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Daichi Mochihashi (持橋大地) daichi <at> ism.ac.jp by hns, version 2.10-pl1.

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2008年03月17日(月) [n年日記]

#1 Vacation

3月上旬は, 有休を取って, 前から行きたかった 和歌山マリーナシティ に行ってリフレッシュしてきました。
マリーナシティは人工島で, JR紀勢線の海南駅から行くのですが, そこだけ特別にリゾート開発されているので海南島をモデルにしているのか と思ったら, 海南市は和歌山県海草郡南部の略ということで, 全然関係ないらしい です。;

少し時間ができたので, 読みたかった論文を読んだりしているのですが, 最近, John Montroll氏の "Origami Sea Life" [amazon] という本を購入しました。 Montroll氏の本は, 正四面体, 正八面体, …などをたった一枚の紙から折り出す "A Plethora of Polyhedra" [amazon] を数年前に買って以後, ちょうど3冊目なのですが, この "Origami Sea Life", 1991年の本なのでアメリカから買って2000円くらい でしたが, 作品数も多いし, かなり名作揃いな気が…。

下に, いくつか折った写真を並べてみました。 一番右はヒトデで, 一見簡単そうに見えますが, 一枚の正方形の紙から(組み合わせ折り紙を使わずに), ただ折るだけで正五角形の角を五つ出すのは考えるのが かなり大変だと思います。

ただ, 結構折るのが難しいです。
小学生の頃は, 笠原邦彦氏のおりがみシリーズ3 『超難解』 を嬉々として折っていた 僕でも, 一つ折るのに余裕で30分以上, 一番左の Blue Shark (クリックで拡大) は多分1時間以上かかっています。 *1 英語は易しいし, 図も明解なので折り方は迷うことはないのですが..。
折り紙の本はお見舞いに最適, という話がamazonにありましたが, こんなに集中と 気合いが必要な本, 入院してたら無理だろ常識的に考えて..と思ってしまった。
子供の頃は『超難解』くらいしかなかった高度な折り紙の本も, 海外も含めると 最近はどんどん進歩しているようで, 凄いなと思います。


*1: これはどうみても普通の折り紙用紙では無理そう だったので, 25cm^2の大きな折り紙用紙を使ったのですが, それでも手では細かすぎて どうやっても折れず, ペーパーナイフの先端を使って折った部分があります。

#2 会議+α

同じグループの新人の石黒君(修士入社なので, D2相当)が CVPR 2008 に通ったということで, めでたい。CVPRに出したら?と彼に最初に言ったのは僕だったりするので, こっそり余計に嬉しいですね。鈴木さんも無事ACLに通ったということで, CS研順調だなあ, と思います。

ちょうどMITから来ている Vikash から, Lispでノンパラメトリックベイズの計算を行う Stochastic Lisp, "Church" の論文をもらいました。 UAIにsubmit中だそうので詳しいことは書けないのですが, CRPのサンプリングを 一々書くのでは なく, 一般的なアルゴリズムにCRPを "apply" することで簡単にアルゴリズムを ノンパラメトリックベイズ化できて, 高速にMCMCで inference が動くようになっている ようです。
今日のVikashのトークでは, さらにサンプリングをFPGA上にハード化して, 超高速にサンプリングすることも可能だとか。 ベイズ統計ではΓ関数やΨ関数などの複雑な関数が出てくることもあるよな.. と思っていたのですが, 考えてみると, 本当に必要ならこれらの特殊関数を返すALUを 組み込んでおいてもいいし, 実装上は繰り返しで近似してもよいということに 気がつきました。
AIBOのようなロボットに無数のMCMCのサンプリングが動いている..と想像すると, 愉快だな と思います。


2008年03月28日(金) [n年日記]

#1 「科学」

伊庭さんから, 岩波書店 「科学」 2008年4月号の謹呈本をいただきました。
伊庭さんの記事"「確率の科学」がなぜ必要か"は, エヴァンゲリオンの話(w から始まって, Bias-variance dilemma, 「確率論」と統計学習, および数学との関係 についてなどの興味深い話です。
これは特集「予測不能な時代の測り方―確率・リスク・ゆらぎ」の一部で, 原稿を 読んだときに, 今年出る岩波の新シリーズ 「確率と情報の科学」 にちなんでいる のだろうと思ったのですが, どこにも言及されていなくてちょっと驚きました。

他にもすごい方々の記事が並んでいるので, 結構お薦めっぽいです。
個人的に他に面白かったのは, 竹内啓先生の「賭けと金融工学の新しい数理」。 これは, 完全にランダムな賭けの場合には, どのような戦略を考えても確実に利益を得る 方法はない, というよく知られた話を裏返して, 「もし完全にランダムな賭けで なければ *1 , 有限な資金で 必ず, かつ無限にもうけることができる」という話。とても興味深い。p のempirical な推定値を用いた場合でも, 資金額を確率1でexp(ρn)で増やす戦略についても書いて あります。株取引でも, 大まかに言うと完全な幾何ブラウン運動でなければ, 必ず もうける戦略が存在するとのこと。( Shafer&Vovkのこの辺の話 が元であるらしい。自分用メモ。)
なぜ興味深いかというと, 実際の経済はまず確実に 完全にランダムに動いているわけではないだろう, から。 実際, MBAのような所に通うと, どうやって利潤を+にできるかの 「カラクリ」が読めるようになって, ほぼどんな場合でも成功することができるように なるという話を聞いたことがあるので, それは抽象的にはこういうことかも しれない, と思いました。 *2

それから, 高橋陽一郎先生の記事の囲み記事「逆正弦法則」についてもへー×3でした。 これは, ツキのあるなしつまり「勝ちっぱなし」あるいは「負けっぱなし」になる 確率が実際に統計的に高い, という話。 完全にランダムな酔歩(ブラウン運動)を行ったとき, 上の象限(勝っている状態)にいる 時間の全時間に対する割合を x とすると, xの累積密度関数が 2/πsin-1√xになり, 密度関数はベータ分布 Be(1/2,1/2) *3 になる, という話。寡聞にしてこれまで知りませんでした。 これは下図のような関数なので, 実際に, どちらかの状態にいる確率が非常に高くなる ようです。

「科学」はちょっと高いような気がします(1400円!)が, 図書館にはよく置いてあるのでは ないかと思います。


*1: コイン投げの場合, 表の出る隠れた確率p≠1/2であれば
*2: 実際の経済は必ずしもゼロサムゲームではないので, 利益を上げるということは, 必ずしも他者の利益を損うことにはならない, と思う。
*3: これは2項分布のJeffreys' priorで, 情報圧縮の分野のCTW法では Krichevski-Trofimov(KT)-estimatorとよばれている。

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