第211回国会 衆議院 文部科学委員会 第3号 令和5年3月15日 令和五年三月十五日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 宮内 秀樹君    理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君    理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君    理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君    理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君       青山 周平君    五十嵐 清君       石橋林太郎君    上杉謙太郎君       勝目  康君    柴山 昌彦君       鈴木 貴子君    田野瀬太道君       谷川 弥一君    辻  清人君       中曽根康隆君    丹羽 秀樹君       深澤 陽一君    古川 直季君       穂坂  泰君    本田 太郎君       山口  晋君    山本 左近君       義家 弘介君    荒井  優君       梅谷  守君    菊田真紀子君       白石 洋一君    牧  義夫君       吉川  元君    金村 龍那君       高橋 英明君    早坂  敦君       平林  晃君    山崎 正恭君       西岡 秀子君    宮本 岳志君     …………………………………    文部科学大臣       永岡 桂子君    文部科学副大臣      簗  和生君    文部科学大臣政務官    山本 左近君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君    政府参考人    (文部科学省高等教育局私学部長)         茂里  毅君    文部科学委員会専門員   中村  清君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   中曽根康隆君     本田 太郎君   船田  元君     五十嵐 清君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐 清君     船田  元君   本田 太郎君     深澤 陽一君 同日  辞任         補欠選任   深澤 陽一君     中曽根康隆君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)      ――――◇――――― ○宮内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長茂里毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ――――――――――――― ○宮内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。中曽根康隆君。 ○中曽根委員 おはようございます。自由民主党の中曽根康隆でございます。  今日は、この貴重な質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。  本日の議題は私学法の改正でありますけれども、本題に入る前に、一つ、関連でお伺いしたいことがあります。これは個人的に非常に危惧をしている問題でありまして、まず、そちらについて文科省にお答えをいただきたいというふうに思います。  私が伺いたいのは、高等教育の修学支援新制度の機関要件の見直しについてでございます。  御案内のとおり、二〇二〇年に始まった高等教育の修学支援新制度、これは、しっかりとした進路への意識とか、又は進学意欲があれば、経済的に進学することが困難な学生でも大学、短大、高専、専門学校に進学できるチャンスを確保できるように設けられた、学生個々人を支援する制度でございます。  具体的に申し上げると、住民税非課税世帯又はそれに準ずる世帯の学生に対して、授業料、入学料の免除、減額、さらには返済不要の給付型奨学金の支給など、多くの学生にとって、ある意味、命綱となっている大変重要な制度でございます。  一方で、学生がこの支援を受けるためには、その対象となる学校に進学しなければこの支援は受けられません。どこでもいいというわけではないんですね。学校側は、その対象機関となるために、定められた要件を満たしていることが条件となっております。  この度、この修学支援新制度が見直されて、二〇二四年度よりこの機関要件が厳格化されることが決まりました。今回の見直しにより、収容定員の充足率の変更がありまして、直近三年度全ての収容定員の充足率が八割以上でないと対象とならないということになりました。  この見直しによって、今後、本制度の対象でなくなる大学が出てくる可能性があるわけでありますし、それすなわち、学生側にも大きな影響があるというふうに考えております。  まずお聞きしますけれども、なぜこれは厳格化するのか、今回の見直しの目的を教えていただきたいというふうに思います。 ○池田政府参考人 お答え申し上げます。  教育未来創造会議の第一次提言では、少子化が進展する中で、地域や学生のニーズを踏まえた学部等の再編や大学全体としての規模の抑制を図る仕組みの導入の必要性が述べられるとともに、大学の経営困難から学生を保護する観点に立って、収容定員充足率が八割以上の大学とするなどの機関要件の厳格化が提言されました。  これを受け、文部科学省の有識者会議におきまして、制度設計の検討を行い、この提言の方向性に沿いながらも、同時に、一定程度の定員割れがあったとしても、質の高い教育を行う大学等が修学支援新制度の対象外とならないようにするなど、要件の改正案について報告書を取りまとめたところでございます。 ○中曽根委員 ありがとうございます。  学校側の経営の問題又は定員割れの問題、そういったところがあるから今回見直しがあるという話ですけれども、この修学支援新制度というのは、さっき申しましたけれども、学生個々人への支援が本来の趣旨であります。大学の状況がどうであるかというのは、学生の責任ではありませんし、進学を希望している学生には別に何の罪もなく、関係のないことと言えばそれまでであります。  たとえ定員に満たない学校でも、学生が、あの先生の下で学びたいんだとか、あの学校でしか学べないこの分野について学びたいんだ、そういった学生の選択肢を奪うことにもなりかねないんじゃないかということを危惧をしております。  また、定員割れの学校というのは地方に多いというふうに認識をしていますけれども、この傾向が更に進むと、地方の大学のほとんど、多くが定員割れとなって、地方で修学支援新制度の対象となる大学というのが国立大学だけになってしまうんじゃないかということも考えられます。そうなれば、当然、地方の学生たちは、地方で支援を受けられる学校がないので、結局、都心の学校を選ばざるを得なくなる。  しかし、そもそも、修学支援を必要としている学生たちというのは、その地域から出て、都心で暮らしながら学校に通うなんということは、経済的な面から見ても難しいというふうに思います。結果として、地域の子供たちの進学機会を失うことになりかねませんし、高等教育の進学率が落ちれば、当然それは国力全体の低下につながるおそれがあるのじゃないかというふうに考えております。  大学を含めた教育機関の質を上げること、これは大事ですし、安定的な経営を求めることも大事ですけれども、それというのは、いわゆる修学支援新制度ではなくて、ほかの制度で取り組むことであって、さっきも言いましたけれども、学生に特に関係のない大学の経営の話において、学生の将来の選択肢を奪ったり、又は進学そのものの機会を奪うものであっては絶対にならないというふうに考えております。  この制度が学生の経済的支援を狙いとするものであるのであれば、むしろこの機関要件は、厳格化するんじゃなくて、緩めたっていいぐらいのものであるかもしれないと思っております。もちろん、文科省として、限られた予算の中で全力で支援をしているのは重々理解をしておりますけれども、今後、この新制度、見直しの開始後に状況を注視していく上で、もし必要であれば、この機関要件の厳格化、これをまた見直す、そういった検討の余地があるのかどうか、お答え願いたいと思います。 ○池田政府参考人 お答え申し上げます。  今回の見直しにつきましては、先ほど申し上げたように、文部科学省に有識者会議を設置し、具体的な制度設計を検討してまいりました。  この会議の報告書では、制度創設当初の想定よりも出生数が大幅に減少するなど急速な少子化の進展により、中長期的に十八歳人口が減少する中、定員充足率だけでもって対象機関とするか否かを判断する場合、委員御指摘のとおり、特に地方において高等教育の選択肢を狭めることにつながりかねないとの指摘がございました。  このため、定員充足率という現行制度の枠組みは継承しつつも、定員割れがあったとしても、質の高い教育を行う大学等が修学支援新制度の対象外にならないようにするなど、報告書においては、進学、就職率や都道府県知事等の関与という新たな要素を加え、調和を図ったところでございます。  改正後の要件による制度の運用は令和六年度から行ってまいりますが、文部科学省としては、今後とも、人口減少社会の中で、質の高い高等教育と全国各地における高等教育の選択肢の確保との両立を図るべく、必要に応じた機関要件の見直しも含め、この修学支援制度のみならず、高等教育行政全体で取り組んでまいりたいと考えております。 ○中曽根委員 ありがとうございます。  今、東京一極集中ということが言われていますし、地方創生というのもずっと政府として力を入れてやっています。いわゆる地方創生において一番大事なのは、その地域にいかに情熱を持った若者たちがしっかりと根差して、その地域を盛り上げていくかということだと思います。本当は自分の地域の学校へ行きたいのに、支援が受けられないから都心に出るしかないとか、そういったことというのは、ただ単に文科行政のみならず、日本全体の国益を失することになりますし、一極集中をより高めることになりますので、今局長がおっしゃった包括的な判断の中で、どうやったらモチベーションのある優秀な生徒が地域に残って自分の学びたいことを学べる環境をつくっていけるかというのを、是非とも考えていただきたいというふうに思います。  私立大学というのは、地方の人材養成を担うための重要な拠点としての役割も担っております。今おっしゃったとおりで、いわゆる定員の充足率を過度に重視してしまうと、そういった意味で、地域の発展とか、独創的、先進的な、せっかくやっている地域大学の取組というのが台なしになってしまうこともあります。経済的な支援を必要としている学生が安心して自分の未来に合った学校を自由に選択できるような制度に是非とも今後もしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本題の私学法に移りたいと思います。  皆様御存じの福沢諭吉先生の言葉で、私立為業という言葉があります。これは、官に頼らず、私立でできることは私立で行うことが独立した個人を形成し、ひいては独立した国家を実現できるというものであります。  福沢諭吉の創設した慶応義塾を始め、明治初期から、私立学校の果たす役割というのは極めて大きく、大変優秀な人材を世の中に輩出をしてまいりました。そして、そういった学校の創設者又はマネジメント層、幹部たちというのは、非常に崇高な理念と明確な教育方針を持った人格者たちであったというふうに思います。  一方で、時代を今に戻しますと、ここ数年、私立大学絡みの不祥事がメディアをにぎわせることがあります。先ほど申し上げた先人たち、教育に情熱を注いで、人材こそが日本の未来を切り開くと信じて我が国に私立学校の礎を築いてきた先人が聞けば嘆き、落胆するような事件であります。  こういった不祥事のケースというのは、もしかしたらごく一部の大学の例外的な事象であるという見方もあります。しかし、これまで、問題があるとしながらも改正されてこなかったこの私学法が法人制度の機能不全を起こしているとも考えられるわけであります。  学校法人運営によって、設置した学校が期待される教育や研究成果を十分に上げているのか、定員割れへの対応をどうしているのか、又は、不祥事の防止などコンプライアンスや適切なガバナンスがされているのか。我が国の公教育を支える私立学校が社会の信頼と支援を得て一層発展していくために、今まさに実効性のある改革を進める必要があると考えております。  まず、今回の改正の背景とポイントを大臣にお答えいただきたいと思います。 ○永岡国務大臣 中曽根委員にお答え申し上げます。  今回の改正は、我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるために、社会の要請に応えながら、自らが主体性を持ってガバナンス改革を推進するためのものでございます。  学校法人のガバナンス改革につきましては、累次の閣議決定や令和元年の改正時の附帯決議等に基づきまして、これまで学校法人制度改革特別委員会等におきまして審議をいただきました。  執行と監視、監督の役割の明確化、そして分離を基本的な考え方としつつ、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の各権限を明確に整理をいたしまして、建設的な協働と相互牽制を確立することで、実効性のあるガバナンス構造を構築することが求められております。  このような観点から、今回の改正案におきまして、大臣所轄学校法人等において、解散や合併等の基礎的変更事項については、理事会の決定とともに評議員会の決議を要することとするほか、理事の選任、解任を行う機関を各法人の寄附行為で明確化するとともに、評議員会による理事の解任請求を認めること、そして、監事の地位の独立性と職務の公正性の確保の観点から、監事は評議員会が選任すること、そして、役員近親者の監事就任を禁止すること、また、評議員会の構成等の適切化、それから、これまでの不祥事事案等を踏まえまして、役員等による特別背任罪等の刑事罰を新設することなど、学校法人の管理運営制度の抜本的な改善というものを図ることとしております。 ○中曽根委員 大臣、御丁寧な御答弁、ありがとうございます。  今まさに大臣の御発言の中でもあった、主体性を持ってガバナンス改革をしていくと。各学校が率先して、自分たちの意思によって、主体性を持ってやっていくというのは非常に大事だというふうに思います。決して、押しつけられて改革をしなきゃいけないというものであっては、恐らくうまくいかないんだろうというふうに考えております。  そういった中で、二〇二一年に有識者会議がまとめた改革案というのは、私学団体からの強い反対意見が出て、その後、学校法人制度改革特別委員会というのが設置をされて、今回の改正案は、当事者である私学団体と丁寧な合意形成がなされていると認識をしておりますけれども、改めて確認しますが、現場の、学校側の理解が得られているものという認識でよろしいのでしょうか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  二〇二一年に開催されました学校法人ガバナンス改革会議におきましては、評議会を最高監督、議決機関とするなど、これまでにない全く新たな役割分担を含む改革方策を御提言いただいたところでございます。これにつきましては、私立学校制度の根幹を支えてきました建学の精神を継承するという仕組み、これが機能しなくなるのではないかという強い懸念が示されたところでございます。  今回の改正は、当該会議で提言されました業務執行と監視、監督の役割の明確化と分離という、その基本的な考え方は維持しつつ、建学の精神の尊重など、学校法人の持つ独自性などに十分配慮し、現場への影響に鑑みた見直しを加えたものとしてございます。  今回の法案提出に当たりまして、各私学団体と丁寧な意見交換を行ってきたところであり、これらの私学関係団体を始め関係者の理解が得られるものと考えてございます。 ○中曽根委員 ありがとうございます。  丁寧な議論を重ねてきて、私学団体の意見も踏まえつつ、かつ当初の、本来の目的もしっかりと維持しているという、しっかりとした改正案になっていることが分かりました。  学校法人の持つ独自性、そういったものに配慮して、関係者の合意形成を丁寧に図りながら、今回は一旦これでしっかりと改正案としては出ますけれども、引き続き、現場の皆さんとも意見交換をしながら、コミュニケーションを取りながら、着実に学校法人のガバナンス改革を進めていただける、そういったものにしていただきたいというふうに思います。  私立学校を設置している法人といっても、その規模は様々であります。この改正法案の適用対象について、一律ではなく、規模の区分を新たに導入するというふうになっておりますけれども、先ほども話の出た、どこまでが大臣所轄学校法人であって、どこからが知事所轄学校法人の対象になるのか、明確な区分はどのようなものになるのか、考えを教えていただきたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  対象となります法人の要件や基準につきましては、事業の規模や事業を行う区域について政令で定めることとしております。他の法人制度も参考に、今後、関係者の意見も伺いながら、丁寧に検討してまいりたいと思います。  現時点におきましては、事業の規模といたしまして、法人の事業活動等の収入十億円又は負債二十億円以上とすること、そして、事業を行う区域といたしましては、三地域以上の都道府県において学校教育活動を行っていることとし、この両方の要件や基準を満たすことを想定してございます。 ○中曽根委員 ありがとうございます。  規模や区域、そういったものを鑑みてという話でありました。  今のお話にもありましたけれども、今後関係者の皆さんと意見交換をしながらというキーワードがありましたけれども、そこは非常に大事なものでありまして、この規模、区域を決めて、ある意味線引きをすることも大事ですけれども、引き続きコミュニケーションを取りながら、現場に寄り添った制度にしていただきたいというふうに思います。  知事所轄学校法人でも、全国的に展開する大規模な法人などもあると思います。こういった場合、大臣所轄学校法人と同等の扱いをされるというふうになっておりますけれども、ここでも、この対象となる法人の要件とか、また基準を明確に示す必要があると思います。  要するに、大臣所轄法人であっても小規模もあれば、逆に、知事所轄であっても大規模もある、ここら辺のこの要件、明確にする必要があると思いますけれども、ここら辺について教えていただきたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  繰り返しになる部分もございますが、これから検討するに当たりましては、様々な団体の御意見を拝聴してまいりたいと思います。  その上で、現時点で考えておりますのは、まずは、事業の規模といたしまして、収入面で十億円以上であったり負債面で二十億円を超えるものであったり、そういったことを考えてございます。また、区域も大事でございまして、広域で活動する、そういった学校法人についても対象としていく必要があろうかと思ってございます。  この二つの要件を、どうパラレルというか、整合を取りながら考えていくかにつきましては、先ほど申し上げましたように、関係者や、また有識者の意見などもしっかりと伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。 ○中曽根委員 ありがとうございます。  知事所轄法人が、大臣所轄法人と同じように規制や制限が行われてこれまで以上の負担が生じないように、慎重な対応が必要であると思いますし、経過措置についてもできるだけ細やかに設けるなど、しっかりとした対策を是非ともお願いをしたいというふうに思います。  当然、線引きするわけですから、ある基準を明確にして、それが規模、区域、お金の問題。ただ、そういった中で、線引き上はこっちなんだけれども実態はとか、しわ寄せがどうしても現場に来るケースも必ず出てくると思いますので、そこら辺も丁寧なコミュニケーション、意見交換を心がけていただきたいというふうに思います。  続いて、理事と評議員の兼職禁止についてお伺いをしたいと思います。  今回、理事や評議員の確保、これも年々厳しい傾向にある中で、理事と評議員の兼職禁止という規定が盛り込まれることになりました。趣旨は当然理解ができますけれども、先ほどの話にもちょっと絡みますが、小さい法人などでは、なかなか、それぞれ適任者の確保というのが大変になってくるような気もいたします。  ここら辺について、文科省としてのお考えを教えてください。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  理事と評議員の兼職につきましては、理事会と評議員会の役割を明確化し、執行と監督の機能を分離するというガバナンスの基本構造を踏まえれば、兼職関係を解消していくことが必要だと考えてございます。  現行制度におきましては、評議員会の独立性を確保する観点から、理事を兼ねる評議員が過半数を占めることを防ぐために、評議員を、理事定数の二倍の数を超える数、これを選任しなければならないとしてございます。今回、理事と評議員の兼職を禁止することに伴いまして、改正後は、評議員定数は理事の定数を超えればよいとしてございます。  したがいまして、多くの法人におきましては、理事兼職者ではない評議員につきまして、その構成要件を満たしている限り、各法人ごとに様々な工夫が講じられるものと考えてございます。 ○中曽根委員 ありがとうございます。  ガバナンス強化という意味において、理事と評議員をしっかり分ける、役割を明確にする、再定義するのは非常に重要であると思いますし、これは必要なことであると思います。  様々な経歴を持った外部人材が法人の理事、評議員に加わって、その学校の教育や研究などに関する十分な情報提供がされた上で、その理事、評議員の見識が反映されるような体制になれば、これまでの法人運営に大きな転換をもたらして、直面する多くの課題にも対応できる契機になるというふうに思っております。  同時に、今回の改正で、評議員はこれまで以上に権限というか役割を持つことになり、すなわち責任も増すことになります。  これはちょっと事前通告していないので、もしお答えできたらで構わないんですが、権限の分配の見直しがあるわけですけれども、最終的な権限と責任、これは一体誰が持つのか。理事会、理事長、評議員とあるわけですけれども、そこら辺の整理について、もし分かればお答えいただければと思います。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今回の改正につきましては、これまでも御答弁申し上げましたように、意思の決定機関というものは理事会、そして、諮問的な機関として意見を言うとか、様々な人事に対してのチェックを行うということで評議員会という、このたてつけは維持してございます。  その上で、実際に法人運営を行っていただくわけでございますが、執行機関は理事会でございますので、執行機関である理事会が最高の意思決定機関であると同時に、執行機関として法人全体の役割を代表して果たしていくことになろうかと思います。  実際、理事会を総理するのは理事長でございますので、理事長が責任を持って法人運営に当たるということになろうかと思います。 ○中曽根委員 あくまでも執行機関は理事会であって、そしてそのトップである理事長というのが最終的な責任者であるということは、一つ明確にしておきたいと思います。評議員というのはあくまでもチェック機能であるということが、今また分かったと思います。  理事にしても、評議員にしても、結局、一番大事なのは個人の資質であるというふうに思います。経営管理システムを改善したところで、最終的には人の問題であります。権力を行使できる立場の人間がしっかり、そういった人間であるほど謙虚であるべきだと思いますし、こうした人々が自律的に誠実な行動を取っていくということが何よりもガバナンス的には重要なことだというふうに思っております。  時間も大分来ましたので、最後に一言だけ申し上げて終わりにいたしますけれども、今回の私学法の改正というのは、必要な改正であることは間違いありません。一方で、教育機関として、学校法人が、あるいは大多数のきちんとしている法人というのがその手足を縛られ過ぎないようにすることも非常に重要なことであるというふうに思います。私立学校の自主性を損ねず、先ほど話にもありましたとおり、設立の経緯や建学の精神などが尊重されることがしっかりと担保されているということが大前提となります。  そして、この度の私学法改正において、やはり最も重要なことは、先ほど来から出ているガバナンス強化も含めた組織の健全性、体制の健全化はもちろんでありますけれども、何よりも、その学校で学ぶ学生たち、そういった学生たちにとって今回の改革がプラスになるということを一番肝に銘じておかなくてはいけないというふうに思っております。  繰り返しになりますけれども、やはり、学校側の制度を変えていく、学校の質を上げていく、学校の経営をよくしていく、こういったことは、これからの未来を担っていく学生にとっては正直関係ないことでありまして、自分たちにとって、とにかく、修学の機会が少しでも増える、選択肢が広がる、そういった方向になるというのが大前提の下で、こういった学校の改革をしっかりと、大人たちが大人たちの責任においてやっていくということが大事になってくるというふうに思います。  不祥事のケースなどをもって新たに焦点が当たったこういった問題で、これを契機として、しっかりと私学法というものが改正されて、プラスのいい方向に進むのは大歓迎でありますけれども、今申し上げたとおり、未来ある若者、これを、一部の資質なき幹部人材であるとか又は組織体制不備の犠牲者としないためにも、政府には、今後の状況を、推移をしっかりと注視していただきたいというふうに思っております。  やはり、教育全体を見ても、日本というのは、いわゆる天然資源というものがなかなかない、海外に依存している中で、人というものが最大の資源であるというふうに言われております。  今、教育というものが大きく転換しようとする中で、いかに学生たちが主体性を持って、自分の学びたいことを学んで、そして長所を伸ばし、そういった人たちが、いかに自分の地域を盛り上げ、又は世界で活躍するような人になるか、イノベーションを生んでくれるか、これにまさに日本の三十年、四十年後が懸かっているわけであります。  そういったときに、地方に住む学生たち、そして、経済的になかなか自分では自立できないけれども、公助があれば自分のポテンシャルを最大限に生かせる可能性を持っている学生たちが、その機会を是非ともつかめるような、そういった、冒頭の話になりますけれども、修学支援制度もそうでありますし、今回、この私学法の改正によって、しっかりとガバナンスの利いた健全な学校で学べる、そしてそれが、生徒たちの、ある意味、マイナス影響にならないような、すばらしい、徹底した私学法の改正、学校のガバナンスというのをやっていただきたいというふうに思います。  もう残り一分になりましたのでやめますけれども、あくまでも、国の将来を担う子供たちにとって大変重要で、そして重大であるこの改革が速やかに、かつ確実になされるよう期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、鰐淵洋子さん。 ○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。  本日は、私立学校法の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。  大臣始め、文科省の皆さん、よろしくお願いいたします。  まず、法案の具体的な質問に入ります前に、私立学校の意義、果たす役割について確認をさせていただきたいと思います。  私立学校の歴史を遡りますと、江戸時代、寺子屋や私塾、家塾、私学などと呼ばれる民間の教育の場がつくられまして、その頃から既に多様な教育が行われております。そして、明治五年、一八七二年に学制が公布された後、私立学校の名称が正式に用いられるようになりました。  さらに、戦後の教育改革の推進の中で、私学の基礎を確実にするには、学校の経営主体の健全な発達を助成し、これに公共的、民主的性格を付与することが必要と考えられ、昭和二十四年、一九四九年に私立学校法が制定されております。この私立学校法によりまして学校法人制度が創設されて、現在に至っていると承知をしております。  私立学校では、それぞれの建学の精神に基づきまして、個性豊かな活動が展開をされており、多様な人材を輩出しております。  そして、今では、私立学校に在籍する学生生徒等は、その割合は、大学、短大で約七割、高等学校で約三割、幼稚園で約九割を占めており、私立学校は質及び量の両面から我が国の学校教育を支えていると思っております。また、個人からしましても、私自身も私学出身でございますが、これまで学ばせていただいたこと、また経験が自分自身の土台になっていると思っております。  改めまして、私立学校の意義や果たす役割について、永岡大臣の御見解をお伺いしたいと思います。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  私立学校でございますが、まずは、公の性質を有する学校でありまして、国公立学校とともに我が国の教育制度の一翼を担っている、そう認識をしております。  その上で、私立学校では、それぞれの建学の精神に基づきまして、本当に個性豊かな活動が展開されております。我が国の学校教育の発展、普及、また多様化するニーズに応じた特色ある教育研究の推進に重要な役割を果たしまして、質及び量の両面から我が国の学校教育を支えております。  こうした私立学校の果たす役割の重要性に鑑みまして、文部科学省では、私立学校の振興を重要な政策課題として位置づけております。学校法人の制度の改善でございますとか、また、教育研究条件の維持向上、そして修学上の経済的負担の軽減に努めているところでございます。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  今、大臣の方からも私立学校の果たす役割を述べていただきました。ありがとうございます。  私立学校がこれからも社会の信頼を得まして、発展し続けていくためにも、社会のニーズに応えることも重要であるかと思っております。今後また具体的に考えられることは、やはり、豊かな人生を送るためのリカレント教育、こういったことも更に求められると思いますし、また、そのほか、デジタル、グリーン等の成長分野、これを牽引していくというところでも、やはり私立大学の果たす役割も大きくなってくるかと思います。また、先ほども地方創生というお話がございました。こういった地方を担っていく人材の輩出、これもまた大きな役割になってくると思います。  いずれにしても、更に、私立学校の求められる役割、果たす使命は大きくなってくるかと思っております。その社会のニーズに応えることが大前提ではあるんですけれども、ですから、そもそも、社会、また学生から不信感を高めるようなことがあってはならない、これはもう大前提だと思っております。その上で、今回、学校法人のガバナンス改革、これはもう最重要課題だと思っております。  そこで、本法案の趣旨につきまして、永岡大臣にお伺いをしたいと思っております。 ○永岡国務大臣 今回の改正は、我が国の公教育を支えます私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるため、社会の要請に応えつつ、自らが主体的に、そして実効性のあるガバナンス改革を推進するためのものでございます。  こうした目的に向けまして、執行と監視、監督の役割の明確化、分離を基本的な考えとしつつ、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の権限の明確化や選任、解任の手続を定めるとともに、監事や評議員会の理事会へのチェック機能、これの強化というところが大変重要だと思っております。学校法人の管理運営制度を抜本的に改善をするということでございます。 ○鰐淵委員 ありがとうございます。  本法案につきましては、私も政務官をさせていただいたときから検討がなされているもので、今ちょっといらっしゃいません、池田前副大臣も一緒に協議をさせていただいたこともございました。  そういった過程の中で、学校法人ガバナンス改革会議の取りまとめた提言につきまして私学側から様々な懸念が示されるなど、ここに来るまでに紆余曲折、様々な経緯があったと承知をしております。こういった様々な声がある中で、関係者間の意見調整をしっかりと行っていただいて、その上で最終的に現在の案に落ち着いたと承知をしております。  そこで、改めまして、この法案をめぐるこれまでの経緯と、検討過程の中で問題となった議論のポイント、これをお伺いしたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  学校法人制度につきましては、累次の法改正を経てガバナンスの強化を図ってまいりましたが、令和元年、私立学校法改正の際の国会の附帯決議や、閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針におきまして、更なる改革の必要性が示されたところでございます。  これらを踏まえまして、文部科学省に設置いたしました学校法人ガバナンス改革会議において検討を進め、令和三年十二月に、理事に対する監督、牽制を重視し、評議会を最高監督、議決機関に改めるなどの提言をまとめていただきましたが、私立大学関係者を始め各方面からは懸念が寄せられたところです。  こうした状況を踏まえ、関係者の合意形成を丁寧に図るため、大学設置・学校法人審議会の下に設置しました特別委員会におきまして、私学関係者の参画を得て改めて議論を行い、学校法人の沿革や多様性に配慮をし、かつ社会の要請に十分応え得る、実効性のある改革案をおまとめいただき、この度の法案提出に至ったところでございます。 ○鰐淵委員 ありがとうございます。  今御紹介もありましたけれども、当初は評議員会を最高監督、議決機関にするという案でございました。この評議員会を意思決定機関とする案について、なぜこの案を採用することができないのか、その理由についても確認をさせていただきたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  学校法人ガバナンス改革会議の報告では、評議員会を最高監督、議決機関とするなど、全く新たな役割分担を含む改革方策を御提言いただいたところでございます。これにつきましては、先ほども御答弁いたしましたが、私立学校制度の根幹を支えてきた建学の精神を継承するという仕組みが機能しなくなるのではないかとの懸念が示されたところでございます。  私立学校は、我が国の学校教育の発展、普及や、多様化するニーズに応じた特色ある教育研究の推進に重要な役割を果たしておりますが、これは私立学校がそれぞれの建学の精神に基づき個性豊かな活動を展開していることによるものであり、こうした建学の精神を尊重すべきという点が、学校法人が他の法人と大きく異なる点でございます。  各学校法人における建学の精神は、私財を投じた創立者やその関係者を含む理事会メンバーにおいて受け継がれてきた背景がございます。こうした性質を有します理事会が意思決定機関として学校運営を行っているという前提があり、その前提により安定的、継続的に学校教育活動を行うことができていると承知しているところでございます。  以上のような学校法人の独自性に鑑み、今回の改正におきましては、意思決定機関は理事会であり、評議員会は諮問機関であるという基本的な枠組みは維持しつつも、評議員会におけるチェック機能を最大限強化することとしたところでございます。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  先ほどから御答弁いただいていますとおり、こうした検討を経て現在の法案ができ上がっているということでございますが、この現在の改正案におきましても、評議員会に一部の議決権が認められているなど、評議員会の権限がこれまでに比べてかなり強化されたものになっていると思っております。  言うまでもなく、先ほども御答弁いただきましたが、私立学校の建学の精神、多様性が大変に重要でございますので、評議員会の権限を強化するという今回の改正案によりまして学校法人の建学の精神が損なわれるという危険性はないのか、まだそういった懸念の声もございますので、この点についてどうか、お伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 今回の改正では、理事会と評議員会の建設的な協働の実現を目指しまして、両者の意思決定権限の分配を見直すことを目的としております。これは、評議員会が理事長や理事会へのチェック機能をしっかりと果たすべきとの考えに基づくものでありまして、従来の理事会の権限、責任を前提としながら、これに対します評議員会による牽制機能を強化することを意図するものでございます。  改正後におきましても、意思決定、執行機関が基本的に理事会であることには変わりはございませんし、建学の精神が脅かされるということにはならないと考えております。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  先ほどから申し上げているとおり、学校法人の建学の精神が損なわれないか、この声をいまだにいただいておりますので、今大臣からも、改正後においても意思決定、執行機関が基本的に理事会であることは変わりない、建学の精神が脅かされることはないという御答弁でございましたので、改めて、この点はしっかりと関係者の皆様にも丁寧に説明、周知をしていただきたいと思っております。特にこの点が、やはり今もいただいている声の一つでもありますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。  また一方で、現在の法案は当初案と比べまして改革が後退し過ぎたのではないか、そういった声も一方でございます。  残念ながら、前回、令和元年の私立学校法改正以降も学校法人の不祥事は発生をしております。せっかく改正を行いますのに、不祥事を防止できないようであれば、全く意味がございません。今回の改革によりまして学校法人の不祥事はしっかりと防止できるようになるのか、お伺いしたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  これまでに不祥事が生じた学校法人では、不透明な理事の選任手続、あるいは評議員会の形骸化、あるいは内部通報や通報者保護の仕組みの未整備などが課題となってございます。  今回の改正案におきましては、これらに対応するため、理事選任機関が理事を選任すること、監事の選任を評議員会の決議によって行うこと、評議員会の牽制機能を強化すること、役員の親族等の評議員就任の制限をかけること、内部統制システムの整備の義務化などなど、権限が特定の者に集中することを防ぐ仕組みと同時に、執行部に対するチェックの実効性を確保する仕組み、こういったものを講じておるところでございます。  このような取組によりまして、不祥事の防止に資する効果的な制度を整備することができるものと考えております。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  繰り返しになりますが、建学の精神が損なわれることがないように、しっかりと配慮しつつ、しかし、社会の信頼を得ていくためには、そして発展し続けていくためには、不祥事を防止することが大変に重要でございます。主体的にというお話もございますが、しっかりと主体的にガバナンス改革に取り組めるようにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、視点を運用のフェーズに移してまいりたいと思いますが、改正後の私立学校法は、大臣が所轄する大学等を設置する学校法人と、都道府県知事が所轄する高校以下を設置する学校法人とで従うべき規律内容が分かれているなど、複雑な制度設計となっているかと思っております。学校法人に必要な準備を着実に進めてもらうためにも、制度改正の現場である各学校法人や都道府県への周知、説明を丁寧に進める必要があると考えております。  改正法施行までの間、今回の制度改正の趣旨や内容の周知等をどのように進めていくのか、対応また方針をお伺いをしたいと思います。 ○茂里政府参考人 今回の制度改正によりまして、全国全ての学校法人において、寄附行為の改正や新制度の要件を踏まえた理事、評議員等に関する人事など、相当程度な作業が発生することが想定されてございます。  新制度の効果を最大限発揮させるためには、所轄庁である都道府県や各学校法人が今回の制度改正の趣旨や内容をしっかりと理解するとともに、学校法人が自ら率先してガバナンス改革を行っていただく、こういったことが重要だと考えてございます。  そのため、文部科学省におきましては、政省令の制定に合わせまして、学校法人や都道府県向けの説明会の実施、あるいはモデルとなる寄附行為例の作成、そして寄附行為変更に関する個別法人相談の充実など、様々な取組を積極的に行ってまいりたいと思います。  今回の改正の趣旨が関係者にしっかりと伝わるよう、趣旨の徹底に努めてまいりたいと思います。 ○鰐淵委員 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたとおり、この新制度、効果を最大限に発揮するためにも、やはり関係者の皆様の御理解、御協力が重要になってくるかと思っております。  その上で、もう何度も繰り返しになりますが、主体的に、学生のために、また社会に貢献するという点でしっかりとした改革が行われるように、こういった事前の準備が大事になってくるかと思います。特に、個別法人相談、これも丁寧にやっていただきたいと思いますので、それぞれ、大学によっても地域によっても課題はまちまちですので、御丁寧に対応していただきたいということを改めて重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  学校法人が社会の信頼を得まして、持続的に発展していくためには、社会の信頼に値するガバナンスを備えることが必要でありまして、そのために一定程度のガバナンス強化が必要であることは全くそのとおりであると考えております。その意味で、本法案によるガバナンス改革は妥当な内容になっているかと思っております。  他方で、ガバナンス改革自体が自己目的化することは避けなくてはならないと思っております。  前回改正時に追加された、現行の私立学校法第二十四条にも、学校法人の責務として、設置する私立学校の教育の質の向上を図るよう努めなければならないとされております。  ガバナンス改革は、あくまで、私立学校の教育研究の質を向上するための手段の一つにすぎないと考えております。今回のガバナンス改革の成功の鍵は、理事会、評議員会を始め、学校法人運営に関わる全ての方が、設置する学校の教育をよりよくしようとする共通認識の下、また学生第一、この認識の下、相互に牽制し合いながらも、対立するのではなくて、協働して一体となって学校法人運営を行っていくことが何よりも重要であると思っております。  教育研究の質を向上させるための学校法人運営の鍵は対立ではなくて協働である、協働が重要であると考えておりますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。 ○永岡国務大臣 私立学校のガバナンス改革は、ほかの政策手段と相まって、私立学校の教育研究の質の向上をさせるための一つの重要な手段になるものと考えております。  今回の改正におきましては、執行と監視、監督の役割を分離することを基本的な考えとしておりますが、理事会と評議員会の対立を意図するものではありません。理事会と評議員会が互いに、相互に牽制をし合いながらも建設的に協力して、時には議論し合い、充実した、納得感のある学校法人運営、これを目指すものであるというものでございます。  各学校法人がこうした制度改革の趣旨をしっかりと認識しつつ、建設的な協働による適切なガバナンス改革が行われますように、文部科学省といたしましてもしっかりと取り組んでまいります。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  今回の改革が、各学校におきましても、やはり、創立の原点、建学の精神、その下で、長い、すばらしい歴史の積み重ねがあると思いますが、その上で、今回、この改革を機に改めてその原点に返って、大学自体も次のステップに進む上で大事な機会にもなるかと思っております。また、そう受け止めていただけるように、文科省としても、そういった環境整備も含めてお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、法案から少し視野を広げまして、私立学校振興について質問させていただきたいと思っております。  現下の極めて急速な少子化の進行は、各大学における教育研究上あるいは経営上の努力や工夫によって乗り越えることが困難なほどの経営環境の悪化をもたらしかねない、深刻な状況にあるかと思います。  令和四年の出生数は、速報値で、御存じのとおりと思いますが、調査開始以降最少の七十九万九千七百二十八人となっておりまして、我が国はまさに、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれております。  今後、少子化の進行が我が国の教育にどのように影響を与えていくのか、現時点では正確に予測することは困難ではございますが、いずれにしましても、私立学校については、今後厳しい状況に置かれていくことが想定をされております。  しかし、その中でも、社会のニーズを捉えて、社会で活躍する人材を育成している私立学校に対しましては、しっかりと支援をしていく必要があると考えております。  その意味で、成長分野を牽引する大学、高専の機能強化に向けた三千億円の基金は、意欲ある私立大学が改革に踏み切れるような後押しになると考えております。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。 ○永岡国務大臣 デジタル、グリーンなどの成長分野の人材育成は喫緊の課題であることから、成長分野を牽引します大学、高専の機能強化に向けまして、令和四年度補正予算において約三千億円を措置し、新たに基金を創設いたしました。  本事業は、複数年度にわたります継続的な支援を行う仕組みを構築することによりまして、意欲のある大学、高専が成長分野において学部編成等の改革に踏み切れるように支援をするものでございます。  文部科学省といたしましては、私立大学の重要性に鑑みまして、本基金によります支援を通じて、時代と社会の変化に応じて積極的にチャレンジをする私立大学をしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  今国会も、少子化対策また子育て支援が一つの大きな議論と、テーマとなっております。そういった中で、限られた人の中で、どう育成していくか、また、学生を含めてどのように活躍できる社会をつくっていくかと思ったときに、やはりこの私立大学の果たす役割も大きくなってまいりますし、そういった中で、私立大学も、建学の精神を基に更に発展していくための支援ということで、こういったことも大変に重要になってくるかと思います。  少子化対策という観点からも、是非、子育て支援という観点からも、私立大学の充実ということで、しっかりと文科省としても引き続き支援をお願いしたいと思っております。  他方で、改革の意欲が不十分で、結果として、定員未充足等によりまして財務状況が悪化しているという私立大学につきましては、経営悪化から学生を保護する観点に鑑みまして、あくまでも学生を保護する観点から、計画的な規模の縮小だったり、また、自主的、円滑な撤退等を求めた経営判断を促すことも必要になってくるかと思います。  これは基本的にあってはならないことだと思っております、まずは学生第一に考えていかなければいけないと思っておりますが、この点につきまして、文科省の見解と今後の取組についてお伺いをしたいと思っております。 ○永岡国務大臣 私立学校が定期的にその質の向上を図るためには、各学校法人が、社会の変化やニーズを踏まえ、自ら経営力を強化していくことがより一層重要になると考えております。  文部科学省では、学校法人の自主的取組を促しつつ、令和元年度から、新たな財務指標を設定をいたしまして、直ちに経営改善が必要な法人に対しては、改善計画の策定や改善状況の確認などを行いまして、集中的にきめ細やかな指導を実施しているところでございます。  また、令和四年度より、経営指導を実施してもなお経営改善が十分でない法人に対しましては、大学等の破綻により在校生が不利益を受けることがないように、計画的な規模の縮小ですとか撤退なども含めた経営判断の検討を求めるなど、改善に向けた経営指導の強化を図ったところでございます。  今後とも、経営悪化傾向にある学校法人に対する経営指導の在り方につきまして、改善のための検討を行いまして、学生を保護する観点から、その取組を充実強化をしてまいります。 ○鰐淵委員 ありがとうございました。  やはり、学生の立場からしますと、自分の大学、また卒業した大学が撤退しますということは本当に残念なことでありますし、そういった意味では、是非、頑張っている私立大学を社会全体で支えられるように、文科省としてもその機運醸成をお願いしたいと思っております。  人口減少、少子高齢化、これはしっかり止めていかなければいけないんですが、ただ、それまでに少し時間もありますし、そういった意味では文科省もしっかり注視をしていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げたいと思います。  冒頭にも述べさせていただきましたが、私立学校は、我が国の学校教育におきまして大変大きな役割を果たしております。なくてはならない存在になっているかと思います。こうした私立学校におきます教育の質を向上させまして、更なる発展につなげていくためには、学校法人が一丸となって、さらには我が国の私学全体が、私学界全体が一丸となって取り組んでいく必要があるかと思っております。今回のガバナンス改革が私立学校の教育研究の質の一層の向上につながるものとなるように、しっかりと制度運用していただくように文科省としても引き続き取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  繰り返しになりますが、やはり私立大学自体も自ら変わっていくいいチャンスにもなるかと思いますので、是非とも、文科省ももちろんですが、社会全体で改革ということで、一緒になって取り組んでいけるような制度運用をお願いしたいと思いますので、最後、それを要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。  大変にありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、柚木道義君。 ○柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。  質問の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。  私学学校法改正案についてたくさん通告しておりますが、ちょっと先に、逆に、マスクルールが月曜から緩和されている部分と、あと、前回ちょっと通告しながらできなかった簗副大臣への質問を先に終わらせて、通告どおり入りたいと思いますので、よろしくお願いします。  今朝、もう既に様々な報道が、マスクルール緩和について報道されております。そのことも踏まえて質問させていただきたいと思います。  四月の一日、新学期、新年度に向けてということで、世の中は三月十三日からマスクルール緩和。ただ、なかなか初日は、実際、都内でも八割ぐらいの方がマスクをして出勤あるいは登下校されていたりと、いろいろな報道が出ていますが、文科省ですから、学校現場を中心に伺いたいんですが、四月一日以降は、私は、もう今週中にも、新学期に、新年度に向けて、現場は間に合わないので、通知を出してくれということを述べてまいりましたが、あさって、十七日にも全国の都道府県委員会に通知が出る、そういう報道も出ておりまして、是非お願いしたいんですが、その十七日の通知、出していただけるのかも含めて、出していただける場合には、例えば、ちょっと三点ほど確認します。  前回の質問でも、私、例えば、満員電車と満員バスで、世の中、あるいは業者さんの対応が違ったりすると、児童生徒、私の上の子もそういう形で通学するので、混乱するので、このとき、満員電車、満員バス、登下校時や混雑時はマスクをするのかどうなのか。  あるいは、下の子がコロナ入学なんですよ。小一から三年間、ずっと黙食、マスクをして、続けてきました。これは新年度からどうなるのか。  さらには、卒業式、まだ今でも行われていますね。三月十三日、マスクルール緩和以降、そして、あさって仮に通知が出るのであれば、それ以降の卒業式、そして入学式につながっていく中で、例えば校歌斉唱、歌ということでいえば部活などでの合唱、こういったものがノーマスクでいいのかどうなのか。  こういった点について、是非、全国の学生、保護者の皆さん、教職員の皆さんに分かりやすく御答弁をお願いいたします。 ○永岡国務大臣 二月十日の政府対策本部決定におきまして、学校におけますマスク着用の考え方の見直しは、学校ですと四月一日から適用いたしまして、それ以降の学校教育活動の実施に当たってはマスク着用を求めないことが基本とされたところでございます。  文部科学省といたしましては、この方針を踏まえまして、円滑な移行を図る観点から、四月一日以降の新学期におけるマスク着用の考え方につきまして、改めまして教育委員会や学校等に対しまして周知することを考えております。  その際、先生おっしゃいましたように、合唱など比較的感染リスクが高いとされている活動につきましては一定の感染症対策を講じることが望ましいと考えておりまして、具体的な対策を示すなど、学校現場におきまして安心して教育活動が実施できるように取り組んでまいりたいと考えております。  そして、各学校の新年度からの対応に間に合うよう、可能な限り速やかにそれをお示ししたいと考えております。 ○柚木委員 今週中に間に合うという意味では、だって、教育委員会から出て、学校に出て、しかも、二十一日、祝日ですから、今週中に出していただけるということでよろしいですか。 ○永岡国務大臣 各学校の新年度からの対応に間に合うよう、可能な限り速やかにお示ししたいと考えております。 ○柚木委員 これは通告もしていますので、もうちょっと具体的にお答えをください。  うちの子供の例も申し上げましたが、これは、黙食、通告をその他もしておりますが、黙食だけじゃありません。マスクを着用をしたい、あるいは、する事情がある生徒児童さんもおられますから、そういった方は当然していただくわけですが、一方で、発達段階におけるコミュニケーションの取り方、いろいろな課題、弊害も出てきておりますので、その中で、皆さんもそうだと思いますよ、給食の時間って一番楽しみなんですよね。コミュニケーションの場ですよ。黙食で、私も参観日に行ったときも、本当にこれは、何しろ取ったことないんですからね、これまで、三年前に入学した子供たちは、うちの子も含めて。取るのが怖いというお子さんもおられる。取っても静かに黙食しているという学校もある。  これは、黙食のときはノーマスクで大丈夫になるんですか、新年度から。お願いします。 ○永岡国務大臣 具体的なマスクの取扱いや活動の場面ごとの留意事項につきましては、改めて教育委員会や学校等に対して周知をすることとしておりますけれども、その内容等につきましては現在検討しているところでございます。 ○柚木委員 これは国会の場ですよ、委員長。各社報道していますよ、もう具体で。報道はされていても、国会で答えていただけない。全国の児童生徒、保護者、教職員に責任持って答弁してくださいよ。給食、換気を確保し、机を向かい合わせる場合には一メートル程度空ければ黙食不要、ノーマスクでオーケーなんじゃないんですか。いかがですか。 ○永岡国務大臣 内容等につきましては、現在検討をしているところでございます。そして、新年度からの対応、これは、しっかりと間に合うように、可能な限り速やかにお示しをしてまいります。 ○柚木委員 これは委員長、ちょっと、抗議します。各社が報道していますよ、具体的に。文科省から話が出ていなかったら、そんなもの出るわけないじゃないですか。何で国会で答弁できないんですか。  これでは法案質疑に入れません。 ○永岡国務大臣 私ども文部科学省としては、具体的なことに関しては検討中でございまして、各社に発表したという事実はございません。 ○柚木委員 これはひどい答弁ですよ。うちの娘はあさって卒業式ですよ。十七日に通知が出るんですよ、その日に。その日の卒業式、どうなるんですか。  ここには、校歌でも合唱でも、もうノーマスクでオーケーと出ていますよ。十七日の卒業式、ノーマスクで……(発言する者あり)いやいや、これまではマスク着用を推奨するでやってきたんですよ、十三日より前は。ノーマスクでオーケーだと、合唱も含めて、報道されていますよ。十七日以降、仮に十七日に通知が出たら、その日以降の卒業式、合唱、ノーマスクでオーケーになるんですか。御答弁ください。 ○永岡国務大臣 今私が申し上げたのは、四月一日以降、新学期のことでございます。もう既に、三月の卒業式のことは、皆様方に、御承知のことと思いますけれども、しっかりと対応ができる、発表しておりますので対応ができる、そう思っております。 ○柚木委員 これは詳細にやり取りしていますので。特例扱いでこれまでは扱いが卒業式もなされてきましたが、もうこれは、十七日に通知が恐らく出るんでしょうけれども、まさにうちの娘も卒業式で、私は国会ですから行けませんが、ノーマスクで、特例ではなくて、卒業式で校歌斉唱も行える、そういうことでよろしいですか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  文部科学省といたしましては、四月の一日以降についてのマスクの適用範囲というものは、これは発表もお示しもしているわけではございません。そこで、新年度からの対応に間に合うように、可能な限り速やかにお示しをしたい、そう考えている次第でございます。 ○柚木委員 どういう場面で今後マスクの着用を推奨する場面があるのかといえば、校歌の斉唱、卒業式がまさに歌で合唱なわけですが、部活など、当然、合唱団とか、そういう、歌を合唱するケースがあるわけですね。どういうケースで今後マスク着用が推奨される場面があり得るのか。これは昨日も通告でかなりやり取りしておりますので、新年度以降に向けて、どういう場面でマスク着用を推奨し得るのか、御答弁をお願いいたします。 ○永岡国務大臣 学校の先生のマスクの着用につきましては、実際、表情が見えづらくなるとか、声が聞きづらくなるとか、そういうコミュニケーションへの影響というものがありまして、大変不安視をする声があります。子供たちに話しかける教師の表情が見えなかったり、また子供たちに安心を与えるものというふうに実は考えております。四月以降につきましては、学校教育活動の実施に当たりましてマスクの着用を求めないことを基本としていることから、教師につきましても着用を求めないことが基本と考えております。  そして、他方で、新型コロナに限らず、やはりインフルエンザなどを含めまして感染症が流行している場合などにおいてはマスクを着用することも考えられるところでありまして、そのような場合には、地域の状況に応じてマスクの着脱を柔軟に御判断いただきたいと考えております。  その上で、学校から児童生徒や保護者に対しまして丁寧な説明を行いまして、そして理解を求めることが重要と考えております。そういった取組が可能となりますように、文部科学省といたしましても、新学期におけるマスクの着用の考え方をしっかりお示しするとともに、様々な機会を通じまして教育委員会や学校に対する積極的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。 ○柚木委員 これはその次の答弁なんですよ、今のは。私が伺ったのは、大臣、それから、ちょっと事務方もちゃんと渡してあげてくださいよ、答弁を耳打ちするんだったら。今のは次の答弁なんですが、それはちょっともう一遍やります、学校の先生方のマスクの着脱。  それから、私がもう一つ問うても、それまで多分御答弁されましたけれども、基本的にノーマスクになっていく流れの中で、しかし、まさに御家族に高齢者が同居、あるいは医療、介護、エッセンシャルワーカーが御家族におられる、病気持ちの方がおられる、そういうお子さん、生徒さんはマスクされてくる。あるいは、そういう生徒さんがおられるクラス、みんな、友達、家に遊びに行ったり遊びに来られたりで分かっていますよ、家族構成も、ある程度、どんな仕事をしているか。思いやりを持って、そういうときにはマスクをするように、お互いが、まさに教育上、思いやりを持ってそういう場面、やるようにしようよと。それを先生が率先垂範してやっていただきたいということから、先生方のマスクの着脱を問うたわけですよ。コミュニケーションの問題もあるからと、後、続いていくわけですね。それは後の答弁。  どういうときにマスク着用を推奨し得るのかということを問うて、その中で、例示として合唱ということが一つの、まさに卒業式の校歌斉唱、国歌斉唱、あるいは合唱団、部活あります、そういう例示をいただきたいという意味で、合唱を始めどういう場面でマスク推奨し得るのか。これについて御答弁をお願いします。 ○永岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、学校現場での円滑な移行、これはマスク対策ですけれども、図れますように、具体的なマスクの取扱いや活動の場面ごとの留意事項につきましては、改めて周知することとしております。  その内容につきましては、今現在検討しているところでございますので、しっかりと新年度に間に合うように、これは可能な限り速やかにお示しをしたい、そう考えております。 ○柚木委員 もうちょっと誠意を持った答弁をしてください。昨日通告、あれだけやり取りしているんですから。やり取りしていますよ。  合唱場面というのは、合唱団の団体も含めて、そういうところが出す方向性と、ほかの、前回厚労副大臣に出てきていただいたときに、各業界団体、業種、業態、コミュニケーションを取りながら、まさにそこに、例えば学校ではマスク着用で合唱するけれども、合唱団に行ったらノーマスクになるとか、逆だったりすると生徒児童が混乱するから、そういうことも含めてちゃんと調整をして、今、基本はノーマスクの方向に行っていると思うんですね。ですから、じゃ、合唱の場合も基本的にはマスク着用が不要になる、そういう形でいいのであればそう答弁してください。そうでないのであればそのようにお答えください。 ○永岡国務大臣 合唱など比較的感染リスクが高いとされている活動につきましては、一定の感染症対策を講じることが望ましいと考えております。  具体的な対策を示すというのは、今現在ではちょっと、これは検討しておりますので、新年度からの対応に間に合うように、可能な限り速やかにお示しはしたいと考えております。 ○柚木委員 ちょっともう時間がありませんので、簗副大臣を二回連続飛ばすわけにはいきませんので。この私学学校法の質疑にも絡むので、ちゃんと御答弁いただきたいんですね。学校への指揮監督権ありますからね、この私学学校法上も。  それで、まさにこの間論点になってまいりましたLGBT理解増進。これは、一昨日も文科大臣、我が党の参議院議員に、LGBTの教育現場における理解増進に省として積極的に取り組んでいる、私も全部読んでいますから、議事録。私も予算委員会でも御質問申し上げました。  そういうことを考えたときに、まさに文科行政の副大臣が、LGBTは種の保存に背く。これは、謝罪、撤回、辞任された杉田政務官とどこが違うんですか、発言。こういう発言をされたのは、副大臣、事実ですか。 ○簗副大臣 今日配付されましたその資料に、その報道、そういうものがなされていることは承知しておりますけれども、当該の会議は非公開という形式で行われたものですから、その内容等に関するものであったり、それに関連する質問については、お答えは差し控えたいと思います。 ○柚木委員 それでは、聞き方を変えます。  LGBTは種の保存に背くというお考えをお持ちですか。 ○簗副大臣 今の報道の関連として今御質問があると思いますので、先ほど来申したように、当該の会議に関することにつきましては、回答は差し控えたいというふうに思います。 ○柚木委員 駄目ですよ。ちょっと、そんなのじゃ駄目ですよ。ここは国会ですよ。党の部会のことについてメディアが取材して、発言しましたか、どうですかということを聞いているんじゃない。お考えを聞いているんですよ。ちょっと、こんなのじゃ駄目ですよ。お願いします。  委員長、今のような答弁は、到底、国会で国民に対する説明責任を、文科省はLGBT理解増進を進めているんでしょう。委員長、LGBTは種の保存に背くというお考えを簗副大臣がお持ちかどうか、答えさせてください。 ○簗副大臣 私は今、文科副大臣という立場ですから、文科省の方針等についてお答えをする立場にあります。  文科省としましては、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要と考えております。  文部科学省においては、学校教育や社会教育における人権教育を通して、多様性に対する理解、自他の人権の尊重等の態度を育む取組を進めるとともに、教職員向けの啓発資料や支援の事例を提供するなどの取組を進めてきております。  こうした取組について引き続き文部科学省として推進することが必要と認識をしております。 ○柚木委員 文科省の方針と文科省の副大臣が違う発言、お考えをお持ちかもしれないから聞いているんですよ。文科省の方針を今、口でぺらぺら読まれましたが、そうでないことを発言されたり考えている人が、文科行政の推進をする立場にふさわしいんですか。  まさにこれは、LGBTは種の保存に背くというのは、杉田さんは謝罪、撤回しましたよ。傷つかれた方々に謝罪し、そうした表現を取り消す。そして、そのまさに内容については、彼ら彼女らは子供をつくらない、つまり生産性がないと。LGBTは種の保存に背くと全く同じじゃないですか。そういうお考えをお持ちの方が、幾ら口頭で答弁ペーパーを読み上げても、説得力がないんですよ。  文科大臣、こういう御認識を副大臣がお持ちであるか確認をして、そうであるならば、謝罪、撤回させてください。そうでなければ副大臣の任に当たらないと思います。文科大臣、お願いします。 ○永岡国務大臣 お尋ねの件でございますが、簗副大臣の発言というのは、非公開として行われたプライベートな会合でのことであるということを私は報道等によりまして承知をしておりますので、これは、私は、非公開のところでの発言ということで、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。 ○柚木委員 これはまさに、高市元総務大臣が、総務大臣時代、非公開ですよ、大臣レクのやり取りなんか。だけれども、これだけ、メディアに圧力をかけたんじゃないかという中で、自ら、そのときの、答弁の、やり取りを公開すると昨日答弁しているじゃないですか。  ちゃんと確認をして、文科大臣として、責任者なんですから、LGBT理解増進を進める。考えがあるのかないのか確認をして、委員会に報告してください。大臣、お願いします。 ○永岡国務大臣 いずれにいたしましても、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重して、そして、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会、これを目指す取組、これを進めることは本当に重要だと思っております。 ○柚木委員 簗副大臣、お考えについては答えてください。LGBTは種の保存に背くというお考え、お持ちですか。イエスかノーでお答えください。 ○簗副大臣 先ほど来申しておりますけれども、当該の会議は非公開で行われたものです。それに基づいて今……(柚木委員「いや、今のお考えです」と呼ぶ)いや、それに基づいて今質問をされているので、その関連する質問についてはお答えはできないと。  それから、文部科学省の副大臣という立場ですから、私見についての回答は控えます。  以上です。(柚木委員「こんなことでは、私学学校法だって、学校に対して……」と呼ぶ) ○宮内委員長 まだ当てていませんから。柚木君、まだ当てていませんから。  柚木道義君。 ○柚木委員 これは、私学に対して指揮監督権があるんですよ。解散命令だってできるんですよ、勧告。  委員長、そういう権限を持った副大臣が、私学学校法の審議、これでは入れませんよ。ちゃんと答弁させてください。(発言する者あり)学校現場にこの間、圧力をかけてきているじゃないか。今の考えを聞いているんですから。 ○簗副大臣 私見を述べる立場にはありませんので……(柚木委員「いや、違いますよ」と呼ぶ)いや、それについてはお答えはしません。(柚木委員「文科行政の」と呼ぶ)いや、文部科学省の副大臣としての立場ですから、私見を述べる立場にありませんので、お答えはしません。 ○柚木委員 何でそんなに答えられないんですか。この間、各大臣も答えてきているじゃないですか、私見を。総理だって答えているじゃないですか。答えられないんですか。答えられないということは、LGBTは種の保存に背くというお考えなんじゃないんですか。(発言する者あり)  じゃ、答弁してください。委員長、答弁させてください。 ○簗副大臣 繰り返しになりますが、私見を述べる立場にありませんので、回答は差し控えます。 ○柚木委員 それは、文科副大臣として答えられないということは、例えば学校現場や生徒児童に対して、LGBTの理解増進、大切だと、LGBTは種の保存に背くという考えは私は持っていません、そういうふうに言える立場じゃない人が、副大臣、務めていいとお考えなんですか、答えられない人が。お考えなんですか。おかしいでしょう、これはちょっと。  ちょっとお願いしますよ、これは。本当に、これぐらい答えさせてくださいよ。お願いしますよ。通告、たくさんしているんだから。(発言する者あり) ○宮内委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕 ○宮内委員長 速記を起こしてください。  それでは、文部科学副大臣として、この職責に当たるに当たって、今の質問を踏まえて、もう一度御答弁をお願いをいたしたいと思います。  簗文部副大臣。 ○簗副大臣 繰り返しになりますけれども、文部科学副大臣として、私見を述べる立場にございません。  文部科学副大臣として、先ほど来申しておりますように、繰り返しになりますけれども、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要と考えておりまして、学校教育や社会教育における人権教育を通して、多様性に対する理解、自他の人権の尊重等の態度を育む取組を進めるとともに、教職員向けの啓発資料や支援の事例を提供するなどの取組を進めております。  こうした取組について引き続き推進をしていくことが重要と認識をしており、そのとおり取り組んでまいります。 ○柚木委員 ひどい質問妨害ですよ。  これは、私学学校法、立入検査、理事、監督の、解任勧告とか、文科省は権限を持っているんですよ。この間、学校現場にいろいろな介入をしてきているじゃないですか。そういうことが懸念されるからお考えを聞いているんですよ。  だって、この場だって、LGBT理解増進法案の、部会で、議論する場でおっしゃったという報道が出ているじゃないですか。だから、そういうお考えなんですかと。お考えかどうかぐらい答えていただけないんだったら、じゃ、何で杉田前総務政務官は謝罪、撤回して、辞任までされたんですか。そういうお考えがまさに謝罪、撤回、辞任に当たるからそういう形になったんじゃないんですか。そういう形で副大臣を辞任せざるを得ないから、お考えをここで答えられないんじゃないんですか。  お考えをお答えください。LGBTは種の保存に背くと今でもお考えなのかどうか、部会での発言じゃありません、副大臣として今でもお考えなのかどうか、お答えください。 ○簗副大臣 繰り返しになりますけれども、個人的な見解をこの立場で述べる、そういう場ではありません、これは。もう文部科学副大臣という行政を推進する立場でございますので、私見を分けて答えるということ、それはもうできないと思います。  文部科学省としての政策につきましては、先ほど答弁したとおりでございます。時間の関係もありますので、重複は避けたいと思います。 ○柚木委員 これは文部科学省、重大な、G7広島サミットを控えて、先進七か国で日本だけが、まさにLGBTの理解増進、法制度もない後進国で、それをまさに教育現場でつかさどる文部科学省の副大臣が答えられないんですよ、LGBTに対する考えを。答えられないんですよ。文部科学省の政策、当たり前じゃないですか、答えるのが。  これは本当に、私学学校法も私も一問だけやりますけれども、これはこんなんじゃ採決できませんよ、筆頭間も。だって、そうじゃないですか。立入り権限、百三十六条、理事、監事解任勧告権、百三十三条、そういうことができる権限を持っているんですよ、文科省は。だから、ちゃんとした、LGBTの理解増進、そういうことをお考えの人が進めないと、これは信用できない。  一問だけやります。  学校法人の意思決定の在り方の見直し、これは非常に重要なんですね。これは、基礎的変更事項や寄附行為変更は評議員会の決議を要すると百五十条にあります。しかし、評議員会が決議できない場合は最終的にどうなるんですか。これは、実際には決議できない場合、百五十条には理事会の決定は効力が生じないと書いてありますけれども、最終的にこういうことが続いたときに、まさにさっきの立入検査とか、理事、監事の、選任機関も含めて機能しない場合には、解任勧告などの権限を文科省は持っているんですよ。ちゃんと行使しないととんでもないことになるから。これもちょっと一問だけ聞きますが、これはどうなるんですか。  そして、まさに基礎的変更事項や寄附行為変更などの重要な決定、これについては、令和七年四月一日施行後に政省令に定めるとなっていますが、これは当然、重要な決定の中には、中長期計画とか理事の報酬とか、いろいろなことがちゃんと含まれる、そういう形で政省令を書いてくれないと…… ○宮内委員長 時間が経過しておりますから、簡潔にお願いします。 ○柚木委員 これは全く、先ほど来、皆さん、与党の方も提案されているし、役所も、社会の信頼を取り戻すと、日大事件を受けて。信頼を取り戻すことになりませんよ、この重大な決定の中にきっちりと中長期計画とか役員報酬とかも含めないと。大臣、お答えください。 ○宮内委員長 永岡文部科学大臣、簡潔にお願いします。 ○永岡国務大臣 はい。  今般の法改正は、我が国の公教育を支える私立学校の教育研究の質の向上を図る観点から、建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという基本的な枠組みを維持しつつ、評議員会の監視、監督機能を可能な限り高めようとするガバナンス改革を進めるものでございます。  その上で、学校法人の基礎的変更を要する任意解散や合併及びそれに準じる程度の寄附行為変更につきましては、これまで評議員会における意見聴取を求めるのみとなっていたところ、本法案におきましては、評議員会の議決事項としたところでございます。このような観点から、大臣所轄学校法人等におけます寄附行為の変更のうち、軽微な変更として文部科学省令で定めるものを除いたものにつきましても、評議員会の議決事項としているわけでございます。  御指摘の中長期的な事業計画の策定ですとか、役員に対する報酬等支給基準等につきましては、基本的に学校法人の基礎的変更を要しないと考えられることから、従来どおり、評議員会の議決を求めてはいないところでございます。ただし、各学校法人の判断におきまして寄附行為に定めることで、評議員会の意見の聴取を要する事項につきまして、評議員会の議決を要することとすることは可能になります。  中期的な事業計画の策定等におきましては、今後の検討課題と認識をしておりまして、今後、国会での御審議等も踏まえまして、必要な検討を行ってまいります。 ○柚木委員 今日は終わりますが、これでは二回目の質疑に入れませんよ、副大臣、大臣。  これは、LGBTなど性的少数者の理解増進に向けた法案審査を行う党会合での発言。発言も答えない、答えられない、お考えを今の時点でも述べられない、こんなことで文部科学行政をつかさどる資格はないと断じざるを得ません。このままでは二回目の質疑なんか到底入れないと私は抗議を申し上げて、質疑を終わります。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、荒井優君。 ○荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。  ちょっと、いろいろと質問しようと思っていたこと、今の柚木先生の、少し、そこを拾って、まず冒頭申し上げたいことがございます。  僕も、大臣にもお伝えしましたが、校長をしていましたが、校長室の隣に保健室がありまして、一年に数回、その保健室の養護教諭が校長室に来て、ちょっと生徒の話を聞いてあげてくださいというふうに来るケースがあります。泣きながら生徒が入ってきて、最初はなかなか話ができませんが、少しずつ言う話は、まさに自分自身の性自認の問題であり、そして、この問題をどういうふうに、特に親御さんとぶつかる瞬間に関して、やはり、僕は高校生、向き合ってきましたけれども、非常に多感な時期に、非常に難しい問題を抱えている中、養護教諭の先生からも、校長先生はこういう問題に対していろいろと理解をしているし、札幌の学校でしたが、東京のいろいろな事例も知っているから、いろいろ話したらいいよということで振ってくれて、一時間、二時間話をするケースがございます。  今の副大臣の御答弁を伺っていて、確かに、個人のお考え、それは、思想若しくは信教、いろいろともちろん自由なのかもしれませんが、ただ、学校というところは、まさに、多様性を受け入れるところであり、しかもその多様性、一人一人を大事にするという民主主義をそもそも育む場として教育というものは存在するというふうに僕たちは強く信じていますので、是非、そういった一人一人の子供たちに向き合う行政をしっかり進めていただきたい。公の場でこうしてお話しされることができないということに関して、少しく、学校現場で、通っている子供たちやその子たちを見守っている先生たちも傷つきかねない、今、答弁だったんじゃないかというふうに思いますので、是非そこを気をつけていただきたい、そういうふうに思っております。  その上で、質疑に入らせていただきたいと思います。  今日は、この国会の文科委員会の場で、私学についてやり取りをするということですので、僕自身も私立の学校法人の理事長という立場もありますので、関係者になるので、立場上ちょっとやりにくいところもございますが、先輩方、議員からも、逆にしっかり言った方がいいよというふうにも言われましたので、その立場も……(発言する者あり)そうですね。現場の声として、多くの私学関係者の声も含めて伺わせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、今日は私立の学校法人の中でも主に大学が対象になると思いますが、現在の日本の大学の進学率について大臣はどのように評価されているのか、そこから教えてください。 ○永岡国務大臣 お答えする前に、先ほどのLGBTの話で、実は私の娘の学校でも、やはり、女の子が、女子校だったので、女の子を好きになる、そういう方がいらっしゃいました。それでばったりそこの御家族と、私、永岡一家が会いまして、問題になっているお嬢さんがスーツを着て御家族とともに楽しげに話している、そういうところに出会いました。私は、胸の底から、涙が込み上げてくる、うれしかった。なぜかといえば、そのお嬢さんは自分の考え、思いを御両親に話して、その御両親が理解をして、そして家族そろって出かけて、たまたま永岡家と会った。その取組、その御両親の心意気、そして子供を温かく見守る、そういうことが体験談としてありますので、先生がおっしゃっていることは非常に理解をするというところでございます。  また、大学進学率に関してでございますが、ここ三十年ほどの間、ほぼ右肩上がりに上昇しておりまして、令和四年におけます短期大学を含めた大学への進学率は約六〇・四%となっております。多くの高等学校卒業者が大学進学を希望して、教育の質が確保された大学教育の裾野が広がっていくことは、学生、社会にとっても望ましく、そして社会の発展にも寄与していくものと認識をしております。  特に、文部科学省といたしましては、学生が経済的な理由で大学での学びを断念することのないよう、修学に係る経済的負担を軽減する施策の充実に引き続き取り組むことが重要だと考えているところでございます。 ○荒井委員 ありがとうございます。  先ほど、大臣から高校生のお子さんのお話を伺いました。本当に大事なメッセージだというふうに思いますので、是非、その大臣のまなざしが文科行政にしっかり隅々まで行き届くように、光を当てていただきたいと思いながら伺っております。  大学の進学率は六割ですね、日本は。約六割ではあります。もちろん、国は一〇〇%にしようということを明示しているわけでもありませんし、徐々に上がってきたというふうな結果だというふうに思いますが、今回議論されている私立学校に、私立の学校法人に通っている生徒さんは、先ほどの鰐淵先生の質疑でもありましたが、約七割、正確に言うと七八%ぐらいですから、おおよそ八割と言っても過言でもないかと思います。  つまり、大学進学率はどんどん戦後上がってくる中で、多くの人たちが私学に通っている現状がございます。  日本私立大学協会、私大協という団体がありますけれども、この私大協は、まさに私立に、増えている理由は大きく三つあるんじゃないかというふうに言っています。  戦前に全体主義的な教育が多かった中、戦後、多様性を重視する必要があったこと。また、国の予算が余りなかった中、私学によって大学をつくってもらう国の政策もあったこと。また、国立大学はトップリーダーを養成するのに比べて、ミドルリーダー、中間層の底上げという人材の確保の意味もあった。  そういう意味で、私学というのは価値があったというふうに思っているわけですが、大臣、大臣もまた私学人だと思います。私学の教育を受けた方だと思いますが、大臣にとって私学の重要性について、先ほどの答弁でも幾つかありましたが、改めてお答えいただけますでしょうか。 ○永岡国務大臣 私立学校は、公の性質を有する学校といたしまして、国公立学校とともに我が国の教育制度の一翼を担っていると認識をしております。  その上で、私立学校では、それぞれの建学の精神に基づきまして個性豊かな活動が展開されておりまして、我が国の学校教育の発展、普及や、また多様化するニーズに応じた特色のある教育研究の推進に重要な役割を果たし、そして質及び量の両面から我が国の学校教育を支えていると認識をしております。  こうした私立学校の果たす役割の重要性に鑑みまして、私立学校の振興を重要な政策課題として位置づけまして、基盤的な経費でございます私学助成の確保等に取り組んできたところでございます。  御指摘のありました教育未来創造会議の第一次提言を踏まえ……(荒井委員「そこはまだ質問していませんので、後でお願いします」と呼ぶ)はい。 ○荒井委員 まさに私学は重要なんですね。我々私学の経営者は私学人という言葉を大事にしています、私学を経営する側。でも、それは経営者、関わる人だけではなくて、まさに私学で教わった人たちも私学人なわけですね。先ほど中曽根先生からも福沢諭吉の言葉がありましたけれども、まさに教育とは、本来、国から教え込まれるものではなくて、人々が自ら受け取って学んでいくものだということで、私学を貴ぶということを福沢諭吉は明治維新以降ずっと言っているわけです。  実際、今日もこの文科省の政務三役の皆さん、そしてまた今日質問される皆さんも、僕が調べた限りでは皆さん私学人であるわけですね。大学には限らないかもしれませんが、どこかで私学の教えを受けて今日ここに立たれている方がほとんどなわけです。だって、そうですよね、大学のほぼ八割が私学だということは、大学を卒業している十人に八人はまさに私立の教えを受けているということなわけですね。  その一方、今度は、ただ、僕も民間から私学の経営になってみて感じているのは、公益法人としての私立学校法人というものの在り方が微妙に何だかほかの公益法人と違っているんじゃないかというところがございます。  学校法人の三つの不思議だと僕は思っているんですが、例えば、今日も答弁でございましたけれども、学校法人には寄附行為というものが名前としてしょっちゅう出てくるんですけれども、あれはそもそも何で寄附行為というんですかね。これは質問でもありません、あれですが、普通は定款というふうに、会社もそうですし、ほかの学校法人はみんな定款というんですけれども、私学法だけ寄附行為というんですね。これははっきり言うと、誰に聞いてもよく分からないんですね。何かドイツでそのさきそうだったみたいな話もあるかもしれません。財団法人も寄附行為とはいいません。定款になっていますね。  あともう一つ、実際にほかの公益法人と違うのは、今日も御質問でもありましたが、まさに今回のガバナンスの改革の一つのポイントになってくるわけですが、評議員の立ち位置なわけですね。先ほど柚木先生の資料にも、塩崎前大臣が、コメントで書かれた新聞記事がございましたが、評議員の立ち位置が上にあるのか下にあるのかという、そこになるわけです。  実際、僕も公益法人を立ち上げた経験がありますが、そのときに、評議員会とは何なのかというのを、公益財団でしたけれども、質問したときに、詳しい方からは、これは株主総会なんだというふうに言われたわけですね。評議員会とは株主総会であり、理事会とは取締役会の立ち位置なんだというふうに言われて、非常にすとんと思いながら公益財団法人を運営してきました。同じ発想で学校法人に来てみると、どうも評議員会というのは株主総会じゃないんだなというのが、なってみて分かったわけですね。  でも、実際、今日お集まりの先生方の御地元でも、いろいろな公益法人の評議員をされている方々、大体地域のいろいろな貢献をされてきた人が多いと思いますが、評議員の方は。大体、評議員になるというのは、株主総会の立場に立って見ていくんだなというふうに思ってなられる方が多いんですが、学校法人に行ってみると、そこはまさに最高議決機関の株主総会の役割ではなくて、諮問機関として、理事会からすると、話を聞いておくという話になるわけですね。  こういう不思議さが、同じ名称なのに、たてつけが違うというものがございます。  あともう一点違うのはあるんですが、長くなりますので、また別な機会にお伝えしたいと思います。  まさに、こうやって学校法人というのは同じ公益法人の中でもたてつけが違うので、そのたてつけをほかの公益法人並みにしようと思ったガバナンス改革が始まったと思いますが、でも、僕は、この議論が始まっていた二、三年前から、外から見ていて思いましたけれども、本当に、この評議員会が上にあるか下にあるかによって公益法人というものの運営はうまくいくんだろうかということにそもそも疑問がございます。  質問にも書かせていただきましたけれども、例えばオリパラの組織委員会も、これも公益法人です。宗教法人も公益法人です。スポーツに関する公益法人、バドミントンの組織委員会とかも、様々に、評議員会が上にあったからといってガバナンスが進んでいない法人もたくさんあるわけですが、今回の私学法の改正、結果的には、僕からすると、大山鳴動してネズミ一匹だなというふうに思いながら、申し訳ありません、感じていますが、本当にこの改革によってガバナンスは改善されていくのかどうか、本当のところ、そこをどう思われているのか、御質問したいと思います。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  学校法人制度につきましては、累次の法改正を経ましてガバナンスの強化を図ってきたところであります。ほとんどの学校法人におきまして適切なガバナンス体制を構築していただくとともに、不適切な法人運営がなされている場合には、所轄庁によります適切な対応がなされていると承知をしております。  一方、こうした中にありましても、残念ながら、一部の学校法人におきまして不祥事が生じております。不透明な理事の選任手続であったり、評議員会の形骸化であったり、そして、内部通報や通報者保護の仕組みの未整備であったりということが課題になっていると考えております。  これに対応するために、本法案におきましては、理事選任機関が理事を選任すること、そして評議員会がその決議によりまして監事を選任すること、評議員会の牽制機能の強化を図ること、そして役員の親族等の評議員就任の制限があること、内部統制システムの整備の義務化など、権限が特定の者に集中をすることを防ぐ、そういう仕組みや、また、理事長などの執行部に対しますチェックの実効性を確保する仕組みを設けることとしております。  今回の改正とその確実な運用、これによりまして同様の不祥事事案につきましては防止することができると考えておりまして、制度の運用がしっかりなされるように、モデル寄附行為、一般に言うと定款でございますが、モデル寄附行為の作成などを通じまして、改正法の趣旨等について周知徹底をしてまいりたいと考えております。 ○荒井委員 もちろん理事会へのチェック機能というのは重要ですし、先ほども質疑でありましたが、やはり理事長の個人の資質というのは、学校の経営において、権限が多いだけに大変重要なんですが、僕も、高校の立て直し二つ、大学の立て直し二つ、理事長や校長や理事や評議員という立場で関わってきましたけれども、その観点からすると、このチェック機能を設けることよりも、大事なことは、理事長と、法人の事務局長と、校長又は学長と、教頭やあとは副学長、こういった現場の四つのラインがしっかりとそろっていて同じ方向を見ている、若しくは、それが離れ過ぎていずに、きゅっと、できるだけミーティングをするとか、しっかりコミュニケーションを取るということの方が、学校法人がしっかりよくなっていく重要なことじゃないかというふうに思っています。  少し、このチェック機能を強めていくということで相互の牽制ばかりを強めていくと、今、本当に私学の経営が難しくなっている時代、特にこの二年、コロナと電気代で非常に厳しくなってくる中、学校の経営が大変なことになっていく中で、変に学校の運営方を苦しめないかというふうに思っていますので、是非、文科省としても、学校の経営、私学の経営のしっかり確認を、光を当てていっていただきたいというふうに思います。  こんな言葉があります。魚と組織は天日にさらした方が日もちがいいというふうに言われます。これは、Jリーグのチェアマンをやられていた村井満さんがおっしゃっている。今まさに、バドミントン協会の経営改革をされていますけれども。大体、組織がガバナンスがうまくいっていないところは、まさに密室で物事を決めてしまい過ぎるからなわけですね。  僕も、結局、学校の経営をよくするときには、全部の情報を公開しながら、できるだけ労使共にしっかり向き合うことだというふうに思っていますので、そういう形で、文科省もそれぞれの学校法人の運営を見守っていただけるような仕組みができないかというふうに個人的に思ってございます。  また、その中で、今回も、先ほど一番最初に中曽根先生からまさにお話がありました、修学支援新制度のことがございましたが、実はこの修学支援新制度の話になっていく中に、今回、資料でもお渡ししましたが、総理大臣直下の教育未来創造会議で議論をされてきたということがあるかと思います。  まさに、本来、教育行政に関しては文科省が司令塔としてしっかりとやっていくはずなのに、総理直下でもう一つ屋上屋な会をつくって、その中で、特に、今日もずっと言われている建学の精神を大事にしながら育てていかなければいけない私学に対して、極めて厳しい目線で、あわよくば学校を取り潰すぞというふうに読み取れかねない言い方をしているところに、私学人、若しくは私学の経営者、経営層が大変不安感を抱いているということは、これはやはり問題なんじゃないかというふうに思うんですね。  特に、修学支援新制度が非常に厳しく運用されていく、三年間、八割も定員を満たさなければ、学生への補助がなくなるかもしれない。これは、本来、学校の経営、機関の経営と個人の保障というのは別物であるはずなのに、総理直轄の会議から言われたからやらざるを得ないというふうになっているのは、僕は、行き過ぎなんじゃないか、まさに、私学を大事にするという冒頭の大臣の言とは異なるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○永岡国務大臣 委員おっしゃいますように、教育未来創造会議の第一次提言におきまして、少子化が進展する中で、大学の経営困難から学生を保護する観点から、修学支援新制度の対象機関として、収容定員充足率が八割以上の大学とする、そういう機関要件の厳格化が提言をされました。  これを受けまして、文部科学省の有識者会議におきまして、制度設計の検討を行いまして、この提言の方向性に沿いながら、同時に、一定程度の定員割れがあったとしても、質の高い教育を行う大学等が修学支援新制度の対象外とならないようにするなど、要件の改正案について報告書を取りまとめたところでございます。  具体的には、直近三年度全ての収容定員が充足率が八割未満の場合であったとしても、直近の収容定員の充足率が五割であって、直近の進学、就職率、これが九割を超える大学等は引き続きまして対象としてまいりたいと考えております。つまり、しっかり、定員の率が下がっても、ちゃんとした教育を子供たちに、生徒たちにしている、そういうのが対象となるということでございます。  なお、修学支援新制度におきましては、学生に不利益がないように、そして、学校が対象外になっても、支援を受けている学生が引き続きまして、在学生ですね、ごめんなさい、在学生が引き続きまして支援を受けられるようになっているところでございます。 ○荒井委員 今御答弁いただいたところは大変大事なところだと思っていまして、まさに、総理直轄の教育未来創造会議というところから、定員が八割を切れたら、三年間切れたら、そこには補助しないというようなことが言われていたけれども、文科省としては、その方向性は酌みつつも、五割を三年間切らなければ大丈夫だということを決めた、そういう理解でよろしいんですよね。もう一度確認させてください。 ○永岡国務大臣 そのとおりでございます。 ○荒井委員 ここは、多くの私学の経営者若しくは学長さんたちが受け取れていないところなわけですね。  未来創造会議で八割と言われたものが物すごく広く人口に膾炙しまして、これは大変なことになる、特に地域の大学、短大が一気に経営難が来るし、若しくは生徒たちもそこを選べなくなるということで、逆に、もちろん都会の大学に行く人はいるかもしれないけれども、大学進学が行けなくなるかもしれないということを、大変心を苦しめていたので、多くの声が上がってきましたが、文科省としては、そういった声も酌み取って、教育未来創造会議で言われたことに対しても、更にちゃんと打ち返して今があるということだというふうに理解しております。  でも、そのことがどうして浸透していないのかというふうにも思っていますので、実際、多分、まだいろいろなホームページとかにも八割というふうに書いてあるように、僕もさっと調べても見えますので、是非、大臣のリーダーシップで、ここは誤解が招かれないように。  高校の進路指導の現場とかでは、やはりどうしても、あの大学は生徒数が少ないから、あなたはお金を受け取れないかもしれないよなんという進路指導も起きかねないと思っていますので、是非、そうじゃないんだ、文科省はちゃんと、まさに私学をサポートしていて、みんなが行く先をちゃんと用意しているんだという声を上げていただきたいなというふうに思っております。  去年、今年ぐらいに、新しい学校法人をつくるという話がたくさん出てきています。例えば、徳島で神山まるごと高専というようなお話もありますけれども、ITで成功した経営者が、自分の財産でまさに徳島に新しい高等専門学校をつくるみたいな、こういう動きも出てきています。  まさに、こうやって、今、多くの私学というのは、僕らは、直接自分たちでつくる代というのはなかなか少ない、昔は、でも、学校法人をたくさん皆さんがつくられて、それで今があるんだと思うんですね。感覚では、一校当たり、つくるのに、皆さん大体今でいう三十億円ぐらいのお金を恐らく拠出して学校というものをつくっているかと思います。高校でも三十億かかりますので、大学だったらもっと大きなお金だと思うんですね。  それが、時代を経て子供の数も減ってきて、非常に経営が苦しくなってきているところがたくさんあるわけです。  学校法人にとって大きな資産価値というのは、実は不動産なわけですね。あれだけ広い不動産を持っていますので、実は、この学校法人を狙うビジネスというのも、まさに一方ではあるわけです。  つまり、経営が苦しくなってきた学校法人を、何らかの形で経営権を受け取って、そしてそれを最終的にはその土地ごと売却してしまう、学校を潰してですけれども、売却してしまうみたいなこともできなくはないし、時々この手の話は出てくるわけですね。  今から、僕がすごく心配しているのは、そもそも、やはり建学の精神なんです。皆さん建学者が、自分のお金と、そして今のような、新しい学校をつくるというときに、多くの人が熱狂しながらサポートして私学というのは成り立ってきているわけですが、時代を経て、経営者、創立者がいなくなって、それを引き継いできた人たちも、少しずつ生徒が減るとともに、残念だなと思っていきながら、もうここで無理だと思ったときに、その土地が最後は更地になって大きなマンションや何かが建ってしまうというものが、これは、でも、本当に文科省が目指す学校教育の在り方、特に、冒頭大臣がおっしゃっていた、七割以上、八割を、その大学進学を支えてくれている私学に対して、こういうやり方というのはやはり違うんじゃないかというふうに思うんですね。  まさに、ですからこそ、私学の振興に、どうしても国は、多くの人たちが私学人であるにもかかわらず、国そのものは国立の学校に対してちょっと意識が向き過ぎているんじゃないかと思っていて、私学人でもある大臣に、私学の振興、これは非常に重要なんだということを是非御理解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○永岡国務大臣 やはり、私立学校というのは、公の性質を有する学校として、国公立の学校とともに本当に我が国の教育制度の一翼を担っております。  その上で、私立学校では、それぞれの建学の精神、議員おっしゃいますように、建学の精神に基づきまして、個性豊かな活動が展開されております。我が国の学校教育の発展、普及や、多様化するニーズに応じた特色のある教育研究の推進、これに重要な役割を果たしまして、そして質、量、両面から本当に我が国の学校教育を支えているところでございます。  こうした学校教育の果たす役割の重要性に鑑みまして、私立学校の振興を重要な政策課題として位置づけまして、基盤的経費である私立助成の確保等にこれからもしっかりと取り組んでまいります。 ○荒井委員 まだ質問時間がありますので、最後に一言申し上げたいというふうに思います。  今年の一月、元旦に、佐賀県の鳥栖市で九十歳の方が亡くなられました。門司健先生という、佐賀県の歯科医師会の会長もお務めだった方ですけれども、実は、その門司先生が五十五歳のときに、ちょうど三十五、六年前ですけれども、私財をなげうって学校を建てています。東明館学園という中高一貫校ですけれども、まさにこの地域に学校が必要だということで、恐らく三十億円ほど、自分で、歯科医師をしながら、学校をつくって、同時に歯科医師会もずっと、歯医者さんもずっとやられてきたという形でいらっしゃいます。  その学校は今でも、三十五年たっています。今はそれは僕が理事長を引き受けていますが、経営難で、経営がうまくいかなくて、人手に渡し、そして、潰れるかもしれないということで、僕がまだ政治家になる前にやらせていただきましたけれども、でも、いつも思うのは、今年亡くなられましたが、まさにこういう方が思いを持って創立したのがまさに私学なんだなと思っています。  その私学を続けていく、大変難しいんですけれども、どうぞ引き続き私学の振興に文科省を挙げて頑張っていただきたいと思っております。  以上です。ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、森山浩行君。 ○森山(浩)委員 続きまして、立憲民主党、森山浩行です。  先ほどの柚木委員の質問のところでちょっとスタックをしてしまいましたが、簗副大臣の件につきましては、発言の有無、それから今のお考えというような部分について、調査の上、委員会に報告をいただきますようにお願いをしたいと思います。  というのは、ポジティブな、文科省の意見と同じという場合にはどんどん御自分の意見を皆おっしゃる、でも、話せないということになりますと、これは本当に大丈夫かいなという話にもなりますので、個人の考えが違うというのであれば、まあまあ、お考えもあるんでしょうから、表明をしていただくべきだと考えます。  委員長、お願いします。 ○宮内委員長 理事会で協議をさせていただきたいと思います。 ○森山(浩)委員 それでは、私学法についてでございますけれども、今回、ちょっと異例なのかなと思っています。一つの法律の改正に当たりまして、二〇二一年三月十九日に学校法人ガバナンス有識者会議の提言、二〇二一年十二月十三日に学校法人ガバナンス改革会議の提言、二〇二二年三月二十九日に学校法人制度改革特別委員会の提言ということで、一つの法改正に三つの提言が出てきた上で、この法改正につながっておるという状況なんですけれども、この経緯、それからそれぞれの会議の性格、また検討の状況をお知らせください。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  学校法人制度につきましては、累次の法改正を経ましてガバナンスの強化を図ってまいりましたが、二〇一九年、令和元年でございますが、私立学校法の改正の際の国会の附帯決議や閣議決定されました骨太の方針におきまして、更なる改革の必要性が示されました。  そのために、令和二年の一月から、学校法人のガバナンスに関する有識者会議を開催をいたしまして、中長期的な教育研究の質の向上を図る攻めのガバナンスの向上、そして、不祥事事案の発生を防ぎ、それから、社会からの信頼を確保する守りのガバナンス確保を求める改革方策の基本的な方向性、これを御提言をいただきました。  これらの基本的な方向性を踏まえまして、文部科学省に設置をいたしました学校法人ガバナンス改革会議におきまして検討を進めまして、令和三年十二月に、理事に対する監督、牽制を重視し、評議員会を最高監督、議決機関に改める等の提言をまとめていただきましたが、私立大学関係者を始めまして各方面から様々な懸念が寄せられたところでございます。  こうした状況を踏まえまして、学校法人制度改革特別委員会におきまして、私学関係者の参画を得て改めて議論を行いまして、そして、改革の基本的な方向性は維持しつつ、学校法人の、ずっと改革をしてきたところ、そしてまた、多様性に配慮をし、かつ社会の要請に応え得る、実効性のある改革案をおまとめいただきました。  本法案は、これらの経緯を踏まえながら、業務執行と監視、監督の役割の明確化、分離という基本的な考え方を維持しておりまして、そのガバナンス改革を推進するものとなっている次第でございます。 ○森山(浩)委員 じゃ、ちょっと技術的な質問をしばらくしますので、大臣、外していただいて結構ですよ。  理事会と評議員会の在り方という部分がガバナンス改革ということであるということですが、この部分について、ちょっと今回の提案についてお話を聞きたいと思います。  まず、評議員会というのが議決機関ですか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  改正案につきましては、法人意思の議決機関は理事会としてございます。評議員会はあくまでも諮問的機関という位置づけは、今回も変えてございません。 ○森山(浩)委員 では、理事選任というのを評議員会というような形でスタートをしていたと思いますが、結果、理事選任機関という別機関をつくるということになったのはなぜですか。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今般の法改正は、我が国の公教育を支える私立学校の教育研究の質の向上を図るという観点から、建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという、この基本的な枠組みは維持しつつ、評議員会の監視、監督機能を可能な限り高めるようガバナンス改革を進めるものでございます。  このため、具体的な理事選任機関の取扱いにつきましては、文科省が一律にこれだと決めるものではなく、各学校法人の判断に委ねたところでございます。場合によっては、理事会や評議員会、第三者機関など、法人の判断により理事選任機関となり得るものでございます。  他方、評議員の選任に関しましては、理事、理事会が選任する評議員の割合を二分の一とするとか、当該学校職員が三分の一までとか、役員近親者が六分の一までとか、こういった仕組みを導入し、評議会に期待される牽制機能の実質化を図ることとしてございます。  学校法人の適切な運営のためには、今申し上げました人事に関する仕組みの整備のみならず、不正等の予防であったり、問題が生じた場合の緊急対応であったり、こういった様々な措置を講じて総合的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○森山(浩)委員 評議員会というものの中に、理事会の選任枠が二分の一、でも、教職員枠は三分の一となっています。  理事会の影響は二分の一までなのだけれども、教職員は三分の一というのは、これはどういうことでしょう。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  評議員会につきましては、学校の、その法人運営をめぐりまして、様々な角度から御議論をいただき、またアドバイスをいただくというのが極めて重要だと思っておりまして、様々な分野の方にお入りいただくことを念頭に置いたものでございます。 ○森山(浩)委員 大学の自治というようなものもあるかと思いますね。研究の内容なんというような話もちょろちょろっと出ていましたけれども、学問あるいは研究の内容については自治を確保するということは変わらないということでいいんですか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今回の私学法の改正につきましては、ガバナンスの改革を目標としたものでございます。今御指摘のありました学問の自由を保障するということは、これまでと考え方は変わってございません。 ○森山(浩)委員 それでは、理事会と評議員会の最低の開催日数、開催回数というのは、年間幾つなんですか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  本法案においては、理事会は、毎会計年度におきまして、大臣所轄法人等においては最低四回、大臣所轄法人以外の学校法人におきましては最低二回開催する必要がございます。  また、評議員会は、毎会計年度におきまして、最低一回開催する必要があるかと思ってございます。 ○森山(浩)委員 というようなことで、評議員会というもののガバナンス、これを強化をする、あるいは、何という言い方をしましたかね、牽制をするというような言い方からすると、当初の、ガバナンス有識者会議、これにおいて、各公益法人と並びのいろいろな提案がされました。そこにおいては、評議員会は議決機関であり、また、中長期計画、あるいは役員報酬の支給基準というようなものも含めて議決事項とされておりました。  しかしながら、ガバナンス改革会議で、もっとやらぬといかぬということで議論をした結果、非常に評議員会の権限が強くなり過ぎたということに対して、学校の経営者側、いわゆる理事会の方がもっと強くなければいかぬのではないかと揺り戻しがあった。揺り戻しがあって、普通は、最初の案と過激な案があったとすれば、その間に収まるんでしょうけれども、どうも最初の、ガバナンス有識者会議を、ラインを超えて、ほかの公益法人よりも緩い規定になってしまったという印象がありますけれども、大臣、いかがですか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  本法案は、執行と監視、監督の役割の明確化、分離という基本的な考え方と、学校法人の多様性や独自性、その双方のバランスを考慮しながら、他の公益法人と同様、その高い公益性、そして公共性に鑑みまして、評議員会による監視、監督など自律的なガバナンスを確立するため、学校法人の管理運営制度を抜本的に改善するもの、そう考えております。 ○森山(浩)委員 その意図でスタートをしたんだけれども、どうも、この制度を見ていると、三つの報告書を見ていますと、元の部分よりも、更に現状に近いというか、元の、これまでの理事を中心とした権限が強い状況に戻っているというような印象を受けますので、更にちょっとお聞きをします。  日大の問題、これで、再発防止策ということで七項目ほど出されております。その中に、理事長制度というところで、再任制限のないことが問題であって、これは、理事長職についての在任期間というもの、回数を決めてしまおうというようなことも書かれております。  日本最大の学校法人であります日本大学であっても、多くの人が関わっている状態の中で、理事長に非常に大きな権限が集まってしまった。その原因には、理事長職が非常に長いというようなこともあるのかと思われます。  理事長の在職年ということで、二年以下が二九%、三年から五年が一五%、六年から十年が二二%、十一年から十五年が一二%、十六年から二十年が九%、二十一年以上が一三%、五十八人というようなデータもございます。  二十一年以上となると、もうずっと理事長ですよね。今年任命された評議員、文句言えますかね。非常に、理事長の在任年数、あるいは、逆のことで言いますと、理事長というのが社長に当たるわけで、常任ということが言われていないというようなことで、幅というと、何か飾りだけの理事長というのがあり得たり、あるいは独裁者のような理事長があり得たりというようなことがあり得るのではないかと思いますが、理事長職の常任化、それから在任期間についてはどうお考えでしょうか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  日大のような不祥事があったことについては、文科省としても強く、深く受け止めているところでございます。  その上で、一般論として申し上げますと、理事長の在任期間が長くなること、このこと自体は一概に不適切であるとは言えず、理事長のリーダーシップによる適切な学校法人運営であったり、建学の精神を尊重した教育の推進であったり、社会や学校関係者からの信任を得た安定的、継続的な質の高い学校教育活動の継続であったり、様々な点についても期待ができることは事実かと思ってございます。  他方、御指摘のように、なれ合いが生じることの影響については、今回の改正により、まずは、これは初めてですけれども、理事の任期を法定いたしました。四年以内でございますが、法定し、その上で、理事会や評議員会による理事長のチェック機能を強化するものでございます。仮に理事長に不適切な状況があった場合には、理事会による理事長の解職も可能となってございます。理事長による不祥事事案の防止に資する仕組みが今回構築されているものと認識しているところでございます。  また、お尋ねがありました理事長の常勤化、非常勤でございますが、現在、理事長の兼職につきましては、理事長は、他の学校法人の理事長を二以上兼ねていない者であることが要件となっております。ただ、企業との兼職につきましては、学校法人の規模による理事長の職の業務量、兼務先で求められる勤務の状況など、それぞれのケースに応じて様々であることから、一律に禁止はしていないところでございます。 ○森山(浩)委員 これも最後にちょっと議論しますけれども、大きな法人から小さな法人まで、一本の法律でやろうというところの無理ができているのかなという気がいたします。巨大、マンモス大学から、地元のお寺がやっている幼稚園まで、これが一つの法律でやっているということ。  もちろん、どこか、地元の企業の社長さんが兼ねている、あるいは、お寺の住職さんが理事長を兼ねている、これはもうよく見得る光景です。でも、じゃ、巨大大学の理事長さんが、形だけ、年に何回か呼ばれるだけで、ふだんは機械を造っていますよというようなことで本当にいいのかというようなことにも、考え、あるかと思いますので、私立学校法という一本の法律で全部やるんだというところが無理があるんじゃないかなというような気もいたします。  それでも、理事長が長いこともいい部分があるということで、じゃ、評議員会の議決事項、あるいは承認事項、あるいは意見聴取事項、重要なことについてはやるんだということですけれども、この内容についてはどうお考えですか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  現行におきまして、学校法人の基礎的変更を要する任意解散や合併及びそれに準じる程度の寄附行為の変更につきましては、これまで、評議員会における意見聴取を求めるのみとなっておりました。本法案におきましては、評議員会の決議事項としたところでございます。このような観点から、大臣所轄法人等における寄附行為の変更のうち、軽微な変更として文部科学省令で定めるものを除いたものにつきましても、評議員会の決議事項といたしているところでございます。  御指摘の中期事業計画の策定等、他のものにつきましては、基本的には学校法人の基礎的変更を要しないと考えられることから、従来どおり、評議員会の決議を求めていないところでございます。ただ、各法人の個別の判断によりまして寄附行為に定めることで、評議員会の意見の聴取を要する事項にそれぞれ入れることは可能となっているところでございます。 ○森山(浩)委員 例えば多額の借財であるとか重要な資産の処分といったものについても理事会でできるんだよというようなお話なんですけれども、幼稚園の園地、半分切って、これ売っちゃいますというようなことになったときに、じゃ、評議員会としてはこれはいかぬという意見を言って、でも、それは、理事会はそうしたいと言ったらできるということですね。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今回の改正法案では、それは可能となってございます。 ○森山(浩)委員 合併、解散と重要な寄附行為、定款の変更ということの部分だけが評議員会の議決事項ということですから、じゃ、法人が売られるというような実態については御存じですか。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  基本的な重要事項については法律で定めているとおりでございますが、先ほども答弁申し上げましたとおり、各法人において置かれている状況は様々かと思います。  今御指摘のありました、いわゆる主体が変更することであったり、実際の、理事長や運営体制が大きく変わるというような場合については、各法人の判断で、寄附行為の中で、それは評議員会の決議事項とするということも可能となってございます。 ○森山(浩)委員 これも法人の判断ですね。売り買いをするというようなことになっても、これは法人の判断で、理事会でできちゃうということなんですけれども。  社会福祉法人、幼稚園の場合は真横に保育園あるいはこども園というものがある、あるいは、大学については、NPO法人立であるとか株式会社立というような大学もできてきています。こういった部分とのガバナンスと平仄を合わせるというようなことはやってきましたか。 ○永岡国務大臣 学校法人、また、社会福祉法人や株式会社につきましては、それぞれ社会的役割も異なることから、別々の法制度に基づきまして運営が行われているものと承知をしております。その上で、それぞれの社会的責任を果たすため、必要なガバナンス改革を各自において行うことが重要である、そう考えておる次第でございます。  私立学校のガバナンス改革につきましては、累次の骨太の方針等で求められております、社会福祉法人制度改革や公益社団・財団法人制度と同等のガバナンス機能が発揮できる制度改正とは、学校法人について、ほかの公益法人と同様、その高い公益性、そして公共性に鑑みまして、評議員会による監視、監督など自律的ガバナンスを確立するために、学校法人の管理運営体制、これを抜本的に改善することだと理解をしているところでございます。  本法案は、一般財団法人や社会福祉法人等の規律を参考にしながら、私立学校におけます建学の精神を尊重しつつ、また、ほかの法人制度との大きな違いを踏まえて検討してまいりました。そしてその上で、執行と監視、監督の役割の明確化、分離と、学校法人の多様性や独立性の双方のバランスを考慮しまして、理事等の選任、解任といった人事面等の仕組みの見直しにとどまりませんで、理事の業務執行や理事会運営の適正を確保する仕組みを総合的に構築しているところでございます。  これらの措置によりまして、学校法人の自律的ガバナンスの確立、管理運営制度の改善が図られることとなり、社会福祉法人等と同等のガバナンス機能が発揮できる制度改正になっていると認識をしているところでございます。 ○森山(浩)委員 社会福祉法人にしても、ほかの公益法人にしても、設立の趣旨というのはあるわけですね。それに対して、学校法人は建学の精神がある。ですから、特別だと言いつつも、社会の中でこういう役割を果たしますよというのはお互いあるという中で、社会福祉法人と同等とおっしゃいましたけれども、ガバナンス有識者会議のときに入っていました議決事項の中に、中期計画、それから役員報酬の支給基準、こういったものが、ほかの公益法人の中では議決事項に入ってきているわけですよね。  今の、これまでの私立学校法よりは、合併、解散、寄附行為という部分について、議決事項に格上げしましたということですけれども、まだ、ほかの公益法人とは差があるんじゃないですか。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  学校法人、御指摘ありました社会福祉法人や公益財団法人、これらにつきましては、それぞれの社会的役割も異なることなどから、それぞれ個別の法制度に基づいて運営が行われているものと承知しています。その上で、今御指摘ありました社会的な責任を果たすため、必要なガバナンス改革を各自において行うことが重要だと考えております。  私立学校におきましては、それぞれの建学の精神に基づき、個性豊かな活動が展開されているところ、私財を投じた創立者やその関係者を含む理事会メンバーにおいて建学の精神が受け継がれてきた、そういった経緯がございます。  こういった性格を有する理事会が意思決定機関として学校運営を行う一方で、評議員会は、学校法人を取り巻く様々な関係者の意見を取り入れながら、その公共性を維持するための諮問機関としてしっかり役割を果たしていただきたいと思っているところでございます。  また、これまでも御答弁申し上げましたが、対立ではなくて協働、チーム学校としての協働、そういったことから学校運営に携わってまいりたいというふうに思っております。 ○森山(浩)委員 建学の精神と、今、私財を投じたというような言い方もありました。  大臣の所管法人と都道府県の所管法人、これのガバナンス、二段階に分けているよということですけれども、これの違いについて御説明ください。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  執行と監視、監督の役割の明確化、分離に関わるガバナンスの基本構造につきましては、学校法人の規模にかかわらず、これは共通とした対応とすることが適切であると考えております。  一方、やはり、幼稚園等の、事業規模が小さいなどの理由によりまして、慎重な配慮が必要な学校法人が存在していることも承知しております。  大臣所轄の学校法人等とその他の法人とでは、やはり、それぞれの規模に応じましたガバナンスが適切に発揮されるように、適宜、対応を分けることにしている次第でございます。  具体的には、任意解散、合併と重要な寄附行為の変更につきましては評議員会の決議を必要とすること、また、会計監査人の設置の義務化であるとか、また、情報公開の公表義務があります。そういうことにつきましては、大臣所轄の学校法人のみに適用することとしているところでございます。 ○森山(浩)委員 私立学校は誰のものなのかという問題だと思うんですよ。  評議員会の議決事項は改廃ぐらいのこと、まあ、売り買いはできちゃうわけですけれども、承認事項なのに承認しないとなったら、あるいは、意見聴取事項で意見聴取に対して反対だということになったときでも理事会はそのままごり押しできるというようなガバナンスというのは、やはり理事会のもの、理事長のものというようなことにつながるのではないかと思いますけれども、日大のような、理事長の暴走というようなものを今回の改正で止められるんでしょうか。 ○永岡国務大臣 やはり私立学校というのは、公の性質を有する学校といたしまして、国公立学校とともに我が国の教育制度の一翼を担っている、そう認識をしているところでございます。  その上で、やはり私立学校では、それぞれの建学の精神に基づく教育の実現のために、個性豊かな活動が展開をされておりまして、我が国の学校教育の発展、普及や、多様化するニーズに応じた特色のある教育研究の推進に重要な役割を果たしている、そう考えておりますし、また、質、量とも、両面から、我が国の学校教育、これをしっかりと支えていると考えております。  学校法人制度におきましては、株主のような特定の持分権者は想定はされてはおりませんけれども、私財を投じた創立者、その親族を含む理事会メンバーにおいて建学の精神が受け継がれまして、学校法人の運営についての最終的な責任というのは理事会が負うこととされているところでございます。  この前提に立って、理事長や理事会は、児童生徒、学生を始め、保護者、卒業生、寄附者、地域社会、そして産業界等の学校法人を取り巻く幅広い関係者との対話によりまして公共性を維持し、そして、社会の信頼を得て運営をしていく必要があると考えております。  学校法人のガバナンス改革は、他の政策手段と相まって、私立学校の教育研究の質を向上させるための一つの重要な手段であると考えております。そして、私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるために、学校法人自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革を推進することができますように、文部科学省としてもしっかりと後押しをしてまいりたいと考えている次第でございます。 ○森山(浩)委員 大臣、うまくいっているところについて応援していく、それでその意義を認めるというのは当然だと思います。  ただ、このガバナンス改革というのは、暴走とか、うまくいかないとか、不祥事とか、こういったものを防ぐためのものですので、ちょっと今の御答弁というのは前向き過ぎる。ガバナンスの改革をするというのは、駄目なものをきちんと止めるということだと思いますので、それで議論をまた続けていきたいと思います。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、早坂敦君。 ○早坂委員 日本維新の会の早坂敦でございます。  最後の質疑者なので、質問が重複するかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。  先ほど荒井委員も言っていただきましたが、私も私学出身でございまして、宮城県の仙台市出身でございます。昨年は、育英高校が関を越えて真紅の優勝旗を持ってきてくれました。私は、東北高校といって、大臣、分かりますか、今WBCで活躍していますダルビッシュ有選手とか、また、先日東京ドームで単独公演をした羽生結弦さん、また、オリンピックで金メダルを取った荒川静香さんもいる、そんな世界で活躍している選手が多い学校なんですけれども、私も負けずに頑張っていきたいと思います。  今回の私立の学校の法改正は大変大事な法案の改正だと思いますので、早速質問させていただきます。  まず初めに、骨太方針の二〇一九年、閣議決定された背景についてお伺いいたします。  二〇一九年骨太方針で、公益法人として、学校法人制度についても、社会福祉法人制度改革や公益社団・財団法人制度の改革を十分に踏まえ、同等のガバナンス機能が発揮できる制度改正のため、速やかに検討を行うということが閣議決定されましたが、どのような背景の下、閣議決定されたのか、伺います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  令和元年改正におきまして、理事の行為の差止め請求権など監事機能の強化や情報公開の充実等の改正を行いました。この際の国会の附帯決議におきまして、不祥事防止のより実効性ある措置の速やかな検討などの更なる措置について求められたところでございます。  また、他方、新公益法人制度の発足から十年が経過したことから、公益法人の活動の状況等を踏まえ、公益法人のガバナンスの更なる強化等について必要な検討を行うこととされました。  こうした状況を踏まえ、公益法人の性格を有する学校法人につきましても、先行して改革が行われている社会福祉法人などの他の公益法人の制度を参考に、自律的ガバナンスの確立を行うことが求められたものと承知してございます。     〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕 ○早坂委員 ありがとうございます。  骨太方針二〇一七では人材投資と教育において、骨太方針二〇一八年でも人材への投資において、大学のガバナンスについて言及されています。成長のために、人への投資とイノベーションの重要性はありますが、その両方に教育研究機関として大学に期待が高まるのは当然のことだと思います。しかし、残念なことに、その社会の大きな期待に相反するように、近年、大学の不祥事が続いております。  その不祥事についてですが、過去十年で入試不正や不適切経理、刑事事件など不祥事により私学助成金の減額、不交付処分を受けた大学、短大運営法人の延べ数を教えていただけますか。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  平成二十五年度から令和四年度までの十年間におきまして、管理運営不適正等により私学助成が減額、不交付となった学校法人は、延べ数で二十七法人でございます。 ○早坂委員 二十七法人。  特に、私、調べたところだと、やはり入試の不正が相次ぎ件数が増えたということですが、大学の不祥事は、学校のガバナンスの不全を広く社会に印象づけることになったのではないでしょうかと思います。  その中で、次の質問になりますが、不祥事が相次ぎ、また未然に防ぐなどの意味もあり、私立学校法は改正が重ねられてきました。  平成十六年改正では、理事会の設置、外部役員の導入、監査報告書の制度化、役員の解任方法の寄附行為記載の義務化など。平成二十六年の改正では、文科省が学校法人に措置命令や役員解任の勧告を行えるなど監督権限が強化され、令和元年改正では、任務を怠り学校法人に生じさせた損害への役員の賠償責任を明確にし、監査機能の強化も盛り込まれてきました。また、令和元年の改正では、附則で施行後五年をめどに検討を加えるとありますが、施行五年を経ずに学校法人のガバナンス改革に係る改正案が提出されました。  この改正を定着させていくことに注力すべきときに、新たな改正案が提出された理由は何でしょうか。これまで私学法の改正を重ね、ガバナンスに関わる制度を整備、充実させてきたはずですが、これまでの取組はどう評価するのでしょうか。検討は十分行われてきたんでしょうか。もし見直しが必要な問題があり、新たな改正が必要であれば、それは制度の問題なのか、運用によるものなのか、丁寧に検証する必要があると思います。これは、度々の改正を含め、文科省の見解を併せて伺います。     〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  二点頂戴したかと思います。  まず、これまでの経緯の総括でございますが、今ほど御紹介いただいたとおり、平成十六年には、理事会の法定化などの管理運営制度の改善と利害関係者に対する財務情報の公開の徹底などに努めまして、平成二十六年におきましては、所轄庁による措置命令、役員の解任勧告、報告徴収等の仕組みの整備、そして令和元年度におきましては、理事の行為の差止め請求権などの監事機能の強化、そして情報公開の充実など、こういった制度に関する改善を行ってきたところでございます。  これらの改正により、ほとんどの学校法人においては、より適切なガバナンス体制の構築がなされるとともに、不適切な法人運営がなされているような場合には、所轄庁による適切な対応がなされてきているものと認識しております。  ただ、一方、こうした中にあっても、残念ながら、一部の学校法人において不適切な法人運営がなされている事案も発覚してございます。今回の改正は、こうした不祥事を防止するとともに、私立学校が社会の信頼を得て持続可能な発展を遂げるため、令和元年改正の際の国会の附帯決議の内容等も踏まえながら、更なるガバナンス改革を行うものでございます。  今御指摘がありました、制度の問題なのか、運用の問題なのかについては、なかなか難しい問題があるわけでございますが、両方の問題かと認識しているところでございます。  そして、五年後の見直し規定が設けられている点につきましては、実際、五年後まで待たなきゃいけないというものではなく、不断の見直しが必要だと当方としては考えております。  また、令和元年改正時の国会における附帯決議、そして今ほど御紹介がありましたるるの骨太の方針において、学校法人のガバナンス改革が強く求められており、また、加えまして、近年の不祥事事案も踏まえれば、速やかな見直しを行うことが必要であると認識したところでございます。 ○早坂委員 是非よろしくお願い申し上げます。  その中で、今回、評議員の権限が大変強くなるということで、ちょっと細かくなりますが、評議員会の機能についてちょっとお尋ねさせていただきます。  本法案では、理事会を学校法人の最終意思決定機関としております。評議員会の役割の一つ、学校法人の重要な意思決定について、理事会の決議に際し、評議員会の意見聴取を義務づけるとありますが、その重要な意思決定とは何を意味をするんでしょうか。また、学校法人の解散、合併案件は極めて限定されると思われますが、その数はどのぐらいあるんでしょうかね。そして、極めて限定された案件にチェック機能を持たせる意味があるんでしょうか。寄附行為の変更については多少数は増えるかもしれませんが、意見聴取において意見が尊重される担保はありません。チェック機能が働くのか疑問が大変残るんですが、文科省の見解を伺います。 ○茂里政府参考人 お答えします。  まず、決議事項でございます。評議員会の決議事項でございますが、理事会が業務執行機関、評議員会が諮問機関であることを維持しつつ、業務執行と監視、監督の役割の明確化と分離の観点から、評議員会が監視、監督機能として持つにふさわしい権限を整理し、管理監督機能を担う監事、そして会計監査人の選解任、加えまして、大臣所轄法人における学校法人の基礎的変更に関わる任意解散や合併、さらに、軽微な変更を除く寄附行為の変更などについて、評議員会の決議事項としているところでございます。  もう一点、合併、解散の件数でございます。  過去五年におきます大臣所轄法人の合併及び解散に係る認可の件数は、合併が十四件、解散が二件となってございます。加えて、改正後の私立学校法におきましては、重要な寄附行為の変更につきましても、理事会の決議に加えて評議員会の決議を要するものとしており、その範囲は今後文科省令で定めることとしております。  現在の私立学校法におきましては、文部科学大臣の認可を要する寄附行為の変更の認可申請は、毎年、これは文科省だけですけれども、二百件から三百件程度ございます。これらのうち一定数は、改正後の私立学校法に基づく評議員会の決議を要する寄附行為の変更となるものと考えてございます。  なお、実際のチェック機能がどう働くかという話がございましたが、これは、制度の構築と同時に、しっかりと運用していくことが重要だと考えており、今後、モデル寄附行為を始め、様々なところで運用の充実に努めてまいりたいと思います。 ○早坂委員 各学校、チェックの機能は本当に大切なものだとありますが、そして、学校法人の合併や解散は頻繁に起こることではないんですよね。ただ、経営に関するほとんどの事項は引き続き理事会が決定権を握るということは変わりがないと思いますが。  その次に、改革会議案の評議員会の機能についてちょっとお聞きしたいんですが、改革会議の報告書では、理事会や監事、評議員会の職務や権限を明確に分け、理事会に対する監督機能を強化するため、評議員会を、重要事項を決定する最高監督、議決機関に格上げをいたしました。これに対し、私学関係者からは、運営の責任を取れないや、教育環境が破壊され、暴走を止められないとの声明が出されました。  そこで、伺います。  改革会議の報告書では、理事や教職員は、退職後五年たてば評議員になれます。また、同窓生でも就任ができます。大学を全く知らない学外の人たちだけで行うのは無理だということで、それは理解しておりますが、文科省の見解を伺います。  また、評議員には執行権限がなく、管理者として注意を払う善管注意義務や損害賠償責任を負う仕組みがあるのですが、評議員が無責任な言動を行うのは難しいと理解しております。運営の責任を取れない、暴走を止められないということはないと思いますが、文科省の見解を伺います。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  学校法人ガバナンス改革会議報告書においては、御指摘のとおり、理事、職員の地位にあった者は、五年経過後は評議員に就任することができるとしているところでございます。  他方、同報告書では、評議員を最高監督、議決機関に格上げし、理事会や理事による評議員選任を一切認めないとするなど、評議員会と理事会とが対立する構図が前提となった提案となっており、そのことが私立学校関係者の心配や懸念を招いたものと受け止めております。  私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき個性豊かな活動を展開しており、こうした点が他の法人と大きく異なる点になります。そのため、今回のガバナンス改革に当たりましても、理事会と評議員会の対立を意図するものではなく、理事会と評議員会が相互に牽制し合いながらも建設的に、時には議論し合いながら、充実した、納得感のある学校法人運営を目指すことが重要だと認識しております。  また、善管注意義務等についてのお尋ねがございました。  御指摘の善管注意義務につきましては、学校法人の役員等と学校法人の間で発生するものと認識しております。寄附行為や法令に反する行為によって学校法人に仮に損害が生じた場合、その責任を個別に負うことになるものでございます。  したがいまして、評議員が善管注意義務や損害賠償を負うことと実際の学校法人を誰が主体的に行うかとは、直接関係するものではないことかと承知しております。  いずれにいたしましても、今回の法改正は、我が国の公教育を支える私立学校の教育研究の質の向上を図る観点から、どのような制度が適当であるかを丁寧に検討した上で、これはまた繰り返しになりますが、建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという、この基本的な枠組みを維持しつつ、評議員会の監視、監督機能をできるだけ、可能な限り高めるようガバナンス改革を進めるものでございます。 ○早坂委員 是非よろしくお願い申し上げます。  ここからまた骨太方針の抜本的改革の意味などを聞いていきたいので、ちょっと時間もないので大臣の方に聞いていきたいんですが、骨太方針二〇二一では、学校法人におけるガバナンス機能の抜本改革について、年内に議論を得て、法制化を行うとありますが、抜本改革の意味は何でしょうか。  改革会議案では、評議員会を最高監督、決議機関とするなど、全く新たな役割分担を含む改革案でしたが、特別委員会報告書は、理事会が法人運営の中心となる意思決定機関で、評議員会が諮問機関という従来の基本構造は変わらず、評議員会が理事の選解任の権限を持つ社会福祉法人と比べると、抜本改革とは言えず、私学側と改革会議案の折衷案ではないでしょうかと思います。ほかの公益法人と同等のガバナンス機能を持たせることは、二〇一九年、二〇二一年の二度の骨太方針で閣議決定されており、抜本改革にならなければ、再度閣議決定が必要ではないでしょうか。二度の閣議決定を翻すことになれば、政府のガバナンスが問われる事態と思います。大臣の見解を伺います。 ○永岡国務大臣 骨太方針二〇二一に記載されております抜本改革とは、学校法人について、他の公益法人と同様、その高い公益性、公共性に鑑みまして、評議員会による監視、監督など自律的なガバナンスを確立するため、学校法人の管理運営制度を抜本的に改善することだと理解をしている次第でございます。  本法案は、一般財団法人ですとか、あとは社会福祉法人等の規律を参考にしながら、私立学校におけます建学の精神を尊重すべきという他の法人制度との大きな違いを踏まえまして検討してまいりました。その上、執行と監視、監督の役割の明確化、分離という、学校法人の多様性や独自性の双方のバランスを考慮いたしまして、理事等の選任、解任といった人事面の仕組みの見直しにとどまらず、評議員会によります、監事に対する、これは理事の行為差止め請求ですとか責任追及の求めなど、評議員、評議員会の権限の強化も入っております。  また、会計監査の仕組みの導入もありますし、大規模な法人におけます常勤監事の必置もございます。そして、情報公開、訴訟等に関します規定の整備もされておりますし、刑事罰や過料の新設などによりまして、理事の業務執行や理事会運営の適正性などを確保する仕組みを多面的に、総合的に構築をしているところでございます。  これらの措置によりまして、学校法人の自律的ガバナンスの確立、管理運営制度の改善が図られることとなりまして、骨太方針の二〇一九や二〇二一で求められておりますガバナンスの抜本改革を実現するものとなっておりまして、閣議決定に反するものではない、そういう認識を持っております。 ○早坂委員 ありがとうございます。  でも、その統治機能改革について、今回のガバナンス改革はどうしても迷走していると思うんですよね。コーポレートガバナンス改革の議論に大変似ていると思うんですよ。  約二十年前に始まった企業統治改革では、社外取締役を起用して執行役、取締役の選解任権を持たせようとしたところ、社内の事情をよく知らない人間だけにチェック機能を任せられないとかいった反論が上がりました。その後、企業統治改革は広がり、日本企業の競争力向上に貢献したことは、そういうことは事実だと思います。しかし、ガバナンスは、企業や大学といった特定の分野にとどまらず、これは人間社会の全ての組織に当てはまると思います。教育の自主性や建学の精神は尊重されなければなりませんが、その対立するものにならないとは思っております。  学校法人と営利目的の企業とを一概に論じることはできませんが、しかし、今は株式会社私立大学も誕生している世の中です。統治をめぐる社会の動きから学校法人のみが周回遅れになっているということに私学全体がもっと危機感を持つべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。 ○永岡国務大臣 学校法人は、ほかの公益法人と同様に、その高い公益性、そして公共性に鑑みまして、運営の透明性の確保や情報公開、また説明責任の徹底などのガバナンス機能の強化が求められているところでございます。  今回の法改正につきましては、学校法人の持つ独自性などに配慮しながら、こうした社会の要請を踏まえて、自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革を推進するためのものというふうになっております。  今般の法改正の趣旨を実現するためには、各学校法人の寄附行為等についても、執行と監視、監督の役割の明確化、分離の観点から丁寧な見直しを図っていく必要があると考えております。  少子化が進展する中で、本当に社会の急速な変化の中で、私立学校が社会の信頼を得まして、そして今後も持続可能な発展を遂げるために、各学校法人が自らガバナンスの在り方について不断の見直しをしていただきますように、よりよい法人運営がなされるよう工夫や改善を積み重ねていただくことが必要でございます。  文部科学省といたしましても、今回の法改正の趣旨の徹底を図りながら、必要な助言、情報提供等に努めてまいりたいと考えております。 ○早坂委員 是非よろしくお願い申し上げます。  それで、今、少子化の話になりましたが、今、少子化により十八歳未満の人口が減っていく中、大臣所轄の学校法人は、文科省の数字によりますと、令和三年で大学、短大、高専合わせて六百七十法人です。ここ十五年ほど全然変わっていないんですよ。今後、大学も生き残りを懸けて競争は更に激しくなると予想されます。私大は学部生の八割弱を受けております。社会人の再教育も含め、様々な人材育成に寄与していることが事実です。  だからこそ、学校法人は多額の国費助成を受けており、私大にはその役割の重さにふさわしい健全な経営を行う責任があると思います。自浄能力が働かない大学は淘汰される時代になっていくはずです。度重なる不祥事と紛糾した統治改革議論を通じ、社会は私大経営に厳しい目を向けていることは自覚すべきです。私学側に寄り添い過ぎては、社会、そして納税者には受け入れられません。改革が骨抜きになれば、日大のような不祥事がこれからも続くおそれがあるのではないでしょうか。  今後、私大の改革をどの方向に、どのように進めていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  改革意欲や経営努力が不十分な結果、定員未充足等によりまして財務悪化に陥り、そして直ちに経営改善が必要な学校法人に対しまして、文部科学省では、令和元年度から、新たに財務指標を設定いたしまして、改善計画の策定や改善状況の確認等を行いまして、集中的にきめ細やかな指導を実施をしているところでございます。  また、令和四年度より、経営指導を実施してもなお経営改善が十分でない法人に対しましては、大学等の破綻によりまして在学生が不利益を受けることがないように、計画的な規模の縮小や撤退等も含めた経営判断の検討を求めるなど、改善に向けた経営指導の強化を図ったところでございます。  今後とも、改革が不十分である等の結果、経営悪化傾向にあります学校法人に対する経営指導の在り方については、改善のための検討を行いまして、学生を保護する観点から、その取組、これを充実強化をしてまいりたいと考えております。 ○早坂委員 先ほど、私も私学出身で、両親が共働きで、どうにか学校を出していただきまして、私の娘と息子はもう卒業していまして社会人なんですけれども、やはり、私立に一年生と三年生がいると教育費が大変でした。  だから、僕のためじゃなくて、これからの未来の子供たち、そして、一生懸命働いてくれている、今こんな、本当に大変な時代ですよ、給料も上がらない、物価も高騰している中、学費を払う保護者の皆さんのためにしっかりと取り組んでいただきたいという思いで、あと、最後に、私大の不祥事がやまない背景には、理事長や理事の質の問題も関係しているのではないでしょうか。  ガバナンスを機能させるために組織や制度を変えることは必要ですが、新たな組織を動かす、制度を生かすための運用について、同時に考えることも大切だと思います。組織、制度と運用がそろって初めてガバナンスが機能するものだと思います。  そして、この運用に大きな影響を与えるのは、理事長の考えと姿勢ではないかと思います。改革の意味を十分に理解しないまま、手続にのっとり、形式を整えるだけでは、ガバナンスは機能しません。理事長やトップに立つ者の質がガバナンスの質を決める大きな要素であることを、理事長などトップは理解すべきです。  社会に信頼されて支持されるため、何が必要なのか、それぞれ学校法人が自ら考え、ガバナンスとマネジメントの両方の質を高め、その姿を広く示していくことが必要であり、今後の学校運営の成否の鍵を握る重要な要素になるのではないでしょうか。今後、理事らに向け、私学法など関連法の趣旨や罰則などの研修を充実させ、理解を深める施策も必要でないでしょうか。このことを訴えさせていただき、質問を終わりにさせていただきます。 ○宮内委員長 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会