« 「読めてしまう」コピペがなぜ読めてしまうのか | メイン | 「ハードウェア」プログラマと「ソフトウェア」プログラマ »

2009年07月12日

ファンに支えられるプロダクトとユーザにdisられるプロダクト

世の中には熱狂的なファンに支えられるサービスやプロダクトがあります。 Appleファン、Googleファン、日産ファンといえばピンときますが、 Microsoftファン、Yahooファン、トヨタファンと言うとあまり聞きません。

ファンに支えられることは素晴らしいことですが、ファンが多いからといって プロダクトの完成度やクオリティが高いとは限りません。私がファンになるのは アイドルぐらいで、ソフトウェアに関してこれとってファンはないのですが (いやむしろありとあらゆるプロダクトを触ってみては〇〇はウンコと言っていますが...) 某製品の改善点をそのファンに伝えると「愛が足りない」とか 「そんな所誰が気にするのか」とかわされます。

あるプロダクトのファンになるかどうかは、中の人がどれだけカリスマ性があるかとか、 彼らの長期的なビジョンや理念がどれだけ魅力的かと言ったハイレベルなところで 決まります。そのため、いったんファンになってしまうとバイアスの影響で その製品の正当な評価が出来にくくなってきます。個々の機能の完成度の許容量が低くなり、 少しのことではイライラしなくなります。この状態は実は危険です。 開発者はファンの声に満足してしまい、一般ユーザがイライラするような 改善点を見落としてしまいます。

開発者が自身のプロダクトでユーザを「驚かせる」方法には二種類あります。 前者は正の驚き。セクシーなインタラクションやビジュアル、クールな機能。 もう一つは負の驚き。ウンコなインタラクション、直感的ではない動作、 データ喪失、甘い作り込みなどです。開発者はどうしても正の驚きにフォーカスをあて、 合コン受けするようなプロダクトを作りたがりですが、私に言わせれば、 1000個の正の驚きを生み出すぐらいなら、1個の負の驚きを潰すほうがはるかに重要です。

ファンも同様に正の驚きを誇張しがちです。ファンじゃない普通の ユーザは「この部分はウンコだ」と負の驚き、改善点を正直にぶつけてきます。 Microsoftのスゴイところは、ユーザ(not ファン)にdisられまくってますが、 それらを真摯に受け止めコツコツと改善していっているところです。Vistaになって セキュリティモデルが一新され、IEが乗っ取られてもシステムには 影響がないような設計になってますし、VistaのウンコなUIは Windows7で それなりに改善されています。

私もオープンソースのソフトウェアをいくつか公開しています。 ポジティブなファンの応援は確かに励みになりますが、改善点を 正直にぶつけてdisってくれるユーザ(not ファン)を大事にしていきたいと思います。 良くも悪くも言われないんだけど、誰もが空気のように使っている というのが私の理想のプロダクトです

投稿者 taku : 2009年07月12日 22:31

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://chasen.org/~taku/blog/mt-tb.cgi/247