第211回国会 衆議院 文部科学委員会 第5号 令和5年3月22日 令和五年三月二十二日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 宮内 秀樹君    理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君    理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君    理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君    理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君       青山 周平君    石橋林太郎君       上杉謙太郎君    勝目  康君       佐々木 紀君    柴山 昌彦君       鈴木 貴子君    田野瀬太道君       谷川 弥一君    辻  清人君       中曽根康隆君    丹羽 秀樹君       平沼正二郎君    船田  元君       古川 直季君    穂坂  泰君       堀井  学君    本田 太郎君       山口  晋君    山本 左近君       義家 弘介君    荒井  優君       梅谷  守君    菊田真紀子君       白石 洋一君    牧  義夫君       吉川  元君    金村 龍那君       高橋 英明君    早坂  敦君       日下 正喜君    平林  晃君       山崎 正恭君    西岡 秀子君       宮本 岳志君     …………………………………    文部科学大臣       永岡 桂子君    文部科学副大臣      簗  和生君    文部科学大臣政務官    山本 左近君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君    政府参考人    (文部科学省高等教育局私学部長)         茂里  毅君    政府参考人    (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君    文部科学委員会専門員   中村  清君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   青山 周平君     堀井  学君   田野瀬太道君     佐々木 紀君   船田  元君     平沼正二郎君   穂坂  泰君     本田 太郎君   山崎 正恭君     日下 正喜君 同日  辞任         補欠選任   佐々木 紀君     田野瀬太道君   平沼正二郎君     船田  元君   堀井  学君     青山 周平君   本田 太郎君     穂坂  泰君   日下 正喜君     山崎 正恭君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)      ――――◇――――― ○宮内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長茂里毅君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ――――――――――――― ○宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川直季君。 ○古川(直)委員 おはようございます。自由民主党の古川直季でございます。  本日は、当委員会では初めて質問させていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  先日の当委員会の審議、そして参考人招致でも様々な御意見がございました。今回は、七千六百を超える学校法人に影響が及ぶことになりますので、丁寧に議論を進めているところでございますが、今回こうした質問の機会をいただきましたので、私、地元の学校法人に直接お伺いをして、いろいろお話をお伺いさせていただきましたので、そのことから少しお話をさせていただければと思います。少しお時間をいただけたらと思います。  私の地元には、近年、不登校の生徒支援でも注目をされている星槎グループという学園がございます。創設者は宮沢保夫先生という方なんですけれども、最初、生徒二人の学習塾から始まって、今では幼稚園から大学まで約二万人の学生が学ぶようになっておりまして、昨年、創立五十年を迎えたところでもございます。私も、横浜市会議員のときから、宮沢先生には大変様々御指導をいただいた者の一人です。ただ、残念ながら、宮沢先生は昨年お亡くなりになりまして、あしたが命日でございます。ここに、御冥福を心からお祈りを申し上げたいと思います。  私立学校の建学の精神というのは、この学園もそうでしたけれども、どの学校も、創立者の志を表現したすばらしい理念でございます。宮沢先生は、人を認める、人を排除しない、仲間をつくるというこの三つの理念を掲げて、子供たちや、広く学園の多くの皆さんにこの理念を徹底されておられました。私も、この理念にも感銘を受けました。今回のガバナンス改革も、こうした各学校の建学の精神、そして教育に対する情熱、こうしたことをやはりしっかりと踏まえた上で改革を推進すべきだというふうに私は思っております。  さて、これまでの質疑で委員の皆様が御指摘をされているように、日本の私立大学は、学校数全体で七七%を占め、二百六十一万人の学生のうち七八%が私学で学んでいるという状況でございます。これだけ多くの人々が学び、卒業生たちが社会で活躍している状況を鑑みれば、私立学校は日本の公教育に多大なる貢献をしていると言っても過言ではありません。  この私立学校の建学の精神や大学の自治、そして学問の自由は確実に担保しなければならないということは当たり前ですけれども、一方、学校法人は、私学助成という国民の税金による公的な支援を受けていますから、国民に理解をいただくようなしっかりとしたガバナンスの在り方が求められていると思います。  来年度の予算案では、私学助成の金額は増額されています。さらに、大学の理工農系への転換の促進、成長分野を牽引する大学等の機能強化に向けて約三千億円の基金が創設されましたが、その支援対象の大半は私立大学を念頭に置いているなど、私立学校への支援の充実が図られているところでございます。  特に、大きな私立学校は、国公立大学よりも多額の公的資金が投入されているケースもあります。そうした支援を受けている以上、やはり、先ほど来申し上げておりますが、私立学校には、社会からの期待に応える責務があり、自ら行う活動について社会に向けて説明責任を負っていると言うべきだと思います。  こうした実態を踏まえて、国民の信頼を一層得ていくためにも、学校法人のガバナンス改革は喫緊の課題であると認識しているところでございます。  もちろん、既にガバナンス改革に取り組んでいる学校法人が幾つもあるということは承知しておりますが、今回の改正を通じて、単に不祥事を防止するだけではなくて、建学の精神を生かすためのガバナンスを、是非とも、各学校法人においては見直していただいて、そして、関係者や国民の皆様の御理解をより一層得られるような学校運営を心がけていただければと思います。  その上で、質問に入らせていただきたいと思います。  令和三年に文部科学省の学校法人ガバナンス改革会議においてまとめられた報告書は、執行と監視、監督の分離など、他の法人とも共通する一般的なガバナンスの強化の観点から有用な点も含む提言でありました。しかし、評議員会を最高監督、議決機関とするなど、私立学校の多様性や実態を考慮しておらず、また、評議員会が暴走したときに歯止めがかけられないものとなっており、大きな混乱を招いたところです。  こうした状況を踏まえて、我が党においては、文部科学部会及び教育・人材力強化調査会において、私学団体との意見交換を重ねて検討を進めてまいりました。令和四年三月に、実効性があり、現実的な改革方針を、学校法人のガバナンス改革の方針に関する提言として取りまとめ、文部科学大臣に手交したところです。この提言を踏まえてこの度の改正案が作成されていると認識をしております。  まず、こうした経緯も踏まえながら、学校法人のガバナンス改革の必要性や基本的な考え方について、これを改めて大臣に御説明をいただきたいと思います。 ○永岡国務大臣 古川委員にお答え申し上げます。  今回の改正は、我が国の公教育を支えます私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるために、社会の要請に応えながら、自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革を推進するためのものでございます。  こうした目的に向けまして、執行と監視、監督の役割の明確化、そして分離を基本的な考えとしながら、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の権限の明確化、選解任手続を定めるとともに、監事や評議員会の理事会へのチェック機能を強化するなど、学校法人の管理運営制度を抜本的に改正するものであるということになっております。 ○古川(直)委員 この自民党の提言においては、学校法人のガバナンス改革に当たって、理事長や特定の理事による専横を防止し、学校法人の公共性を高める仕組みを構築するため、評議員会の機能強化や会計監査人制度の導入などの監督体制の充実、そして特別背任などの刑事罰の新設など、様々な改革方針を示しております。  政府におかれましても、学校法人制度改革特別委員会で、同様のポイントを踏まえて議論されていたと思います。これらの特別委員会での御議論は今回の改正案にどのように生かされているのか、お伺いをしたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  令和四年三月二十日に公表されました学校法人制度改革特別委員会の報告などを受けまして、本法案は、執行と監視、監督の役割の明確化と分離を基本的な考え方としつつ、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の各権限を明確に整理いたしまして、建設的な協働と相互牽制を確立することで、実効性のあるガバナンス構造を構築することを目的としています。  具体的には、評議員会の機能強化といたしまして、本法案におきまして、理事選任機関が理事選任を行う際には評議員会の意見聴取を必須とするという人事面での権限強化のほか、評議員による理事の行為の差止め請求など牽制機能の強化などの制度改正を行ったところでございます。  また、会計監査人制度などの監督体制の充実といたしましては、本法案において、監事、会計監査人につきましては評議員会が選任、解任することとするとか、内部統制システムの整備義務を設けるとか、会計監査人の設置義務など、制度改正を行ったところでございます。  加えまして、特別背任などの刑事罰の新設につきましては、本法案におきましても、他の法人の例などを参考に、特別背任罪、贈収賄罪の刑事罰について新設をしたところでございます。 ○古川(直)委員 今答弁いただきましたが、特に刑事罰の新設について、これまで私立学校法には刑事罰の規定が存在していなかったところ、今回初めて盛り込まれることとなったと認識しており、不祥事の抑止にかなりの効果があるのではないかと考えております。  そこで、具体的に、どのようなときにどのような刑罰が科せられることになるのか、お伺いをいたします。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今回の改正では、他の法人の制度も参考に、特別背任罪、贈収賄罪、財産の処分に関する罪、偽りその他不正の手段により認可を受けた罪、これらを新設することといたしました。  具体的には、役員などが背任行為を行って法人に損害を与えた場合には、七年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金、贈収賄を行った場合には、収賄側には五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金、贈賄側には三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金、加えまして、目的外投機取引のために法人の財産を処分した場合には、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金、不正手段により所轄庁の認可を受けた場合には、六月以下の拘禁刑又は五十万円の罰金がそれぞれ科されることになることを予定してございます。 ○古川(直)委員 この自民党の提言においては、今後の検討課題として、学校法人の規模に応じた取扱い、経過措置の設定、具体的な実施の方法を示したガイドラインの作成、そして、ガバナンス強化に取り組む法人への積極的な支援の実施などが必要であるというふうにお示ししたところですが、このことについても、同じように、政府特別委員会でも御議論があったことと思います。  規模に応じた取扱いについては、大臣所轄学校法人とその他の学校法人の取扱いとして前回の審議でも度々話題に上がりましたので、これは割愛いたしますが、経過措置については、本法案ではどのように定められているのでしょうか。また、具体的な実施の方法を示したガイドラインの作成についてはどのように作成をしていく予定なのか、お伺いをいたします。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今回の改正におきましては、まず、施行日を令和七年四月一日とすることにより、学校法人に対して十分な準備期間を設けることといたしております。  加えまして、今回の制度改正により、全国全ての学校法人におきまして、寄附行為の改正や新制度の要件を踏まえた理事、評議員等に関する人事など、相当程度、作業が発生することが想定されてございます。  このため、経過措置といたしましては、理事、監事及び評議員の兼職禁止等への対応につきまして、令和七年度の最初の定時評議員会の終結のときまで猶予すること、加えて、近親者等の要件につきましても、改正法の施行から、大臣所轄学校法人等については約一年、その他の学校法人については約二年猶予することとしており、制度移行に際し学校法人に過度な負担がかからないように工夫してございます。  また、新制度の効果を最大限発揮させるためには、所轄庁である都道府県や、そして各学校法人が、今回の制度改正の趣旨やその内容、これをしっかりと理解するとともに、学校法人が自ら率先してガバナンス改革を行っていくことが重要だと考えております。  そのため、文科省におきましては、政省令の制定に合わせまして、学校法人や都道府県に向けての説明会の実施、又はモデルとなる寄附行為例の作成、さらには寄附行為変更に関する個別の法人相談、こういったことを総合的に取り組み、しっかりと今回の改正の趣旨の徹底に努めてまいりたいと思います。 ○古川(直)委員 この経過措置に関連して、施行日について、本法律の施行日は令和七年四月一日となっており、施行が遅いのではないかとも考えられます。施行日を令和七年四月一日とする必要性についてお伺いしたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今回の改正では、役員、評議員の構成等に関する新たな要件を設け、選任、解任に関する規定を見直すほか、大臣所轄学校法人等におきましては、意思決定の在り方の見直しや会計監査人による会計監査の制度化を図ることとしてございます。  学校法人におきましては、理事選任機関の設置や、役員、評議員の構成及び具体的な人選等、内部的な検討を進めた上で、寄附行為の変更を始めとする必要な対応を取ることが求められております。これによりまして、かなり十分な準備期間を確保することが必要となっているところでございます。法改正後、政省令の改正のほか、各都道府県においても関係する規則等の改正を行う必要がございまして、学校法人における寄附行為変更の手続は、それらが整い次第進められることになります。  準備期間が短くなることにより学校法人や自治体の過度な負担とならないよう、令和六年ではなく、令和七年四月一日に施行日を設定したところでございます。 ○古川(直)委員 以上、確認をさせていただきましたが、今回の制度改正については、我が党の提言を踏まえたものとなっており、評価をしたいと思います。  関連して少し質問をさせていただきたいと思いますが、国立大学が法人化されて十八年がたちました。大学の自主性を尊重しつつ、競争的環境の中で世界最高水準の大学を育成するため、自律的な大学運営、民間的な発想、学外者の参画、人事の弾力化などを期待され、ガバナンス体制の構築とともに、着実に改革が進んでいるものと思います。これは国立大学のことでありますけれども。  例えば、私の地元の横浜国立大学では、梅原学長が、部局の縦割りを乗り越え、全学を挙げて、我が国初の台風研究センターである台風科学技術研究センターを立ち上げ、様々な大学、研究機関や企業とともにオール・ジャパンでの取組へ発展させるなど、精力的に取り組んでおられます。  形だけを整えても、内実が伴っていなければ法人化の趣旨が生かされません。学長がリーダーシップを発揮できるガバナンス体制が必要であるのではないかと、私も、学長ともお話しさせていただいて実感をしたところでもございます。  その意味においても、この度の私立学校法の改正においても、形や仕組みを変えただけではなく、これは繰り返しておりますけれども、建学の精神を生かした、実効性のある真のガバナンス改革に取り組み、各校の発展を期待したいところでございますが、大臣の所感をお伺いいたします。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  学校法人は、ほかの公益法人と同様に、その高い公益性、公共性に鑑みまして、運営の透明性の確保や情報公開、説明責任の徹底等のガバナンス機能の強化が求められております。  今回の改正案は、学校法人の持ちます独自性などに配慮をしながら、こうした社会の要請を踏まえて、自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革を推進するためのものとなっております。  ガバナンス改革は、私立学校の発展の基礎となりますものでございます。今後とも、私立学校がそれぞれの建学の精神に基づきましてその役割をしっかりと果たせるように、今回のガバナンス改革とともに、文部科学省といたしましても、私学助成の確保や、また、教育研究条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減等を通じまして、各私立学校の取組、これを支援をしてまいりたいと思っております。 ○古川(直)委員 御丁寧な御答弁をいただき、ありがとうございます。やはり、各学校法人、主体的に改革をしていくということが非常に大事ではなかろうかというふうに私も思います。  そこで、もう少し大きな視点で、大学の機能の一つである、今度は研究についてお聞きしたいと思います。  三月五日の日曜日の日経新聞の一面で記事になっていましたけれども、この二十年で、博士号取得者数、注目論文の数が先進国で日本だけが減少し、世界で日本の科学研究の存在感が低下しているという実態が報道されておりました。  記事では、一般に、研究成果を上げてからノーベル賞を受賞するまで二十年から二十五年はかかると指摘されており、二〇一〇年以降に日本の研究成果が低迷しているのを踏まえると、二〇三〇年以降に大幅にノーベル賞受賞者が減少する可能性があると指摘されています。これは、研究者の皆様におかれましては、ノーベル賞のために学問を修めているわけではないとお叱りを受けそうでありますけれども、この注目論文の数や博士号取得者の数が減少しているという指摘は注目に値すると思います。  研究や人材育成は時間がかかるものですから、長い目で見て投資をしていかなければならないと思います。博士号取得者は各国が育成しており、アメリカや中国も約二十年間で倍以上に増えています。お隣の韓国も博士号取得者の数を着々と伸ばしており、日本の博士号取得者の数を超えているところであります。御存じのとおり、日本の人口は韓国の倍以上なので、博士号取得者数が抜かれてしまうというのは大変大きな問題ではないかというふうにも思います。  政府支出の大学研究資金が増える国は、高い評価を受ける研究者が増える傾向にあるという指摘もございます。頑張って時間を費やして博士号を取得しても、独立して研究できるポストと予算が少ないという実態もあり、この状況を打開しなければ、これまでのような優れた研究者は育たなくなってしまうのではないかということが危惧されるわけであります。政府は、我が国の発展のために、こうした状況を重く受け止め、危機感を持って臨まなければならないと思います。  そこで、お伺いしたいんですけれども、科学技術政策において、世界における日本のプレゼンスの低下と現在の国内の博士号取得者数の減少について、どのように認識し、どのような戦略を持って回復、発展を図っていくのか、お伺いをさせていただきます。 ○柿田政府参考人 お答えいたします。  我が国の研究力は近年、相対的に低下している状況にあり、この状況に歯止めをかけ、研究力を強化していくことが喫緊の課題であると認識をしております。  研究力強化のためには、博士課程学生や若手を始めとする研究者の独創性を最大限育むとともに、挑戦を促すために、研究資金面も含めた研究者を取り巻く環境を改善していくこと、また、世界と伍する研究大学を始めとする研究大学群を整備し、大学における研究基盤を強化していくことなどが急務であると考えております。  このため、文部科学省では、一点目といたしまして、大学ファンドによる国際卓越研究大学への支援と地域中核、特色ある研究大学への支援を通じた我が国全体の研究力を牽引する研究大学の振興、二点目として、世界で戦える優秀な若手研究者の育成、三点目として、自由で挑戦的な研究への支援の強化、四点目として、博士課程学生への経済的支援の抜本的な拡充とキャリアパスの整備などについて取り組んでいるところであります。  特に、令和四年度第二次補正予算におきましては、地域中核、特色ある研究大学の振興として、大学の強みを生かした取組を支援すべく、基金を含む二千億円を措置したこと等に加え、令和五年度予算案において、それぞれの大学の強みを生かした魅力的な拠点の形成支援、また、学際共同研究や組織、分野を超えた研究ネットワークの拡大等への支援などの予算を計上をいたしております。  文部科学省としては、大学の研究力向上に向けた取組も含め、我が国全体の研究力向上に全力で取り組んでまいります。 ○古川(直)委員 ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。  その一方で、少子化が急激に進む我が国において、私立大学の数が多過ぎるのではないかという指摘もございます。質問の冒頭に申し述べましたとおり、日本の私学は、学校数、学生数共に約八割を占めており、諸外国と比べても、これは割合としては非常に多い傾向でございます。  人口が日本の半分の、先ほど申し上げましたように、注目論文数の数や博士号取得者の数で我が国を超えてきた韓国も、私立大学と国立大学の割合は日本と非常に近いものなんですけれども、日本の学生数二百六十一万人、学校数七百八十六校に対して、韓国は、学生数二百六万人、学校数は百九十九校であり、学生数は五十五万人の差なんですけれども、学校数は約四倍違って、日本より少ないですよね。  入学定員割れの大学も起きている中、こうした海外との比較なんかも考えた場合に、やはり、私立大学の質の確保、向上のためにも、今後の我が国の私立大学の在り方について、文部科学省としてもしっかりとした方向性や戦略を持って政策を打っていかなければならない時期に来ているのではないかというふうにも思います。  学校の維持運営、それぞれの建学の精神やその多様性を守ることももちろん大切なんですけれども、一番大切なことは、そこで学び育つ一人一人の人であることをいま一度考え直すべきかとも思います。その上で、今後の私立大学の在り方はどうあるべきなのか、大臣の見解をお伺いをいたします。 ○永岡国務大臣 私立大学の主な入学者は、日本の十八歳人口が減少傾向にある中で、これは大変入学者が少なくなる、人口減少であるということはありますけれども、やはり、社会人の学び直しであるとか、あと、海外の高等教育の需要の増加など、時代の変化と社会のニーズに対応いたしまして、教育研究の質を高めて、また自ら改革に取り組む私立大学に重点的に支援を行うということは重要であると思っております。  このため、例えば、令和四年度の補正予算におきまして、デジタル、グリーン等の成長分野を牽引する大学、高専の学部転換等に向けた基金を創設いたしまして、早期の公募開始に向けて今取り組んでいるところでございます。  なお、定員未充足等によります財務悪化に伴いまして経営改善の見込めない大学に対しましては、経営判断を促す指導等の充実を図ることは、学生を保護する観点から重要です。  このため、文部科学省といたしましては、計画的な規模の縮小であるとか撤退等も含めました経営指導の徹底、そして定員の充足率によります私学助成のめり張りある配分等にも取り組んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、私立大学の重要性に鑑みまして、時代と社会の変化に対応して積極的にチャレンジをする私立大学、これをしっかりと後押しをしてまいります。 ○古川(直)委員 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますが、日本の未来は教育に懸かっていると言っても過言ではありません。今回の私学のガバナンス改革を含め、これをステップとして様々な施策を講じることにより、引き続き、高等教育改革をより一層進めていただき、日本の科学技術、学術を始め、教育の発展の後押しを是非ともお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、柚木道義君。 ○柚木委員 柚木道義でございます。  今日もよろしくお願いをいたします。  私学学校法の質疑の通告もたくさんしているので、是非、前回、理事会でも、参考人質疑の後に政府、政務官からも来ていただいて説明もいただきましたが、簗副大臣の、資料の一枚目にも毎日新聞の報道をつけていますけれども、私見は答えない、非公開は答えない、こんなのを言っていたら何にも答弁できないですよ、国会。  それで、まさに理事会で、これは与野党共に、副大臣から直接、改めてこの委員会で誠実な、これは答弁態度も大問題になっていますからね、ちゃんと話が行っていると思いますよ、是非誠実に答弁、説明をいただく。  LGBTは種の保存に背くという発言の有無、そして、現在もそうお考えか、まずこの点を御答弁をお願いいたします。 ○簗副大臣 御指摘の報道に係る当該の会議は非公開の形式で行われたものであり、その内容等やそれに関連する質問についてはお答えは差し控えます。  なお、一般論としてですけれども、非公開の会議というものは、読んで字のごとく、公に向けたものではありませんので、その内容は個人の内心に関わるものを含むものと考えます。憲法第十九条には、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という内心の自由に係る規定があり、また、憲法第九十九条にはいわゆる憲法尊重、擁護義務があります。私ども行政に身を置く立場の者や国会議員は憲法の規定を忠実に守る義務を負っておりますので、第十九条に規定される内心の自由を侵すことは厳に控えなければなりません。  非公開の会議における内容等やそれに関連する質問についてお答えすることは、かかる理由により適切でないと考えますので、お答えは差し控えさせていただきます。  なお、考えということでございますが、これは三月十五日の本委員会でも述べたとおりでございますが、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すことは極めて重要であると考えております。他の委員会での答弁も含め、文部科学副大臣に就任以来述べていることはこれが一切でございます。何ら変わることはございません。 ○柚木委員 驚きましたね。誰も答弁できなくなりますよ、大臣、副大臣、政務官、国会で、そんなことを言っていたら。岸田総理だって、あるいは高市大臣だって、このLGBTの問題に関して私見を答えているし、杉田さんだって、非公開の場だろうが何だろうが、松本総務大臣の指導を受けて、撤回、謝罪、辞任までしたじゃないですか。そんな答弁をしていたら国会は成り立ちませんよ。都合のいいときだけそうやって憲法まで持ち出して、内心の自由とか。  あなた、LGBT理解増進、学校教育の責任担当副大臣じゃないですか。私は前回、今の考えも、全く答えていないんですよ。文科省の方針だから当たり前ですよ、そんなの。そうじゃなかったら罷免ですよ。当たり前じゃないですか。  私が聞いているのは、発言の有無だけじゃなくて、LGBTは種の保存に背くという考えを今もお持ちなんですかと聞いているんです。答えてください。 ○簗副大臣 私が考えていることは先ほど申したとおりでございまして、繰り返しますが、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すことは極めて重要であると考えております。  なお、私見ですとか個人的な見解ということについて今お尋ねがありましたけれども、個人的な見解を述べる立場にないということは、これは前回来申しているとおりでございます。この席で申していることは、全て文部科学副大臣としての見解であります。これは個人としての見解がどうであるか、あるいは個人としての見解と副大臣としての見解が一致しているか否かなどといったように、双方独立なものとして議論したり答弁をするということがそもそも成立し得ないのだということを申しております。  つまり、個人としての見解と文部科学副大臣としての見解が別にあり、個人としての見解を述べることを控えると申しているのではなく、そもそも、ここに呼ばれているのは文部科学副大臣であるがゆえであり、私が答弁する内容は全て文部科学副大臣としてのものでありますから、例えば、これは個人としての見解ですなどというように、個人としての見解が別のものとして存在するということは成立し得ないということであります。したがいまして、個人としての見解を述べる立場にないと答弁をしてきております。 ○柚木委員 これは、参議院の予算委員会で高市大臣のとんでもない、信用できないんだったら質問しないでと。私も前回同じことを言いましたよ。本心で違うことを思っているのに、幾ら答弁ペーパーを読み上げても、そんなもの、信用できない。私も二人子供がおりますけれども、LGBT理解増進教育、あなたに担当副大臣を任せられない。  だから、委員長、末松委員長はこうおっしゃっていますよ。高市大臣の答弁拒否に対して、閣僚が国会議員の質問する権利について否定したりするのは本当に大きな間違いだと。否定しているじゃないですか、私の質問権を。  委員長あるいは理事の皆さん、ちょっと協議してください。こんな答弁では先へ進めません。委員長、指導してください。協議してください、お願いします。(発言する者あり) ○宮内委員長 それでは、速記を止めてください。     〔速記中止〕 ○宮内委員長 それでは、速記を起こしてください。  それでは、簗文部副大臣から説明をお願いします。 ○簗副大臣 性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要であると認識をしております。 ○柚木委員 文部科学副大臣として当たり前の答弁ですよ。当たり前じゃないですか。そうじゃなかったら、副大臣辞任じゃないですか。所信で述べることで、当たり前のことですよね。  私が理事会のときに、説明した政務官、まさに今のは当たり前の話で、私が聞いているのは、LGBTは種の保存に背くという考え。私見は答えないとさっき断言されましたけれども、その考えを今お持ちなのかと聞いているんです。文部科学副大臣として当たり前ですよ。  LGBTは種の保存に背くという考えは今でもお持ちなんですかと聞いているんです。ちゃんと答えてください。 ○簗副大臣 私の見解としましては、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要であると認識をしております。 ○柚木委員 もう、その壊れたテープレコーダーのような答弁はやめてもらえませんか。前回、何回答弁拒否を連発されたか御存じですか、僅か十分ほどの質疑の中で、副大臣。答えられないと。高市さんと一緒じゃないですか。高市さん以上にひどいですよ。答えていないのに答えたと言い張る。高市さん以上にひどいじゃないですか。  永岡文科大臣、松本総務大臣は杉田政務官に対して、きっちりこう指導されていますよ。政務官と私で話をして、人を傷つけていることを重く受け止め、反省をしている、そういう拙い表現についてはやはりおわびをし取り消すよう、私から指示をさせていただいたところですと。  杉田さんは謝罪、撤回、辞任したじゃないですか。文部科学大臣、指導してください。 ○永岡国務大臣 先週の金曜日だったと思いますけれども、簗副大臣に大臣室まで来ていただきまして、この問題について話をさせていただきました。簗大臣、答弁していますように、性的マイノリティーの方々を始め、個々の人々が云々、こういうことでしっかりと対応させてもらうということのお話は共有をさせていただいたところでございます。  以上です。 ○柚木委員 しっかり対応させていただくということであれば、まさに松本総務大臣が指導して杉田政務官が撤回、謝罪、辞任されましたよ、答弁させてください、今そこで指導して。お願いします。 ○永岡国務大臣 LGBTの方々を含めまして、性的マイノリティーの方々を始め、また、個々人の方々が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指していくという認識、これをしっかりと共有をいたしまして文部科学行政を進めていくこと、これを、もう一度申し上げますが、共有をしたということで、私は納得した次第でございます。 ○柚木委員 そんな、文部科学副大臣として、今おっしゃっているようなことは当たり前なんですよ、それは。  LGBTは種の保存に背く、これは、そもそも、何でこのことを聞かなきゃいけなくなっているんですか。発言されたんでしょう、LGBT理解増進法の党内の法案審査で、反対するために。非公開の場の発言、しなかったら、自民党さん、非公開の会議の場で、幾らでも皆さんしゃべっているじゃないですか、この間。何で都合の悪いことだけ、非公開の場はしゃべらない、言いたいことはべらべらしゃべる、こんなダブルスタンダードは駄目ですよ。  LGBTは種の保存に反する……(発言する者あり)えっ。じゃ、何ですか、自民党の複数の議員が、資料につけているように、LGBTは種の保存に反すると簗副大臣が言ったと自民党の議員が複数発言をしている、これは捏造なんですか、この報道は捏造なんですか。  副大臣、自民党の同僚議員の発言は捏造ですか。お答えください。 ○簗副大臣 先ほど申したように、当該の会議、今御指摘の報道に係る当該の会議は非公開という形式で行われたものでありますから、先ほど述べた理由によりまして、その内容等やそれに関連する質問についてはお答えは差し控えます。 ○柚木委員 いや、これは本当にひどいですね。高市大臣は、そうはいっても、まさに自身の発言についても撤回、謝罪されましたよ、参議院の予算委員会で。簗副大臣は、撤回、謝罪どころか答弁拒否の連発で、高市大臣よりひどいですよ、本当に。  LGBTは種の保存に反するという、現在のお考えを聞いているのに、文科副大臣としての所信で述べるのを、当たり前のことを答弁ペーパーを読み上げるだけで、発言したかどうかも答えない。こんなことを言っていたら、国会で何も答えなくていいことになっちゃいますよ。質問しないでくださいと言っている以上にひどいですよ。  LGBTは種の保存に反する、こういう発言は、今副大臣がお答えになった、性的マイノリティー、お互いを尊重して、共生社会をつくっていくということになるんですか、種の保存に反するという発言、考えはなるんですか。答えてください。 ○簗副大臣 今御指摘の点につきましては、これは繰り返しになりますけれども、非公開の形式で行われた会議のものでございますので、その内容等やそれに関連する質問についてはお答えを差し控えます。  そして、私の見解としましては、これも先ほど来申しておりますけれども、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すことは極めて重要であると考えております。 ○柚木委員 いや、そういうダブルスタンダードでやっているから、私、次の、ほかの質問も聞いていますけれども……(発言する者あり)いやいや、一般論としてと前置きをして、副大臣として見解を述べられましたよね。  そうしたら、一般論として、LGBTは種の保存に反する、これは正しいんですか、間違っているんですか。いかがですか。 ○簗副大臣 個々の見解については、政府の立場として、お答えは差し控えたいというふうに思います。(柚木委員「いやいや、一般論として答えてください」と呼ぶ)仮定の問題については、予断を持ってお答えはできませんので、お答えは差し控えさせていただきます。 ○柚木委員 LGBTは種の保存に反する、永岡文科大臣、この考え方は、文科大臣としては容認するんですか、LGBT理解増進教育を今推進している立場で。LGBTは種の保存に反する、文科大臣として容認するんですか。 ○永岡国務大臣 そういう意見があるということはあるかもしれないし、また、それが正しいとか正しくないとかというような話は、やはり仮定の話でございますので、お答えはしかねますけれども、先週の金曜日、簗副大臣を大臣室に呼びまして、本当に、LGBTの方を含めて、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重して、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指していくという認識をしっかりと持って文部科学行政を進めていくということを指導いたしまして、そして私もしっかりと確認をしたところでございますので、大丈夫だということで、お答えはさせていただきたいと思います。 ○柚木委員 指導したんだったら、大丈夫じゃないし、ちょっと、全然これ、答弁、整理してもらわなきゃいけないです、委員長。  なぜならば、指導したんだったら、そもそも、文科大臣、私、今驚きの答弁ですよ。LGBTは種の保存に背く、そういう考え方、あるかもしれない。駄目でしょう、否定しなきゃ。そういうことは文科大臣として容認できませんと、そういう考えは。理解増進しているんでしょう、今。それで、全国で今、その理解増進を進めているんでしょう。 ○永岡国務大臣 今、種の保存に背くというふうに思っている方がいるかもしれないと言ったところでございますので、確定なところではお話はしておりません。けれども、そこのところは、仮定のことでございますので、私は、お答えはさせていただきたくないとさせていただきたいと思っております。 ○柚木委員 これは、私も、全国の学校現場でLGBT理解増進教育がどのように行われているか、担当課から何回もこの間、お話を聞いていますよ。私も、私たちの頃はそこまで教育を受けた記憶ないんですよ。やはり今の学校は、自治体によっては本当に公立中学校全クラスで十こまも、まさにLGBT、性的少数者への理解増進、そして、もちろん差別してもいけない、多様性を尊重する教育を推進しているんですよ、本当に。  それを推進する立場の、しかも担当副大臣ですからね、簗副大臣は、LGBT理解増進の。本音では種の保存に背くと。でも、上辺だけ、いや、多様性、大事ですと言っていたって、そんなものは信用できませんよ。本心からそう思っているのか、一般論として、LGBTは種の保存に背く、こういう考え方は容認できるのかできないのか、副大臣、ちゃんと答えてください。 ○簗副大臣 私の考え方は、先ほど来申しているとおりでございまして、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すことは極めて重要であると考えておりまして、この考えにのっとって文部科学行政の推進に努めてまいります。 ○柚木委員 何で私の聞いたとおりに答えないんだ。何で、私の聞いたとおりに、微妙に言い方を変えるんですか。何ではっきりと、LGBTは種の保存に背く、ほかの修飾語は入れません、LGBTは種の保存に背く、こういう考え方は容認できるんですか、できないんですか、イエスかノーで答えてください。  端的に答えさせてください、委員長。指導して、末松委員長みたいに。高市大臣に指導したじゃないですか、末松委員長は。 ○宮内委員長 先ほどから御答弁をされているというふうに私は認識しております。(柚木委員「いやいや、私の聞いたとおりしていないよ。イエスかノーかで答えさせてください」と呼ぶ)  では、もう一度、簗文部科学副大臣、御答弁をしてください。(柚木委員「聞いたことについて答えてくださいよ。答弁ペーパーを読むんじゃなくて。何で微妙にずらすんですか」と呼ぶ) ○簗副大臣 よろしいですか、答弁して。  私の見解としては、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すことは極めて重要であると考えております。(柚木委員「今の答弁を聞けば、私は……」と呼ぶ) ○宮内委員長 指名をしてから御発言をください。  柚木道義君。 ○柚木委員 はい。  これは、ちょっと、まず私は、今の答弁を、普通、私の子供も今年、この春から中学校一年と小学校四年になりますけれども、子供たちが聞いたら、LGBTは種の保存に背くというふうには考えられませんよ、今の答弁どおり普通に受け止めたら。  だから、LGBTは種の保存に背くということは容認できないというお考えでよろしいですね。 ○宮内委員長 同じ御質問を繰り返されておりますから、同じ御答弁になると思いますが、簗文部副大臣、それでは御答弁をお願いをいたします。 ○簗副大臣 私の見解としましては、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すことは極めて重要であると考えております。 ○柚木委員 何で、それを受けてというところから答えないんですか、今の答弁を受けて。ちょっと委員長も、ちょっと理事の皆さん、整理してください。同じ、壊れたテープレコーダーのような答弁はやめてくださいよ、本当に。今の答弁を受ければ、種の保存に反する、背く、この部分は容認できないはずなんですよ、今の答弁を理解すれば。(発言する者あり) ○宮内委員長 じゃ、速記を止めてください。     〔速記中止〕 ○宮内委員長 それでは、速記を起こしてください。(発言する者あり)  じゃ、速記を止めてください。     〔速記中止〕 ○宮内委員長 速記を起こしてください。  それでは、質問を改めてしていただいて、御答弁をいただきたいと思います。  柚木道義君。 ○柚木委員 種の保存に背くか、LGBTは。先ほど来の、私が聞いたことでないことを、前回も十回以上、今回も十回以上、多分二十回以上お答えになっているんですが、私が聞いている、LGBTは種の保存に背くのか、これは、先ほど来副大臣が答えておられる、性的マイノリティー、尊重する、共生社会を進めていくという答弁は、それを受ければ、種の保存に背くということは容認できないはずなんです。  そこで、今整理されたのは、まさに、LGBTは種の保存に背くという考え、これを政府としてはどう考えているのか、大臣の見解をお答えをまずいただいた上で、副大臣に指導いただく、こういうふうに今理事間協議で整理をされたということですから、まず、永岡大臣から、LGBTは種の保存に背くということに対しての、考え方についての政府見解、大臣としてお答えください。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  LGBTは種の保存に背くという政府見解はないと承知をしております。  LGBTの方を含めまして、本当に、同じになって申し訳ないのですが、性的マイノリティーの方々を始め、個々の方が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指していくという認識、これをしっかり持ちまして、簗副大臣には指導をし、確認を共有したことでございますので、これからも文部科学行政を進めていくということでございます。  よろしくお願いいたします。 ○柚木委員 これは驚きの答弁ですよ、大臣。  私、一応、LGBTは種の保存に背くという学説があるかどうか調べました。ないです。ないんです、そんな学説は。これは、政府見解として、LGBTは種の保存に背く、そういうことは考え方がない文科省が進められるんですか、LGBTの理解増進教育を。そんな見解もしっかり持っていなくて進められるんですか。  LGBTは種の保存に背かない、そういう政府見解があるんですか。 ○永岡国務大臣 今、柚木議員が、政府の見解としてということで質問されましたので、種の保存に反する、そういう学説というか、意見といいますか、その言葉に対する政府見解というものはない、承知をしていないということをお話し申し上げただけでございます。 ○柚木委員 そうであるならば、これは当たり前のことですが、だって、幾ら副大臣が、いやいや、性的マイノリティー、尊重して、共生社会をつくると言ったって、種の保存に背くの部分について明確に述べないんですね、ずっと。  だから、文科大臣がまさにLGBT理解増進を進めようと、これは経団連の会長も恥ずかしいとまで言っていますよ、日本に、G7前に法整備されていないのを。せめて、LGBT理解増進を進める立場である文科省として、これは、G7前に理解増進法成立、まさに文科大臣、すべきだと発信する立場でしょう。  LGBTは種の保存に背く、こういう見解を文科省としては取らない、明確にお答えください。 ○永岡国務大臣 きっとLGBTの理解増進法等につきましての意見というものを私は聞かれたのかなと思っております。それにつきましては、議員立法でございますので、これは超党派の議連で議論の結果、作られます。現在の自民党におきましては、提出に向けた準備を進めているということは承知をしておりますし、政府といたしましては、この議員立法の動きを尊重しつつ、しっかりと見守っていきたいと思っております。  また、今、私が、種の保存に反するということにつきまして、政府の見解では承知をしていないとお話し申し上げましたが、私の中では、そういう話があったというのは、いろいろ、委員の簗副大臣に対する質問があって初めて知ったというところでございます。 ○柚木委員 ですから、ここで質問を前回も今回もしていて、まさにLGBT理解増進教育を推進する立場の責任者である永岡文部科学大臣が、LGBTは種の保存に背く、種の保存に背くの部分については微妙に答えていないんですよ、答えているようで。種の保存に背くという部分について、文部科学大臣は容認されるんですか、されないんですか。大臣の見解を問うています。 ○永岡国務大臣 LGBTを含めまして、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すということは極めて重要でございまして、文部科学省といたしましては、これをしっかりと進めていく、そういう所存でございます。 ○柚木委員 ということは、永岡文部科学大臣としては、LGBTは種の保存に背くという発言や考え方があった場合は、これは当該者、これは石川議員への、速記録、法務委員会で、参議院、二回答えていますね、我が党の石川大我議員への。私は、簗大臣の答弁、本当に驚きましたよ。こんな答弁していたのかと。LGBTは種の保存に背くという発言は当該者を傷つける発言だという認識でよろしいですね、大臣。(発言する者あり) ○宮内委員長 では、速記を止めてください。     〔速記中止〕 ○宮内委員長 速記を起こしてください。  それでは、申合せのお時間も経過いたしておりますので、永岡文部科学大臣から簡潔に御答弁をお願いをいたします。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  LGBTを始め、性的マイノリティーの方々を含めて、そういう方々に、種の保存に反する、そういうことを文部科学行政としては絶対にやらない、当然、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持ちます多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指すこと、これをモットーとして、しっかりと副大臣にも、また私、大臣としても、これを進めていきたい、そう考えております。 ○柚木委員 全然整理されていないじゃないですか、大臣。私が聞いたのは、LGBTは種の保存に背くという考え、発言は当該者を傷つけているんですかと。  松本総務大臣は、杉田政務官の発言を、LGBTは生産性がないという発言、子供をつくらないから、同じ発言ですよ、人を傷つけていることを重く受け止め、表現についてはやはりおわびをして取り消すように指導した、指示をした。傷つけるからなんですよ。  LGBTは種の保存に背くという考え、発言、これは当該者を傷つける発言、考えですか。 ○宮内委員長 申合せの時間が経過いたしております。  それでは、簡潔に御答弁をお願いをいたします。永岡文部科学大臣。 ○永岡国務大臣 申し訳ございません。仮定の話になりますので、非常に答弁は難しいと思っております。(柚木委員「発言していないの、じゃ」と呼ぶ)いえいえ、種の保存に反するということについての発言が傷つけたのではないかという御発言でございましたが、それは仮定のことということになりまして、申し訳ないけれども、そのお答えというのは控えさせていただければと思っております。 ○宮内委員長 既に時間を経過しております。質疑を終了していただきたいと思います。最後に、柚木道義君。 ○柚木委員 私は、LGBTは種の保存に背くという考え方、これは当該者を傷つける、一般論として、簗さんの発言だし、一般論として、LGBTは種の保存に背く、生産性がない、子供をつくらない、種の保存に背くという考えは当該者を傷つけると、一般論としてどうお考えか、大臣としての見解を聞いているんです。 ○宮内委員長 延長した時間は会派内で調整をしていただくということで御報告いただいております。  永岡文部科学大臣。 ○永岡国務大臣 やはり仮定の質問ということでございますので、一般論といたしましても、仮定ということではなかなかお答えというのはいたしかねるということで、御承知いただければと思っております。 ○柚木委員 これはちょっと、次の質疑者もありますから。私、これは今後も、これじゃ到底納得できませんし、理事会で協議した内容の答弁をいただいていませんから、副大臣から。  このままいけば、学校の職員会議で、非公開ですよ、こういう非公開の場で、例えば性的少数者への何らかの発言があっても、一切それが問題にならずに不問に付される。副大臣自らが前例をつくることになります、文科省自らが前例をつくることになりますから。  これについてはやはり今後もきっちりとたださせていただくということを申し上げて、たくさん、私学学校法について、重要な論点、私も通告しておりましたが、次の質疑者に託したいと思います。  以上で終わります。 ○宮内委員長 次に、吉川元君。 ○吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。  大変重要な法案の審議ですけれども、やはり、なぜ否定できないのか、私も非常に残念ですよ、大臣。別の機会にまた、先ほどの柚木委員の質問についてはやることになると思いますので、しっかりとそれまでに整理をしていただいて、きちんと当事者の方々に伝わるメッセージで発言をしていただきたいというふうに思います。  それでは、早速、私立学校法の改正について質問いたします。  私、文部科学委員になってもう十年を過ぎましたけれども、この間、私立大学等々の不祥事を背景にして、二〇一四年、二〇一九年、法改正の審議がございまして、私もそこに臨んでまいりました。  二〇一九年の改正案の審議では改正二十四条に学校法人が教育の質の向上を図るよう努めるべきという規定が盛り込まれたことについて、今は同じ会派の中川委員から、最近の不祥事というのは理事や理事長が職務を逸脱して大学の公正な運営を阻害している、これに対して、改正案は、学校法人に、教育の質の向上という校務の範囲まで権限を広げている、これでは学校法人の権限の強化と大学自治への介入の正当化だ、こういう指摘がされております。  当時、今日いらっしゃっていますが、柴山文科大臣も、今般の私立大学の不祥事は理事会が大学の運営に介入するという側面もあると答弁し、理事会、理事長の権限強化が不祥事の要因というふうに認められました。  また、二〇一九年、私からも質問させていただきましたけれども、改正案で私立大学で続いている不祥事を防止できるのか、こういうふうに尋ねましたところ、当時の私学部長からは、改正案で、理事長を含む役員の損害賠償責任、あるいは、役員の不正行為に対する監事の差止め請求などの規定を盛り込んだ、これにより不正の抑止効果が高まるとも答弁をされております。  しかし、二〇一九年改正をもってしても、日大あるいは東京福祉大などで理事長に関わった不祥事が続き、今回はまたガバナンス強化のための法改正。なぜこういう状況になっているのか。最初に、通告では二つに分けましたけれども、併せて答弁をお願いします。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  やはり、最近の私立の大学の不祥事というものに関しましては、原因は様々あると考えております。理事や評議員の人事権ですとか、あとは財産処分などの重要な権限が、理事長等の特定の者に過度に集中させることが可能であったり、また、理事長等の執行部に対する監視、監督の機能が弱かった、脆弱であったということが考えられると思っております。  このようなことなどを踏まえまして、現行法では、権限が特定の者に集中することを防ぐ仕組みですとか、あと、理事長などの執行部に対しますチェック機能の実効性を確保する仕組みなど、不祥事を未然に防止することが重要ではないかと思いまして、今回の法律改正に至ったわけでございます。 ○吉川(元)委員 それでは、ちょっと具体的な質問をさせていただきたいと思いますが、まずその前に、前々回の当委員会で中曽根委員から、最終的な権限と責任は誰が持つのかという質問がございまして、その際、茂里私学部長は、執行機関である理事会が最高の意思決定機関、このように答弁をされております。これは、最高ではなくて最終的なの間違いではないですか。この点、いかがですか。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  御指摘の、三月十五日の文部科学委員会におきまして、私から、理事会が最高の意思決定機関であると答弁いたしましたが、これは、ガバナンス改革会議の提言におきまして、評議員会を最高監督、議決機関とすることとされていたこととの対比として申し上げたところでございます。  改めて申し上げますと、今回の改正は、建学の精神を受け継いでいく理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという、この基本的な枠組みは維持しつつ、評議員会の監視、監督機能を可能な限り高めるようガバナンス改革を進めるものでございます。  なお、改正後の私学法におきましては、理事会について、最高の意思決定機関や、今御指摘ありました、最終的な意思決定機関であると規定されているわけではございません。 ○吉川(元)委員 いや、結局、だからそれは、これまで幾度も、答弁の中でも、最終的な意思決定機関というのは何度も聞きました。最高というのはこれまで使われていなかった言葉なんですよ。  だから、ほかのところから来た言葉だという話もされますけれども、そういう認識には立っていない、あくまで最終的な意思決定機関ということでいいですね。端的に答えてください。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  これまで御答弁申し上げてきましたように、理事会は意思決定機関として考えてございます。  最終的なという意味はいろいろあると思いますけれども、これまで御答弁申し上げたとおり、理事会については意思決定機関、評議員会については諮問機関というふうに認識してございます。 ○吉川(元)委員 そうしますと、この答弁によって何か位置づけが変わるということではない、これまでと変わらないということで確認をさせていただきます。  次に、学校法人ガバナンス改革会議の取りまとめでは評議員会を最高監督、議決機関と位置づけたのに対して、改正案では、従来どおり、理事会を最終的な意思決定機関といたしました。その理由について、これも十五日の委員会で茂里私学部長からは、建学の精神の尊重あるいは学校法人の持つ独自性などに十分配慮した結果だという答弁がされております。  果たしてそうなんですか。例えば、評議員になる卒業生や教職員でも十分にこれは継承できるというふうに思いますけれども、なぜ、建学の精神の尊重あるいは学校法人の独自性を継承するのが理事長、理事会のみなのか、この点について、根拠を教えてください。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  各学校法人における建学の精神は、私財を投じた創立者やその関係者を含む理事会が執行機関として責任を持ち、日頃から教学的視点を持って業務決定に直接参画することにより、脈々と受け継がれてきているものと認識してございます。  また、こうした性質を有する理事会が原則として意思決定、執行機関として学校運営を行っているという前提があるからこそ、一般的に、私立学校が社会や学校関係者から信頼を得て、安定的、継続的に質の高い学校教育活動を行うことができるものと考えてございます。  以上のような学校法人の独自性に鑑みまして、今回の改正におきましては、原則として意思決定、執行機関は理事会であり、評議員会は諮問機関であるという基本的なこの枠組みは維持しつつ、可能な限り評議員会のチェック機能を強化することとしたところでございます。 ○吉川(元)委員 私が聞いたのは、評議員会の中にも、そうした建学の精神は十分引き継ぐことができるし、実際にそれを体現されている方もいらっしゃる、なぜそれを理事会、理事長に限定するのかというのが私は疑問だということを発言させていただきたいと思います。  基本的なことで恐縮なんですけれども、理事長が意思決定機関、これは具体的にどういう範囲のものなのでしょうか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  現行の私学法の規定におきましては、「理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。」と規定されております。こうした点を踏まえまして、原則として理事会が意思決定、執行機関であると表現したところでございます。  なお、改正後の私学法においてもこのスキームは変更されてございません。 ○吉川(元)委員 私が尋ねたかったのは、理事会が学校法人の業務に関する意思決定機関という意味というのは、あくまで、キャンパスの整備あるいは学校運営に関わる基本方針など、学校法人全体の経営に関わる事項についての決定機関、一方、学校教育法の規定に基づいて、大学における教学面の事項については学長が職務権限を有する、これは以前議論した際にも、私学部長、柴山大臣からも答弁をいただいております。  学校法人の業務というのは、端的に言えば学校法人の経営面に関する事項ということで確認させてください。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  現行の私学法におきましても、理事会の職務とされる学校法人の業務とは、法人が設置する学校の業務を含む学校法人全ての業務、これを意味してございます。今般の改正によりその趣旨を変更するものではございません。  理事会を中心とする法人側と、設置する学校の校長を中心とする教学側とは、法律に基づく相互の役割分担を理解し、お互いに協力し合いながら学校運営を行っていくことが重要だと考えてございます。 ○吉川(元)委員 次も確認なんですけれども、今回の改正案も含めて、私立学校法に校長あるいは総長、学部長の選任に関する条文は存在しないということでよろしいですね。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今般の私学法の改正につきましては、あくまでも学校法人のガバナンス改革を目的としたものでございます。学長等の選任の在り方について、従来の考え方を大きく変えるものではございません。  なお、今般の改正案においては、理事会が特定の理事に委任できない事項として、校長その他重要な役割を担う職員の選任及び解任を規定してございます。これは、特定の理事が単独で選任及び解任を行うのではなくて、合議体である理事会において行うことを明記したところでございます。 ○吉川(元)委員 国立大学については、二〇一四年の国立大学法人法の改正で、学長等選考会議が定める基準で学長を選ぶことになりましたけれども、私立大学というのは、選び方というのは、学校ごとに様々存在をするわけです。学内教職員による選挙、あるいは評議員会の選任、理事会による選任等々、あるいは組合せで、いろいろあるわけです。  今回の法改正というのは、ここに書いてあるできないことの一つとして、私立学校の校長その他重要な役割を担う職員の選任及び解任を理事に委任することができないと。つまり、これは、今ある多様な選び方、これ自体を否定するものではない。読み方によっては、一人の理事には委任はできないけれども理事会としてはやるんだというふうにも読み取られかねないので、これは従来のやり方を変更するものではない、そういう理解でよろしいでしょうか。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今般の改正案におきまして、理事会が特定の理事に委任できない事項といたしまして、先ほども申し上げましたが、校長そのほかの重要な役割を担う職員の選任及び解任、これを規定してございます。  その趣旨といたしましては、理事長を含めた特定の理事によって恣意的な選任、解任が行われることを防ぎ、法人の意思決定機関である理事会が、任命権者として、その責任をもって最終的な決定を行うべきという考え方に基づくものでございます。  なお、御指摘のありましたように、現在も各大学において様々な形で選考が行われておりますので、このことについて変更を加えるものではございません。 ○吉川(元)委員 なぜこうしたことを聞くかというと、以前にも同じような話があったんですよね。  二〇一四年の学教法、国立大学法人法の改正後に文科省が発出した通知、これが実は問題でありまして、以前にもここでも、当委員会でも取り上げました。そこでは、学校法人の業務という文言を省略をして、理事会が最終的な意思決定機関だと位置づけてしまっております。  これは限定されていないわけですよ、通知の中には。そうなると、これで、経営も、そして本来役割分担されているはずの教学も理事会の意思で決められる、読みようによってはそう読めてしまう。  さらに、法改正に全く関係のなかった私立大学の学長選考に触れて、学校法人自らが学長選考方法を再検討し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと。  これは私は、文科省の、意図的なのかどうか分かりませんけれども、ミスリードだというふうに考えています。  この通知の後、これを受けて、私の知る限りでも、東洋大学、工学院大学、名古屋芸術大学などの複数の大学で、学長選挙を廃止をして、理事会が学長を選出する仕組みに変えてしまっております。これはあってはならないことだ、この通知に基づいてやったとすれば。  このことを思い返せば、今回の改正は、理事長が勝手に校長や学長、学部長を選任することができないという意味だけならば、あるいは理事に委任できないというそれだけの意味で、これまでと何も変わりませんということは、きちんと通知などで周知をしていくべきだと考えますが、いかがですか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  現行の私学法におきましても、理事会の職務とされる学校法人の業務とは、法人が設置する学校の業務を含む学校法人の全ての業務を意味しておりまして、今般の改正によりその趣旨を変更するものではございません。  ただ、今御指摘ありました、様々な職員や幹部の任命に当たりましては、それぞれの大学において個々に定められているところでございまして、今回の改正をもってこれを変更することを意図したものではございません。  それをどのように指導するかについては、御指摘を踏まえながら、しっかり検討してまいりたいと思います。 ○吉川(元)委員 是非、誤解のないように通知を、大臣も含めて、出していただきたいと思います。  何かこの間の通知は意図的にやっているんじゃないかというふうに私自身は感じましたし、当委員会でも取り上げさせていただきました。この通知、まだ撤回されていないんですよね。だから、そういう誤解、先ほど建学の精神が大切だと言いながら、一方でそうやって誤解を生むような通知を発出するというのは、これはちょっとおかしいというふうに指摘をさせていただきたいと思います。  次の質問ですけれども、理事会の決議を規定した四十二条の四項、書面又は情報通信の技術を利用する方法で理事が議決に加わることを可能としています。  二〇二一年六月二十五日に私学行政課長名で発出された通知、ここでは、書面又は電磁的方法による理事の意思表示のみをもって理事の決議を行ったり省略したりすることは想定されないと。その理由として、監事の意見も踏まえ、理事が相互に意見交換することを通じて意思決定がされるべきであるというふうにされております。  今回改正される条文を見ますと、今度は逆に、この文科省の通知と違うようなことになっているのではないか、意見交換なき議決を促進することにはならないのか、この点はいかがですか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今般の改正案におきましては、できるだけ多くの理事の意見を理事会の意思として反映させるため、理事会への出席が困難な理事についても、できるだけその議決に加わることができるよう、デジタル化の動きなども踏まえながら、寄附行為の定めるところにより、書面又は電磁的方法により理事会の決議に参加することができる旨を明確にしたところでございます。  本規定は、あくまでも、対面で出席できない理事につきまして、対面以外の方法によっても理事会の決議に参加できることを定めるものであり、理事会においては理事が相互に意見交換を行うことを通じて意思決定が適切に行われるということが期待されるというこれまでの考え方、これを今回の改正によって変えることは考えてございません。 ○吉川(元)委員 是非、その点、原則といいますか、みんなで議論するということが前提なんだということをしっかりと各大学の方にもお知らせしていただいて、間違っても、集まらなくてもいいよということでやられてしまえば、全く趣旨が変わってしまいますので、その点しっかりしていただきたいというふうに思います。  それから次に、理事選任機関について尋ねます。  昨年三月に取りまとめられた学校法人制度改革特別委員会の報告では、理事の選任は評議員会のチェック機能を定期的に発揮させる重要な手段として、理事の選任機関は評議員会その他の機関とすべきとしていましたけれども、これは、この文章を読む限りでは、評議員会を軸として理事を選任せよというふうに通常、私は理解できると思います。  ところが、改正案十八条一項で理事選任機関を必置として、二十九条で理事選任機関の構成メンバーは寄附行為で定めるとしております。評議員会の関わりをこれはかなり後退をさせたのではないか。なぜ、特別委員会の取りまとめどおり評議機関を中心に理事を選ぶことにしなかったのか、その理由をお聞かせください。 ○永岡国務大臣 今回の法改正におきましては、私立学校の建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、そして評議員会が諮問機関であるという基本的な枠組みを維持しつつ、評議員会の監視、監督権限を可能な限り高めよう、そういうガバナンス改革を進めるものでございます。そのため、評議員会に理事に対します選任、解任権を直接付与せず、理事選任機関において行うものといたしまして、その手続を各学校法人の判断に委ねたところでございます。  加えまして、本法案におきましては、最終的には評議員が単独で理事の解任を請求する訴えを提起することができるとしておりまして、理事に対する牽制機能の実効性が担保できるもの、そう認識をしております。 ○吉川(元)委員 もう一点、確認させてください。  二十九条で、選任機関の構成を寄附行為に丸投げをしております。寄附行為で、理事選任機関のメンバーは理事長又は理事会の指名による、このように盛り込んでしまうこと、これは可能なのか、想定されていることなのか。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  具体的な理事選任機関の取扱いにつきましては、これは寄附行為で定めることとしてございます。各学校法人の判断に委ねたところでございます。  具体的には、評議員会、第三者機関のほか、今お話ありました理事長や理事会などが、法人の判断により、理事選任機関となり得るものと考えてございます。 ○吉川(元)委員 今回の改正のうたい文句は、先ほどから何度も私学部長それから大臣も答えておられますが、執行と監視、監督の分離であったはずです。ところが、その第一歩目の理事選任に当たって、理事長、理事会の指名で理事が選任できるということになれば、これまでと同じじゃないですか、構造的に。分離できていないじゃないですか。だから、それが立法者の意思だというふうになってしまえば、そういうふうに寄附行為を変えていけばそうなってしまいますよ。せっかくそういうふうに執行と監視、監督の分離をうたっているのであれば、そうしたものは想定されていないというぐらい答弁しないと、それは都合よく寄附行為を書き換えてしまえば、前と変わらない構図、監視、監督が行き届かない、牽制機能が発揮されない、そうした形になってしまうということを大変危惧をしております。  逆に、寄附行為で選任機関を評議員会と定めることに問題はありませんか。可能ならば、通知などでその旨通知していただきたいと思いますが、どうですか。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  具体的な理事選任機関の取扱いにつきましては、寄附行為で定めることとし、各学校法人の判断に委ねたところでございます。  今御指摘のありました評議員会についても、法人の判断により理事選任機関となり得るものであり、このことについては通知等でしっかりと徹底してまいりたいと思います。 ○吉川(元)委員 もう余り時間がないので、ちょっと飛ばしまして、次に、評議員、評議員会について尋ねたいと思います。  評議員会が大学法人の監視、監督で一番大きな役割を果たすべきにもかかわらず、評議員の選出方法、改正案は現状と全く同じで、寄附行為で定めることになっています。学校法人制度改革特別委員会の取りまとめを受けて策定された法案骨子、ここでは、評議員の選任は評議員会が行うことを基本とするとしていました。それがなぜ、現状と同じ寄附行為への丸投げになってしまったのですか。 ○永岡国務大臣 法案の骨子段階におきましては、評議員の選任は評議員会が行うことを基本としていました。  他方で、今回の改正におきまして、私立学校の建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、そして評議員会が諮問機関であるという基本的な枠組みを維持しつつ、評議員会の監視、監督権限を可能な限り高めようとするガバナンス改革を進めるものでございます。  また、学校法人は、それぞれ建学の精神に基づきまして個性豊かな活動が展開されていることで、我が国の学校教育の発展、普及や、多様化するニーズに応じた特色のある教育研究の推進につながるものと認識をしているところでございます。  この学校法人の特殊性を生かしつつ、実効性のある改革を進めるために、本法案におきましては、理事選任機関の構成や、理事、監事、そして評議員の任期、評議員会の意見聴取事項を議決事項とすることなど、各法人の実態に応じた判断に委ねることとしておりまして、評議員の選任方法につきましても、多様な法人経営の観点から、寄附行為に委ねることとしたところでございます。  なお、現行制度の下でも、評議員の選任は学校法人ごとに多様な方法で行われておりまして、評議員を評議員会が選任する学校法人と、評議員会以外が選任する学校法人とが混在するわけでございまして、評議員会の職務権限として規定することはせずに、また、各法人の判断に委ねるとしたところでございます。 ○吉川(元)委員 ちょっともう時間がないので、少し飛ばします。  次に、評議員会の運営に関して聞きますが、現行法の四十一条二項は、評議員会に議長を置く規定が存在しておりますが、今回の改正ではこの規定が落ちております。これでは、評議員会を誰が主宰し、誰が議事運営を進めるのかが不明。まさか、評議員会による監視、監督の対象となる理事長がその役割を担うというふうには思えませんが、なぜ議長の規定がなくなってしまったのか、お答えください。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  現行の私立学校法におきまして、「評議員会に、議長を置く。」とされてございます。これは第四十一条第四項でございますが。その選任方法や任期等につきましては、具体的には規定せず、各学校法人の寄附行為においてこれを定めることとしているところでございます。  本法案におきましては、会議体の構成として議長を置くか否かにつきましては、学校法人の実情に応じてそれぞれ柔軟に対応していただくこと、学校法人と同様に財団法人法制を沿革といたします公益財団法人や社会福祉法人においても評議員会の議長に関する規定は置かれていないことなど、こういったことから、今回、評議員会の議長の定めは設けないこととしたところでございます。  なお、改正後におきましても評議員会に議長を置くことは可能であるため、その旨を学校法人の実情に合わせて寄附行為で定めていただくことになろうかと思います。 ○吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。まだ聞きたいことがたくさんあったんですが、また別の機会に確認をさせていただきたいと思います。  以上で終わります。 ○宮内委員長 次に、金村龍那君。 ○金村委員 日本維新の会の金村です。  今日はよろしくお願いします。  私学法の改正について、改正案の根幹部分と、これまで余り議論されてこなかったことについて幾つかお尋ねしてまいりたいと思います。  まず、今回のガバナンス改革は目的化してはいけない、これについては全体で共有できたんじゃないかなと認識しています。その中で、ステークホルダーの議論があったと思うんですけれども、私学は学費が収入の大半を占めますので、学生だったり、その御家族だったりというのがステークホルダーになるのは当然なんですが、私は、広く認識すれば、ステークホルダーとはやはり日本国民全体、日本社会全体がステークホルダーであると思うんですね。  では、その視点に立つと、私は、公教育の質の向上が今回のガバナンス改革で最も求められると考えています。その上で、私学の質の向上をどのようにつくり上げていくのか、その根幹が今回のガバナンス改革にあると私は認識しておりますが、改めて、今回のガバナンス改革の意義について、担当大臣にお伺いさせてください。 ○永岡国務大臣 金村議員にお答え申し上げます。  私立学校は、公の性質を有する学校でございまして、国公立の大学とも、これは本当に、我が国の教育制度の一翼を担っている、そう認識をしているところでございます。  私立学校が教育研究の質を高めまして、社会の期待に応えることが本当に重要でございます。御指摘のとおり、今回のガバナンス改革はその前提になるということでございます。  こうした考えの下で、今回の改革案は、執行と監視、監督の役割の明確化、分離を基本的な考え方としつつ、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の権限の明確化や選解任手続を定めるとともに、監事や評議員会の理事会へのチェック機能を強化するなど、学校法人の管理運営制度を抜本的に改善するものというものでございます。  今後とも、私立学校がそれぞれ建学の精神に基づきまして、多様化しますニーズに応じた特色ある教育研究を展開することが重要でございまして、文部科学省といたしましても、ガバナンス改革をしっかりと進めるとともに、時代と社会の変化に対応して積極的にチャレンジをする、そういう私立大学をしっかりと支援をしてまいる、そういう所存でございます。 ○金村委員 ここまで大きな改革をするわけですから、ガバナンスそのものはしっかり利かせた上で、学校法人側がしっかりと生かしていける、建学の精神を生かしてよりいい学びにつなげていくというところを、今回の改革だけじゃなくて、継続してサポートや支援をしていただければなと思います。  その上で、今回のガバナンス改革で二点お伺いをさせてください。  まず一つが、今回の大きなポイントは、私は理事選任機関にあると思うんですね。これは私自身も聞き慣れない言葉ですね、理事選任機関。いわゆる学校経営や学校改革を始めとする、こういった改革を進めていくのは理事会になると思います。その理事会の理事を選ぶのが理事選任機関なわけですから、この理事選任機関が、私はガバナンス改革の一丁目一番地だと認識しています。  その上で、この理事選任機関がどのようにでき上がってきたのか、また、具体的にどのような人材がどういうように運営していくのか、又は、理事選任機関を決めた大事な視点というものをそれぞれお答えいただけますか。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  これまでの答弁の繰り返しで恐縮でございますが、今回の改正といたしましては、我が国の、今御指摘ありました公教育を支える私立学校の教育研究の質の向上を図る観点から、建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという基本的な枠組みを維持した上で、評議員会の監視、監督機能をできるだけ高めるようガバナンス改革を進めようとしたものでございます。このため、具体的な理事選任機関の取扱いについては、国が一律に定めるのでなく、各学校法人の判断に委ねたところでございます。  現行の状況などを振り返ってみますと、例えば、理事の選任、解任につきましては評議員会や理事会による選任という形を取っているというケースや、役員選考会議というものを設けているケースや、さらには関係団体といった任意の機関による選任などのケースが実際に行われておりまして、こういった学校法人ごとの多様な方法というものを今回尊重することになろうかと思ってございます。  今般の改正におきましては、現行の選任、解任の方法などを踏まえながら、理事選任機関としては評議員会や理事会、理事選考会議、任意団体などがこれを担うことになろうかと思っております。制度をつくるだけではなくて、その運用が大事かと思っておりますので、今御指摘がありました理事選任機関の重要性に鑑み、しっかり、運用の段階で周知徹底を図ってまいりたいと思います。 ○金村委員 ガバナンスを利かせようとすると、割と複雑なスキームになりやすいと思うんですね。つまり、運用までに少し時間が必要になると思うので、経過措置とかあると思いますので、しっかりとその運用のところを見ていただきたいなと思います。  その上で、もう一つ、今回新たに設けられたのがいわゆる会計監査人ですね。  私も会社を経営してきて思うんですが、運営をする側だったり経営をする側が、ある種、丼勘定じゃないですけれども、ずるずるに何かをし始めると、途端に経営が傾くことはもちろんのこと、事業の中身も傾いていくんですね。そういう意味では、今回、ガバナンス改革のきっかけも当然お金にまつわる不祥事だったと認識しています。そういう意味では、どうやって会計監査人を通してチェックしていくのかというのが非常に鍵になってくると私は考えています。  その上で、この会計監査人をなぜ今回置くことにしたのか、そしてその意義は何か、又は、いわゆる監事というものも設けられておりますので、会計監査人と監事の役割の振り分けみたいなものを御説明いただきたいのと、それから、実際に実効性を高めていくためにどのような在り方がポイントになってくるのか、その辺りも併せて答弁いただければと思います。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  これまでの学校法人の不祥事案や今後の学校法人の取引関係の複雑化、こういったことを踏まえた場合、監事との連携による財産状況の監査の実効性の向上や、職業的専門家による会計監査を通じた計算書類の信頼性の向上、こういったものを担保する必要があろうかと思ってございます。  また、会計監査人を設置することで、監事の負担が軽減されると思っておりまして、監事の業務監査の実効性の向上も副次的に期待されるところでございます。  こうした観点から、規模が大きくなる、学生募集が全国的に行われるような大学を設置する法人におきまして会計監査人の設置を今回義務づけることとしたところでございます。  次に、両者の職務について御説明申し上げたいと思います。  監事が学校法人の業務及び財産の状況並びに理事の職務執行の状況を監査する、いわゆる広めに監査することになりますけれども、そういう監査に対して、会計監査人は学校法人の計算書類及びその附属明細書、財産目録等のいわゆる財務書類、これを監査、チェックすることになります。  また、両者の関係につきましては、会計監査人が監査を行ったときには、監査報告書なるものを作成し、これを監事に提出するといたしてございます。監事及び会計監査人の監査報告の内容は、他の法人の例を参考にし、今後省令で定めてまいりたいというふうに思ってございます。  また、続けて、実効性を上げるためのポイントについてお尋ねがございました。  今回の改正におきましては、大臣所轄法人等において今ほど申し上げました会計監査人を必置するとともに、その役割や権限、選解任の手続などを整備いたしまして、会計監査人がその独立性を確保しつつ、その役割を果たせるようにしてございます。  その上で、会計監査の実効性をより向上させるため、監事と会計監査人の適切な役割分担を、今申し上げましたが、これを整理いたしまして、監事は会計監査人の監査結果を十分に活用できるようにしたいというふうに考えてございます。監事と会計監査人が相互に連携を図ることが大事だと思っております。補完し合いながらそれぞれの機能を十分に発揮することで、より効果的、効率的な監査が実施され、ガバナンスの一層の向上が図れるものと期待してございます。  文科省といたしましては、監事と会計監査人の連携の重要性、御指摘をいただきまして、各説明会や監事向けの研修会などを通じて、しっかりと周知を図ってまいりたいと思います。     〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕 ○金村委員 これは、独立をどう担保していくのかというのが一番のキーワードだと思います。ともすれば、理事会や運営側にのみ込まれてしまって、一体型になってしまう。必ずこの問題、イタチごっこになると思いますが、しっかりと独立性を担保するために、どのような在り方がふさわしいのか、引き続き注視していただきたいと思います。  そして、提案理由説明にもあったように、今回のガバナンス改革の基本的な考え方は、私学自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革に取り組むこととされています。  前回の、いわゆる令和元年の私学法改正の議論も踏まえて、実際、私立大学の団体がガバナンスコードを策定されていると思うんですね。そのガバナンスコードに基づいて、加盟の大学が、実際の運営をガバナンスコードにのっとって運営していると思うんですけれども、これだけ大きなガバナンス改革が実現すると、今まで策定したガバナンスコードを、見直し作業が必要になると思うんですね。  実際、見直し作業も大変だと思うんですよ、大変だと思うんですが、しっかりとガバナンスのルールを理解し、そして、建学の精神を併せてオリジナリティーのある運営をしていくことが教育の質の向上につながると私は考えておりますので、実際に、今、いわゆる私立大学の方の団体のガバナンスコードの策定状況、それから、今回改正に合わせてどのような対応をしていくのか、文科大臣にお伺いさせてください。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  現在、学校法人におけますガバナンスコードの策定状況をお答え申し上げます。  学校法人におけますガバナンスコードにつきましては、文部科学省に設置された会議におきまして、まず、大臣所轄学校法人を中心とした団体におきましてその策定を進めていくこととされました。これを受けまして、現在までの間、日本私立大学協会、そして日本私立大学連盟、そして日本私立短期大学協会におきましてガバナンスコードが策定をされまして、それぞれの団体に加盟する学校法人で取組が進められております。  具体的には、事業に関する中期的な計画に記載すべき内容ですとか、幅広い関係者の意見を反映するための策定プロセス、そして内部チェック機能を高めるための学内体制や諸規定の整備、そして社会に対しまして適切な情報公開を行うための公開内容や公開方法の工夫、改善方策といった内容が盛り込まれまして、各学校法人に遵守が求められております。  今般の法改正におきましても、これまでも申し上げたとおり、学校法人の管理運営制度を抜本的に改善するものでございますので、したがいまして、既に私立大学の関係団体で策定しておりますガバナンスコードについても、今お話し申し上げましたけれども、今後、各団体の判断の下で、今般の改正を踏まえた適切な見直し、充実が図られるものと考えております。  具体的には、理事選任機関におけます選考過程の透明性の確保の在り方、また、議論を活性化し、監視、監督機能を適切に発揮するための評議員会の運営等の在り方等について検討が必要であると考えております。  ガバナンスコードの策定、充実は、これは学校法人の自律的で意欲的なガバナンスの強化や法人経営の強化に資する重要な手段でございます。文部科学省といたしましては、今般の法改正の趣旨を踏まえた適切な見直し、そして充実が進みますように、私立学校関係団体における検討をしっかりと後押しをさせていただきたいと考えております。 ○金村委員 今、ガバナンスコードの話を聞きながら、我が党もガバナンスコードを策定しようと言っていたんですが、まだ策定していないんですね。  そういう意味では、お題目はみんな理解しているけれども、なかなか、そこへの道のりというのは大変だと思うんですね。  とりわけ、今回、質問にはいたしませんが、知事所轄法人である小さな学校法人、そういったところはまさに、理想は理解しているけれども、そこにどうやって近づくかというところが、大きな法人と比較すると歩みは少し遅いのかもしれませんので、そこをしっかりとフォローアップできるような、例えば、地方分権の中で、地域の中でその役割を果たしていくとか、いろいろな選択肢は残されていると思いますので、是非御検討いただきたいと思います。  その上で、ガバナンス改革の本来の目的は、いわゆる教育の質の向上というところがまず大前提だと思います。大学全体で質の向上を求めていくときに、大学改革の方向性の一つとして、私は、いわゆる修士や博士、つまり大学院の改革が必要だと考えているんですね。  実は、文科ではなくて厚生労働委員会の方でも質問させてもらったんですが、大学院を出て社会に出るということが、今の日本社会だと、なかなかステータスを得られていない、つまり所得に反映していないんですね。そうだとすると、四年制の大学を卒業して、いわゆるダイレクトで社会に出た方が研さんを積む機会が多くて、そのまま院に進むという選択肢を得ない。  でも、実際、専門性の高い企業に入っていくと、リスキリングのような形で、院にまた戻っていくんですね。だとすれば、例えば文科省が声を上げて、大学院を卒業して、専門修士や博士を取得して、その結果、社会に出て、それが所得に反映するというステータスをしっかりとつくっていくことが、実は大学改革においても非常に重要なんじゃないかと私は考えています。  その上で、この社会的なステータスを上げるためにどのような取組ができるのか、それから、修士号や博士号の取得者拡大に向けた、大学側、そして文科省の取組、教えていただけますか。 ○池田政府参考人 お答えいたします。  希望する学生が大学院に進学し、大学院修了後に社会の多様な場で活躍できるよう支援していくことは極めて重要であると考えております。  このため、文部科学省におきましては、博士課程学生への経済的支援とキャリアパス整備の抜本的な充実、企業と連携した長期有給のジョブ型研究インターンシップの推進、産業界や海外トップ機関等と連携し、あらゆるセクターを牽引する卓越した博士人材の育成を目的とした卓越大学院プログラムの実施と成果の普及などに取り組んでいるところでございます。  また、社会人のキャリアアップ等を後押しし、大学院レベルの知見を活用した課題解決力等を身につけた高度人材を育成するため、大学院におけるリカレントプログラムの開発、実施に向けた支援を実施してまいります。  今後とも、産業界等とも連携し、優れた人材の育成及び社会の多様な場での活躍促進に向けた取組を強化してまいりたいと考えております。     〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕 ○金村委員 この大学院改革ですけれども、私、本当に重要性が高いと思うんですね。所得に反映することももちろんなんですが、せっかくそういった専門性の高い学びを提供しているにもかかわらず、学生の側で選択肢に入らない、これは非常にもったいないですよね。大学側も実は力を入れている、限られた生徒だけが、その恩恵とは言わないですけれども、知識を有していくという意味では、ここにしっかりと力を入れて取り組むことが、結果として、私は、日本の成長に、経済成長も含めた成長につながると思いますので、是非とも取り組んでいただきたいと思います。  そして、あと二点質問させていただきます。  まず初めに、大学入試についてです。  私は、三人の子を育てる父として、まだ小さいですけれども、やがて大学入試とか考えるとどんな思いを抱くのかなと今から考えておりますが、現在、文科省では、新学習指導要領に基づいて、個別最適で協働的な学びを展開していると思います。そして、GIGAスクール構想、まさにこのGIGAスクール構想がそれを後押しすることにつながっていると思いますが、現場の話を聞くと、高校二年生とか三年生ぐらいになると、せっかくGIGAスクールを提供していても、実はまた入試に向けたドリルをやるような、学びというよりは試験に特化した技術的なものを習得するような教育の時間に変わっているというお話を聞くんですね。  確かに、親の側になれば、いい大学に進学してほしい、子供が希望した進学先で結果を残してほしいということで、甘んじて親の側は受け入れてしまうかもしれないんですけれども、ただ、実際にはGIGAスクール構想を通して、いわゆる教えから学びということで大きな転換をしているものを、やはり高校三年生までしっかりと持続させることが、社会に出た後でしっかりとその学びが生かせる場を設けていくと思うんですね。  そういう意味では、せっかくGIGAスクールのように現場は変わっているにもかかわらず、出口である入試が変わらなければ、おのずとその最終的なところが、出口が変わらないと思うんですね。  今現在、大学入試の改革についてどのような取組をされているのか、お答えください。 ○池田政府参考人 お答えいたします。  大学入試におきましては、単に知識、技能を問うだけでなく、探究活動等の多様な学びを通じて高校までに培った思考力、判断力、表現力などを評価することが非常に重要だと考えております。  こうした観点から、大学入学共通テストにおきましては、マークシート形式ではありますけれども、資料やデータ等を基に考察する場面などを効果的に取り入れながら知識の理解の質を問う問題や、思考力、判断力、表現力などを発揮して解くことが求められる問題を重視して試験問題を作成しております。  また、各大学における個別選抜におきましては、一般選抜と比較して、思考力、判断力、表現力等をより丁寧で多面的、総合的に評価する総合型選抜や学校推薦型選抜が進められているところでございます。  文部科学省におきましては、こうした各大学の取組を好事例として選定、公表することなどを通じて優れた取組の普及を図っているところでございます。また、受験生を始め、その保護者や高校関係者など、社会全体の理解を得ながら大学入学者選抜の改革を推進してまいりたいと考えております。 ○金村委員 つまるところ、出口に向けた取組に特化していくのが効率とか合理性とかになっていきますので、ここをしっかりと改革すれば、小学校低学年の頃から教えから学びに変わっているGIGAスクールが本当に実を結ぶと思うんですね。その上で、大学四年間ないしは六年間、そういう学びの環境を、更に自分に適した環境を自ら選択できれば、社会で即戦力として生かしていけるということが想像できますので、是非ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。  それで、最後に、実は、少し時間も余りましたので、問取りの段階で質問をどうしようかなと思っていたものについて質問させてください。  私、この私立学校の改正とは別の議論になるんですが、やはり、しっかり学びを継続していって、最終的に社会に出るときに、いかに自らに適した雇用環境を選択できるのかというところが、働く期間が一番長いわけですから、最も重要だと思うんですね。  そういう意味では、大学におけるキャリア教育、確かに、大学生ですから、自ら選択しろ、自ら努力しなさいというのも分かるんですけれども、やはり、しっかりとどういう学びを深めれば実際に社会に出たときにしっかり即戦力として働くことができるのか、そのための大学側の取組を教えていただけますか。 ○池田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどの入試に関する御答弁とも関係いたしますけれども、やはり高校までのところでキャリア教育、かなり今充実してきておりますので、大学に入ってからも、こうした初等中等教育における取組を基に、将来働くことの意義であるとか、キャリア形成が、どういう形で社会に出て活躍の場があるのか、こうしたことも含めて、各大学が基本的には工夫をしていただきたいと思っておりますので、私どもとしても、そういった取組をしているところの好事例を周知したり、あるいは基盤的経費の中で、熱心に、積極的に取り組まれる大学に対して支援をする、そういったことが考えられるかと思います。 ○金村委員 大学生という限られた期間の中でどういうものを選択していくのかというのは、学生の自由であるがゆえに難しさもあると思うんですけれども、ただ、ここが充実すれば、いわゆる離職、転職のようなことが少なくなればなるほどその人の暮らしが安定していくという視点もありますので、是非ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。  今回、大学改革について幾つか質問させていただきました。改革するためにも、今回のガバナンス改革がやはり根幹にあると認識しています。私は、自らが組織を運営してきた経験も含めて考えると、やはりガバナンスが利いていない学校はいい教育が提供できないと思うんですね。だからこそ、今回、これだけ大きなガバナンス改革が議論され、やがて実現していくと考えておりますので、是非、今回のガバナンス改革を生かして、しっかりと教育や研究の質の向上につなげていただきたいと思います。  私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、西岡秀子さん。 ○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。  本日は、私立学校法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。  まず、法案質疑の大前提といたしまして、私立学校の学校教育における位置づけ、役割、重要性につきまして、永岡文部科学大臣の御認識をお伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 私立学校は、公の性質を有する学校でありまして、国公立学校とともに我が国の教育制度の一翼を担っていると認識をしております。  その上で、私立学校では、それぞれの建学の精神に基づきまして個性豊かな活動が展開をされており、我が国の学校教育の発展、普及や、また多様化するニーズに応じた特色のある教育研究の推進に重要な役割を果たし、質及び量の両面から我が国の学校教育を支えていると考えております。  こうした私立学校の果たす役割の重要性に鑑みまして、文部科学省では、私立学校の振興を重要な政策課題として位置づけ、そして、学校法人制度の改善ですとか、また、教育研究条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減に努めているところでございます。 ○西岡委員 今大臣から御答弁をいただきましたけれども、私立学校の、私学教育の重要性というのは、独自の建学の精神に基づいた個性豊かな教育研究の場として、また、国公立とともに公の教育の一翼を担っていただいてきたと思います。  また、特に地方における私学の果たす役割は大変重要なものがあると思っておりまして、特に、人口減少、少子高齢化の中で、地域における教育の拠点としてだけではなくて、地域振興のための新しい産業を創出することや、産学官一体となって研究開発の成果を地域の課題解決に結びつける意味でも、地方創生の推進役、そして地域を担うリーダーを育成するという意味でも、大変大きな役割を担っていただいております。  この私立学校、組織としての公共性、透明性につきまして、私立学校に求められている高い公共性、透明性につきまして、永岡文部大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  私立学校法の第一条におきましては、この法律の目的といたしまして、私立学校の特性に鑑みて、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることと規定をしております。  今回の改正は、我が国の公教育を支えます私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるため、社会の要請に応えつつ、自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革を推進することによりまして、私立学校の公共性等を更に高めるために行うものと考えております。  こうした目的に向けまして、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の権限の明確化や選解任手続を定めるとともに、監事や評議員会の理事会へのチェック機能を強化するなど、透明性の確保という視点を十分に踏まえまして、学校法人の管理運営制度を抜本的に改善をすることとしている所存でございます。 ○西岡委員 ありがとうございます。  私立学校におけるガバナンスの強化、このことについて、その必要性は全ての方が認めるところだと思いますし、不断の検討、見直しが図られるべき事柄でございます。  これまでも、私立学校法は、平成十六年の改正、平成二十六年の改正を経て、令和元年改正においては、学校法人のガバナンス強化のための私立学校法の一部を改正する法律案を含みます学校教育法の一部を改正する法律案が成立したところでございますけれども、同法の附則に、五年を目途に、施行状況を検討し、必要なときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされておりました。  ガバナンス強化の取組の中で、今回の改正に至る背景については、最近頻発をいたしております不正や不祥事というものがあるというふうに思いますけれども、今回の改正に至る背景につきまして、文部科学省の御見解をお伺いをしたいと思います。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるため、社会の要請に応えつつ、自らが主体性を持ってガバナンス改革を推進することが強く求められてございます。  こういった背景の中、学校法人のガバナンス改革につきましては、累次の閣議決定や今お話ありました令和元年改正時の附帯決議、こういったものに基づきまして、これまで、学校法人制度改革特別委員会等において御議論いただき、執行と監視、監督の役割の明確化と分離、これを基本的な考え方としつつ、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の各権限を明確に整理し、建設的な協働と相互牽制機能を確立することで、実効性のあるガバナンス構造を構築することとしたところでございます。  このような考え方を踏まえ、必要な改革を盛り込んだ私学法の改正法案を今回国会に提出させていただいたというのが今回の背景と経緯でございます。 ○西岡委員 今回の改正に至る議論の経緯につきましては、紆余曲折がございました。  文部科学省によって令和三年に設置をされました学校法人ガバナンス改革会議の報告書に盛り込まれた答申の内容が、外部者のみで構成する評議員会を理事会に代わって経営上の重要事項を決定する最高監督、議決機関に格上げすることなどが示されたわけでございますけれども、その改革案に対しては、私立学校法人や有識者から反対の声が多く上がりました。それを受けて、新たに学校法人制度改革特別委員会を立ち上げまして、報告を取りまとめ、その議論を反映した形で今回の法律案が提出されたと認識をいたしております。  政府の諮問を受けた改革会議の議論の中で出された報告書が、ある意味、ほごにされた形で進められましたこの一連の経緯は、極めて異例の事態だと思っておりますけれども、なぜこのような異例の経緯をたどったのか、永岡文部科学大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 学校法人制度につきましては、累次の法改正を経ましてガバナンスの強化を図ってまいりましたけれども、二〇一九年の私立学校法の改正の際の国会の附帯決議や、閣議決定されました骨太の方針におきまして、更なる改革の必要性が示されました。  そのため、文部科学省に設置をいたしました学校法人ガバナンス改革会議において検討を進めまして、二〇二一年十二月に、理事に対する監督、牽制を重視をいたしまして、評議員会を最高監督、議決機関に改める等の提言をまとめていただきましたが、私立大学の関係者を始め各方面から様々な懸念が寄せられたところでございます。  そうした状況を踏まえまして、学校法人制度改革特別委員会におきまして、私学関係者の参画を得まして改めて議論を重ねまして、学校法人の沿革や多様性に配慮をし、かつ社会の要請に応え得る、より実効性のある改革案をおまとめいただきました。  本法案は、これらの経緯がありましたが、業務執行と監視、監督の役割の明確化、分離という基本的な考えはしっかりと維持をしておりまして、議論を重ねることによりまして、よりよい形へガバナンス改革を推進するものとなっております。 ○西岡委員 ちょっと順番を変えさせていただいて、引き続き、文部科学大臣にお尋ねをさせていただきます。  そもそも、この改革会議の提言というのは、骨太の方針二〇一九で示されました、私立学校以外の公益法人、公益社団・財団法人や社会福祉法人と同様のガバナンスの機関設計、改革を私立学校にも適用するという方針にのっとった報告書であったということを認識した上で、十七日にも参考人の先生方から大変貴重な、様々な御意見をいただいたわけでございますけれども、複数の参考人の先生からも言及がございましたけれども、学校法人に対して、このように他の法人と同様に、一律にこのガバナンスの法改正を適用するということに対する懸念が示されました。  このことについて、永岡文部科学大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 骨太の方針二〇一九では、確かに、社会福祉法人制度改革や公益社団・財団法人制度の改革を十分踏まえまして、同等のガバナンス機能が発揮できる制度改正のため、速やかに検討を行うことというふうにされているところでございます。  今回の改正案は、一般財団法人や社会福祉法人等の規律を参考にしながら、私立学校におけます建学の精神を尊重すべきという、ほかの法人制度との大きな違いというものを踏まえて検討してまいりました。  その上で、執行と監視、監督の役割の明確化、分離と、学校法人の多様性や独自性の双方のバランスを考慮いたしまして、理事等の選解任といった人事面の仕組みの見直しにとどまらず、理事の業務執行や理事会運営の適正性を確保する仕組みを総合的に構築をしているところでございます。  学校法人、そして公益財団法人や社会福祉法人につきましては、それぞれの社会的役割も異なることなどから、別々の法制度に基づきまして運営が行われているものと承知をしております。その上で、それぞれの社会的責任を果たすために必要なガバナンス改革を各自において行うことが重要であると考えております。 ○西岡委員 今回の様々な議論の紆余曲折があったことの一因としては、やはり、様々な、私立学校以外の法人のガバナンスを一律に私立学校に当てはめようとしたところに大変私は問題があったというふうに思いますし、また、教育現場の意見というものが十分に生かされていたのかということにも私自身は疑問が残るところでございます。  今般、様々な議論を重ねた中でこの法改正が提出をされたわけでございますけれども、改正に当たりましては、末松前文部科学大臣の下でパブリックコメントが行われまして、多くの意見が寄せられたというふうに聞いておりますけれども、寄せられた意見の主な意見がどのようなものであったのか、また、このパブリックコメントを経て本改正案に盛り込まれて、修正された項目等がございましたら、文部科学省より御説明をお願いいたします。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  今回の法改正に先立って行われました任意の意見募集、パブリックコメントにおきましては、改革の方向性に賛同する御意見のほか、十分な準備期間やきめ細やかな経過措置を検討してほしいなど、現場の実態に即した慎重な検討を求める御意見など、三百二十九件いただいてございます。  こういった御意見を踏まえまして、まず、施行日を令和七年四月一日とすることにより、学校法人に対して十分な準備期間を設けることとしたほか、経過措置といたしまして、制度移行後に際し、学校法人に過度な負担がかからないよう特別に配慮しているところでございます。 ○西岡委員 ありがとうございます。  続きまして、今回の法改正に対しましての懸念が寄せられている懸念点について質問をさせていただきます。  今回の法改正では、ガバナンス強化として改革会議の報告書から大変大きく後退しているという御意見や、ガバナンス強化策として不十分であるという指摘もある中で、以下の懸念点について確認をさせていただきます。  理事の選任につきましては、新たに寄附行為に基づいて理事選任機関を置くこととなり、例えば、理事長が指名する人によって理事の選任を行うことが可能となるなど、今回のガバナンス強化と逆行する事態が起きるのではないかという懸念の声もお聞きをいたしております。その懸念に対しまして、文部科学省としてどのように対応、お応えをされる方針であるのかということをお伺いをしたいと思います。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  今般の法改正は、建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという、この基本的な枠組みは維持しつつ、評議員会の監視機能を強化するということを基本的な考え方としたものでございます。  このため、具体的な理事選任機関の取扱いにつきましては、各学校法人の判断に委ねたところでございます。これによりまして、理事会や評議員会、第三者機関などが法人の判断により理事選任機関となり得るものと考えております。  また、学校法人の適切な運営のためには、このような人事に関する仕組みの整備のみならず、加えまして、不正等の予防や、問題が発生した際の対応の仕組み、こういったものも同時に整備してございます。理事の業務執行や、理事会や評議員会運営の適正性を確保する仕組みを総合的に構築する必要があろうかと考えてございます。  こうした総合的な仕組みの下で制度の運用がしっかりなされるよう、文科省としても改正の趣旨について周知徹底を図ってまいりたいと思います。 ○西岡委員 続きまして、二点目としましては、本改正案につきましては、理事と評議員の兼務は禁止をされております。ただ、評議員の半数を理事会が選任できるとした点の理由につきまして、また一方で、教職員については三分の一に制限することとされました。この理由につきまして、文部科学省の見解をお伺いをいたします。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  今回の改正におきましては、執行と監視、監督の役割を分離することを基本的な考え方としておりますが、理事会と評議員会の対立、これを意図するものではなく、理事会と評議員会が相互に牽制し合いながらも建設的に協力し、時には議論し合い、充実した、納得感のある学校法人運営を目指すものでございます。  そのため、理事、理事会による評議員選任を許容しつつも、特定の利害関係者に偏らない幅広い意見、こういったものを反映することができるよう仕組みをつくることが重要であると考えております。  このため、執行と監視、監督の役割の分離と、学校法人の多様性や独自性、この双方のバランスを考慮しながら、理事、理事会が選任する評議員が評議員会の過半数を占めることがないよう、二分の一という上限を今回設けたところでございます。  また、特定の利害関係に偏らない幅広い意見を反映することは重要と考えております。教職員評議員が評議員に占める割合、これも三分の一という上限を設けたところでございます。  三分の一の理由でございますが、日本私立学校振興・共済事業団のアンケート調査がございまして、このアンケート調査では、大学を設置する学校法人における平均的な教職員評議員数の割合は三三・五%、また、高等学校以下を設置する法人においては二三・三%となってございます。こういった現状をも考慮しながら、実態とも合致する制度設計に努めたところでございます。 ○西岡委員 引き続き、茂里私学部長にお尋ねをさせていただきます。  大臣所轄法人における評議員会の決議を要することとされている重要な寄附行為の変更とは何を示すのか、どの範囲まで含まれるのでしょうか。このことについての御見解をお伺いいたします。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  今回、大臣所轄学校法人等におきましては、軽微な変更として文部科学省令で定めるもの、これを除く寄附行為の変更について、評議員会の決議事項としているところでございます。  この軽微な変更として文部科学省令で定めるものにつきましては、私立学校法体系の中で、その整合性も念頭に、この国会における御審議なども踏まえ、また関係者の御意見も伺いながら、今後、具体的に、そして丁寧に検討してまいりたいと思います。 ○西岡委員 しっかり現場の声を聞いていただいて反映をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  引き続きまして、私立学校は、大学、高校、中学、小学校、幼稚園の別など、規模や学校の種別など、大変多様な私立学校が存在をいたしております。その中で、大臣所轄法人、知事所轄法人という単純な仕分では、実態に沿ったガバナンス強化が図られないケースが出てくるおそれも懸念をされます。  知事所轄法人につきましては一定の配慮や経過措置が設けられたところでございますけれども、この実態に即した適用区分をどのような基準によって今後判断される方針であるか、これも茂里私学部長にお尋ねをいたします。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今回の改正におきましては、大臣所轄学校法人等とその他の法人とで、それぞれの規模に応じたガバナンスが適切に発揮されるよう、適宜対応を分けることといたしております。知事所轄法人でも、一定の基準を満たす大規模な法人については大臣所轄学校法人と同様の取扱いとすることといたしているところでございます。  対象となる法人の要件や基準につきましては、事業の規模や事業を行う区域、これらについて政令で定めることとしておりまして、他の法人制度も参考にしながら、今後、関係者の意見も聞きながら、具体的に検討していきたいと思います。  現時点におきましては、事業の規模といたしまして、法人の事業活動等の収入十億円又は負債二十億円以上とすること、事業を行う区域といたしましては、三以上の都道府県において学校教育活動を行っていることとし、この両方の要件や基準を満たすことを想定してございます。 ○西岡委員 このことも、しっかり現場の声を反映していただく形で今後作成をしていただけることをお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、先般の参考人質疑の中でも藤本参考人から大変貴重な現場のお話があったところでございますけれども、地方の小規模な私立学校法人におきましては、大変、様々な意味で、一律に適用されることに対して現場の厳しい状況というものがございます。私も地元から、ガバナンス改革会議の報告書に対しては多くの懸念の声をお聞きをしてまいりました。  例えば、役員の適任者についても、ふさわしい人材の確保が大変難しいということもございます。理事と評議員の兼職の禁止や特別利害関係者の制限も含めて、大変、ふさわしい人材の確保というのが難しい面もございますし、専門的な資格を持つ人材を登用するとなると新しい負担が生じる可能性もございます。  経過措置だけで現実的に対応できるのかどうか、また、教育現場の声や状況をしっかり把握をして負担軽減に努めることが必要であると考えますけれども、永岡文部科学大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  今回の改正におきましては、各機関の役割を明確化をいたしまして、執行と監督の機能を分離する観点などから、理事と評議員の兼職の禁止や、評議員における役員近親者の人数の上限などを定めております。  現行制度では、理事の定数の二倍の数を超える数の評議員を選任しなければなりませんが、改正後は、理事と評議員の兼職を禁止することに伴いまして、評議員の定数は理事の定数を超えればよいこととしております。  したがいまして、多くの学校法人におきましては、理事を兼職していない評議員を要件を満たしている限り引き続き評議員とすることが可能でありまして、新たに別の評議員を確保することが必要なケースは少ないものと考えております。  また、経過措置といたしまして、評議員におけます役員近親者の人数の上限などについて、施行後一定期間は条件を緩和するとともに、改正法の施行の際に在任する役員や評議員の任期は、当該任期が満了いたします日又は令和九年度の最初の定時評議員会の終結のときまでとしているところでございます。  文部科学省といたしましては、引き続きまして、現場の現状等を把握しながら、今回の制度改正の周知徹底を行ってまいりたいと思っております。 ○西岡委員 引き続きまして、ガバナンス体制強化の中で大変重要な役割を果たす監事について質問させていただきます。  監事としてふさわしい資格を有する人材、どのような人材を想定しておられるのか、また、そのことをどのような形で示していかれる方針かということにつきまして、茂里私学部長にお尋ねをさせていただきます。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  監事は、学校法人のガバナンスにおいて重要な役割を担っており、今回新たに規定を整備し、学校運営その他の学校法人の業務又は財務管理について識見を有する者であることを必要としてございます。  建学の精神や教育活動の内容は各学校法人により様々であるため、監事に求められる資質や役割を踏まえ、各学校法人において適任者を選出いただくことになろうかと思ってございます。  文科省といたしましては、今回のガバナンス改革の基本方針やその中で監事に求められる役割について、学校法人や都道府県の認識を深めるとともに、学校法人の監事向けの研修会などにおいて、その専門性の向上を図ってまいりたいと思います。 ○西岡委員 これも参考人質疑の中で参考人の方からも言及がございましたけれども、学校法人以外の法人のガバナンスを一律に学校法人に適用することが大変私が問題であるというふうに思う一つの大きな、このことが根本にあるのではないかと思いますけれども、私立学校法人にとって最も重要なステークホルダーは、例えば幼稚園ですと園児、児童生徒、学生であり、保護者であるという参考人からのお言葉がございました。学生ファーストと申しますか、そこに集う、そこで学ぶ園児、児童生徒、学生が、そして保護者が大切なステークホルダーである。  今回のガバナンス改革の改正に向けまして、文部科学省としてこのことにどのような認識で取り組んでこられたのかということにつきまして、茂里私学部長にお尋ねをさせていただきます。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、学校法人の運営に当たり、その設置する学校において教育サービスを受ける側である園児、児童生徒、学生やその保護者、こういった方々の声に耳を傾けるということは極めて重要だと認識してございます。  今般の法改正におきましては、学生生徒や保護者等の意見聴取等に関する具体的な仕組みが盛り込まれているわけではございませんが、例えば、評議員会に学生生徒、保護者等の意見が反映できるような人選、これはOBとか実際に保護者であったりするわけですけれども、そういったことも可能となってございます。  この制度の運用に当たりましては、園児、児童生徒、学生や保護者の意見を尊重することの重要性についても、併せて周知徹底を図ってまいりたいと思います。 ○西岡委員 ガバナンス強化ということで、このことは大変必要なことだというふうには誰もが考えておりますけれども、今回、この改正につきましては、不祥事の防止のみならず、建学の精神に基づいた私学教育実現のための学校法人制度の在り方、私学法人の在り方を模索していくということが今後大変重要だと思っております。  私の時間がこれで終了いたしましたので、私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、宮本岳志君。 ○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。  ガバナンス改革の出発点は、私学の理事会、理事長の権力集中による私物化、不祥事だったと思います。そうした現行法の問題点を改善し、私立学校等の公共性と教育研究の質を更に高めるための法改正は、我が党も当然必要だと考えております。  そこで、私学部長に確認しますが、文科省として、なぜこうした理事会、理事長による私物化、不祥事が防げなかったと考えているのか。現行法では、理事、評議員、監事を事実上理事長が選解任できる仕組みになっているというところに私は原因があると思いますが、お考えをお聞かせいただきたい。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  私立学校における不祥事の原因は様々であると考えておりますが、近年の事例を踏まえるとすれば、元理事長の専横的な法人運営により理事会及び評議員会が形骸化し、牽制機能が利かなかったことなどが原因だと考えております。  このようなことなどを踏まえますと、現行法では、権限が特定の者に集中することを防ぐ仕組みや、あるいは理事長など執行部に対するチェックの実効性を確保する仕組み、こういったことが十分でなかったのではないかというふうに思ってございます。 ○宮本(岳)委員 私の指摘した点でいいんですね、再度確認ですが。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  今御指摘いただいた点も含めて、様々な問題があろうかと思っております。 ○宮本(岳)委員 これまで評議員会や監事に権限がなかったから私物化、不祥事が防げなかったというわけではありません。理事長に生殺与奪の権があるために、内部で問題が発覚したとしても、理事長の意向に反することが言えないという状況となってしまうことが最大の原因だったと思います。  ガバナンス改革会議報告書では評議員として教職員が排除されようとしておりましたけれども、今回の法案では学校法人の職員も含まなければならないとされております。その意義として、内部の教職員の意見を反映させることを重視したということがあろうと思うんですけれども、この点、私学部長、いかがですか。 ○茂里政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のありました評議員につきましては、特定の利害関係に偏らない幅広い意見を反映することができる構成にすることにより、評議員会に期待される牽制機能の実質化を図ることが重要だと考えております。  様々な方々、教職員も含めていろいろな角度から私学運営にアドバイスをいただくというのは極めて重要なポイントかと思っております。今回の改正につきましても、その点を十分考慮した制度設計としてございます。 ○宮本(岳)委員 おっしゃるとおりで、教学の面もあるわけですから、教学と運営の協調が必要であって、教学の面からの意見もちゃんと聞いていただく必要があると思うんですね。  不祥事、私物化について、起こってはならないことは当然でありますけれども、先日の参考人も、九九・九%のところは問題ないと思うんですが、やはりその中に不心得な方が出てくる、それをどう防ぐかと述べられておりました。不祥事事案は全学校法人のごく一部の問題でありますけれども、その他、ほとんどの学校法人は真面目に運営をしておられます。問題は、そうした不祥事が起こり得る仕組み、理事長が理事、評議員、監事を選ぶことが事実上可能となっている現状をどうするかというところにあります。そうした仕組みを改善するためには、内部の意見を反映させることは当然だと思いますね。  評議員の選解任については寄附行為の定めるところによるとされております。現行法でも評議員の選任を寄附行為に定めるということにされておりまして、これによって理事会あるいは理事長が評議員を選定すると寄附行為で定めている学校法人が多く存在すると聞いております。  今回の改正案では、理事、理事会が選任する評議員は評議員総数の二分の一を超えないこと、こうなっておりますし、それ以外に、理事の親族等の特別利害関係人についても評議員総数の六分の一を超えないこととされております。つまり、理事、理事会が選解任する評議員と理事の親族等の評議員は、これを両方足し合わせますと最大で評議員総数の三分の二となるわけですね。これでは、理事長、理事会に対する、先ほどから議論になっている牽制としての今回の役割、今回の法改正の意義が骨抜きになってしまうのではないかという指摘もあるわけですね。  もちろん、学校法人の規模などを考慮する必要があることは理解しておりますけれども、せめて大臣所轄学校法人等については、評議員を選任する際に理事、理事会の選任する評議員の数をできる限り減らす、あるいは特別利害関係人は極力ゼロにするなど、理事長、理事会の暴走による不祥事、私物化を抑制するという法案の趣旨を徹底すべきだと私は考えますが、文科省としてどのような方策を講じるつもりか、お聞かせいただけますか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今般の改正におきましては、評議員会の機能の健全な実質化を行うという観点から、選任する主体、これに着目いたしまして、理事、理事会が選任する評議員の割合を二分の一まで、これはマックスでございます、とすると同時に、選任された評議員の身分等に着目いたしまして、職員評議員が三分の一まで、親族等評議員が六分の一までとする仕組みを導入したところでございます。  御指摘の点につきましては、この度の法改正が建設的な協働と相互牽制を確立することで実効性のあるガバナンス構造を構築する趣旨であることに鑑みれば、評議員会においては、特定の利害関係に偏らない幅広い意見を反映することができる構成にすることにより、評議員会に期待される牽制機能の実質化を図ることが重要であると認識してございます。  そのため、文部科学省におきましては、政省令の制定に合わせまして、今の御指摘、また今回の基本方針なども踏まえながら、学校法人や都道府県向けの説明会の実施、モデルとなる寄附行為の作成、寄附行為変更に関する個別相談、そういったものにしっかりと応じてまいりたいと思います。  二分の一、六分の一、三分の一はあくまでも上限でございます。各学校のそれぞれの実情に合わせた適切な取組が行われるよう徹底してまいりたいと思います。 ○宮本(岳)委員 是非、きちっと適切にしていただきたいんですけれどもね。  理事選任機関の構成、これも寄附行為によって定めることとされております。これは私立学校の自主性を尊重するための規定でありますけれども、こうした規定により、理事会を理事選任機関とすると定めることは排除されていないわけですね。  この点について、先日の参考人質疑で福原参考人も、小さな学校法人では理事会が選任することで円滑に継承されていく例があり、そういった例を全く防いでしまうというわけにはいきませんと述べつつも、それが全ての大規模な大学にまで同じようなことまで許されるのかというと、それは決してそうではないと述べられました。  そういう意味では、特別委員会の報告書でも、その後の法案骨子でも、理事の選任を行う機関として、「評議員会その他の機関」と、評議員会がその筆頭例に挙げられております。現行法の下でも、理事会、理事長が理事を選任してうまくいっている学校法人もあるかもしれませんけれども、理事長、理事会に対する牽制機能という今回の法改正の趣旨を考えれば、せめて大臣所轄学校法人等では、理事選任機関の在り方について、文科省のやはり考え方を示すべきではないかと思いますけれども、私学部長の御答弁をいただきたい。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  今般の法改正は、我が国の公教育を支える私立学校の教育研究の質の向上を図る観点から、建学の精神を受け継いでいる理事会が意思決定機関、評議員会が諮問機関であるという、この基本的な枠組みを維持しつつ、評議員会のチェック機能を可能な限り高めるようガバナンス改革を進める、これはこれまでも申し上げたとおりでございます。  他方、現行制度でも、理事の選解任は学校法人ごとに多様な方法で行われており、理事会が関係者から信任を得て安定的に学校運営を行う基盤となっていることなども踏まえ、具体的な理事選任機関の取扱いについては各学校法人の判断に委ねたところでございます。このため、今お話ありましたけれども、理事会が理事選任機関になることもありますし、評議員会や第三者機関などが法人の判断により理事選任機関となることも可能かと思います。  今般の改正におきましては、理事選任機関を寄附行為で明確に定めるように法定した上で、当該理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聞かなければならないということとしてございます。  また、不正行為があった場合には評議員による理事の解任請求を認めるなど、評議員会は諮問機関であるという、その基本的な枠組みの中で、可能な限り評議員会のチェック機能を強化したというのが今回の一番の工夫したところでございます。  また、学校法人の適切な運営のためには、人事に関する仕組みの整備のみならず、加えまして、不正等の防止や、問題が発生した際の対応の仕組み、これを整備するなど、適正を担保する、確保する仕組みを総合的に構築する必要があろうかと考えております。  いずれにいたしましても、今般の法改正の趣旨を踏まえた適切な運用が八千法人全てでなされるよう、しっかりと、基本方針の周知徹底に努めてまいりたいと思います。 ○宮本(岳)委員 是非、寄附行為作成例などで示していただくということであれば、執行と監視、監督の分離という法案の趣旨をしっかり徹底していただくことを求めておきたいと思います。  ガバナンス改革会議の報告書では、評議員会を最高監督、決議機関とした上で、構成員から学校構成員を排除するとされておりましたが、本法案ではそうした規定はなくなっております。その理由に、私立学校の特性ということが語られておりますけれども、これは大臣に、改めて、私立学校の特性とは何か、お述べいただきたい。 ○永岡国務大臣 宮本委員にお答え申し上げます。  私立学校におきましては、それぞれの建学の精神に基づきまして、個性豊かな活動が展開されているところでございます。私財を投じた創立者やその親族を含む理事会メンバーにおきまして建学の精神が受け継がれてきた背景がございます。  私立学校は、このようなそれぞれの建学の精神に基づきまして、個性豊かな活動が展開をされており、我が国の学校教育の発展、普及や、多様化するニーズに応じました特色のある教育研究の推進に重要な役割を果たし、質及び量の両面から我が国の学校教育を支えているものと考えております。  今後とも、我が国の公教育を支えます私立学校の重要性に鑑みまして、建学の精神に基づいて、時代と社会の変化に対応し、自ら積極的に教育研究の質の向上に取り組む私立学校をしっかりと後押しをしてまいります。 ○宮本(岳)委員 先日の参考人質疑でも、教育というものは自由でなければならない、学問はやはりあらゆる権力から独立して、学は独立したものでなければいけないということが述べられました。  教育の自主性という点では、理事会が一々教育内容や研究内容に口を出すようなことはやはり慎むべきだと思います。  学校法人の校務、教学面については、まずは学校の自主性を最大限尊重することは当然のことだと考えますけれども、これは私学部長、よろしいですね。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  学校教育法におきましては、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とされ、学校における教学面の事項について職務権限を有していることは明らかでございます。  他方、私立学校法におきまして、理事会は、学校法人の業務を決定するとされているところ、この学校法人の業務とは、学校法人が設置する私立学校の業務を含む学校法人全ての業務を意味しているところでございます。  したがいまして、教学面につきましても、学校法人運営の最終的な責任を担っております理事会がその権限と責任の下、最終的な決定を行うことがありますが、その際には、御指摘のあったとおり、教学サイドの自主性を十分尊重しなければならないと考えてございます。  この点については、現行制度においても、今回の改正後においても、変わるものではございません。 ○宮本(岳)委員 後半だけでよかったんですけれどもね。学長、校長を含む教員組織の自主性を最大限尊重することは、教育の自由、研究の自由の根幹であり、まさに中心問題だと思います。  法案四十六条「監事の資格」について。  文科省は、二〇一九年九月二十七日に発出した、学校法人寄附行為作成例の改正についてと題した通知の中で、八条二項、前項の選任に当たっては、監事の独立性を確保し、かつ、利益相反を適切に防止することができる者を選任することとするとして、その理由として、理事長と監事が他の法人で上下関係にあるような場合や、監事が学校法人と顧問契約を結んでいるような場合など、牽制機能が十分に発揮されない状況とならないよう、選任に係る規定を追加したと述べております。  この規定の趣旨は変わっていないということの確認と、なぜこのような規定を設けたのか、そして、学校法人の規模にもよるけれども、少なくとも大臣所轄学校法人等ではこうした規定はきちっと守られるべきだと思いますが、私学部長、よろしいでしょうか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  現在の学校法人寄附行為作成例におきましては、監事の選任に当たっては、監事の独立性を確保し、かつ、利益相反を適切に防止することができる者を選任するものとするとされております。  この規定は、御指摘のとおり、理事と監事が他の法人で上下関係にあるような場合や、あるいは、監事が学校法人と顧問契約を結んでいるような場合など、牽制機能が十分に発揮されない状況とならないよう、追加されたところでございます。  この趣旨につきましては、今回の改正後においても変更ございません。  今お話ありました学校法人全体のガバナンスの中で、このことについてはしっかり取り組んでまいりたいと思います。 ○宮本(岳)委員 第五十二条一項一号は監事の本来業務が規定されておりますが、六号で、前各号に掲げるもののほか、寄附行為をもって定めるところにより監事が行うこととされた業務とあります。  寄附行為で定めることによって、まさか大学の研究内容の一々にまで監事が口を出すというようなことは私は想定されていないと思うんですけれども、これもよろしいですね。 ○茂里政府参考人 答弁申し上げます。  第二条第六項は、改正法に定められた監事の職務のほかに、学校法人として監事が行うことが適切であると考える職務がある場合には学校法人の判断において寄附行為に定めることができることを規定したものでございます。具体的には、会計監査人や内部監査室との連携のために必要な職務に関する規定などが考えられるところでございますが、学校法人の必要に応じて適切に規定をしていただくことを想定しているところでございます。  また、教学面のお尋ねがございました。教学面につきましても、学校法人の経営に関する問題である以上、学校法人の業務として監査の対象となりますので、寄附行為で定められる監事の職務が教学的な面に及ぶこともあると考えております。  ただ、御指摘もございましたが、寄附行為で定められる監事の職務により、個々の教員の具体的な教育内容や研究内容まで立ち入ることは想定しているところではございません。 ○宮本(岳)委員 これも結論だけでよかったんですけれどもね。  現行法上では、理事会が評議員会に諮問する項目について、寄附行為の定めで評議員会の決議を要するものとすることができるとされております。これは本法案でも同様でありますけれども、現在、学校法人によっては、法律上諮問事項としていることも寄附行為によって評議員の決議事項としているところもあります。今回の法案は、こうしたことを妨げるものではありませんね。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  その前に、先ほど私、答弁の中で二条第六項と申し上げましたが、五十二条第六号の間違いでございます。訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。  今お尋ねの部分でございますが、御指摘のとおり、改正後においても、寄附行為で定めることにより、学校法人の判断で、評議員会の諮問事項を評議員会の決議を要する事項に変更することは可能でございます。 ○宮本(岳)委員 法案四十二条四項、理事は書面で理事会の議決に加われるとされております。他方、四十二条一項で、理事会の決議は理事の過半数の出席が必要とされております。これは評議員会も同様であります。  そこで聞くんですけれども、二〇二一年六月二十五日の通知、「理事会及び評議員会の運営及び議事録の取扱い並びに学校法人寄附行為作成例の改正について」では、理事会の開催の意義について、監事の意見も踏まえつつ、理事が相互に意見交換を行うことを通じて法人の業務執行に関する意思決定が適切にされることが期待されると記されております。しかし、出席の過半数が書面出席ということになれば、意見交換の場としての理事会や評議員会の趣旨にそぐわないことになるのではないかと私は思いますけれども、文科省の認識はいかがでございましょうか。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  原則として、理事会は、単に議決を行うための機関ではなく、理事が議題について相互に意見交換を行うことにより学校法人の業務執行の意思決定を行うことが期待されるものであることから、書面開催することは認められません。ただし、できる限り多くの理事の意見を理事会の意思として反映させるため、出席できない理事が書面やメール等でその意思表示を行うことによって理事会の議決に加わることは可能としているところでございます。  理事会開催に当たりましては、様々な事情、例えば現在はコロナなどが考えられますが、こういった様々な事情が想定されることから、書面やメールによる議決への参加について半数までとするといった一律的な制限は設けていないところでございます。 ○宮本(岳)委員 参考人質疑の中で、税制優遇や私学助成、幼児教育、高等教育の無償化等の進展によって、それにふさわしいガバナンス構造の現代化を図っていくことに対する社会的要請もますます高まっているということが語られました。これに対して、幼児教育の無償化が実現したことは本当に感謝の気持ちしかないけれども、そういうようなことが達成されたからちゃんとガバナンスを守りなさいよ、今まで以上にやりなさいよと言われるのは、私はちょっと違和感がございますという御意見もございました。  税制優遇や公費助成、幼児教育、高等教育の無償化が行われているから公共性を確保すべきというんですけれども、それは少しおかしいのではないかと私も思います。  そもそも、公共性について、私立学校法制定時の提案理由ではどのように述べられていたか、私学部長、是非紹介していただきたい。 ○茂里政府参考人 申し上げます。  昭和二十四年十一月十八日の衆議院文部委員会における私学法の提案理由では、公の性質について、次のように説明されているところです。「私立学校も学校教育法に定める学校として、教育基本法のいわゆる「公の性質」を有するものでありまして、設置者がほしいままに経営すべきものではないのであります。このため私立学校については、その自主性を尊重するとともに、あわせてその公共性を高めることが必要とされるのであります。」  以上でございます。 ○宮本(岳)委員 公の性質、つまり、私立学校は、国公立学校同様、公教育を担っているということであります。  更に言えば、私立学校に在籍する学生、児童生徒の割合は、大学、短大で約七五%、高校で約三四%、幼稚園は八八%と、私立学校は我が国の学校教育の発展に大きく貢献をしております。だからこそ、一九七五年には私立学校振興助成法が成立をし、いわゆる私学助成が始まりました。  そこで、配付資料一を見ていただきたい。法案可決時の参議院文教委員会の附帯決議であります。  赤線部、「私立大学に対する国の補助は二分の一以内となっているが、できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」となっています。これはまさに国会の意思であります。この国会の意思がその後どのように扱われてきたか。  資料二は、日本私立学校振興・共済事業団が作成してきた「私立大学等における経常的経費と経常費補助金額の推移」という資料であります。  一九七五年、法成立と附帯決議以降、五年後の一九八〇年の約三割まで増え続けてきた経常費補助金の補助割合は、その後は、二分の一どころか、どんどん減り続け、ついに平成二十七年、二〇一五年には、一割も切って、九・九%にまで落ち込みました。そして、何と、この平成二十七年を最後に、この表の作成が止まってしまいました。  聞きますが、文部科学省は予算案の説明の際、平成二十八年度まではこのグラフを用いていたんですが、一割を割り込んでしまって以来このグラフの使用をやめたのはどういう理由なのか、お答えいただけますか、私学部長。 ○茂里政府参考人 お答えいたします。  御指摘の点につきましては、様々なデータの拾い方があろうかと思います。今回委員から御指示いただいて御用意したデータなどもございますので、今後、どれがこれから私学助成の伸び率を測っていくか、一番適当なのかについては、しっかりと検討してまいりたいと思います。 ○宮本(岳)委員 分母に不正確があるという説明でした。ならば文部科学省が正確だと考える経常的経費を計算した上で同じように表を作ってくれと言って出てきたのが、資料三であります。  文部科学省が正確だとする数字で計算してみても、資料三のグラフが示すように、二〇〇八年以降も補助割合は一貫して減り続け、二〇二一年度で一一・六%にすぎません。  結局、一九七五年の国会の意思、私学助成の二分の一への引上げに照らせば、ずっと逆行し続けているわけですね。  そこで、大臣に確認したいんです。  一九七五年の附帯決議の経常経費二分の一目標は捨て去られたのか、それとも、公教育としての私立学校がその役割を果たすためには経常費補助二分の一の達成は依然として重要であり必要だと大臣はお考えか、はっきりと御答弁いただきたい。 ○永岡国務大臣 私立の学校は、大学等で七割を超えます学生が在籍をしておりまして、建学の精神に基づいた個性、特色のある教育を実施しており、我が国の学校教育において重要な役割を果たしていると考えております。  私学に対する助成にいたしますと、こうした私立学校が果たす役割の重要性に鑑みまして、私立学校の教育条件の維持向上、そして学生等の修学上の経済的負担の軽減、私学の経営の健全性の向上を図ることを目的としておりまして、私立学校の振興に大きな役割を果たしていると考えております。  文部科学省といたしましては、基盤的経費でございます私立の助成を確保するというのは大変重要だと思っておりますし、また、高等教育の修学支援も含めまして、私立学校への総合的な支援、これをしっかり行いまして、教育の質の向上とアクセスの機会、これの拡充にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。 ○宮本(岳)委員 当然です。だから、私学関係者は、学生や生徒、保護者とも力を合わせて、毎年膨大な、私学助成増額を求める請願署名を国会に届けてきました。  この請願の紹介議員には、ほぼ全ての会派の議員が名前を連ねております。ならば採択されてしかるべきではないかと思いますが、審議されることなく、国会会期末の委員会で不採択が報告されるということが繰り返されてまいりました。これほど憲法十六条に定められた国民の請願権を愚弄する話はないと思うんですね。  委員長、今国会こそ請願の審査をするための委員会の開催を求めたいんですが、是非理事会で御検討いただきたい。 ○宮内委員長 理事会で協議をさせていただきます。 ○宮本(岳)委員 先日の参考人質疑で、学校法人ガバナンス改革会議座長の増田宏一参考人からは、二〇一九年と二一年の骨太方針で決まった、この二度の閣議決定を翻す対応は国のガバナンスが問われている、そういう御意見も出されました。  報告書をまとめていただいた座長としての思いは受け止めたいと思うんですが、国のガバナンスの問題を言うのならば、何でもかんでも骨太方針や閣議決定で進められると考えている今の政権の手法こそが問題だと言わなければなりません。閣議で決めようが、関係者や国民の実態を無視しては政治も行政も進められない。このような手法こそ直ちに見直すことを求めて、私の質問を終わります。 ○宮内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後零時二十三分開議 ○宮内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永岡文部科学大臣。 ○永岡国務大臣 一般的に、何らかの発言が人を傷つけるのかどうかは、その発言された文脈によるものと考えます。  一般論といたしまして、LGBTは種の保存に背くといった、当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性はあり、望ましくないと考えます。  以上でございます。 ○宮内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ――――――――――――― ○宮内委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 ○宮内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ――――――――――――― ○宮内委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村裕之君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。梅谷守君。 ○梅谷委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明に代えさせていただきます。     私立学校法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 本法による学校法人のガバナンス改革に当たっては、私立学校の建学の精神を侵すことのないよう留意すること。また、大学を設置する学校法人においては、憲法で保障されている学問の自由及び大学の自治の理念を踏まえ、私立大学の自主性・公共性を担保する観点から、その設置する大学の教育・研究に不当に干渉することがないよう、特段の留意を払うこと。  二 理事会の業務執行に対する評議員会の監視・監督機能の強化を促進するため、あらかじめ評議員会の意見の聴取を要する事項について、必要に応じて意見の聴取に代えて決議を要することもできる旨を各学校法人に周知するなど、評議員会の権限強化策を推進すること。  三 学校法人の理事の選任は評議員会の監視・監督機能を定期的に発揮させる重要な手段であることを踏まえ、各学校法人の理事選任機関に評議員を含めるなどの工夫により、理事会からの中立性を確保するよう周知を図ること。  四 理事長等特定の者への権限の集中が一部の私立大学等における不祥事の背景となっている状況を踏まえ、評議員会の監視・監督機能が実質的かつ健全に機能するよう、理事又は理事会が選任する評議員数の上限については、必ずしも当該割合まで求めるものではないことを各学校法人に周知するとともに、上限の在り方について検討すること。  五 学校法人のガバナンス強化には、理事会及び評議員会の活性化が重要であることを踏まえ、各学校法人において理事会及び評議員会を理事及び評議員の出席のもと定期的に開催するなどの工夫により、積極的に意見交換するよう周知すること。  六 私立大学等のガバナンス不全を防止するため、文部科学大臣所轄学校法人等においては、理事長職について、責任に見合った勤務形態を取らせるため、任期や再任回数に上限を設けるための措置など理事長職の在り方について検討すること。  七 監事と会計監査人の連携や監査重点事項の策定などにより監事及び会計監査人による監査機能の実効性を確保するよう各学校法人に周知するとともに、会計監査人はその独立性を害するような監査証明業務と非監査証明業務の同時提供はできない旨の周知を図ること。  八 本法による学校法人のガバナンス改革の実施に当たっては、その対象となる学校法人は、都市部の大学等を設置する大規模なものから地方の幼稚園のみを設置する小規模なものまで様々であることから、特に小規模な学校法人に対しては、寄附行為・内規の変更や評議員の候補者探しなどの負担、地域間格差の拡大等に配慮し、設置する学校種及び規模等を踏まえた運用面での負担の軽減措置を講じること。  九 本法は大学を設置する大臣所轄学校法人を中心に制度設計が行われているが、多くの学校法人の所轄庁は都道府県知事であることから、都道府県に対して丁寧な説明や調整が行われるよう努めること。  十 私立学校法の対象外である株式会社により設置される学校においても、最大の利害関係者が学生等であることを踏まえ、設置主体の株式会社のガバナンス不全が学生等に不利益を与えないよう、設置者に対する指導助言の充実に努めること。  十一 学校法人の役員及び評議員の選任に当たっては、男女共同参画の観点から、女性の登用について配慮を求める旨を、各学校法人に対し周知すること。 以上、何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ○宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 ○宮内委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永岡文部科学大臣。 ○永岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     ――――――――――――― ○宮内委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ――――――――――――― ○宮内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会