを行います。法的拘束力はないわけですが、勧告を手掛かりに関係者が対話を重ね、被害者の救済等、再発予防の在り方を探っていく。これは、裁判所の判決では望めない、きめ細かな在り方だと思います。  G7コミュニケで表明した、我々の社会の実質的な変革のためのジェンダー主流化、あるいは大臣から、女性に対するエンパワーメントという言葉もありました。この選択議定書の勧告の在り方、その実施の在り方というのは、こうしたG7コミュニケでも表明したジェンダー主流化に資するものだと思いますが、いかがでしょうか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  G7サミットのコミュニケにございますのは、これはG7各国で今年協議、調整した上でまとめたものでございますので、日本としても、日本政府といたしましても、その方針の中でコミュニケの内容をフォローしていくということだと思います。  また、女子差別撤廃条約につきましても、我が国は締約国でございますので、その規定を誠実に、これまでも遵守してきておりますが、引き続き遵守していくことになると考えております。 ○山添拓君 いや、選択議定書は入っていませんから、で、今問題にしているわけですよ。選択議定書の権利侵害についての通報ですね、個人通報、そして侵害ありと認めた場合の勧告、勧告のフォローアップ。一般的な勧告として、当該権利侵害を受けたという個人に対する金銭賠償だけではなく、制度としての変革も求めていく。しかも、それも一方的に求められるというだけではなく、委員会と締約国との対話を通じてフォローアップされていく。こういう在り方がジェンダー主流化を実現していく上でも資するものではないかという質問なんですが。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、我が国は選択議定書の締約国にはなっておりませんので、女子差別撤廃条約に基づいて設置されている女子差別撤廃委員会から個人通報制度に基づく情報に関してどのように対応するかといった点については検討すべき種々論点があると考えておりますので、引き続き関係省庁と連携しつつ、真剣に検討していきたいと考えております。 ○山添拓君 意義についてもなかなかお認めにならないんですけれども。  いや、政府も早期締結が必要だということを姿勢としては示してこられているわけですね。だからそんなに頑張られる必要ないと思うんですよ。大事なものだと思うんですね。  ところが、批准はされず、二〇二一年九月に国連に提出された報告では、まあいろいろと検討課題があるんだといって、個人通報制度関係省庁研究会で通報事例を可能な限り収集し、研究を行っているとしています。  資料の二ページ以下を御覧ください。これがその研究会の二〇一六年八月の記録です。委員の皆さんには、二の四という、少々字が小さいですが、ページを御覧ください。その左側ですね。最高裁で確定した判決の効力を否定するような勧告がされるのかという質問に報告者が答えています。委員会の審査は最高裁に対する四審ではないので基本的にはそのようなことはない。ただし、フィリピンの例、強姦の被害を告訴したのに裁判に七年も掛かった挙げ句、被告人が無罪となったことを不服として申立てがあった例では、確定判決は尊重するが、裁判所の条約解釈が間違っているという結論となり、裁判官のジェンダーバイアスをなくすよう研修を強化すべき旨の勧告を行った例もあるとされています。  この資料は、婦団連、日本婦人団体連合会が開示請求によって入手したものです。見ていただければお分かりのように、報告者、これは女性差別撤廃委員会の委員長を務められた林陽子さんの説明ですが、その報告者の説明部分が黒塗りにされているんですね。何か都合の悪いことでも言われたんですか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  この手続につきましては、情報公開請求に基づいて外務省において当時審査し、内容、法に合致して開示すべきところにつきましては開示させていただき、開示できないところにつきまして、法に照らして開示できないところにつきましては黒塗りにさせていただいた次第でございます。 ○山添拓君 いや、開示できないといっても、様々検討を行っている、その中で報告者から説明を受けた部分ですから、これはちょっと説明になっていないと思うんですよ。  研究会は、この後三回開かれていると伺っています。それぞれ、いつ、何をテーマに行われたんですか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  三回と申しますのは、その後、第二十回は二〇一九年四月の二十三日、第二十一回につきましては二〇二〇年の八月二十七日、第二十二回につきましては二〇二一年の八月二十六日に開催されております。  いずれも、内容につきましては最近の事例研究や同制度をめぐる最新の状況となっております。 ○山添拓君 二十年ずっと事例研究されているんですよ。  三回の研究会の記録については当委員会に提出されたいと思います。 ○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。 ○山添拓君 国連への直近の報告が二一年の九月です。それ以降、政府としてはどのような進展があるんですか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、その間も関係国等における動向等を随時情報収集等を行っているところでございます。 ○山添拓君 いや、その収集の結果、まだ検討は全然進んでいないのですか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、この女子差別撤廃条約の選択議定書の加入につきましては種々検討すべき論点があるところから、検討を鋭意関係省庁とともに進めているところでございます。 ○山添拓君 では伺いますが、二〇二〇年三月の当委員会で外務省は、実施体制の検討課題があるんだと、それは何かと問われて、国連見解が出たときの窓口をどこにするのかということだとお答えだったんですね。  三年たちました。窓口決まりましたか。 ○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。  まだ検討の途中でございます。 ○山添拓君 大臣、これは、ちょっといつまで検討しているんだということになると思うんですよ。第五次男女共同参画基本計画、選択議定書の早期締結について真剣な検討を進めるとあります。早期というのはいつですか、大臣。 ○国務大臣(林芳正君) 今、山添委員からございましたように、第五次男女共同参画基本計画には、女子差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進めるとされております。  今、様々に御議論いただきましたが、この個人通報制度、これは条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えております。これも御議論いただきましたが、一方で、この制度の受入れに当たって、我が国の司法制度それから立法政策との関連での問題の有無、それから同制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題、こういうものがあると認識をしております。  こうした論点、検討課題が存在をするところ、女子差別撤廃条約選択議定書の締結の見通しについてお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。 ○山添拓君 時間が参りましたので終わりますが、資料の一枚目を最後に御覧ください。毎年、全国各地で請願署名が取り組まれ、国会に提出されてきました。当委員会では、二〇〇一年から、解散の場合を除いて長年採択されてきましたが、最近では二〇一七年に維新の会が保留とされ、その後は自民党が保留とされて採択されずに今に至っております。  今国会も閉会が近づいております。各会派、請願審査は行われていることと思います。早期締結と言いながら政府が尻込みをしている今、国会の姿勢が問われておりますので、各会派の良識ある判断を求めて、質問を終わります。 ○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  お配りした資料、沖縄タイムスの記事を御覧ください。二〇二二年中に警察が検挙した在日米軍人軍属等による刑法犯の検挙件数百六件のうち、半数を超える五十四件が沖縄県で発生した事件でした。  まず、浜田防衛大臣に、過半数が沖縄であったことの受け止めを伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 米軍による事件、事故はあってはならないものであり、防衛省としては、累次の機会を捉え、米側に対し、隊員教育、綱紀粛正や再発防止の徹底を図るよう申し入れてきているところであります。  日米同盟の維持強化あるいは在日米軍の安定的な駐留には地元の御理解と御協力が大前提であり、沖縄を始めとする地元の方々との信頼関係が損なわれることのないよう、今後とも日米間で協力して事件、事故の防止に取り組んでまいりたいと考えます。 ○高良鉄美君 地元の協力というのは、こういう犯罪のときにどうすればいいんでしょうかね。こういう問題もあると思います。  今お答えになったように、合衆国軍隊構成員による事件、事故は本来起きてはならないものであり、政府としては、米側に対して綱紀粛正等を随時働きかけており、その防止に向けて引き続き米側とともに取り組んでまいりたいと政府の方は答弁されました。  これまで、事件、事故が起こるたびに政府は再発防止、綱紀粛正と繰り返されてきたわけですけれども、実効性がなく、起きてはならない事件、事故は起き続けています。基地が集中する沖縄の県民は、米軍関係者による事件、事故の危険にさらされているわけです。  米国側に実効性のある対応を求めるべきだと思いますが、林大臣に御決意をお伺いします。 ○国務大臣(林芳正君) 米軍人等による事件、事故、これは地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、起きてはならないものであります。  政府としては、米側に対して、綱紀粛正等、様々な機会に随時働きかけてきております。私自身、今年一月の日米2プラス2、また六月一日ですが、オースティン国防長官いらっしゃったときの会談時など、様々な機会を捉えて米側に対して事件、事故での適切な対応について求めるなど、高いレベルでも米側とやり取りをしておるところでございます。  今後とも、こうした事件、事故の防止に向けて、より実効的に取り組むべく、米側と協力してまいりたいと思っております。 ○高良鉄美君 非常に県民の人権が侵害されているという認識で、やはり今、林大臣おっしゃられたように、米側にきっちりと言うと、言うべきことは言うというのはこれすごく大事なことだし、それから人権感覚、あるいは人権の保障をしっかりする国だということをアピールするためにも、アピールといいますかね、こういうことを訴えるためにもしっかりとその辺は米側と話をしてほしいと思います。  資料一の方ですね。昨年十月、ヘリテージ財団は、二〇二三年度版米軍事力評価報告書において、米軍に対する総合評価は初めて弱いとしました。この報告書は、二つの大きな紛争に同時に対処する能力を測定したものということです。そもそもアメリカは、二〇一二年のオバマ政権の時代に、二か所の大規模紛争に同時に関与する能力を持つことを断念しています。  政府は、今回の安保、戦略三文書の作成に際し行ったシミュレーションにおいて、米軍が世界の複数の地域で大規模な戦争状態に入ることを想定したシナリオはあったのでしょうか。仮にそういうシナリオがなかったとすれば、日本の戦略を現実的に考えるのであれば、有事において米軍が頼みにならない事態は高確率であり得ると想定する必要があると思いますが、浜田大臣の御見解を伺います。 ○国務大臣(浜田靖一君) 米国シンクタンクの報告書の内容の一つ一つに政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。  その上で、防衛省は、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で、自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証しています。  今般の国家安全保障戦略等の策定に際しても、国民の命と暮らしを守り抜くためいかなる防衛力が必要か検証する観点から、最も烈度の高いと想定される我が国への侵攻事態等への対応について、能力評価等を通じた分析を行ったところであります。  その詳細についてお答えすることは差し控えますが、日米安全保障条約第五条を前提とした上で、我が国に対する侵攻には我が国が主たる責任を持って対処し、米軍はこれを支援するとの日米の基本的役割分担を踏まえて検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げました。  政府としては、米国が日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いています。国民の命と暮らしを守り抜くため、我が国が自らの防衛力を抜本的強化することによって、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化させていく考えです。 ○高良鉄美君 今日の午前中の財金との連合審査でもありましたけれども、やはり外交もということをどれだけ外にアピールしてあるのか、日本はこういう姿勢ですということが非常に私は大事なことでないかなと思っています。そういう意味では、もう防衛力だけ米国頼みということはとても難しくなってくるんだろうと、今後。そういったときに、じゃ、日本だけずっと伸びていきますかというと、そういうわけにはもういかないだろうと。そこの中にあるのは、やはり近隣諸国との関係をしっかり外交で頑張っていくということが重要じゃないかなと思っています。  それでは、ちょっと最近のテレビにもありましたけれども、五月三十一日の朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮から衛星が打ち上げられ、墜落したことが韓国合同参謀本部や朝鮮側の報道で明らかにされました。資料で配っております。  このことは、五月二十九日に朝鮮側から、衛星発射のため、五月三十一日の零時から十一日零時までの間、黄海、東シナ海及びフィリピン東方の太平洋に危険区域の設定が通報されていました。これも資料の方で地図がありますので。そのため、周辺国は冷静に対応したと思います。  ところが、防衛省は、弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令を出し、PAC3部隊による迎撃を準備したと承知しています。このことは今月一日の本委員会で福山議員が取り上げられましたので、実際には配備はされていなかったということは理解しております。衛星への弾道ミサイル等の破壊措置命令の発出に、この国の安全保障を防衛省に任せて大丈夫なのかとさえ思いました。本当は安全だと分かっていたのではないでしょうか。分かっていなかったなら、相当深刻な状況と言わざるを得ません。  北朝鮮と言えば、衛星であっても破壊措置命令を出して問題ないと思われているのでしょう。私もテレビをちゃんとスマホで撮りました。ずっと、北朝鮮ミサイル、もうそのことがずっと書かれているんですね。メディアも、落下した後も危機をあおる報道をしていました。  これまでJアラートも、頻発というんですかね、余りにも出し過ぎて、そして、しかも通過した後とか、もう落下した後とか、あるいは非常に遠くのことについてアラートが出ると、こういう状況がありましたけれども、防衛省にお尋ねしても恐らくこれまでの会見や答弁の繰り返しですから、答弁を求めませんけれども。  外務大臣にお尋ねします。  岸田総理は、五月二十七日に行われた北朝鮮による拉致問題の国民大集会で、金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談実現に意欲を示し、首脳会談を早期に実現するため、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい、私は、大局観に基づき、地域や国際社会の平和と安定、日朝双方のため、自ら決断すると、より踏み込んで表明されました。  この発言について朝鮮側は、我々は岸田首相が執権後、機会あるごとに前提条件のない日朝首脳会談を望むという立場を表明してきたことは知ってはいるが、彼がこれを通じて実際に何を得ようとしているのか見当が付かない、二十一世紀に入り二度にわたる朝日首脳会談が行われたが、なぜ両国関係が悪化の一途をたどっているのかを冷静に振り返ってみる必要があるとした上で、日本は言葉ではなく実践行動で問題解決の意思を示さなければならないと述べています。  先ほど述べた防衛省の対応もそうですが、高等学校の授業料無償化や幼保無償化からの排除、在日朝鮮人へのヘイトスピーチやヘイトクライムへの政府の対応が問われています。外務大臣が人道上重要と述べられた朝鮮被爆者問題もたなざらしです。在日朝鮮人への差別解消が対話の前提条件になっていることは、所信質疑でも述べたとおりです。  岸田総理が表明された直接対話の実現に向け具体的にどのように取り組まれるのか、林大臣の御決意を伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 北朝鮮への働きかけに関する具体的な中身については、まさに今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えさせていただきますが、我が国の北朝鮮への対応に関しては、先月二十七日に開催された国民大集会で、今委員からも少し御紹介がありましたが、総理が述べられたとおりでございます。  総理はこういうふうに述べられておりまして、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すが、とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題はひとときもゆるがせにできない人権問題である、引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでいくと、こう述べられております。  そして、総理は、日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代切り開いていくという観点からの総理の決意、これをあらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと考えていると述べられております。  そして、大局観に基づいて、あらゆる障害を乗り越えて、地域や国際社会の平和と安定、そして日朝双方のために総理自ら決断してまいると、こう述べられたところでございます。 ○高良鉄美君 是非、普遍的価値ということで常々法の支配ということを日本政府おっしゃって、この間のG7でもそうでしたけれども、やはり人権問題とかそういった問題については、もう率先して日本がアジアの中でアピールをするんだということぐらい前に出て、是非、朝鮮民主主義人民共和国との間も、もちろん韓国との間、大分良くなっているというお話がありましたけれども、そういったところでアジアの唯一のG7の国だということも、是非前進をさせていただきたいと思います。  林大臣は、今年一月の外交演説で、国際社会の平和と繁栄を支えてきた自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や国際秩序が厳しい挑戦にさらされているとした上で、普遍的価値を守り抜く覚悟だと述べられました。  G7サミットでは、普遍的な価値、共通の価値を実感されたのでしょうか。死刑制度を存置していること、同性婚や別姓婚を認めないこと、難民認定率の低さと申請者の処遇など、人権に関わる我が国の制度は普遍的価値を共有するG7諸国と乖離していると言わざるを得ません。  例えば、今まさに法務委員会で審議されている入管法改正案は、法の支配にかなっておらず、G7の国々と普遍的価値を共有していません。また、死刑制度を存置しているのも日本だけです。五月三十日、死刑制度、死刑廃止に取り組んできた田鎖弁護士のフランス教育功労勲章授章式で、ブロソー参事官は、二〇〇一年の第一回死刑廃止世界会議で採択された宣言の一部を引いて、一節を引いて、死刑は復讐が正義に勝ることを意味し、全ての人の一義的権利である生きる権利を侵害するものである、死刑が犯罪を抑止したことはない、死刑は拷問であり、残虐で、非道で、卑劣である、死刑を運用する社会は象徴的に暴力を推奨していることになる、人の尊厳を大切にしている社会は死刑を廃止する努力をなさなければならないと紹介されました。これが、G7のみならず、国際社会の普遍的な共通の価値だと思います。  日本が締結した人権条約についても、条約機関からの勧告が守られているとは言えない状況です。締結に法的拘束力がないことは当然ですが、締約国には条約実施義務があり、憲法九十八条二項には条約遵守義務が規定されています。法的拘束力がないことを殊更に強調、主張することは、誠実に遵守しているとは言えません。  死刑制度も家族法も入管制度も外務省所管ではありませんが、国際的なこの人権の潮流や国際機関からの勧告など、理解が深まる努力を外務省として行う必要があると思いますが、大臣の御決意を伺います。 ○国務大臣(林芳正君) 我が国は、国際人権諸条約の締約国として、条約が定める義務を誠実に履行してきていると、こういうふうに考えておるところでございます。  また、我が国は、各条約に基づいて定期的に政府報告を提出しておりまして、各条約に基づき設置された委員会が同政府報告を検討するに際しても、政府全体として誠実に対応してきております。また、委員会から公表される総括所見等につきましては、外務省ホームページに掲載をしているところでございます。  私といたしましても、国際社会において日本の考え方が正しく理解されるように引き続き力を尽くすとともに、日本らしい人権外交を進めてまいりたいと考えております。 ○高良鉄美君 やはり、日本らしい今外交とかおっしゃられました。世界の国々が、国際的に日本が信頼される、その中でリードしていきたいというような旨のお話もあったと思います。  ですから、信頼を得るための行動というものはやはり国際社会の中で得られるものだと思いますので、例えば常任理事国のお話ですね、安保理事会の。これも、やはり日本に対する期待というのは、アメリカ、イギリス、フランスと同じような期待でもないし、ロシア、中国に対する期待でもない。どちらでもない、日本らしい、まさに日本に期待しているのは、どちらとも違うものを期待していると思うんですね。それがやっぱり、平和国家としての日本と、憲法の平和主義をしっかりとしている日本、そして日本国民もそうなんだと。ですから、日本の経済界、特に商社は諸外国に出ていって一生懸命やっているわけですよね。それが結局は、外務省にいろんな情報を与えながら、やっぱりうまくいっていると思います。  そういう意味では、是非とも外務省頑張っていただいて、国際社会の中で日本らしい外交を展開していただくようお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。 ○委員長(阿達雅志君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。     ───────────── ○委員長(阿達雅志君) 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件及び世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。林外務大臣。 ○国務大臣(林芳正君) ただいま議題となりました三件につきまして、提案理由を御説明いたします。  まず、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件は、平成三十年十二月二十日に条約が採択されました。  この条約は、商事紛争の解決方法としての調停の利用を促進するため、調停による国際的な和解合意の執行等に関する枠組みについて定めるものです。この条約の締結により、調停の利用が促進されることは、外国からの投資の誘致及び我が国企業の海外展開に資するものであり、我が国の経済発展の見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件は、令和四年六月九日に協定が採択をされました。  この協定は、国際コーヒー機関の組織、コーヒーに関する情報の交換、持続可能なコーヒー産業の実現のための国際協力及び官民連携等について定めるものです。この協定の締結は、コーヒーの安定的輸入の確保に資すること、開発途上にあるコーヒー生産国の持続可能な開発を支援すること等の見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件は、令和四年六月十七日に議定書が採択されました。  この議定書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正し、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業につながる補助金の禁止等について定める漁業補助金に関する協定を追加すること等について定めるものです。この議定書の締結は、世界的な漁業資源管理の促進、多角的貿易体制の更なる発展及び世界経済の持続可能な成長に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。 ○委員長(阿達雅志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会