第211回国会 衆議院 文部科学委員会 第6号 令和5年4月5日 令和五年四月五日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 宮内 秀樹君    理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君    理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君    理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君    理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君       青山 周平君    石橋林太郎君       上杉謙太郎君    勝目  康君       柴山 昌彦君    鈴木 貴子君       田野瀬太道君    谷川 弥一君       辻  清人君    中曽根康隆君       丹羽 秀樹君    西野 太亮君       船田  元君    穂坂  泰君       三谷 英弘君    宮路 拓馬君       八木 哲也君    山口  晋君       山本 左近君    義家 弘介君       荒井  優君    梅谷  守君       菊田真紀子君    白石 洋一君       牧  義夫君    金村 龍那君       高橋 英明君    早坂  敦君       平林  晃君    山崎 正恭君       西岡 秀子君    宮本 岳志君     …………………………………    文部科学大臣       永岡 桂子君    文部科学副大臣      簗  和生君    文部科学大臣政務官    山本 左近君    政府参考人    (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君    政府参考人    (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君    政府参考人    (文部科学省高等教育局私学部長)         茂里  毅君    政府参考人    (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君    政府参考人    (文化庁次長)      杉浦 久弘君    政府参考人    (文化庁次長)      合田 哲雄君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君    文部科学委員会専門員   中村  清君     ――――――――――――― 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   丹羽 秀樹君     八木 哲也君   古川 直季君     西野 太亮君 同日  辞任         補欠選任   西野 太亮君     三谷 英弘君   八木 哲也君     宮路 拓馬君 同日  辞任         補欠選任   三谷 英弘君     古川 直季君   宮路 拓馬君     丹羽 秀樹君     ――――――――――――― 四月五日  著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号) 三月二十八日  教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(柴山昌彦君紹介)(第四九二号)  同(谷田川元君紹介)(第四九三号)  同(櫻井周君紹介)(第五三七号)  同(志位和夫君紹介)(第五三八号)  同(赤木正幸君紹介)(第五六一号)  同(徳永久志君紹介)(第五六二号)  同(城井崇君紹介)(第五七六号)  同(原口一博君紹介)(第五九二号)  同(田嶋要君紹介)(第六一六号)  設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(神津たけし君紹介)(第四九四号)  同(赤嶺政賢君紹介)(第五一三号)  同(新垣邦男君紹介)(第五一四号)  同(笠井亮君紹介)(第五一五号)  同(穀田恵二君紹介)(第五一六号)  同(志位和夫君紹介)(第五一七号)  同(塩川鉄也君紹介)(第五一八号)  同(田村貴昭君紹介)(第五一九号)  同(高橋千鶴子君紹介)(第五二〇号)  同(宮本岳志君紹介)(第五二一号)  同(宮本徹君紹介)(第五二二号)  同(本村伸子君紹介)(第五二三号)  同(岡本あき子君紹介)(第五九三号)  国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(逢坂誠二君紹介)(第四九五号)  同(青柳陽一郎君紹介)(第五二四号)  同(新垣邦男君紹介)(第五二五号)  同(岡本あき子君紹介)(第五二六号)  同(櫻井周君紹介)(第五三九号)  同(笠浩史君紹介)(第五四〇号)  同(藤岡隆雄君紹介)(第五七七号) 四月五日  大学等学費半額と入学金ゼロ、奨学金返済の負担軽減に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六六六号)  教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(笠井亮君紹介)(第六六七号)  同(小寺裕雄君紹介)(第六九六号)  同(遠藤利明君紹介)(第八一九号)  学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(荒井優君紹介)(第六九五号)  同(石川香織君紹介)(第七一二号)  設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第六九七号)  国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(荒井優君紹介)(第七四七号)  同(白石洋一君紹介)(第七四八号)  同(湯原俊二君紹介)(第七四九号)  全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康が守られる教育条件を求めることに関する請願(大石あきこ君紹介)(第七九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)  文部科学行政の基本施策に関する件      ――――◇――――― ○宮内委員長 これより会議を開きます。  文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官上村昇君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、初等中等教育局長藤原章夫君、高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長茂里毅君、スポーツ庁次長角田喜彦君、文化庁次長杉浦久弘君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ――――――――――――― ○宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。 ○柚木委員 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。  資料の一ページ目以降におつけしておりますが、御承知のように、世界的な音楽家で、もう皆さんもよく御存じの坂本龍一さんがせんだってお亡くなりになりました。心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  そういった中で、坂本龍一さんは、様々な社会問題についても積極的に発信をされてこられた方です。中でも、とりわけ、最後に、これは永岡大臣にもお手紙が届いているというふうに承知しておりますが、資料の二ページ目を御覧ください。  神宮外苑の再開発について、昨日の東京新聞の一面の報道ですが、これは小池都知事に宛てた手紙ということですが、永岡文科大臣始め、それぞれ関係の責任ある立場の方に送られている手紙ということで、全てではありませんが、少し御紹介をいたします。  「突然のお手紙、失礼します。神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆を執りました。」途中飛ばしますが、マーカーを引いております。「いま世界はSDGsを推進していますが、外苑の開発はとても持続可能なものとは言えません。持続可能であらんとするなら、これらの樹々を私たちが未来の子供たちへと手渡せるよう、現在進められている再開発計画を中断し、見直すべきです。」まさに、東京を、皆さんも行かれた方は多いと思います、御存じの方は多いと思います、秋になればあの美しいイチョウ並木の紅葉、そういった、「「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導することこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。」これは永岡大臣に向けても同じことで書かれていると思います、「あなたのリーダーシップに期待します。」と。  永岡大臣、このお手紙はお読みになられているんでしょうか。あるいは、お読みになられたのであれば、どういう受け止め方をされているか、教えてください。 ○永岡国務大臣 まずは、日本を代表する音楽家として世界的に御活躍をされました坂本龍一さんが先月の二十八日にお亡くなりになられたと報道で承知をしております。御冥福をお祈りいたします。  亡くなる一か月前の二月の二十四日付で、私宛てに委員の御指摘のお手紙をいただきました。今の、小池百合子知事の方に発出されたものとは少々違うということでございますけれども、その内容につきまして、拝読させていただいておりますけれども、坂本氏の神宮外苑の未来に向けた強い思いというものを感じることができました。 ○柚木委員 坂本龍一さんの未来へ向けての強い思いを感じることができたということですので、この後の質疑で、資料三ページ目以降に、二月の三日の衆議院予算委員会で、我が党の阿部知子委員の質問に対して、これは超党派議連で、今日おいでの船田先生始め、御尽力をいただいている取組の中でも申入れがなされていることと承知しておりますが、この神宮のイチョウ並木の保全に向けた名勝指定について、これは記事の、三ページ目、四ページ目にも書いておりますが、担当官庁の文化庁として、東京都に対して、申入れの呼びかけを待っている、そういう姿勢を是非文科省から呼びかけてほしいということで永岡大臣に要請をしたところ、大臣の方から、本日の国会でのやり取りを文化庁から地元自治体、つまり東京都に対してしっかり伝えてまいりたい、こういうやり取りでございました。  その後、やり取りを伝えてどういう状況にあるか、昨日段階でまだ最新の状況が確認できていないということでしたので、確認をいただくように昨日お願いしておりましたので、最新の状況。それから、ある意味では、工事の進捗状況、私も昨日現場を見てまいりましたが、神宮第二球場はもう撤去の工事が始まっちゃっているんですよね。その状況についても教えてください。 ○永岡国務大臣 先日、二月の三日になりますが、衆議院の予算委員会におきまして、私から、本日の国会でのやり取りを文化庁から地元自治体に伝える、そういう答弁をさせていただいたことを受けまして、委員会当日に文化庁より東京都の文化財担当部局へ一報するとともに、その後、議事内容を文化庁において整理をした上で、二月の十三日付で事務連絡にて東京都へ伝達するとともに、関係区への周知を依頼したところでございます。  現時点では東京都からは見解は示されておりませんが、申し上げましたとおり、文化庁としては、先日の国会でのやり取りをしっかりと東京都に周知したところでございまして、これを受けましてどのような対応をするかは、東京都において主体的に判断されるものと考えております。 ○柚木委員 その御答弁だと、昨日私が質問通告した後確認したというふうに受け止められませんね。  二月の十三日付で送付をして、その後東京都から何ら回答がないと。それでは、坂本さんの思いも含めて、超党派議連の先生方の思いも含めて、あるいは近隣住民、あるいは国際的に是非保全をしてほしいという、そういった要望もある中で、受け止めたことになりません。  これは、二月十三日付の送付で東京都の回答を待つだけではなくて、昨日、私も、工事の状況全てを見れたとは思っておりませんが、一通りちょっと見て回りましたが、現段階ではまだ樹木についての伐採は進んでいないというふうに私はお見受けしました。今ならまだ間に合うんですよ。  これは、独法通則法、私も詳細に昨日も確認しましたが、この後少し質問しますけれども、秩父宮ラグビー場と神宮球場との入替えという部分も含めて、これは所管は文科省ですから、いろいろな形で、まだ計画の中断、見直しをぎりぎりできる段階なんですよ。  東京都に対して、今日この後でもいいので、小池都知事にも手紙が行っているわけですから、大臣が直接小池都知事と話をしていただけませんか。そして、名勝指定、国として是非進めたい、東京都の申出をお待ちしているということを都知事に対して、これは、文科大臣、船田先生、代表は会ってもらえないということですよ、小池都知事に。文科大臣なら会ってくれますよ、話できますよ。都知事と直接そのやり取りをしていただけませんか。 ○永岡国務大臣 先日、二月の三日の衆議院の予算委員会におきまして、阿部議員から、東京都への名勝指定の働きかけをお願いできないかという御質問でございましたので、文化庁で取りまとめて、報告書におきまして神宮外苑のイチョウ並木を重要事例としている点について、国会審議の状況を文化庁の方から東京都にお伝えをしたものでございまして、再開発の見直しを伝えたものではございません。  本件の再開発事業につきましては、東京都及び新宿区、港区におきまして、地権者を始めとします関係事業者と協議をしながら適切に対応していくべきものと考えているところでございます。 ○柚木委員 いや、後ろでうなずいている場合じゃないですよ。それじゃ駄目だということで超党派議連も、船田先生始め、一生懸命、今、政府に対して、あるいは都に対して申入れをされているんじゃないんですか。  ちなみに、船田先生、代表は、資料にもおつけしています、こうおっしゃっていますね、七ページ目。まさに、坂本龍一さんや、超党派議連や、地元、あるいは世界各地から、まさにすばらしいイチョウ並木を含む、保全してほしいという多くの反対の声を押し切る形で、二月、東京都が再開発の認可をした。三月下旬から工事が始まる。始まっている現場、昨日、見てきました。しかし、東京都の環境影響評価審議会で、座長は、これで終了と宣言していない。にもかかわらず、再開発を推進するディベロッパーの方々の環境を保全するための新たな提案が出されない状況のまま工事認可が下りたことは、明らかに見切り発車じゃないんですか。  そういう中で、国として、まさに坂本龍一さんのお手紙も受け取って読まれた、そして、しっかりと受け止めたいとおっしゃった永岡文部科学大臣としても、まさに、坂本さんのみならず、都民、あるいは世界の、あるいは超党派議連の皆さんの声をきちんと受け止めて、一旦、これはまだぎりぎり間に合いますよ、東京都と、計画の見直し、そして、名勝指定するということは、当然、見直すことですから、そのことを小池都知事と是非やり取りしていただけませんか、大臣。いかがですか。 ○永岡国務大臣 神宮外苑地域の市街地の再開発事業というのは、東京都と、そして新宿区、港区におきまして、地権者を始めとした関係事業者と協議をして、そして必要なプロセスを経ながら進められまして、今年の二月に施行認可されたものと承知をしております。  いずれにいたしましても、本件再開発事業につきましては、東京都及び新宿区、港区におきまして、地権者を始めとする関係事業者と協議をしながら適切に対応していくべきものと考えておりまして、文部科学省としては、その検討の状況を注視をしてまいりたいと考えております。 ○柚木委員 人ごとではなく、当事者として是非お取組をお願いしたいんですよ。何か、いろいろなところに配慮されているように、答弁ぶりを聞いていると感じざるを得ないんですよ。  昨日、こういう報道も出ていますよ。ちょっと資料にはつけるのをさすがに控えましたけれども、坂本龍一さんが最後まで中止を訴えた神宮外苑森林伐採、再開発の元凶は森喜朗元総理、萩生田光一現在政調会長ですかね、も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑、こういう記事も出ていますよ。昨日付ですよ。私が言っているんじゃないですよ。記事ですからね。いろいろなことが東京都議会でも問題になっていますね。  そういうことも相まって、なかなか、奥歯に物が挟まったような。本来なら、東京都と話をしていただければいいじゃないですか、東京都に丸投げせずに。それでできるんですよ。  独法通則法の中には、大臣の、例えば、牧先生も前回も提案されていますね。JSC、日本スポーツ振興センター保有の秩父宮ラグビー場、それを神宮球場と入れ替えるわけですから、これは管理をしているのはJSCなわけですからね。これは、大臣の事務、あるいは改善命令権もあります、監督命令権、あるいは財産処分の制限権もあるんですよ。さらには報告調査権、まさに統一教会への質問権行使と同じように、できるわけですよ。  そういう立場であるわけですから、計画の見直し、見直すために一旦中断、是非やっていただけませんか、大臣。できる権限を持っているんですから。お願いします、御答弁を。 ○永岡国務大臣 繰り返しになりますけれども、本再開発の事業につきましては、東京都及び新宿区、港区において、地権者を始めとします関係事業者と協議をしながら適切に対応していくべきものと考えております。  文部科学省といたしましては、見直しを求めることは今のところ考えてはおりません。 ○柚木委員 大変冷たい御答弁ですね。坂本さんも天国で泣いていらっしゃるんじゃないんですかね。  この問題については、私たち、引き続き、これはまだ、私、樹木の伐採がなされていないと現地を見て思いましたので、何とか中断、見直しを引き続き求めてまいりたいと思います。  もう一つ大事な問題がありますので、次の通告に移ります。  学校給食無償化の問題についてです。  これは、まさに政府の異次元の少子化対策試案の中にも入ったものですね。入ったということは、これは岸田首相から、私たちは実は、先月二十九日付で、お隣の菊田文科部門座長が筆頭提出者として、学校給食無償化法案を提出をさせていただいております。私たちの法律に御賛同いただくことも、先ほどの理事会でも、審議入り、速やかな成立、だって与野党同じ考えなんですから、そして政府も公約としてこれから進めるんですから、私たちの法案審議、そして成立をいただければ、来年四月から実現できるんです。そのことも、審議入りもお願いもし、また、今日の大臣のしっかりとした答弁も伺った上で、次の閣法の趣旨説明についても、それを踏まえて私たちは判断させていただきたいと思っているんです。  なぜならば、国会というのは、御承知のとおり、閣法だけを審議する場じゃないですよね。与党の先生方の議員立法、今日、務台先生おいでですかね、大変私たちに、成立を、審議をということでおっしゃっていますよ、それぞれの。ですから、是非、閣法だけではなくて、議員立法の学校給食無償化法案についても審議入り、速やかな成立をお願いしているところです。  そういった中で、永岡大臣、岸田総理からは、学校給食無償化の指示、そして学校給食法改正がそのためには必要になりますから、そういった具体的な指示は出ているんでしょうか。出ているのであれば、どういう内容か教えてください。 ○永岡国務大臣 本年一月に、総理より小倉大臣に対しまして、子供政策の強化に向けた具体的なたたき台を取りまとめるよう指示があったものと承知をしております。  それを受けまして、先日、小倉大臣が取りまとめました子供、子育て政策のたたき台におきまして、「学校給食費の無償化に向けて、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行う。」とされております。  今後、総理の下に設置されます新たな会議におきまして、子供、子育て政策の強化に向けて更に議論を深めるとされていることから、文部科学省といたしましても、こども家庭庁と連携をしながら対応してまいりたいと考えております。 ○柚木委員 世の中には、学校給食無償化を政府・与党が進める、やってくれる、そういうふうに報道もされ、実際問題、私も、まさにこの新年度、上の子は中学校に入って、下の子は小学校四年生、地元は無償化ではないです。無料じゃないんですよ。後ほど牧先生の方から全国の自治体のお話もあると思いますが。  これはおかしいじゃないですか。だって、同じ税金を納めて、無料のところと無料でないところがある。これは、実際、無償化を進めていく上で、今、六月の骨太の方針に盛り込むべく議論を進めるということであれば、じゃ、無償化の対象はどうなるんでしょうか。あるいは、財源は幾らぐらいを想定しているんでしょうか。  ちなみに、資料にもおつけしておりますとおり、私たちの法案は、そういったことについても当然試算をして、皆さんの方にお示しをしているところでございます。是非、御覧をいただければと思います。八ページ目に資料をおつけしておりまして、四千七百億円程度の財源で私たちは無償化が実現できると考えております。  是非、大臣、具体的に進めてほしいんです、検討するだけじゃなくて。無償化の対象はどういった対象で、財源は幾らぐらいを想定しているのか、財源としては何を想定しているのか、現段階でお答えできる範囲で御答弁をお願いします。 ○永岡国務大臣 学校給食費の無償化につきましては、給食の実施状況や保護者負担軽減策等の実態を把握した上で、今後、課題を整理する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、小倉大臣が取りまとめたたたき台については、今後、総理の下に設置されます新たな会議におきまして更に議論を深めることとしているところから、文部科学省といたしましても、こども家庭庁としっかりと連携しながら対応してまいりたいと思っております。 ○柚木委員 全然、具体的に私の質問に対する答弁がないんですよね。これは、全てはこれからということなんですか。  私たちは、対象、そして必要な財源、金額、さらには、これは今、財源について何もお答えになられませんでしたが、例えば、消費税引上げなんですか。あるいは、社会保険料引上げを充てるんですか。企業の拠出金という報道も出ていますね、異次元の少子化対策を行う上で。あるいは、国債発行、そういったことも、教育国債という議論も野党の中にありますね。どういった財源を想定しているんですか。全く答えないということは、何も決まっていない、全く白地の絵をこれから描いていくということなんですか。御答弁をお願いします。 ○永岡国務大臣 柚木議員おっしゃいますように、非常に、まだこれから、学校給食費の無償化につきましての議論というのは、岸田総理を先頭といたしまして、小倉大臣の下で、しっかりとこども家庭庁と連携しながら議論をしていくというところが主なお答えになりますけれども、必要額につきまして試算する場合にも、その対象ですとか範囲の考え方によりまして試算の結果というのは大きく変わってくるものでございます。文部科学省といたしましては、現時点におきまして、学校給食の無償化について必要な額についての試算は行っていないわけでございます。  また、学校給食費の無償化につきましては、一部の自治体ですとか、自治体の学校ですとか、学校給食自体が実施されていない、そういう学校もあるものですから、今後課題を整理するということが必要である、そうも考えているところでございます。 ○柚木委員 これは、岸田政権は、学校給食無償化、本当にやるんですか。  課題はあるのは私たちも承知した上で法案を出しているんですよ。無償化法案が成立すれば、当然、もちろん、いろいろな課題は私も承知していますよ、しかし、何でうちの自治体は給食をやらないんだという声が当然保護者からも出ますよ、それは。うちの家族だって言っていますよ、はっきり言って。これは、法律が通ったら無償化する自治体は増えますよ、学校も。もちろん、それぞれの自治体や学校の考え方はあってしかるべきなんですよ。しかし、増えますよ。  これは、学校給食無償化を進めるということであれば、学校給食法改正、必要になる、そういう認識でよろしいですか、大臣。 ○永岡国務大臣 学校給食費の無償化につきましては、給食の実施状況や保護者負担軽減策等の実態をまず把握した上で、先ほども申し上げましたけれども、今後の課題を整理する必要があると考えているところでございます。  中学校でも、実は、完全給食の実施率が自治体ごとに本当に大きなばらつきがあります。低いところでは児童生徒数比で六割を切るような県も実はあるわけでございまして、そういう中で性急に進めれば、現場の混乱ですとか自治体の不公平感などを招きかねないと考えております。  また、給食の実施状況、保護者負担軽減策等の実態を本当に把握した上で、課題を整理する必要がありますので、それを基に、しっかりと、小倉大臣が取りまとめましたたたき台につきまして、今後、総理の下に設置されます新たな会議におきまして議論を深めることというのが重要かと思っております。 ○柚木委員 委員長、答弁させてください。  学校給食法第四章の十一条「経費の負担」、「学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第十六条に規定する保護者の負担とする。」と。改正しないと無償化できないじゃないですか。法律改正は必要なんですか。御答弁ください。 ○永岡国務大臣 どのような制度設計にするかによりまして、法改正の要否というものは変わってくるものと考えております。一概に申し上げることは困難と考えております。 ○柚木委員 財源も全くこれから、学校給食法自体も改定するかどうか分からない。これは本当にやるんですか。これは異次元のやるやる詐欺になっちゃ困りますよ。そういう声が出ていますよ。  この学校給食法改正を、私たちは法案を出している。それを、与党の先生方含めて政府も、この学校給食法改正、やる気があるかどうか、それがリトマス試験紙なんですよ。  学校給食無償化をやる場合、最短だったらいつからやるんですか。 ○永岡国務大臣 いつからやるというお答えには、お答えしかねるところでございますが、いずれにいたしましても、小倉大臣が取りまとめたたたき台について、今後、総理の下に設置されます新たな会議におきまして議論を深めることとされていることから、そこでの議論を踏まえてしっかりと検討してまいりたいと考えております。 ○柚木委員 これは、私たちの法案が成立すれば、来年の四月から学校給食無償化が実現するんです。そして、当然、私たちが一年の準備期間を取っているのは、各自治体において、これは学校給食無償化をやはり進めようというところが増えてくることも想定していますから、準備期間ですよ。  政府が今のようなスタンスだと、仮に学校給食法改正案を出してきたとしても、これは来年の四月、間に合わないですよ。だから、私たちの学校給食無償化法案審議入り、成立のお願いをしているんです。  この学校給食法の改正案、仕組みによってとおっしゃったけれども、それは一時的かどうかとかいう昨日議論もしましたよ。でも、そんなの一時的だったら意味ないんですから。継続的にやっていくという前提に立てば必要なんですから、法改正が。  法改正のための課題を整理をいただけると、ここで約束してください。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  学校給食費の無償化につきましては、給食の実施状況や保護者負担軽減策等の実態を把握した上で、今後、課題を整理する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、小倉大臣が取りまとめましたたたき台について、今後、総理の下に設置される新たな会議におきまして議論を深めるとされていることから、文部科学省といたしましても、こども家庭庁と連携しながら対応してまいりたいと思っております。 ○柚木委員 ちょっと、もう次の質問に行かなきゃいけないので、せめて、これは、財源も分からない、実施時期も分からない、必要な法改正も分からない、本当にやるやる詐欺になりかねませんよ。絶対やると、学校給食無償化を。だって、政策に入れたんですよ。学校給食無償化に向けて課題を整理すると書いてあるじゃないですか、試案に。  学校給食無償化はやる、約束できますね、文科大臣。 ○永岡国務大臣 繰り返しになりまして大変申し訳ございませんが、小倉大臣が取りまとめました子供、子育て政策のたたき台におきまして、「学校給食費の無償化に向けて、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行う。」とされております。  今後、総理の下に設置されます新たな会議体で更に議論を深めて、こども家庭庁と連携しながらしっかりと対応してまいりたいと考えております。 ○柚木委員 こんな答弁では、ちょっと、この後の閣法審議の趣旨説明、おぼつかなくて、後続の方にも引き続きちゃんと答弁いただかないと、やる気が感じられませんよ、これは本当に。これは統一地方選挙向けのパフォーマンスだと受け止められかねませんよ。是非、本気でやる気があるんだったら、法改正、財源、実施時期、答えるべきだと思います。  ちょっと時間がないので、次の、旧統一教会の解散命令請求の問題、これも非常に雲行きが怪しくなってきているんじゃないですか、大臣。  今回、五回目の質問権行使ですね。これは本当に、私も実は心配しているんですよ。四月の二十五日、回答期限。永岡大臣、岸田政権も一定の段階では内閣改造とかも行われると、いろいろなことを言われていますよね。永岡大臣の在任期間中に必ず解散命令請求、区切りをつける、その覚悟で臨んでいる、そういうことでよろしいですか。 ○永岡国務大臣 旧統一教会につきましては、これまで、宗教法人法に基づきまして、五回にわたりまして報告徴収、質問権を行使しまして、資料の提出を求め、具体的な証拠や資料などに伴います客観的な事実の解明を着実に進めているところでございます。  解散命令の要件というのは宗教法人法で厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係ります十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠と考えているところでございます。  そのため、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進め、その上で、法律にのっとりまして必要な措置を講じてまいりたいと考えております。  私が在任中かどうかというような仮定の質問には、申し訳ございませんが、お答えすることはできないということでございます。 ○柚木委員 その決意、覚悟を感じられない理由は、一つは、これはひょっとして、旧統一教会から文化庁へ解散命令請求を行わないでほしいという要請が出ている、もっと言うと、旧統一教会と統一地方選挙における自民党の地方議員候補者との関係ですよ。地方議会でも旧統一教会はどんどん訴訟を起こして、ある意味圧力をかけているわけですよ。それが効いているんじゃないんですか。  永岡大臣の地元はいかがですか。茨城県連の、自民党の、統一地方選挙の候補者の方々。今日、十一ページ目につけていますね。全国弁連からも、接点調査をして公表してほしい、関係を断絶してほしい。  永岡大臣、旧統一教会から文化庁への解散命令請求を行わないでほしいという要請が解散命令請求に影響を与えているかどうか。そして、御自分の御地元、茨城県の自民党県連、統一地方選挙の候補者の方々は、全ての方々が接点調査をして断絶すると公表されていますか。  以上二点、解散命令請求が遅れている理由じゃないかと思うから、二点まとめてお聞きします。 ○永岡国務大臣 現在、旧統一教会に対しまして報告徴収、質問権を行使しているところでございまして、権限の効果的な行使やその後の対応に支障を来すおそれがありますので、要請の有無を含めまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。  私が所属します茨城県連のことでございますが、昨年の十月に、これは県連ではなくて、自民党はガバナンスコードを設けまして、旧統一教会及びその関係団体との関係遮断を徹底するとの方針が示されていると承知をしているところでございます。茨城県連も、改定されました自民党のガバナンスコードを議員及び候補者に周知徹底しているものと承知をしているところでございます。 ○柚木委員 全く説得力がないので、これはちょっと、引き続き注視していきます。  ちょっと、簗副大臣、どうしても聞いておきたいので、最後、聞きます。  この間、LGBTは種の保存に背くという発言をしたかどうかを認めない、それから、そういう考えを持っているかどうかも述べない。理由としては、非公開の場だから、発言の報道が。それから、私見については述べないと言われていますが、国会はそういう場ではありません。  実際に、まさにLGBTの、生産性がないという発言で、認めて辞任をされた杉田元総務政務官は、非公開の場での、党の会議での、女性はうそをつけるという発言についてちゃんと答弁されていますよ。  そして、私、過去の国会質疑をずっと調べましたよ、副大臣のみならず、閣僚についても。例えば平成十二年二月二十四日、これは当時の丹羽厚生労働大臣ですよ。私見についても、年金の問題で、ちゃんと答えておられます。ちょっと、全部紹介していると時間がありませんから。それから、平成十四年十二月二日、これは当時の平沼大臣ですよ。私見について、これは公共事業に関係することで答えられていますよ。さらには、自殺対策について、佐田玄一郎当時の国務大臣も、県の教育委員会の機能強化について、私見ですがということで答えられていますよ。非公開の場であろうが私見であろうが、答えるべきことは答えているんです、この国会で。  LGBTは種の保存に背くという発言の事実があったのか、今でもそうお考えなのか、お答えください。 ○簗副大臣 御指摘の報道に係る会議につきましては、これはこの委員会の場で申し上げているとおりですけれども、非公開という形式で行われた会議ですので、その内容等やそれに関連する質問についてはお答えは差し控えたいというふうに思います。  また、今もう一つ質問がありました、考えということでございますが、こちらも、前回来、前回来というか、本委員会あるいは他の委員会等でも就任以来申し上げているとおりでございますけれども、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要であると認識をしておりまして、この考えにのっとって文科省としての政策の推進に努めてまいる所存でございます。 ○柚木委員 ちょっと同僚議員の時間を少しいただけるということなので、最後、一問だけ確認をします。 ○宮内委員長 では、会派内で調整をしていただきたいと思います。 ○柚木委員 永岡文部科学大臣は、前回の私たちの質疑への補充答弁で、LGBTは種の保存に背くという発言は当事者の方を傷つける可能性があって望ましくないと明言されました。  簗副大臣、そういうお考えでよろしいですか。 ○簗副大臣 政府としては、個々の意見に対してコメントをすることは差し控えさせていただきたいと考えますが、一般論として、どのような発言も、その発言された文脈により人を傷つける可能性はあり、そのように相手を傷つけるということは望ましくないと考えております。  この考えは、今御指摘のあった三月二十二日の当委員会における大臣の御答弁と同じ趣旨でございます。 ○柚木委員 今日はこれで終わりますが、ということは、簗副大臣は、まさにLGBTの当事者の方々を傷つける発言をされたんじゃないんですか。そのことを最後まで認めずに、何を守ろうとしているんですか。発言を認めていただくこと、私見を述べていただくこと、先ほど紹介をした各大臣の答弁について、全く答えない論拠になっていない。  委員長にも、今日の質疑も踏まえて、永岡大臣も松本総務大臣をちょっと見習っていただいた方がいいんじゃないんですか。指導していただいて、認めて、謝罪、撤回させてください。  以上、強く求めて、質疑を終わります。ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、牧義夫君。 ○牧委員 おはようございます。牧義夫でございます。  今日は、私立高校の就学支援のことと、それから学校給食のことについて、大臣に質問したいと思います。  特に、今回、いろいろ事実関係の確認というよりも、むしろ、実態を踏まえて、大臣がこの現状をどういうふうに変えていきたいと思っておられるのか、あるいは変えなくてもいいと思っておられるのか、その辺の認識をただしたいというふうに思いますので、御自身の考えで、御自身の言葉でお答えいただければ幸いでございます。  まず、高等学校の学費の公私間格差と自治体間格差について確認をしたいと思うんですけれども、まず、取りあえず事務的に、今、高校の進学率というのは何%なんでしょうか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  令和四年度学校基本調査によれば、令和四年三月に中学校等を卒業した者のうち、高等学校等への進学率は九八・八%となっているところでございます。 ○牧委員 つまりは、ほとんどのお子さんが高校に進学するという認識だと思います。義務教育ではないんですけれども、ほとんど義務教育に準ずるような、そういう公教育なわけですね。  実際、今、令和四年度の基本統計のお話を聞きました。数からすると、公立が百九十三万三千五百六十八名、私学が百一万五千百六十名ということで、公立の方が多いんですけれども、ただ、かなりの数、私学に頼っている。これは、その九八・何%の全員のお子さんが入れるだけの準備を公立でできているわけじゃないわけで、つまりは私学が公立を補完しているという見方もできるわけです。もちろん、好きこのんで最初から、中高一貫校ですとか、そういう私学に通う方も大勢いらっしゃいますけれども、実態としては、公立で受け切れない分を私学が補完しているというわけですね。したがって、やはり国として基本的にしっかりとここを面倒を見るということは当然の話だというふうに私は思っております。  まず、一人一人のお子さんの就学支援を問う前に、学校に対する経常費助成国庫補助、これについてちょっとお伺いしたいんですけれども、たしか、今年度、概算要求で一千五十二億円、結果として二十三億削られて一千二十九億円ということで、昨年より一億円伸びているということですけれども、昨今の物価高の中で一億円の伸びということは、実質マイナスじゃないかなと私は思うんです。  そこで、大臣、これで私学の教育の質が担保できるというふうに思われるか、思われないか、お聞かせください。 ○永岡国務大臣 牧議員おっしゃいますように、私立学校というのは、やはり公立とともに日本を支える、しっかりとした中等教育ということだと思っております。  私立学校は、建学の精神に基づきまして、個性とそして特色のある教育を実施しておりまして、我が国の学校教育において本当に重要な役割を果たしていただいております。  こうした私立学校が果たします役割の重要性に鑑みまして、教育条件の維持向上ですとか、学生等の修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性の向上を図ることを目的といたしまして、様々な支援をしているところでございます。  このため、令和五年度予算につきましては、私学助成の全体の増加を図る中で、高校以下につきましては対前年度九億円増の一千二十九億円を確保したところでございます。具体的には、私立高等学校等経営費の助成費等補助のうち、一般補助につきまして、国庫補助金と地方交付税の生徒一人当たりの単価を増額するとともに、私立学校におけます特色のある教育活動を推進するために、特別補助の充実などを図っているところでございます。  今後も、文部科学省といたしましては、一層教育の質の向上が図られますように、引き続き予算の確保に努めてまいります。 ○牧委員 お言葉は分かるんですが、今後とも引き続いて教育の質の向上に努めてまいるというお話は分かるんですけれども、とてもそのように実行されているように私にはちょっと見えません。  時間がないので、質問というよりも、こっちから言っちゃいますけれども、例えば、昨年の総務省の労働力調査で非正規の割合を、これは全体だと三七・五%の労働者が非正規だということですけれども、教員に限った調査をしたところ、私学が、非正規が、四〇・八%の教員が非正規採用だということです。公立で一九%。  かなりの差があるんですけれども、四〇・八%の教員が非正規というのは、これはそれだけ私学というのは切り詰めて切り詰めて運営をしているというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども、その辺について大臣はどんな所見をお持ちでしょうか。 ○永岡国務大臣 御指摘の、私立高校と公立高校の教員の非正規率につきましては、公立高校の教員は公務員である一方で、私立高校の教員は民間企業として一般的な労働関係法令に従った雇用となっておりまして、その前提は大きく異なっていることから、その差につきましては一概に比較をすることは難しいと考えております。  その上で、私立高校におけます支出のうち約六割を人件費が占めていることは承知をしております。私立高校の運営を取り巻く状況が厳しくなる中で、人件費の着実な確保というのは私立高校の運営に当たりまして切実な課題であると認識もしております。  いずれにいたしましても、生徒の健やかな学びを実現するための環境を整えることは重要でございまして、私立高校に対しましては、私立高等学校等経常費助成費等補助におきましても、生徒等一人当たり単価を増額するとともに、私立高校における特色のある教育活動を推進するための支援を行うなど、必要な支援の充実に努めてまいります。  また、文部科学省といたしましては、私立高校を取り巻く状況が厳しい中にありましても、生徒たちの学びが充実したものになりますように、引き続き、予算の確保を始めとする、私立高校を設置する学校法人の安定的な運営に向けまして、必要な人材確保の視点を含めて支援を努めてまいりたいと考えております。 ○牧委員 質の向上に努めているということであれば、やはりこれはマンパワーに頼っているわけですから、例えば小中、義務教育段階ですと、一般公務員と違って、人材確保法みたいなものもあります。これはやはり、優秀な人材、きちっとした人材をしっかりそろえることができるだけの財政力がやはり私学にも必要なわけですから、とても今のままじゃ足りないということだけは私は申し上げさせていただきたいというふうに思います。  次に、就学支援の方に話を移りますけれども、現在、国の基準でいうと、年収五百九十万未満の加算支給というのがあって、最大で三十九万六千円の支給があるわけですけれども、これも、かつての平均で三十九万六千円、今でいうと五万円ぐらいそれでも足りないんですね。これでは無償化とは私は言えないというふうに思います。  さらに、これは自治体によっていろいろ格差が生じております。例えば、うちの地元の愛知県ですと、七百二十万の所得の壁というのがあります。地域によってかなり違うんですね。しかも、例えば、同じ県内の高校に通う場合と県を越えて通う場合もあります。あるいは、県内に在住していなければ受給できなかったり、いろいろな、全国で本当にちぐはぐが生じているんですね。  その辺をどういうふうに認識されているのか。教育の機会均等ということからいうと、これは憲法やら教育基本法にも抵触するような、そんな話だと思いますけれども、こういった地域間格差について、大臣、どのように認識をされているでしょうか。 ○永岡国務大臣 今、牧委員のおっしゃいますように、やはり地域によって格差があるというのは、これはもう事実でございます。国の高等学校等の就学支援金に加えまして、地方自治体においても独自の支援を行っている、そういうふうに承知をしております。  他方、地方自治体ごとに、私立学校に通います生徒数、割合、学費などが様々であるために、地域の実情に応じまして、地方自治体の判断で、域内の現状を踏まえた支援を実施しているものと認識をしております。  高等学校等就学支援金につきましては、国と地方自治体が一体となりまして支援することが重要であると考えておりまして、今後とも、都道府県と連携をして取り組んでまいりたいと考えているところです。 ○牧委員 都道府県と連携してというのは当然の話だし、現状もそういう形になっておりますけれども、私、申し上げたいのは、自治体の財政力の違いによって差が生じるということは余りに不条理じゃないかなと私は思っております。自治体間がそれぞれ競い合って、こっちの方がいいぞと競い合って全体が高まっていけばいいんですけれども、これにもおのずから限界があります。  やはり国として、文科省として、ナショナルミニマムというのをきちっと保障するのがしかるべき姿だと思うんですけれども、その辺、大臣、どうお考えでしょうか。 ○永岡国務大臣 高等学校等就学支援金につきましては、国と地方自治体が一体となって支援をすることが重要でございまして、国といたしましては、令和二年度に、私立高校等に通います年収約五百九十万円未満の世帯の生徒への加算を更に拡充をしたところでございます。  私立学校に通います生徒数、割合、学費などは各地方自治体で本当に様々でございまして、それぞれの地域の実情に応じまして、地方自治体の判断で追加の支援を実施しているものと承知をしております。申し訳ございませんが、しっかりと、今後とも、都道府県と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。 ○牧委員 それぞれの自治体の実情というのはもちろんあるのは分かるんですけれども、私が言いたいのは、文科省で今、例えば、完全無償、所得制限全部撤廃しろとは今は言いませんけれども、やはり高いところに合わせる、文科省で。うちの愛知県でいうと七百二十万です。これはそのために愛知県の財政で大体年間四十億ぐらいを支出せざるを得ないわけですけれども、そこをきちっと国が私は面倒を見るべき話であるというふうに思っております。いかがでしょうか。 ○永岡国務大臣 授業料につきましては、各都道府県によりまして本当に様々でございます。今先生おっしゃいましたように、愛知県のお話をしていただきましたが、例えば、令和四年度におきましても、最も高い大阪府というのは約五十九万四千円、最も低い沖縄県では三十二万七千円となっているわけです。そのために、地方自治体が行っております独自の支援のうち、最も高い金額を一律にナショナルミニマムとすることは難しいと考えております。 ○牧委員 これ以上言ってもしようがないので、ここでやめますけれども、それは当然、地域によって物価も違うし、それは分かるんです。ただ、実質無償にしてほしいと。これは所得制限も全部撤廃しろという話になると法改正が必要になるんですけれども、所得の壁を引き上げるだけであれば、これは法改正じゃなくて政令でできるはずですので、そこは際限なく高いところに、例えば年収二千万円以下というような要件だとか、そういうふうにすれば、もうほとんど、ほぼ実質所得制限撤廃という形になりますので、その辺も是非、問題意識があるのであれば御検討いただければというふうに思います。  時間もないので次に移りますけれども、さっきも話が出ましたけれども、学校給食の在り方についてきちっとお話をしたいと思います。  まず、学校教育における学校給食の位置づけについて、大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。 ○永岡国務大臣 学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達並びに食に関する正しい理解と適切な判断力の育成を図る上で重要な役割を担うものでございます。  学習指導要領におきましては、特別活動の学級活動の内容といたしまして、給食の時間を中心としながら、健康によい食事の取り方など、望ましい食習慣の形成を図るとともに、食事を通しまして人間の関係をよりよくすることと示されており、学校教育活動の一環としてこれは実施をされているところでございます。 ○牧委員 いみじくも、学校教育の一環としてというお話をいただきました。  であれば、食育基本法にもあるんですけれども、食は命の源、食育は、生きる上での基本であり、知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置づけというふうにあります。つまりは、義務教育の中での教育の一環でもあるわけですね、これは。であれば、義務教育無償という観点からすれば、給食も当然無償じゃなきゃ私はおかしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  日本国憲法の第二十六条の二項、これは、「義務教育は、これを無償とする。」ということが書いてございます。この意義は、国が義務教育を提供するにつきまして、その対価を徴収しないということを定めたものでございまして、授業料の不徴収の意味と解して考えられております。  学校給食費につきましては、現行の学校給食法におきまして保護者の負担とするとされているところでございまして、学校給食費の無償化につきましては、導入する自治体が増加をして、そして導入を求める声がある一方で、一部の自治体、学校などで学校給食自体が実施されていない状況もあることから、これらの点も含めまして、今後、課題を整理する必要があると考えております。 ○牧委員 今、一部の自治体というお話がございましたけれども、実態はどのように把握されているでしょうか。どれだけの数、どういった自治体。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  学校給食費の無償化の実施状況につきましては、文部科学省として、その導入の狙い、課題等の実態を把握するために、平成二十九年度に調査を実施したところでございます。その調査によりますと、学校給食費の無償化を実施している自治体は、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が七十六、小学校のみ実施しているところが四、中学校のみを実施しているところが二となっていたところでございます。  今般、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金の活用などを通じて学校給食費の無償化を導入する自治体が増加しているものと承知をしており、保護者負担軽減対策等の実態についても今後把握していく必要があると考えているところでございます。 ○牧委員 大変、文科省の、私は感度が鈍いなと言わざるを得ないと思います。  皆様方のお手元に一枚紙で紙を配らせていただいておりますけれども、これは二〇二三年四月見込みとありますけれども、この三月までの数字です。これは教育行財政研究所の中村先生からの提供なわけですけれども、四月見込みだと、この数よりもうちょっと、もう少し増えていると思います。今の説明の数字とはかなり違うと言わざるを得ないと思うんですけれども、全国千七百四十一の市区町村の中で、無償化をしているのが三百二十三、一部補助が三百八十三。実に、全体でいうと四〇・六%にまでもう達しているんですよ。  さっきのお話の数字と全然違うじゃないですか。ここまで来て、それは文科省が知らないじゃ済まないと私は思いますよ。どうでしょうか。なぜ調査しないんですか。 ○藤原政府参考人 学校給食の無償化の状況につきましては、現段階で把握している内容は先ほど申し上げたところでございますけれども、今般、小倉大臣が取りまとめたたたき台においてそうした方向性というものも示されているわけでございまして、そうした状況を踏まえつつ、今後、実態の把握を行ってまいりたいと考えております。 ○牧委員 もう少しきちっと、スピード感を持って、現状を把握した上で、今後の無償化に向けて検討していただければというふうに思いますし、しかるべき法改正が私は必要だというふうに思っております。  この学校給食の歴史、戦後の歴史だけでも、話すと時間がなくなってしまうのであれですけれども、大変面白い歴史もあって、最初は占領地支援で資金をいただいていたのが、サンフランシスコ講和条約でそれが途絶えて、その後、小麦粉半額国庫補助という、そして、その後に日本学校給食会が脱脂粉乳の輸入業務を開始したと。  一九五四年に学校給食法ができると同時に、日米相互防衛援助協定が結ばれました。これは防衛と給食とどういう関係があるのかと調べたら面白いなと思ったんですけれども、アメリカの余剰農産物に関する日米協定調印、これが一九五六年です。学校給食用として小麦粉そしてミルクを贈与を受けます、アメリカから。ただ、これは、贈与とはいっても、アメリカの政府がアメリカの農家にドル建てでお金を支払って、それに見合う円を、日銀に円建ての口座を開設して、在日米軍の経費をそこから捻出していた。だから、学校給食と在日米軍の経費が、結局は、学校給食という形を通しながら日本政府が在日米軍にお金を払っていたというような仕組みなんですよね。  本来、それはともかくとして、やはりきちっと食育の原点に返って、我々はパンと脱脂粉乳で育ちましたけれども、これだけ短期間に、ずっと米を食べてきた、一万年にわたって米を食べてきた民族が、こんな短期間に食生活を改められたというのは、世界史的に見て本当に希有な例だというふうに言われるわけで、ここで、本当の意味での私たちの地産地消、日本型食生活の実践、そういったことを取り返さなきゃいけないな、そういうふうに思っております。  先ほどちょっと申し上げた教育行財政研究所の主宰の中村文夫さんの「足元からの 学校の安全保障」という本を読んで、私も驚くべき実態を、勉強不足で初めて知ったんですけれども、一九五七年当時の文部省の行政実例で、この給食費については歳入処理しなくてもよいと、出納員でない校長が取り集め、これを管理するのは差し支えないという行政実例が発せられて、つまりどういうことかというと、各学校の校長先生が自分の銀行の通帳を作って、自分の銀行印、届けをして、その口座に給食費を入れてもらってという形だったので、今でもそれがあるというふうに、残っているというふうに聞いています。全部じゃないと思います。  二〇一九年に文科省は通知を出して、学校給食等の徴収に関する公会計等の推進についてという通知を出していますから、これじゃまずいということを遅ればせながら文科省もお気づきになって、こういう通知を出したんでしょうけれども、いまだにそういう丼勘定というか、各学校ごとに、八百屋さんから野菜を買ってきて、こっちの肉屋さんからという、そんな会計がいまだにまかり通っている。その実態についてどう御認識でしょうか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  文部科学省では、教員の業務負担軽減等の観点から、学校給食費については、地方公共団体の会計に組み入れる公会計制度を採用するとともに、徴収、管理を学校ではなく地方公共団体が自らの業務として行うことを推進しているところであり、各学校設置者における取組状況について調査を実施しているところでございます。  令和三年度の調査によると、学校給食費の公会計化等の推進状況は、実施している自治体が三一・三%、準備、検討している自治体が三〇・九%、実施を予定していない自治体が三七・八%となっているところでございます。 ○牧委員 これは地方自治法違反ですよね。それと、やはりきちっと公会計化をして、学校だけの丼勘定じゃなくて、きちっと設置自治体が会計をしっかり見ていくという形にしなければ、安定的な給食というのは維持できないですよ。まだ、いまだにそんなのが残っているというのは、まずそれをきちっとしていただいて、その上で無償化に進めていっていただきたいというふうに切に希望したいと思います。  時間がないので、もう少しちょっと質問しますけれども、平成十七年の食育基本法の話にちょっと戻りますけれども、今、第四次基本計画における食育の推進に当たってということを進めていると思います。  この食育の推進に当たって、その前、食育基本法の前、平成十五年、小泉政権のときですけれども、「学校給食の運営の合理化について」という、文科省、当時のスポーツ・青少年局学校健康教育課長から各都道府県教育委員会宛ての事務連絡が出されております。これは、要は、学校給食を徹底的に合理化しろという内容の通知なんですね。合理化の内容というのは、パートタイム職員を活用しろ、それから共同調理場方式の採用、それから民間委託の実施。  これは食育基本法の推進計画とまるで逆のベクトルだと思うんですけれども、これが平成十五年。十七年に食育基本法ですから、その十七年の食育基本法をもって、このときの事務連絡というのは完全に無効になったというふうに解釈してよろしいでしょうか。 ○永岡国務大臣 学校におきまして、食育の生きた教材であります学校給食を活用いたしまして食育の推進を図ることは、教育的に大変意義があると考えております。  御指摘の平成十五年の事務連絡というのは、各教育委員会に対しまして、昭和六十年の通知で示しました学校給食業務の運営の合理化について改めて依頼をしたものでございます。  本通知では、業務運営の合理化に当たっても、学校給食の質の低下を招くことのないよう十分に配慮すること、そして、献立の作成は設置者が直接責任を持って実施することなどを示しておりまして、バランスの取れた栄養の確保というのはもとより、これは、地場産物、つまり地産地消ですね、地場産物や地域の食文化の理解など、適切な食材の選定等を通じまして実施される食育の推進とは矛盾するものではない、そう考えているところでございます。 ○牧委員 私は、こういった徹底的な合理化というのは食育推進とは矛盾するというふうに思っておりますので、その辺のちょっと考え方が残念ながら違うのかなと言わざるを得ないというふうに思います。  給食だけで大体、無償化で四千数百億、四千六百億、我々ちょっとそういうふうに考えておりますが、さらに学校の教材費なんかも、これは親御さんの負担があります。こういったものを全て私は公会計化して、さらには無償化すべきだというふうに考えております。  高校無償化も給食費無償化も、地域間で格差がかなり生じているということ、それは両方に言えると思うんですけれども、大臣は、これはしようがないことだ、地域的な事情もあるのでというふうにお考えなのか、あるいはこの格差は解消すべきだとお考えなのか、最後にそこだけお聞かせいただければと思います。 ○永岡国務大臣 高等学校就学支援金につきましては、国によります就学支援金に加えまして、大多数の都道府県で、私立学校に通う生徒数、割合、学費など、それぞれの地域の実情に応じて、域内の現状を踏まえた独自の支援が行われていると承知をしているところでございまして、今後とも、都道府県と連携をして取り組んでまいります。  そして、学校給食費の無償化につきましては、導入する自治体が増加する一方で、先ほども申し上げましたけれども、一部の自治体や学校で学校給食自体が実施されていない状況もあることから、まずは、給食の実施状況、そして保護者負担軽減策の実態を把握した上で課題を整理する、そういう必要があると考えているところでございます。 ○牧委員 終わります。ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、荒井優君。 ○荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。  四月になりまして最初の文部科学委員会ということで、まさに今、世の中では入学式がたくさん行われております。改めまして、入学した児童生徒、そして学生の皆さん、おめでとうございます。  是非、この文部科学委員会でも、一年一年、やはり、教育をよりよくしていく、そういう心意気でやっていきたいと思いますので、どうぞ、先生方、そして文部科学省の皆さん、よろしくお願いいたします。  先日まで私学法の改正というものをやっておったわけですが、まさに、私学のマネジメント、先日も立たせていただき、私学人としての矜持を、建学の精神に照らしてしっかりやっていきたい、そういうお話もさせていただきまして、そういう思いでこの文部科学委員会でも、また国会でも私学法の改正が成立したというふうに思いますが、今日お配りした資料、一番最後のページにちょっとつけさせていただいております。  読売新聞の大阪本社版ということで、大阪音楽大学の新しいコースを、専攻をつくったんですが、そこの新しいコースの四十何名の学生が、このミュージックビジネスという新しい在り方に学びたいと思って入ったものの、一年たったら、その先生たち二十一人のうち十四人が三月末で離任をするということが、しかも年明けになって分かったということが報道にありました。  先日来まで私学法の改正の話をしていましたので、実は、この記事に関するお話も、当該の学生さんであったり、一年生の学生さん、今度二年生にまさに四月に進級したわけですが、学生さんや、また、ここでも記事になっている二名の先生からもお話を、どうしても聞いてほしいということで、聞く機会がございました。  僕個人としても、せっかく私立のマネジメントを自律的にやってほしいという思いで私学法の改正をしていた中でこういう状況が起きていること、大変残念だし、是非、大学法人の経営陣の皆さんには、改めて、こういった、特に学生が苦しむことがないようにしていただきたいというふうに思いますが、永岡大臣、まず大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  大学教育の充実に向けまして、各大学は、学生を第一に考えまして、修学の成果を実感できます修学者本位の教育への転換を図っていくということが大変重要でございます。  このため、各大学におかれましては、学生による学修に係る不利益が生じることがないよう、教員の適切な配置を含めまして、大学におけます教育研究活動の実施のために必要な体制整備等に取り組んでいただくことが必要でございます。  現に不安等を抱える学生がいる場合には、丁寧な説明を尽くすといった、そういう対応を講じていただきたい、そう考えております。 ○荒井委員 ありがとうございます。  まさに、今、私立の大学はどこも経営が厳しくなってくる中、今までとは違うその在り方を模索し、この音楽大学でも、ミュージックをビジネスとして、全く新しい毛色の学科、コースをつくるということで始めてきた。それそのものはとてもいいことだと思うんですけれども、でも、ゆえにこそ、こうやって新しく始めたもの、非常にまだ軟らかいところだけに、しっかりと定着していくのに時間がかかることをやはり経営者の皆さんもよく理解した上で、学生さんに丁寧な説明をしていただきたいというふうに思っておりますし、是非文部科学省からも、そういうことがしっかりなされるように、そこは言っていただいて構わないんじゃないかというふうに思っております。  学生さんも大学を信じてはいきたいというふうにまだ言ってはいて、学生が集団で辞めるにはまだ至ってはいませんが、こういった新しいコースを紹介する学校の高校の進路指導の先生たちも、やはり複雑な思いを持ってこの問題を見ていると思いますので、どうぞ、私立の大学はやはり自分たちでしっかりやっていく必要がありますので、経営者の皆さんにはお願いしたいというふうに思っております。  続きまして、文部科学省は五兆二千億ぐらいの予算が毎年度やられているかと思いますが、その中で五億円という、国民からしてみたら五億円というのは大変大きい予算ですが、文科省全体からすると〇・〇一%の予算なのかもしれません、アジアの架け橋事業という、済みません、ちょっと順番が違いますが、アジアの架け橋事業という事業がございます。  これは実は、僕が高校の校長のときにこういう説明を受けました。安倍元総理が、安倍イニシアチブで、アジアの高校生を毎年二百五十人、合計五年で千人、日本の高校に約一年間留学をさせるプロジェクトなんですということで、僕も自分の高校で何人か受け入れましたけれども、大変すばらしいプロジェクトだったというふうに今でも思っております。  忘れないうちにこの委員会でも申し上げておきたいんですが、五年間で実は終わってしまいまして、このプロジェクト、僕としては、今後もやはりしっかり継続していき、また、学校に、特にアジアの多様性のある、例えば宗教だったり、肌の色だったり、言語が違う若者たちが日本の国費の留学生としてやってくるんですが、本当に学校には大きなインパクトをもたらして、先生たちも、また生徒たちも、例えばイスラム教の生徒が来る場合には、祈祷する場所をどうしたらいいんだろうかみたいなことだったり、若しくは、LGBTの子だったら、まさにお手洗いの場所をどうしたらいいんだろうとか、学校側もいろいろ考えたり悩んだり、また子供たちも、同じ十五歳、十六歳でも、やれることが、お酒が飲める国の子がいたり、やはり考え方が違うみたいなことをみんな驚きながら共に一年間生活していく、僕はすばらしいプロジェクトだったと思います。  一人当たりにかかっている予算は、割れば二百万円ということなわけですけれども、非常に妥当な金額だというふうに感じていますし、これをもっともっと進めていくべきじゃないかというふうに思っていますが、大臣、いかがお考えでしょうか。 ○永岡国務大臣 アジア高校生架け橋プロジェクトのことに関しまして、本当によい評判、よいお話を伺いまして、私も大変うれしく思った次第でございます。  令和四年度までの五年間実施をしてまいったわけですけれども、私自身も先日、修了生の方々に来ていただきまして、大臣室でちょっと親しくお話をさせていただきました。どの方々も本当にしっかりとして、一年間という、まあ一年弱ですね、短期間の間に日本語も随分上手になり、そして自分の将来の夢を私の前で語ってくださって、本当に日本の生徒たちにもすばらしい体験というものをもたらしてくれたというふうには感じているところでございます。  外国人の高校生にとりまして、数か月間という、日本人生徒との生活を共にしながら学ぶこと、そして日本への理解を深めるということができることとともに、日本人の生徒にとっても本当に、語学だけではなくて、やはり温かい気持ちとともに、それこそ、コミュニケーションだけではなくて、能力ですとか、異文化というものを肌で感じ、理解をして、そして精神的にやはり大きく成長ができる、非常に有意義な事業である、そう認識をしているところでございます。  今年度からは新たに、「アジア高校生架け橋プロジェクト+」といたしまして、アジア諸国を中心に、諸外国におきまして日本語を学ぶ優秀な外国人高校生を引き続き日本に招聘するとともに、招聘しました留学生と日本人高校生が交流する国際交流キャンプというものを開催をすることとしているところでございます。  今後とも、本取組を通じまして、若者の国際交流を推進し、引き続きまして、日本とアジア、そして世界の懸け橋となる人材育成、それの強化に努めてまいる所存です。 ○荒井委員 ちょうどこのプログラムを受け入れたときに、とある国から来ていた、母国がクーデターが起きまして、まさに、その子が帰るとひょっとしたら空港でそのまま連れていかれちゃうかもしれないみたいな、そんな緊張感もありました。  結果的には、いろいろな手配をして、その方は今、日本の国立大学に進学をしていますが、まさにそういう、ニュースで見ているような、あちらの話だと思っていたことがこうやって身近で、また、その人を通じながら感じる、学ぶということは、これは、単に二百万円かけて一人の子に日本で学んでもらうだけじゃなくて、学校の教育の現場としては大変大きなインパクトがあったというふうに思います。  どうぞ、継続されるということですし、是非大臣には、直接現場に行って、その子の取り巻いている周りの日本人の学生たちにも会っていただき、この事業そのものの成果というものを是非肌で感じていただきたい。文部科学大臣ですからいろいろなところに行けると思いますので、どうぞ学校現場で見ていただきたいというふうに思っております。  続きまして、学校現場に見に行くというお話に関して、簗副大臣にお伺いしたいというふうに思います。  先日も、まさに私学法の改正のときに、冒頭少し、柚木議員とのやり取りの中でお話を聞きながら、僕もこのことについて大臣と少し意見交換をさせていただいたわけですが、僕個人は、もちろん、副大臣がどういうお考えを持っているか、それを閉じられた場で話す、それは結構なことかというふうに思いますが、僕は是非今日、副大臣にお願いしたかったのは、まさに、同様に、学校現場には少なくない数のLGBTで悩んでいる子たちがいらっしゃるわけですが、そういう子たちの声を是非副大臣としてお聞きになったら、しかも学校に行ってお聞きになったらいいんじゃないかというふうに思っております。  僕自身もそうですけれども、実際、学校現場で子供たちの声を聞いて学んで、若しくは自分の考えが変わること、若しくは自分の考え方が発展することというのはたくさんあったわけですが、せっかく文部科学副大臣の仕事をお務めだからこそ、そういう若い当事者の声を聞いたらいかがかというふうに思いますが、副大臣、いかがでしょうか。 ○簗副大臣 文部科学省では、これまでも様々な場面で性的マイノリティー当事者の方のお話や要望を伺っており、当事者の意見を聞きながら施策を進めていくことは重要であると考えております。  今後どのような形で当事者の意見を伺うことが望ましいかにつきましては、適切に判断してまいりたいと考えております。 ○荒井委員 ありがとうございます。  まさに今、学校現場、いろいろと校舎の改修等で、先ほど申し上げたように、例えばトイレの問題、男女のトイレみたいなものを今後ユニバーサルにしていくべきなのか、いろいろな考え方がありまして、非常に、一筋縄ではいかないのがたくさんあります。  申し上げましたように、ただ、学校というのは、民主主義を学んでいく大変重要な場でもあるというふうに思っています。一人一人がそれぞれ大事なんだということを考えていくためにも、やはり、外国の子が学校に来るとか、若しくは、いろいろな考え方の子がいて、その人たちを認めていくということをしっかり行政側も、我々関わる大人がそういうまなざしで見ていくことが大変重要だと思いますので、僕としては是非、副大臣の在任中に、文部科学省のお立場としてそういう子供たちにお会いいただき、よりよい文科行政を努めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、この文部科学委員会でも何回かお話をさせていただきましたが、僕自身は北海道札幌選出の国会議員ではありますが、二〇三〇年の札幌のオリンピック、パラリンピックの招致に関わる一員として、どうしても札幌へのオリンピック、パラリンピックの招致というものを実現したいというふうに思い、活動をしている一人であります。  特に、パラリンピックの選手の皆さんが学校現場でまさに子供たちにいろいろ話をしていくと、やはり、傷ついている子供たちほど、パラリンピアンのディスアビリティーからの、何か、目が見えなくなった、手を失った、足を失ったというところから、絶望のふちから、もう一回頑張ろうと思って頑張っていく話というものに対して、それは、すごい選手、すごい有名な人が話す以上にやはり子供たちの目の輝き方というものがありましたので、やはり、このオリンピック、パラリンピックというのは、特にパラリンピックの力というのは今大変強いというふうに思っております。  札幌は一九七二年にオリンピックを実行しましたけれども、このときにはパラリンピックはありませんでしたし、冬季のオリンピック、パラリンピック、札幌、雪が大変、六メートル以上降る町でパラリンピックを実行するというのは大変難しさもあるわけですが、大きく地域が変わる可能性があるというふうに思っていますので、どうしても招致をしたいというふうに思い、プロモーション委員に入ってやらせていただいているところではあります。  ただ、先生方、文部科学省の皆さんも御承知のように、今、現状は、まず一回立ち止まるというのが今の札幌市の考えでもありますが、その立ち止まる前提としてなりますのが、まさに、今回、東京二〇二〇の、不祥事というふうに言っていいと思いますけれども、様々に起きているこの出来事をしっかり検証して、それがどうして起きたのかというものをしっかり把握する、そして、それを起きないようにするという手だてができたら、札幌市としてはもう一度動きたい、そういうことを、札幌市、また札幌の多くの、反対の声もたくさんありますし、お金のかけ過ぎじゃないか、でも、やりたい、そういうお声もある中で、まず前提となるのが東京二〇二〇のまさに振り返りなんだというふうに感じております。  その振り返りということに関して、いつもこれは総理の答弁であったり、文部科学大臣の答弁であったりというふうに聞いていても思うんですが、この東京二〇二〇のオリンピック、パラリンピック、まあ、もう実行されたわけですけれども、一体この責任者というのは誰だったのかというのがはっきりしないような感じがしているんですが、改めて伺いたいんですが、この東京二〇二〇のオリンピック、パラリンピックの責任者というのはどなたになるのか、御答弁いただけますでしょうか。大臣、お願いします。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会、これは公益財団法人でございますが、そこが責任を持つということでございます。 ○荒井委員 ありがとうございます。  今日お渡ししている資料の一ページ目にも、これは会計検査院が作った資料の中から抜粋したものではありますけれども、まさに一番上にIOC、IPCを含めて、東京オリンピック・パラリンピックの取組体制というものが書いてあるわけで、この図を見ましても、今大臣がお話しいただきましたように、この当事者の責任者というのはどこになるのかと言われれば、やはり、公益財団法人の東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会になるんだろうというふうなことは自明だというふうに思います。  今、ただ、この東京オリパラ組織委員会がなくなって、そして東京都の一部分として引き続き後継組織として存在はしているものの、ただ、この組織の責任者だった人たちという方がいらっしゃるかと思うんですが、この責任者としての人はどなたになるのか、大臣、お答えいただけますでしょうか。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、組織委員会につきましては、現在、解散をしておりまして、清算法人に移行しているところでございます。したがいまして、現状といたしますと、この清算法人がこの状況について現在責任を負っているというふうに考えているところでございます。  現在、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会につきまして、清算法人、現在も二十名程度の事務局職員がおり、また、先日も、知事がその体制につきまして増強するというような方針も東京都としてお示しされているというふうに承知をしているところでございまして、その中で一定の業務の処理がなされるというふうに承知をしているところでございます。 ○荒井委員 先日まで、まさに私学に、九九・九%の私学、大学は大丈夫なんだけれども、一部の学校が不正が多いのでということで、私学法の改正、ガバナンスの問題をしておりましたが、そもそも、この東京オリパラ組織委員会のガバナンスは一体どうだったのかという、それに尽きるんだと思うんですね。  組織のトップ、まさにそれは公益法人の理事長がトップを務めていらっしゃったに違いないわけですけれども、僕は、やはりどうしても、今回のこのガバナンスの問題、マネジメントの問題を振り返ってみても、やはり日本の元総理大臣であり、また文部科学大臣も経験されていた、しかも現職の衆議院議員である森喜朗さんがそもそもこのオリパラ組織のトップを務めていたことに、やはり最初の大きなボタンのかけ違いと、その後の大きな間違いがあったんじゃないかというふうに思っております。  なぜ、この組織において、現職の国会議員がその代表を務める、責任者を務めるということになってしまったのか。その経緯に関しまして説明いただいてもよろしいでしょうか。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  委員の御指摘につきましては、森元組織委員会会長が会長としての、なった経緯ということでございますが、この組織委員会の設立に関しましては、当時、日本体育協会の名誉会長、またオリパラ担当大臣、またJOCの会長、そして日本障がい者スポーツ協会の会長、東京都副知事といった関係組織代表者によります東京オリンピック・パラリンピック調整会議におきまして、設立時の評議員、そして理事、監事を選任をいたしております。その上で、この設立時の理事会におきまして森元組織委員会会長が会長として選定をされたものということで、大会の公式報告書にも示されているところでございます。 ○荒井委員 まさに、理事、選任組織が選んだからということなんだと思いますが、やはり、その選んだ経緯、選ばれ方にやはり問題があったんじゃないかということを結果として考える必要があるんじゃないかというふうに思います。  今回、札幌側から見ても、このオリンピックのいろいろな問題を、ちゃんと国がしっかり、これはどういうところが問題だったのかというのを、指針を示すということでしたので、その内容を待っていたわけですが、そして、それはスポーツ庁等々を中心に、大規模な国際又は国内大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方に対する指針ということで示されたわけですが、この関係者の方々が、非公開の中で、いろいろ弁護士さんや会計士さん等が議論されたというふうなことは伺っております。そして、それに基づいた内容も拝読させていただきましたけれども、そもそもこの会の中で、この組織委員会の責任者を現職の政治家が担ったことが課題だったかどうかという議論はなされたのかどうか。この点、僕はすごく大事な点だと思うんですが、そこはいかがだったのか、教えていただけますでしょうか。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  指針を検討いたしました作業チームにおきましては、この理事会の構成を含めまして、組織委員会の運営体制について様々な議論が行われたものと認識をしているところでございます。  その結果、先月三十日に取りまとめました指針におきまして、「組織委員会等において重要な役割を担う役員は、その選考の公正性を確保することが重要であるため、役員の選考に当たっては、独立した諮問委員会として役員候補者選考委員会を設置することが必要である。役員候補者選考委員会については、組織委員会等が時限的な組織であることを踏まえ、選考に当たり求められる役員としての資質等を明確にし、選考過程における公平性及び公正性を確保することが必要である。」とされたものと承知しております。 ○荒井委員 そこの部分、拝読しましたが、現職の政治家であるということを排除するということに関しては、特にその一文からは読み切ることはできないと思うんですね。  独立した選考組織をつくるんだということですけれども、僕としては、次のオリンピック、若しくは次の大きなこういうスポーツの大会において、またこうして再び、どなたか現職の政治家であったり国政をつかさどった人がやると、同じようなことが結局起きてしまうんじゃないか。ですので、今日、文部科学委員会の中でも、あえて議事録でやはりしっかり残しておきたいのは、これはやはり、現職の政治家が行ったことによって、大きな不祥事になる、つながる原因の風土がつくられてしまったのではないかというふうに個人的には思っておりますので、そのことを是非申し上げておきたいというふうに思っております。  もう一つ、今日お配りした資料の中の三枚目のところですね。今回、会計検査院が相当多くの人工をかけて、この東京オリンピック・パラリンピックで実際、一体幾らのお金が使われたのかということを整理することになったわけですね。参議院からの依頼でというふうには聞いております。  このお配りしている資料の中の、右側の黄色の囲みの部分のところに、ただ、最終的には、国は、実際にどれだけの、決算とその報告をちゃんとしていないということを会計検査院からは指摘されているんですね。  これは、どうしてこういうことが起きてしまっているのかということが大変不可解でして、本来、国がちゃんと予算として計上したものをしっかりと決算としてまとめて、そしてそれをしっかり報告するということが行われる必要があるのに、なぜ、会計検査院という、ある種、国から独立したこういう機関が検査をしないと、そして指摘をされるに至ってしまっているのか。ここの部分、今は、国のこの機関、国のこの部分に関してはスポーツ庁に存在していると思いますので、大臣の所管だと思いますが、いかがお考えか、教えていただけますでしょうか。     〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕 ○永岡国務大臣 東京大会の大会経費につきましては、昨年六月に、大会の実施主体であります組織委員会が、東京都やまた国の負担を含めて取りまとめまして、一兆四千二百三十八億円と公表していると伺っております。  また、昨年十二月に、会計検査院は、組織委員会が公表しました最終報告の金額に加えまして、大会経費に含まれない、競技力の強化、またセキュリティー対策などの、国が実施をした、大会の機運の醸成であるとか、成功等に直接資する事業の支出額等を、大会の総経費、そういうふうに整理をいたしまして、一兆六千九百八十九億円と公表していると承知をしているところでございます。  東京大会の大会経費につきましては、既に昨年六月に、大会の実施主体でございます組織委員会が、東京都や国の負担を含めまして、これを一兆四千二百三十八億円と公表していると承知をしているところです。 ○荒井委員 海外の友人とかと話をしていると、日本もそういう、賄賂とか裏金みたいな、そういうことが起きるような国だったんだねというふうに言われるわけですね。まさに日本のこの築き上げてきた、特にさきの東京オリンピックから築き上げてきた日本の軌跡みたいなものが、何だか、今回のこのオリンピックによって、本当に、国際的にも、そして国内的にも、また札幌のこれからやりたいと思っている人たちにとっても、大変残念な結果になってしまっているというこの現状を、やはりちゃんともう一回反省する必要があるんじゃないかというふうに思うんです。  僕がその海外の友人から言われたときにふと思ったのが、二〇一一年の東日本大震災、福島原発の事故の後に、まさに同じ議論が起きて、当時の立法府で国会事故調というものを立ち上げたというふうに思います。政府の調査ではなくて、立法府としてしっかり調査をする。その立法府として調査をする大きなその精神は、まさに、国民の、国民による調査をして、海外にちゃんと今の現状を発信していき、日本は大丈夫なんだということを知らしめるために、それを国会事故調の黒川清委員長がまさに明言されていたと思うんですね。  今回、このオリンピックも世界中に対して発信している大きなイベントだったわけですが、これがこのように大きな今不祥事につながっているところを、もちろん、今、調査は行われている、司法では行われていますが、なぜ立法府で、そういうものをしっかり行って、当時の野党だった自民党も含めて、あのときは、国会事故調をつくろう、そして与党だった民主党もそれにしっかり向き合ったわけですが、なぜこういう動きが出てこないのか。僕は、大変、何というんでしょう、不満に思うと言うとちょっとあれですけれども、しっかりそういう調査をやはり立法府がするべきじゃないかというふうに思っておりますので、是非、見識のある先生方、お知恵、お力をおかりいただき、何とか、やはり次に向けたオリンピックの体制をつくれることを、御尽力、共にいただければなと思っております。  最後になります。  ちょうど、冒頭に申し上げましたけれども、新しい進学、進級の話になりますが、今回、一人、文部科学省をこの年度末で退任された方がいらっしゃいます。南郷市兵さんというふうにおっしゃいまして、福島のふたば未来学園の副校長を長らく、八年務めてこられました。文部科学省から出向されて、八年間、このふたば未来学園の学校の設立の準備から仕事をされてきました。彼は元々は民間人で、震災から文科省に仕事を替えて、そのとき相当給料も下がったんですが、入ってきた。そして、彼がいたからこそ双葉の教育の復興というのは起きたというふうに、僕もそばで見ていて思いました。ずっと文部科学省が彼の出向を支えてくれていたと思いますので、それは大変感謝しております。  南郷さんは今度、大熊町の新しい幼稚園と小学校の校長先生に、今度は福島県庁に入庁してやる形になるというふうになりますが、こうやって現場ではいろいろな人たちが、もちろん南郷さんだけではありません、いろいろな人たちが復興の現場で教育の復興に向けて頑張っております。  十三年たちましたが、どうぞ、文部科学省としても、より手厚いサポートを福島の双葉郡にお願いしたいと思い、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○中村(裕)委員長代理 次に、森山浩行君。 ○森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。  冒頭で、参議院での議論の御紹介をしたいと思います。  憲法に定められております義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現いたしたいということは、政府としての根本的な考え方でございます。現在は授業料でございますが、そのほかに教科書、それから学用品、学校給食費というような、なおできれば交通費というようなことも考えておりますが、それらを一時に全部やるということは到底現在の財政上ではできませんので、やむを得ず今回は教科書、しかもそれも一部分だけ実施するという試みにして、その結果によってまた次の飛躍を期するというふうに考えておる次第でございます。  最近の議論かなと思ったら、岩間参議院議員の質問に対する辻田初等中等教育局長、昭和二十六年三月十九日、今から七十二年前、戦後すぐ、お金がなかったという答弁でありますけれども、文科省としては、あるいは大臣、この答弁は維持をされているんでしょうか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘の政府委員答弁につきましては承知をしておりますが、学校給食費につきましては、その後、昭和二十九年に制定されました学校給食法において、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの立法趣旨の下に、保護者の負担とすることとされておりまして、現在はこの立法趣旨を踏まえた対応を行っているところでございます。     〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕 ○森山(浩)委員 ということは、つまり、学校給食費は無償にすべきであるが、お金がないのでできていないという答弁は維持されていなくて、現在は無償にするべきではないという状況にあるという認識ですか。 ○永岡国務大臣 これは、学校の設置者と保護者との協力によりまして学校給食が円滑に実施されることが期待をされるという趣旨の学校給食法に基づいているところでございます。 ○森山(浩)委員 協力が期待されるというのは、協力はするんだけれども、お金を折半するとは書いていないですよね。  本来、義務教育はみんな行かなきゃいけない、でもお金は払ってくださいという話でいいのかどうかというと、大臣としてはどうお考えですか。 ○永岡国務大臣 大臣といたしましては、学校給食費の無償化というものは、導入する自治体が増加いたしまして、導入を求めている声があるという一方で、やはり一部の自治体、そして学校などで学校給食自体が実施されていない状況もあることから、それらの点を含めまして、今後課題を整理する必要がある、そういうふうに考えております。 ○森山(浩)委員 べきに対しては答えてくれませんね。  今回、政府もたたき台を作って、無償化に向けてやっていくということ。そして、我々野党も学校給食費無償化の法案を出している。与党としてもそういう方向性であるということでありますので、まずは、この委員会においてこの問題を整理をし、課題を整理をし、そして実現へ向けて踏み出すということが大事かと思いますが、委員長、そんな形で会議を進めていただけませんか。 ○宮内委員長 後刻、理事会で協議をいたしたいと思いますが、特に両筆頭理事には、御指摘の点も含めまして、山積する諸課題に対して、与野党協力して前向きに取り組まれることを望みたいと思います。 ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  という形で、この委員会としては、この給食費の無償化についてはしっかり話し合いましょうということなわけですけれども、その上で、文部科学省、一部の自治体でたくさん無償化が進んできているという中の財源の話、ちょっとさっきありましたね。令和五年度に関しては、コロナ対策費、あるいは物価高騰対策費、こういったもので手当てをしている自治体が多いわけですけれども、来年度つかなかったら、今年せっかく始めたけれども来年はできないというような悲惨な状況になりかねないということを危惧しています。  ですので、恒久的な財源が必要になってくるかと思いますけれども、この課題認識は、大臣、持っておられますか。 ○永岡国務大臣 現下の物価高騰に対します取組といたしましては、地方創生臨時交付金の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が増額されまして、引き続きまして、物価高騰に対します学校給食費の保護者負担軽減支援というものが推奨事業のメニューに位置づけられておりまして、そして、その取組というのも文部科学省としては促しているところでございます。 ○森山(浩)委員 そうですよね。  ただ、臨時であり交付金という形でありますので、途中で、今年はあったけれども来年はないというような子供たちが生まれるというのは非常に問題があると考えます。  給食に関しては私も非常に大きな思いがありまして、地元、大阪、堺市なんです。O157の集団感染におきまして、昼休み、泣いてでも残さずに食べろという指導をするという中において、その中の食べたものによって亡くなる方が出た。本当に痛ましい事件で、その頃の小学生が、今、親になっておられます。給食を絶対食べないという家庭もあります。だから、小学校、そうですけれども、中学校も完全給食自体を実施をしていません。  自治体とかあるいは状況によっていろいろありますけれども、ただ、義務教育という枠の中においては、給食が必要な人、食べたい、食べてもいいよという人についてはきちんとあまねく皆さんにサービスを提供する。そしてまた食育にもつなげる。その上で、無償化をしていくというようなことというのは、ここでしっかり話し合って、戦後すぐのこのレベル、いわゆる、お金がないから、戦後すぐだからできなかったというような思いの部分を、やはり、べきのところからきちんと議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  統一教会の問題です。  解散命令請求、何か最近マスコミの論調も変わってきました。文部科学省、文部科学大臣はこの解散請求を前提に質問権を行使をしている、早晩、解散命令請求があるんだというような状況で年末ぐらいから報道がされてきましたが、最近の、新聞はそこまで書いていませんけれども、雑誌などの論調によりますと、いや、もうこれは政権としてはこのままそっとしておく、もうやらないというような形になるんじゃないか。だって、統一教会の方からもどうやら、やらんといてくれという話があって、こういうのも効いているんじゃないか。統一地方選挙もあって、応援してもらっているんじゃないか。このようなむしろネガティブな情報が次々出てきております。  文部科学大臣としては、解散命令請求、やるんだという意思は変わっていませんね。 ○永岡国務大臣 旧統一教会につきましては、これまで、宗教法人法に基づきまして、五回にわたりまして報告徴収、質問権を行使をしまして、資料の提出を求めてまいりました。具体的な証拠や資料などに伴います客観的な事実の解明を着実に進めているところでございます。  解散命令の要件というのは宗教法人法で厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠と考えております。  そのために、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料を伴う客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとりまして必要な措置を講じてまいりたいと考えております。 ○森山(浩)委員 一回目の報告、質問に関しましては、段ボール何箱とかいうような形で多くの資料を提出をされた。だんだんだんだんその数が減ってきているというような報道もありますけれども、これは、報告、質問権に対して、出さない、資料を出さなかった、あるいは虚偽の資料を出したというときの罰則はどうなっていますか。 ○合田政府参考人 お答え申し上げます。  法令に関する事実関係でございますので私の方からお答えをさせていただきますけれども、報告徴収、質問権に対しまして虚偽の報告をする、あるいは報告をしないという場合には、十万円以下の過料が科されるということになってございます。 ○森山(浩)委員 十万円の過料ですよ。これで、不利な資料を出せと言って、十万円払ったら済むんだったらそうしようかなというふうに思わざるを得ないような過料という制度でありますので、これはやはり、本体から、本人たちから聞くというところだけでは不十分であろうと思われます。  行政の内部、また裁判所、裁判の記録もありますから、そういったものも含めてしっかり証拠集めをしていただいて、速やかに結論を出せるようにしていただきたいと思います。いかがですか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  統一教会に対しましては、これまで、五回にわたりまして報告徴収、質問権を行使してまいりました。全国弁連ですとか被害者の方々から、旧統一教会の業務の実態等を把握するための資料、情報を収集いたしまして、分析を進めているところでございます。  その際、全国に多数おられます被害者につきまして、長期間にわたりまして被害を受けられている場合ですとか、また、御自身の気持ちの整理に丁寧に向き合う必要がある場合など、様々な事情があることから、その心情に配慮をしながら情報をお伺いしているところでございまして、こうした対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいりたいと考えております。 ○森山(浩)委員 解散命令請求までいくんだという強い決意で頑張っていただきたいと思います。  さらに、カルト宗教二世への対応の問題です。  昨年、厚生労働省から、宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A、そして、文部科学省から、十二月二十八日、これの通知を送られております。交友関係どうするか、結婚していいのか悪いのか、しゃべっていいのかどうか、アニメやゲームはどうか、いろいろな、割と細かい、きめ細かい形で、QアンドAという形で、これまた先生向けでしょうかね、には言っています。ただ、子供自身がいつ気づくのか、これは虐待ではないかというふうに気づくというタイミングの問題があります。  この間、多くの皆さんからヒアリングを受けていますが、それまで家族と、そして宗教法人の中での社会で生きてくる、学校に来て、そうじゃない人とつき合い始める、何か、うちの家庭だけちょっとおかしいんじゃないか、あるいは、これってこんなことまで束縛されなきゃいけないのかというようなところで疑問を持つというようなことが最初だと言われますが、そのときに、学校の先生等は宗教の問題だからといって触れないということで、気づき、訴えというのが遅れるというような実態もこれまであったかと思います。  それに対してこのQアンドAというのは役に立つのかと思いますが、子供自身に対して、それは虐待だよということをそれぞれの学年に応じた形で伝えていくというような取組については、大臣、やるべきじゃないですか。 ○永岡国務大臣 児童虐待は、いかなる理由があっても決して許されるものではないと私は考えております。  宗教に関しますことだけを理由として消極的な対応をすることがないようにすること、また、教職員等が児童虐待と思われる事案を発見した場合には児童相談所等へ早期に通報することなどについて、周知を図ってまいりました。  令和四年十二月に、厚生労働省におきまして、宗教の信仰等に関係します児童虐待に該当し得る事例や対応における留意点を記載をしましたQアンドA、今先生がおっしゃってくださいましたが、取りまとめられました。  例えば、児童本人が学校行事等に参加することを希望しているにもかかわらず、児童に対する適切な養育の保護ですとか教育機会の確保等を考慮せずに参加を制限する行為は心理的虐待又はネグレクトに該当すること、そして、宗教上の教義等を理由といたしまして保護者の同意が必要な書類への署名の拒否等により児童の進学や就職を実質的に制限する行為は心理的虐待に該当することなどにつきまして、各教育委員会、学校等に通知をいたしまして、学校現場におきまして適切な対応が取られるよう進めているところでございます。  また、教育相談体制を充実いたしまして、児童虐待の対応につきましては、児童生徒が様々な悩みを相談できるように、二十四時間子供SOSダイヤルというものを開設をいたしまして、スクールカウンセラー、またソーシャルワーカーの配置などの充実にも取り組んでいるところでございます。  関係省庁とも連携しつつ、必要な支援、しっかりと努めてまいります。 ○森山(浩)委員 例えば、CAPプロジェクトなどのように、性犯罪を、子供にとっては気づかないうちに経験をしてしまうというようなこと、子供に分かりやすい形でこれは駄目なのだという教えをするというようなプログラムがあります。カルト宗教に関しても、やはり行き過ぎた部分、社会生活に支障を来す、あるいは財産を全部持っていかれるというようなことも含めて、その場その場では、天国へ行けるよとか、悪魔に誘われているよとか、グルーミングと言われますけれども、あなたのためなんだからという形で説得をされるわけなんですね。  それに対して、じゃ、いかにそこから、虐待から守っていくかということを考えると、子供に分かりやすい言葉でプログラムをつくっていくということが大事かと思いますが、それをお取り組みいただけませんか。 ○永岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、子供に、一人一人に、こういうことをされれば虐待よというのは相当難しいかと思いますけれども、やはり、子供が学校の運動会で、教義によって出られない、出ないと言ったときには、やはり教師の方がしっかりと、それが虐待であるかどうかというのは感知できると思っておりますので、まずはそこのところを充実させてまいりたいと思っております。  それで、先生がおっしゃいますように、子供にどうやって宗教的な虐待であるかということを知ってもらうためというのは、これからしっかりと検討してまいりたいと考えております。 ○森山(浩)委員 是非、いろいろな手段があるかと思いますので、御協力いただければと思います。  さて、一方で、こういうカルト宗教の問題がこれだけ社会で大きく取り上げられてきている中で、一般の真面目な宗教団体の活動に支障あるいは萎縮というようなことが出てきているのは、非常に私、心配をしております。  例えば、社会福祉協議会、どういうようなところで活動をするといったこと、そもそも申請をすることを控える宗教法人であるとか、あるいは、宗教絡みであるから、あなた方、入らないでよというような窓口の対応なども仄聞をするようなこともあります。  国際的なボランティアなどでも、キリスト教の団体なども含めて、また日本でも多くの団体が活動されています。そして、災害のときなどは、一気にどっと動く力というのは非常に強いというものがありまして、天理教のひのきしん隊五十年というような冊子をいただきまして、昭和四十六年、私の生まれと同じ年ですけれども、スタートをして五十年ということでございました。その間、様々な災害において現場に駆けつけてやっている姿というようなものがありますけれども、災害時のボランティアにおいていろいろな宗教法人、宗教団体が活動されるということについて、内閣府の防災としてはどのようにお考えですか。 ○上村政府参考人 災害発生時には、多くのボランティアが被災地に駆けつけ、瓦れきの撤去ですとか家屋の清掃など、様々な支援を行っていただいており、被災者支援において大変重要な役割を担っていただいております。  そのような中、委員御指摘のように、宗教団体につきましても、災害ボランティア活動を行ったり、保有する宗教施設が避難所として活用されるなど、地域の防災力向上に重要な役割を果たしております。  また、内閣府が作成しております自治体向けのガイドブックにおきましても、宗教法人を含めた多様な主体との連携の必要性を示しておりまして、実際の連携事例も見られるところであります。  災害が激甚化、頻発化する中、ボランティアの重要性はますます高まってきており、我々としましても、宗教団体を含めた多様な主体と連携した活動が行われ、効果的な被災者支援につながるよう、様々な取組を推進してまいります。 ○森山(浩)委員 今御紹介した天理教のほかにも、立正佼成会、本願寺、曹洞宗を始めとして、様々な団体が災害時には入っていただいておるわけです。  ありがたいということでいいですか。 ○上村政府参考人 委員おっしゃるとおりであります。 ○森山(浩)委員 だから、こういう答弁のときにありがたいとちゃんと言っていただくということが、社会全体に及ぼす影響というのがあるかと思います。  これは、災害時はもちろんですけれども、平時においてはどうかということで、社会福祉協議会、厚労省さん、いかがですか。 ○本多政府参考人 お答え申し上げます。  宗教団体であることのみをもってボランティア活動への参加を認めないような基準等について、厚生労働省としてお示ししているようなことはございません。 ○森山(浩)委員 活動していただくことはありがたいということでいいですか。 ○本多政府参考人 議員のおっしゃるとおりと思います。 ○森山(浩)委員 これは、ある社会福祉協議会の登録対象の注意事項のところに、政治、宗教又は営利を目的としていないことというようなことが入っていたりします。もちろんなんです。ボランティアを目的としてやらなきゃいけない。我々もいろいろなボランティア活動をやりますが、それを政治活動と絡めてやっていくというようなことになると、あいつ何やっているんだという話になるわけですから、この文というのは当然なんですけれども。  政治、宗教又は営利を目的としない宗教法人、宗教団体のボランティア活動というのはありがたいことだということでございますけれども、こういう前提で、教育における宗教の扱いというところなんですね。いわゆるカルト宗教の問題がこれだけ大きくなってくると、宗教全般に近寄らない方がいいんじゃないのかというような空気自体ができてしまうというのは、私は問題だと思っています。  ですので、どんな形でこれは教えている、教えていくというようなことは、大臣、どのような現状と、そして今後のこと、お答えください。 ○永岡国務大臣 宗教教育、学校教育の中で宗教についてどのように教えているかという御質問でございます。  宗教教育に関しましては、日本国憲法の信教の自由に関する規定も踏まえまして、教育基本法において、宗教に関する寛容の態度や宗教に関する一般的な教養等は、教育上尊重されなければならないと規定をされております。実際に、学習指導要領では、例えば中学校の社会科では、主要宗教の歴史や特色などについて子供たちが知識や理解を深めることができるようにすること、また、高等学校の倫理では、異なる宗教を持つ人々を理解し、共生に向けまして思索できるよう指導することなどとしておりまして、こうした規定に基づき、学校での指導が行われているところでございます。 ○森山(浩)委員 そうですね。知識がまず必要だと。そして、信教の自由という価値観、これについては守らなきゃいけないということをきちんと教えるということが大事ですし、今申し上げたように、これはまだまだ、社会の中でも、大人の方でも誤解をしている部分があるのではないかと思いますが、宗教法人、宗教団体が、政治、宗教又は営利を目的とするというような形での活動でなければ、ボランティア活動はありがたいし、社会活動をどんどんしていただいたらいいのだということでいいですよね。 ○永岡国務大臣 森山委員のおっしゃるとおりだと思っております。 ○森山(浩)委員 活動について、あれはいい、これは駄目なんていうのは、なかなか管轄官庁として言っちゃいかぬのでしょうけれども。とはいえ、そうやって、それぞれが自律して、自分たちのお考えで社会のためになるんだということをやっていただくという部分について、これはありがたいのだという社会全般の認識をいま一度確認をしておきたいと思って質問をさせていただきました。  それに加えて、現在、教育において、賭博というものに対してはどのように教えていますか。 ○永岡国務大臣 賭博についてでございますが、学習指導要領には賭博についての記載はございません。  そもそも、賭博は、原則といたしまして刑法上処罰される行為でございますので、この点に関しましては、例えば、道徳の授業などにおいて、法や決まりを守ることといった内容の指導を行っているところでございます。また、関連しまして、高校の保健体育の授業において、いわゆるギャンブル依存症について学習する事例もございます。  文部科学省といたしましては、高校生向けの啓発資料などを作成いたしまして、こうした学習活動の支援を図っているというところでございます。 ○森山(浩)委員 持統天皇三年、六八九年、すごろく禁止令以来、日本においては賭博は違法とされてきた。あるいは、日蓮上人、立正安国論においても、賭博には近づくなというような記載もある。ずっとずっと賭博というのは違法なものとされてきましたけれども、現在、カジノに関しては、これを解禁をするという法律ができております。だから、一部それが解禁をされているという状況について、法律に書いているから駄目なんだというだけでは不十分かもしれないというようなことで、これは今後議論をしていきたいと思います。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、高橋英明君。 ○高橋(英)委員 日本維新の会の高橋でございます。  早速質問に移らせていただきます。  今日は、教科書検定について質問をさせていただきます。  前回私が質疑をしたときに、東京書籍、約千二百か所の訂正があったということで、この訂正箇所はほとんど索引、単純なものだから検定基準外であるというような答弁だったのかなと私は思ったんですけれども、分かりづらい答弁でしたから。でも、後ほど議事録を見ましたら、どうやらそうでもないような答弁だったんですね。どうやら、やはり索引は検定基準に入っているというような答弁だったようでございます。  これはもう一度お聞きしますけれども、索引は検定基準に入っているのか、そしてまた、もう一度、検定基準をちょっと明確にしていただきたいというふうに思います。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  検定基準には、「図書の内容に、客観的に明白な誤記、誤植又は脱字がないこと。」とあります。ここで言う「図書の内容に、」は、検定基準において、「本文、問題、説明文、注、資料、作品、挿絵、写真、図など教科用図書の内容」とされており、索引は明示はされておりません。  地図における索引とは、地図上の具体の地名等が本文のどのページのどの辺りに存在するのかの対応関係を示したものでございます。図書の内容から索引が明確に除外されているわけではないものの、索引と本文の対応については、検定を経て本文の内容が確定しなければ最終的に確認することができないことから、検定後の校正により適切に整理することが必要であり、検定上の扱いは他の本文の内容等とは異なっているところでございます。 ○高橋(英)委員 前回と同じような答弁で、極めて分かりづらいんですけれども。  でも、これは、ほぼほぼ現場から上がってきて気づいたんだと思うんですけれども、まずまず一年間、これは間違ったまま使用されていたわけですよね。今の答弁からいくと、何となく、もう出版社側に任せっきりだから、うちは関係ないやみたいにやはり聞こえるんですよね。  でも、判定基準の中に入っているわけだから、これはやはりもうちょっとしっかりしなきゃいけないし、千二百か所も間違いがあったら、普通だったらこれは一発不合格になるんじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺と、あと、ちょっともう一度、明確に、判定基準というのがよく分からなかったので、もう一回、具体的にお願いします。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  索引につきましては先ほど御説明したとおりでございますけれども、いずれにいたしましても、索引というのは、本文にどういった記載があり、それが何ページに当たっているのかといったような対応関係を示すものでございますので、検定を行った後で内容が修正されたりいたしますと、当然、ページがずれたり、様々なずれが生じてくるわけでございますので、最終的には、検定が終わった後、その後、校正によってこれを正していくという作業にならざるを得ないといった部分があるということでございます。 ○高橋(英)委員 要は、検定後、検定をしたらもうそのまま、その後はもう知りませんよということなんですね、それは。そういう意味に聞こえますけれども。 ○藤原政府参考人 この度の東京書籍の関係では、御指摘のように多数の修正、訂正が生じたわけでございますけれども、その大部分は、索引と本文における用語と位置との対応について、検定を経て本文の内容が確定した後に発行者の責任において行うべき校正、また、検定申請後に生じた情勢変化を踏まえて情報の更新を図る、検定後に必要な訂正、こういったものなどがあるところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、こうした多数の訂正が生じたことは大変遺憾であるというふうに考えておりまして、文部科学省といたしましては、東京書籍に対して、校正作業に万全を期す体制を確立するよう強く指導したところであり、具体的な改善内容について報告を求めて、引き続き強く指導してまいりたいと考えております。 ○高橋(英)委員 やはり、じゃ、検定が終了したら、後はもうそのまま現場にお任せで、上がってきて、現場がこれはおかしいですよと言うまでは、文科省としてはそれはあずかり知らないということですね。それで、書籍ですか、出版社側がそれを訂正する、それが千二百か所以上もあった。  今の御答弁で、修正の報告、改正案とかを待っているという答弁でしたけれども、それは東京書籍から具体的に出てきたんですか。 ○藤原政府参考人 引き続き、そうした改善策の報告を現在求めているところでございます。 ○高橋(英)委員 何だか何を言っているかよく分からなかったんですけれども。要は、まだきちっと出てきていないという認識でいいんですかね。  そうしたら、ちょっと次に移りますけれども、大日本図書、今回、贈賄事件を起こして処罰になったと思うんですけれども、この処罰の内容をちょっとお聞かせください。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  大日本図書に関する処分ということでございますけれども、発行者及び関係自治体の調査から、採択関係者への不当な利益供与の事実が明らかとなり、贈賄罪が確定したこと等を踏まえ、教科用図書検定規則に基づき、中学校用教科書の三種目について、来年度の検定審査不合格の方針を決定したところでございます。 ○高橋(英)委員 ありがとうございます。  来年駄目ということは四年間作れないから、これは結構、出版社としては痛手だと文科省さんは思っているというふうに思いますけれども。  でも、これは一発不合格の教科書と同じ扱いですよね、早い話が。一発不合格になった教科書もやはり四年間出せないわけだから、一発不合格、訂正箇所が多くて不合格になる教科書もあるんだろうけれども、それは全く悪意がないわけですよ。でも、この贈賄というのはもろに悪意があるわけで、処罰が同じというのはどう考えてもおかしいと思うんですけれども、これは参議院でうちの松沢参議員も言っていましたけれども、どうお考えなのか、ちょっとお聞かせください。 ○永岡国務大臣 発行者の指定取消しというのは、既に使用されております全ての教科書が直ちに発行できなくなる極めて重い処分でございまして、学校等への影響の大きさから、これは検定審査不合格の処分では是正できないほどの不公正事案に対して適用されるものでございます。  今回の不公正事案につきましては、重大性ですとか、また悪質性等の観点から検討を行いまして、不公正な行為の内容と処分の効果の均衡についても考慮いたしまして、発行者の指定取消しではなくて、検定審査不合格の制度を適用するべきと判断したものでございます。 ○高橋(英)委員 そうしたら、どのような場合に指定の取消しになるんですか。贈賄事件を起こしても一発不合格と同じ扱いなわけですよね。じゃ、どのような場合に指定取消しになるのか、教えてください。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  指定の取消しがなされるような場合ということでございますけれども、例えば、役員が贈賄罪で罰金刑に処せられた後も役員の地位にい続ける場合や、会社ぐるみで不公正な行為を行い、発覚後も調査や再発防止に応じない場合などが考えられるところでございます。  なお、先ほど一発不合格のお話もございましたけれども、こうしたいわゆる一発不合格、これは、申請図書に多くの欠損、百ページ当たり百二十か所以上というものでございますけれども、そうした場合に年度内の再申請が認められない不合格といった場合のことでございまして、その年度内の再申請は認められませんけれども、翌年度の再申請は可能、こうなっているところでございます。  一方、今回の処分につきましては、再申請を行うことができず、四年間新しい教科書を発行することができないという非常に重い処分であるというふうに考えているところでございます。 ○高橋(英)委員 ありがとうございます。  再申請ができるかできないかの違いがあるという点は分かりましたけれども。  大日本図書も含めて、九年前に、やはり、接待だ、どうのこうので結構問題になったと思うんですけれども、そうなると、大日本図書は二回目だということですよね。今の答弁でいったら、こういった贈賄が見つかって、その後も役員等々さんが継続していたら云々という答弁がありましたけれども、これは継続しているということですよね、恐らく九年前から。どうなんでしょうか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  今お話ありましたように、かつて、こうした不公正な事案が生じて、そして、採択の公正性を確保していくということで、平成二十八年に業界で自主ルールを策定して、文部科学省からも、採択における公正確保の徹底等について通知を発出する等してきたところでございます。  平成二十八年の発行者行動規範策定後、今回の大日本図書の不公正事案を除いて、自主ルール等に反する事例は確認をされていないところでございますが、いずれにしても、今回このような事案が発生したことは極めて遺憾であるというふうに考えております。  今後、公正の確保に向けた指導を更に徹底をしてまいりたいと考えております。 ○高橋(英)委員 検定なんですけれども、もうこれ以上聞いても一緒だろうから、検定の調査の会議等々というのは、これはオープン化できないんですか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  検定手続の透明化ということに取り組んでいるところでございます。具体的には、申請図書や検定意見書、審議会の議事要旨など、関係資料を検定審査終了後に公開する公開事業を実施しているところでございます。 ○高橋(英)委員 終了後にオープンにされても、終わっているんだから、これはオープンとは言えないと思うんですけれども、何でオープンにできないのか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  審議会等の整理合理化に関する基本的計画に定められている審議会等の運営に関する指針におきましては、審議会等の議事の公開について、「特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するもの」とされているところでございます。  教科用図書検定調査審議会は、行政処分の前提となる審査を行うものであり、外部からの圧力がなく、静ひつな環境の下、委員が自らの識見に基づき、専門的、学術的に審議するとともに、委員が自由闊達に議論することを通して合意形成を図っていくことが重要であることから、議事録ではなく議事要旨を作成し、検定審査終了後に公開しているところでございます。  なお、検定意見書等については、検定審査終了後に検定結果の公開事業等において展示、公開を行うなど、検定手続の透明化を図っているところでございます。 ○高橋(英)委員 要は、自分の恣意的な操作もできるように感じる会議だなと思うんですけれども。  次に行きますけれども、教科書調査官、これは任期と選定方法と基準を教えてください。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  教科書調査官につきましては、担当教科について、大学における教育研究実績や教育委員会における指導実績等を通じ、高度に専門的な学識経験を有していること、また、初等中等教育に関し理解と識見を有しており、学習指導要領や教科用図書検定基準等の関係法令に精通し、これらを適切に解釈、運用できることなどの選考基準に基づき、選考採用を実施をしております。  選考においては、書類審査、面接審査等を経て、初等中等教育局長が採用予定者を決定し、文部科学大臣により任用されているところでございます。  教科書調査官は一般職の国家公務員であり、業務の継続性を確保する必要性を踏まえ、定年制の職員を配置しているところでございます。 ○高橋(英)委員 定年制というのは極めてあり得ないというふうに思うんですよね。やはり、定年制というと、ごめんなさい、一番長い人で何年間ぐらい調査官をやるんですか。今いる人でいいです。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  何年ぐらい在職されているかというのは、これは個々に応じて変わってくると思いますけれども、十年以上といったような場合も当然あろうかと思っております。  先ほど任期制のお話もございましたけれども、教科書調査官は命を受けて検定申請のあった教科用図書を調査する職であり、その業務の継続性を確保する必要性から、期間を限って業務に従事させることが必ずしも公務の能率的な運営につながるものではないと考えております。  教科書調査官の採用においては、現在、公募や教育委員会等との人事交流も実施しており、優れた人材を幅広く確保できるよう取組を進めてまいります。 ○高橋(英)委員 検定とかって、要は特権みたいなものじゃないですか。早い話が、既得権みたいなのが生まれる可能性も十分にあり得ると思うんですね。我々日本維新の会は、そういうのをとにかくなくそうという立場ですから、やはり定年制みたいに長くやるというのはよくないというふうに思うので、ちょっと今後考えていただきたいと思いますけれども。  あと、教科書選定もそうですけれども、調査官も、先ほどの大日本図書じゃないですけれども、こういう贈賄とか、これは大丈夫なんですかね。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  そのような事態が生じることのないように、しっかりと綱紀の粛正に努めてまいりたいと考えております。 ○高橋(英)委員 そう答えるしかないんでしょうけれども、だからこそ、余り長くやらせない方がこういうものはいいと思いますので、これは本当にちょっと検討をしていただきたいというふうに思います。  あと、先ほど、学術的、専門的という言葉が出てきたのでちょっとお聞きしたいんですけれども、これは令和元年度中学校歴史教科書検定からなんですけれども、ちょっと読みますね。学び舎教科書なんですけれども、南京大虐殺について、「銃剣を持った日本兵が家に侵入してきました。逃げようとした父は撃たれ、母と乳飲み子だった妹も殺されました。祖父と祖母はピストルで、十五歳と十三歳だった姉は暴行されて殺されました。私と四歳の妹は、こわくて泣き叫びました。銃剣で三カ所刺されて、私は気を失いました」。  これは学術的に正しいんですか。あと、検定意見書はこれはついたんですか。 ○永岡国務大臣 教科書検定は、特定の歴史認識や歴史事実を確定する立場に立って行うものではなくて、これは、検定基準等に基づきまして、検定時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らしまして、記述の欠陥を指摘することを基本として実施をしているところでございます。  御指摘の図書の記述につきましても、歴史学界におけます通説や、それから出典等の裏づけなどを踏まえながら、検定審議会におきまして、専門的、学術的な調査審議が行われた結果、これは検定意見は付されなかったものと考えております。 ○高橋(英)委員 客観的にという話ですけれども、裏づけがあってということは、じゃ、これは、裏づけがあるんですか、事実ということですか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  南京事件に関しましては、平成十八年六月に閣議決定をされた質問主意書の答弁書において、「千九百三十七年の旧日本軍による南京入城後、非戦闘員の殺害又は略奪行為等があったことは否定できないと考えている。」とされているところでございます。 ○高橋(英)委員 否定できないというだけで、要はこれは、こんな具体的な記述は分からないということですよね。だから、一番おっかないのはこういうことが、調査官が替わらないわけですよ、ずっと、ほぼほぼ。だから、こういう不確実なものが教科書にずっと載ってくるというのは、これは極めておっかないなというふうに思うんですけれども、大臣、どうお考えですか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  教科書検定は、国が特定の歴史認識や歴史的事実を確定するという立場で行うものではなく、検定時点における客観的な学問的成果等に照らして、記述の欠陥を指摘することを基本として実施をしているところでございます。  このため、例えば、学説状況が踏まえられていないとか、学問的に妥当な典拠に基づいていない等が確認された場合には検定意見が付されますが、そうしたことがない場合には検定意見が付されない、こういったことになっているところでございます。 ○高橋(英)委員 今、また学術的というふうにありましたけれども、私はこれは絶対に検定意見がついてしかるべきだというふうに思いますので、これは審議会なんかも、調査官が後にあるんでしょうけれども、そういったところでも、やはりオープン化した方がいいですよ。  本当に、密室でやっているからよう分からぬので、ちゃんとオープン化すればみんな納得しますから、是非これは、もう絶対ですよね、絶対にやっていただきたいと思いますし、あと教科書選定、地方の自治体に任せているんでしょうけれども、これもやはりオープン化した方がいいと思いますが、いかがですか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  国民の教科書に対する関心に応えまして、教科書への信頼を確保するとともに、教科書検定への一層の理解を得るためにも、これまで検定手続の透明化を図ってきております。  具体的には、申請図書ですとか検定意見書、審議会の議事要旨など、関係資料を検定審査終了後に公開をする公開事業を実施しているところでございますので、引き続きまして、教科書検定への一層の理解を得るために、教科書検定の透明性を高めるための取組、これをしっかりと継続してまいります。 ○高橋(英)委員 今大臣から、信頼を得るためという話がありましたけれども、信頼を得るためにオープン化してください。誰が考えてもそっちの方がいいと思いますので。  やはりオープン化すれば、誰だかが言っていたけれども、個々の意見が萎縮してしまうなんという、委員会メンバーの、萎縮してしまうからオープンにしないなんて誰か言っていたけれども、そんなばかな話はなくて、やはりそんな信念のない人たちに調査官なんかやってもらいたくないし、選別委員会にも出ていただきたくないので、教科書というのは大事ですから、是非そういった、しっかり信念を持った、誰に見られていても意見を曲げるようなことのない人を是非選んでいただきたいというように思います。  そろそろ時間ですけれども、大臣、国家百年の大計は教育にありとよく言いますけれども、教育の観点から、大臣の考える国家百年の大計、ちょっとお聞かせください。 ○永岡国務大臣 高橋委員おっしゃいますように、国家百年の計というのは、私も、国づくりというのは人づくり、当然のことながら、人づくりというのは教育である、そう考えております。そういう点におきましても、先生おっしゃいますように、教育は国家や社会の礎でございます。そして、発展の原動力でありまして、我が国の、国の将来を見据えた国家百年の計であると考えております。  教科書というのは、教育基本法が目的として掲げます国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民の育成に向けて、学校や家庭等において児童生徒の学習活動において使用される主たる教材として重要なものであると考えております。  子供たち一人一人が、本当に、予測困難な時代におきましても、個性を磨いて、そして創造性を伸ばして、国際社会で活躍できる、そういう心豊かな国民に成長しますように、教育政策、しっかりと進めていきたい、そう考えております。 ○高橋(英)委員 それだけ教科書は大事だということですので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、早坂敦君。 ○早坂委員 日本維新の会の早坂敦でございます。  先週から統一地方選挙が始まって、この色が、日焼けしているんですけれども、運動はちょっと選挙運動しか最近していませんが、その中で、アスリートのセカンドキャリアについて今日はちょっと質問したいなと思いまして。  先日のWBC、ワールド・ベースボール・クラシックの侍ジャパンの優勝は、本当に、野球界のみならず、日本中に感動を与えてくれました。日本を超えて世界中が、日本の野球を、そして日本の選手のすばらしさを称賛してくれたことを本当に誇りに思いますが、昨年のワールドカップも大変活躍してすばらしかったし、また、スポーツの力は本当に無限大だなと改めて感じた所存でございます。  日本にとどまらず世界で活躍する選手がいる一方で、なかなか結果が伴わず、無念の戦力外通告や志半ばで引退を選択してしまう選手がいるのも事実です。むしろ、トップ選手は一握りしかいません。大変多く活躍する機会もなく、一度も一軍に上がれないとか、また数試合しか試合に出れないとか、そして引退する方が多いはずですので。その中では、けがもしちゃうんですよね、それで引退しなくちゃいけないという方もいます。  スポーツ選手の寿命は、競技によりますが、数年で本当に引退する方が多い中、個人差がありますが、サッカー選手は約二十六歳、野球選手は約二十九歳と言われています。競技をしている時間よりも、後の人生の方が圧倒的に長いのが現実です。  引退した選手はどうしているのか。成功を収めたい選手にとって、目の前の試合や練習が最優先であり、その次の視点は乏しい傾向にあります。今までスポーツしかしてこなかった選手、社会に適応できるか、社会人として本当に通用できるのかと、選手自身も不安に思っている方が多いと思います。  アスリートは、現役生活に集中できるように、キャリアデザインやセカンドキャリア準備の啓発を行うことが重要であると同時に、社会全体として、アスリートのセカンドキャリアをもっと考えるべきじゃないでしょうか。また、ただ不足したスキルを補うだけの支援ではスポーツキャリアの汎用性を高めることにはならず、スポーツキャリアの価値を高める支援でなければ、スポーツキャリアの社会評価が高まることはないと思います。スポーツ界だけでしか通用しない、汎用性を持たない特殊なキャリアとみなされ、結果的に、スポーツキャリアに対する社会的評価を下げる結果になると思います。  先日の大臣所信でもアスリートのセカンドキャリア形成支援に触れられておりますが、具体的にどういったことなのか、また、国としてアスリートのセカンドキャリアをどう考えているのか、また、何を目指しているのか、大臣、併せて伺います。 ○永岡国務大臣 早坂委員にお答え申し上げます。  アスリートが、競技生活のみならず、引退後も、競技を通じて培った能力、また経験を生かして社会で活躍することは、アスリート個人の人生の充実だけではなくて、やはり、スポーツの魅力ですとか価値を高めることにつながっていくと思います。  こうした考えの下で、スポーツ庁では、企業やスポーツ団体等が参画いたしますスポーツキャリアサポートコンソーシアムを運営しておりまして、アスリートのキャリアに関する情報発信ですとか、キャリア形成に関する啓発、教育等の取組を進めているところです。また、希望します学校へアスリートを派遣をし体育指導等を行います取組を今年度から新たに始めることとしているところでございます。  今後とも、アスリートが引退後もその能力を十分に生かせますように、関係団体と連携をして、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。 ○早坂委員 ありがとうございます。  先日の質疑でも、私、東北高校出身でありまして、ダルビッシュ有選手や、また羽生結弦選手がいますが、私は全然スポーツはやってこなくて、バンドばかりやってきましたが、最近、一つだけ趣味ができまして、ブラジリアン柔術をちょっと習っているんですけれども、稽古を週に一回ぐらいちょっとやっているんですね、夜遅くに戻ったりしながら。  そこで、民間企業なんですけれども、僕が通っている道場で、もう一つ、警備会社をやっているんですよ。それはもう本当に芸能人の警備会社とかで、そこの会社は特に、ずっと格闘技をやってきたわけじゃなくてスポーツをやってきた選手に格闘技を教えて人を守る、そういうことを、民間企業は、ちょっとずつ、なかなかお金がなくて、人件費がかかるということなんですけれども、そういうことを進めております。  次に、今大臣が言ってくれましたスポーツキャリアサポートコンソーシアムについてちょっとお聞きしたいんですけれども、競技団体と民間企業などが参画するスポーツキャリアサポートコンソーシアムについて伺いますね。  二〇一〇年に始まったJOCの就職支援制度、アスナビはトップアスリートに限られているのが実情ですが、このスポーツキャリアサポートコンソーシアムは、ジュニアからトップ選手まで、あらゆるレベルの選手が利用できる制度になっているんでしょうか。また、どのぐらいの数の競技団体、民間企業が参画しているんでしょうか。これまでの取組と成果を、そして今後のことを伺います。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  スポーツキャリアサポートコンソーシアムは、スポーツ界、教育界、経済界などの関連団体が連携をいたしまして、幅広く、アスリートが競技生活も含めた自らのキャリアを充実させるためのシステムを構築し、支援することを目指すものでございます。  平成二十九年に十三団体で創設されたコンソーシアムは、現在、スポーツ団体二十二、民間企業四十六、その他、大学など十五、合計で八十三団体が参画するまでになっており、また、アスリートに対するキャリアカウンセリング等を行うアスリートキャリアコーディネーターをこれまで約六百六十名育成をしているところでございます。  今後も引き続き、コンソーシアムを通じまして、アスリートのキャリア支援に取り組んでまいりたいと考えております。 ○早坂委員 六百六十名、とても多いのか、私もちょっと勉強不足で申し訳ないんですけれども。  そこで、やはりジュニアの、これからの子供たちと、あと部活動の地域移行における教育の取組をちょっと聞きたいと思うんですけれども、セカンドキャリアの準備はいつ頃から始めるのが妥当なのかという問題が出てきますね。  ここで、イングランドの例を御紹介したいと思いますが、イングランドのプロサッカー選手、PFAでは、十六歳からセカンドキャリア教育がスタートします。このPFAは一九〇七年に設立して、そして、世界のプロサッカー選手協会の模範となる組織にもなっているんですね。あと、会員には、プレミアリーグなどに所属するプロ契約選手、セミプロ契約選手、練習生で構成されており、PFAの常任理事は全て選手経験者だということなんですよ。  それで、イングランドでのプロ選手契約は十八からなんですが、十六から十八歳未満は練習生しか実は契約できないんですよね。プロサッカー選手の多くが数年の契約で引退を余儀なくされる中、契約と同時に、あるいはもっと以前から選手引退後のセカンドキャリアの準備が必要なんじゃないかなという考え方から、十六歳からセカンドキャリアの教育が始まり、PFAのセカンドキャリア教育は政府指導に基づき義務化されているんですね。イングランドの例は一つの参考事例にしかなりませんが、国や文化、教育、競技の違いにより一概に当てはまるものではないんですが、選手のセカンドキャリアに対する考え方は大変参考になると思うんです。  日本ではどうか。ジュニアに対するセカンドキャリアの教育がどのようなカリキュラムで行われているのか。また、政府は、部活動の地域移行、改革をするということで、部活動のセカンドキャリア教育の取組、アスリートに参加してもらうなど、工夫できる余地はあるかと思いますが、現状の取組について伺います。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  スポーツキャリアサポートコンソーシアムにおきましては、中高生を含むアスリートがいつでも気軽に利用できる相談窓口を試行的に開設しているほか、登録されている相談員を学校やスポーツ教室に派遣し、ジュニア向けのキャリア研修を実施しているところでございます。また、スポーツ庁では、希望する学校へアスリートを派遣し体育指導等を行う取組を今年度から開始することとしておりまして、児童生徒への高い教育効果、また、アスリートのセカンドキャリアとしての学校教育、ジュニア指導への魅力向上への気づき、また学校における体育指導の質の向上などの効果が期待できると考えているところでございます。  また、部活動につきましてでございますが、アスリートが競技を通じ培った能力や経験を生かして指導することは、子供たちのスポーツ環境の充実を図る上でも大変重要と考えておりまして、部活動における専門的な指導や大会の引率を行う部活動指導員につきましても、令和五年度予算におきまして、経費を増額しているところでございます。  スポーツ庁といたしましては、子供たちにとって適切なスポーツ環境の整備に努めてまいりたいと考えております。 ○早坂委員 昨年、部活動改革について僕も質問させていただいたんですけれども、今は学校の先生たちが教える時間がとてもないということと、やはり、あと、うちの子供の話をすると、幼稚園から小学校六年生まで空手をやっていましたが、中学校になると空手部がないので、部活をやります。三年間やりました。その部活で活躍したのかというと、それなりにはしたみたいですけれども、じゃ、高校まで頑張れるかというとまた違うんですけれども、やはり小学校六年生になっちゃうとやめちゃうような競技、ただ、今はもう本当にダンスだったり、ほかにもいろいろな競技がありますので、やはり、部活動が、学校外だけでも、そして単位を取れるような、内申書に響かないような取組というのが本当に必要なんじゃないかなという思いでございます。  次に、セカンドキャリアの、指導者への教育の取組についてちょっとお伺いしたいんですけれども、セカンドキャリアの教育はやはり選手本人の気持ちや考え方が変わるのが重要だと思うんですが、本人がやる気がないのに押しつけても正直意味がない。いかに本人の考え方を変えるか。そして、本人がやる気を出してセカンドキャリア教育に取り組み始めても、本当に、指導者や競技団体、所属チームの理解がないと十分な効果、成果が出ないと思います。  指導者や競技団体、所属チームには、アスリートのセカンドキャリア問題やそれに取り組む重要性を周知し、取組を促すことが必要だと考えますが、十分な理解を得られているんでしょうか。また、指導者への教育、取組について伺います。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  アスリートが現役活動中に自らのキャリアについて考え行動する上で、指導者が果たす役割は極めて重要でございます。  そのため、スポーツキャリアサポートコンソーシアムにおきましては、令和四年度に、キャリア支援の重要性と指導者に求められる役割に関する啓発動画を作成をいたしまして、日本スポーツ協会の公認指導者等に幅広く周知を行っているところでございます。  また、本年三月にコンソーシアムが開催したキャリアカンファレンスについては、同じく日本スポーツ協会と連携し、会議を公認スポーツ指導者の資格更新研修の一つとして位置づけまして、指導者の参加を促したところでございます。  さらに、大学スポーツ協会、UNIVASにおいては、大学運動部の指導者に対しまして、運動部学生のキャリア形成に資する研修会を開催しているところでございます。  今後も引き続き、スポーツキャリアサポートコンソーシアムの活動を通じまして、関係団体と連携しながら、指導者に対する啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。 ○早坂委員 ありがとうございます。  今度は、次に、大学生のスポーツについて、学業とクラブ活動の両立についてちょっと聞きたかったんですけれども、ちょっと飛ばさせていただいて、次は、地方自治体との取組を聞きたいんです。  地方自治体との連携、取組について伺いたいと思うんですが、国としてのセカンドキャリア教育の取組が地方自治体のレベルで同じように行われないと、効果は限られたものになってしまうのではないかと感じます。  また、全都道府県のうち、十九道県がスポーツ振興、推進に関する条例を制定しています。その中でも、北海道のみがセカンドキャリア形成の促進を掲げています。また、各都道府県で策定されているスポーツ推進計画のうち、新潟県、静岡県、島根県、山口県、福岡県など、セカンドキャリアへの支援が言及されています。市町村では、石川県金沢市がセカンドキャリア支援の取組を開始しまして、令和四年度にアスリートセカンドキャリア支援費として百二十万円の予算を計上しております。  地方自治体でやっとセカンドキャリアの必要性、重要性が認識されてきたのかなと思いますが、まだまだ取組としては弱いと思うんです。今後、地方自治体に対してどのように支援をしていくのか、また、どのように連携していくのかを伺います。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  自治体がアスリートの活動拠点を構築したり、第一線を引退したアスリートが指導者として戻ってくるということを推進する取組等の一環といたしまして、アスリートや指導者が地方自治体内の企業に就職するためのマッチング、さらには、就業後の雇用支援金などの制度の運用など、多くの自治体におきましてアスリートのセカンドキャリアについて取り組まれているものと承知をしているところでございます。  スポーツ庁といたしましては、このようなセカンドキャリアに関する自治体の取組事例を引き続き収集をいたしまして、必要な連携を図ってまいりたいと考えております。 ○早坂委員 是非よろしくお願いを申し上げます。  ちょっと時間もないので次の質問に入りますけれども、スタジアムとアリーナ改革についてちょっとお聞きしたいんです。  私、宮城出身なんですけれども、野球もサッカーも、あとバスケットも、バレーボールもちょっとあるんですけれども、いろいろと団体がある中で、私、先日、初めて東京ドームに行ったんですね。びっくりしました。羽生結弦選手をちょっと見せていただいて、行ったんですけれども、田舎者なので、あんなところに遊園地があるんだなとか、本当に、あと、食べるところだったりホテルがいっぱいあるなということに感動しながら、ちょっと私は質問させていただきたいんです。  スタジアム、アリーナ改革についてですが、つい先日、北海道のエスコンフィールドが開業されました。球場内にフィールドを望む温泉やホテル、サウナ、レストランが併設されている。球場周辺には宿泊施設、マンションなどを配置して、従来の野球場の枠ではないという感じなんですよね。  このような多機能型や、あと民間活力の導入、町中の立地、収益性の改善を前提に、町づくりの中核となる施設として、地域に持続的な成長と波及効果をもたらすと思います。具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。あと、採算事業として成立できるのでしょうか。新たな箱物行政の象徴にならないのか、伺います。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  スタジアム、アリーナ改革は、いわゆるするスポーツのための施設という観点だけではなくて、見るスポーツのための施設という観点から、定期的に数千人から数万人の人々を集める集客施設の特徴を生かしていく改革でございます。  具体的には、官民がパートナーシップを組みまして、プロジェクトの計画段階から連携して検討を進めることで、運営にコストがかかるコストセンターから、利益を生み出すプロフィットセンターに変革するとともに、飲食、宿泊、観光等、周辺産業への経済波及効果や雇用創出効果を生み出し、地域経済の活性化につなげることを目指すものでございます。 ○早坂委員 そうですね。宮城に楽天球場があって、そこは本当にもう、民間企業なので盛り上がっているんですよね。人があんなにあふれて、本当に入場者が多いんです。宮城にセキスイアリーナがあるんですよ。そこはコンサート会場で、もう三年ぐらいずっと埋まっているみたいなんですけれども。  実は、仙台から離れて、利府町という、私の選挙区ではあるんですけれども、バスで、ジャニーズを見るときに二十台ぐらいで行くんですね。しかし、泊まるところがない。本当に、みんな仙台市に来てくれるんですけれども、仙台で、実は、嵐のコンサートかな、そのとき、山形まで泊まっていた。本当に、すごいバスが、東口なんですけれども、仙台を出ていって。  だから、やはりそういう施設が本当にもっと欲しいんですよ、宮城なんか。実は、宮城は観光というよりもイベントの町なので、仙台市は特に。なので、是非とも、やはりそういう施設をしっかり造っていただきたいという思いなんです。  実は、私、見てびっくりしたんですけれども、課題としてちょっと聞いてほしいんですけれども、選定拠点の一覧表を見ますと、関東以北では、青森のフラット八戸、あと、先ほど言いました北海道のエスコンフィールドのみです。東北地方は、八戸以外、ゼロなんですよ。あと、北信越地方もゼロなんです。どんどん地域の格差が広がっていくのではないかと危惧をしています。  そこで、恵まれた立地でないと駄目なのか、そうでもない地域、経済が循環している地域と経済が停滞している地域の格差は開く一方ではないのか、ますます過疎化が進んでしまうという懸念が生じます。必然性があるものではないと思いますが、要因の一つになるのではないでしょうかね。そのほかの何が課題か、あるかを教えてもらえれば、伺います。 ○角田政府参考人 お答えいたします。  スタジアム、アリーナ改革につきましては、これまでの取組ということでございますが、国内外の事例調査、あるいは運営管理や民間資金活用に関するガイドブックの策定、相談窓口の開設など、取組を進めておりまして、また、あわせまして、今御指摘のモデル拠点、これは二〇二五年までに二十拠点を選定することを目標として、現在、十一拠点を選定しているところでございます。今後、この基準に合致する施設の申請があれば、二十拠点を更に超えて選定を行うということもあり得るものと考えているところでございます。  コンセッション方式を始めとした、またPFIの活用につきましても、政府として促すべく、省庁連携で自治体への働きかけを進めているところでございます。  課題というところでございますけれども、やはりスタジアム、アリーナの建設に当たりましては、立地やにぎわいの創出が重要でございまして、そういった地域のニーズをしっかりと踏まえて検討していくということが重要と考えております。  今後も引き続き、プロスポーツ団体や自治体、経済産業省を始めとした関係府省庁とも連携をしながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ○早坂委員 是非お願いを申し上げます。  先ほど言いましたけれども、東北六県でスケートのアリーナがないのは、実は宮城県と仙台市だけなんですね。しかし、羽生結弦選手と荒川静香選手という、二人とも金メダルを取った選手がいるのにもかかわらず、ないので、しっかりと支援をしてほしいと私も市長にお願いしたいなと思います。  最後の質問をさせていただきます。消費者安全調査委員会の報告書についてですね。  先月ですが、消費者庁の消費者安全調査委員会、いわゆる消費者事故調から文部科学省に対し、学校の施設や設備などの原因で子供が死亡したり大けがをしたりする事故が起きていると報告書が公表されました。また、あわせて、文部科学大臣にも報告書を踏まえた意見書が示されました。主な内容は、一つ目に、安全点検に関する手法の改善と安全点検に関する担い手の支援を含めた安全点検の改善、二つ目に緊急的対策の実施ですが、文科省としてはこの報告書をどう受け止めているんでしょうか。また、この指摘に対してどのような対策を講じるのでしょうか。大臣、伺います。 ○永岡国務大臣 去る三月三日でございます。消費者安全調査委員会におきまして、学校の施設又は設備による事故等に関する調査報告書が取りまとまり、文部科学大臣に意見具申されました。  子供たちの命と体の安全確保というのは最優先で取り組むべきということでございますので、文部科学省といたしましては、報告書の公表を受けまして、同日のうちに各都道府県教育委員会等に対しましてこれを周知をするとともに、例えば春休み、春季休業に際しまして、報告書に記載をされた危険事例を参考に、教室のレイアウト変更等の適切な対策を講じるように要請したところでございます。  報告書の意見への対応につきまして、文部科学省といたしましては、有識者から専門的な知見をいただきつつ、教職員の負担を配慮しながら、実効性のある取組を速やかに検討してまいります。 ○早坂委員 この問題については次回でも質問させていただきたいんですけれども、東日本大震災から十二年たって、毎年のように、今年はないですけれども、三・一六がありました。夜だったので、けが人も死亡者もいなかったんですけれども、これは本当に学校にも関わることですよ。校庭で遊んでいる子供たちが、要は、ジャングルジムだったりが倒れたり、ゴールポストでも亡くなっている事例がありますから。  そしてまた、学校の先生ですよ。そんなに点検できる人がいないので、是非予算を取って、やはり外部の方に調査してもらうとか。今、学校にも用務員さんという方がなかなかいないようなんですよね。  だからこそ、先生たちの負担も軽減させるためにも、専門家をしっかりと選定して、調査していただきたいという思いを伝えて、質問を終わりにします。  ありがとうございました。 ○宮内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議 ○宮内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西岡秀子さん。 ○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。  今日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。  質問に入る前に、御紹介と、大臣に要望をさせていただきたいと思います。  この度、脱炭素チャレンジカップ、学生部門の文部科学大臣賞を、地元、長崎県立農業高校バイオ園芸科が受賞いたしました。対馬市と連携をして、生ごみを資源化する活動に取り組みまして、対馬市の目標とするCO2排出量削減に結びつくことができたと聞いております。  全国各地で様々、高校の生徒の皆さんが頑張っておられると思いますけれども、農林水産学校を始めとするいわゆる産業高校の皆さんの存在は、学びを通じて、地域の多くの皆様と連携、協働して、地域の課題解決のために大変重要な役割を今果たしていただいておりますし、今後の産業の担い手としてだけではなく、地域の次世代を担うリーダーとしての大きな期待が寄せられております。  今後とも、学ぶ環境の整備の充実に是非大臣のお力をいただきたい、また、先生方の御支援についても是非いただきたいということをお願い申し上げまして、今日の質問に入らせていただきます。  まず初めに、文化庁の京都移転について質問させていただきます。  いよいよ、三月二十七日、文化庁が京都に移転をして業務を開始されました。明治政府が首都を東京に移転して以来、初めての中央官庁の移転であるとともに、中央官庁として全面的な地方への移転というものは初めてであると聞いております。  新しい時代の日本の文化行政発展のための新しいスタートであると同時に、地方創生という観点からも大変意義のある移転です。歴代文部科学大臣を始めとして、御尽力いただいた御関係の皆様、全ての方に敬意を表し、まず感謝を申し上げたいと思います。  改めて、その意義と、今後の決意も含めた永岡大臣のお取組についての御見解をお伺いをいたしたいと思います。 ○永岡国務大臣 三月の二十七日、文化庁が京都に移転をいたしました。文化庁が京都に移転する意義につきましては、単に一極集中の是正にとどまりません。文化芸術のグローバルな展開、また文化芸術のDX化、そして、観光や地方創生に向けた文化財の保存、活用などを始めとする、新たな文化行政の展開を進める上でも大きな契機になると考えております。  先月末には、京都におきまして新しい文化庁が業務を開始したところでございまして、本年度からは、地域文化の振興拠点強化を図るための予算計上、そして、しっかりと新たな地域文化の創造に資する事業などを行うなどして、文化芸術の更なる振興に取り組むこととしております。  文化庁の京都移転が我が国の新たな文化行政を一層推進できる、そういう契機となりますように、今後ともその充実に向けてしっかりと取り組んでまいる所存です。 ○西岡委員 今、大臣から御答弁をいただきました。世界に向けて、大変すばらしい日本の伝統文化をグローバルに展開をする、大変このことも重要だと考えております。  一方で、地方、地域の持つ文化、伝統、芸術、大変裾野が広くて、多くの魅力にあふれております。今、地域は、人口減少、少子高齢化、そして担い手不足の中で、コロナ禍によって大変深刻な影響を地域の伝統文化も受けており、存続の危機に瀕しているという現実もございます。  今回の移転が京都のみならず全国のすばらしい伝統、文化、芸術の持続的な発展に寄与をすること、そして、そのことを通じて、今、地域経済を含めて大変厳しい状況にあります地方創生の推進役を是非今回の移転が果たしていただくことを御期待申し上げたいと思います。  それでは、続きまして、海洋人材育成のための環境整備について質問させていただきます。  海洋立国である我が国にとりまして、海洋人材の高齢化や人材不足が深刻化する中で、水産業、海運、造船、海洋開発などの各分野における人材育成強化は極めて重要な課題です。  次世代を担う海洋人材の育成に向けましては、学校現場においては、大学や商船系高等専門学校、高等学校がそれぞれ練習船、実習船を保有しておりますけれども、海洋教育を行っている学校現場における練習船、実習船の保有状況をお伺いをいたします。また、建造から時間が経過しておりまして大変老朽化している現実もあるというふうに思いますけれども、この現状についてもお伺いをさせていただきます。 ○池田政府参考人 お答えいたします。  学校現場におけます練習船の保有状況につきましては、国立大学で十二隻、国立高等専門学校で五隻、高校で二十八隻となっております。このうち、令和五年四月一日現在で使用年数が二十年以上のものは、国立大学で二隻、国立高等専門学校で四隻、高校で四隻となっております。  こうした状況を踏まえ、文部科学省では、現在、各教育機関が所有する練習船の使用年数に応じた計画的かつ集中的な更新に取り組んでいるところであり、引き続き、海洋人材の育成に必要な教育環境の整備に努めてまいりたいと考えております。 ○西岡委員 今御説明がございましたように、集中的にその更新に取り組まれているということでございますけれども、海洋の現場を取り巻く環境も大きく変化をしておりまして、水産、海洋科学の進展、また、デジタル化、グリーン化の進展、また、女子学生が大変増えてきているという中で、実習環境の整備など、高度な設備を整えた練習船の必要性が増していると考えておりますけれども、現状の配備状況についてお伺いをさせていただきます。 ○池田政府参考人 お答えいたします。  国立大学等が有する練習船につきましては、老朽化への対応とともに、委員御指摘のとおり、デジタル化やグリーン化への対応、女子学生などにも配慮した教育環境の整備といった課題があると認識しております。  多くの練習船では、使用年数を問わず、これらの課題に対応するための様々な取組や工夫がなされていると承知しており、練習船の更新に当たっては、船舶運航のデジタル化に対応した先端機器の整備や、グリーン化に対応した低燃費での運航を可能とするような設備の整備、女性居住区の確保などに重点的に取り組んでいるところでございます。 ○西岡委員 今お取り組みをいただいているというところでございますけれども、新造船というのは、大変様々、財政も含めて難しいところもあると思いますので、改修を含めて、最新鋭の教育環境を整えるための御尽力を引き続きお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、これは質問通告の中に入れておりませんけれども、二〇二〇年十二月に、練習船の新造船のときには災害時の地域支援の設備を整備していくという方向性も示されたと記憶をいたしておりますけれども、このことについて、通告をいたしておりませんので、もし御説明いただけることがありましたら、お尋ねをさせていただいてよろしいでしょうか。 ○池田政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、最近、練習船の新増設に関しましては、生徒のための練習にとどまらず、災害支援機能を充実させるということも目的に加え、大規模災害発生時等への備えとして国土強靱化の強化に貢献するという位置づけをいたしまして、そういう機能も含めた整備を図っているところでございます。 ○西岡委員 御答弁ありがとうございました。  永岡大臣におかれましては、先日、大島商船高等専門学校の練習船、大島丸の竣工記念式典に出席をされ、視察をされたと聞いております。  視察をされた永岡大臣の御所感、そしてまた、今後、海洋立国日本として、最新鋭の設備を備えた練習船の整備を含めた海洋人材育成の環境整備の重要性とともに、現状の国の支援状況と、今後、財政支援も含めた支援の強化が必要だと考えております。そのためにも、実態把握というものも大変重要だと思います。永岡大臣の御見解をお伺いをいたします。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  先月十九日でございました、大島商船高専の練習船、大島丸の竣工式典に出席するとともに、大島丸を拝見をしてまいりました。  新しい大島丸では、感染症対策ですとか、今までなかった女子学生専用のエリアというものがございましたし、また、操舵室の窓は左右に大変大きくなっておりまして、大変最新鋭だなというふうにも感じた次第でございます。いろいろな配慮がなされているということを非常に感じたわけでございます。この練習船を活用いたしまして、これまで以上に高度な商船教育に取り組んでいただくことを期待したい、そう思っております。  また、そのときに、校長先生の方から、この船は、新しい大島丸、本当に便利にできていて、災害のときに、災害の救助に当たって多くの被災者の方をお乗せすることができる、また、その対応というのも練習をしていくのだ、そういう旨の御意見も伺わせていただきまして、大変心強く思った次第でございます。  国立大学ですとか国立高専、また高校が所有します練習船につきましては、老朽化の進行ですとか、女性船員のための設備やスペースの不足、新型コロナウイルス等の感染症への対応といった課題がございます。  こうした状況を踏まえまして、文部科学省では、現在、各教育機関が所有いたしております練習船の使用年数に応じた計画的かつ集中的な更新に取り組んでいるところでございます。引き続きまして、海洋立国日本を支える海洋人材の育成にしっかりと取り組んでまいります。 ○西岡委員 お取り組みをいただいているということで、このことは大変重要な課題だと思いますので、引き続きのお取組をお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、私、昨年も質問をさせていただきましたけれども、学校における生命(いのち)の安全教育について質問させていただきます。  二〇二〇年六月に、性犯罪、性暴力対策強化の方針決定に基づきまして、子供たちが将来にわたって性被害の被害者また加害者、傍観者にならないための生命(いのち)の安全教育の取組がスタートいたしました。  今、子供に対する性暴力被害も深刻化をしておりまして、SNSに起因する事例が大変増加し、高止まりをしている状況でございます。  また、令和三年の内閣府調査によりますと、女性の六人に一人、男性の十二人に一人が交際相手からの暴力を経験しているという深刻なデータもありまして、コロナ禍で一層その件数が増加をいたしております。  DVにつきましては、児童虐待とも密接に関係をしておりますし、DV被害者の方にお聞きをした中では、やはり交際中からそのようなDVが起こっていたということもございます。また、DV被害者とともには、そこには子供たちが壮絶な、深刻な影響を受けているという実態もございます。  内閣府と共同で文部科学省が教材、指導の手引を作成されまして、それを活用した取組をスタートされましたけれども、現状、全国の学校現場での取組の状況、また、令和三年度、令和四年度に実施をされました生命(いのち)の安全教育推進事業、いわゆるモデル事業につきましての取組状況についてお伺いをいたします。また、あわせまして、その結果として、事業の成果とともに、浮き彫りとなった課題や、現場からの意見、要望等がございましたら、御説明をいただきたいと思います。 ○藤江政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘いただきましたように、文部科学省では、子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命(いのち)の安全教育の教材及び指導の手引等を作成いたしまして、全国の学校での取組を推進しているところでございます。  全国の学校現場での本教材を活用した取組状況についてでございますけれども、現在、学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査というものを実施しているところでございますが、この中で初めて、令和三年度における性犯罪、性暴力防止のための教育の実施の状況と、その際の文部科学省作成の生命(いのち)の安全教育教材の活用状況について、全国の学校の実績を悉皆調査し、現在、集計をしているところでございます。本年夏頃にはこの集計結果を公表できる見込みとしているところでございます。  また、二点目のモデル事業についてでございますが、令和三年度より、学校における生命(いのち)の安全教育推進事業といたしまして、生命(いのち)の安全教育の授業モデルを構築する事業を実施しておりまして、令和三年度は、全国十三か所の教育委員会等に委託し、計四十九校で、令和四年度は、全国二十か所の教育委員会等に委託し、計五十五校で生命(いのち)の安全教育の教材を用いた授業を実施していただいているところでございます。  この事業を通じまして、幼稚園、小中高等学校、特別支援学校等の様々な学校種における全国の学校の参考となる好事例、指導モデルを収集しているところでございます。  一方で、これらの指導モデルを参考に、生命(いのち)の安全教育を全国の学校現場にいかに浸透させていくかということが今後の課題ということとなっております。このため、本年度は、生命(いのち)の安全教育全国フォーラムを新たに実施し、先進的な授業実践や教職員研修等の実践事例の共有を行うとともに、全国で生命(いのち)の安全教育に取り組む関係者のネットワークづくりを推進し、生命(いのち)の安全教育を始めとする性犯罪、性暴力防止のための教育が全国の学校現場で行われるよう、強力に呼びかけてまいりたいというふうに考えております。 ○西岡委員 次の質問のお答えもいただいたかというふうに思うんですけれども、この教材や指導の手引を準備をして、それが今、全国の学校でどのように活用されているのかどうか、また、この生命(いのち)の安全教育にかかわらず、このような教育がどのような形で行われているかどうかという実態を把握するということが大変重要だと考えております。このことについては夏頃にその結果が出るということでございますので、その結果についてはまたしっかり検証をさせていただくことが必要だと考えます。  また、モデル事業で得られた知見を、先進事例、好事例を事例集として示すということもおっしゃっておりましたけれども、これも夏の結果を待ってということになるのか、この共有というのはいつ頃になるのかということについてのお尋ねをしてもよろしいでしょうか。 ○藤江政府参考人 今お尋ねいただきました実施モデル事業での好事例につきましては、現在、事例を整理させていただいているところでございます。できれば夏を待たずに、好事例集として公表、周知できればということで考えております。 ○西岡委員 ありがとうございます。  それでは、続きまして質問させていただきます。  全国的には、既にこの生命(いのち)の安全教育と同様の教育内容で、長年にわたって、NPO法人ですとか行政機関、あるいは個人などによって先進的に行われた地域というものがございます。  昨年六月の質疑で、現在、どのように実際に同様の授業が行われているのか、内容や実施主体等の実態を把握することが必要ではないかという質問をさせていただきまして、そのことに対する御答弁として、方法も含めて検討したいというお答えがありましたけれども、その後の、この同様の教育がどういう主体で、どのような内容で行われているか、このことについて調査をするというか調べるということについての、その後のお取組状況をお尋ねさせていただきます。 ○藤江政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど、学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査というものにおきまして、初めて、令和三年度における、文科省の作成の生命(いのち)の安全教育教材の活用について聞いているということをお答え申し上げましたけれども、それと併せまして、この教材の活用の有無にかかわらず、性犯罪、性暴力防止のための教育を実施している実績についても全国の学校の悉皆調査を行っているところでございます。  生命(いのち)の安全教育に関しましては、専門的な知見ですとかノウハウを取り入れて取り組むことが大切であるとの考えから、全国の学校の参考とするための好事例として、外部の専門家を活用して取組を行った事例ですとか、地域のNPO法人等における先進的な取組を踏まえて教材を活用した例などを積極的に収集してまいりたいというふうに思っておりまして、こうした事例を先ほど申し上げました全国フォーラム等において共有し、全国の学校で生命(いのち)の安全教育が着実に行われるよう、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。 ○西岡委員 生命(いのち)の安全教育の中の教材の中にも、中学校、高校の教材にも盛り込まれておりますデートDV防止教育について、前回も、私の地元長崎県での先進的な取組について御紹介をさせていただきました。  全国各地でこの教育についても先進的な取組を、NPO法人を含めてこれまで地道に積み重ねてきていただいておりますけれども、このデートDVにつきましては、内閣府男女共同参画局のホームページにも啓発ホームページが設けられております。  折しも、今国会におきましてDV防止法の改正案が審議をされるわけでございますけれども、先ほども申し上げました、DV被害者の方からは、交際中に既にDVが行われていたことが多く、若いときからの防止教育が極めて重要であり、生徒の皆さんにとっては、身近な自らの交際におけるDV予防について学ぶことは、DV防止のみならず、性犯罪の被害者にも、加害者にも、傍観者にならないこと、また人権意識を高めることにもつながる、大変有意義な教育だと認識をいたしております。  先日、デートDV防止スプリング・フォーラム、二〇二三年、「いまこそデートDV予防教育を」という会合に私も参加をさせていただき、二十年にわたる取組についての御報告、それぞれの団体の活動報告がございまして、文部科学省、内閣府からの御説明もその場でございました。  デートDV予防、防止教育につきましては、NPO法人デートDV防止全国ネットワークが、その教育の実施によってどのような効果が得られたかということを、教育効果の調査を行い、分析をいたしております。その分析結果によりますと、暴力に対する認知、暴力の非許容、またジェンダー観にポジティブな変化等の教育効果が見られ、特に暴力に対する認知に最も効果が表れたとされております。  教育効果について検証することは大変難しいところもございますけれども、教育効果について検証していくことの必要性、また、今日お配りをしております資料を見ていただいても分かりますとおり、全国で、行われている地域格差がかなり明確となっております。子供たちがどこに住んでいても、どの学校に通っていても同じように教育が受けられる体制というのは大変必要だと思います。  結果が取りまとめられました冊子は是非大臣にもお読みいただきたいと考えておりますけれども、現状の全国における地域格差について、文部科学大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。 ○永岡国務大臣 文部科学省では、デートDV防止教育も含めまして、生命(いのち)の安全教育の令和四年度モデル事業にて教育効果の検証を行っております。結果を取りまとめているところでございます。  NPO法人のデートDV全国ネットワークが行った調査結果において、デートDV防止教育の実施状況について地域間格差が示されていることは承知をしているところでございます。  文部科学省で実施している学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査の結果も踏まえまして、引き続きまして、デートDV防止教育も含め、生命(いのち)の安全教育の全国展開を強力に推進してまいります。 ○西岡委員 今日お配りをいたしております実施調査によりますと、費用についての問題ですとか、同様の教育をしている団体が、生命(いのち)の安全教育について知っていますかという問いに対して二七%がいいえと答えている状況、また、その団体が、生命(いのち)の安全教育の枠組みでデートDV防止教育を実施しましたかという中で、いいえと答えた団体が七七%を占めているという調査結果もございます。  これから全国同じような教育を展開していく上で、これまで長年取り組んでこられましたNPO法人を始めとして、様々な関係者の専門家の皆さんの長年の知見ですとか経験を今後の教育内容に生かしながら、また、その団体との連携を一層強化していかなければいけないと思います。その必要性がこの調査からも分かるというふうに思いますけれども、専門人材として学校現場で活躍していただくということも含めて、また、この専門人材の育成というのも大変喫緊の課題でございます。  携わっている方々からは、持続可能性を持ってこの教育に携わることができる、やはり国の財政支援が是非必要だという要望が強くございますけれども、永岡文部大臣の御見解をお伺いをいたします。 ○永岡国務大臣 文部科学省では、生徒児童の一人一人、一人一台端末等で視聴できます動画教材の作成、公表を行うなど、全国の学校で生命(いのち)の安全教育を実施できるように環境を整備してきました。  指導者につきましては、学校内に専門的な知見やノウハウを取り入れてこの教育に取り組むことが大切であるとの考えから、学級担任や特定の教科担任、養護教諭のほか、外部人材と連携をした指導など、各学校の判断により様々な形態が考えられるところでございます。  文部科学省では、このような環境整備や、専門的人材の活用や育成に資するように、生命(いのち)の安全教育の教材を用いた授業を全国展開するためのモデル事業の実施及び好事例の横展開、また、生命(いのち)の安全教育に関する先進的な取組事例の紹介等を行う全国フォーラムの開催などを実施することとしているところでございます。  引き続きまして、全国の学校で生命(いのち)の安全教育が着実に行われるように、取組を進めてまいります。 ○西岡委員 一人一台端末における教育についても準備をしていただいているということも含めまして、一層進めていただくと同時に、やはり、これまで二十年間にわたって教育に携わってきた専門的な外部団体の方の知見や経験というのは大変重要だというふうに思いますので、また、しっかり連携を取りながら、どこに住んでいても同様の教育を受けられる体制整備を是非実現をしていただきたいと思います。  最後の質問になりますけれども、時間となりましたが、政府が先月末発表し、今後三年間で取り組む少子化対策、こども・子育て支援加速化プランにつきまして質問させていただきます。  文部科学省が所管いたします大学院生の授業料後払いの導入ですとか、奨学金の拡充による高等教育の負担軽減、給食費の無償化に向けた課題の整理等が盛り込まれました。  永岡文部科学大臣として今後どのようにこのことに取り組んでいかれるのか、文部科学省として明確となっている方針があれば御説明をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。 ○永岡国務大臣 御指摘のとおり、先日小倉大臣が取りまとめました今後の子供、子育て政策のたたき台におきまして、給付型奨学金の拡充等について盛り込まれております。  具体的には、令和六年度から、給付型奨学金等について、年収六百万円程度までの世帯を対象に、多子世帯や理工農系の学生等へ支援を拡大するとともに、修士段階におきまして、授業料を卒業後の所得に応じた後払いとする授業料後払い制度を創設することとしております。あわせまして、結婚や出産などライフイベントに応じた柔軟な返還が可能となるように、貸与型奨学金の減額返還制度について見直しを行います。  総理の下に設置されます新たな会議におきまして、六月の骨太の方針二〇二三までに将来的な子供予算の倍増に向けた大枠を提示することと承知をしておりますので、文部科学省といたしましては、引き続き、こども家庭庁を始めとする関係省庁と連携協力をいたしまして、この議論に積極的に参画をしてまいります。 ○西岡委員 引き続き委員会でも議論をしていきたいと思います。  今日の私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○宮内委員長 次に、宮本岳志君。 ○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。  前回、三月二十二日の当委員会は、私立学校法改正案が議題でありましたが、簗和生文部科学副大臣のLGBT理解増進法案をめぐる発言と答弁が問題となりました。また、それに関連して、永岡大臣までもが、LGBTが種の保存に背くという発言が当事者の方々を傷つける発言であるかどうかについて、仮定のことなので答弁を控えると答弁したことが更に大きな問題となりました。  我々野党は、たとえ仮定の質問であるにしても、LGBTは種の保存に背くというような発言が許されるか許されないかについて定見を持たないようでは、永岡大臣自身の資質が問われかねず、そのような大臣の下で粛々と採決に応じるわけにはいかないと、私の質疑を終えたところで委員会を休憩し、理事会を再開して調整を行いました。  永岡大臣は、再開後、一般的に、何らかの発言が人を傷つけるのかどうかは、その発言された文脈によるものと考えるとした上で、一般論としては、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性があり、望ましくないと考えますと答弁されました。  我々は一応、その大臣発言をもって質疑終局、採決に応じたわけですけれども、簗副大臣については積み残されたわけです。  午前中に柚木議員が確認したら、簗副大臣は、政府としては、個々の意見に対してコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、どのような発言も、その発言された文脈により人を傷つける可能性はあり、そのように相手を傷つけることは望ましくないと考えている、この考えは三月二十二日の当委員会における大臣の答弁と同じ趣旨だなどと答弁をされました。  しかし、前回の大臣発言については、委員長以下、当委員会の理事会で協議した上で、与野党の総意として確認したものであります。委員長、間違いないですね。 ○宮内委員長 はい。 ○宮本(岳)委員 国会が確認した答弁について、それも大臣の御発言について、副大臣に解釈してもらう筋合いはさらさらないんですよ。  大臣、あなたの前回の当委員会での休憩後の発言は、当委員会理事会の要請により発言したのか、それともお隣にいる簗副大臣に指図されて発言したんですか、どちらですか、大臣。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  前回、三月二十二日の委員会の再開後の私の発言でございますが、それは、与野党両筆頭始め、理事会の皆様方がこれを私にしっかりと言ってほしいと、私も異存なくそれを発言したということが事実でございます。 ○宮本(岳)委員 当然ですね。  そこで、簗副大臣に聞きます。  あなたはまさか、前回の大臣答弁の趣旨の解釈権があなたにあると考えているのではないと思いますが、午前中の答弁はそういう趣旨ではないですね。 ○簗副大臣 大臣と同じ趣旨のお話をいたしました。 ○宮本(岳)委員 あなたが午前中に語ったことは、大臣と同じことではないんです。  大臣は、一般論ではあっても、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性があり、望ましくないと考えますと答弁されました。  あなたの答弁は、一般論として、どのような発言も、その発言された文脈により人を傷つける可能性はあり、そのように相手を傷つけることは望ましくないと考えているというもので、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することについての評価は一言も語らなかったわけであります。  簗副大臣、大臣と同じ趣旨というのであれば、大臣がおっしゃったとおり、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性があり、望ましくない、この考えをあなたも共有するということでいいですね。答弁次第では、この先、質疑が続けられなくなります。 ○簗副大臣 当然ながら、副大臣という立場ですから、大臣の発言された趣旨と同じであるということで先ほど来答弁をしております。 ○宮本(岳)委員 全く同じであるということを今確認されました。  さて、簗副大臣にはもう一つ問題があります。しっかり聞いてくださいよ。あなたのために時間を割くんですからね。  資料一を見ていただきたいんですけれども、あなたは、一昨年五月二十日の自民党会合の中で、生物学上、種の保存に背く、生物学の根幹にあらがうといった趣旨の発言をしたことを報じる東京の記事であります。  簗副大臣が、この報道をめぐっては、当該の会議は非公開の形式で行われたものであり、その内容等やそれに関連する質問について答弁を差し控えると繰り返しておりますし、午前中もそう答弁されました。それは十分承知の上で聞くんですよ。  この会議は何についての会議であったのか。あなたも出席したんですから、議題は答えることができるでしょう。 ○簗副大臣 この席では政府としての立場でお話をしておりますので、党の会議等については、政府の立場として、その内容等についてお答えは差し控えたいというふうに思います。 ○宮本(岳)委員 世の中には既に知れ渡っているわけですよ。記事にもあるように、性的少数者への理解増進法案、LGBT理解増進法を議論する会議だったんです。したがって、非公開だから何も言わないと言って済まされるものではありません。  先ほどの資料一を見ていただきたい。「与野党の実務者協議で合意した性的少数者への理解増進を図る法案を議論する自民党会合」とあります。  私は、その与野党協議、与野党超党派議員でつくる、LGBTに関する課題を考える議員連盟のメンバーであります。私は、その超党派議連の役員会で、実務者協議での合意案を持ち帰った自民党の方々から報告を受けました。この二〇二一年五月二十日の会議で強固な反対意見が出され、持ち帰った人たちの中には涙を流して訴えた方もいらっしゃったと聞いておりますけれども、しかし、阻まれたまま、約二年間、一ミリも進んでいないと担当の方は語っておられます。  総理は、一昨日の参議院決算委員会の質疑で、LGBTなど性的少数者に対する理解増進に関して、多様性を尊重する社会に向け努力する方向性を国際社会にしっかり示さなければならないと述べられましたけれども、これは永岡大臣、永岡大臣も、この総理の答弁について、内閣の一員として、当然、同じ思いでよろしいですね。 ○永岡国務大臣 四月三日の決算委員会で総理が発言されたとおり、文部科学省といたしましても、LGBTQについて、多様性を尊重される社会に向けて努力をしていくという政府の方向性を国際社会に対して示していくということは重要であると考えております。 ○宮本(岳)委員 これも当然の立場だと思います。  この性的少数者への理解増進や差別の禁止について、特に簗副大臣は、その職責に関わる重大な責任があります。  資料二を見ていただきたい。これは、この度文部科学省が改訂した生徒指導提要の二百六十四ページ、二百六十五ページであります。  まず、文部科学省初等中等教育局に確認しますが、この生徒指導提要とはどういう文書ですか。 ○藤原政府参考人 お答えいたします。  生徒指導提要につきましては、文部科学省ホームページにおきまして、「小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等について、時代の変化に即して網羅的にまとめ、生徒指導の実践に際し教職員間や学校間で共通理解を図り、組織的・体系的な取組を進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として作成したもの」としているところでございます。 ○宮本(岳)委員 そのとおり書かれております。  そこで、簗副大臣に聞きますけれども、この生徒指導提要を含む初等中等教育を担当する副大臣はどなたですか。 ○簗副大臣 教育担当の私でございます。 ○宮本(岳)委員 そのとおり、あなたですね。  では、簗副大臣に重ねて聞きましょう。  この生徒指導提要には、性的マイノリティーに関する大きな課題や現状についてどのように書かれてありますか。昨日通告したとおり、お述べいただけますか。 ○簗副大臣 この生徒指導提要の二百六十四ページの記載を述べる、そういう御質問だと思いますけれども、このページには、「性的マイノリティに関する大きな課題は、当事者が社会の中で偏見の目にさらされるなどの差別を受けてきたことです。少数派であるがために正常と思われず、場合によっては職場を追われることさえあります。このような性的指向などを理由とする差別的取扱いについては、現在では不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだに偏見や差別が起きているのが現状です。」と記載をされております。 ○宮本(岳)委員 「いまだに偏見や差別が起きているのが現状です。」と書かれております。ここで述べられていることは、性的指向などを理由とする差別的取扱い、例えば、LGBTは生物学上、種の保存に背くなどと発言することは、現在では不当なことであるという認識が広がっているが、いまだに偏見や差別が起きているのが現状だと提要には書いてあるわけですね。  続いて、二百六十五ページの上から六行目には、まず教職員自身に何が求められると書いてありますか。簗副大臣、お読みください。 ○簗副大臣 御指摘の箇所については、これは生徒指導提要二百六十五ページになりますけれども、「まず教職員自身が理解を深めるとともに、心ない言動を慎むことはもちろん、見た目の裏に潜む可能性を想像できる人権感覚を身に付けていくことが求められます。」と記載をされております。 ○宮本(岳)委員 「心ない言動を慎むことはもちろん、」これは教員にそういうことが要請されているわけですね。  LGBTは生物学上、種の保存に背くなどという言葉は、紛れもなく、慎むべき心ない言葉、心ない言動です。たとえ非公開の会合の場であっても許されるものではありません。もしもそう語ったとすれば、まともな人権感覚を身につける努力が求められるわけであります。  簗副大臣が生徒指導提要の内容に完全に納得、同意しているのであれば、差別的取扱いは不当なことであるという認識を広げる先頭に立たなければなりません。せっかく与野党で合意した理解増進法案に差別は許されないという文言が入ったからといって、これを攻撃し、二〇二一年五月以来、約二年も一ミリも進んでいないと自民党の担当者に語らせるような現実、これはゆゆしきことだと思います。  これは望ましいことではないという認識を簗副大臣はお持ちでしょうか。 ○簗副大臣 今の御質問は法案についてということでございましょうか、進んでいないというのは。もう一度、済みません、質問を。 ○宮本(岳)委員 かかっている当該の法案ではありません。理解増進に関する法整備が進んでいないことは望ましいことではないという認識はお持ちですね。 ○簗副大臣 今委員御指摘の、法案ではないと今おっしゃいましたけれども、議員立法として法案が今議論されているということを承知しておりますので、その点に関しましては、各党で国会の中でお決めになることでありますので、私としてはコメントを差し控えたいというふうに思います。 ○宮本(岳)委員 分かっていないですよ。二年間、一ミリも動いていないんですから、出ていないんですよ。五月二十日の会議で止まったままになっているんですよ、誰が反対したのか分かりませんけれども。それは困ったことじゃないですか、法整備を進めるべきじゃないですかと聞いているんです。いかがですか。 ○簗副大臣 繰り返しますけれども、具体的な法案については国会で御審議いただくものでありますが、総理が御発言をされたとおり、多くの国民の皆さんの意見や国会での議論をしっかりと踏まえた上で進めていくことが重要である、そのように認識をしております。 ○宮本(岳)委員 せめてもの救いですね。  では、先ほどの永岡大臣の御答弁、総理と同じだという点においては簗副大臣も全く同じと答弁いただけますか。 ○簗副大臣 大臣が答弁をされたとおり、同じように思っております。 ○宮本(岳)委員 最初からそういうふうに言えばいいんですよ。それを、渋々のようなことを言うから誤解されるんじゃないですか。  これは改めて聞く必要があると思うんですけれども、問題は、既にこの文科省の生徒指導提要にも書き込まれ、差別的取扱いは不当なことであるというこの当たり前のことを書き込んだ法案が、なぜ二年もの長きにわたって一ミリも動かず、たなざらしになっているのかという問題であります。  資料三を見ていただきたい。昨年五月十五日付の国際勝共連合の機関紙、思想新聞であります。同性婚の容認やLGBTへの理解増進の法案や条例を文化共産主義と呼んで敵視し、産経の政治部編集委員やモラロジー道徳教育財団の教授まで引っ張り出してきて攻撃を加えております。  既に明らかになっているように、統一協会が選挙で政治家を支援するに当たってサインを求める推薦確認書には、同性婚合法化などを慎重に扱うことなどの項目が並んでおります。  念のために簗副大臣に確認いたしますけれども、あなたは統一協会と接点を持っておりますか。また、確認書などにサインをしたことがありますか。 ○簗副大臣 これまで申し上げてきましたとおり、旧統一教会と関わりを持ったことは一切ございません。また、推薦確認書を提示されたこともなく、サインをしたこともございません。 ○宮本(岳)委員 LGBT差別が許されないと書けば文化共産主義だというのであれば、文科省の生徒指導提要も共産主義の一種だということになってしまいます。まさに荒唐無稽な論だと言わなければなりません。  もしも自民党が、選挙支援と見返りの統一協会の影響によって、与野党実務担当者の間でやっと合意にこぎ着けたものをちゃぶ台返しをして二年も放置してきたのならば、ゆゆしき事態だと思います。  大臣、よもやそのような事実はないと私は信じたいんですけれども、そして、大臣も、議員立法の扱いそのものは、この場で大臣から答弁は不適切だとおっしゃると思うんですけれども、少なくとも、先ほども確認したように、LGBTの差別的な取扱いを禁止する法整備、提要にも書かれていることですから、こういう法整備を進める必要があるという認識については大臣も共有していただけますか。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  やはり、具体的な法案につきまして、これは議員立法でございますので、国会で御審議いただくものではございますけれども、総理が発言されたとおり、多くの国民の皆さんの意見や国会での議論をしっかりと踏まえた上で進めていくことが重要である、そういうふうに考えております。 ○宮本(岳)委員 いや、別に、必ず議法でしなければならないというわけじゃないんですよ。閣法で出していただいたらいいんですからね。本当に進めたいと思うのであれば、総理もそこまでおっしゃるんですから、閣法で是非提案していただいたらいいと私は思います。  その際、当然、生徒指導提要の中で、そういう差別的な取扱いをすることは不当だというのは当然のことになりつつあるけれども、まだ差別が残っていると書いているわけですから、やはりそういう不当な差別は駄目よということを、ちゃんと閣法で出していただくべきだと私は思っております。  さて、そこで、肝腎の統一協会なんです。  私はこの間、繰り返し、一刻も早い解散命令の請求を行うべきだと求めてまいりました。  文化庁はこの間、四回にわたって、宗教法人法第七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使を行い、三月十五日には四回目の回答を受け取りました。しかし、三月の二十七日には、更に五回目の報告徴収、質問権の行使について宗教法人審議会に諮り、答申を得た上で、三月二十八日には五回目の報告徴収、質問権の行使を行いました。  これは一体なぜ五回目も行ったのか、何のためにこの五回目の報告徴収、質問権の行使を行ったのか。これは次長でいいです、御答弁いただけますか。 ○合田政府参考人 お答え申し上げます。  旧統一教会に対する五回目の報告徴収、質問権の行使につきましては、組織運営関係事項、予算、決算、財産関係事項、献金事項、示談等の関係事項、教会管理運営関係事項、信徒会関係事項の六事項について報告を求めてございます。  今回報告を求めている内容は、これまでに旧統一教会から提出された資料の分析を踏まえながら、細部に至るまで問題点を明らかにする観点から整理したものでございまして、合計で二百三項目の報告徴収を求めているというものでございます。 ○宮本(岳)委員 細部に至るまで問題点を明らかにする観点からということは、細部に至るまで明らかにすべき問題点があるということにほかなりません。  文化庁が統一協会に宗教法人法七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使を行っているということは、宗教法人法八十一条第一項第一号及び第二号前段の事由に該当する疑いがあると認めて行使に当たっているということですね。  そして、その権限を適正に行使するためには、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」や「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」に該当する疑いがあると判断できなければならず、今回の五回目の質問権の行使の観点を踏まえれば、統一協会には細部に至るまで明らかにする必要のある問題点があるという認識だと思います。  これは、これも文化庁次長でいいですよ、そのような認識で間違いないですね。 ○合田政府参考人 お答え申し上げます。  旧統一教会に対する報告徴収、質問権を行使しているのは、ただいま御指摘がございましたように、旧統一教会や信者等の行為に関する不法行為責任を認めた判決が多数あり、民事判決の判決において認められた損害賠償額も多額に及ぶことから、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると認められているからでございます。その点を事実関係を踏まえ適正に、かつ厳正に判断するためにも、細部にも至る事実関係の把握が必要であると考えてございます。  すなわち、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じて、旧統一教会の業務に関して細部にも至る具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進め、その上で、法律にのっとり厳正な必要な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。 ○宮本(岳)委員 これは当然のことなんですね。「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」や「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」に該当する疑いがあるという判断がなければ、この七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使を行うことはできません。  ところが、資料四を見ていただきたい。三月二十七日付で私が文化庁長官から受け取った行政文書不開示決定通知書であります。  今度は、前回の下村博文大臣レクのペーパーではなく、二〇一五年六月二日、統一協会が名称変更を申請したときの文化庁宗務課と統一協会の面談記録であります。前川喜平元文部科学事務次官も証言しているとおり、中身が変わらないのに名称だけ変更するというのは駄目ですよとの話で九回にわたって引き下がってきた統一協会が、この二〇一五年六月二日は一転して強気に出た。今回は引き下がらない、受理されなければ法的に争うというようなことを言い、法律家の判断も得ていると語ったとされる際の面談記録であります。だから申請を受け取らざるを得なかったという説明でありました。  これは非常に大事な面談記録でありますけれども、なぜ開示できないんですか、次長。 ○合田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の不開示決定は、行政機関情報公開法に基づいて行ったものでございます。同法第五条第二号イでは、公にすることにより法人の権利等を害するおそれがあるものは不開示情報に当たると規定してございまして、ここに言う法人は全ての宗教法人を含むものとされてございます。  この規定に基づき、国の行政機関と宗教法人の関係において、一般に法人の非公知の事実は不開示情報に当たると考えられ、どの宗教法人についても同様の対応をしているところでございまして、今回の不開示決定は、御指摘のように殊更に旧統一教会の権利や利益を守ることを意図したものではございません。  旧統一教会につきましては、先ほど来お話がございましたように、宗教法人法に定める解散命令事由に該当する疑いがあると判断をして、報告徴収、質問権を行使してございます。このことは情報公開法の一般原則とは別の問題でございまして、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げを着実に進め、法律にのっとり厳粛に必要な対応を行ってまいりたいと考えております。 ○宮本(岳)委員 何か不都合があるんですか。この文書には、「不開示とした理由」、三行ですよ。そんなだらだらと書いていないじゃないですか。「法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、」不開示だと。  この私の情報公開請求、当該法人というものは、ここに出ているとおり、宗教法人世界基督教統一神霊協会の規則変更についてですから、当該法人は全て統一協会と読み替えていただけば、ここに書いていることは明確なことだと思います。この不開示理由は、統一協会の権利、統一協会の競争上の地位その他統一協会の正当な利益を害するおそれがあるから国会には見せないと書いてあるんですね。  自分たちの報告の徴収や質問権の行使に当たっては細部に至るまで調べると言いつつ、国会に対しては、統一協会の正当な利益とか競争上の地位を守ってやるために、国権の最高機関たる国会の国政調査権を拒否する、そういうことですか、次長。 ○合田政府参考人 お答え申し上げます。  これは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、宗教法人法に基づく私どもの報告徴収、質問権、これは宗教法人法に基づいて適正に行っているところでございます。それと情報公開法の一般原則とは別の問題でございまして、先ほどお示しをいただきました、開示請求をいただいた文書というのは、旧統一教会と文化庁との平成二十七年の応接録でございまして、不開示決定の理由におきましては開示請求の請求文書に関する宗教法人を指して当該法人との文言を用いてございますが、先ほど申し上げたとおり、この扱いというのはどの宗教法人にも同様に対応しているところでございまして、今回の不開示決定は、殊更に旧統一教会の権利や利益を守ることを意図したものではございません。 ○宮本(岳)委員 統一協会について聞いているんじゃないですか。何でそんな話になるんですか。  前回の下村レクペーパーは、国の機関の内部における検討過程を知るために開示を求めていたにもかかわらず、国の機関の内部における検討に関する情報だからといって不開示にしました。今回は、統一協会の正当な利益を守ってやらねばならないからといって不開示にする。こんなことで国民の納得が得られますか。  これでは、簗副大臣がLGBT理解増進法に不熱心だったのも、種の保存に背くとの発言まで取り沙汰されるのも、やはり統一協会との関係があるのではないか、だから及び腰で、一切必要な情報開示もせず、解散命令の請求もしないのではないかと疑いの目で見られても仕方がありません。  大臣、これは否定できますね。 ○永岡国務大臣 お答え申し上げます。  旧統一教会につきましては、宗教法人法に定めます解散命令事由に該当する疑いがあると判断をして、報告徴収、質問権を行使しておりまして、このことは情報公開法の一般原則とは別の問題でございます。  法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げを着実に進めまして、法律にのっとりまして厳粛に必要な対応を行ってまいりたいと考えております。 ○宮本(岳)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、国民は今、岸田政権を注視しております。とりわけ、地方選挙を前にして、統一協会や国際勝共連合と政治家との癒着に厳しい視線を注いでいます。  それは当然のことでありまして、霊感商法や巨額献金で集めた金を韓国の教祖や本拠地に送るばかりか、政治家と癒着して、性的マイノリティーと言われる方々の自分らしく生きたいという願いや、今、日本国民の間に広がる、多様な生き方を認め合おうという大きな流れを妨害し、政治をゆがめているからです。  今こそ、毅然として、統一協会に対し、宗教法人法第八十一条一項に基づく解散命令の請求を行うことを強く求めて、私の質問を終わります。      ――――◇――――― ○宮内委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。     ―――――――――――――  著作権法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ――――――――――――― ○永岡国務大臣 この度、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  デジタル技術を活用して人々の生活を豊かにするデジタルトランスフォーメーションの進展により、誰もが著作物を創作して公表し、利用できる時代になっております。こうした時代の下で、著作権制度は、社会や市場の変化に柔軟に対応し、新たなコンテンツを創作する好循環を実現することにより、文化芸術を始めとした我が国の発展に寄与できるように充実を図ることが必要です。  この法律案は、権利保護及び適切な対価還元と利用の円滑化の両立を基本とする観点から、未管理公表著作物等の利用に関する裁定制度の創設、立法及び行政の事務のデジタル化に対応した規定の整備、並びに海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しを行うものであります。  次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。  第一に、未管理公表著作物等の利用に関する裁定制度を創設します。具体的には、未管理公表著作物等を利用しようとする者は、利用の可否に係る著作権者の意思が確認できない著作物等について、その意思を確認するための措置を取ってもその意思が確認ができない場合に、文化庁長官の裁定を受け、かつ、補償金を供託することにより、時限的に利用することができることとしております。  あわせて、本裁定制度による迅速かつ適切な著作物等の利用を可能とするため、文化庁長官の登録を受けた機関において裁定に関する事務の一部を行うことができるようにするとともに、文化庁長官の指定を受けた機関に補償金を支払うことができるようにすることで、供託手続を不要としております。  第二に、立法及び行政の事務のデジタル化に対応するため、立法又は行政の目的のために内部資料として必要となる場合及び特許に関する審査等の行政手続などのために必要となる場合における著作物等の公衆送信等を可能としております。  第三に、著作権等が侵害された際に権利者の立証負担の軽減を図ることを目的として、侵害者が販売した数量等のうち権利者の販売能力を超えるとして損害額から控除されていた部分について、ライセンス料に相当する額を損害額の算定基礎に加えられるようにするとともに、ライセンス料に相当する額を認定するに当たり、侵害があったことを前提として交渉した場合に得られる額を考慮できることを明確化しております。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 ○宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時六分散会